PandoraPartyProject

シナリオ詳細

飲めや歌えや大宴会!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その日も、大広間では大宴会が繰り広げられていた。
 何十畳もある畳の広間には何列もの座卓が並び、その上には大量の食事と――それ以上に大量の酒瓶が並んでいる。

「いやあ最近中々飲める量が減ってきてねえ、ワシもそろそろお迎えが近いかの!」
「何を仰います長老、それでも私達若輩者と大差なくお飲みではありませんか」
 青年に長老、と呼ばれた老人は上気した顔でカカカ、と豪快に笑ってみせる。
足元には空いた瓶が所狭しと並んでおり、その数が尋常ではない飲酒量を物語っていた。
老人はぐい、とビールを飲み干すと、グラスを座卓に打ちつけて口元を拭うと――先程までの笑みをどこか寂しげなものに変え、ぽつりと言葉を溢す。
「今日も変わらず酒は旨い、だがどうも最近マンネリというか……今一つ、刺激が足りないのう」
「えー、じゃああたし歌う!」
「あたしもー!」
 老人の嘆きを聞き付け、双子の女性が座敷前方のステージへ上がる。いつもの歌に、いつもの掛け声。いつも通り楽しいけれど、当たり前となってしまった光景に――。
「何かこう、肴になるような刺激がないものかのう」
 老人の声は、大宴会の喧騒に掻き消されていった。


「宴会を盛り上げてきてほしいの」
 境界図書館、そしてそこから繋がる混沌と異なる世界。
さてどんな冒険だろうか、空を飛ぶ、海に潜る、はたまたおとぎ話のような世界か――そんな期待に反して、返ってきたのは「宴会」というおよそ冒険らしくない言葉だった。
「挨拶が遅れたわね。私はシーニィ・ズィーニィ。貴方達をここから別の世界に案内する境界案内人、ってやつね」
 案内人だ、と述べた女の格好は確かに異世界の存在だと判断できる様相で――衣服、と呼べるのかすら危うい物を身に着けた彼女に対し、思う所はそれぞれだろう。
「……何か変かしら? まぁいいわ。とにかく今回、貴方達にはある世界で行われている『宴会』を盛り上げてきてほしいの」
 つまりね、とシーニィは続ける。
「その世界の住民は、成人の状態で生まれ、彼らにとって酒はまさしく血液であり命の源。摂取しないと死んでしまうの。けれど、ただ生命維持のために飲むのは味気ないってことで、毎晩宴会を開いているのね。でもそろそろマンネリ、何か刺激が欲しい! というわけで、貴方達の力を借りたいみたい」
 シーニィは説明を終えようとし――。
「あぁそう、無理に宴会芸をしなくてもいいわ。貴方達が一緒に飲んだり、お気に入りのお酒を勧めたり。酒に合う料理を提供してもいいかもしれないわね。異世界の貴方達は、きっといるだけで彼らの肴になるでしょうね」
 そう言うと、自らも傍らの瓶を開け、喉を潤したのだった。

NMコメント

初めまして、飯酒盃(いさはい)おさけと申します。
皆さんの異世界での一ページを彩ることが出来れば幸いです。
まずは名前に合った、酒宴の世界を。

・目標
宴会を盛り上げる

・舞台
お酒が血液となる人間の世界です。
畳敷きの大広間で、50人ほどの大宴会が行われています。参加者は老若男女様々。
(旅館の宴会場をイメージして頂ければばっちりです)
ただし、未成年飲酒はNG。Unknownの方は自己申告でお願いします。

・設備
ステージ:思い描いた曲が流れてくるカラオケ・音響付き。
調理場:一般的な調理器具・食材は揃っています
その他、ありそうと思うものはきっとあるでしょう。

・プレイング例
1)
酒が血液、ほんとにそんなヤツいるんだな!
よっしゃあ、この俺と飲み比べといこうじゃねーか!
この中で一番強い奴と勝負だ!

2)
未成年なのでお酒は飲めません。
その分得意のダンスで皆さんを楽しませることにします。
私の踊りで、美味しくお酒を飲んでくださいね!

上記はあくまで一例です。
オープニングで案内人が言っていたように、お酒に付き合うもよし、料理を振舞うもよし、得意な何かを披露するもよし。
きっとなんだって、彼らにとって新鮮なものに映ります。
プレイング字数が余ったら、成人の方は酔うとどうなるか、未成年の方はその想像を書いてみるのも楽しいかもしれませんね。
それでは、楽しい宴会を!

