シナリオ詳細
GorillaGoldGoriject
オープニング
●特異霊長座標(ゴリギュラーズ)
「ウホホ!」
拳を掲げる黒毛深き霊長類。
太陽のきらめきを拳にうけ、歯をむき出しにして叫んだ。
「ウホホ、ウホウッホ! ウホ……? ウホホウホホホワッキャア! ワキャアアアアアア!」
「「ウッホウッホ!」」
囲む無数の黒毛深きものどもは、賛同するように拳を掲げる
彼らは混沌に生まれし種族たちであり、独自の文化と森の加護によって生きる毛深――じゃなくて気高き一族だ。
自然を守る意味をもつ『護』。
自然界のルールを意味する『理』。
そして大自然の怒りを表わす『羅』。
その三つをあわせ、彼らは『ゴリラ』と呼ばれた。
「ウッホウウホ!」
「「ウッホホウッホ!」」
「ウッホウウホ!」
「「ウッホホウッホ!」」
中央のゴリラが右の胸を叩けば勇気が生まれ。
左の胸を叩けば愛が生まれる。
そんな彼らが今まさに立ち向かわんとしているのは山を犯す蛮族の群れである。
手に手に松明を持ち、山を焼き払わんとする愚かなる者ども。
自然への経緯も子々孫々への愛も持たぬ者どもだ。
「ウホホウホウッホ!」
一ゴリラが戦の構えをとり、走り出す。
それに続き、周囲のゴリラたちもまた走り出した。
残されたのは一人の子ゴリラだ。
子ゴリラは……いや、全てのゴリラが理解していた。
蛮族たちの持つ刃は鋭く、銃弾は拳より長く届くことを。
炎は山を焼き、ゴリラの里をも炭と化してしまうであろうことを。
ゴリラたちは今、誇り高く死ぬべく走り出したのだ。
子ゴリラは小さく右胸を叩き、小さく左胸を叩き、そして力強くドラミングを始めた。
叫び、叫び、走り出す。
大人ゴリラたちとは別の方向へ、別のものを求め、走り出した。
行き先は幻想王都、ローレット。
求めるものは、未来と希望……!
●Gorilla Gold Goriject
「うほほ、うっほうほうほ、うほほ!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が両手をグーにして胸を叩いていた。
わかるよ。
言いたいことは分かる。
ドラミングはパーにしてやるものだっていうんだろ?
「うほほうっほ! うっほうっほ!」
ユリーカの説明は、この不器用なドラミングを見れば分かって頂けるだろう。
幻想東部に存在する神聖なゴリラ山。
そこには『ゴリラ』という種族が暮らしているということを。
彼らは山の精霊に祝福されし動物たちだ。
山と共に生き、死に、生命を巡らせる山の守護者たちだ。
そんな彼らがカオスシード蛮族たちによる山狩りにあっているということを。
蛮族たちは山に生息する希少動物の革や骨を乱獲し荒稼ぎをしようとしているのだ。
ゴリラたちは彼らに戦いを挑んだが、大勢の武装した蛮族に勝てるとは思えない。
そう確信した子ゴリラが、ローレットへ助けを依頼しに来たということを。
「うほほ! うほほ! うほほうほ!」
ユリーカの不器用なゴリラ語を聞いていれば、心にしみるほど理解できるはずだ。
神聖なゴリラ山には山の精霊による祝福がかかっており、ゴリラ性をもつものに加護を与えることがだ。
ゴリラたちが不利でも、蛮族たちが大量にいても、ゴリラの奇跡(Gorilla Gold Goriject)が起こせるということを。
その可能性はゴリラならぬものにも平等に与えられている。
そう、イレギュラーズたちにも、ゴリラ性は存在しているのだ!
「うほ!」
さあ右胸を叩け!
「うほ!」
左胸を叩け!
「うほほうほ!」
愛と勇気とゴリラを胸に、戦うのだ! ゴリギュラーズよ!
