シナリオ詳細
<Irrmord>ミーム汚染、アデプト0021
オープニング
●蒐囚壁財団より提供。研究報告書抜粋
収容番号SS3085『アデプト0021』は探求都市国家アデプト(通称練達)のインターネット上に拡散された21秒間の映像ファイルです。
練達アンダーグラウンドサイトにてアップロードされたものを財団職員が発見したことで収容が開始されました。
アップロード者のアカウントは都内在住の日本系世界出身の成人旅人男性でしたが、当人にはファイルに関する記憶がなく、アカウントが第三者から不正に利用されたものと思われます。
SS3085は人物を拷問の末に殺害する様子が撮影されており、この映像には以下ふたつの存在が登場します。
ブラウン管テレビにフレキシブルホースの腕が生えたようなモンスター(SS3085-A『スナッフメーカー』と呼称)。
不特定な人物(SS3085-B)。
この映像を視聴した人物は、SS3085ーBを『自分に近しい人物』であると錯覚または認識します。
SS3085-Aは複数体登場し、視聴した人物により5~30体に増減します。
ファイルを21秒間全て閲覧し終えた視聴者は狂気にとらわれ、他者が『SS3085-Aが偽装した人間である』と錯覚または認識するようになり、身近な人物への暴行または殺害といった行為に及びます。
映像内容
SS3085ーBが■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
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SS3085-Aが登場。■■■■■■■を■■■■■■■。
■■■■■■SS3085ーBに■■■■■■■■■。
新たなSS3085-Aが■■■■■、■■■■■■■■■■。
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『この映像はR財団の提供でお送りしております』のテロップが流れる。
映像終了。
映像ファイルは以下のフォルダに保存されています。
閲覧の際にはミーム抗体処理を行ってください。
アドレス:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
収容処理について1
ファイルはコピーと拡散が進んでおり、ミーム汚染の拡散が指摘されています。
手動による探索と削除は不可能であると判断し、SS1111『イリーガルエクスプローラー』を用いて動画ファイルがアップロードされると同時に代替ファイル『機関砲車ジョニー』のホームビデオに差し替える処理を継続して実行中です。
収容処理について2
テロップ内容に従い、要注意団体『R財団』によるアップロードおよび拡散が行われている可能性を検討し、捜索を続行。
特定したアップロード拠点に蒐囚壁財団機動部隊オメガ13『キークラッシャー』が突入。
拠点内には動画のアップロードを管理していたと思われる人物『ローダー』(SS3085-C)および動画に登場していたモンスター『スナッフメーカー』(SS3085-A)が存在し、機動部隊と交戦。
■■■体存在したスナッフメーカーは機動部隊によりその大部分を殲滅しましたが、機動部隊の損害も甚大であり、撤退しました。
残存するスナッフメーカおよびローダーの破壊、確保は特異運命座標団体ギルド・ローレットへ依頼します。
●収容外注依頼
「やあ、こんなところまでよく来たね」
練達都内にあるハンバーガー店モッスキングド内にて、『黒猫の』ショウ(p3n000005)はササミバーガー片手にこちらへ手を振った。
「いい打ち合わせ場所がここくらいしかなくてね。あ、何注文する? 今日はおごりでいいよ」
メニューブックを差し出しつつ、ショウは一緒に依頼資料を差し出してきた。
「今回は練達にいる組織からの依頼だよ。といっても、ローレットから直接出してもいいくらい対応必須な案件なんだけどね」
ショウがここから説明したのは蒐囚壁財団やR財団にかかわる収容案件……とは、また、別の話だった。
