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シナリオ詳細

働け豚野郎!
働け豚野郎!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●酒場にて
「今回のお仕事は、キノコを掘るおしごとなのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、君達を円卓に集めて早速説明を始める。少女はテーブルの真ん中に麻紐で括った油紙の包みを載せると、早速紐の結び目を解いた。中から現れたのは、丸々とした小さなキノコ。普段から酒臭い酒場の中でも、松の木を燻したような豊潤な香りがふわりと漂ってきた。
「このキノコはブラウンダイヤと言われる、この時期のある森だけで採取できるとても珍しいキノコなのです。味も香りもよくて、ついでに珍しいって事で、時々ダイヤモンドと等価で取引される事もあるのでこの名前が付けられているのです。……あ、これは借り物なので食べちゃダメなのですよ」
 見せつけるだけ見せつけて、ユリーカはさっさとキノコを仕舞ってしまう。油紙で包み直し、しっかりと麻ひもで口を結ぶ。
「普段はブタさんを使ってこのキノコを掘り出しているのですが……今年は木の実の実りが悪かったらしくて、冬眠前の熊さんの餌になっちゃったらしいのですよ。熊とも互角に渡り合えて、ついでにキノコを掘ってこれる人物……という事で皆さんに白羽の矢が立ったのです」
 ユリーカは包みをくんくん嗅ぐ。その良い匂いに、思わず彼女は小さな羽根をパタパタさせた。
「ブタさん代わりと言われたら納得いかないかもしれないですが、たくさん取れたらブラウンダイヤで作った料理も振舞うとのことなのです。是非とも頑張って欲しいのですよ」

●秋風吹く森
 そんなわけで、晩秋の風が吹く森へと君達は足を踏み入れた。既に木の実も葉っぱも落ちて、すっかり森は冬支度を済ませている。君達はそこから落ち葉を掻き分け、土を掘り抜き、木の根から生えた茶色いダイヤを掘り当てるのだ。
 背後では老人が鼻息荒くして君達の事を見送っていた。このキノコ掘りは砂金浚いと同じ。この稼ぎ次第で翌年どう過ごせるかが決まるのである。
「頼むぞ君達! この村の生活が、君達に掛かってるからな!」
 腹を空かした動物達の蔓延る森へと蹴り込んでおいて、調子のいいセリフである。しかし、君達も君達で、きっと名品の味には興味がある事だろう。……無ければご愁傷様であるが。

 森の様子を窺いながら、君達は早速作業へと取り掛かるのだった。

GMコメント

目標 高級キノコを収穫します。規定数収穫出来たあたりで終了となります。

情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。

ロケーション
森林での探索となります。
よく晴れた日です。葉っぱも散り始めた為、明るく見通しは利きやすいでしょう。
ただし、お腹を空かせた動物と鉢合わせする可能性があるので、その辺はどうするか考えておきましょう。

登場MOB
くまさん
香り立つキノコに誘われた危ないヤツ。でも基本的に臆病なので、対処を間違えなければ大丈夫。
いのししさん
その2。はらぺこイノシシはキノコを食い散らかす。邪魔者イレギュラーズにも考えなしに突っ込んでくる。イタイ。

目標アイテム
☆ブラウンダイヤ
木の根に寄生し成長する高級キノコ。その香りの良さから貴族達に珍重され、宝石と交換する者も現れたことからこの名がついた。豚の嗅覚によって掘り出されるが、豚はそのまま食べてしまうため、今回ギルドに依頼が来た。

TIPS
感覚を研ぎ澄ますタイプのスキルがあると楽。とはいえ経験に裏打ちされた探索術を駆使することでも割合なんとかなる。



影絵企鵝です。
タイトルはノリです。別に鞭を振り回して動物を調教しに行っても構いませんが、特に利得があるわけではないです。
というわけで、皆さん奮って豚気分を味わってください。