- GorillaGoldGoriject完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年03月02日 21時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ウホホウッホ! ウッホホ、ゴリラ!
君たちは知っているか。ゴリラの心を。
君たちは持っているか。ゴリラの魂を。
君は、ゴリラたりえるのか……!
大地を駆ける八つの影。先頭を走るは一頭の子ゴリラだ。
その横に並ぶように、もう一頭のゴリラがナックルウォークで併走する。
異世界のゴリラ、『GORILLA』ローラント・ガリラベルク(p3p001213)である。
「護理羅……遥か異世界にも同胞はいたのだな……とても嬉しく思う。そして子ゴリラの想い、遂げねばならないな――ゴリラ・イリエよ」
「エスラだってば! ラしか合ってないじゃない!」
後ろを走るのは『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)だ。
「エ……ゴリラ」
「い、いいわもう」
このゴリラどうにかしてよという目で横をチラ見すると『冒険者』ヴィンス=マウ=マークス(p3p001058)がバツの悪い顔で目をそらした。
「私にふるな、どうにもできん。なんだ、自然や動物を守るって言う点じゃぁ分かりやすいじゃないか。キッチリ仕事をこなせばいい。だろう?」
どこかハードボイルドに振り返るヴィンス。
そんな二人を追い越して、『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)が先頭集団に躍り出た。
「郷里(ゴリ)に入っては郷里に従え。ならば俺も郷里の作法に従おう! ウホォォホァーーーー!!」
突如ゴリラと化した行人にヴィンスたちは軽く戦慄したが、こんなものは序の口。ゴリラのゴの字だ。
『白銀の大狼』ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)が持っていた剣を突如として投げ捨て、リンゴを素手で握りつぶした。
「アタシは、ゴリラ」
自分に言い聞かせるように呟き、エスラたちに『グブーフ』とゴリラ式挨拶を送った。
ルーミニスには……いや、この場の全員はもう分かっていたのだ。
子ゴリラの切なる願い。
そしてゴリラの心を。
「今のアタシは『白銀の大狼』ではないわ。『白銀の大猿(シルバーオール)』ゴーリウス・ゴリトリウスよ!」
「ウホホッホホホホ! ウッホ、ウホホーウォフォッ、ウホホイウホホンワギャァッウォホン!」
「ウホッホホウッホホホホォギャァウゥホッホ!!!!!!!!!」
胸を激しく叩き始める『嘘か真か、虚の戦士』ウォリア(p3p001789)と『本能を生きる漢』ガドル・ゴル・ガルドルバ(p3p002241)。
彼らの雄々しきドラミングは、言語を超え、種族を超え、世界すらも超えるかのようなエネルギーをもって響き渡った。
いつもはただの戦士。しかし今日に至りてはゴリザムライ。さまよう鎧は、ゴリラ鎧となったのだ。
それはガドルも同じだった。自然を、大地を、住処と仲間を守るため戦う戦士(ゴリラ)に、彼もまたいちゴリラとして加わる決意をしたのだ。
そんな二人の視線をカッとうけ、ぷるぷるしていた『ショタジジイな魔術師』棗 士郎(p3p003637)が両手をパーにして振り上げた。
「ええいこうなればヤケだ! ウ、ウホォー! ウホホ、ウッホッホッ!」
「ウホオオオオオオオウ!」
「ウホウホオオオオオオオオウ!」
「「ウホホウウホ! ウホオオオオオオオオオオオウ!」」
ゴリラは強い。
ゴリラは優しい。
ゴリラは仲間想い。
今ここに、最高のイレギュラーズ――否、ゴリギュラーズチームが結成されたのだ!
●ウッホ! ウッホ! ウッホ!