「以前、スナッフメーカーに関わる事件をローレットが対応したことがあったよね。
同様に狂気的な事件が練達各所で発生していたけど、これらの中心には『レディオマン』イル・ゲルプという魔種の存在があったことがわかったんだ。
レディオマンの能力はラジオを介して狂気を伝播させるというもので、諸々の事件はそうしたことに起因していたんだね。
今回対応してもらうのは、レディオマンの影響を色濃く受けた殺人鬼による犯行の阻止。もとい再発防止ってことになるね」
そこで、今回取り寄せた蒐囚壁財団の資料が役立つのだ。
蒐囚壁財団とは練達に存在する異常存在の研究機関である。異常を研究し知識と技術によって人類にとって無害なものに変質させるというのが、彼らの行動理念だ。それが即時に行えない場合、異常存在の収容を行い市民から隔離するという行動原則をもつ。
「今回は彼らも『ローダー』及び『スナッフメーカー』の破壊処理を決定してる。
研究するには諸々を破壊してしまったほうがいいと判断したんだね。まあそんな事情だから現場と死体ないし残骸は後からやってくる研究員たちに引き渡すことになるけど、そこは俺たちのタッチするところじゃあない。依頼人の依頼どおり、敵を殲滅すればOKさ」
建物は自動車工場に偽装した大型ガレージ。
二階建相当の高さと20m×10mほどの広さがある。
二階部分はほぼ吹き抜けになっており、内周部分に網目状の金属板とパイプで組んだ足場が構築され、東西二カ所のタラップ(金属はしご)で一階部分とつながっている。
ガレージといっても車両出入り口は内側からロックされており、突入には脇のスチールドアかカーテンをかけられた一階もしくは二階の窓を用いることになるだろう。
全階突入した蒐囚壁財団機動部隊はスチールドアおよび一階窓からの突入と、外部からのレンジ4狙撃の連携によってスナッフメーカーを多数破壊したようだ。
現在は窓や扉が修復されており、建物外で大量に破壊したであろうスナッフメーカーも片付けられている。おそらく内部もある程度は片づいているだろう。
「残っているのは狂気に犯された殺人鬼の『ローダー』1名と『スナッフメーカー』30体だ。気をつけて行ってきてね。……あ、注文まだ?」
- <Irrmord>ミーム汚染、アデプト0021完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年12月26日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●集結する狂人たち
レディオマンの起こした練達での大騒動は地元自警団ならびに多くの人々が収集に当たっているはずだが、その集団のひとつに、ローレットはあった。
なんでも、これまで練達で様々な事件を起こした黒幕的存在が姿を現し、あちこちに散った手下たちを集めてもう一騒動起こそうというのだ。国家存亡の危機とはいかないまでも、放置すればとんでもない数の死者やそれに準ずる被害者が出るのは容易に想像がつく。魔種は基本的に、そういう存在だ。
サイレンを鳴らして通り過ぎる自動車を横目に、道路を徒歩で進む『黒曜魔弓の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)。
「こっちに回ってきた依頼内容はシンプルに殺人鬼狩りってところかしら? 実に分かりやすくて良いわね。
悪趣味なオブジェクトが邪魔になるみたいだけど……」
ほとんどが黒く塗りつぶされた分厚い資料をぱらぱらとやって、車道側を歩く『当たり前の善意を』ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181)へとパスする。
ローガンはそれを鞄に詰めると、ため息交じりに肩を落とした。
「そろそろケリをつけたいところであるが、さて。
まずは目の前の問題からであるな」
レディオマンが呼び出そうとしている手下の一人『ローダー』は異世界からやってきた成人男性で、いわく電子工学の博士号を持っているだとか極めて公共性の高いJABAが書けるだとかプロフィールに書いてあるが、どちらも外の世界のこと。
