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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>再来、豪快に笑って奪う海賊達

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 海洋王国の国力は貧弱この上ない。
 諸島部に存在するこの国は長い歴史の中で常に外圧に悩まされており、抜群の航海技術・海軍力で独立を保ってはきたものの、王国民、為政者は現状に常に不満を抱えて過ごしてきた。
 そんな彼等が誇りでもある海軍力をもって、遥かな外洋の先にある新天地(ネオフロンティア)を求めるのはある種の必然だったと言える。
 かくて繰り返されてきた海洋王国の大号令は、外洋征服という大事業の始まりを示す合図である。
 実に22年ぶりの発動となった女王イザベラの命を受け、王国は沸き立ち、熱をもって動き出す。
 過去、幾度跳ね返されたか知らない大号令だが、未だ国民は誰一人諦めてはいない。
 海の民の矜持の如く、冒険心という剣を振るい、現状に決して甘んじぬという決意をもって。
 それに何せ今回は――不可能を可能にする援軍……ローレットだっているのだから。


 海洋のとある港町へと呼ばれたイレギュラーズ達。
 そこにはすでに、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)の姿があって。
「皆様、お疲れ様です」
 昨今の海洋の情勢もあり、海洋の事件だけをこなしているメンバーも多い中、アクアベルが依頼したのは……。
「とある海賊団の討伐をお願いしたいのです」
 その海賊団の名は、ガハハ海賊団。
 ヒゲ面の大男パーヴォを団長とする10人程度の小規模の海賊団だ。
 昨年、この海賊団の討伐依頼があり、その時はローレットが討伐して拘束したのだが……。
「どうやら、再び海賊業に手を染めてしまったようですね」
 一度覚えてしまった稼業を忘れることができないといったところだろうか。
 パーヴォを含め、その力は以前よりも強力になっているようなので、油断せぬよう相手にしたい。

 アクアベルの未来視ではすでに、ローレットが遭遇したタイミングでは、彼らはどこかの貨物船を襲って積荷を奪った後らしい。
 その為、彼らを倒して積荷を再び確保する必要があるのだが……。
「ただ、積荷の中に、火薬が含まれていることが分かっています」
 貨物船では管理していたのだが、この海賊団が奪い取るタイミングで適当に自分達の船に積載したせいで、どこに何があるのかわからない状態になってしまったのだ。
「火気厳禁といきたいところですが、生憎パーヴォは炎の技を使います。積荷に引火しないよう極力注意したいところです」
 また、船の大きさと、敵の人数からこちらが乗ることができるのは4人程度と思われる。
 敵を船の外へとおびき寄せれば、もっと乗ることのできる人数は増えるだろうが、全員が乗ると転覆する危険もあるので注意したい。
 積荷を海に落とすと、とりわけ火薬などは使い物にならなくなる。積荷の扱いは細心の注意を払いたい。
 海賊船を襲撃するに当たっては、こちらも10名程度乗ることができる小型船を借りることが可能だ。
 相手の船と接舷することで戦場を広げることもできる。
 また、別に自前の小型船を使ったり、飛行、水中活動のスキルがあれば、戦略の幅が広がるので率先して使っていきたい。

「……とまあ、こんなところでしょうか」
 端的に言うと、依頼の目的は積荷の奪還。海賊団の討伐。
 積荷の奪還に当たっては、海賊船ごと港まで運ぶか、逆に港から応戦の船を呼ぶといい。
 積荷を奪われた貨物船はすでに別の仕事に動いている為、こちらには来られないそうだ。
「少しばかり配慮が必要な部分がありますが、基本的には海賊討伐の依頼です」
 どうぞよろしくお願いしますと、アクアベルはイレギュラーズ達に依頼の解決を願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 大笑いする海賊団が再度活動しているようですので、の討伐を願います。

●重要な備考
 <青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

●目的
 ガハハ海賊団の討伐。

●敵……ガハハ海賊団
 海賊団一味。全員が人間種(カオスシード)です。
 拙作『豪快に笑って奪う海賊達』で一度交戦済みの連中です。

○団長……パーヴォ
 常に笑いを浮かべるヒゲ面の大男です。
 大きな斧とマグナム銃を使います。
 すでに1度、ローレットに捕まったことがありますが、
 懲りずに海洋の海をいく船を襲い、財産や食料を奪っているようです。