宜しくお願いします。

  • 働け豚野郎!完了
  • GM名影絵 企鵝
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年11月07日 22時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジル・チタニイット(p3p000943)
此岸の守人
ヨハン=レーム(p3p001117)
孤高装兵
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
実験体37号(p3p002277)
イギョウノショウジョ
オジョ・ウ・サン(p3p007227)
RafflesianaJack
ソリッド=M=スターク(p3p007305)
ぶたやろう
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人

リプレイ

●森の行進
 乾いた落ち葉を踏み鳴らしながら、イレギュラーズは森に足を踏み入れる。目標は一つ、ひたすら高価なキノコ、ブラウンダイヤの採取だ。実験体37号(p3p002277)は枯れ葉を踏みしめる感触、木々の隙間に見える鹿の姿を眺めて胸を躍らせる。
「キノコ! 山の幸! 動物さん! 美味しそうな物、沢山! すごく楽しみ!」
 思わず声を弾ませるが、彼女ははっとしてすぐに声をしぼませる。今はお仕事中だった。
「……でも、依頼は、依頼。しっかりと、仕事はする。働かざる者、食うべからず」
 巨大な黒い腕を前につき、半ば四つん這いのようにして歩く彼女。そのすぐ背後を行くのは、二足歩行の豚、ならぬ、豚面の巨大なオーク。ゴリョウ・クートン(p3p002081)は棍を担いで豪快に笑った。
「ぶはははっ! 豚が入り用ってんなら俺が出なきゃなぁ!」
 ジル・チタニイット(p3p000943)はじっとゴリョウを見上げる。豚だ。まごうことなき豚だ。思わずジルは口走ってしまう。
「豚さん……」
「まあ任せときな! バッチリ警護してやるぜ!」
 ゴリョウは牙をにっと見せると、太鼓のように突っ張ったその腹をポンと叩く。寒空に軽妙に響き渡ったその音に、ジルも思わず破顔した。
「すっごく頼もしく見えるっす! さーて、秋の味覚をゲットするっすよ!」
 ジルは拳を握りしめて気合を入れると、腰に提げていた鞄から羊皮紙を何枚か取りだす。出かける前に、持ち合わせの知識を生かしてブラウンダイヤの特性について調べておいたのである。ジルはそのうちの一枚をジュルナット・ウィウスト(p3p007518)に差し出す。
「ブラウンダイヤはナラの木の根っこに生えるらしいっす。割と深いところにくっついているらしいっすよ」
「森は何処でもおじいちゃんの故郷だヨ。任せておくレ!」
 ジュルナットは胸を張ると、鼻頭にそっと指を当てて魔力を籠める。猟犬の如く鋭い嗅覚で、出発前に嗅いだキノコの匂いを探していく。ついでに周囲の木々にもその意思を向けた。
「みんな、キノコは何処にあるのかナ?」
 彼が尋ねると、木はあっちだこっちだと伝えてくる。ジュルナットは仲間達に振り返った。
「キノコはあの木の下に生えてるらしいネ。行くヨ!」
 ジュルナットを先頭にしてイレギュラーズは歩き出す。ソリッド=M=スターク(p3p007305)は軽く欠伸をしながら周囲を見渡す。その姿だけ見たら、右腕と左足が改造されただけの軟派な青年である。
