PandoraPartyProject

シナリオ詳細

スタァライトプリンス!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●緊急事態!
 その日、幻想随一の男装ホストクラブ『サンテグ=ジュペリ』に激震が走る。
 当ホストクラブが誇る、男装の麗人――スタァと呼ばれる顔役達が、次々に倒れてしまったのである。
 しかも、今日という日は団体客も見込まれる大事な日だというのに!
 このままでは店の評判は失墜し、ライバル店に追い抜かれてしまうかも知れない!
 頭を抱えたオーナーは、藁にも縋る思いで緊急の人材募集をかける。
 誰か、何処かにいないだろうか?
 女の子が好きで、楽しく話せて、なんだか女の子達をもてなすのが上手な男装の似合う――そんな女の子が!
 考えれば考えるほどにハードルの高い募集内容だ。オーナーもそんな人材が複数人も来るわけないと、半ば諦め天を仰いだ――その時。
 盛大な音を立てて、『サンテグ=ジュペリ』の扉を開いた者達がいた!

 そう、彼女達こそローレットが誇るイレギュラーズ屈指のイケメン女子(?)八名だったのである!!


「と、言うわけで合法的に女の子とイチャつけると聞いてやってきたのです! ああっ、Grateful! 何て言うかもう天職なのです! これは!」
 愛嬌ある顔立ちながら、体格に恵まれさらには鍛え抜かれたアスリートっぽさを持つボブカットな女性――『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)がオーナーの肩をバンバンと叩きながら笑う。自称つよレズの彼女を配置して良いのかは考える所だが、ナルホド確かにその容姿は男装も似合うかもしれなかった。
「とはいえ、一人にしたら”女の子をつまみ食い”しかねないでしょう? 我(わたし)達がお目付役でいなくてはね。それに男装というのも面白そうだわ」
 普段のツインテール姿からどのような男装姿を見せるのか。注目度の高い『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が優雅に微笑んだ。
「男装はともかく、女性をもてなすのは楽しそうで良いですね。ええ……本当に楽しみです」
 凜とした佇まいの『黒焔の薔薇』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)は仕事内容を確認しながらしきりに頷く。そう彼女もウィズィ同様に同性愛に肯定的であり、故に今回の仕事内容は歓迎できるものだ。まあウィズィと違い”つまみ食い”はしないとは思うが……。
「ヒヒッ、たまにはこういった仕事も良い物だね。さてと、どんな風に女の子を拐かそうか。おっと、いけない。拐かすではなく、歓待するだったね」
 その見目からそのままでも十分通用しそうな『闇之雲』武器商人(p3p001107)が妖しく笑う。武器商人の事だ、気づけば女の子達に色々な物を買わせそうではあり、その点から売り上げランキングに名前を連ねそうではあった。
「つまり、やってくる女性の心を満たしてあげれば良いのですわね? 男装というのが気にはなりますが……まあどうとでもなるでしょう。それよりお客様の奢りでお酒を飲んで良い……と? 本当に?」
 赤いウェーブの髪を揺らしながら確認する『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)。彼女は神の信徒であるが、同時に恐るべき酒豪でもある。オーナーは予感する。この女は飲む、と。もちろん未成年には出さないつもりであるが……酒類の在庫が尽きないことだけが心配であった。
「煩悩断つべし――とは言いたいが、たまにはこんな日があってもよいだろう。甘味もあるのだろう? 可愛い女の子と甘味。それさえあれば他の物はいらないぞ」
 それだけではただの女子会になってしまいそうではある。享楽主義者である『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)のことなので、きっとそのつもりな気もするが、男装した汰磨羈のホスト役がどのようなものか、期待したい。
「ふふ、今日はいつも以上に格好良く、スタイリッシュに攻めたいですね。色々服装も用意してあるみたいですし、服合わせているだけでも楽しいかも」
 普段からカジュアルなパンツスタイルでいることのある『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)だが、そのスレンダーな容姿と長い足は、きっと男装が映えるだろうと思われる。問題はハプニングを引き寄せやすい彼女が、どう切り抜けるのか。その一点は周囲の者達も期待していることであろう。
「楽しみだわ。気に入った子がいたら……お持ち帰りしてもよいのかしら? なんてね」
 弥恵とならびスタイリッシュな装いのゼファー(p3p007625)が戯けるように言う。その姿だけを見ればこの中では一番年上のようにも見えるが――彼女はまだ十六歳なのである。末恐ろしいとはこのことか。大人びた彼女のことだ、ホスト役も十分にこなせると期待させる物がある。
「そ、それじゃ、皆さん、よろしくお願い致します」
 集まったイレギュラーズの人となりをなんとなく掴んできたオーナーが頭を下げた。

