PandoraPartyProject

シナリオ詳細

秋空の下で

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●困ったことが起きました
「大変なの! この本の世界で困ったことが起きたの!」
 そう言ってジェミニが突き出したのは、どう見てものどかな秋の行楽シーン。
 ここ最近は朝晩は冷えるが昼間は暖かい。
 どこかに出かけるには丁度良い時期だ。
「お出掛けは良いのよ! でも見て! このシーン、どこを読んでものんびり散歩したりお話してるだけなの!」
 のどかで良いじゃないかというイレギュラーズに、ジェミニはぷくっと頬を膨らませた。
「ピクニックにはお弁当が付き物でしょう? みんなにはお弁当を用意して欲しいの!」

●材料はすぐに手に入る物でお願いします
「でも、お弁当を用意しても自分たちで食べるしかないよね?」
 その言葉にジェミニははっとなった。
「確かに、お弁当は自分たちで食べる物を用意するのが普通なのよね。だったら、ピクニックを楽しんでいる人たちにも渡せるようにしなきゃ……!」
 しかもこの本の世界で慣れ親しんだ食材でなければ怪しまれるかもしれない。
 幸い本の世界はパンが主食で、一部の旅人から見たら洋食と呼ばれる料理や食材がある世界だ。
「そうだわ! サンドイッチにしましょう! それからお店みたいにすればピクニックに来ている人達も受け取ってくれるはずよ!」
 名案だと頬をバラ色に染めるジェミニに、その場に居合わせたイレギュラーズたちは顔を見合わせた。

NMコメント

 ゆーきです。秋の行楽シーズンです。
 ピクニックのお弁当ってなんだかわくわくしませんか?

●目的
・美味しいサンドイッチを作って配る。
 サンドイッチならパンの種類や中身はお好みで。

 配り方は広場にあるテーブルを借りてその上にサンドイッチを並べて呼び込みも良し。
 少しずつ持って自分から声をかけて行くも良し。
 もちろん皆さんのアイデア次第で他の方法で配るのも大丈夫!

 サンドイッチを配り終えたら皆さんもピクニックを楽しんで下さい。
 紅葉にはまだ早いけど、外でのんびりするには丁度良い気候です。

●ロケーション
 広々とした芝生の広場。
 座っておしゃべりを楽しむ友人同士に一緒に遊ぶ家族連れ。手を繋いでデート中の恋人や犬の散歩中の人も。

 サンドイッチは広場のすぐ近くにある多目的会館の一室で作れます。
 一般家庭程度の器具は揃っているし、材料もサンドイッチに使う大体の物は用意出来ます。


 皆さんの美味しいサンドイッチ、お待ちしております。

  • 秋空の下で完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月23日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
アニー・K・メルヴィル(p3p002602)
零のお嫁さん
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人