 以下のスキルを使用します。
 前回の1件から少し強化しています。

・爆砕斬……(A)物近範・業炎
・連弾……(A)神遠貫・連・出血
・爆砕烈破……(A)神中単・溜1・反動・致命
・大爆笑……(A)神域・HP回復・BS回復70%)
・笑いは力となる……(P)団員の全能力+

○団員……10人。
 いずれも20代男性、人相の悪い海賊達です。
 個々の力は冒険者の皆様と同等かそれ以下。
 いずれも銃を手にしており、
 サーベル、ナイフなどの近距離武器と使い分けてきます。

●状況
 場所は海洋近海。
 すでに、相手はどこかの船の積荷を奪い取っています。
 ただ、どこかに火薬の入った積荷があり、
 これが爆発しないよう配慮する必要があります。
 (外見では匂いがしないように隠されています。また、火薬の入った積荷は1つとは限りません)

 相手の船は20人ほど乗ることができますが、船倉から甲板まで積荷を積載しており、最初の段階ではせいぜい乗れても4人程度です(積荷や敵を船から落とすなどすれば、人数は増えます)。
 海上で迎え撃つことも可能ですが、別の小型船の用意や飛行、水中行動などのスキルの用意などあるとより楽に戦うことができます。

 海賊団討伐後は、積荷を港へと戻していただければと思います。
 海賊団に関してはお好きにどうぞ。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <青海のバッカニア>再来、豪快に笑って奪う海賊達完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月11日 23時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)
混沌の娘
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
ゼファー(p3p007625)
祝福の風

リプレイ


 海洋の港から出航するローレット。
 皆、思い思いに沖へと視線を走らせ、接触すべき船を探す。
(海洋のお仕事はシグの正体がバレちゃうかもだし、ちょっと怖いんだけど頑張るよ)
 独特な髪の色を持つシグこと、『自称カオスシード』シグルーン(p3p000945)は色々と事情があり、人間種だと公言している。
 海洋の仕事を受け続ければ、インディアクティス家の人もそのうち出てくるのだろうか、それとも、あくまで海洋貴族だから出てこないのかなと考えつつ。
(いずれにしろ、ジネヴィラだって事はバレないようにしなきゃ)
 彼女の本当の姿はトビウオの海種ジネヴィラだが、皆には秘密である。

