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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>意思持ち力示す水妖

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 海洋王国の国力は貧弱この上ない。
 諸島部に存在するこの国は長い歴史の中で常に外圧に悩まされており、抜群の航海技術・海軍力で独立を保ってはきたものの、王国民、為政者は現状に常に不満を抱えて過ごしてきた。
 そんな彼等が誇りでもある海軍力をもって、遥かな外洋の先にある新天地(ネオフロンティア)を求めるのはある種の必然だったと言える。
 かくて繰り返されてきた海洋王国の大号令は、外洋征服という大事業の始まりを示す合図である。
 実に22年ぶりの発動となった女王イザベラの命を受け、王国は沸き立ち、熱をもって動き出す。
 過去、幾度跳ね返されたか知らない大号令だが、未だ国民は誰一人諦めてはいない。
 海の民の矜持の如く、冒険心という剣を振るい、現状に決して甘んじぬという決意をもって。
 それに何せ今回は――不可能を可能にする援軍……ローレットだっているのだから。


 幻想ローレットには、海洋からの依頼が届いている。
「ちょっとばかり協力してはもらえないかい?」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)の話に興味を持ったイレギュラーズ達は足を止め、耳を傾ける。
「いい反応だ。そうでなくてはね」
 白い歯を見せた彼女は嬉しそうにそのまま話を続ける。

 現状、海洋の依頼は集まっているのは、女王イザベラが発動した大号令がきっかけとなっている。
 海上にはまれに海賊やモンスターが出現しており、アクアベルなどが時折海洋の依頼を出していたが、ここにきて集中的に状況を整えるべく下準備を進めようとしている状況だ。
「とりわけ近海だね。どうやら近場で自我を持った水妖が悪さをしているようだ」
 人魚の形をとった水の魔物1体が自我を持ち、アクア・ローレライを名乗っている。
 そいつは意思のない自身と同様の存在2体と、周囲の魚、エイなどの海洋生物を従えて少しずつ勢力を大きくしている。
「まあ、自分に力があるからと勘違いしている連中さ」
 近海の海洋生物を襲うだけでは飽き足らず、最近は小型船を襲うこともあるらしい。
 大きな勢力となる前に討伐してしまいたい。
 水妖3体を討伐できれば、従っている魚達は元の生活に戻るはずだ。

 討伐に当たっては、10名程が乗ることができる小型船を出してもらってから当たることになる。
「生憎と依頼が増えてね。出してもらえる船がこれしかなかったのさ」
 おかげで、オリヴィアも同行できないと残念がる。
 自由に動けるスペースはさほどない為、別途イレギュラーズ達で小型船を出したり、飛行、水中行動などのスキルを用意したりすれば、戦略の幅が広がるだろう。
「借り物の船は沈没させぬよう気を使ってやりな。まだ、他の依頼にも利用する可能性は高いからね」
 オリヴィアは討伐対象となる敵のリスト、情報について紙面で渡した。
「これ一つだと小さな事件さ。ただ、後を考えたら、憂いは消しておくに越したことはないよ」
 それもあって、奮って依頼に参加してほしいと、オリヴィアは説明を締めくくったのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 海上に現れた水妖の歌姫の討伐を願います。

●重要な備考
 <青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

●敵……魔物
◎アクア・ローレライ×1体
 全長1.5mほど。意思を持った水妖です。
 全身が水でできた女性の人魚のような姿をした魔物です。
 その歌声によって、近海の魚などを従えています。

・ドレインタッチ……(A)神近単・HP吸収
・バブルスプラッシュ……(A)神遠単・飛(基本、飛ばされた海上へと落下する形です)
・包み込み……(A)物中単・窒息
・惑わす歌声……(A)神遠域・狂気・恍惚

◎分身体×2体
 まだ意思を持たぬ水妖をアクアが従えています。
 歌声は十分に相手を混乱させます。
 他スキルも威力は弱まっていますが、健在です。

◎エイ×1体
 身長4mほど。
 相手に突撃し、覆い被さるように襲い掛かってきます。
 背びれは毒針に変化しており、猛毒、痺れを与えてくる為、注意が必要です。
 大きさもあって、船が狙われると沈没させられる可能性が高まるので注意が必要です。

