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シナリオ詳細

<TinkerBell>壊れた花畑

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●花の世界
 その世界は既に朽ち果ててしまった世界。

 世界はセピア色に染まり、どこまでも広がる花畑には地割れのような亀裂が入っていて。中心で聳え立つ大樹は葉を散らし尽くし、崩れ落ちている。

 ひゅるりと一瞬風が吹いてきたように寒気を感じる。時が止まってるこの世界に風など存在するわけがないのに……。
 そう大樹の方へ視線を向ければ、天へ祈りを捧げ涙を流した大妖精の像が見えた。


「ねぇ、気になる本を見つけたの!」
 境界図書館を訪れてみれば早速『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニが一冊の本を両手で抱えていた。
 その本は珈琲か何かを零したのか茶色くシミになっており、敗れたページも数十頁に渡り見受けられる。タイトルなんかは落とすのが面倒そうな黒いペンで、ぐちゃぐちゃに消されていて兎にも角にも酷い有様。
 まともに読み取れる情報と言えば、どこまでも広がる花畑、中心で聳え立つ大樹、妖精が住んでいたこと、涙を流した大妖精の像があると言うこと。
「……これもね、『壊れた世界』なのよ」
 酷く傷んだ本をポルックスはぎゅっと大事そうに抱きしめる。
「壊れてしまった世界だけれど……でもこの前あなた達は一つ世界を直してくれたでしょう? ……だから、この世界も直せないかなって思ったの……」
 不安げにイレギュラーズたちを見るポルックスは、その本を壊さないようにゆっくりと開いて
「この涙を流した大妖精の像が……なんだか助けを求めてる気がして……。ね、お願い! 『世界を作り直す物語』を刻んで再びこの世界を動かしてあげて!
 ここがどんな世界だったかはわからないから『元通り』にするのは無理だけれど……でもあなた達なら素敵な世界にしてくれるって……信じてるから!」

 ポルックスがハンドベルを打ち鳴らす。
 不思議な光に包まれて、イレギュラーズ達は本の世界へと入り込んでいく。
「さあ、この世界を作り直しましょ!」

NMコメント

こんにちは、月熾です。
三本目の今回は『壊れた世界』を修繕するお話となります。
どうぞよろしくお願いします。

●依頼内容
『壊れた世界』を修繕する。
成功条件は素敵な世界を作り上げること。

●詳細
あなたは世界を創造する役目を負っています。
ですので、『この世界がどんなふうになったらいいか』を考えて、それをプレイングにして下さい。

といっても、この世界を作るメンバーはあなただけではありません。
一緒に世界に入った全員のアイデアを合体させたものが、『新しい世界』として動き出すのです。

●世界のベース
今回の世界には最初から決まっている部分があります。
それは以下の三つです。

・どこまでも広がる花畑と中心で聳え立つ大樹。
・妖精が暮らしていたようです。
・涙を流した大妖精の像があります。

この三つをベースに、皆さんでアイデアを出し合って下さい。
空の色も、妖精の姿も文化も歴史すらも、どんな生活をしていたのかすら、この世界からは消えてしまっています。
それを作り出すのが、皆さんの役割になります。

●サンプルプレイング
世界を作り上げるなんてなんだか凄いことになっちゃった!
また動き出せるように素敵な世界にしょう!

私が担当するのは歴史かな?
その世界は争いが少ない世界。
けれど過去でたくさんの戦争をして
もう民が傷つくのを見たくないと思った神様が
争いをしちゃいけない決まりを作ったの!
だからこの世界は平和なのよ!



それではご参加、お待ちしております。

  • <TinkerBell>壊れた花畑完了
  • NM名月熾
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月28日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リナリナ(p3p006258)
ペルレ=ガリュー(p3p007180)
旋律を集めて
冷泉・紗夜(p3p007754)
剣閃連歌
ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)
夢為天鳴

