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シナリオ詳細

<YcarnationS>寝返りの末路
<YcarnationS>寝返りの末路

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●砂の魔女
 ラサ、そして深緑で発生していた『ザントマン』事件。
 その首謀者であるラサの商人オラクルへと打撃を与えるための掃討作戦は、概ね成功に終わった。
 しかし、作戦の最中、ラサに突如出現した『謎の幻想種』により事態は混迷へと至る。

 出現した幻想種の名は『カノン』――砂の魔女と呼ばれ、オラクルによって制御されていた『グリムルート』の力を、なんと上書きし残存する今だ囚われの幻想種を全支配。
 オラクルを遥かに超える深さの狂気を振りまきながら、幻想種達を連れ去った。
 それはまるで『もう一人のザントマン』であるかの様で……。


「そうした背景から、残存のオラクル派は終結し、幻想種達を追いかけていったわ。
 ディルク派もまた幻想種を追跡したのだけれど、そこで彼等はとある砂漠地帯へと辿り着いたわ」
 そこはかつて奴隷売買で栄えしかし遥か過去、砂に沈んだという伝説の地――『砂の都』だと、『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)は言った。
「『楽園の東側の邪教徒も終結しつつようね。死を切望する彼等の言う『始祖の楽園』という話もあるわ。
 連れていかれた幻想種達がその後何をするのかは不明だけれど、巻き込みの死か、あるいは全てが魔種の狂気に完全に飲み込まれてしまうか。いずれにせよ放置出来る状況にはないわね」
 ディルクもまたオラクル派の完全な殲滅も視野に、『砂の都』へと向かうことを決定したようだ。
 ローレットとしても『砂の都』に大量の魔種が生まれてしまえば滅びのアークが増大する見込みが高いと判断した。引き続きラサと共同して事態の解決に当たることとなったのだ。

「特異運命座標ちゃん達に依頼したいのは、『砂の都』を制圧する連中を倒して、『砂の都』の安全を確保してもらうことになるわ」
 リリィは地図を広げ、該当箇所を記す。
 砂の都は長らく砂に埋もれていた都市で、そこそこな広さを誇る。当然ラサ側の手は一切入ってない地であり、なにがあるかわからないと言うことだった。
「この場所にはグリムルートにより操られている幻想種の他、『カノン』に寝返った残存オラクル派の傭兵、商人もいるみたいね。
 その中には前回みんなに捕らえて貰ったダジー・コルドンの姿を見つけることができたわ」
 掃討戦でイレギュラーズによってダジー・コルドンは、捕らえられていた牢獄から脱走したらしい。恐らくイレギュラーズから逃げるより、捕まってから逃げたほうが容易と判断していたのだろう。
 捕らえられていたときの薄笑いの理由が判明した気がした。
「状況的に、制圧している連中は全員強く狂気に犯されているでしょう。グリムルートによって狂気の影響下に置かれている幻想種達は、グリムルートを破壊すれば呼び声の影響を下げる可能性もあるわ。
 ダジーを始めとする傭兵達は……もう救うのは間に合わないかもしれないわね。楽にしてあげるのが良いでしょう」
 リリィはそう言って依頼書をイレギュラーズに手渡した。
「ダジーは用意周到な男よ。きっと罠を仕掛けていると思うから、注意して挑んでね。無事に帰ってくることを祈っているわ」
 依頼書を受け取ったイレギュラーズは、早速動き出すのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 ザントマンを中心とした事件は佳境を迎えました。
 砂の都を制圧し、安全を確保しましょう。

●依頼達成条件
 砂の都内縁部の安全確保

■オプション
 ダジー・コルドンの殺害

●情報確度
 このシナリオの情報精度はBです。
 情報は全て信頼できますが、想定外の出来事も起きるかも知れません。

●敵勢力について
 ■ダジー・コルドン
 オラクル派からカノンへと寝返った奴隷商の元締め的人物。
 用意周到で臆病な人物であり、罠を張り巡らせることに長けている。
 一度はイレギュラーズによって捕らえられたが、牢獄から逃げ出した。
 眠りの砂を大量に持っているようだ。

