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シナリオ詳細

<物語の娘>三月は君の夢

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●悲しいほどに優しい夢
 落ちる、落ちる、また落ちる。
 これはきっとウサギの穴だ。『ワンダーランド』の入り口だとか聴いてはいたが、いつからこうして落ちていた?
 思考がどろりと微睡みに歪む。
ーー嗚呼、違う。こいつは夢だ。

 目が覚めると、そこは見慣れた風景が広がっていた。ありとあらゆる本が並ぶ境界図書館の館内に、頼もしい顔ぶれが揃っている。混沌の奇跡、特異運命座標たちだ。
「わりィ、待ってる間に寝ちまったみたいだァ。俺は『境界案内人』神郷 赤斗(しんごう あかと)。
 今回の依頼は異世界との送り迎えだけさせて貰うぜェ」
 なにせ依頼人はワンダーランドにシマを持つマフィア《奇妙なお茶会》ファミリーだ。しかも要人の護衛とくれば、ドンパチやらずにはいられないだろう。
「戦闘じゃ俺は毛ほどの役に立ちゃしないからなァ。代わりにアドバイスするとしたら、んンー……」

……夢には気をつけろよ?

 その言葉を最後に、赤斗はアリス(特異運命座標)を『ワンダーランド』へいざなったーー。

●お茶会の参加者たち
「アリーーース!! ようこそ私の屋敷へ!」
 特異運命座標が目覚めると、そこは盛大なティーパーティー!
……と言っても、豪勢なティーセットとお菓子が並んでいるだけで参加者は特異運命座標を除くと3人ほどだ。
 最初に声を張り上げた、マフィアの首領・マッドハッター。派手なシルクハットをかぶり、『祝・不誕生日』と書かれた金扇で自分を仰ぐロマンスグレーの男性だ。
「本日招いたのは他でもない。私の可愛いウサちゃんを守っていただくためだ!」
「もう! お父様ったら、その呼び方はやめてくださいな!」
 マッドハッターの隣に座っていた少女が立ち上がり、スカートの裾を持ち上げ一礼する。
「ご機嫌よう、アリス。私は三月ウサギ。ワンダーランドマフィア《不思議なお茶会》の首領のひとり娘よ。傍にいるのはお目付役の眠りネズミ!」
「……。……ウス」
「眠りネズミったら、また立ったまま居眠りしてたでしょう!
 ごめんなさいね、アリス。これでも眠りネズミはファミリーで一番腕の立つ剣豪なのよ」
 三月ウサギの賛辞にリアクションもせず、軽く頭を下げて挨拶する眠りネズミ。
 気まずげな空気が漂う前に、マッドハッターは咳払いをして特異運命座標に向き直る。
「今夜は《不思議なお茶会》ファミリーの会合でして。普段は娘の護衛を兼ねている眠りネズミも、つきっきりでそばにおれんのですよ」
「……最近、敵対マフィアの《紅き女王》から襲撃が何度かあった。いずれもお嬢を狙っていた」
 カタン。
 カップが傾く音がした。三月ウサギだ。マフィアの首領の娘として気丈に振る舞ってはいるが、心の底では怯えているのだろう。白く細い指を震わせていた。
「しっ、失礼。何でもございません。要はアリスと一緒に会合が終わるまで、私の部屋で遊べばよいのでしょう?
 最近寝ても悪夢ばかりでうんざりでしたの。護衛の間、楽しく夜更かし致しましょう!」

ーー。

 マッドハッターが席を外してしばらくの後。
 三月ウサギが読書に夢中になっているうちに、眠りネズミが特異運命座標へ声を落として囁きかける。
「……アンタらにとってはよくある護衛任務のひとつだろうが、お嬢を頼む。
 痛々しくてな。ファミリーのために気丈に振る舞う姿が」
 ヤニ吸ってくる、と眠りネズミは気を利かせて庭の方へ向かっていった。
 その時、貴方はーー。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 ワンダーランドのお嬢を守りましょう!