 メンバー達は海種の自称「か弱い」おっさん、『黄昏き蒼の底』十夜 縁(p3p000099)の船に乗り、沖を目指す。
「……また、えらく愉快な名前の海賊団もいたモンで」
 操船する縁はいつもの如く、飄々とした態度で語る。
 ガハハ海賊団、それが今回討伐すべき相手の名だ。
「笑う門にはなんとやら、ってやつかしら」
 銀髪の大柄な人間種の女性、ゼファー(p3p007625)は前向きに今回の敵をそう捉えるが、やっていることがケチな海賊という地点で呆れに変わる。
「良く言えば豪放磊落、悪く言えば大雑把、ってとこか」
「敵じゃなけりゃぁ、旨いビールの一杯でも酌み交わせそうなんだがなぁ……残念だ」
 ゼファーに相槌を打つ縁は珍しく、本音を漏らす。
 そこで、それにしてもと銀の短髪の元拳闘士『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が素朴な疑問を抱く。
「この国って、カイゾクが次から次へと出てくるよね? 人気の職種なのかな?」
「海賊稼業を始めるのにも理由はあるのでしょう。……例えば、他に海賊よりも楽に食べていく手段がない、だとか」
 黒いロングストレートヘアの巫女、『水天』水瀬 冬佳(p3p006383)はそんな推測を口にする。
「海賊家業の旨味が齎すものは、さながら麻薬中毒が如しとでも言うべきか」
「麻薬は置いておくとしても、それはそれで、仕方のない事ではあるのでしょうが……」
 白い髪の仙狸の女性、『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の言葉通り、そういった人々が海賊になったなら、再び海賊稼業に戻るのも当然の成り行きだと、冬佳は語る。
「一度捕まっても、懲りずにもう一度海賊か。根っからの海賊気質なんだろうなぁ」
 黒翼を背に持つ飛行種、『天戒の楔』フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)もそんな推測を巡らす。
 団として人も付いていているし、それなりに人望もある団長なのだろう。
「まあ、それはそれ、ですね」
 現実として、彼らは海賊行為を繰り返しており、討伐させるべき存在だ。
 冬佳はそれを指摘すると、汰磨羈が頷いて。
「やる事は一つ。完膚なきまでに叩きのめすのみだ」
「再び海賊家業に身を落とすと言うなら、捕まえたところで更正はすまい」
 団長パーヴォはまた繰り返すと、フレイも疑わない。
「殺さずとも良いが、こうなってくると釈放はないだろうなぁ」
 護りに徹して前線維持するのが役割と心得るフレイは、団員達の処遇を皆に任せるとのこと。あまり攻撃は得意ではないそうだ。
「……まっ、悪党は悪党らしくお縄につくか、潔く散るか。どっちかじゃないと、締まりが悪いってモンよねぇ?」
 ゼファーの一言に意欲を燃やしていたのは、海兵姿の少年『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)だ。
「この海の平和の為、悪事を働く海賊団をやっつけるんだぞ!」
 海の男として、正義の海賊として、卵丸は悪い海賊を放ってはおけないと意気込む。
「今回のアイテは笑顔の絶えない職場ってヤツらしいし……こっちも負けずに、笑顔でぶっ飛ばしてやらなきゃならないね!」
 イグナートもまた、気力十分といった態度で依頼に臨んでいたようだ。


 程なく、縁の操縦する船は討伐対象であるガハハ海賊団の船を捕捉する。
 ハイセンスを使い、縁は相手の距離や甲板の様子を探って。
「ぐわーはっはっ!」
「「わっはっはっ」」
「ずいぶん楽しそうに笑ってるな」
 甲板で楽しそうに語らう海賊達は、一仕事終えて楽しそうに酒盛りなどしている。この笑いこそ、彼らの力の源となるのだろう。
 汰磨羈は、乗り込むポイントを戦略眼で見定めようとする。
 乗り込みやすく、且つ吹き飛ばしスキルで荷物から引き離し易い位置。船から叩き落せればなお良しだ。
「出来れば、船の後方だな。荷物が集まっている」
 汰磨羈の指摘を受け、縁は海賊船へと近づいていく。
 敵船は団員と積荷でこちらが乗る人数が限られる。
 その為、イレギュラーズ達はまず、自分達が乗船できるよう行動することになる。
 主に飛行できるフレイ、ジェットパックを使うイグナートが空中から、水中行動ができるシグルーン、卵丸が海から接近していく。
 なお、接舷後、汰磨羈と冬佳が先行メンバーの援護。縁とゼファーが小型船で一時待機だ。
 どうやら、敵船も気づいたらしく、発砲してくる。
「がーっはっはっはっ、俺達に喧嘩をふっかけてきたことを後悔させてやれ!」
「「わはは、了解!!」」
 団長パーヴォの笑いに応じ、団員が一層大きな笑いを上げて迎撃に出てくる。
「ここは俺が守ろう。乗り込む者がダメージを負うのも面倒だろ」
 船で進行方向に立つフレイは仲間達を庇い、接舷までの時間を稼ぐ。微量のダメージなら、イモータリティで回復と彼は構えていた。
 接舷はもう間近。
 仲間が空と海から仕掛ける間、汰磨羈は船の上で神経を研ぎ澄まし、接舷のタイミングを待つのである。