 ■ダジーに付き従う傭兵
 ダジーと共に寝返った傭兵達。数は十人。
 それなりに精鋭で、イレギュラーズにも引けを取らない強さがあります。
 狂気の影響下にあり、冷静ではないようだ。

 ■グリムルートを付けられた幻想種達
 グリムルートによって操られている幻想種達です。数は十人。
 戦闘に長けてるわけではありませんが、狂気の影響でその力を増しています。
 グリムルートはそれなりに硬く、イレギュラーズの一撃やそこらでは破壊できません。
 安全に外すには意識を奪うのが早いでしょう。

●戦闘地域について
 砂の都での戦闘になります。
 砂に埋もれていた都市部で、戦闘行動は自由にできるでしょう。
 建物などの障害物があり、地形を利用することは出来るはずです。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • <YcarnationS>寝返りの末路完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年11月04日 22時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
オフェリア(p3p000641)
主無き侍従
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ
コゼット(p3p002755)
跳兎
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
レスト・リゾート(p3p003959)
遠足ガイドさん
ゼファー(p3p007625)
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士

リプレイ

●砂の都~偵察~
 ザントマン事件の行き着く先は、砂に埋もれた砂の都。
 今、イレギュラーズ及びラサはディルク派の一大陣営が、砂の都中心分を目指し行動を開始していた。
 砂の都都市部外縁。
 この場所の安全確保を受け持つイレギュラーズは、慎重に偵察を重ねていた。
「事前情報通り、相手も展開して待ち構えていますね。
 待ち構えられている以上、無策で突入する愚は犯せません。クローネ様――」
「……ええ、準備はできているッスよ。
 ……上空と地上。二方面からの観測。上手いこと敵の布陣を把握するとするッス……」
 偵察の要となるのは『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)と『幻灯グレイ』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)の両名だ。
 ファミリアーを使役し、砂の都を俯瞰し観察する。
(敵の配置――傭兵、幻想種、そしてダジー・コルドンの居場所)
 アリシスは鳥のファミリアーを使役し、丁寧に敵の布陣を確認していく。都市部外縁、その中央には多くのグリムルートにより狂気を受ける幻想種が確認できる。比較的手薄なのは東西の迂回路だろうか。
「作為的なものを感じますね……」
「やっぱり左右の道は罠ッスかね……あれだけ手薄だと怪しいものッスけど……」
「ええ、それに、巧妙に隠蔽されてますけど、手薄な場所にはいくつも罠がありますね。見えざるものを見る私の眼を使わないと見つけられないなんて、相当に用心深い者が設置した罠と言えるでしょうか」
「ダジー・コルドン。……狡猾で、卑怯で、臆病……ええ、知っていますとも……そう言うのが一番面倒くさいんですよ……」
「臆病者の私が言うのだから間違い無いッスよ」とクローネが皮肉を浮かべた。
 二人の偵察は高い精度で敵の布陣、そして多くの罠を見つけることに成功したと言えるだろう。
 特にダジーの設置した罠に目星を付けられたのは、かなり優位に立てたポイントだ。手薄な通路においても用心を重ねることができる。
「正面突破はやはり難しそうだな。と、なると東西の迂回路から侵入していく感じか?」
 『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の確認に、『主無き侍従』オフェリア(p3p000641)が頷きつつ思案する。
「アリシスさんとクローネさんの情報を元に分析すると、中央には幻想種が多く配置されています。正面突破は汰磨羈さんの言うように難しいでしょう。ダジーの居所は確認できていませんが、都市部外縁より奥に行った所にダジーに付き従う傭兵達が多く固まっていることから、その周囲に潜んでいる可能性は高いでしょう」
「牢獄から、逃げ出す準備までしてたくらいだし、ここでも逃げ出す準備はしてそうだね」
 『孤兎』コゼット(p3p002755)の言葉に、『遠足ガイドさん』レスト・リゾート(p3p003959)が相槌を打つ。
「そうね~。けれど、ダジーも行き場をなくしているわ……。ここで、寝返るにしてもそれなりの成果を魔種へと持ち込まないと難しいんじゃないかしら~。だから、逃げるにしても、最後の最後にしそうな気がするの~」
「同感ね。転んでもタダじゃ起きないって感じのヤツだけれど、ここが正念場って自覚はあるでしょう。ダジーの相手は出たとこ勝負になりそうだけれど、そこは機転を利かせていきましょう」
 ゼファー(p3p007625)がそう言うと、全員が同意するように頷いた。
「進行ルートは東西どちらがいいだろう? 罠や巡回はどちらも同じようなものだが……周囲の建物の配置敵には西側がベストか?」
 『白狼剣士』天之空・ティーザ(p3p007693)が確認すると、オフェリアは今一度思案して、頷いた。
「隠れて進むには良い環境ですね。良いと思います。あとは未確認の罠にだけ気をつけて、慎重に数を減らしていきましょう」
 方針が固まるとイレギュラーズは立ち上がり武器を手に取った。
 砂の都を舞台に、イレギュラーズの奇襲戦が始まろうとしていた。

