PandoraPartyProject

シナリオ詳細

何でも巷では私を描いた些か不適切な図書が存在しているとか何とかまさか貴方達はそんなもの持ってはいないと思いますけれど、時に今日の用件は分かっておりますわよね?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

「ハイ。モヤシマス」

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 面白い事は大好きなので流行に乗るというか作ろうと思いました。
 以下詳細。

●依頼達成条件
・ヤミール・ドージンスキー子爵の秘密工場を壊滅する

●ヤミール・ドージンスキー子爵
 幻想の貴族。薄い本をこよなく愛する紳士(多分)。
 謎の政治力と行動力を発揮して秘密工場を指揮、神絵師と結託して幻想の新たな産業として薄い本ビジネスの展開を画策、手始めとばかりに一番厄いご禁制のブツ(リーゼロッテ)に手を出し、無事露見。薔薇十字機関に追いかけ回されていますが捕まったという報告はありません。
「おこしたお嬢様の顔が見たかった」等と供述しているので多分そういう人です。
※参考:https://rev1.reversion.jp/guild/1/shop

●秘密工場
 ドージンスキー子爵の生産拠点。
 クライアントの要求は『完膚なきまでに破壊しろ』です。
 プレイヤーの皆さんはありとあらゆる破壊のパッションをプレイングに詰め込んで兎に角全力で破壊して下さい。兵隊や印刷職人の方々も居ますが、悪依頼とはいえ面白時空なので致命的に重篤な死者等は出ません。
 全てひっくるめて『秘密工場』というステータスに格納されます。
 どういう事かというと『秘密工場』は極めて高いHPとそれなりの抵抗、防技判定を持つオブジェクトであり、官憲がやって来てトンズラを余儀なくされる間に、皆さんは兎に角これのHPを可能な限り叩きのめさないといけないという事です。
 戦闘ではないですが面白おかしく破壊に全力を傾けて下さい。
 尚、内容柄戦闘でPCが負傷する可能性はほぼありませんが、破壊が甘い場合、何故か翌日冷たくなって発見される可能性があります。
 予めご了承下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

 10文字のオープニングである。
 以上、宜しければご参加下さいませませ。

  • 何でも巷では私を描いた些か不適切な図書が存在しているとか何とかまさか貴方達はそんなもの持ってはいないと思いますけれど、時に今日の用件は分かっておりますわよね?完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月16日 19時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
人類最古の兵器
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
星に願いを
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
赤羽・大地(p3p004151)
双色クリムゾン
ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181)
当たり前の善意を
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
六枚羽の騎士

リプレイ

●燃やせば宜しい。解決です
 ローレットに舞い込む依頼は千差万別。
 探偵業をして迷い犬の捜索から浮気調査までと言ったりするが、それ以上。
 その内容は真っ当なものからそうでもないものまで様々だ。
 混沌において最強の『何でも屋』として認識されている彼等は――イレギュラーズ達は、今日。

 ――何でも巷では私を描いた些か不適切な図書が存在しているとか何とかまさか貴方達はそんなもの持ってはいないと思いますけれど、時に今日の用件は分かっておりますわよね?

