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シナリオ詳細

騎士の約束

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●愛しい人との約束
 ある所に、一人の騎士様がいました。
 騎士様はとても優しくて、困っている人がいるとちょっとしたことでも手を差し出します。
 ある日騎士様は、重たい荷物に苦労しているシスターにに出会いました。
 シスターはとても心が優しくて、みんなから好かれていました。
 騎士様は当然のようにシスターの荷物を教会まで運びました。
 教会に着くまでの間、騎士様とシスターは他愛もない話をしていました。
 教会に着くと、騎士様はシスターに言いました。
「困ったことがあったらまた私を頼って欲しい」
 騎士様は心優しいシスターに心惹かれていたのです。
「有難うございます騎士様。何かあれば、その時はお願いします」
 シスターも優しい騎士様に心惹かれていて、二人は一緒に過ごすようになりました。

 いくつか季節が廻った後、騎士様は危険な魔物を退治しに行くことになりました。
「必ず帰って来る。だから、待っていてくれるかい?」
「勿論です。騎士様のご無事を祈りながらお待ちしております」
 涙を浮かべるシスターの手に、騎士様は指輪を乗せました。
「私が帰ってきたら、君の指に嵌めさせて欲しい」
 その言葉にシスターは心配ではなく、驚きと喜びで涙を零します。
「それから、教会の子供たちに剣技を見せる約束もあるんだ」
 普段は危ないから教会では抜かないけど、根負けして一回だけ特別に。
「あの子達ったら……」
 涙を浮かべたままシスターが笑うと、騎士様は必ず帰って来ると約束しました。
 次の日からシスターは騎士様の無事を祈りながら待ち続けています。
 危険な魔物が倒されたと知らせがあったのは、騎士様が旅立って半月以上たってからでした。


 騎士様ことキースが帰って来たのは、12月に入ってからの事だった。
「アティ……」
 死を覚悟することもあったが、誰よりも大切なシスター、アティーシャの笑顔を胸に、最後まで戦いぬいた。代わりに彼は二度と騎士として戦うことは出来なくなった。
「戦えぬ騎士でも、良いだろうか……?」
 日常生活に支障はない。だけど魔物との戦いで負った傷が原因で、キースはもう二度と騎士として剣を握ることが出来なくなっていた。
 戦えない騎士になってしまったけど、アティーシャが受け入れてくれるなら彼女との約束を果たしたかった。かつてのように動けないけど、子供たちを喜ばせたかった。
 様々な思いを胸に、ぎこちない足取りでキースは教会へと向かった。


●約束を果たす手伝い
「剣が得意な人に手伝ってほしいことがあるの。出来れば、剣舞とかできる人」
 怪我を負って戦えなくなった騎士の手伝いをしてほしいのだという。
「怪我を負う前に、彼は教会の子供たちに剣技を見せると約束していたの」
 だけど足が思うように動かない今、とてもじゃないけど子供たちとも約束を守れそうにない。
「子供たちが喜ぶようなことをしてあげて欲しいんだけど、その中に剣を使ったことを入れて欲しいの。多分、剣舞が一番喜ばれると思う」
 彼をフォローしながらなので大変だと思うけど、彼と子供たちの約束を守ってあげて欲しい。
「それから、シスターのアティーシャと二人っきりの時間を作ってあげて? 彼、帰ってきたらプロポーズするって約束してたみたい」
 その間、子供たちを見守って楽しませて欲しいと言う。
「歌でも、絵本でも、なんなら舞台の真似事でも良いの。彼の、騎士として最後の約束を果たさせてあげたいの」

NMコメント

 騎士様がシスターと子供たちと交わした約束、果たすお手伝いをしてくれませんか?

