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シナリオ詳細

<物語の娘>あるトランプ兵の憂鬱

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●探し物は何ですか?
「お茶会に飾る花は青い薔薇が良いわ」
 ある日ハートの女王様が言いました。
「青い薔薇ですか。確か庭師が育てていましたね。数は少ないですが」
「えぇ。その青い薔薇を摘んできなさい。お茶会が始まるまでに綺麗に飾っておくように」
 断ることを許さないその言葉に、並んでいたトランプ兵たちに緊張が走る。
 今から青い薔薇を探してお茶会までに綺麗飾るなんて不可能だ。指名されたら、どんな目に遭うか分からない。
「そうね。そこのお前に命じるわ。青い薔薇を摘んできなさい」
 指名されたトランプ兵はさっと顔色を変える。
 だが幸か不幸か、ハートの女王様は命じるだけ命じてすぐに去っていた。
 残されたトランプ兵はふらつく足で薔薇庭園に向かうのだった。

 見渡す限りの薔薇庭園。そのどこかに咲いている青い薔薇。
「……無理」
 お茶会までに、青い薔薇を探して摘んで、お城に戻って綺麗に飾る。
 うん。絶対に無理だ。
 思わず遠くを見るトランプ兵。
 命じられたことを出来なければどんな目に遭うか分からない。
 きついことを言われる?
 暴力を振るわれる?
 最悪首と胴体が離れる可能性も。
 考えれば考えるほど気分は沈んでいく。
「誰か手伝ってくれる人がいたら助かる可能性あるけど、一人じゃ無理だー!」
 トランプ兵の悲痛な叫びが、薔薇庭園に響き渡った。

●青い薔薇を探しましょう
「青い薔薇を探すの手伝ってくれない?」
 『黄金色の昼下がり』の本を手に、フェリーチェは首を傾げる。
「トランプ兵の一人が、ハートの女王様に無茶なこと言われたの。お茶会までに、ひろーい庭の中から青い薔薇を探しだせって無理だよね」
 しかも移動や飾る時間を考えたら実際薔薇を探す時間は30分あるかないか。
 トランプ兵も必死になって探しているけど、青い薔薇を見つけ出せる可能性は低い。
「薔薇は大きく10か所に咲いてるの。その中で、青い薔薇が咲いているのは2か所。でもそこに行って帰ってを考えたら、足の速い人でも2か所が限界。普通の人は1か所しか探せないね」
 どこに青い薔薇が咲いているか探し出すのが困難だ。
「だから、みんなにも協力して欲しいの。トランプ兵と一緒に青い薔薇探してあげよう?」
 一人では難しくても、みんなで協力すればきっと見つかる。
 さて、どこを探しに行こうか。

NMコメント

 ワンダーランドでトランプ兵を手伝ってあげましょう!

●目的
・青い薔薇を見つける
 青い薔薇は薔薇庭園のどこか2か所に咲いています。
 みんなで手分けして、青い薔薇を見つけましょう!

●薔薇庭園
 色とりどりの薔薇が咲くハートの女王様自慢の庭園。
 青い薔薇はひっそりと咲いているので、空から確認するのは難しく、地道に歩きながら探すのが一番の近道。
 薔薇庭園の中でも、今花が咲いているのは10か所。
 皆さんはその中から目星をつけた場所を探してください。
 庭師はうっかりなので、しっかり探せば青い薔薇を植えた場所以外でも青い薔薇が見つかるかも。

●注意
 みなさんの機動力によって探せる薔薇園の数が変わります。
 ~4なら1か所。5~なら2か所探せます。
 そしてその機動力の分だけ、プレイングの1行目に1から10のうち、探したい薔薇園の数字を書いてください。
 青い薔薇のある庭園を見つけ出せば、青い薔薇を用意出来てハートの女王様もご機嫌で、トランプ兵も無事に任務を終えることが出来ます。
 青い薔薇が見つからなくても、色とりどりの薔薇にきっと許してくれる筈。

●その他
 青い薔薇探しはトランプ兵とフェリーチェも手伝います。
 二人の分も、どこを探しに行けばいいか考えてあげると効率良く探せるかも。

 それでは、皆さんの薔薇探しお待ちしております。

  • <物語の娘>あるトランプ兵の憂鬱完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月27日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
ポムグラニット(p3p007218)
慈愛のアティック・ローズ
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ

●青い薔薇を求めて
「まさかアリスに手伝って貰うことになるなんて……。でも最悪の事態を防ぐために、今はなりふり構っていられない」
 自分に言い聞かせるように呟くと、トランプ兵が勢いよく頭を下げる。
「女王様の命令を遂行するために力を貸してくれ! アリス!」
「ふふ、大丈夫。ちゃんと青い薔薇を探すから」
 『お道化て咲いた薔薇人形』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)が小さく微笑むと、『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)も力強く頷く。
「みんなで探せばきっと見るかるさ!」
「アリス……!」
 二人の言葉にトランプ兵が言葉に詰まる。
「わたし あしがおそいから いっぱいはさがせないけど がんばって さがすわ」
 『ゆるふわ薔薇乙女』ポムグラニット(p3p007218)がふんわりと言う。
 今回はお茶会前に花を飾るまでが女王様の命令。時間との勝負なのだ。
「時間ないんでしょう? なら手分けしてさっさと探しましょ」
 薔薇の咲いている場所を教えなさいと『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)が言うと、トランプ兵は慌てて簡単な庭園の地図を描いた。
 薔薇が咲いている場所は大きく十か所。一人一か所か、足の速い人で二か所か。
「俺はこことここに行こう」
 リゲルが比較的近くにある二か所に丸を付ける。
「わたしは ここ」
 ポムグラニットは無理をせず一か所で。
「わたしはこことここにするわ! 足の速さには自信があるの」
 メリーも自信満々に二か所選び、ヴァイスが少し考えて一か所決める。
「じゃぁ、私はここ」
「フェリーチェとトランプ兵は……こことここを探してくれるかい?」
 リゲルとメリーが二か所ずつ、ヴァイスとポムグラニットが一か所ずつ。これで六ケ所。フェリーチェとトランプ兵も手分けして探せば合計八か所。青い薔薇が見つかる可能性はぐっと高くなった。
「あんまり じかんはないけど がんばろう!」
 緩いが青い薔薇を見つけようという強い意志を秘めたポムグラニットの言葉に、全員が頷いてそれぞれ決めた場所に向かって走り出した。

 言われた場所に来たフェリーチェは、白い薔薇を見てリゲルから渡された軍手と鋏を取り出した。
「青い薔薇じゃないのは残念だけど、白い薔薇も綺麗。ハートの女王も喜んでくれるかな」
 軍手をした手で棘を取り除いて、少し長めに鋏でチョキン。
 みんなは何色の薔薇を見つけたのだろう。

「あら、ここは赤い薔薇が植えられていたのね」
 ヴァイスがやって来たのは赤い薔薇が咲く場所。満開の濃い赤い薔薇は女王をイメージしているのだろうか。
「赤い薔薇も綺麗だけど、探しているのは青い薔薇なのよね」
 ざっと見渡しても、青い薔薇は見当たらない。なら、ここにいるものに聞いてみようと、ヴァイスは赤い薔薇やふかふかの土、鳥や虫たちに声をかける。
【薔薇道化の存在証明】
 これはあらゆるものと意思疎通ができるヴァイスのギフトであり、ヴァイスはこのギフトを使って少しでも青い薔薇の情報を集めて行くつもりだった。
「ねぇねぇ、私、青い薔薇を探しているの。貴方、何か知らないかしら?」
 その言葉に鳥たちは首を傾げ、薔薇たちはさわさわとざわめくだけ。土も上の方は分からないのか沈黙を保つ。
 移動して自分でも青い薔薇を探しながら情報を集めて行くと、一匹の青虫が小さな体であっちだと教えてくれた。
「こっちにあるの? 有難う!」
 お礼を言って教えられた方向を探していくと、赤い薔薇に隠れてひっそりと青い薔薇が咲いていた。

 メリーがまずやって来たのは可愛らしいピンクのバラが咲く場所だった。
「可愛いけど、ここは青い薔薇じゃないのね」
 怪我しないように軍手をすると、良さそうな薔薇を適当な長さでどんどん切って行く。
 一抱えほどの量が集まったら次の場所へ。
「こっちは緑……。珍しいけど、青い薔薇はないのね」
 青い薔薇が咲く場所でなかったのは残念だけど、メリーには秘策があった。
「青い薔薇がないなら、青い薔薇を作ればいいじゃない」
 緑の薔薇も手早く集めると、急いで集合場所に戻る。そしてそこにいたフェリーチェの持つ白い薔薇を見て二っと笑った。
「普段いい子にしてるから、こういう時良いことあるのよね」
 フェリーチェから白い薔薇を数本貰うと、取り出した青い色水に付ける。
「時間までに染まってね」
 だけど30分で白い薔薇が青く染まるのは難しいと思ったのか、メリーは色水に使った染料で薔薇を青く塗り始めた。

 リゲルは赤い薔薇と黄色い薔薇を抱え、零れ落ちた種から育った青い薔薇がないか当たりを見渡していた。
 リゲルの視界の中、薔薇の枝葉がすっと色を失くしてその向こうの薔薇が見える。
 歩きながらずっと透視で青い薔薇を探していると、まだ咲き掛けの青い薔薇を見つけた。
「青い薔薇だけど……今から綺麗に咲くのを摘むわけには行かないな」
 苦笑すると、リゲルは黄色い薔薇を摘み始めた。
 青い薔薇はなくても、代わりに色とりどりの薔薇を。
「気まぐれ女王様のご機嫌も、これで少しは良くなってくれるかな?」
 腕いっぱいの二色の薔薇。みんなが集めた分も合わせれば、きっと気まぐれ女王様も許してくれるに違いない。