混沌世界において言えば、悪趣味なモンスターを町にまき散らしたイカれた殺人鬼にほかならない。
彼のような『一人軍団』の本隊合流はできれば避けたいところである。
「そんじゃ、サクッとやっちゃいましょー。ガレージに行くんだっけ?」
「そこの十字路を右である」
『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)は手書きされた地図を片手に、ローダーの隠れ家へと向かっていく。
近づけば近づくほど近代的(?)な町並みが荒れていき、薄暗い路地や怪しげに路上に座り込む人々が目につくようになってきた。
その『いかがわしさ』が理解できる夕子だけに、この先に目的の人物がいるであろう信憑性が高まっていく。
一方。行きがけに資料として渡されたスマートフォンタイプの動画再生端末からは悪趣味な映像が流されている。かなり編集を加えられたようで、黒いモザイク処理や音声カット部分が目立つが、何をしているかは容易に想像ができた。
「悪趣味な動画配信だな。まあ、昔っからそういう動画はあるにはあったが。
見るならもふもふ動画とかどうだ? 犬とかおすすめだぞ?」
『彼方の銀狼』天狼 カナタ(p3p007224)は戦い前のおやつにともってきた燻製肉をかじり、美味そうにもぐもぐとやった。
隣で、特製の携帯香炉を炊いて身体に香りをまとう『闇討人』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)。
「しかし、このような映像を見るだけで気を違えるとは一体何の妖術でござるか。何れにせよこのままにしておく道理はあるまい」
「いかにもー」
軽く口調を合わせながら、口に砂糖菓子を放り込む『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)。
映像はあえて見ないようにするつもりらしく、ずっと目をそらしている。
「ほんと、聞いた感じ趣味が悪いじゃ済まないよね。
こんなの残しといたら後で何が起きるの……あ、考えるのやめよ気持ち悪くなってきた。
……頑張らないとね。私たちで狂気を終わらせよっか!」
ね、と言って砂糖菓子の残りを口に含んで気を紛らわす。
ローダーという男の作成したこの異常な映像オブジェクトは出回っている分だけは回収や封殺が完了しているらしいが、モトを破壊せねば再発は防止できない。
今回の仕事はレディオマンの兵力増加防止とはまた別に、異常事態の被害拡大防止の意図があるのだ。
深く息を吸って、ゼファー(p3p007625)が胸を反らすように狭い空を見上げた。
「二度ならず三度までも。ほんっとロクでもない事件を引き起こしてくれるもんねぇ」
「仏の顔も三度まで、というが。このスナッフメーカーに三度目を許すつもりはない」
一方で、身体を前にかがめるようにして表情を暗く鋭いものに変えていく『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)。
「いい加減、色々とうんざりしてることですし。
おじさんぶっ殺して終わりにしたいところですわ?」
「無論。滅殺する」
二人の脚が、ぱたりと止まる。
並んで見上げるは、古びたガレージ。
もとが何の施設だったのかわからないくらいペイントの剥げ落ちたその建物に、イレギュラーズたちはゆっくりと歩み寄った。
●アデプト0021
ノートパソコンのキーを高速で叩くアメリカ人男性がひとり。
体格は痩せ型の小柄。金髪で青い目をしているが、髪はだらしなく長くのび、ほこりや油で汚れた分厚いレンズのめがねが怪しくブラックカラーの画面を反射している。
彼の周囲には壁のように積み上がったブラウン管テレビ。
否。起動前のスナッフメーカーたちが積み上がり、その更に周囲には破壊されたスナッフメーカーと数体の死体が混ざり合うように転がっている。
「クソッ、クソッ、あのクソッタレども俺のベイビーをメチャクチャにしやがった!