●目的
・騎士様と剣舞を行う
 騎士様は怪我で思うように動けないので、それを考慮した上で剣舞を行ってください。
 とはいえとっさの判断には優れているので、何かあってもうまく返してくれます。
 騎士様の体力の問題上、一人か、多くて二人までしか行えません。

・子供たちの面倒を見る
 騎士様がシスターとの約束を果たす間、子供たちの面倒を見てください。
 20分ぐらいで帰って来ると思うので、そこまでこったことは必要ありません。
 一緒に歌を歌ったり、絵本を読むと良いかもしれません。

●登場人物
・騎士様
 名前はキース。
 真面目で優しい元騎士。魔物退治の際に足を怪我して引退することになった。
 だけど引退前に、最後にアティーシャや子供たちとの約束を果たそうとしている。

・シスター
 名前はアティーシャ。
 心優しくて穏やかなシスター。
 キースとは少しずつ想いを育み、キースが帰ってきたらプロポーズされる予定。

・子供たち
 教会で預かっている孤児たち。
 アティーシャに懐き、キースにも懐いている。
 好奇心旺盛で年長の男の子たちは騎士に憧れている。

●その他
 どこか切ないOPとなっておりますが、明るく楽しく時に格好良い内容になっております。
 え、キースとアティーシャの約束? 皆さんが子供たちの面倒を見ている間にちゃんと果たしますのでご安心を。

 それでは、皆さんの参加お待ちしております。

  • 騎士の約束完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月16日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ

●騎士として、剣を振るう
「今日は有難う。君たちのおかげで彼女たちとの約束が守れそうだ」
 まだ包帯に巻かれた足を引きずりながらキースが微笑む。
「いえ。同じ騎士として、キースさんの手伝いが出来たことを光栄に思います」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)がそっと手を貸すのを見て、もふん。と身を寄せたのは『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)。
「なーぅ(足が痛いなら寄りかかってください)」
「おや、良いのかい? 有難う」
「にゃふ!(キースさんは小さいですし、背中に乗っても良いですよ!)」
「ん?」
 思わず首を傾げるキースだが、陰陽丸は小さく首を傾げて尻尾を振っている。だって陰陽丸はとっても大きいけど、本人的には普通サイズのつもりだから。
 巨人が暮らす世界から来た陰陽丸にとって、キースは小さくて軽いのだ。
 恐る恐る陰陽丸に乗るキースが落ちないように、陰陽丸を挟んでリゲルと逆を歩く秋月 誠吾(p3p007127)は今回の依頼について考える。
(約束を果たす手伝い……か。ローレットとやらには色々な仕事が舞い込むもんなんだな。そのお陰で、戦うことができない俺みたいなやつでも何とか食っていけてるんだが)
 イレギュラーズとは言え戦うことが苦手な人、戦えない人も少なくない。そんな人でも出来る依頼があるのは誠吾としては有難かった。それに。
「約束を果たす手伝いで皆が幸せになれるなら良いことだよな」
 今回はみんなが幸せになるための約束。その手伝いを出来るのは誠吾としては良い気分だった。

 孤児院に着くなりキースと陰陽丸に子供たちが集まった。
「でっかいにゃんこ!」
「キース怪我大丈夫?」
「ぼくものりたい!!」
 各々が言いたいことを言うので収拾がつかない。しかも数人既に陰陽丸によじ登ろうとしている。
「こら。お客様の前よ」
 子供たちの頭を軽く叩くと、アティーシャが前に出てくる。
「今日は子供たちの為に有難うございます」
「いえ。子供たちに喜んで貰えるように頑張ります」
 笑顔で返すとリゲルはキースを見る。キースはアティーシャをじっと見ていた。
「アティーシャ……」
「お帰りなさい。ちゃんと帰って来てくれて、約束守ってくれて有難う」
 アティーシャもキースを見てにっこりと笑う。だけど微かに震えている声が、潤んだ瞳が泣くのを堪えているのを物語っている。
「あぁ、一つ目の約束はちゃんと守れた。残りの約束も守らせてほしい」
「残りの約束って……」
 プロポーズの約束を想い、アティーシャの耳が赤くなる。
「その前に、子供たちとの約束を守らせてくれ。大丈夫。彼らが手を貸してくれるから」
 アティーシャが止める前に、キースがリゲルたちを紹介する。
「大丈夫よ。キースに剣が当たらないようにしてあげるから」
 『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)がくるりと舞うと、それに合わせてふわりと光が零れる。
「あら、みんな掛かったわね。丁度良いから自分で試してみなさい」
「え? なんだか体が軽いわ」
 驚いたように体を動かすアティーシャ。キースも先ほどより動きやすいことに驚いている。
「剣舞の前にもう一回かけてあげる。それで子供たちに格好良い騎士様の姿、見せてあげなさい」
 ふふんと笑うメリーの言葉に、キースとリゲルの剣舞の準備が整った。