「ハイ。モヤシマス」。暗殺令嬢(クライアント)の剣幕に、咄嗟にそうとしか答えられなかった『当たり前の善意を』ローガン・ジョージ・アリス(p3p005181)の言の通り『とある子爵の保有する秘密工場を完膚なきまでに灰にする』という些か不穏当なる仕事を請け負う事となっていた。
 私有地への侵入、放火に破壊。
 汚れ仕事も請け負うローレットだからして然程珍しい話ではないのだが、それは一般的に歴とした犯罪であり悪と謗られる行為であろう。
 但し……
「最近流行の同人誌の発行元だとか! なるほど、子爵……なんて禁忌に触れてしまったんだ……」
「おお、もう」と天を仰ぐ『誰かの為の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)、
「貴族の、ことリーゼロッテ嬢のような人物の怒りを買うと恐ろしい事になるか。秘密工場の人間ニ、それを思い知らせてやるのもそうだガ……俺達モ、深く肝に命じておかねぇとナ。
 因みにもちろん、うちの図書館にはそういう如何わしい本は無いぞ。
 歴史書、学術書、純文学とその他諸々が揃った、良い子や勤勉な人々のための清く正しい図書館だからな……本当だゾ? 本当に!」
「うう……聞いた話じゃ一人で千冊買うて行った人もおったらしいけど。
 カルネくんなんちゅうモン仕入れてますの。い、いや俺は知らんですけどね、そんな不謹慎な本が売られてたとか、あまつさえ親愛なるアーベントロード嬢の覚えめでたいローレットで開始十分で数十冊売れてたとかそないなことさっぱり初耳ですわー」
『ホンノムシ』赤羽・大地(p3p004151)、『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361)の言も然り。要するに今回の件はイレギュラーズの中でも「どっちもどっち」「仕方ないよなあ」という諦めのムードすら漂っていた。
「前にもこんなことあったよね?
 もしかしてリーゼロッテのファンってミンナしてこんな感じなのかな?」
「なんか最近なんだ……薄い本? が流行ってるらしいのは知ってたけど……
 よりによってあのお嬢をお題にするとはなあ……
 確かに美人なのは認めるんだけど、そりゃあ大層な美人だけど。
 ほら、触れちゃならない部分ってあるって言うかさあ……ねぇ?」
『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が漏らした「前にもこんなこと」にいよいよ歯切れ悪く『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が曖昧な笑みを見せていた。それは過去に彼自身が遭遇した『イヴェント』が為であろうか。
 ウィリアムの言う通り、有体に言ってしまえば事件の発端はヤミール・ドージンスキー子爵の手によりかのお嬢様の不適切図書が作成された事に起因する。それは高い気位をお持ちの高貴なる暗殺美少女が己をモチーフに肌色を連発して、あまつさえノリノリで上に乗っかるような御本を見ればどういう反応をするか等火を見るよりも明らかだったと、そりゃブーケの応答も「イエスユアグレイス、破壊シマス」で間違いない。
「とにかく、おっかねー……である。
 ただまあ、与り知らぬ所で勝手に自分の本が出ていたというのは、気の毒なのは確かである。
 旅人だった孤児院の先生の言葉を借りれば……肖像権の侵害は断固抗議する! であるな!」
「ああ、リーゼロッテ様は確かに魅力的だ。怒った表情は特にカリスマをも伴う。
 だが薄い本とは、読み手の欲求を大いに満たすものである反面、時にモデルの尊厳を侵害する。
 訴えられたら社会的経済的に死ぬ。いやこの場合はそれ以上にも直結しかねない。
 俺はその恐ろしさを知っている。だから彼等の命を守るべく印刷所を壊さなければならない!」
 ローガンの言葉に『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)が力強く宣言した。
 この理想的天義騎士(レオパル調べ2019)の言葉に嘘は無い。実直にして誠実、勤勉にして不器用――丁度彼が尊敬し、目指す聖騎士『達』と同じように一切の嘘は無いのだ。但し、一切の嘘は無くクソ真面目だから真面目に同人誌も語るし、たまに跳ねればパンツも落とす。硬軟自在、要約すればこんなクソシナリオでも真っ当に笑いに取る辺り『そういう男』である。
「まあ俺の手元にも五冊、例の本があるわけだが!
 騎士の名に懸けて本文は1Pたりとも見てはいない。接着剤で全て閉じてある!」
 ほーらな。
 閑話休題。
「まぁ、仕方ないよな。ミー達は何時もクライアントが最優先な訳だしな!」
 見事過ぎるシャドーボクシングで腕を鳴らすのは言わずと知れた『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)である。
「翌朝冷見されるのも勘弁だし……
 全身全霊を懸けて破壊とか恐怖とか混乱とかを撒き散らすのも乙なもんだぜ。
 あとどうせ付くなら銀髪の美少女の方がいいかなって」
 破壊とか力試しとか――そういう観点から見れば貴道にとっては決して苦手な仕事ではない。
 請けると決めた以上、パーティに求められるのは徹底した攻撃力なのだから、彼は異様に頼もしい。
 パーティは「じゃ、工場燃やしちゃいますか」ってな風に重い腰をゆっくり上げた。
 これは与太話。間違いのない与太話……
「……え、例の本? い、いや、そりゃ興味無いって言ったらウソになるけど。
 も、持ってない。持ってないから……まともな本なら堂々と買うけど! さ!」
 ウィリアムが不自然に焦ってパーティは皆で遠い目をした。
 悟りを開いている訳ではあるまいし、十九歳の青年に枯れろというのは余りに酷だ。
 因果は巡り、破壊を望む。これもう仕方ない事なんじゃないかな? かな?