 さぁ一夜限りの男装ゲストが出迎える、特別な『サンテグ=ジュペリ』の開店である。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 百合ゆりなラブずっきゅんシナリオです。
 ホスト役となって来店する女の子達を満足させましょう。

●達成条件
 ホスト役として女の子を喜ばせお店を盛り上げる。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●このシナリオについて
 次々と来店する女の子達を喜ばせ満足させてあげて下さい。
 基本的に来店する女の子は皆さんに好意的ですが、中には初めての来店で奥手な子や、通い慣れていて挑戦的な子もいます。
 とはいえ、難しく考えないで、来店する女の子を片っ端から攻略するぜ! 的なノリで好きにシチュエーションを考えてもらえればと思います。
 思いつかなかったらとりあえず自分語りをしておくとか、よく分からないけどとりあえず盛り上げるだとかでも大丈夫です。こっちで良い感じにしておきます。

 なお未成年は飲酒できません。ジュースでそれっぽく振る舞って下さい。
 またお店の中で過度な接触などの強ムーヴをするのはギリギリセーフですが、お持ち帰りとかはできませんよ。節度あるホストを演じましょう。皆さんは王子様ですから。
 
●舞台について
 幻想の繁華街にある男装ホストクラブが舞台となります。
 煌びやかな店内には、だいたいのものが揃ってます。
 服装も選び放題、変え放題です。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • スタァライトプリンス!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月25日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ゼファー(p3p007625)
祝福の風