「ったく、ブタの代わりになる依頼だっていうから来てみたら、ブタの代わりにキノコ探しだ? あんまり面白そうな話じゃねえな……」
 彼が望んでいるのは身を削り合うような闘争だ。決して土を掘り返す事ではない。さっさと片付けて新しい任務に赴こう。そんな事を考えていた矢先、ふと背後から鞭の唸るような音が聞こえた。
「オジョウサンたちの、パーチーには、既に二人も、ブタヤロウさんが、イルデス! ビッシバシ働いてもらうデスヨ!」
 ウツボカズラの袋に収まったまま器用に飛び跳ね、オジョ・ウ・サン(p3p007227)は赤く染まったツルをピュンピュン唸らせる。袋から覗くその顔は、何かを勘違いした使命感に満ち溢れていた。意気軒高なサンの姿に、思わずゴリョウは眼を丸くする。
「待て待て、待て。オジョウサン、今日の仕事はそういうんじゃないぞ? キノコを掘るだけの平和な仕事だ」
「そーなんデスカ?」
 二人のやり取りを横で聞き、思わずソリッドは頬を緩ませる。にわかにやる気が高まってきた。
「ブヒィ……」
「ケソウしてる場合じゃないのデス、ブタヤロウ!」
 サンがすかさず鞭を唸らせソリッドをぶつ。背中に赤々と痕が刻みつけられた。
「オウイェス! 仕方ねぇ。ブタが使えねぇんなら俺がブタの代わりになってやるぜ! 仕方なく、ああ、仕方なくさ……」
 ソリッドは口から涎を垂らして息を荒らげ始める。ヨハン=レーム(p3p001117)は思わずお約束の白い目を向けてしまった。
「へ、変態です……」
 機械の尻尾がゆらゆらと揺れる。雇い主もなかなかの少年趣味を持っているが、目の前の彼も彼女に引けを取らぬ剛の者だ。
「とにかく、木の根っこ近くを掘れば見つかるって事ですよね。地味ですがこれもローレットの大事なお仕事ですし、どんどん肉体労働もしていきますよ!」
「みゃ~う~みゃ~♪(キノコ~掘るのです~ブタさんの~代わり~♪)」
 意気込むヨハンの横で、陰陽丸(p3p007356)はご機嫌に鳴く。そのサイズは猫としては規格外、むしろ獅子か虎かというサイズである。だがその体格はやはり猫なのであった。
「な~ぅ~にゃん~♪」
 猫は鳴きながら鼻をひくつかせる。猫の鼻は犬に劣るというが、陰陽丸のそれは別である。地中から漂うキノコの匂いを嗅ぎ分けて、猫はさっそく土を後脚で掘り始めた。
「にゃ~んみゃ~おなぁ~ん♪(キノコの~おいしさは~わかりませんが~お肉は~好き~♪)」
 適当に掘り下げたところで、陰陽丸はジュルナットを見上げた。
「みゃーう(ここから先はお願いします)」
「ヨーシ。ここまで掘れたらばっちり感じるヨ。これが茶色いダイヤの匂いなんだネ!」
 ジュルナットは陰陽丸の掘った穴に右手を差し込むと、土の表面をそっと撫でた。木の根を露わにしていくと、やがてちょこんと、黒い瘤のようなキノコが露わになる。ヨハンはそっと手を伸ばし、指先で慎重にそのキノコを摘み取った。纏わりついた土を払い落として、彼はじっとその形を確かめる。
「ギルドで見たキノコと同じです。これがブラウンダイヤですね」
「ぶはははっ! 幸先良さそうだな! じゃあどんどん探すとするか!」
 秋深まる森の中で、イレギュラーズは陽気に森の中を進むのだった。茶色いダイヤの芳醇な香りを漂わせて。