 襲われる形となる敵は銃を発砲して応戦してきていたが、フレイが身構える間、次々にイレギュラーズ達は海賊船へと乗っていく。
 ジェットパックでイグナートが最速で海賊船に飛び乗り、すぐ一喝を発して。
「大人しく、海にオチテしまいなよ!」
「ぐあああっ!」
 イグナートの一喝に吹っ飛ばされ、海賊達は船外に吹っ飛ばされ、海へと落ちていく。
「……溺れないよね?」
 イグナートは海を見下ろすと、海へと落ちた団員へと水中行動可能なゼファーが泳いで近づいていた。
「ハローハロー。水も滴るいい男……ってツラじゃぁないわね」
 痺れを覚える者もいたが、ゼファーは動ける者の後ろから静かに近づいて追撃として槍でグサリ。
 あとは拳で無力化し、ゼファーは次なる敵へと向かっていく。
「わははっ、やりやがったな!」
 海賊団は皆、笑ってはいるものの、その目だけは確実に笑ってはいない。
 その海上から、エコーロケーションで笑う相手の位置を把握した卵丸がジェットパックで、海賊船へと一気に跳び上がって。
「悪い海賊には、少し水浴びをして貰うんだぞっ」
「わははっ、……何っ!?」
 イグナートに注意が向いていた海賊は卵丸の奇襲に驚き、慌ててサーベルで応戦するが間に合わない。
 船の縁にいたそいつは卵丸のドリルによる奇襲攻撃を受け、バランスを崩して海へと落ちていく。
 そうしているうちに、こちらの小型船が海賊船へと接舷して。
 集中していた汰磨羈は、迅速に敵船へと乗り込む。
「はあっ!!」
「わっはは……ぶおっ!!」
 素早く行動する彼女もまた大声で一喝し、笑う海賊を船から落としてしまう。
 距離的に難しいと判断すれば、汰磨羈は相手を団子状態とさせて動きづらい状態となるよう誘導する。
「さぁ、お仕置きの時間だ。まずは鮨詰めの刑といこうか!」
 嘲笑を浮かべる汰磨羈へ、団員達は一斉にサーベルで切りかかっていく。
 続いて飛び乗ったフレイは身を固めながら細い剣状となった焔を一閃し、牽制の一撃を打ち込む。
 威力は小さいが、今回の戦いはこれで丁度いいとフレイは考える。
「生死を気にする者がいるし、ちょうど良かろ」
 敵はまだ多い為、しばらくはフレイも耐えることを重視して動く。
 飛び移った仲間達を、冬佳は清冽なる穢れ無き水……華水月で援護する。
 冬佳が飛ばすその一閃が仲間達の攻撃に続く形で追撃し、団員達の体力を削っていく。
 団員が船から落とされていることを確認し、冬佳も敵船へと踏み込むべく状況を見守っていた。
「そろそろかね」
 ぼんやりと自分の小型船から海賊船を見上げていた縁。
 彼は総舵輪を握ったまま積荷が落ちてくるのを見計らい、回収すべく船を操縦してそれを受け止めていくのである。