●目的
 敵対マフィア《紅き女王》からの三月ウサギを守り抜く

●場所
 世界の名前は『黄金色の昼下がり』。住民たちは『ワンダーランド』と呼んでいます。
 まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、カラフルでメルヘンな世界です。

 今回訪問するのは、この世界の中にある「首領・マッドハッター」のお屋敷。
 立派な洋館で、盃(ティーカップ)を飲み交わす大広間や立派な薔薇園があります。

●登場人物
三月ウサギ
 マフィア《不思議なお茶会》ファミリーのお嬢様。首領・マッドハッターの大切な一人娘です。
 栗色のうさ耳が生えた10代半ばの少女で、首領の娘としての自覚があり、大人びた振る舞いをしています。最近悪夢を見るようです。

眠りネズミ
 マフィア《不思議なお茶会》の幹部。大柄で切り傷だらけのゴツい青年です。20代前半くらい。
 普段は三月ウサギのお目付役と護衛を兼ねてます。いつも眠たげ。

首領・マッドハッター
 マフィア《不思議なお茶会》のボス。三月ウサギを溺愛しているおっちゃんです。マフィア《紅き女王》と抗争中。

トランプ兵×4
 《紅き女王》の構成員。人間の姿をしていて、トランプのスートの刻まれた仮面をつけています。
 攻撃手段は手元の槍で突いたり薙いだり。
 特異運命座標よりも三月ウサギを優先して攻撃してきます。

ハートのジャック×1
 《紅き女王》の幹部。人間の姿をしていて、スートとジャックの絵柄の刻まれた仮面をつけています。
 攻撃手段は日本刀による斬撃と格闘。
 三月ウサギよりも特異運命座標を優先して攻撃してきます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●その他
 このシナリオでは敵襲の前に、任意で以下の登場人物と会話する事ができます。
・三月ウサギの私室で三月ウサギと話す
・薔薇園で眠りネズミと話す

 それでは皆様、よき旅路を。

  • <物語の娘>三月は君の夢完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月08日 20時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
綺羅々 殺(p3p007786)
あくきつね

リプレイ

●知りたがりアリス
「吾は戦士がすき! 子供も好きであるがな、なにしろ食べると美味い」
 夜の闇に立ちのぼる煙草の煙。その白い尾が横倒しになるほど『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)の乙女ちっくな告白は、薔薇園じゅうに力強く響き渡った。
「食われるのか、俺」
「いや食わぬぞ。イレギュラーズになってから食ってない故、安心召されよ」
 これはもしや、彼女なりの照れというやつなのだろうか? 真面目に考え込んでしまった眠り鼠の肩をポンと『闇之雲』武器商人(p3p001107) が叩く。
「気遣い感謝する。アリス」
「アリス、アリスか。ヒヒヒヒヒ……」
(我(アタシ)はどちらかというと猫の配役(カード)を割り振られることが多いのだけど――。
 ま、たまにはこういうのもよかろ)
 今度は不気味な武器商人の笑い声に目を瞬かせる眠り鼠。ぱっと見も言動も怪しい2人だが、邪件に出来ないほどに不思議な魅力を帯びている。
「吾は白百合清楚殺戮拳!咲花百合子である!よしなに!」
「百合子? アンタはそう呼んだ方がいいのか」
「うむ! 眠り鼠殿はそのまま呼べば良いであるか? その身体の切り傷、使い込まれた太刀。肩書の一つがあっても可笑しくはなかろう」
 その齢で幹部に上り詰めるとは決して守りの剣という訳ではない筈だ。暗がりの中、百合子はつぶさに男の姿を観察する。利き手や靴の減り、掌のマメ。なるほど相当な手練れらしい。
「ヤマネと呼ばれる事もあるが、どちらでも。この剣は我流。さした名も号もない」
「ヤマネはいつから此処で三月ウサギの護衛をしているんだい?」
「6年前から」
「三月ウサギが悪夢を診始める前後で、何か変わったことはあった?」
「今回の会合の話が持ち上がった事くらいか。組事態に変わりはない」
 なるほど、これは便利だと武器商人は前髪の奥で瞳を細める。物語のアリスは好奇心旺盛。何を質問うても"アリスだから許される"。
「三月ウサギのことは好きかい?」
「……ふぁ。会合の時間だ。俺はそちらに向かう。三月ウサギを頼んだ」
 おっと、こればかりは話を逸らさずをえなかったようだ。

