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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>魔の海域の中心にある島

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 海洋王国の国力は貧弱この上ない。
 諸島部に存在するこの国は長い歴史の中で常に外圧に悩まされており、抜群の航海技術・海軍力で独立を保ってはきたものの、王国民、為政者は現状に常に不満を抱えて過ごしてきた。
 そんな彼等が誇りでもある海軍力をもって、遥かな外洋の先にある新天地(ネオフロンティア)を求めるのはある種の必然だったと言える。
 かくて繰り返されてきた海洋王国の大号令は、外洋征服という大事業の始まりを示す合図である。
 実に22年ぶりの発動となった女王イザベラの命を受け、王国は沸き立ち、熱をもって動き出す。
 過去、幾度跳ね返されたか知らない大号令だが、未だ国民は誰一人諦めてはいない。
 海の民の矜持の如く、冒険心という剣を振るい、現状に決して甘んじぬという決意をもって。
 それに何せ今回は――不可能を可能にする援軍……ローレットだっているのだから。


 現状、海洋での依頼が出回るローレット。
 そこから派遣されて来たイレギュラーズ達は、港町で待ち合わせをしていた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)と落ち合う。
「皆さま、お疲れ様です」
 今回の依頼はどうやら、王国から直接出されたもの。
 それだけに皆、依頼にかける意欲は高い。

 すでに、依頼書である程度の内容を確認しているイレギュラーズ達だが、確認も兼ねてアクアベルが説明を行う。
 海洋の沖には、魔の海域と呼ばれる地帯がある。
 この海域に近づく船は、なぜか強い海流によって島の北の入り江へと誘い込まれてしまうのだという。
「入り江に漂着してからなら、一応外には出られるようですが……」
 島からの脱出ルートが確立されるまでは、多数の船が脱出できず、この島で生涯を過ごした者もいるという。
 そうした犠牲者の骨が島のあちらこちらに転がっている状況は、なんとも生々しい。
 また、この海域に近づくだけで乗組員も不調を訴えるようで、とてもではないが航海にならないという。
 しかも、沖に出るに当たって、魔の海域は迂回するには非常に邪魔な位置にある。
 王国がこの魔の海域攻略に着手するのは当然と言えた。
「島に関しては資料をご覧いただきたいですが、島の森や頭頂部に取り巻く紫色の靄が気になるところです」
 頭頂部に行くほど、それは濃くなっている。
 その正体がこの魔の海域を生み出していると王国すら信じて疑わない。

 船は小型船が用意されるが、先程の話の状況もあり、乗組員は参加しない。イレギュラーズのみで島に向かうこととなる。
 脱出ルートは資料にある為、問題なく島からは出ることが可能だ。
 以上です、と話を区切り、アクアベルは最後にこうイレギュラーズ達へと告げる。
「外洋への航海の為、是非ともこの魔の海域の攻略を」
 よろしくお願いしますと、彼女は頭を下げ、説明を終えたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 海洋の沖にある魔の海域。
 誰も近寄る者のいないこの海域の調査を願います。

●重要な備考
 <青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

●目的
 海域中央にある島の調査。
 今回は調査パートの前編です。後編を運営予定ですので、予めご了承くださいませ。
(続編は参加人数を増やして対応させていただきます)

●状況
 海洋沖、船の舵が効かなくなり、中央にある島へと誘い込まれるという魔の海域があります。
 力のない漁師、航海士は海域に引き込まれるのを嫌い、近づくことすらしません。
 島の大きさは丸一日歩いて一周できる程度。
 小舟を借りて、北側の入り江から上陸、東西は崖となっていて上陸は不可能です。南も砂浜になっていますが、浅瀬になっており、船で近づけません。
 島の中央に向けて小高い丘となっており、ドーナツ状に深い森が広がっていて入る者を惑わせます。
 上空から確認したところでは、森を抜けると島の中央、頭頂部はのっぺりとした草原地帯となっております。
 島の頂上にあるものが魔の海域を発生させているのではと噂されています。

 リプレイは島上陸からスタートします。
 ある程度、調査が終わった段階で、一度情報を持ち帰っていただきますよう願います。
 島からの脱出ルートはすでに知らされておりますので、問題なく脱出可能です。

●敵
 不明です。
 ただ、島の頭頂部や森には紫色の靄のようなものが確認されており、襲撃してくる可能性が極めて高い相手です。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <青海のバッカニア>魔の海域の中心にある島完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月17日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
黒翼の裁定者
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
アト・サイン(p3p001394)
観光客
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ


 海洋の沖。
 とある島へと引き込まれるように海流が起こっている、魔の海域。
 そこへと、ローレット所属のイレギュラーズを乗せた船が差し掛かると、海流に乗ってその中央にある島へと船が引きこまれていく。
 北の入り江へと誘い込まれて動きを止めた船から、メンバー達は次々に下船する。
「冒険、冒険、楽しみですね! ワクワクしますよ!」
 長身だが、ごく普通の女の子といった『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371) は、キャンプにやってきたかのように保存食、防寒具、野営具などを真っ白な毛並みの馬「ラニオン」に乗せ、真っ先に問題の島へと降り立つ。
「魔の海域とは、心が踊るね。何が待ち受けているか今から楽しみだ」
 機械の四肢を持つ『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は未知の海域に、島に目を輝かせる。
「面白え、俺達でこの島の化けの皮を剥いでやろうぜ」
 白スーツでやってきた『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)だが、その内なる野生を垣間見せていた。
 ただ、この状況に、慎重な態度を見せる者も少なくない。
「王国直々の依頼となれば、身を入れぬ訳には行くまいよ」
 背に黒い翼を持つ長い青髪の青年『麗しの君』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)は海洋名門貴族出身として、依頼解決の為に参加している。
「魔の海域……何時ぞやの大渦みたいな……不気味さがあった」
 国直接の依頼だ。兄の紹介状もあってソルベ派から便宜を図ってもらい、レイヴンは現地調査用の物資……テント、水、食料といったものを支給してもらう。
「船の上でってのは、性に合わないと思っていたんだ。だから、こういうのは観光客の出番ってね」
 船上での戦いに抵抗を抱く『観光客』アト・サイン(p3p001394)。
 彼もまた馬を連れてきており、数日分の食糧とテントセットを積み、希望する他メンバーの荷物も請け負っていた。
「何かがある……若しくは居る、のは確かなようですね」
 元居た世界で妖を相手にしてきた『水天』水瀬 冬佳(p3p006383)も、何かを感じ取っていたようだ。
 現状、海に生きる者達が脱出路を発見したことで、緊急の危険さはなくなってはいる。ただ、いつまでも放置できぬ場所として、大号令時に取り掛かるのは当然の場所と冬佳も納得していた。
「詳細不明、苦手な言葉です」
 人魚の姿をした長く青いストレートヘアの『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)が本当は引き受けたくないと本音を語るが、これも大号令の最中だからこそ。
「その大号令の為にも、成すべき仕事には違いないですね」
 釣り竿を手に、フロウはギフト『三度の食事』も使って、船で釣った数匹の鮮魚をバケツに入れ、歩いてくる。
「果たして、何が出てくるのやら」
 犬の獣種を思わせる旅人の女性『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)も、未踏の魔の地域調査に、追加報酬を求めたくなると本音を漏らすのである。


 今回は他の海洋依頼で予定が詰まっているメンバーも少なくないし、食料には限りがある。
 そこで、一行は2泊3日で予定を汲み、それまでに成果を上げられるようにと集中して探索を行うことにしていた。

 ジェイクは改めて北の入り江を見回して。
「出発地点だし、調べておこう」
 冬佳がギフト『水天』で各自持つ水筒の水を補給する仲間達と共に北の入り江を歩き始める。
 船が流れ着く場所とあって、あちらこちらに壊れた帆船、小型船。そこには白骨化した死体も見かけられる。
「襲われている跡は全くないよね」
 その全てを確認したゼフィラ。多少風化してはいたが、衣服に獣などから襲われた跡はなかった。
「死因は餓死でしょうか」
 気分が悪くなって動けなくなり、飢えてしまったといったところかと、冬佳は推察していた。
「何が残っていればいいけれど……」
 ゼフィラは遺品を探る。すでに脱出経路が確立されているからか、貴重品が根こそぎなくなっているのがなんとも悲しい。
 そんな中、彼女はボロボロになった手記らしきメモ帳を発見し、回収していた。
「レイヴン、ちょっといいかな」
 アトも遺留品を確認しつつ、レイヴンに入り江から少し離れた外洋へと飛んでもらう。
 外洋へと木板を浮かべてから、海流の流れを見る。
 少しずつ流れていく板を追いつつ、レイヴンは島の外観を眺めていく。
 見た目はほぼ円形のこの島。中央部だけがせり上がったようなこの島は、南から風が吹いている。
 島の中央には円形に繁る森があり、その中央部から紫色の靄が森を包み込むように発生しているように見える。
「王国も気にしているという靄。何よりこれの調査ですね」
 ウィズィが改めてその存在を意識して告げるが、そちらの調査は後に回して。
 ハイセンスを活かしてレイヴンが追う木板は程なく、北の入り江へと漂着する。
「海流に何かありそうだけれど……」
 アトは海水で濡れた木板を拾い上げるが、最初に拾ったときと大きな違いは感じない。
 冬佳も島に入る前から、海流には興味を示していたようで。
「神秘的な力が働いているのは間違いないかと」
 どうやらこの地域の海流へと何某かの力が作用している、そんな推測を冬佳は立てていた。