 向かい合うキースとリゲル。
 つい先ほどまで和やかな雰囲気で子供達へ挨拶していたのに、その後向かい合ってそれぞれの型で剣を構えた瞬間、空気が変わった。
 空気が研ぎ澄まされ、お互いに踏み込む隙を見計らう。動かない二人を見て子供たちが騒ぎ始めたと同時にリゲルが動いた。
 踏み込んだ勢いのままに剣を振るう。だけど始めは小さく軽く、剣先でリズムを刻むよう。キースの動きを見ながら徐々に振り幅を大きくしていく。そして動きも斬り、払い、突きと複雑になって行く。
(足を怪我してなおこの動き。怪我をしていなければもっと素晴らしかったのか……。後に残る怪我をしたのが本当に惜しい)
 同じ騎士として、感動すると同時に怪我を惜しんでしまう。だけどキースは笑っていた。
 怪我を負い、守れなくなったと諦めていた子供たちとの約束。落胆する子供たちの顔を見るのが怖かったけど今、子供たちは二人の剣舞を見て目を輝かせている。
 キースに無理のないようにゆっくりとした動きだが、剣舞を始めて見る子供たちには二人の動きがわかり、格好良く見える早さだったようだ。
「有難うリゲル。君のお陰で子供たちとの約束を守れた」
 剣舞の合間、小さく言葉を交わす。
「いいえ。まだこれからです」
 キースの足に負担をかけないように、リゲルがキースの周囲をゆっくりと回る形で剣を振るう。動きに合わせてマントが大きく舞い、その華やかな立ち回りに子供達が歓声を上げた。
 キースも足に負担を掛けないように重心を動かし、リゲルの剣を受ける。
 時に流れるように優雅に、時に爆ぜるように激しく二人に剣がぶつかり合う。
 幾度か打ち合った後、ぶつかった箇所が光り始める。それは徐々に大きくなり、勇ましさの中に幻想的な美しさを醸し出す。
 子供たちだけでなく、見守っている全員感嘆のため息しか出ない。
「キースさん」
 小さく名を呼んで、クライマックスを告げる。
 ここまでキースはリゲルの剣を受ける一方だった。クライマックスは、キースに思い切り打ち込んでほしい。誇り高き勇ましい騎士としての姿を見せて欲しいと、リゲルの目が語る。それを見てキースは笑った。
 今まではリゲルがリードしてキースの格好良い姿を子供たちに見せてくれた。ならば最後ぐらいは彼の思いに応えたい。そしてアティーシャにも騎士としての姿を見て欲しくて、キースはぐっと足に力を込めた。
 深く鋭い、全身全霊の力を込めた一撃。対するリゲルは防御の構えを取る。
 その鬼気迫る一撃に、子供たちが息を吞む。
「……お見事です」
「君の剣も見事だ」
 ぶつかり合い、防ぎ合った体勢のまま互いにふっと笑う。
「有難う。君のお陰で子供たちに騎士らしい姿を見せることが出来た」
 にこやかに笑うキースと握手をすると、子供たちには騎士らしい礼をする。
「凄い格好良いね!」
「キースマジカッコよかった! やべぇ!」
 子供達は思い思いの感想を言いながら拍手をする。
 どうやら、子供たちとの約束は守れたようだ。