 最後にひとつ、と百合子は彼の背中へ問いかけた。
「貴殿、そんなに眠ってどんな夢をみるのであるか?」
「少し違うな、百合子。俺は沢山眠れてるんじゃない」

 眠りたいから困ってるんだ。

 どこか疲れ気味に笑って、眠り鼠は屋敷の方へ消えて行った。

●ウサギのお茶会
 ジャムクッキーに林檎のパイ。『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864) が用意したお菓子は、どれも三月ウサギの心を射止めて離さない。
「まぁ! このクッキーは食べても身体が大きくならないの? とっても不思議!」
『ワンダーランド』の食事情に闇を感じる一言である。
「遠慮しないで沢山食べて! いっぱい用意したのだわ!」
 お許しが出ても少女はクッキーの端をかじり、服に食べかすが付かないよう、遠慮気味に食べている。というより肩に力が入りすぎて上手く食べれない様に見えた。
「緊張しておるのか? 肩の力を抜くと良い。うちのメンバーは強いぞ。儂以外はな」
 隣で一緒にお茶を飲みながら『九尾の狐』綺羅々 殺(p3p007786) が自然体で話しかける。華蓮と彼女のやり取りは、まさに女子トーク。
 今日の天気は? 最近流行りのスイーツは?
 これから来る脅威も何処へやらといったほのぼトークに、三月ウサギは驚いた。
「三月ウサギさんはどう? 最近気になってる事はある?」
「えっ、わ……私、ですか?」
 躊躇いがちに両手を合わせてもじもじしだした三月ウサギの頭へ、柔らかい掌がそっと触れる。
「きっとファミリーの人達には言えない事もあるでしょう。……大丈夫なのだわ、私達はアリス」
 私達には何を言ったって、どんな弱音を吐いたって、どんな望みを口にしてしまったって大丈夫。

 頭を撫でながら優しく告げる華蓮と頷く殺。2人の優しさに触れて、三月ウサギはよくやく肩の力を抜いた。
「アリス達がここにいらした時、いたでしょう? 体躯の大きい」
「眠り鼠の事じゃな」
「彼……流行り物の服とか、喜ぶかしら」
 なるほど、これは確かに組の者には話せない! 恋バナの気配に沸き立つ乙女達。
「三月ウサギさんが用意した物なら、きっと喜ぶのだわ!」
「だといいな。あのね、アリス……最近、怖い夢を見るの」

 暗い深い闇の中。あの人が、手の届かない所へ堕ちていく。
――嫌よ、嫌。どこにも行かないで。消えないでよ、眠り鼠!

「それってーー」
 ガシャン!!
 華蓮の問いを遮るように窓ガラスが割れる。テーブルの上へと不作法に降り立った侵入者へ殺は素早くティーカップを投げて、自らも机上へと駆け上がった。
「――!」
「出迎えの茶はお気にめさんかったかのう?」
 高温のお茶を仮面の上から吸って悶絶する悪漢へ、すかさずフォークの洗礼を。獲物を構えられる前にダイナミックな蹴りをくり出して、机上へと沈めてやった。
「時間じゃな」
 倒れた男の仮面に描かれているのは紅い薔薇。敵襲だ!
「大丈夫よ、私達がついてる」
 トランプ兵達が迫る中、震える三月ウサギを抱きしめて、蓮華は敵を睨みつけていた。
 放たれた槍から少女を守るべく、庇う姿勢に入った所で――ドッ!! と四本の槍を一身に受けたのは神出鬼没のアリス。
「武器商人さん!」
――“アレ”を存在させてはいけない。急き立てるように、己が内から囁く声。
 でも、どうやって? 四本の槍、トランプの総攻撃を受けてもなお、武器商人は微動だにせず口元に笑みを浮かべている。それはまるでチェシャ猫のように、三日月めいた弧の口元。
「おいで、おいで、紙切れたち。モノガタリを貴様らが紡げるというのならば、この我(アタシ)を止めてみるがいい。そうら、そうら、破滅が、やって来たぞ」
 恐怖にかられる兵を嬉々として転がす武器商人と、隙をついて繰り出される殺の奇襲。
(トランプ兵達は2人に任せて良さそうなのだわ!)
 前線へ向かおうとした蓮華の服の袖が、ぎゅっと掴まれる。
「気を付けてね、アリス」
 それはか弱い少女なりの、精一杯の応援。蓮華は頷き、前へと出て――。