ゴリラは戦っていた。
「ウッホウウホ!」
「「ウッホホウッホ!」」
松明をもち山へ乗り込む蛮族たちを山から追い払うべく、焼ける山々やおびえる動物たちを守るべく。
しかし蛮族たちの力は強大であった。ライフルはゴリラの毛皮を貫き、剣はゴリラの筋肉をも切り裂く。
まき散らされたオイルは火の手を早め、ゴリラたちはたちまちに炎に囲まれてしまうのだ。
「ウホ、ウホホ……」
醜き生より誇り高き死を。
ゴリラがそう呟いて拳を地につけた、その時である。
ドン、と大地が鳴った。
バン、と大地が鳴った。
その音が、どこから、そして誰が鳴らしているのか、皆すぐに気がついた。
燃えさかる木々の間をゆっくりと、そしてしっかりと大地を踏みしめて進むドラゴンのごとき鎧に気がついた。
一歩踏みだし右の胸を、もう一歩踏みだし左の胸を。
鉄釜を打ち鳴らすかのような音はしかし完全なドラミングである。
ゴリラ性に満ちた、魂あるドラミングであった。
鎧は――ウォリアは、ライフルや剣を握る蛮族たちに自らを誇示してみせる。
名乗り口上などという単純な行動ではない。
GXA判定に連続成功し連続でゴリティカルする様にも現われる通り、これはゴリラ口上だ。
周囲の蛮族たちは嫌が応にもウォリアに引きつけられ、剣を一斉に叩き込んでくる。
しかしウォリアはドラミングを一切やめることなく剣を弾き、一歩ずつ前に踏み出しながら弾丸を弾いた。
そこへのっそりと現われる行人とガドル。
行人は持っていた剣と盾をおもむろに投げ捨てた。
「へへ、剣なんて要らねぇ。盾もだ。てめぇ等なんか怖かねぇ!! ウホォー!ウホォォホァーーーー!!」
誰かを守るとき、その場に何の武器もなかったとしても走り出す。
それこそがゴリラ。
ゴリラ性である。
武装の殆どを放棄した彼は、両手をパーにして雄々しきドラミングを始めた。
右手に自然を守る意味をもつ『護』。
左手に自然界のルールを意味する『理』。
ふたつを胸に打ちこみ大自然の怒りを表わす『羅』。
彼は今、ゴリラそのものと言っていい!
「な、なんだこいつらは!」
「ゴリラじゃねえのに、なんで……ゴリラの味方をしやがるんだ!」
蛮族たちの言葉などもはや空虚。行人のドラミングが歌となり、その場にいる全てのゴリラたちを立ち上がらせた。
山にいたゴリラたちだけでは、もちろんない! ガドルもまた、ゴリラなのだ!
「ウホッホホホホウゥッホァァアアッホホホァッ!!!!!!!!!!」
目にゴリラの光を、胸にゴリラの魂を、ドラミングをして勇ましさを示したガドルは、周囲のゴリラたちに輝くようなゴリラスマイルを見せた。
猿など一部の霊長類には強い対象へ歯を見せることで敵意が無いことを示すスマイルという行為がみられることがある。
だがゴリラはこの行動をしない。なぜならゴリラはどんなに小さくとも自らの弱さを示さないからだ。しかしそんなゴリラが歯を見せるとき……つまりゴリラスマイルを見せるときがある。
それが戯れあう友や、愛し合う家族と過ごすときだ。
ガドルスマイルもまた同じ。愛と友情のスマイルなのだ!