 その後、ベースキャンプづくり。短期間でも、休める場所を作っておくのは重要だ。
「敵の襲撃もなさそうだ。この辺りでいいだろう」
 仲間に呼びかけるアトは積み荷からテントを取り出して、砂浜から地面が土になった部分へとペグを打ち込む。
 その間、フロウは後の保存食を作るべく、起こした火で鮮魚を焼いていく。
 起こす煙は島中央から僅かに流れてくる靄と合わさっていたが、襲撃してくる魔物の影はない。
 だが、異様な空気が放たれる森には、皆強く警戒していたようだ。
「南の浜ってどうなっているのかな」
 キャンプ設営を終えたゼフィラはそう考え、鶫、ジェイクと共にファミリアーを使って確認することに。
 五感共有の間は、フロウがその肉体の守りの為にマジックガードを展開して護衛し、周囲の警戒に当たっていた。
 ゼフィラは使役した海鳥に靄を避けさせ、島を回り込むように南の浜に向かわせる。
 南の浜は砂浜になっているが、海岸は浅瀬となっていて船が近づけない状況だった。海流が及ばぬ場所から飛行すれば、上陸できるかもしれない。
 ただ、こちら側から風が吹いていることもあって靄の影響は小さく、北ではほとんど見られなかった海鳥や貝、蟹など野生生物が僅かだが見られたのが印象的だった。
「そういえば、島の北側に動物いないな」
 海鳥を使役する鶫は高空から、ジェイクは南側上空から探索を続け、俯瞰的に森を観測する。
 先程の遺体に動物などから襲われた跡がないことと無関係ではないだろう。
 
「靄は、森から中央に向けて濃くなっていますね」
 鶫は森の木々の間を確認し、水場や洞窟を発見していたが、やはり頭頂部の異変が顕著だ。
「島中央に行くにつれて、植物が枯れている……?」
 そして、その中央には白い石像のようなものが建てられている。
「靄、石像……平穏な南の浜……」
 ウィズィは少しずつ、仲間達から聞いた調査報告をノートにチェックリストとして記し、状況を整理していた。
 ともあれ、この石像が大きなカギを握っているのは間違いなさそうである。

 その後、ファミリアーを使う3人は南の浜を集中的に見て回ったが、何もない穏やかな浜であることを確認してからファミリアーを戻らせていた。
 また、東西の崖は移動するには厳しい。
 実際に冬佳や鶫は目視で確認にも向かい、フックつきロープなど道具を使えば何とかといったところ。
 スムーズに南の浜に向かうなら、森を通る必要がありそうだ。

 その後、メンバー達が島の外周を確認する間に、日が暮れて。
「さすがに、暗くなってから何が起きるか分からない森に入るのは、避けたいところですね……」
 冬佳の主張に同意したメンバー達はベースキャンプに戻り、調査した情報を交換することにした。