リプレイ

●創造は救済
 色を失った世界に救いのベルが鳴り響く。

 その世界は滅びたはずだった、けれども君達『特異運命座標』の創造力はどこまでこの世界を救ってくれるだろう。
 祈りと願いに満ちた妖精の世界を今、修繕していこう。




 集められた四人は用意されていたテーブルを前に創造の話を始める。
「おー、壊れた世界! コワレタセカイ! 世界の修繕! シューゼン! おー! リナリナに任せる!」
 まずは『おにくにくにく』リナリナ(p3p006258)はそう張り切った様子で意気込みを見せる。
「どこまでも広がる花園~! (ずばーん!)でっかい樹~!(ずばばーん!)涙を流す大妖精像~!(ずきゅーん!)」
 おー、コレをベースに世界修繕! 広がる花園! 季節は春! きっといつも春! 常春の大地』だなっ!! 『蝶々』どこだ? ん~、『シャボン玉』! 常にふわふわシャボン玉が飛んでると幻想的でキレイ!! おー、一応空は青か? うーん……そんな悩ましげなリナリナの隣で
「ご本をペタペタして治すんじゃなくて、新しい世界に作り変えるんですね~ご本を書く人になったみたいです~」
 『英雄のたまご』ペルレ=ガリュー(p3p007180)はそうのんびりとした口調で話し目を輝かせた。
「朽ちて壊れた世界でも、音はきっと響いてるはずです~それは武器がぶつかる音じゃなくて、街を蘇らせるような音……大きな木や浮島のどこかに、職人さんの街があるといいですね~」
 カンカントントン……皆が幸せに過ごすための道具を作っている。で、その中には楽器屋さんがたくさんいるといいですね~幸せの音を生み出す為の道具を作り出してるとかだといいとおもいませんか~?
「そうね……それに美しいものが好きというのは、ある種のヒトの心の在り方かしらね。その基準、どのような姿が美しいかが揺れるのも。……なら、一度は朽ち果て、崩れ去ったこの世界は数人の持つ美しさや、理想が組み合わさって、再び咲くのかしら……少なくとも、今の姿は……寂しすぎる」
 ペルレの言葉に頷きながら『紫雲流月』冷泉・紗夜(p3p007754)そう世界を憂う。
「今のセピア色のだけではとても悲しいもの。まずは乾いた大地の為に川と水源、大妖精の像を中心に湖畔を作り、世界中に水が流れる水源として……その涙が、世界を癒すと」
 そして大樹を中心とし、東西南北に進むに連れて色彩が変化するような世界に出来ないかしらと、ね?と、紗夜は楽しそうに微笑む。
「壊れ、忘れられた、世界……其れが終わりの形では、とても寂しい事。何もかもを、在るべき姿に戻す事は出来ないけれど……せめて、哀しい忘却から救えるのなら……悪夢『ヤミ』には終わりを告げて、新たな幻想『ユメ』を紡ぎましょう」
 『夢幻の旅人』ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)は穏やかな調子でそう口を開く。
「沢山の妖精が、思い思いに飛び回る世界
音に溢れて、自由気侭に……妖精の像が始まりの地に置かれ、溢れる水が彼らの世界を拡げていく様に、拡がる花畑は、其々の四季を表す物ばかり」
 自然が広がるなら、きっと、其の地に応じた動物達も居る筈。森に、川に、山に、平野に……現実の種も、幻想の種も、きっと何だって居る。其の世界に住まう種が増えれば、彼らが生きる為の糧となる物も増える。四人は楽しそうにこの世界を創造した。

「でっかい樹! 大樹! この樹だけで森いくつ分だ? きっと『ウマイ実』が成るんだぞ! 『小鳥』も大喜びだなっ!!」
 大妖精像……水場の中心に聳え立ってそう! おー、あんなに泣いたら普通鼻水も出る! でもそれはモデルに失礼だから出さないんだな!リナリナは冗談も混じえながら考えをめぐらせる。
「おー、ここは妖精の世界! 花畑には『春の妖精』が住んでいるっぽい! ………ん? 春の妖精が居るなら、もっといろんな妖精達が居るはず! ……何処に住んでる? 」
 ふと空を見上げたリナリナはポンと思いついたように手を叩いた。
「おー! 『浮島』!! 空にいくつも島! 『夏の妖精』達が住む『常夏の島』! 『秋の妖精』達が住む『常秋の島』! 『冬の妖精』達が住む『常冬の島』! ……季節別だけじゃなく、イロイロ!!」
「『森の島』、『草原の島』、『海の島』! 『宝石の島』、『常闇の島』、『山の島』!! ……あと、『お仕事妖精』の『職人の島』!リナリナは溢れんばかりのアイデアを楽しそうに話して。
「音楽も世界の栄養になればサイコーです~楽器を鳴らせばお花が元気になったり、木も元気になったり……妖精さんだけじゃなくて、皆で音楽を作り上げる世界がいいですね~実際の世界は、そうじゃないから、せめて、本の中くらいは……」
 少し俯きながら大きな木では、沢山お祭りがあって~、一番大きなお祭りでは、大きな妖精像のそばで皆が演奏したり歌ったりして~、世界が幸せなことを皆でお祝いするんです~と楽しげに
「悲しい涙より、嬉しい涙のほうがきっといいのです~」
 色とりどりのお花、生い茂る緑、楽しそうな妖精さん。新しい世界に、新しい名前もつけて……
「次は、読んだ人が幸せになる本になりますように~」
 ペルレはそんな願いを込めて
「東にいけばいくほど青の系列の色彩が多く広がる。逆に南にいけばいくほど、赤の系列の色彩が多く広がる。中央ではそれらが重なり合い、共存するように咲き誇る、色鮮やかな姿。……浮島の季節に合わせて
なんてね」
 これから世界がどう動くかは判らない
けれど、その始まりとして、新しい住民達が好む場所で過ごせるようにと。
 赤や暖かいものを好むもの
 青や冷たいものを好むもの
 或いは、その中間が好きというひと……その在り方は様々で、強制なんてしたくないからね。と紗夜はこの世界のあり方を想う。
「後は空に浮かぶ月の色も、夜ごとに変わるようには出来ないかしら。単色の色というのも寂しいかもしれないし……何だったら、幾つかの月を浮かべてしまってもいいのかもしれない」
 音楽もまた咲き誇るような世界となるのなら、その元となる自然が溢れていたほうが、きっといい。そう創造してうんうんと頷いて。
「どんなものが始まりでも、其の世界を中心にあらゆるものが育まれるのだから……作り直される世界が、未開の地ばかりなら、其の開拓に尽力しましょう。彼らの交友の道を成し、より広く、何処までも続く様な世界を築く一助となる為に……」
 本音を言えば、彼女はただ見たいだけ。彼女自身の願いも含まれてしまう世界だが、この世界で生まれ育ったものに出逢いたい。一面花が咲き誇る丘の上で、彼らと共に、彼らの世界を眺めていたい。そんな、自分本位の理由……だからこそ、せめて出来る事に全力を賭したいのだと、ユースティアは少し照れくさそうに微笑んだ。