 ガハハ海賊団は襲撃された直後、3人が甲板から海へと落とされていた。
「的も大きいことだし、海賊の方が魚なんかよりよっぽど獲りやすそうねぇ?」
 それらは全てゼファーが仕留め、気絶した団員は海に浮かんでいる。
 甲板のガハハ海賊団は残り団長と団員7人。
「がーはっはっ、これ以上船から落とされるな!」
 この状況に置いても笑い続ける彼らは船の縁に出ず、船中央に纏まってイレギュラーズ達を迎撃する。
 守りに重点を置くフレイは状況を見て、積み荷を外へ落とす。あとは縁が受け止めるはずだ。
 合間を見て、フレイはかすかに火薬の匂いを感じ、2つ目の箱を投下する。
(特殊な結界で不慮の破損が無効化されるとはいえ、火薬を船上で爆破されても面倒だからな)
 すでに、シグルーンが保護結界で流れ弾による積荷の損傷や船の沈没を防いでくれている。
 シグルーンはさらに、海賊達の逃げ場を立つ為にと船内を駆け回り、海賊船の避難用ボートを海へと流してしまう。
 アクロバティックに動き回るシグルーンは、かなり海賊達の目についたらしい。
「わははっ、団長、好き勝手してる女が!」
「がーっはっはっ、撃て撃て! 逃すな!」
 マグナム銃を発射し、自らに近づけぬようにするパーヴォ。その手前にいる団員達も合わせて発砲してくる。
「悪戯がバレても平気だよ」
 ミステリアスに笑うシグルーンは幻惑のステップで避け、一番手近な団員へと衝術を放ち、船から突き落とそうとしていく。
 ただ、残る団員は落とされぬようにと固まる。
 応戦する一方で、団員が銃口をイレギュラーズに向けるが、その後ろには海賊達が奪い取った積み荷が。
 それを察した卵丸が団員の注意を引くべく、名乗りを上げる。
「蒼蘭海賊団団長、湖宝卵丸参上……お前の相手は、卵丸なんだぞ!」
 堂々と名乗った卵丸の姿を認め、団員は大きな声を上げて笑い出す。
「わはは、嬢ちゃんに負けるわけにはいかんな!」
「「わーっはっはっはっ!!」」
「違うんだぞ……らっ、卵丸は男なんだからなっ!」
 海賊達から巻き起こる笑いに、卵丸は真っ赤になるが、彼の思惑通りに相手の注意を引きつけることができた。
 その一方で、パーヴォがはふむと唸って。
「がーはっはっはっ! やはり、積み荷だな、貴様らの目的は!」
 さすがにイレギュラーズとの交戦が2度目とあれば、団長パーヴォもこちらの狙いは察していたようだ。
「殴れるなら、殴りに行きたいところだけれど……」
 イグナートはパーヴォの前に立ち塞がる邪魔な団員達を見つめる。
 相手はこちらの作戦もあって、固まってくれていることもあり、イグナートはそいつらへと手刀の乱撃を叩き込んでいく。
 その手刀で切り裂かれる団員達もサーベルで応戦してくるが。
「はあっ!!」
「「うわあああっ!!」」
 敵の陣形を崩そうと汰磨羈が一喝すると、団員2人が船から落ちていく。
「そらそら、どんどん行くぞ」
 汰磨羈はパーヴォの意識を自分に向けようとし、どんどん距離を詰めていく。
 積み荷は彼らにとっても大事なもの故に、すぐに積み荷へと弾丸を撃ち込む素振りはないが、最悪、人質のように扱って自分達のみの安全をはかる可能性もある。
 敵の数が半減したことを受け、冬佳も甲板へと踏み込んできた。
 攻撃集中した冬佳は無数の氷刃を生み出し、積み荷に十分気を使いながらも術を制御して敵を切り刻む。
 その氷刃を浴びて混乱する団員もいる中、冬佳は仲間と狙いを合わせて個別に団員を狙い、刃の如き水の一閃で敵を倒していく。
 数が減ってくれば、自ら逃げ出そうと動く団員も現れ始める。
 仲間の攻撃によって吹っ飛ばされ、船外へと落ちた団員へと卵丸は視線を向けて。
 卵丸はジェットパックを使いつつ海へと飛び込み、そいつをふん縛って自分達の乗ってきた小型船へと押し上げる。
 先程笑った卵丸の思った以上の力に、団員は完全に真顔になっていたようだ。
「冬の海水はおっさんには厳しいんだけれどねぇ」
 海に落ちた団員を縛り付けるべく、縁も渋々と言った態度で海に飛び込み、大渦を巻き起こして団員を無力化する。
 すでに甲板で仲間の攻撃を受けていたのか、そいつはその一撃でぐったりしてしまっていたようだ。
「はあっ!!」
「おわあああ!!」
 さらに、イグナートの豪鬼喝によって落とされてくる団員。
「これで、8体……」
 ゼファーは海に落ちた敵を数え、海賊船を見上げるのである。