 自分で足が遅いと言っていたポムグラニットは、目の前の光景にほぅっと息を吐いた。
 ハートの女王が望むのもわかる、一面に咲く青い薔薇。
「すごい とても きれいだわ」
 濃い青から淡い青まで、さまざまな青が広がる。
「はーとのじょおうが のぞむのも わかるかも」
 リゲルから受け取った軍手と鋏を使って青い薔薇を集めて行く。
「どれぐらい いるのかしら」
 女王様のお茶会に飾られる花の量なんてわからないから、持てるだけ持って行けば良いかな。なんて考えながら摘んでいくと、本当に抱きかかえるのがやっとな量。
「ちょっと よくばりすぎたかしら」
 だけどこれでハートの女王様の命令は遂行出来る。きっとあのトランプ兵も喜ぶだろう。
 ぱたぱたと小走りで集合場所に戻ると、みんなが青い薔薇を見て驚く。
「良かった! 見つかったんだな!」
 最悪色とりどりの薔薇で許して貰おうと思っていたリゲルは、無事見つかった青い薔薇を見てほっと胸を撫でおろした。
 だけど青い薔薇を見つけたのはポムグラニットだけではなかった。
「遅くなった! でも青い薔薇あった!」
 嬉しそうに声を弾ませるトランプ兵。その手に抱えられているのは花束程度の青い薔薇。
「量はなかったけど、でも青い薔薇だから」
 女王様も喜んでくれる。という言葉は、ポムグラニットが抱える青い薔薇を見て小さくなる。
「いっぱい、見つかったんだな……」
 どこかしょんぼりとしたその言葉に、ヴァイスが苦笑する。
「でも、貴方が見つけてくれた分もあるともっと華やかになるわ。さ、急いでお茶会会場に行きましょう」
 任務はお茶会会場に花を飾るまで。まだ終わりじゃない。
「青い薔薇を作るのには時間が足りなかったわね」
 まだ白いままの薔薇を見てメリーが呟く。だけど染めた数本は青い薔薇になっている。
「あおいばらいがいも いっぱいね。すてきな おちゃかいに しましょうね!」
 色とりどりの薔薇に彩られたお茶会は、想像するだけで心が弾む。


●女王様のお茶会
 青い薔薇をメインに、色とりどりの薔薇を会場に置かれた花瓶に飾って行く。
 入口は淡い青。女王様の席の近くは濃い青で纏めて、後は見て楽しめるように。
 歩く時、座っている時だけじゃなくて、ふと上を見た時も楽しめるようにと高い所にも飾って行く。
「良かった……! 間に合った……!!」
 飾りつけが終わったのはお茶会の始まる少し前。ほっとする一行の横ではメイドたちが急いでお茶会の準備を進めている。
 ほっとしているうち、ポムグラニットは間に合ったこと以外にもほっとする理由があった。それは
「あおいばらが なかったら わたしじしんが あおいばらに なるところだったわ」
 ポムグラニットは薔薇の精霊。その体から生える薔薇は好きな色にすることが出来るのだ。ただし、そんなポムグラニットを女王様が知ったらどんな目に遭うか分からないとトランプ兵に言われた。
 もしこの世界に幽閉されたら。なんて考えたくもない。
「無事にお茶会までに青い薔薇を飾り終えたようね」
 ふるりと震えていると、後ろから威厳のある声がした。慌てて振り向けば、そこにはハートの女王の姿。
「花瓶を増やして薔薇庭園のようにしたのね。中々良いセンスね。褒めてあげる」
「有難うございます……!」
 緩く微笑むハートの女王を見て、トランプ兵は頭を下げる。
「ところでなぜアリスがここに?」
「薔薇探しと飾りつけを手伝ってくれたのです……!」
「成程……」
 トランプ兵一体でこれだけの薔薇を集めるなんてと思っていたハートの女王は、その答えを聞いて納得した。
「気に入って貰えたかしら?」
 おっとりとヴァイスが首を傾げると、ハートの女王は五人を見て笑う。
「えぇ、気に入ったわ。これなら良いお茶会が開けそう」
「それは よかったわ。ところで おちゃかいには ごいっしょしても よろしいのかしら?」
 ポムグラニットの言葉にトランプ兵は顔色を青くするが、ハートの女王は笑みを深めた。
「良いでしょう。アリスもお茶会に参加なさい」
 どうやら、今日のハートの女王はご機嫌のようだ。
「でしたら、私は皆様に紅茶を淹れましょう」
 リゲルがメイドから執事服を借りてお茶会の裏方に回る。
 綺麗な薔薇に美味しい紅茶とお菓子。
「生憎王は仕事が終わらなかったの。代わりにアリスの話を聞かせなさい」
 口調こそ命令形だが声色は落ち着いている。
「それじゃぁ きょうの ばらさがしのこと おはなしするわ」
 それぞれがどんな風に青い薔薇を探したのか。
 和やかで楽しい時間にハートの女王も微笑んでいた。

成否

成功

状態異常

なし

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