●同人誌(なまもの)死すべし、慈悲は無い
「気持ちはわかるよ、うん、はっきりとわかる。
 僕も友人の金髪幻想種美女がすりすりしてる本を手に取った時はどきどきした。
 同人誌には人を勇気付ける力があるね。
 今はまだ効かないけど、その内、魔種(ガン)にも効くようになると思う!」
「何を言ってるか分からないが侵入者だー!?」
「とにかく、この工場は本日をもって閉鎖だ!
 よからぬものを生産しているとのこと――
 正義の名にかけてこのカイト・C・ロストレインが断罪す!」
「アンタも良からぬ感じだろ!?」
「失敬な! ちょっとリースリットに興奮したりしただけだ!」
 かくて始まった工場襲撃。
 高らかなカイトの名乗り上げと共に秘密工場に踏み込んだイレギュラーズは一心不乱の破壊作戦を開始していた。
 ヤミール子爵の生産拠点は巧妙に隠されており、巨大な工場には多くの私兵や職人が存在していた。見るからに壊し甲斐がありそうな高価な機械。逆を言えばそれは骨が折れるという事で。
「特に恨みとか無いんだが、これも仕事だ。
 権力者の美少女に媚びを売る……それもいいじゃねぇか!
 キルゼムオール! アーンド……デストローイ、HAHAHAHAHA!!!」
 怪獣(たかみち)とかが水を得た魚のように暴れ始めている。
「ミーの報酬とか命とか何とかのために、ことごとく散れえええええええ!!!」
「とにかく痕跡も残さぬ、徹底的な破壊がオーダーやからね。
 サーッと入ってガッと行ってグワーッってしたら最後ボボボて壊すんよ。
 厄いもんに手ぇ出したツケって言うか……まぁ、そうならん方がおかしいみたいな。
 要はつまり――『堪忍』な」
『鬼』の形相に隆々たる肉体。貴道がハンマーの如きパンチの暴風を見舞えば、一方で飄々とした調子のブーケは赤と黒を次々と紡ぎ出す。
「確実に全部ぶっ壊さないと生命のキキを感じるからね! 悪いけれどぶっ壊すね!」
「卑怯だぞ、ローレット!」
 幾分か申し訳なさそうな顔をしたイグナートにここぞとモブが噛み付いた。
「強すぎるんだよ! こんなクソ依頼に!」
「この世の中にはソンザイしちゃいけないものってあるからね!」
「あー!?」
 現地調達(しゅうだつ)した燃料を床にぶちまけたイグナートに職員が悲鳴を上げた。
(原版が残るとベツの工場で新しく印刷されちゃうからね……)
「デハワタシハコノヘンデ……」
 今日は冴えているイグナートが「ちょっと」と呼び止め、何やら逃走を企てる職員の一人を捕まえた。
「あー、無駄な抵抗はやめて……出来れば手伝ってくれると嬉しい、みたいな。
 その、そう。あのな。マジであの、『こう』だから」
「そう……こうなりたくなかったら……後は分かってるよなお前ラ……???」
 チェインライトニングを広域に振り回すウィリアムと大地が相変わらず最悪の歯切れで呟いた。
 二人の近くに現れた『ドリームシアターのお嬢様』はそれぞれが受けた畏怖のイメージまでも加算して、

 ――何でも巷では私を描いた些か不適切な図書が存在しているとか何とかまさか貴方達はそんなもの持ってはいないと思いますけれど、時に今日の用件は分かっておりますわよね?