◎小魚×10体
 全長0.5~1mほど。近海に生息する普通の魚です。
 さほど特徴のない敵で、かみつき、突撃を仕掛けてくるようです。
 アクア達水妖によって力が強化されているので、船上にいても海からでも攻撃してきます。

●状況
 場所は海洋近海。相手は海の中から出現しますので、海洋で借りた定員10名の小型船で、船の操縦士2名を借りて向かうことになります。
 敵はこちらの船、および乗組員に襲い掛かってきます。
 船への攻撃が集中すると、沈没の恐れがあるので注意が必要です。
 小型船はほとんど移動スペースがないので、船上では距離をとっての応戦などは困難ですので、予めご了承ください。
 海上で迎え撃つことも可能ですが、別の小型船の用意や飛行、水中行動などのスキルの用意などあるとより楽に戦うことができます。

 無事討伐できれば、討伐した魚などを食べることが可能です。
 ただ、小型船だと調理するのが難しいので、港に帰ってから行うことになります。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <青海のバッカニア>意思持ち力示す水妖完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年11月30日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
郷田 貴道(p3p000401)
人類最古の兵器
リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
銀城 黒羽(p3p000505)
不屈の
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
猫派
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
暁天の唄
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
虹を齧って歩こう

リプレイ


 海洋のとある港町。
 そこに、依頼を受けたローレットのイレギュラーズ達の姿があった。
「うーん、久々の海風は心地いいですわねー」
 海洋王国出身、シロイルカ型の下半身を持つ海種の『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)が大きく背伸びをする。
 今回の大号令に当たり、高揚感を覚えるユゥリアリア。
 大きな声では言わないが、自らの汚名をそそぐことのできる機会ではないかという淡い期待も抱いての参戦である。
 それにしても、季節は晩秋、冬に差し掛かるこの時期はさすがに寒さが身に堪える。
 長身オールバックな年齢不詳の男、『ド根性ヒューマン』銀城 黒羽(p3p000505)は海風に身を震わせてしまっていた。
「外洋征服か……この海の先には何があるんだろう?」
 天義出身の騎士、『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)も寒さを感じてはいたようだが、天義で見たことのない広大な海に心躍らせていた。
「新天地ですか。良い響きですよね」
 スレンダーな黒髪女性、『自称・旅人』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)が言うには、かつて地図の未知の部分は想像で埋められたとのこと。
「混沌が未だ地図の中に魔物が描かれる世界なのだとしましたら、その魔物の顔を拝まずに行かないのは嘘なのですよ」
 果たして、どんな魔物が待っているのか。ヘイゼルも楽しみにしているようだ
「海洋の冒険への第一歩……まずは露払いってところですね」
 やや大柄だが、ごく普通の人間種女性の『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)も全身に気合を漲らせ、張り切っている。
「井の中の蛙って言葉を教えて貰ったことがあるけど……大海にもいるんだね、井の中の蛙」
 そんな『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)の言葉に、メンバー達はああと頷く。
 ここで言う蛙は討伐対象である水妖のこと。
 自らの強さがどの程度か知らず、近場の魚や自らと同じような存在を従えてふんぞり返っている魔物だ。
「とりあえず、悪い芽は早いうちに摘むに越したことはない」
 そんなことはつゆ知らず、ルフナは今回の水妖退治に意気込みを見せる。
「水妖、ね。そこまで強くないとは言っても一般人からすれば十分だろうし、ここは僕達が片付けておくべきかな」
 中性的な容姿をした神子服姿のリウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)が状況を整理する。
 なお、獲れた魚はしっかりと食べて帰るつもりらしい。
「HAHAHA、海上戦なんざいつ振りだ? ま、軽~く錆落としと行こうか!」
 元・ボクサー、『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)は軽い態度で笑い、いつも通りに余裕綽々といった態度で今回の討伐任務へと挑むのである。