 森の探索は2日目に回し、その日は北の入り江でキャンプ。
「なぜかかなり疲れた気もするな」
 今日は探索オンリーであったはずが、ジェイクが言うように皆が疲労を訴えていた。
「それなんですが、北側はほとんど生き物が確認できないのです」
 フロウがそれに合わせて主観を語る。
 気分が悪くなった船員や、白骨死体などを見るからに、生命力を奪われる地帯を野生動物も察し、近づいてこないだった。
 持ち込んだ携帯食だけでなく、冬佳のギフトによる水、フロウの魚を口にしながら、アトもそういえばと自らの連れた老馬に視線を向けて。
「馬が弱ってきている感じがある」
「ラニオンもちょっと心配です」
 ウィズィも同意し、ラニオンも自らの愛馬を気遣っていた。
「島の南には、動物がいたのにね」
 鶫は森を含め、島の北側を中心に生物がいる痕跡をほとんど確認できないと言う。
 また、温度視覚でほとんど反応がなかった点も合わせ、頭頂部にあった石像について語る。
「石柱を思わせるけれど、彫りが浅くて雑な感じの像だったわね」
 それを中心に紫色の靄が展開しているとのこと。ウィズィもノートを見ながら追加状況があれば書き足していく。
「全ては靄とその石像の影響とみていいでしょうね」
 神秘的な存在であるのが現状の冬佳の認識で、ゼフィラもそれに同意する。
「うん、靄に殺されるってメモが残っているよ」
 ゼフィラが出したそのメモ帳は読めない部分も多かったが、後になるにつれて文章量が減り、文字に……筆圧に力がなくなっていた。
「ええと、つまり、石像さんが生き物の生命力を奪う為に、船を誘い込んでいる……ということでしょうか?」
 ノートとにらめっこしていたウィズィがそんな推論を語る。
 辻褄は合う。あとは実際に島の頭頂部を目指して確認するのみだ。
 その後、ジェイクが4人2組で編成し、前後半で就寝時の見張りを行うことになる。
 前半は、ジェイク、レイヴン、 アト、フロウ。
 後半は、鶫、冬佳 、ゼフィラ、ウィズィ。
 皆、神経を尖らせて森を注視していたのだが、その夜は何事もなく更けていった。

 翌朝、一通り睡眠をとった一行だが、あまりけだるさが取れなかったようで。
 抵抗力の高いイレギュラーズ達はさほどでもないが、船乗り達の気分が悪くなっている原因。
 じわりじわりと、靄や石像が自分達の体力を奪おうとしている影響だろうとほぼ断定していたようだった。


 ここからが本番。
「さて、ワクワクは胸に秘めて、真面目に行きましょうか!」
 ある程度原因を特定した状況もあり、ウィズィが仲間達へと促す。
 多少の疲れはあるが、未知の森を歩く好奇心は大きかったようである。
 森に突入する直前、ゼフィラは使役していた鳥を靄の中へと突入させた。
 毒を含む感はない。靄を吸い込んでも、すぐ命に影響するわけではないようだったが……。
「体力の減り方が外とは桁違いだね」
 徐々に体力が減っていくのを見て、ゼフィラは鳥の命を案じて森の外へと退かせていた。

 携帯食料、飲料水を所持し、森へと踏み入っていくイレギュラーズ達。
 少しずつ、紫色の靄が濃くなるのを感じながらメンバー達は歩いていく。
 北側は空気の流れが弱いのか、靄が停滞している感もあって。
「南から回り込めれば、良かったんだがな」
 レイヴンが昨日の状況もあって仲間達にそう提案したが、さすがに崖を渡るのに時間がかかるし、何より馬2頭がどれだけ持つかが心配だ。
 結局は、森の水場と洞窟、そして頭頂部を確認してから入り江に戻り、そのままこの日のうちに帰ることにした一行である。
「やはり、動物がいる痕跡がないね」
 鶫に応じたアトが木の幹に手を当ててから、地面の雑草を見回す。
「だが、草木はこんなにも生い茂っている。妙だと思わないかい?」
 アトがそんな指摘と共に、仲間達へと問いかけた。
 動物達が靄の影響で衰弱し、倒れたのはわかるが、草木にはこの靄の効力は及ばないのだろうか。
「いずれにせよ、こんな森に長居は無用だな」
「さすがに、キャンプは不可能だね」
 ジェイクの言葉を受け、途中の洞窟や水場を見回していたアトは戦略眼も使い、靄の影響が色濃い森でセカンドキャンプ設営を断念していた。