「あんさつれいじょ――」
「やばい。絶対殺される!!!」
 本物比云割増しの恐怖をばら撒いている。まさにバレたら怒られる『合作の同人誌』である。
「「……あ゛」」
「いや、まぁ、サ。個人的な恨みは無いが、クライアントがクライアントだ、捨て置けない事態だし、何よりも俺も自分の首が惜しい。分かるだロ? 今見たから分かっただロ?
 手は抜かない、というか抜けない。あのお嬢様がブチキレたらどうなるカ、想像するだけで恐ろしイ……というカ、あの顔はキレてタ。もうやべーくれぇにキレてたしサ……
 実際、失敗したら矛先がこっちに来るに決まってるじゃン。同人誌作ってないのニ!」
 理不尽だ。理不尽だろ。理不尽に決まってる――
 大地の台詞が余りに正論で説得力があり過ぎた。
 さりとて、だからといって「はい、そうですか」と焼かれる訳にも処される訳にもいかないのが混沌で生きる木端達の事情である。のっけから数十秒でがっつんがっつん破壊され、恐慌状態に陥った自陣をヤミールの私兵達が鼓舞せんと奮闘していた。涙ぐましく。
「貴様等! ここを守らねば、今日を乗り越えねば!
 Vol2.『あらあら、うふふ。お仕置きですわよ?』の発刊は無いのだぞ!
 最早、入稿は目と鼻の先なのだ! 我々はお嬢様のお姿を網膜に焼き付ける必要がある!」
「……は! そうだった! シマダ・カヅヨシ先生の新刊が! 俺達の肩に掛かってる!」※かかってない
「シナリオが失敗したらワンチャン、アイコン増えるかも知れないじゃないか!」※ふえない
 ……余り涙ぐましくなかった。
「なーにが『おこした顔が見たかった』であるか!
 自分の欲の為に推しに迷惑をかけるなどクラスタの恥!
 完膚なきまでに灰に帰さねばならんのである!!
 こういう輩を野放しにすれば、無辜の同人作家達まで白眼視!
 カヅヨシ先生もそんな事は望んでいないのである!
 そんな事はさせん、断じてさせないのであーる!」
 俄かに勢いを取り戻した工場側が繰り出す抵抗に思わず正論を口走るローガン。
 成る程、同人誌というものはあくまで権利元の理解と愛情があって成り立つものである。
 人を傷付ける同人誌何て、同人誌の風上にも置けないではないか!
 まぁ、わざわざ用意したの俺なので、俺は喜んでるし権利元はねこたん的にはALLOKなのだが!
「台無しにしないで欲しいのである!」
 ……重要なのは先生には何の罪も無いという事だ。
 来る日も来る日も何故かうず高く同人誌を積み上げられた先生は何も悪くない!
 はあはあぜえぜえと主張し過ぎて疲れたナレーションの一方で、破壊活動(うたげ)はまさにたけなわとなっていた。
「お嬢様はおこである! すっごーくおこであるよー!!」
 台詞で示威を加えつつ、ローガンは轟々雷々――爆音の火薬をぶっ放した。
「よっ、と――!」
 降魔烈火拳――全身の気を爆発させるイグナートの豪拳が工場の柱を揺るがした。
 日頃フラストレーションの溜まる事も多いイレギュラーズである。
 彼等ならずとも『オーダー、ただただぶっ壊せ』は男の子であろうと女の子であろうとある種魅惑の響きを帯びるものだ。貴道ではないがサンドバックを殴るのはストレス解消にもってこい。
 グダグダのメタクソ、徹頭徹尾適当なリプレイに多くを求めてはいけない。
 唯、そこから先は混乱と恐慌だけが広がっていた。
「これは新刊というものではないか!? いけないな。断罪!」
「あああああああ!」
 カイトが魔砲を駆使し、印刷物をちぎってはなげる。
「同人誌はよく萌えそう、いや、よく燃えそうなので……む、これはBaby Blood!?」
「今、一冊パチった。パチったよ、この天義!」
「気のせい! 君は! 何も! 見ていない!」
(……何か絵とか肌色とか見えても気にしない。俺は気にしないぞ……!)
 見ないから、見ないからと。散らばった新刊の肌色から目を背け頭をぶんぶんと振るのはウィリアムだ。十九歳の純情は、当然的を見ないであてずっぽうに破壊を撒き散らしているから破壊と混沌を撒き散らしている。
「有機生命体からしか不調が引き出せないと思うなよ、伊達に秘技じゃあ無いんだよHAHAHA!!!」
「ああ!? 紙が詰まった!?」
 貴道の拳が何故か印刷機を不調に叩き込み、
「警備も職人も機械も建物も全部ひっくるめての破壊対象やからね。
 お仕置きや。設備だけ壊して終わりやない。人もしっかりどついたらんと!」
 ブーケのステップが逃げ惑うモブ達を追いかける。
 阿鼻叫喚の地獄と化した工場にお嬢様の幻視が微笑む。