リプレイ


 開けた窓から心地良い秋風が入ってくる中、パンを焼く良い香りがふわりと広がった。
 香りの発生源は『イカダ漂流チート第二の刺客』エル・ウッドランド(p3p006713)が開けたばかりのオーブン。
 良い色合いに焼けたパンはエルが故郷で食べていた、ほぼ大麦100%のパン。エルはこれを使ってホットサンドを作るつもりだった。
 そんなエルの手伝いをしているのは『和食料理長』ゴリョウ・クートン(p3p002081)。彼もこの世界にはないパンを使うサンドイッチを作るつもりなので、自分たちでパンを作り、焼きあがるのを待っている。
「良い感じに焼きあがったな! 具の方はどうだ?」
「後はコロッケを揚げるだけです!」
 エルもゴリョウも仕上げは広場で行うので、この場で行うのは下準備だけ。既に冷蔵庫の中にはゴリョウの用意した下準備済みの肉やソースや、エルが焼いた卵焼きが今か今かと出番を待っている。
 逆にこの場で仕上げてしまうのは『フランスパン・テロリスト』上谷・零(p3p000277)と『お花屋さん』アニー・メルヴィル(p3p002602)だ。
 零のギフトで用意したフランスパンを二人で手分けして切っていく。二人並んで同じものを作っていくのは、何だかくすぐったい。
「零君、たまごはこれぐらいで良いですか?」
 ゆで卵を潰してマヨネーズと塩胡椒で味を調えた物を、半分に切ったフランスパンにたっぷり塗る。柔らかめのフランスパンにたっぷりのたまご。たまご好きには溜まらない一品だ。
「うん。それぐらいたっぷりでお願いするよ」
「じゃぁ残りも仕上げちゃうね!」
 アニーがたまごサンドを仕上げている間に、零はカリっと焼いた分厚いベーコンと、しゃきしゃきレタスをたっぷり挟んだベーコンレタスサンドを作る。ばりっと噛み応え抜群のフランスパンと、旨味たっぷりのベーコン、シャキシャキしたレタスの組み合わせがたまらない。
 完成したフランスパンサンドをアニーが食べやすいサイズに切って、花束の要領で薄茶色のクッキングシートでお洒落に包む。
「おぉ……! 一気にお洒落になった……!」
 クッキングシートで包むだけなのに、一気にお洒落なカフェで出てくるような雰囲気になったサンドイッチに、零は感動を隠せない。
 だけどお洒落はこれで終わらない。次に作るのは、サンドイッチ自体もとってもお洒落になる予定だ。
 柔らかいフランスパンを多めに取り出すと、半分に切って中身をくりぬく。くりぬいた中身はボールにまとめて、皮の方に零が頑張って潰したしっとりマッシュポテトを塗っていく。その上に細く切った人参、キュウリをバランスよく敷いたら、ソーセージを乗せ、ソーセージが真ん中になるようにぎゅっと巻いて行く。ラップに包んで形が落ち着くまで少し置いてから、輪切りにすれば恵方巻サンドの完成。
 零とアニーは恵方巻サンドが落ち着く間にデザートサンドを作り始めた。
 普通のフランスパン――零のギフトで出せるフランスパンは、好きな硬さを選べるのだ――を1.5㎝程に切って、その上生クリームをたっぷりと。後はブルーベリー、クランベリー、ストロベリーをバランスよく乗せればデザートオープンサンドの出来上がり。
「零君、はいあーん♪」
 出来たてのデザートサンドを手に取ると、アニーはにっこり笑って零の口元に持って行く。
(え、味見かと思ったらまさかの『あーん』!?)
 突然のことに真っ赤になる零だが、何とか口を開けてデザートサンドを頬張る。
 デザートだから甘いのは当然だけど、口の中だけでなく心の中まで甘くなるのは気のせいだろうか。だから零は気づかなかった。
「どうかな?」
「ん、うん……。凄く……甘くて美味しい……」
「やったぁ! じゃぁこれは向こうで仕上げた方が良さそうだから、恵方巻サンドの準備するね!」
 そう言っていそいそとラップに包んでいたサンドイッチを切っていくアニーの白い耳が、ほんのり赤く染まっていることに。
「青春だな」
 零とアニー、二人の様子を見てぶははは! と笑うゴリョウに、エルは焼きあがったパンを取り出しながら首を傾げた。
「青春、ですか」