  • 飲めや歌えや大宴会!完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月04日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

リプレイ


「おお、あんたらが今日の宴会に付き合ってくれるっていう客人か!」
 大広間へと迎えられたイレギュラーズ達を待ち受けていたのは、盛大な歓迎。
 手に酒瓶やグラスを手にした人々は、珍しい異世界よりの客人に早速興味津々。
「ほら、お前さん達も」
 長老からグラスを差し出され、苦笑するのは『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)と『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)。
「申し出は大変ありがたいのですが、俺達はまだお酒が飲めないのです」
「その分、裏方で頑張らせてもらう。食べたいものがあれば、言ってほしい」
丁寧に告げれば、長老は出した手をすんなり引く。
「残念じゃが……無理に勧めないのも酒飲みの流儀、うまい肴を期待するぞ?」
 唐揚げに刺身に焼き鳥に。飛んでくるリクエストに、リゲルとポテトは顔を見合わせる。
「これは作り甲斐がありそうだな、ポテト」
「ああ。精一杯頑張るとしよう」
 二人大きく頷くと、厨房へと案内されていった。

「その分、飲む事に関しては我々にお任せください」
 すっと長老に手を差し出し、グラスを受け取ったのは『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)。
「学生時代と営業時代に身に着けた宴会部長のスキル、とくとご覧あれ」
「わたしはねこですがひとなので、お酒もじゃんじゃんたしなむのです」
『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)も既に臨戦態勢で目を輝かせる。どう見ても姿は少女であるが、れっきとした成人女性(読み:うわばみねこ)である。
「好きなだけお酒が飲める世界! 飲みまくるのです!!」
「これは頼もしい、ここの酒はうまいぞ? それなら早速、乾杯といこうかの」
クーアにもグラスが手渡されると、二人のグラスに並々と黄金色の液体が注がれる。
「客人達との出会いに――乾杯!」
盛大な掛け声と共に、グラスが打ち鳴らされたのだった。


「一番、新田寛治! イッキやります!」
 広間の中央で寛治はビール瓶を掲げ高らかに宣言する。彼のために仕立てられたネイビーのジャケットは壁際のハンガーに掛けられ、シャツの腕を捲り首元を緩めたラフなスタイルだ。
「いいぞー! 飲め飲めー!」
「見てあの緩んだ首元! これだけで五杯は飲める!」
 声援諸々が飛び交う中、寛治の目が仕事人のそれに変わり――。
「はいコールよろしく!ビンだビンだービンだビンだー」
「ハイハイハイハイ!」
 寛治の歌に酒飲みたちの合いの手が入る。熱気に押され、ビールを飲み干していく寛治。
 その周囲を飛び回るクーアの猫精霊――その手には。
「※お酒のイッキ飲みはダメ! ゼッタイ! お酒は楽しく適量で」
「※出演者は特殊な訓練を受けております」
 と注意書きされたボードを持っていたのだった。
「――美味しゅうございました」
 寛治は中身を飲み干すと、口元を手の甲で拭う。
「ヨッ! いい飲みっぷり!」
「かっちりスーツで手の甲拭い! ちょっとお酒足りないわ持ってきて!」
大喝采に片手を上げ応え、座り直した寛治は隣を見やり。
「ナイスアシストです、クーアさん」
「私はねこでメイドなのです。細やかな気配りはメイドの嗜みなのです」
 膝に乗せた精霊を撫でながら、当然のことだとクーアは飲み進める。その言葉にそれが仕事人ですねと寛治が頷けば、一仕事終えた二人は互いを労い小さく乾杯。
「久々にやりましたが、流石にこの年になると堪えますね」
「念の為ウチ(雨宿り)から持ってきた薬もあるのです」
「流石です」
 なお、この後クーアの精霊は女子達にかわいいと大ウケしていた。

 所変わって厨房では、広間から聞こえてくる賑やかな声に、包丁を握るリゲルが嘆く。
「皆本当に美味しそうにお酒を飲むんだな……」
 リゲル=アークライト、現在十九歳と三ヶ月。
「羨ましいがッ! 俺も後一年で! 飲めるんだ!!」
少し先の自分を楽しみに、そして今日の宴会を盛り上げる――!
そんなリゲルの決意に満ちた表情を目にし、ポテトは楽し気に笑うと料理番の人々にてきぱきと指示を飛ばしていく。
「焼き物を焼いてる内に、サラダや生春巻きは用意できた分から運ぼう。漬物は来る前から漬けていた分がある。ああそうだ、唐揚げには少しだけカレー粉を入れると風味が出て美味しいぞ」
自らも鍋にフライパンに包丁を手に、素早く大量の料理をこしらえていくポテトに料理番達も舌を巻く。
「すごいわねぇあんた、ところであの男の子は手伝わなくていいのかい?」
「ああ、それなら大丈夫だ。ほら」
 手で示した先には、まな板に乗せた大きな魚を前に両手で包丁を掲げ目を閉じるリゲル。
「――参ります」
 その宣言に目を開くと、包丁を一閃。そして、目にも止まらぬ速さで、舞のごとき斬撃を繰り広げる。辺りが冷気で張り詰めると――見事な活け造りが完成していた。
「な?」
 料理番はその光景をあんぐりと口を開き眺め、ポテトの声に我に返り共に拍手喝采。
「……ところでこれ、みんなの前でやったら盛り上がったんじゃないか?」
 ポテトが気が付くも時既に遅し。厨房も広間に負けず劣らずの大喝采で、料理の準備を進めていった。