 標高が高くなるにつれ、植物も弱り、枯れていく。
「ファミリアーが使えればよかったのだけれど……」
 周囲の状況を確認しつつ、鶫が呟く。
 ここまでくると不気味さが増し、靄もかなり濃くなっていた。
「あれかな、石像ってのは」
 ゼフィラがギフト「観測眼」で頭頂部にある怪しげな白い石像を見つめる。
 高さは2m、幅は6~70cmくらいで、平均的な人間種よりも大きいくらいだろう。
「石像……人為的なものでしょうか?」
 環境を一変させるような靄を発する石像と周囲の状況を正確にメモしていく。
「何か来るよ」
「伏せろ」
 レイヴンが注意を促し、ジェイクが仲間達へと呼び掛けると、その直後、その石像から2本のレーザーが放たれるた。
 前線で防御態勢を取り続けるフロウがマジックガードで仲間を庇い、そのレーザーを受け止める。
 直後、両眼を赤く光らせた石像の回りの靄が凝縮され、煙の塊となった中央に人の顔のような形が浮き上がった。
「ガスの生命体……?」
 ウィズィが首を傾げる。見れば周囲にも、数体同じような魔物が現れていた。
「ガスクラウドかな。直接、僕達の体力を奪いに来たのかもしれないね」
 自らのモンスター知識から敵を判別し、天賦の才を見せつけるようと能力を高めるアトは真っ先に敵へと飛び込み、片手剣を手に切りかかる。
 しかし、その手にはまるで手応えがない。
 敵はメンバー達を包み込むように近づき、直接体に触れて体力を奪い取ろうとしてきた。
「衝撃、呪視、霊子ビーム。どれもダメだとお手上げですが……さて」
 見たところ、核らしきものは感じられない。
 嫌な臭いを感じて手早く身構えていた鶫は眼力を持って相手を見据え、『金之弓箭』から衝撃弾を飛ばす。
 同じく、勝利のルーンで神々の加護を得たウィズィも淡い光を纏った武器を投げ飛ばす。
 しかしながら、いずれの攻撃も体をすり抜け、効果があるようには感じられない。
 向かい来る敵の攻撃を防ぐフロウは、前方にいる靄の魔物目がけて連なる雷撃を発していく。
 穿たれた敵が表情を歪ませたのを、皆見逃さない。
「神秘攻撃は効果がありそうです」
 そこで、物理攻撃スキルのみ所有するメンバーは、通常攻撃に切り替え、神秘攻撃のみ持つメンバーが主力となって攻撃に当たる。
 陣を展開して包み込む氷刃で不浄を祓い切り刻む白鷺結界を展開した冬佳は、敵に取り付かれそうになっていた仲間に清浄なる神水を触媒とし、雪のような白い花や水の華による癒しを振りまく。
 距離を取るジェイクが凶銃「餓狼」で神秘攻撃を仕掛ける。
「ここは退くべきだろうな」
 湧きだすガスクラウドの数が分からないこと、満足にスキルでダメージが与えられぬ状況もあり、ジェイクは獣の嗅覚で危険と判断していた。
 レイヴンは翼を羽ばたかせ、靄を吹き飛ばすことができたが、塊となった煙の敵は飛んでいく様子がない。
 そこで、彼も魔砲を発して敵を消し飛ばす。
 ゼフィラが手に輝く闇の月で煙複数を照らし出して怯ませると、皆、この場からの離脱に転じて。
「退路を断たれる前に撤退を」
「ガスクラウドだけなら倒せそうですが、態勢を立て直すべきです」
 鶫、ウィズィが続けて仲間に撤退を促す。
 フロウは「銀のスタータクト」を媒体として生み出した炎の魔力剣を振るい、1体を仕留めてしまって。
「こちらが倒されてしまっては調査どころか、行軍や撤収もままなりませんからね」
 殿をフロウが請け負う中、冬佳も奥の石像の行動パターンを見つつ、改めて白鷺結界で広範囲の敵を攻撃して。
「最低限の目的は達しました。無理せず撤退しましょう」
「あちらの目的が分かれば良かったんですが……」
 冬佳に続くウィズィもやむなく、この場から背を向ける。
「ここは退こう!」
 ゼフィラは敵に取り付かれて異常を訴える仲間に大号令をかけると、調子を戻したレイヴンと共にこの場から離脱する。
 仲間全員が森へと入ったのを見てフロウも最後に身を引き、森へと退避していった。
 その場から動けぬ石像はしばらく、両眼に赤い光が輝き続けていた。

 ベースキャンプまで戻った一行は手早く後片付けを行い、日が沈みかける前に出航する。
 アトやウィズィが自分の馬を気遣う中、船が少しずつ靄から離れると、メンバー達は少しずつ調子を取り戻しながらも港へと戻っていくのだった。

成否

成功

MVP

水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは総合的に、最も情報を多く引き出した方とさせていただきました。
続編の想定はございますが、海洋王国事業貢献値関連のカウントには間に合わない見通しです。ご了承ください。
よろしければ、お付き合いくださいませ。

今回はご参加、ありがとうございました!

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