●砂の都~奇襲~
 砂の都の外壁に沿うように、イレギュラーズ達が走る。
 吹きすさぶ風に乗った砂を噛まないように、口元を覆いながら目を細める。砂塵に紛れて動く影を捕らえたからだ。
(巡回か。数は二。この数ならば――)
 汰磨羈が武器を構え、距離を詰める。身につけている忍び足は砂を踏む音すらも立てず、一気に彼我の距離を詰めた。
「――!?」
 突如躍り出た汰磨羈の影に、巡回を行う幻想種の顔が驚愕に染まる。そして反射的に腰のポケットへと伸ばされた手を、汰磨羈は見逃さなかった。
「遅い――」
 振るった刃が腰に携えられたサイドバッグを切り裂いて、中に潜む『眠りの砂』を白日に晒す。
 狙いを読まれた幻想種が武器を構えるも、汰磨羈の反応はそれを凌駕する。五行相生のサイクルが生み出す莫大な霊力によって加速する汰磨羈の神経は、刹那の呼吸で強力無比な一歩を踏み込んで、音速を超える衝撃を叩き込む。
「む、いかんやりすぎたか?」
「大丈夫です。息はあります」
 壁面に叩きつけられた幻想種の安否を確認したアリシスが汰磨羈に伝える。イレギュラーズ達は手早く幻想種につけられたグリムルート破壊した。
「今の音を聞きつけたようですね。幻想種は耳が良さそうではありましたが、僅かな物音にも敏感なようです。敵の数は二体。恐らく中央の幻想種が様子を確認しにきたのでしょう」
 オフェリアがエネミーサーチを用いて、敵性存在を知らせる。ファミリアーに頼り切りにならないようにスキルを駆使していたのが功を奏したと言えるだろう。
「全員でこないなら好都合ね。数を減らしていきましょう」
 ゼファーの言うように、中央にて警戒している敵が一斉に来ないのなら、都合が良い。イレギュラーズは待ち伏せして、これを撃破することに決めた。
「――っと、その前に」
 汰磨羈は地面に落ちた『眠りの砂』を拾い上げる。読み通り幻想種が持っていたとなれば、これを逆に利用しない手はなかった。
 イレギュラーズが砂に沈んだ建物に身を隠してしばらく、警戒しながら進む幻想種二人が現れた。
 二人の幻想種は倒れている仲間を発見する。襲撃者がいるのだと、気づいたその瞬間を狙って、イレギュラーズが一斉に襲いかかる。
「悪いわね、しばらく眠って貰うわ――!」
 一瞬で肉薄したゼファーが手にした槍を回転させ、石突で幻想種の持つ武器を弾き飛ばす。流れるように身を捻って空いた拳で幻想種の顎を打ち据える。脳を揺らされた幻想種が溜まらず昏倒する。
「貴様も仲良く眠っていて貰おうか――!」
 ゼファーが一人を倒してる最中、ティーザがもう一人を相手取る。振るわれた凶刃を受け流すと、拳闘によって同じように昏倒させる。
 倒れた幻想種のグリムルートは、最初の一人と同じように攻撃を加え破壊する。こうしておけば、少なくともこれ以上の狂気に晒されることはないだろう。
「さて、なんとかなったが、これで相手も確実にこっちの存在に気づいただろうな」
「バラバラに動くってことはなさそうね~、どうしようかしら?」
「奇襲を仕掛けたいところですね――とは言えなにか策は……」
 それぞれが思案を浮かべたところで、汰磨羈が入手した『眠りの砂』を見せて言う。
「ならばこれを使おう。残り七人、半数くらいは無力化できそうだ」
 汰磨羈の案にイレギュラーズは乗ることにした。
 イレギュラーズを迎え撃とうと、残る幻想種七人が迂回路を走る。
「こっち。こっちだよ」
 その注意を引くのはコゼットだ。
 卓越した回避力は、たとえ七人に追い立てられたとしても翳りを覚えることは無い。次から次へと襲い来る幻想種達の攻撃を見事に避けきり、誘導する。
 高い建物が並ぶ路地へと幻想種を誘導すると、コゼットは足を止めた。
 好機とみた幻想種の一人が『眠りの砂』を取り出し撒こうとする。
「それはダメ。ガードするよ」
 咄嗟にコゼットは地面に積もる砂を蹴り上げて、舞い散る砂をガードする。当然これで全てを防ぐことは叶わないが、効力を軽減することには成功したようだった。
「コゼットちゃん、下がって――」
 そこにレストが割り込んでコゼットを下がらせる。レストの特筆すべき特殊抵抗は、軽減された眠りの効果をものともせずに、自由な活動を可能とする。
「全員とは行かないけれど眠って貰うわよぉ~」
 反撃とばかりにレストは手に入れた『眠りの砂』幻想種達に撒き、その半数を無力化する。同時、イレギュラーズ達が一斉に姿を見せて、残る幻想種達を囲んだ。
「少し痛いかもしれませんが、我慢せずに倒れてくださいね」
 不殺を心がけるイレギュラーズ達は、一斉に幻想種へと攻撃を繰り出していく。
 残った幻想種が意識を失うまで、そう時間はかからなかった。