起動にどれだけ手間がかかると思っていやがるクソクソクソッ!」
歯を食いしばって高速打鍵する彼こそ、スナッフメーカーの生みの親でありアデプト0021の根本的発生源、電脳魔術師ローダーである。
「もうすぐだ、もうすぐ新しいベイビーたちが起動するぞホラホラもうすぐだもうすぐ今度はファッキン機動部隊どもに潰されない丈夫なベイビーが――」
タンッ、とエンターキーを叩いたその瞬間。
まるで同期したかのようにスチールドアが内向けにはじけ飛んだ。
「お邪魔するである!」
あえてお行儀よく述べ、しかし強引にドアをショルダータックルで破壊しながら突入したローガン。
警戒態勢にあったスナッフメーカーが即座に彼を敵と認識し回転ノコギリを振り込んでくるが、ローガンは自慢の頑丈さと鋼の腕を生かしてノコギリをキャッチ、残虐なフィルムを再生しようとする画面をもう一方の腕でなぐりつけて破壊した。
砕け散るガラス製のディスプレイカバー。はじける火花とへこむプラスチックボディ。
「クソッ財団の連中かクソクソ! あともうちょっとだ時間を稼げベイビー!」
画面をにらんで叫ぶローダーのかわりに、周囲のスナッフメーカーたちは電熱ブレードやサブマシンガンを掴んで反転。
「――今である!」
「応ッ!」
武器を構えたスナッフメーカーたちの間に吹き抜けていく暴風。
否、猛烈な回転をかけ爪の斬撃を繰り出しながら突き進むカナタである。
カナタはサブマシンガンを乱射するスナッフメーカーに急接近すると、ローキックでテレビボディを柱まで蹴り飛ばした。
「財団とやらは知らないが、アンタにとって都合の悪い奴だというのは確かだな」
牙を見せて笑うカナタに、ローダーがさらなる攻撃命令を出そうとした。その瞬間のこと。
ガレージ左右。カーテンをかけていたガラス窓が突き破られ、同時に汰磨羈たちが突入をしかけてきた。
「貴様等のような輩相手に、三度目を許すつもりは無い。――疾く、悉く滅せよ!」
身体を小さく丸めて窓ガラスを突き破った汰磨羈は両手両足を広げ霊力噴射をかけることで回転を強制停止。地面に拳と片膝で着地をかけたことで波紋のような衝撃を引き起こした。
不意をつかれる形になったスナッフメーカーがはねるように吹き飛び、その一体にゼファーの槍が突き刺さる。
投擲によって刺さった槍を回収すべく、割れた窓から飛び込んでくるゼファー。
電熱ブレードによる咄嗟に反撃をスライディングでかわし、突き立った槍を引き抜くと、急速ターンによってスナッフメーカーのボディをおおきく槍でへこませた。
火花のちる様に目を細め、そして反対側の窓へと振り返る。
そちらでは鋭いきりもみキック姿勢によって窓ガラスをかち割った咲耶と夕子が全く同時に着地&スラッシュ。
夕子が二本指でつかんだハート型のオーラカッターがスナッフメーカーの腕を切り落とし、咲耶がカードのように掴んだ影のカッターが画面を切り裂いていく。
「はーい、あーし登場! サクッと登場、サクッと退治していきましょう!」
「しかしガラクタ共とは言え、纏めてこられるのは些か骨が折れるでござるな」
二人は立ち上がると、それぞれのもつ忍法の構えをとった。
咲耶の足下から影のクナイが大量に飛び上がり、砲撃のようにスナッフメーカーたちへと浴びせられる。
衝撃によって吹き飛ばされたスナッフメーカーへ、夕子はハート型のクナイを連続投擲。
ガトリングガンでも浴びせられたかのように、スナッフメーカーのボディがたちまち粉々になっていく。
「クソッ、なんだよ! 二人だけじゃ――」
「六人だけでも、ないよ」
隣の建物から狙いをつけていたフィーゼが、『魔弓・黒翼月姫』につがえた闇色の矢を放つ。
夕子たちを物陰から奇襲しようと飛び出したスナッフメーカーのボディを、矢が的確に貫いた。
射撃後すぐに助走をつけてジャンプ。
天空から斜めに降下をかけてきたティスルと手をつなぐと、二階の窓をかちわって突入。
フィーゼを二階足場に落とすと、ティスルは単身ローダーへと直行。
邪魔しようとしたスナッフメーカーが飛び上がり、サブマシンガンを二丁まとめて乱射してくる。