 ガハハ海賊団の船の甲板では、交戦が続く。
 さらに、汰磨羈が甲板を踏み砕くような踏み込みの後、一気に接敵して膨大な霊力を叩き込み、団員を卒倒させてしまう。
 急所は外してある。生きていることを確認し、彼女は残る団員達へと告げた。
「武装を解除して投降するなら、今の内だぞ。私は、彼女ほどは優しくないからな?」
 汰磨羈が親指でさしたシグルーンは、対する団員を生命の再生能力を逆転させ破壊の力で痛めつける。
「う、うああああっ!!」
 もはや、笑うことすらなく、団員は気を失っていく。
 一方で、シグルーンもこちらを見つめるパーヴォには、細心の注意を払っていたようで。
(この人が一番、インディアクティス家を知ってそうなんだもん)
 そこで、彼女は恐る恐るパーフォに尋ねる。
「なんで、改心できなかったの?」
「がーっはっはっ、そりゃお前、性に合っているからだろう」
「……それは違うよ」
 略奪しかできないということかと考え、シグルーンはパーヴォの考えを否定した。
 その間に、冬佳が前線にいたフレイの傷を重点的に回復へと当たり、清浄なる神水を触媒として水の華が傷口を覆い、癒していく。
 冬佳は敵が攻撃してくる可能性を考え、防御態勢を崩さない。
「統率力の優れている貴方なら、もっと素敵な職が見つかるよ」
 一緒に職を探すから、頑張って悪いこと止めようとシグルーンは促すのだが……。
「がーっはっはっ、海賊以上は俺の天職だ!」
 だが、パーヴォは笑いを止めず、燃え上がる斧を持ってシグルーンへと叩きつけようとしたが、そこで縁が自らの船からパーヴォを制する。
「お前さん方、この荷物を奪った時、適当に積み込んだろ」
 縁は、パーヴォが炎の技が得意であることを指摘して。
「もし、火薬の入った積荷を巻き込んじまったら……お前さん方も困るんじゃねぇかい?」
「ぐぬ……っ」
 さすがのパーヴォも笑いが止まる。
 積荷が巻き込まれると困るのは両者とも同じ。
 まして、船が大破する可能性もあり、あちらは満足な攻撃ができぬはずだ。
 後は、仲間に任せるつもりの彼の代わりに、船体にしがみついて気合で甲板まで登ってきていたゼファーが仕掛ける。
「くらえええ!!」
 ゼファーは斧から炎を振り払ってから叩きつけてこようとするパーヴォへ、カウンターとして古びた槍「Remembrance」で一撃を叩き込む。
 シグルーンも彼を止めるべく威嚇術を打ち込み、様子を窺う。
 しかしながら、イレギュラーズ達の攻撃に煽られたパーヴォは半ばヤケになってマグナム銃を手にして。
「かまうか!」
 それでも、フレイが前に立ち、その銃弾を仲間に代わりに浴びていく。
 先程の回復もあり、体力に余裕のあるフレイだ。再び不動の構えをとる彼に、パーヴォもたじろぐ。
「逃げられるとは思わないんだぞ」
 そして、退路を探して駆け出そうとする彼へ、簡易飛行で飛び上がった卵丸がドリルによる速度を活かした一撃を叩き込む。
「ぐおおっ」
 身体を裂かれたパーヴォは傷つきながら、尻もちをつく。
 そこで、イグナートがここぞと切り札を出す。
「行くぞ、頭目! カイゾク行為の代償はキッチリ支払ってもらう!」
 全身の気を爆発させた彼はパーヴォの懐へと潜り込み、渾身の一撃を叩き込む。
「ぶべえええっ!!」
 大きく吹っ飛ぶ団長は保護結界に守られた船室の壁へと激突し、白目を剥いて崩れ落ちていったのだった。


 ガハハ海賊団を討伐したイレギュラーズ一行は、海賊達が事前に奪い取っていた積み荷を奪い返す。
 そして、メンバー達は海に落ちた団員を海から引き上げる。
 水中でも、人間種として振舞うシグルーン。
「死んじゃダメ、生きて罪を償って」
 彼女は団員の意識を確認しつつ、1人1人へと呼び掛ける。
 そして、冬佳が主となって残った団員へと死なない程度に治療を施し、海賊船の柱へと彼らを縛り付けてから見張りを行う。
「次は卵丸の様に、正義の海賊を目指すんだぞ」
 先程、女性だと嘲り笑っていた卵丸の一言に笑いすら浮かべず、海賊達は沈んだ空気のままで港へと連行されていったのだった。

成否

成功

MVP

湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは相手に笑われても、毅然と海賊として対していたあなたへ。
今回は参加していただき、ありがとうございました!

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