 イレギュラーズ達は、予め用意されてあった船と、リゲルの用意した小型船の2隻で近海の水妖討伐へと当たることになる。

 こちらは、リゲルが小型船を出すB班。操船は港で依頼用に借りた操縦士にお願いする形だ。
「あれ? メンバーが違うような」
 ルフナが認識していたのは、リゲル、ヘイゼル、ルフナ自身とウィズィだったが、代わりに貴道が加わっている。
 回復役のルフナ以外は皆、飛行可能なメンバーだ。
「翼が無いなら、空を走ればいいじゃないHAHAHA!」
 貴道は気にするなと言わんばかりに高笑いしていた。
 一方、依頼用に借りた小型船へと乗るA班は、乗船したまま敵を迎え撃つメンバーがメインとなっていた。
「操船も久しぶりで、ちょっと張り切ってしまいますわー。」
 操舵に当たるユゥリアリアはそれなりの操船技術を持つようだが。
「自分の身を守ることを最優先に願いますわ」
 とはいえ、やや荒っぽいユゥリアリアの舵の操り方に、その操縦士は少しばかりハラハラしていた様子である。
 そのユゥリアリアを含め、A班は黒羽、リウィルディア、それに貴道と直前にチェンジしたウィズィだ。
 ウィズィは冒険スキルを使い、船底は魚などに攻撃されて穴が開くとたまらないと装甲の強化に当たる。
 また、甲板などでも、脆い場所を発見すれば、可能な限り補修に当たっていたようだ。

 程なく、彼らは前方の海面に人の影らしき姿が確認できたことで、ヘイゼルが軍用踏空魔紋【Ventus】の力で空中へと浮かび上がって。
「未知への道の後顧の憂いを断つ為にも、やんちゃな貴方方は排除させて頂きます」
 リゲルもまた、ウィングシューズでいつでも簡易飛行できるよう構えつつ、『透視』で残る敵が水中から出現するのを警戒する。
「悪いが俺達も、この海を渡すわけには行かない。ここで討伐させてもらう!」
 A班メンバー達もまた、目視で敵を確認していて。
「あれが例の水妖……確かに正気の眼はしてないね」
 リウィルディアはその目に注目する。
 2体に自我はなく、唯一自我のある1体は自らの力に酔う勘違いした魔物。正気でないと感じるのも無理はない。
「見た目は人魚っぽいが、水の魔物か」
 人間大の大きさをした人魚型の水妖、アクア・ローレライ。
 そいつは自身と同じような姿の意志を持たぬ人魚型水妖を、自らの分身体として従えている。
「歌で惑わすところなんかもそっくりだ」
 黒羽はローレライという名前を受け、そんな感想を口にする。
 また、敵は近海に生息する小魚10体と全長4mあるエイを従えていて。
 アクアの歌声が及ぼす狂気や、エイが持つ毒に対して予めアクセサリーで対策を万全にしていたウィズィが胸を張って。
「さあ、Step on it!! そこを退きなさい、アクア・ローレライ!!」
 すると、小さく笑うアクアは早速、こちらを惑わせるつもりなのか歌い始める。
「人の害にならなきゃ見逃したかも知れねぇが、放っとくと死人が出るかもしれねぇし、ここで止めねぇとな」
 その討伐に当たる仲間達を守るべく、黒羽は身構えるのである。