●掃討戦
 幻想種を倒している間、都市部外縁奥より傭兵達が動くことはなかった。
 まるで何かを守ろうとしているかのような防衛的陣形に、イレギュラーズの瞳は自ずとその背後にある建物へと向けられる。
「ダジー・コルドンという男のことです。傭兵達を餌に自分は安全な場所から観察――或いは横やりを入れてくるでしょう。魔種に寝返る選択をした以上、ここより先に逃げ場などないのですから」
「……逃げを打つ前に一矢報いてくるッスか……。コソコソと隠れて、それを行おうというのが、実にらしいッスね……」
 オフェリアに相槌を打ちながらクローネが言う。
「で、あれば傭兵共の相手をしつつ、ダジーの罠に注意しないとダメか。難儀なものだな」
「まあ、なんとかなるよ。大丈夫、大丈夫」
 多くの敵を引きつけることになるコゼットが自信ありげに言うので、汰磨羈もやれやれと肩を竦めて「付き合うとするか」と苦笑した。
「ダジーを見つけ次第情報を共有します。ダジーに逃げられると言うのが一番厄介な気がしますしね」
 アリシスの言葉に頷いて、イレギュラーズは行動を開始した。
 すでに幻想種達を撃退したことは、傭兵達にも知れているようであった。周囲を警戒しながら、イレギュラーズ達が出現するのを待ち構えている。
 周囲は視線の良く通る広場だ。奇襲は恐らく上手くいかないことは予想できた。で、あればイレギュラーズの取る道は正面からの進撃に他ならない。
「コゼットいけるか?」
「うん、任せて」
 先手を取って敵陣に切り込むのはコゼットだ。防御を固める傭兵達の周囲をまさに縦横無尽に跳ね回り、その視線を奪う。
 コゼットへと注意が逸れたのを確認すると同時汰磨羈が霊球を放ち生命力を削ぐ呪界を発生させる。勢いままに、汰磨羈の乾坤烈匝陣が傭兵の一人を取り込んだ。乱撃による追加攻撃が傭兵の肉体を削ぎ、霊子へと分解していった。
「負けてられないわね」
「私達も続こう――」
 コゼットと汰磨羈を援護するように、ゼファーとティーザも傭兵達に攻撃を仕掛けていく。
 回転させた槍から放たれる強烈な一撃が、受け流そうとする傭兵を弾き飛ばす。荒れ狂う厄災の戦士を彷彿とさせるゼファーのスタイリッシュな攻めは、歴戦の傭兵達であっても手を焼く業物だ。
 そんなゼファーを支援するティーザは、混沌肯定の影響を受け、他の者と比べると混沌における戦闘経験が少なく、傭兵を相手取るのも普通なら厳しいだろう。だが、ティーザは自称『普通の女子高生』でありながら、その剣の冴えは普通ではない。
 歴戦の傭兵の太刀を経験によって磨き上げられた剣技で受け流し、ダメージを軽減する。コゼットが敵を引き連れすぎてしまった際には、即座に傭兵の敵視を稼ぎ、負担を受け持つ対応力も見せた。
「背後の建物内には、ダジーの姿がないようです」
「こっちも隈無く探したッスが、見つからないッスね……」
 四人が傭兵を受け持つ間に、アリシスとクローネがファミリアーを活用してダジーを探していた。予測された背後の建物内にその姿はない。だとすると――
「――! そっち!?」「西の建物だ!」
 ゼファーの直感と、ティーザのギフトによる察知が同時に危機を知らせた。
 二人の声と同時、西の建物よりイレギュラーズの上空に何かが投げ込まれる――『眠りの砂』だ。
 傭兵達も巻き込んで投げ込まれた『眠りの砂』によって意識が奪われそうになる。
「大丈夫よ、おばさんにまかせて~。ちょちょいのちょいっと~」」
 こんなとき頼りになるのはレストの存在だ。『眠りの砂』によって意識を奪われかける仲間達を超分析によって治療していく。
「オフェリアちゃん!」
「心得ています――!」
 レストに呼びかけられて即座にオフェリアが動く。ダジーの居場所が分かった以上逃すわけにはいかない。
 塀を足場に器用に跳躍して西側の建物内へと飛び込んだ。
「ひっひっひっ……! 後詰めがいたのかい……!」
「逃がしません!」
 飛び込んできたオフェリアへ向けてダジーが手にした銃の引き金を引いた。オフェリアは致命傷へと至らないと踏むや否や、距離を詰めながら魔力を編んだ。
「ひっひっ……!?」
 下卑た笑いを浮かべながら、しかし余裕のないダジーは、オフェリアの放つライトニングに腕を焼かれる。痛みに悶えながらもオフェリアから逃げるように建物の外へと走る。
「こっちは通行止めですよ」
 脇道に逃げ込もうとするダジーをクローネが止める。次いで、アリシスも現れ――『眠りの砂』によって動きの鈍った傭兵達を倒したイレギュラーズ達が駆けつけるのはすぐのことだった。
「ひっひっひっ……まずいねぇ……どうしようかねぇ……」
 血走った眼で呟き続けるダジーは、真実追い詰められていた。