リプレイ

●スタァ集合!
 男装ホストクラブ『サンテグ=ジュペリ』開店前のホールに今日という日を乗り切る為に集まったスタッフ達が居並んだ。
「と言うわけで、主要スタァの代役としてローレットから来てくれたイレギュラーズの皆さんを紹介するわよぉ。今日一日、彼女達がこの店のスタァであり、店の顔よぉ。
 ホールを担当しないスタッフも彼女達をサポートするようにお願いするわねぇ」
 なんだかオネェっぽい店長はそう言って後ろに並ぶイレギュラーズを紹介する。
「まずはラフな着こなしがばっちり似合うゼファーちゃん。源氏名はお任せということだから風花(ふうか)ちゃんって呼ぶわねぇ。未成年だからお酒はダメだけどそのスタイルなら立派にスタァを演じてもらえると思うわぁ!」
「堅苦しいのは苦手なの、ごめんね? こんなお得なお仕事、許されるのかしら! 今日は一日よろしくね」
 スーツに首元の空いたシャツ、そしてループタイを合わせたゼファー(p3p007625)がスタッフにウィンクする。それだけで幾人かの女性スタッフが黄色い悲鳴を上げた。
「次はとっても元気の良いウィズィニャラァムちゃんね。スーツを着ていても引き締まった身体の線が見えてくるようで素敵だわぁ。源氏名はウィズちゃんよぉ」
「よろしく! よろしく! よろしくなのです! 今日という日は私に任せて頂ければ何の問題もないのです! あっ、そこのキッチンスタッフの貴方、あとでドリンクの作り方教えて貰おうかな? もちろん二人きりで……」
 女性とみれば手当たり次第なのか、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)の早速の口説きに指名されたキッチンスタッフがドキーン! と頬を赤く染める。
「あらやだ、お店の子に手を出すのは厳禁よぉ。えっと次は弥恵ちゃんね。とっても凜々しくて素敵だから源氏名もその通り凜音(りんね)ちゃんとしておきましょうか。よろしくお願いするわねぇ」
 紹介を受けた『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)が恭しく礼をする。
「男装ホストクラブなんて初めてですけれど、これでも規律正しく凜々しいのが私ですから、ばっちり決めてみせます。
 イベントステージもあるようですし、得意のダンスも魅せれそうですしね」
 まるで清く正しく美しくという標語が似合うような弥恵の紹介は正統派推しの女性スタッフの心を掴んだに違いない。
「どんどん行くわよぉ。次は汰磨羈ちゃん。源氏名は白瑩ちゃんね。この名前にしたのは何か理由があるのかしらぁ?」
「只の猫だった時の名だよ。……思い入れが、あってね」
 物憂いげでニヒルな笑みを浮かべる『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)。その表情に思わず「ぎゃー」と心の中で叫んで失神しそうになる女性スタッフが居たのは言うまでもない。
「なんだか意味深ねぇ。ミステリアスな感じも悪くないわね。
 次は……ベストとスラックスがよく似合っているヴァレーリヤちゃんね。源氏名は雪ちゃんよ。お酒が大好きということだけれど、あくまでおもてなしの付き合いに飲むだけよぉ。飲みすぎはダメだからねぇ」
(えっ、ホストって自分でお酒飲めませんの!?
 私、ここなら浴びるように飲めると思って来たのだけれど! 釘さされたし!?)
 先手を打って釘を刺してくる店長に驚愕の表情を浮かべる『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)だが、すぐに次なる方針を固める。そう自ら飲めないのならば飲めるようにおもてなしをすれば良いと。絶対に飲むという強い意思を感じる。
「続いてこれまたミステリアスな雰囲気の武器商人ちゃんね。源氏名は神楽(かぐら)ちゃんとしたわ。よろしくねぇ」
「男装ってことだし、我(アタシ)だとちょっと雰囲気に合わないかな? けれどやるからには貢献させてもらうよ」
 プリーツのついた立て襟の白いドレスシャツと黒のフィッシュテールベストを合わせて着込む『闇之雲』武器商人(p3p001107)はそう言って微笑む。髪で瞳を隠すそのミステリアスな雰囲気が女性スタッフ達の推しリストの順位を変動させる。
「次はどこか初々しさを感じさせるアリシアちゃんよ。源氏名は朱里ちゃんね。朱里ちゃんもお酒はNGだけれど、執事っぽい姿からお客様に尽くしてくれると思うわぁ」
「よろしくお願いします。早速ですが、スタッフの方々に何点か確認したいことが――」
 執事風な黒いスーツを着て、髪を赤いリボンでポニーテールにまとめた『黒焔の薔薇』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)がテキパキとスタッフに確認していく。デキる新人を思わせるその動きに、女性スタッフの好感度もうなぎ登りだ。
「最後は王子さまな雰囲気のこの子、レジーナちゃんよ。源氏名はレグルスちゃん。素敵な名前ね」
 店長の紹介を受けて、甘く爽やかな微笑みを見せる『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)。それだけで女性スタッフから熱っぽいため息が漏れた。
「ふむ……口調とかも変えた方がいいのかしら?
 …………参考例が悪くて頭痛くなってくるわね、やめておきましょう」
 ローレットのマスター(レオン)や赤犬(ディルク)の口調を思い浮かべて、実にらしくないと思ったレジーナは頭を振って忘れることにした。
「と言うわけで、以上八人が今日のスタァよ! 見て分かるとおり、ウチの顔役にも負けないくらいの逸材達だわぁ。ただの代役、ではなく、今日だけの特別(スペシャル)として、彼女達をサポートしてちょうだい!
 イレギュラーズのみんなも、スタァとして振る舞って貰うから、よろしく頼むわねぇ!」
 店長の檄を貰って、『サンテグ=ジュペリ』ホールに活気が灯る。
 時刻は夕刻。
 いよいよ、今夜限りのスペシャルデーが始まろうとしていた。