 歌声響く海に浮かぶ小型船に乗るイレギュラーズ達。
 3体の水妖達の歌声を止めたいところだが、まずは、船を沈める可能性が高いエイを仕留めるのが先だと一行は判断していた。
 A班の盾となる黒羽。
 攻撃を捨てて防御に徹する戦闘スタイルの彼は、同じ船に乗る仲間達のカバーに当たる。
 また、アクア・ローレライを含む水妖は発生させた泡を発射し、命中した相手を突き飛ばしてしまう。
 黒羽は海に投げ出されないよう、ユゥリアリアやリウィルディアをメインに庇う構えだ。
 A班の船の舵を担当するユゥリアリア。
 傍の操縦士には身を守らせつつ、彼女は操舵輪の近くで敵を迎え撃つ。
 どうやら、こちらに巨大な影が向かってきていたこともあり、ユゥリアリアは操舵輪を思いっきり取り舵へと回して回避に動く。
「少しばかり揺れますが、ご容赦くださいませー」
 甲板ならば多少は攻撃されても大丈夫だろうが、船底に穴が開けば危険だ。
 できる限りユゥリアリアは船を左右に動かし、直撃を防ごうと相手の翻弄に当たる。
 ふわりと浮くように跳び上がってくるエイ。
 船へとエイが向かってくるのを察したリウィルディアは刹那の疑似生命をけしかけていく。
 それはエイに攻撃するとすぐに消えてしまうが、ダメージは十分に与えているはず。
 エイは勢いのまま、毒針と化した背びれで黒羽へと特攻してくる。
 猛毒を受けてしまう黒羽だが、すぐさまリウィルディアが聖なる光による回復に動いていたようだ。
 また、船に近寄ってくるのはエイだけではない。
 水妖達の力によって強化され、船の甲板にまで跳び上がってくる小魚達もうっとうしい存在だ。
 飛行、水中行動系のスキルを持たないウィズィはロープと船をしっかりと繋いで命綱としてから、向かい来る小魚達の相手に回って。
「月に尋め行く兎のように……」
 淡い光を纏ったナイフを投擲したウィズィ。
「遥か空まで、吹っ飛べ!!」
 ナイフが突き刺さる瞬間、ウィズィは炸裂する光彩と共に小魚達を吹き飛ばしてしまう。
「うっし! 今の内に片付けますよ!」
 小魚達と入れ替わるように、B班の船が近づいてくる。
 ただ、A班メンバーのスキルによる巻き込みも懸念してか、10mの距離は維持した位置で船を固定する。
「陸であろうと海であろうと、領地領域は奪い合うものなのか」
 歌う水妖達を見たリゲルは、狂気を振りまく彼女達の歌に操縦士が惑わされていないか、逐一チェックしていた。
 時折、ウィングシューズで簡易飛行するウィズィだが、攻撃に当たっては甲板に足をつけ、火球を嵐のように降らせてエイを焼き払おうとする。
 多少水妖達の力で強化はされているが、元は海洋近海へと普通に生息する海洋生物。
 それほど、耐久力が大きく増しているということはないだろう。
 甲板を強く蹴りつけた勢いで滞空して見せる貴道は、地面がないことへの不安は特にない模様である。
「食いごたえのありそうなエイヒレじゃねえか。来な、乾き物にしてやるよ、HAHAHA!」
 彼はA班メンバーを攻撃したエイが海へと戻ってきたタイミングを見て、思いっきり拳を振りぬく。
 まるで魔槍の如き拳圧がエイへと突き刺さる。
 貫通には及ばなかったが、そいつは貴道へと怒りを覚えてゆらりと海を泳いで近づいてきていた。
 その間、ヘイゼルは空中歩行しながら、小魚の引きつけに当たっていた。
 ヘイゼルは自身の周りに、赤い魔力糸を蜘蛛の巣の様に張り巡らす。
 それに少しずつ小魚達が近づき、勝手にかかっていく。
 ヘイゼルとしては間引き目的ではあったが、赤い巣は十分な効果を上げていた。
 散開する魚を全て引きつけるとはいかなかったが、巣にかかった魚は放っておけば、ヘイゼルが体力を吸い尽くしてしまうことだろう。
 エイ、小魚との交戦の間も、水妖達の歌声は響く。
 耳にするだけで狂気を振りまきながらも、恍惚とされるその歌声。惑わされることがなくとも、徐々に体力も削られてしまう状況だ。
 B班の回復役には、ルフナが当たっていて。
「充填量には自信があるから、大盤振る舞いできるしね」
 回復重視に能力を特化させたルフナは、仲間達に少しでも異常があればすぐにでも大号令を発して仲間達を正気に戻す構えだ。
 そうでなくとも、徐々に減る体力を一定ラインに維持すべく、ルフナは調和の力を賦活に転じて仲間達へと振り撒き、癒しをもたらしていく。
 そんな中、エイを引きつけるリゲルと貴道。
 水妖達から小型船を遠ざけつつエイ寄せたことで、リゲルは直接エイを叩くべく銀の剣で星凍つる剣の舞を叩きつける。
 連続して攻撃を受け、ヒレがボロボロになってきていたエイへ、貴道は笑いながら獄炎纏う拳の一撃を叩き込む。
 不調を呼び込む貴道の秘技だが、エイはそれを体感する間もなく絶命し、海面へと落ちていったのだった。