●寝返りの末路
「ひっひっ……まいった……こりゃ降参だぁ……」
「そのセリフ、前にも聞いたことがあるわね~」
 油断なくダジーの様子を伺うレスト。以前もこの流れから、ダジーは別の逃走手段を用意していた。同じように捕まるそぶりを見せてまた逃げだそうという魂胆かもしれない。
「さて。この状況を覆せる手は残っているか?」
「いやいや、ほんと、もう策はないでさぁ。アンタ達を全員傭兵共と一緒に眠らせて逃げ出すつもりだったが、まーた眠らない厄介なおばちゃんはいるし、後詰めのお嬢さんもいるときたもんだ。わたしの罠も全部見破られちまうし、まったく打つ手が無いとはこういうことでさぁ」
 喋りながら、ダジーがジリジリと動いて行く。逃げ出す隙を窺っているのだろうか? イレギュラーズはダジーの一挙手一投足に注視した。ダジーは言葉を続けようとするが、汰磨羈がそれを制した。
「くだらん話はいい。報いを受けろ。この刃こそが、貴様には相応しい!」
 飛びかかる汰磨羈の一撃を、ダジーは肉を切らせながらしかし致命傷を避けて転がった。
「ひっひっひっ……! 血気盛んなお嬢さんだ。抵抗する意思のない者を殺そうってかい……! 怖いねぇ……怖いねぇ……ひっひひ」
「道化め……!」
「汰磨羈、熱くならなくていい。
 やーい、脱獄者の極悪人ー。大人しく捕まれば、また牢屋に……は、もう行けないよ。残念でした」
「ひひ……っていうと……?」
「うん。もう逃げられないように、殺しちゃうよ」
「ひひぃ……こっちのお嬢さんも慈悲がないようだぁ!」
 イレギュラーズから少しでも逃げようと壁を背にするダジー。臆病なその様子に、ティーザが挑発的な言葉をぶつける。
「こんな子供相手でも逃げるのか。それでも男か貴様!」
「ひっひっひっ……女子供でもわたしのようなヤツより強い。イレギュラーズって言うのはそういうもんでしょう」
 ダジーは皮肉そうにそう言うと壁にピタリと張り付いた。
「オラクルについてりゃいい目を見れるかと思ったが、ありゃだめだ。先がねぇ。勝ち馬に乗るなら相手が誰だろうと関係ねぇさね。魔種の女を籠絡して、わたしは生き抜くと決めたね!」
 叫びだしたダジーの異変に、ゼファーとオフェリアが気づく。注意を促そうとした瞬間、ダジーが張り付いていた壁が、爆発した。
「自爆……!?」
「いや違う、見てください!」
 ダジーがぴたりと張り付いていた壁の部分だけが爆発に巻き込まれず残っていた。左右の壁の爆発に紛れてダジーは逃げ出したのだ。
 あわててダジーの流した血の跡を追いかけるイレギュラーズが、ダジーの影を捉えるのは、そう難しくはなかった。