●お嬢様へのおもてなし
 カランカラン。
 店のドアを開けると、軽やかなベルの音が入店を告げる。
「うわぁ……すごいキラキラ……」
「そ、想像以上だね……ホストクラブってこんなのなんだ……」
 ホストクラブになんて興味はなかったA子とB子は、初めて訪れた別世界に感嘆の息を漏らした。
「店の造りなんてどこも同じようなものよ。それにこの店(サンテグ=ジュペリ)はこの辺じゃ一番なんでしょ? これくらいは普通よ普通」
 訳知り顔で話すC子も、しかしまた店の豪奢さにドキドキしていた。
「ただのホストクラブはちょっと入りにくいけれど……男装なら女の子がホストだもんね。やっぱり怖くない雰囲気が良いわよね。……あら?」
 D子はこの手の店に行き慣れているようではあった。そんなD子が店の告知ボードを見つけてそこに書かれている文字を読んだ。
「今日はスペシャルデーらしいわね。ゲストスタァによるおもてなしってことみたいだけれど……」
「ようこそ、お嬢様方。本日はスペシャルデー。私達ゲストスタァがお相手をさせてもらうよ」
 そこに白瑩(汰磨羈)がやってきて四人を迎える。白瑩の余裕のある態度に四人はどきりと胸を高鳴らせた。
「さぁ、おいで。存分に楽しませてあげよう」
 自然な流れで先頭に立っていたC子の手を取ってエスコートする白瑩。そうして席に着くと、順次スタァ達がやってきて女性達を持てなしていく。

 A子はホストクラブに来るのは初めてだった。
 興味がないわけではなかったが、自分には縁のない場所だと思っていた。。今日、D子に誘われて、最初は断ったのだが、なし崩し的に付き合うことになってしまった。
「いらっしゃい。今夜は初めてかな?」
「は、はい……」
 ドリンクを差し出しながらレグルス(レジーナ)が微笑む。その微笑みにA子の胸は思わず抑えきれないほどドキドキと高鳴った。
「もしかして緊張してるの?」
「は、はい。こういうお店くるの初めてで……」
 A子の返答にレグルスはさらに優しく微笑んで、
「良かった。実はボクも緊張してたんだ。そう、一緒だね」
 そんな甘い言葉に、A子はこれもタダの営業と思うことにしたが、反面胸の高鳴りは収まりそうになかった。
 隣に神楽(武器商人)もいる。
「今日はイベントでね、ゲストとして来てるんだよ。
 でもワタシも運がいいらしい、出向いた先でキミの様な愛らしいコと知り合えるとは」
(わ、わーそんな直接的な言葉を言うなんて)
 営業トークだとわかっていても、A子は思わず頬を熱くした。視線の見えない神楽が相手であっても顔を向けて話すのは難しそうだった。
「プリンスや雪、ウィズたちはとても素敵なコだけど……ワタシにも時々でいいから構ってくれたら嬉しいな。……だめ?」
「……よ、よろこんでっ」
 A子の中で何かが外れ始める瞬間だった。

「おかえりなさいませ……いや、いらっしゃいませお嬢様」
 ラベンダーの香り漂うハーブティーを差し出しながら、朱里(アリシア)がB子と対面する。
「紅茶は好きですか? 今日はお嬢様の為の特別な茶葉を使っているんです」
「やだ、嬉しい。私紅茶が好きなんです」
 上手くB子の”好き”を聞き出した朱里は、それをきっかけに話を膨らませていく。
「紅茶や花、それに貴方のようなお嬢様。ふふ、好きなものあげたらキリがありませんね」
「やだ、好きだなんてそんな」
 赤くなるB子に微笑んで、朱里は懐かしむように言葉を紡ぐ。
「よく季節の花々咲く庭園にて御主人様とお茶をしたものです」
「へー貴族の方なのかな? その話聞きたいかも……!」
「私も一緒に聞かせてもらおうかしら?」
 朱里とB子の会話に入り込むように、風花(ゼファー)がB子に密着する。
「わわ、そんなくっついちゃ……」
「あら? ちょっと加減が分からなくって……ごめんね?
 私もこんな場所は初めてだから。お互いが初めてなら、親近感で気持ちも解れてお話しもしやすいかなぁと思ったのだけれど」
 風花はあざとい口実を言いながら、しかし攻め攻めな距離感でB子へとグイグイ近づいていく。
 B子も満更じゃなくて、頬を赤く染めながらもどこか嬉しそうな表情を浮かべていた。