 ――いいです。その調子です。ですが、皆さん?
   全然足りないです。もっとやれ。

「イエスユアグレイス!」
「まだ隠してるものがあったカ!?」
 ブーケは自発的に仕事の強度を強め、リーディングで職人の思考を掠め取った大地は更なる破壊に勤しむ。
「こんな事はもう……辞めるんだ!」
「お、お前は……天義の騎士リゲル・アークライト!」
 さっきの不正義とは違うリゲルは苦しい表情で、しかし、しっかりと。傷付いた一人の男に手を差し伸べた。
「こんな事はいけない。だからこれを――見て欲しい」
「お、おお……」
 彼が持参した自作同人誌『リーゼロッテ様の一日』は令嬢が薔薇や猫と戯れるハートフルほのぼの漫画だ。日々忙しいリゲルが丹念に夜なべして作り上げた一冊だった。嫁に早く寝ないとだぞ、とか言われながら馬鹿正直にこんなものを作ってくる辺り、やはり彼は天義(げいにん)だった。
 あっちでは破壊、こっちでは説得。
 私利私欲を満たすものあり、突き動かされる者あり。
「ミーも正直嫌いじゃないし、表現の自由の国からの使者的に思う所はあるけど。
 まあ運が悪かったな、バッドラック!!!」
 イグナートの放った火と貴道のパンチがいよいよ工場を崩壊させていく。
 収拾がつかないのは見ての通りとっくの昔に明らかだった。

●リズの同人誌とか俺が欲しいんスけどね
 ――そして、巨悪は潰えた。
 ヤミール・ドージンスキー子爵の秘密工場はイレギュラーズにより灰と化し。
 首元が涼しい子爵は「じゃ、コミケ行ってくるわ」等とのたまい一旦国外逃亡。
 パーティはニコニコ顔で自身等を出迎えるリーゼロッテの御前へ報告へ赴く事となっていた。
「今回は良くやってくれました」
 おぜうさまはといえば依頼前のあの表情も嘘のように穏やかだ。
 白磁のティーカップで優雅に紅茶を飲む姿はまさに立てば青薔薇、座れば青薔薇、歩く姿は暗殺令嬢――まったくもって普段の彼女と相違ない。
「いや、まぁいいって事よ!」
 リクエストのラーメンを御馳走になりつつ貴道はカラカラ笑う。
 一先ず翌朝冷見を回避した。きっと回避されたのだろうと――パーティは安堵の色を取り戻す。
 彼女が……
「時に私、皆さんの中に不適切図書を持っている上――
 私の本を書いた人間がいると聞いたのですけれども」
 ……静かに、そう言うまでは。
「!」
「!?」
 嗚呼、必死に戦った報いがこれか!
 顔に出たのは天義の二人。片や現地収奪が、片や夜なべが仇になる。
「……ろ」
「はい?」
「跳ねろ、と言ったのですわ」
 嗚呼、それは何時か見た光景に違いなく――
「ああ……あーあ……」
 両手で顔を覆ったウィリアムが本日幾度目か「おお、もう……」な顔をした。
 明日は我が身、そう。あの時ふと、ほんの一瞬だけ――『持ち帰る』事を考えなかったと言えば嘘になる。
(顧客名簿、燃やしといて本当に良かったかも――)
 芋づる式にローレットのイレギュラーズが処される光景を幻視したイグナートは頭を振る。
 ローレット壊滅の危機を救えたのは最高の仕事ではないか。間違いない、完璧だった。
 自分に言い聞かせたイグナートは男二人がぴょんぴょん跳ねる『ハートフルな光景』に胸を撫で下ろすばかりだった。←MVP

成否

成功

MVP

イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌

状態異常

リゲル=アークライト(p3p000442) [重傷]
白獅子剛剣
カイト・C・ロストレイン(p3p007200) [重傷]
六枚羽の騎士

あとがき

 YAMIDEITEIっす。

 かくてイグナート君によりローレット壊滅の危機は救われた!
 戦争にはギリギリ重傷回復間に合うね。やったね、イレギュラーズちゃん。

 シナリオ、お疲れ様でした。

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