「ひっひっひっ……大丈夫だ、逃げ切ってみせる……!」
 血を流しながら走るダジー。砂の都に点々と残す赤い跡には気づく余裕はない。
 そんな彼の目の前にゆらりと、影が現れた。
「ひっひひ……!? 幻想種!? 丁度良い、殺されたくなかったら後ろから追いかけてくる奴らを止めな!」
 懐に忍ばせた小銃をつきつけ、ダジーが吠える。それは奴隷相手にいつもしているダジーの日常の光景だった。
 だが、状況はそんなダジーの日常を許しはしなかった。
「わたしは……私達は奴隷じゃ……ない!」
 狂気に染め上げられながら、幻想種はそう強く言葉にした。そして、背に隠した短剣を持ってダジーの喉元を切り裂いた。
「こひゅ……」
 奴隷として扱うものに反撃されるなど夢にも思わないダジーは、驚愕の色を顔に張り付けたまま絶命した。
 倒れるダジーの死体に何度となく短剣を突き立てる幻想種を、イレギュラーズは眼にすることとなった。
 寝返りの末路は――日常の逆襲で締めくくられたようだった。

成否

成功

MVP

コゼット(p3p002755)
跳兎

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。

 MVPはコゼットさんに贈ります。おめでとうございます。

 ゆっくり身体を休め、次の依頼をお待ち下さい。

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