が、ティスルは翼をたたんできりもみ回転。
翼にまとった光の力を開口ドリルのごとく螺旋展開すると、弾をはじきながらスナッフメーカーを貫いていった。
そのまま着地と同時に周囲のスナッフメーカーを吹き飛ばす。
ダン、とエンターキーを叩くローダー。
「間に合った、間に合った!」
椅子を蹴って立ち上がり、ローダーは電脳窓を展開していく。
「貴様ら、もう、遊びは終わりだ!」
「……遊びのつもり、無いんだけどな」
頬にかかる髪をはらって、ティスルはローダーを振り返る。
●サイバーマジック
電脳魔術による無線接続が完了。スナッフメーカーの画面へ一斉に表示され、青いスクリーンに荒いドットを意識したフォントのCyberMagicのコードが高速で流れていく。
無機質なスマイルマークが大きく表示されたと同時に、スナッフメーカーたちが一斉に浮遊。グレネードランチャーやガトリングガン、電脳魔術加工がなされたビームソードなどを装備し襲いかかる。
が、ローガンが繰り出されるビームソードを腕で防御し、相手につかみかかることで割り込んだ。
「この連中はまかせるである!」
相手をつかんだ状態で強烈な膝蹴りを打ち込むローガン。
彼の左右や頭上を追い抜く形でティスルや汰磨羈が駆け抜けていき、それを追いかけようと反転したスナッフメーカーに大量に分身した夕子がまとわりついた。
「やーん、テレビちゃん。あんたの相手はあーし☆ よそ見しちゃやーよ?」
わざとしなを作ってみせる分身夕子に機関銃や掘削ドリルをたたき込むスナッフメーカーたち。しかし夕子の分身はぱちんとシャボン玉のようにはじけるだけで手応えがない。
「アメリケーンサイバー。きっとあいつの主食はコーラーとハンバーガーね」
スナッフメーカーたちの中心。倒れて火花を散らすスナッフメーカーの残骸に腰掛け、夕子はスマホをいじりながら棒付きキャンディをなめた。
電脳パネルを踏み台にして跳躍し、夕子の頭上をとったローダー。
腕にまとった螺旋状のコードを破壊のエネルギーに変えて打ち込もう……とした、その瞬間。
壁を蹴った三角飛びによって咲耶の蹴りがローダーを横からかっさらっていった。
「ちゃちな動画をばら撒いて上機嫌な姿はまるで子供の如し。全くいい年になって恥ずかしくないのでござるか?」
「黙れ! クソクソクソ!」
咲耶からかおる不思議な香りに首を振り、ローダーは電脳弾を乱射。
対する咲耶は素早く印を結ぶとその場で複数の分身を作ってローダーを攪乱していく。
ノートパソコンをかかと落としによって粉砕し、モニター部分をサッカーボールのごとくシュートする汰磨羈。
ローダーは素早く反応して電脳障壁を展開。触れたモニターがバウンドしてはねかえっていく。
が、そうして生み出した障壁の下部50センチをスライディングで抜けていく汰磨羈。
「大した改造だな。人をやめた気にでもなったか?」
引き戻そうと両サイドから飛びかかるスナッフメーカーの腕を、カナタが掴んでさらっていく。
「機械じゃ喰えないし、狂った殺人鬼とか喰ったらコッチが狂犬病にかかりそうだな。やっぱモッスキングドでのバーガーがいいな。ダブルチーズもふバーガーとか」
などとあえて軽口を述べると、スナッフメーカーを床にたたきつけてたかく咆哮をあげた。
周囲のスナッフメーカーのスマイルイラストに激しいノイズが走り、真っ赤なモニターにアラートメッセージが大量に表示されていく。
猛攻にさらされながら、汰磨羈に『こちらは任せろ』のサインを送るカナタ。
汰磨羈は薄く笑うと、乾坤八卦陣を展開。猛烈な連続攻撃を至近距離のローダーめがけて打ち込んでいく。
電脳障壁をカットし小さな障壁を無数に作ってガードをはかるローダーだが、その内の一発が障壁を抜けてローダーの腹に突き刺さる。
「隙が出てきた! 数の有利を活かすとき!」
ティスルが翼を広げて急加速。
ローダーをすれ違いざまに斬り付け、急速ターンをかけて更に斬撃。さらなるターンで再攻撃。
連続攻撃は単に攻撃が上乗せされるというだけでなく、『数の有利をX人分増やす』という実際的な効果をもつ。