 エイを討伐したことで、イレギュラーズ達の優先討伐対象は小魚達となるのだが。
「カルシウムども、イリコにしてやるから動くんじゃないぜ、HAHAHA!」
 楽しそうに笑う貴道は個別に小魚へと拳魔槍を叩き込む。
 それで近づいてきた相手へ、彼がさらに一撃を見舞うことで、小魚は力なく海へと落ちていく。
 また、すでにヘイゼルが半数以上の小魚の体力を吸い尽くしており、こちらはほぼほぼ問題なく討伐してしまいそうだ。

 問題はここから。
 ほとんど動くことなく周囲へと歌声を響かせる人魚を象る水妖達。
 そいつらへと攻撃の為に近づくA班、B班の小型船、そして人魚達とで丁度正三角形を描くように位置取りを行う。
「自分の狂気に、僕達まで巻き込むのはやめてくれる?」
 リウィルディアがそう呼びかけるが、敵はまるで聞く素振りを見せず、くすくすと笑う。
 そして、分身体が泡を素早く放ち、不意を突いたA班のリウィルディアとB班のルフナをそれぞれ船から突き落としにかかる。
 ルフナは海へと落ち、仲間の回収待ち。
 すぐさま、リゲルが簡易飛行で救出へと向かったのだが、その間、ルフナは神妙な表情をしてしまっていた。
 ただ、リウィルディアは黒羽が鉄壁のガードで守る。
 突き飛ばされて水中へと落ちる黒羽は水中行動ができる為、問題なく立ち泳ぎする。
「大丈夫。そこなら十分、届きますわよー」
 それを確認したユゥリアリアはすぐ船を動かし、黒羽の回収へと向かう。
「いや、このまま戦おう」
 彼は折角だからと、そのまま水妖の気を引きに当たる。
 踏固の闘気法で移動していく黒羽は素早く相手に接敵し、全身で練った闘気を鎖のように練り上げ、相手に絡めていく。
 すると、分身体2体は彼に強く気を引き、近づいてくる。
 だが、アクアはまるで気にする素振りもなく、歌声を響かせ続けていた。

 分身体だけでも、うまくつり出しできればこちらのもの。
「外なる狂気を祓い、内なる正に清め給え」
 分身体が歌声を止めたことで、狂気にとらわれる可能性が減ったこともあり、リウィルディアは聖なる光で同班の仲間達を万全な状態へと戻すよう努める。
「人魚は食う気にならねえな、HAHAHA。普通にぶち抜くぜ!」
 空を飛び、分身体へと近づく貴道は、業炎を纏った拳で殴りつける。
 エイと違って、体力のある分身体は貴道を包み込み、窒息させようとする。
 だが、リゲルはもう1体も巻き込みつつ、真一文字に銀閃を浴びせかけ、弱らせていく。
 仲間達の攻撃が飛び交う中、すぐに体力が厳しくなってきたのか、ドレインタッチを使おうとするが、黒羽に阻まれて。
「体力を吸うのでしたら、負けませんよ」
 近くまで飛んできたヘイゼルが赤い魔力糸を伸ばし、少しずつ相手の生命力を奪っていく。
 やがて、分身体は人魚の形を維持できなくなり、海水に溶けるように消えていったのだった。