●仁義なきキノコ争奪戦
 キノコ掘りは順調だった。ジルが事前情報から場所に見当をつける。ジュルナットや陰陽丸、サンの鋭敏な嗅覚で地面の奥から漂う微かな香りを探り当てる。そして素早く土を掘り下げて、生えたキノコを採取するのだ。
「こっちだヨ。37号チャン、少しだけ土を掘り下げてくれるかナ?」
「うん、わかった」
 37号がもぞもぞとその腕をシャベルのように変化させる。その指先を地面へ突き立て、ざっくりと土を掘り起こした。ジュルナットは落ち葉の上に膝をつき、手を差し伸べて土塊を掻き分ける。露わになったキノコを、彼は傷つけないよう慎重に摘み取る。
「よし。これもよく育ってて美味しそうな匂いがするネ!」
 ジュルナットは採ったキノコをジルへと差し出す。ジルはそっと革袋の口を開くと、キノコを中へと放り込む。革を二枚合わせにして縫い合わせた、中の匂いが漏れにくい特別な革袋だ。
「いいっすね、順調っすね! これなら僕達もブラウンダイヤの料理にありつけそうっす!」
「みゃうーにゃー!(おすそ分けしてもらえたら、ゴリョウお兄さんが料理を作ってくれるのですよね!)」
 陰陽丸は眼をくりくりさせ、ちらりとゴリョウを見遣る。ゴリョウは鼻をブウと鳴らして腹を叩いた。
「おうともよ。任せときな。どんなヤツのほっぺたも落とす料理を作ってやるぜ」
「にゃぅ! みゅー……(楽しみですね! 今からおなかが空いてきそうです……)」
 傍目には和気藹々と見える雰囲気でキノコ狩りを続けるイレギュラーズ。しかし彼らは一等の戦士。その間にも周囲への警戒は抜かりなく行っていたのである。サンはツルを振り回しながら、裸の上半身を袋から剥き出しにして周囲を窺う。
「働かざるブタヤロウは食うべかラズってイイマス!」
「そんな過激な諺はねえ気がしたぞ?」
「オジョウサンも働かなくちゃデス! ブヒブヒー!」
 ゴリョウのツッコミはさらりとスルー、サンは風の流れに乗る匂いを嗅ぎ分けようとする。いかなる時も匂いとは風上から漂うものである。それもキノコの匂いだけではない。
「イノシシもキノコを探してるデショし、獣の匂いもしっかりチェックです!」
 そして視線は匂いの及ばない風下へと向ける。完璧な索敵態勢だ。そうこうしている間に、サンはふと風上の方角から漂う獣の匂いを感じる。サンはちらりとゴリョウやソリッドの方を見た。
「……ケダモノ?」
「何で俺を見るんだ? 確かに俺はオークだが、悪名なんてこれっぽっちも無い真っ白なオークだぞ?」
「獣か……冬眠前の熊がいるんだもんな……これはちょっとマズそうだぜ」
 口元を緩めっぱなしでソリッドは呟く。サンの鞭が唸った。
「アァン!」
 すっかりアブノーマルな現場になってしまった。手を点にしていたジルだが、やがて気を取り戻して周囲を見渡す。近くの枯れ草が揺れ、黒い影がわずかにちらついた。ジルは唇に指先を宛がう。
「えーっと、エマージェンシーってやつっすよー」
 ソリッドは眼を凝らす。キノコ採りのライバル、イノシシだ。一時間ぶりにまともな表情を見せたソリッドは、背負っていた旅嚢をごそごそと漁り始める。
「よし、喧嘩になってイノシシにキノコがやられたってんじゃ話にならねえからな。ちょっとした助っ人を用意してきたぜ」
 彼は取りだした小さなからくり人形をずらりと並べる。
「右から順に『山口さん』、『山口さん』、『山口さん』、『山口さん』、そして『山口さん』だ!」
「紛らわしいデス」
 再びサンの鞭が唸る間に、鼻先を地面にくっつけたイノシシがずんずんとこちらへ近づいてくる。そして敏感な嗅覚は、イレギュラーズの持つキノコを嗅ぎつけたらしい。イノシシは荒々しく鳴きながら、蹄で地面を擦って臨戦態勢を取った。