高い回避能力をもつ敵に対するメタの一つだ。
「もう一発!」
ローダーの『アデプト0021』データが混入したミーム汚染攻撃が電脳剣によって打ち込まれるが、カウンターに放ったティスルの斬撃がローダーの腕を切り裂いていく。
くるくると回転して着地。ネックレスからミーム抗体を走らせるティスル。
二階足場から魔槍を呼び出すフィーゼ。
弓につがえて発射するが、間に割り込んだスナッフメーカーが妨害――しそうになったところでゼファーが助走をつけ槍のしなりを利用してジャンプ。
「そろそろこいつらの顔も見飽きたんですけどぉ!」
高所のスナッフメーカーをオーバーヘッドキックでたたき落とすと、ローダーへの射線を開いた。
直撃寸前で障壁を発動させてガードするローダー……だが。
駆けつけようとするスナッフメーカーをゼファーが槍を水平に構えつつ割り込んで妨害した。
「さぁて、まだまだ私は元気よ! 此処まで来たからには、お互いにイイトコまで行こうじゃないの。ブリキの玩具さん達?」
そちらに一瞬だけ気をとられたローダー。その隙に大きくジャンプしたフィーゼが至近距離まで接近もう一つ生成させた大槍を弓につがえ、至近距離から打ち込んだ。
障壁が破壊され、ローダーをのけぞった胸から床にかけて貫いていく槍。
宙返りをかけてがつんとスチール製の足場に着地するフィーゼ。
打ち抜かれたローダーは目の色をうしない、もはや魔術を使う様子すらなかった。
ローダー、およびスナッフメーカーの破壊。そして異常オブジェクトであるアデプト0021元データの回収に成功したイレギュラーズたち。
しかし最大の元凶であるレディオマンの討伐はまだ先だ。
走れ。狂気の音を止めるために。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
GMコメント
注文をしたら、早速相談にかかりましょう。
定めるべきは戦闘時の役割と、突入手段です。
■成功条件:ローダー及びスナッフメーカーの全滅
物理的な破壊および殺害が推奨されています。
■エネミーデータ
・ローダー(1名)
ウォーカー種の男性。アメリカニュージャージー州出身の成人男性で、体長172センチ推定年齢37才。
電脳魔術(サイバーマジック)を習得しており、回避と特殊抵抗(それ用いたスキル攻撃威力)に優れます。またクリティカル値やEXA値の高さも注意が必要です。
スキル攻撃には【弱点】【狂気】がついています。できればBS回復や抵抗を備えてください。
また、人体に特殊な改造が施されており通常の人間をやや超えた戦闘力を有します。
・スナッフメーカー(30体ほど)
1~2mほど浮遊したブラウン管テレビにフレキシブルホースめいた腕と手がついたモンスター。
過去、これらが人間を殺害しグロテスクなオブジェにして飾り付ける事件が発生しました。
今回の個体は戦闘に特化した改造がなされており、画面にずっと砂嵐ノイズや奇妙な映像が流れるほか、サブマシンガンやヒートブレードなどちゃんとした兵器で武装しています。
【出血】、【火炎】、【毒】、【麻痺】といったBSつき攻撃を行う個体も混在します。
個体戦闘力は高くないにしても誰かが引きつけていないとローダーとの戦闘に支障をきたすおそれあり。
■推奨作戦手順
●作戦前半
まずガレージに突入を行い、警戒中のスナッフメーカーと交戦。できるだけ多くのスナッフメーカーを破壊する。
このとき味方の保護以外の目的で引きつけを必要としない。
●作戦後半
残るスナッフメーカーを味方の一部が引きつけて戦闘。
確実に引きつける手段(およびステータス値)がない場合は反復や工夫、人員の追加によって対応しましょう。
その間にローダーとの戦闘に突入。
ローダーは2~3人であたる必要があるでしょう。安全に戦いたい場合4人は必要です。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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