 もう1体の分身体はB班が狙う。
 ルフナは敵の数が減ったことで回復ラインを下げ、同班メンバーの気力回復へと回る。
「フレフレー」
 ルフナの声援は力となり、リゲル、ヘイゼル、貴道へと向けられていた。
 少なくとも、残る分身体の意識は黒羽に向いている。
 小型船の操船に当たるユゥリアリアも自らの血を媒介にして氷の槍を形成し、分身体へと投げつけていく。
 分身体へと突き刺さる槍は大きく艶やかな花を開き、そいつはしばし恍惚としてしまう。
 イレギュラーズ達の攻撃を受けて正気に戻る分裂体だが、すでに消耗が大きくなってきていたようで。
 冷静に戦況を見定めていたウィズィ。
 戦いが進むごとに調子を高めていたウィズィは、落ち着きながらも仕留めるべき目の前の分身体を見据えて。
 ――愛が私を呼んでいる。
 ウィズィは感情のナイフを力として発していく。
「当たって、砕けろ!」
 それに撃ち抜かれた分身体もまた、ただの海水となり果ててしまったのだった。

 残るアリア・ローレライ。
「ゼンブ、タオシタ……ユルサナイ……!」
 配下をすべて倒され、彼女はかなり機嫌が悪くなっていた。
 こちらには、貴道が拳圧を飛ばして気を引くが、なかなか相手は近づいては来ない。
 この為、メンバー達は距離を取って遠距離攻撃を繰り返す。
 相手は射出する泡によって、それぞれの船のメンバーを海に落とし、応戦を続けてくる。
 だが、結局は消耗戦の様相となり、イレギュラーズ達が攻勢を強めて。
 距離もあり、遠術を飛ばして応戦を続けるユゥリアリア。
「擬似生命の力を見せてあげるよ。君の分身にも決して劣らない、紛い物を」
 さらに、リウィルディアが刹那の疑似生命を飛ばせば、アクアはそれに攻撃を受け、鋭くこちらを睨みつけて。
 ――ワタシノチカラ、オモイシルトイイ……。
 再度、アクアが響かせる歌声は先程までとは違い、非常に威圧感を持たせていた。
「ううっ……」
 B班の船でルフナや操縦士が不調を訴えると、ヘイゼルがすぐさま恐怖を振り払う。
 同じタイミング、リゲルが歌う敵目掛け、嵐の如く火球を降り注がせていった。
「ソ、ソンナ、ハズハ……」
 自らの強さに自信を抱いていたはずのアクア。
 だが、イレギュラーズ達に完敗した彼女もまた分身体同様、海と同化してしまった。
「この世が弱肉強食であるならば、俺は人々を守るべく、強く在り続けなければならない」
 討伐を終え、リゲルはそう小さく呟くのだった。


 水妖を討伐したメンバー達は倒した魚を纏めて網で獲っていく。
 むろん、港で美味しくいただく為だが、リウィルディアは待ちきれない様子。
「うわぁ、ほんとに魚食べるんだ」
 逆に、ルフナはやや引き気味にそれらの魚を見やる。
 森での暮らしが長い幻想種の彼は、海の魚の大きさや色、それにタコや貝の見た目にかなり抵抗があったようだ。

 港に戻り、リゲルがその魚の調理に当たって。
「新鮮だし、焼くだけでも美味そうだ」
 それらを焼き魚や煮物にするだけでなく、やはり港町だからこそ、刺身にして食べたいところ。
 黒羽はエイを使った一品を食して。
「エイは煮付けやエイヒレなんかも美味しいが、取れ立てなら刺身も美味なんだよな」
 何せ全長4mもあるエイだ。食い応えは十分。
 お腹いっぱい食べてなお余る分は、干物にして持ち帰ることを黒羽は提案する。
 干物が完成するまでの間、メンバー達はこれでもかと海の幸を堪能することにしたようだった。

成否

成功

MVP

リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは自前の小型船を用意した上、討伐対象に止めを刺したあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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