●子守の時間
 剣舞の後は、暫く子供たちの遊び相手。
「俺は誠吾っていうんだ。今日はお前さんたちと遊びに来たんだ。一日よろしくな」
 しゃがんで子供たちと目線を合わせて話しかけると、男の子たちが誠吾の周りに集まって来る。
「兄ちゃん何して遊ぶんだ?」
「普段みんなは何して遊んでるんだ?」
「遊び時間は騎士ごっことかボール遊び!」
「騎士ごっこか……。凄かったか?」
 試合はあれど戦いはない世界から来た誠吾は、未だに武器を手に戦うことが、生きているものを殺すことが出来ない。
(どうして、皆は戦えるんだろう……?)
 ぼんやりと考えていると、一人の子供がボールを持ってきた。
「兄ちゃん何できる?」
 ニッと笑う子供を見て、誠吾も小さく笑う。
「サッカーなら出来るぞ」
「じゃぁサッカーだ!」
 元気に走り出し子供を追いかけ、誠吾も子供たちに混ざった。

 女の子や、小さな子供の前で絵本を読んでいるのはメリーだ。
 教会にある絵本は読み飽きているかも知れないと、わざわざ市販の絵本を持ってきたのだ。だけど全部読むと飽きるかもしれないから、面白そうな所を抜粋して、アドリブを加えて盛り上げていく。
「何ということでしょう。現れたのは魔法使いだったのです。魔法使いが杖を振ると、たちまちカボチャが馬車に変わりました」
 それは義理の家族に虐げらていた女の子が、魔法使いに助けられて王子様と出会い、恋に落ちる物語。
 初めて聞く話に子供たちはドキドキハラハラ。やけに魔法使いが活躍するのは、メリー自身が魔法使いとして生まれ育ったからだろうか。
「『有難う魔法使い様』
 彼女はこの幸せな結婚が魔法使いのおかげだと、王子様と一緒に感謝して幸せに暮らしました。魔法万歳!」
 読み聞かせが終わると、子供達はもたれかかっていた陰陽丸を見る。
「ドキドキしたね!」
「にゃぅん。みゃーぉ(そうですね。でも女の子が幸せになれて良かったです)」
 誠吾のサッカーやメリーの絵本に入れない子がいないかと心配していた陰陽丸だが、初めての絵本ともっふもふな陰陽丸に惹かれて、サッカーに参加していない子供は全員揃っている。
「にゃぅ(皆一緒に楽しく過ごせて良かったです)」
 うんうんと頷く陰陽丸によじ登ろうとする子がいれば、尻尾でそっと支えながら登るのを手伝う。
 陰陽丸にとって子供が数人乗るぐらい朝飯前。じっとしていられなくなった子供を背中に乗せて、部屋の中をのんびり歩き始めた。
 メリーは絵本ではなく手品をしている。どうやら、魔法使いが登場しない絵本が混じっていたので気分転換のようだ。
 ハンカチの下からファミリアーの白いハトが飛び出せば、練達上位式で自律して動く操り人形になる。そして箒に乗って空を飛べば子供たちは大きな歓声を上げた。


「今日は本当に有難う御座いました。子供たちも大喜びです」
 ぺこりと頭を下げるアティーシャ。その左薬指には指輪が嵌められている。
「私からも礼を言わせて欲しい。本当に有難う」
 幸せそうに微笑む二人に、無事最後の約束が果たされたのだと分かる。
「みゃーん!(素敵な人に出会えてよかったですね! どうかいつまでもお幸せに!)」
 陰陽丸は二人の周囲をぐるぐる回って喜びを伝える。
「あら良かったじゃない。おめでとう」
「約束果たせたみたいで良かった。幸せにな」
「お二人とも、お幸せに!」
 二人の幸せを願う言葉。その言葉にキースとアティーシャは笑顔で頷いた。

成否

成功

状態異常

なし

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