 さぁ救世主四人の意見は出揃った。
 これを元にこの世界を作り直そう。四人の前にあったテーブルは消えて、その開幕のベルが鳴り響く。
 ──新しい世界が今、誕生する。

●願いと祈りと幸せの世界
 その世界は息を吹き返した世界。

 世界は彩りを取り戻し、どこまでも広がる花畑は今日も風に揺れ、中心で聳え立つ大樹は歯を生い茂らせて。

 ひゅるりと風が吹いてきたのはどの島からだろうか。この幻想的なシャボン玉や蝶が舞う春の島の大樹を中心に空を浮上するのは季節や用途ごとに役割のある様々な浮島。そのさらに上空にはいくつもの月が浮かんで。
 大妖精の像は今も泣いているけれど、これは命の涙。この世界の人々を救う水源となっている。
 幸せな音が溢れているせいか、その大妖精の涙も何やら嬉し涙に見えてくる。

 動き出した小さな妖精達は今日も現代大妖精を中心に時に忙しなく、時にのんびりと暮らしている。役割ごとの島があり充実しているせいか、争い事が起きることも無くただただ平和で音楽に溢れた優しい世界。

「おー! みんな仲良く皆の衆!」
 出来上がった世界にリナリナの表情はキラキラと輝いていて。
「ワタシ達……世界を作り上げちゃったんですねぇ〜」
「ええ、紛れもなく私達が作り上げた世界だわ」
 ペルレと紗夜はホッと安堵の表情を浮かべた。
「妖精達が幸せそうに暮らしてる……本当に良かったです……あら?」
 ユースティアもそうホッとしつつ、ふと何かに気がつく。

「救世主さま!救世主さまだ!」
「わぁ!救世主さまがいますー!!」
「ほらほら、いきなり声をかけてしまったら皆さん戸惑ってしまいますよ」
 世界が完成した高揚感に浸るイレギュラーズの元へ、尖った耳と二枚翅の子供のような姿の妖精達と、尖った耳と六枚翅の美しい女性が静かに穏やかに近づいてきたのだ。
「驚かせてしまってごめんなさい。この子達、妖精以外を見るのが初めてで……少し興奮してしまってるんです」
 そう申し訳なさそうに微笑む大妖精の周りで、大妖精さまー! 大妖精さま、お話していーい? とまるで親子のようなやり取りをしている。
「ふふふ、もう少し待ってね。救世主……イレギュラーズの皆さん、ようこそおいでなさいました。ここは穏やかな願いと祈りと幸せの世界……『妖精の常』あなた達が救ってくれた素敵な素敵な世界なのです……!」
 大妖精はそう感謝の気持ちを込めて優しく微笑んだ。

 『妖精の常』……新しく生まれ変わった世界。そこは幸せな願いや祈りを見せてくれる大妖精の像を中心とした泉がある。優しい優しい世界のお話。

 その本は珈琲か何かを零したのか茶色くシミは消え、敗れたページも全て修復された。ぐちゃぐちゃに塗りつぶされていたタイトルは綺麗に新しく表記されている。兎にも角にも酷い有様だったあの本は、この四人のイレギュラーズによってまたこうして命を吹き返したのだ。

「皆さん……っ、やりましたねっ!!」
 ポルックスはそう感動で少し涙ぐみながら君達に精一杯の感謝を伝えた。

成否

成功

状態異常

なし

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