「いらっしゃいませー! あら、素敵なお嬢様! どうぞお席についてくださいまし」
 白瑩に連れてこられたC子を雪(ヴァレーリヤ)が迎える。二人で挟むように席に着くと、早速テキパキと持てなし始める。
「ふ、ふーん。サービスは悪くないじゃない。メニューも……まぁまぁね」
 知ったかぶりなC子はしかし、何を頼めばいいのかわからない。メニューの上を視線が行き来する。察した白瑩がすぐに助け船を出した。
「好きなお酒や普段よく飲むものはあるかい?」
「お酒……そ、そうね、シトロン・ジェネヴァとかは好きで飲むわね」
「なら最初はこれにするといい。きっと気に入るはずだ」
 汰磨羈がカクテルをオーダーする。シトロン・ウエディングという名のレモンソーダのカクテルだ。
「あら、とっても美味しそうですわね。私も一杯もらってもいいかしら?」
「え、ええ、良いわよ」
 雪もすかさず会話に加わって三人で乾杯。一口お酒を喉に流し込めば、すぐに身体が火照ってくる。
「他にはどんなものを飲んだりするんだい? 聞きたいな君の好みを」
「ええ、ええ、そうですわね。貴女ともっと一緒にお酒の話してみたいですわー」
(あわ……あわわ……お酒……そうお酒を頼めばいいんですわよね……!?)
 酒豪二人にガッチリ固められたC子は、知ったかぶりを見破られない為に、次々にお酒を頼み始めるのであった。

(普段の顔役が居ないから残念だと思ったけれど……なかなかどうして……)
 店の様子を観察しながら、D子は今日という日に店に訪れたことを幸運に感じ始めていた。
 普段の『サンテグ=ジュペリ』もレベルが高いと評判だが、今日のホスト役はそれにも増して男装の麗人という言葉がよく似合うと感じていた。
「いらっしゃいませ、お嬢様。お待ちしておりました」
 気品ある雰囲気を漂わせながら、恭しく一礼し目を細めて微笑むウィズ(ウィズィニャラァム)をD子は上目使いに見る。
(すごい強烈なタチオーラ(おレズ用語)……ボイ(おレズ用語)と言うわけではなさそうだし中性タチ(おレズ用語)ってとこかしら……案外いいかも)
 値踏みするような視線を感じながらもそれを受け入れ、いやそんなものまとめて受け止めてやるぜとウィズがギラギラな瞳を向けて言葉を続ける。
「本日は一夜限り、我々イレギュラーズがお嬢様方のお相手をさせて頂きます。どうぞごゆっくり、我々を御堪能下さいませ」
「ようこそ、お嬢様。貴女のお手をよろしければ」
 凜音(弥恵)も負けてはいない。自然な手つきでD子の手を取ると、優しくエスコートする。凜音の天然(ギフト)はどのような相手であっても目を惹き釘付けにしてしまう。そうこういった場になれているD子であっても、その力からは逃れることができない。
(ふ、ふふ……今夜はとっても楽しめそうね……)
 フェムリバ(おレズ用語)であるところのD子は一夜かぎりのスペシャルをモノにしようと、目をぎらつかせるのであった。