「キャー! 来たデス!」
 サンは突っ込んできたイノシシに向かってツルを振るい、魔力を放ってその動きを制する。しかし右から左から、次々と新たなイノシシが突っ込んできた。一匹はジルを狙って突っ込んでくる。ヨハンはとっさに間へ割って入り、大剣の腹でイノシシの突撃を受け止めた。
「無益に命を奪う気はありませんが……そんなに喧嘩腰になるなら、猪鍋にでもなってもらいましょう!」
 もう一歩踏み込んでイノシシを跳ね除け、そのまま彼は大剣を薙ぎ払う。後脚から血が噴き出し、イノシシはその場にひっくり返る。そのままジルは大剣を高々振りかぶると、その首筋に刃を突き立てた。鮮血が大量に噴き出し、イノシシはぶるぶる震えて事切れた。
 匂いに誘われた近くのイノシシ達が、次から次へと突っ込んでくる。ソリッドは胸元を叩いてイノシシを挑発した。その目は期待に満ち溢れている。
「へへっ……さぁ、その野性を俺にぶつけてみやがれ! いや、ぶつけてください!」
 お望み通りに突撃してくるイノシシ。衝撃をまともに受けたソリッドはびくりと仰け反った。
「アリガトウゴザイマッ!」
 直撃を受けて嘆息するソリッド。その背後でジュルナットはイノシシめがけて弓を引く。
「喧嘩になっちゃったら仕方ないネ……勘弁してヨ!」
 狙いすました一発は、イノシシの前脚の腱を断ってその場に転ばす。何十年も続けてきた狩り暮らし。ローレットに所属してもその腕は衰えていない。
 ひょうっと放たれた一本の矢は、イノシシの片目を鋭く射貫く。脳天を抉られたイノシシは、ひくりと痙攣したままやがて動かなくなった。
 ゴリョウも突っ込んできたイノシシを正面から受け止める。両腕でイノシシの脇をがっちりホールドし、その巨躯でイノシシを頭から押さえこんだ。
「ぶはははっ! 俺達に眼をつけるとは災難だったな! キノコを食い尽くされても困るしよ、ちょいと獲物になってもらうぜ!」
「ワタシ、知ってる。イノシシさん、美味しい」
 37号は軽く涎を飲み込み、槌のように変化させた腕を構える。ゴリョウがイノシシを押し退けた瞬間、37号は鋭くその両腕を突き出した。刃のように変化した腕が、イノシシの脇腹へショットガンのように突き刺さる。イノシシは悲鳴を上げて吹っ飛んだ。更に陰陽丸がとびかかり、その鋭い爪でイノシシの頸動脈を鋭く切り裂く。
「んなぁーお!(イノシシさんはお肉です!)」
 鮮血が噴き出し、そばの木を真っ赤に染める。豚はその場にぶるりと震え、すぐにぐったりと動かなくなった。前脚で力強くイノシシを踏みつける。
「みゃぅ!(血抜きもこれでばっちりです)」
 背筋を伸ばした猫は、鼻を動かしながら辺りを見渡す。獣の血の臭いやキノコの匂いに交じって、熊のキツイ体臭が風上から漂って来た。ジルもこっそりとその方角に目を凝らす。クマは夢中で地面を掘り下げている。どうやらキノコを探り当てたようである。
「こっちに気づかれると大変なことになるっす。もう大分キノコは採ったし、これくらいで帰った方がいいかもしれないっすね」
「そうだネ。無理に争いにならないで済むなら、その方がいいヨ。」
 37号は頷くと、イノシシをその巨大な腕で纏めて抱え上げた。
「……それなら、帰ろう。イノシシは、ワタシが運ぶから」
「よーし、そうとなったら撤収ですね。急ぎましょう!」
 ヨハンが言うと、イレギュラーズは村を目指してそそくさと歩き出す。キノコを掘りだしたクマは、首をもたげて辺りを見渡す。しかし、そこは既に誰もいない。