 泥臭いステゴロ試合が繰り広げられている光景に、思わず目を見開いた。
「どういう事? ハートのジャックは日本刀を使うって……」
 その日本刀は地面へ投げ捨てられている。仲間の気配を感じて、百合子は構えを崩さぬままニッと笑った。
「来たか、蓮華殿! 悩みは拳に乗せて撃ちあうに限る。そうであろう"眠り鼠"よ!」
 互いに踏み出し拳と拳を突き出せば、直撃は免れようと音速の一撃が互いの身を斬りつける。百合子の頬に傷が走り、ハートのジャックの仮面は砕け散った。素顔が露わになれば、それは蓮華も見知った人物。
「……どうして」
「単純な事だ」
 イカレ帽子屋に拾われる前から、ハートの女王の側だった。スパイとして生活した6年間。虎視眈々と三月ウサギを殺す機会を伺って、情が移ってしまっただけのなまくら刀。それが眠り鼠という男だったのだ。
「斬れない刀に縋るよりか、拳(こっち)の方がやりやすい」
 肉体言語、拳と拳で語り合い、百合子と眠り鼠は互いの闘志をぶつけ合う。そして悟った。

 次の一撃で決着がつく。

 惜しい、と百合子は血が滲んだ拳を握る。
「少しでも長くこの闘争を楽しみたいものよ。だが……礼を言うぞ」
 貯めこんだ美少女力を解放し、今一瞬、咲き誇るために全ての力を開花させる。絢爛たる百合を背負いながら美少女は笑い、眠り鼠もまた笑った。
「「覇あああぁーーッ!!」」
 魂の奥底から湧き上がる声を拳に乗せて、運命は絡み合い――。

●夢の先へ
 落ちる、落ちる、また落ちる。
 これはきっとウサギの穴だ。『ワンダーランド』の入り口だとか聴いてはいたが、いつからこうして落ちていた?
 思考がどろりと微睡みに歪む。
ーー嗚呼、違う。こいつは夢だ。

 永遠に覚めない"死"という夢。これでようやく、ぐっすり眠れる。

「眠り鼠!!」

 お嬢の声で目が覚めた。眼前は闇が広がったままだ。違和感を感じて顔の方に手を伸ばすと、お札のような物が貼り付けられていた。
「剥がさない方がいい。まだ治りきるには時間がかかるからねェ」
 どうやらこれは治癒府らしい。札を捲ると、地面に大の字に転がっている俺に泣きつく三月ウサギと、それを見下ろすアリス達。
「トドメを刺したのは、お前か」

 最後に百合子と刺し違えるべく、眠り鼠は弾かれたように駆け出した。
「「覇あああぁーーッ!!」」
 互いの拳が触れる直前で逸れ、百合子の星見突きが眠り鼠の頬を抉り、眠り鼠の一撃が百合子の顎を捉えた。見事なまでのクロスカウンターで互いの意識が擦り減る中。
(俺の勝ちだ!!)
 追撃を見舞おうと眠り鼠が拳を握り直した刹那、蓮華の放った威嚇術がトドメを刺したのだ。

 なぜ殺さなかった? 視線で投げかけられた問いに、華蓮は怒る。
「貴方達の抗争の内容に口を出すつもりはないけれども、こんな小さい子を虐めるなんて言語道断なのだわよ!!」
 義理も組織も関係ない。三月ウサギにとって眠り鼠は大切で、失う事を恐れていたのだ。たとえそれが、自分の命を奪おうとした刺客でも。
「ふえぇ、良かった……眠り鼠、生きてたよぉ!」

 こうして、その夜の襲撃事件は幕を閉じた。帽子屋の配下が現場を見に来る頃には、刺客の死体は綺麗に処理され、三月ウサギとアリス達。眠り鼠も加わって、瓦礫の中で祝杯のお茶会が繰り広げられていたのだった。
「儂のクッキーが消えたのじゃ!」
「実に美味である!」
「こら、そこっ! 取り合わないで仲良く食べなさいっ!」
「ヒヒッ。おかわりは沢山あるよ?」
 俺の名は眠り鼠。元気なお嬢に振り回されて、寝不足気味のお目付け役だ。
「眠り鼠も、一杯いかが?」
――ただ、そんな生活も悪くはないと思っている。

成否

成功

状態異常

なし

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