 リゲルとポテトが食事を運び込めば、宴はさらに盛り上がりを増す一方。
 そんな中、クーアは大量の空き瓶に囲まれていた。
「降参なのです」
 飲み比べに応じること早数回。流石のうわばみをもってしても、数回戦目となれば酒切れで死ぬ人種には分が悪い。
 しかし、クーアも勝負相手の男も悔しさなど見せず笑ってまた杯を酌み交わす。勝負といえど、その本意は勝ち負けではなく――愉しく飲めれば、それで酔い、それが「よい」のだから。
「よく飲むなあアンタも、次は何にする?」
「度数が高いのが良いのです。ウォッカとかあれば嬉しいのです!」
 いい趣味してるなあ、と男が笑って差し出す透明の液体を飲み干せば、それこそ喉が焼けるようで。
(これはよく燃えそうなのです、あとで一本持ち帰らせてもらうのです……あ)
 持ってきた荷物から取り出したのは「秘蔵」の文字の書かれた瓶、雨宿り謹製こげねこ秘蔵酒。
「我が友人たる火の精霊さんの力をエンチャントして作ったものです、飲まずに放っておけば燃えますが――」
 空のグラスを持ちクーアの周囲に群がる人々。
「その心配はないのですね」
 順にグラスへと注いでいけば、飲み干す人々はそのひりつきを楽しみ。
「カーッ、こりゃいいな!」
「こりゃすごいな、この雨宿りってのは酒蔵なのか?」
――ぎくり。
「ハテ、ナンノコトナノデス? 密造? それより新発売ののり弁当、200Gのところ今ならタダなのですよ!!」
 のり弁の宣伝でその場を切り抜けるクーアなのであった。

 その頃、調理を終えたリゲルとポテト。
 広間に戻ろうとするポテトに着せたいものがあるとリゲルが渡したのは、青地に白の花が散る芸者の衣装。
「え? これに着替えるのか?」
 リゲルの手で着つけられ、髪を結われ、紅を引かれ。あっという間にポテトは芸者の様相。最愛の妻が普段と違う装いになれば、その胸は高鳴り。
「綺麗だ……なんだか人前に出すのが惜しくなってくるな」
 ポテトを壁際に追い詰めて、手を顔の横へ、そして顎を優しく掴むと、デートの約束とウィンクを。
「……終わったら、デート楽しみにしてる」
 真っ赤な顔でポテトが口づけとともに返せば、小走りで立ち去り――リゲルは緩む口元を抑えると、自らも支度を進めていった。


「本当にだめかの? 老いぼれの頼みなんじゃがのう……」
「い、一杯だけなのです。本当に一杯だけなのです。大体なんでこのとっておきがバレたのです!?」
 酒飲みのセンサーを舐めるな、と笑う長老にクーアが常飲のとっておき、琥珀を差し出せば。
「この時期おいしい出汁のきいたおでん、鍋物。それには純米酒の熱燗がおススメです。温めの燗が口の中に香りと旨味を……」
「寒いからと熱燗にしていたけど、ぬるめもアリなのね……物知りね、貴方」
 寛治は美人どころに酒の知識を語ってみせる。
 宴もたけなわ、そう思った瞬間。広間にやってきた和装姿のポテトに、わっと歓声があがる。
「今日は楽しんでもらえたなら幸いだ。足りない料理はないか? ああ、デザートならこの後出てくるから大丈夫だ」
 そう告げながら酌をして回るポテトには、料理とその姿への賛辞が飛ぶ。
「今日はお疲れ様。楽しそうで何よりだ」
 酒を注がれた寛治とクーアがリゲルは、と口にすれば、突如広間の電気が落とされ――雅な琴の音が響きだす。
 広間の前方、舞台に現れたのは武芸者の装いのリゲル。すり足で剣を構え、音楽に合わせ見えぬ敵と舞えば、その動きに合わせ剣の銀閃が輝く。
 酒飲み達ですら飲むことを忘れたその時――舞台袖から林檎を取り出し、リゲルは頭上へとそれを放ると、一瞬の内に斬撃を浴びせてみせた。左手に持った皿でそれを受ければ、そこには美しく切られた林檎が並び。
「お楽しみいただけましたでしょうか? さあ、デザートを配りますね」
 一礼をしたリゲルは、割れんばかりの喝采に包まれた。
「残念だけど、私たちはジュースで我慢だ」
ポテトの酌を受け、打ち鳴らすグラス。
 リゲルはお礼にと林檎をポテトの口元に運べば、少しの躊躇の後ポテトはそれを口に。
 幸せそうな二人を目に、寛治はふと思い出し。
「ところで、あそこにいるリゲルさんとポテトさん、新婚さんなんですよー」
めでたいですねー羨ましいですねーと呟けば。
「本当か! そりゃあ祝わないといかん! そろそろ締めじゃ、最後にいくぞ!」
 長老がお気に入りのこげねこ秘蔵酒を瓶で持ち立ち上がる。
 気恥ずかし気に肩を寄せ合う二人に、クーアも「お熱いのです」とグラスを掲げ。
「お二人のご結婚と新たな門出を祝して」
「そして、客人達との最高の宴に」
 寛治と長老の言葉に合わせ、広間の皆が立ち上がり――。

「かんぱーい!」

成否

成功

状態異常

なし

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