 その日、広場に来ていた人たちは突然の良い匂いに広場の一角に集まっていた。
 そこにはテーブルの上に綺麗に並べられたたまごサンド、ベーコンレタスサンド、生クリームがたっぷり乗ったデザートサンド。そして一切れでも花のような恵方巻サンドは、沢山並べられて花畑のようで目を引く。
 そしてテーブルの隣には『サンドイッチ』と書かれたのぼりのついた屋台。その奥ではゴリョウがエプロンに三角巾を付け、更に愛用の調理用具を広げて下味をつけた肉を焼いている。
 よく熱された鉄板で肉が焼ける音に、照り焼き特有の甘じょっぱい匂いが広がる。洋食に慣れ親しんだ人たちには馴染みがない香りだが、そこに少しバターを加わるだけでどこか懐かしい香りになるのは何故だろう。
 その隣ではエルがホットサンドを仕上げている。
 膨らまない故郷でよく食べていたパンだが、ホットサンドにするにはぴったりだった。
 定番のハムチーズはしっかりとした素朴なパンに、とろりと蕩けるチーズとあつあつのハムの旨味が絡み合う。
 コロッケはその場でパンの表面だけ焼いて、たっぷりのキャベツの千切り、濃厚なソースとタルタルソースを挟んで。ざくざくとしたコロッケの食感と濃厚な二種類のソース、ずっとしりとしたパンの味が口いっぱいに広がった後、千切りキャベツがさっぱりと口の中を軽くしてくれる。
 胡椒を効かせた厚焼き玉子はチーズと一緒に挟んで。優しい味の卵焼きとコクのあるチーズが絡み合い、胡椒がぴりっと引き締める。
 ついでにとコンビーフとみじん切りにした玉ねぎをマヨネーズで和え、チーズと一緒に挟んだものも焼き上げる。玉ねぎの甘味とコンビーフの溶けだした脂が絡み合い、どっしりとした田舎パンとチーズが素朴ながら舌に残る味を作りだす。
 味見用にと一口サイズに切った物を口の中に放り込めば、懐かしい味にエルの頬が自然と緩む。
「こっちも味見してみないか?」
 そう言ってゴリョウが差し出したのはミディアムレアに焼かれたステーキを挟んだサンドイッチ。
 とはいえただのステーキサンドではない。
 パンはゴリョウが丹精込めて育てたゴリョウ米、もとい混沌米『夜さり恋』から作った米粉パン。もっちりしっかりとした食感と、噛めば噛むほど増す甘味が特徴のパンだ。そしてステーキにかけられているソースにも拘りが。
 米粉パンの旨味を生かすために、ステーキソースではなくあえて和の食材であるわさびと醤油を使ったソースをゴリョウは選んだのだ。
「頂きます!」
 いそいそと一切れ口にしたエルは、その味にうっとりと目を閉じた。
 もっちりふんわりとした食感の後、口いっぱいに広がる甘味。そしてソースの少しピリッとした刺激とコクのある旨味。そして肉のうまみがギュッと詰まったステーキ。
 シンプルなのに、シンプルだからこそ美味い。
「~~~!!」
 言葉にならない美味しさに感動していると、匂いにつられた人達がやってくる。まずはいっぱい遊んでお腹も空いている家族連れ。子供がわくわくした様子を隠せずにテーブルの上を覗き込んでいる。
「こんにちは。今日はサンドイッチをみんなに食べて貰いたくてやって来たんだ。良かったら一口食べてくれないかな?」
 子供と視線を合わせてアニーがたまごサンドを一切れ差しだすと、子供は好奇心のままにそれを受け取り口にする。
「おいしい!」
 素直に思ったことを口にする子供に両親が慌てて謝る。だがアニーはにっこり笑顔だ。
「今日は行楽で食べるサンドイッチの美味さを伝えに来たんだ。がっつり遊んで小腹が減ってるなら、良かったら味見してくれ! 俺のもおススメだが、こいつらのもおススメだ!」
 焦げた味噌が香ばしい、味噌漬け焼き豚と大葉、千切りキャベツの米粉サンドを一切れずつ差し出すと、両親はおずおずとそれを受け取り口にする。
「! 美味しい……!」
「うん。これ凄く美味しいわ」
 あっという間に食べてしまった両親を見て、子供が自分も食べたいと言い出す。それを見て、エルとアニーが一人一切れ、色んなサンドイッチを箱に詰めて差し出した。それからエルが用意したほうじ茶と、アニーが淹れたハーブティーも一杯ずつ。
 家族が箱を手に歓喜の声をあげると、犬の散歩をしていた人とデート中の恋人たちがやってくる。同じように試食して、喜んでくれたら一切れずつ箱に詰めて差し出す。
「出かけるだけじゃなくて、外で一緒にご飯を食べるのも良いね」
「今度は自分たちで作って持ってこようか」
 近くの椅子に座って仲良く食べる恋人たちの言葉に、零とアニーは顔を見合わせ笑い合う。
 最後にやって来た賑やかな友達同士にもサンドイッチを渡せば、後は自分たちがピクニックを楽しむ時間。
「エルのホットサンドは素朴だけどどっしりとして美味いな」
「ゴリョウさんの照り焼きサンドも凄く美味しいです! 後でレシピ教えてくれませんか?」
「勿論構わないぜ! 代わりに恵方巻サンドの作り方教えて貰っても良いか? 可愛いって喜んでくれそうだ」
「ピクニックで美味しい物がいっぱいって幸せです……!」
 綺麗な景色を見ながら美味しいサンドイッチを食べる。広場に散らばって同じようにサンドイッチを食べる人達を見ると、エルの呟きが、きっとみんなを代表してのように思えた。
「そう言えば、恵方巻サンドでくりぬいた中身でパンプティング作ったんです」
「お! 良いねぇ!」
 アニーが生クリームを乗せたパンプティングを取り出せば歓声が広がる。賑やかなピクニックはまだ終わりそうにない。


 その後、この世界ではサンドイッチを箱に詰めて出かけるのが流行になり、定期的にサンドイッチコンテストが行われるようになったとか。

成否

成功

状態異常

なし

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