●絢爛シャンパンタワー!
 各席を忙しくイレギュラーズが代わりながらお嬢様方を楽しませていく。
「さて、我(わたし)達の隠された瞳には何があるでしょうね?」
「見たいかい? ……指名してくれたら、内緒で見せてあげる。なんて」
 レグルスと神楽がそれぞれの隠された瞳をネタにA子を楽しませる。初めての体験が続くA子はもうドキドキが高まりすぎて「なら両方とも指名しちゃう!」なんて言い始めてテンションが明後日の方へと向き始めていた。
「今宵は貴女が私のお姫様。ならば私は私の全てを捧げましょう。
 喩え此れが泡沫の夢、刹那の瞬きにも等しいひと時なのだとしても、夢は見るなら、楽しい方が幸せでしょうから」
「ど、どうしてそんな優しくしてくれるの……」
 B子の熱っぽい吐息に、思わず興奮した風花がズイズイと迫って、
「尽くす想いを何故と問われるなら、貴女の様に初心な子ほどそそr…エンッッッ!
 ……貴女の瞳が余りに美しくって!!」
 と本音を漏らしそうになりながらごり押しする。
 やんやんと首を振るうB子にさらに朱里が迫る。
「では私も……今夜はお嬢様と語り明かしたいですね」
 耳元で囁くように吐息を吹きかけると、B子はもう正常な判断が不可能だ。
「実は、いいモノがあるんだ。君の様な分かる人には、是非ともお勧めしたいね」
「あら、では私もこのお酒は銘酒ですわよー!」
「ひ、ひいわよ。じゃんじゃかもってひなさーい! 全部私の奢りよー! ヒック」
 酩酊状態のC子もまた、正常ではない。この勢いはもはや店の酒を制覇しようという勢いで、止まりを知らない。幸いなのはこの娘が貴族の娘で懐に余裕があったというところか。
「……失礼します」
 互いに良いペースで酒を飲んだウィズは、凜音とのダンスを終えたD子の前で、タイを緩めてシャツのボタンを外して見せる。そう見せ付けるように。
「やだ……とても素敵な鎖骨……」
「鍛えてますからね、触ってみますか?」
 少し汗ばむ首元のラインを見せ付け、誘うようにいう。D子は思わず触ろうと手を伸ばすが、酔いとダンスの疲れで足下がふらついた。
「危ない、大丈夫ですか」
 傍に控えていた凜音がさっと抱き寄せる。この日ばかりはハプニングの主体は凜音ではなく相手にあったようだ。
「ああ……どっちのスタァも良いわ……ねぇ、凜音さんこのまま私と一緒に――」
「あ、あはは……ど、どうしましょうね……」
 押しには弱い凜音はさてどうしたものかと思案していると、ウィズがにやりと笑ってD子を抱き上げた。
「ああ……どうかご無理なさらず、此方へ」
 まるで芝居掛かった口調で言いながら、自然な流れで化粧室へ……。
「う、うーん、大丈夫ですかね?」
 思わず引き留めればよかったと思う凜音であった。

「この店で一番のものもってきなさーい!」
 というC子の叫びと共に、一夜限りのスペシャルの締めが行われようとしていた。
 スタァライトシャンパンタワー。
 ピラミッド構造に並べられたシャンパングラスに、高級シャンパンを注ぐモノだ。
「盛大にやりましょう!」
「今日この日にお嬢様と出会えた事に感謝を」
「これは見物だよ。近くによって皆で見ようじゃないか」
「えへへへへ、これ全部シャンパンなのですわよねー。一杯、二杯……いえ、三杯だけ!」
「君達の為に用意されたものだ。存分に楽しんでおくれ」
「ふふ、綺麗なタワーですね。シャンパンが注がれればさらに輝きそうです」
「さぁ皆! 素敵なコールをお願いするわ!」
「さあ! 今宵お集まり頂いた皆様を彩る、煌きの塔です!」
 店に来店してる客達から盛大な拍手とコールが起きる。注文したC子はもう何がなんだかわからないが楽しくなって、ジャンジャンシャンパンを開けて頂点から並々と注いでいった。
「さぁ皆さん、C子さんからの振る舞いです! どんどん飲んでいきましょー!」
 スタァ達の盛り上げと共に、店の活気は最高潮になる。
 同時に、来店していたお嬢様達のお財布の紐も緩くなっていき――この日『サンテグ=ジュペリ』の売り上げは、最高金額を記録するのだった。
 その後女の子達はどうしたって……? それはご想像にお任せします。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。
 雰囲気重視で、リプレイ中の名前表記を途中より源氏名にしています。

 売り上げMVPは汰磨羈さんに贈らせて貰います。おめでとうございます。

 リクエストありがとうございました。またのご依頼お待ちしています。

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