 ジルとサンがキノコを袋へしまい込み、37号が仕留めたイノシシを担いで運ぶ。クマが香りに誘われて来るよりも早く、彼らは何とか森から脱出したのだった。

●収穫したら食べましょう
 イノシシ3頭を仕留め、ブラウンダイヤも袋二つ分手に入れたイレギュラーズ。完璧な成果を受けて、彼らは揚々と帰還した。手渡された成果を見て、依頼主の老人も満足げに頷く。
「おお、これはいい。豚に任せるよりも良いキノコがたくさんだ。今年もいい干し肉をたくさん仕入れて、みんなでゆったり冬を過ごせそうだ……」
 老人は言いながら、キノコを一掴み袋に分けてゴリョウへ差し出す。
「追加のお礼だ。お前たちで食ってくれ」
「おいおい、こんなにたくさんくれていいのか?」
 ふわりと漂う芳醇な香りに。ゴリョウは眼を丸くする。
「あんまりたくさん売りつけても、けちんぼなお貴族様達は値段を露骨に下げて来やがるからな。売り場に乗せる量は少ないくらいが丁度いいんだ」
「なるほどなぁ……ありがとな。早速食べさせてもらうぜ!」

 そんなわけで、ゴリョウはさっそく料理に取り掛かった。常日頃持ち歩いている調理道具と調味料、ついでに名品『夜さり恋』を駆使して炊き込みご飯を作り始める。鶏ガラの出汁に漬け込んだ米を釜で火をかけ、その間に下処理を終えた牡丹肉を鍋で煮込んだ。すりおろして振りかけたキノコの匂いが辺りにふわりと漂い、深々と吸い込んだ陰陽丸は思わず喉をゴロゴロと鳴らす。
「にゃ~ん!(良い匂いがするのです!)」
「ああ。面倒な思いしてでもイノシシまで狩ってきた甲斐があったってもんだぜ、こりゃ」
 イノシシとの激戦(?)で受けた傷の手入れをしながら、ソリッドも頷く。戦いさえ終われば、彼もただの軟派な兄ちゃんである。戦いさえ終われば。
「よーし、まあこんなもんだな!」
 蓋を開くと、いよいよスープとキノコの綯交ぜになった香りが広がる。しっかり蒸らした炊き込みご飯を、ゴリョウはお椀へと次々に盛り付けた。
「ぶはははっ、予想以上に良い出来になったな。流石はブラウンダイヤといったところか! さぁ食ってくれ!」
 差し出された茶碗を、さっそくサンが受け取る。
「オジョウサン、今日はブタヤロウとしてしっかり働きマシタ! さっそく頂くのデス!」
 木のスプーンでご飯を山盛り掬い取ると、小さな口を一杯に開いて呑み込んだ。広がる風味に、思わずサンは頬を緩ませ、その場でぽよんぽよんと飛び跳ねた。
「とっても美味しいのデス!」
 ジュルナットは切り株に座り込み、炊き込みご飯と猪汁を代わる代わる口へと運んでいた。そして半分ほど食べた辺りで、今度は猪汁をご飯へと注ぐ。汁かけ飯である。汁と飯を纏めて掻き込むと、正に得も言われぬうまさ。キノコどころかイノシシまでも狩って、疲弊した身体に旨味が染みわたっていく。彼は深々と頷いた。
「うんうん。仕事終わりはご飯に限るヨ。」
 少しの量を味わいながら食べている“おじいちゃん”の隣で、ジルはお椀に山盛り炊き込みご飯を盛りつけ、宝石の瞳をキラキラと輝かせながらぱくぱく炊き込みご飯を放り込んでいた。
「ほわあああ、香りも味も最高っす! いくらでも食べられちゃいそうなくらいっすよ!」
 もともと痩せの大食いなジル。その言葉に違わず、山盛りのはずのコメがどんどん無くなっていく。そんな様子を横目に見たヨハンは、鞄からお弁当を取り出し仲間達の前に広げる。
「森の中ではなかなか食べる暇がなかったんですが……僕もこうしてお弁当を作ってきたんですよ! せっかくなので召し上がってくださいね!」
 メイドとして鍛え上げた料理の腕で作り上げた、見た目にも鮮やかな料理の数々。37号は覗き込んで嘆息すると、サンドイッチを一つ、その腕の先で慎重に掴み取り、口の中へと放り込む。
「……うん、おいしい」
 やつれた青白い顔。しかし37号は幸せそうな笑みを浮かべたのであった。

 森の宝石をしこたま採取したイレギュラーズ。その宝石の香りと味をたっぷり味わい、充実した一日を過ごすことが出来たのであった。



 おわり

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

この度はご参加ありがとうございました。
トリュフの炊き込みご飯(パエリアみたいな感じですかね?)! 猪汁。どちらも実際に食べてみたいものです。

ではまた、ご縁がありましたら。

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