もはやこの瞬間から彼らは友となり、ゴリラとなった。
「どういうことなの。ゴリラと人がもう協力して戦ってるなんて……」
その光景を見ていたエスラは、ゴリラや行人たちがひとつの群れのように結託する様に驚いていた。
種族を超え世界を超え、ゴリラという一つの概念に彼らはまとまり、群れとなったのだ。
はっとして顔をあげるエスラ。
「あぶない!」
燃える樹木がゴリラに向かって倒れようとしている。エスラは集めた魔力を解き放って木へぶつけ、ゴリラを助けた。
周囲の木々へと呼びかけるエスラ。
ゴリラのごとき優しさと強さを備えたエスラに、山の木々たちは強く応えてくれた。
「傷ついたみんなは火のないところへ逃げて。こっちよ!」
ゴリラさん達みたいに鍛えた腕はないけど、私は私に出来ることを。エスラは強く拳を握り、傷ついたゴリラたちを先導した。
傷ついた者を狙う。それもまた蛮族の卑劣さだ。
「おっと待ちな。ゴリラの毛皮は高く売れるんだ。協力すればテメェにも分け前をくれてやるぜ?」
鉈を手に回り込む蛮族たち。
ゴリラを守ろうと手を翳すエスラ。
その時、近くの樹木が突如としてへし折れた。
否、爆裂したといっていいだろう。
衝撃のあまり炎が消し飛び、蛮族もまた吹き飛んでいく。
残った蛮族が振り返ると、あがる土煙と舞い散る木くずの中に拳を突き出すルーミニスの姿があった。
「ヴゥ~」
低く、静かに唸る。
それはゴリラが普段見せる派手な勇ましさとは裏腹に、仲間を守るブラックバック(群れの副長を意味するゴリラの言葉。シルバーバックが先導するときブラックバックはしんがりとなる)が発する威嚇の声だ。
「所詮女ひとりだ。囲んでぶちのめせ!」
蛮族たちが四方から飛びかかる。
ピンチか?
否!
護るために走り、戦うために拳を握り、敵の前に立ちはだかった彼女はもはやゴリラ。ゴリラが囲まれたとて、それは不利には数えない。
ルーミニスはへし折った丸太を掴むと、それを豪快に振り回した。
悲鳴をあげ次々と吹きとばされていく蛮族たち。
丸太を突き立て、ドラミングによって自らを鼓舞するルーミニスに、蛮族たちは恐れおののいた。
自分たちが何に手を出してしまったのか、理解したのだ。
山に放たれた火は広く燃え上がり、もはや手のつけられない所まで進行していた。
動物たちは逃げ惑い、木々や草花は声なき悲鳴をあげた。
彼らの声を聞きつける者はいない……かに思われたが。
「ここにいるぞ」
炎をあげる木そのものを粉砕し、ローラントは走る。
小脇に抱えているのは逃げ遅れた子ゴリラや子鹿、その他の動物たちだ。
ローラントは動物たちをその場に下ろすと、再び火の中へと飛び込んでいく。
弱者が傷つくとき、ゴリラはそれを守る。
弱者が火の粉を浴びるとき、ゴリラはそれを庇う。
ローラントの見た目がゴリラなのではない。
彼の心が、魂が、紛れもなくゴリラなのだ!
今の彼には木々の声が、草花の悲鳴が、山の声が聞こえていた。
弱きものを救うため、声なき悲鳴を聞き逃さぬため、ローラントは炎の中を駆け抜ける!
炎の中を駆けているのは勿論ローラントだけではない。
ヴィンスもまた、燃えさかる木々の間をすり抜けるように素早く駆け抜け、枝と枝を飛び移るように移動していく。
逃げるためではない。逃がすためだ。
足を怪我したウサギや翼の傷ついた鳥を抱え、枝々を飛び移っていく。
そんなヴィンスの優しさと勇気はまさにゴリラと呼ぶに相応しい。
それゆえだろうか。言葉が通じないはずの動物たちの気持ちが不思議と理解できた。身体が軽く、いつもより長く動けた。
助け出したウサギを安全な所に下ろすと、同じく動物たちを助けていたローラントと合流した。
「ローラント。お前はいいのか? 同じゴリラの危機に駆けつけたいであろうお前がこっちにいて」
それに対して、ローラントはドンと右胸を叩いて見せた。
『山を、命を、護ること』。
そのために最善を尽くしたい。ローラントはそう述べたのだ。
ヴィンスの優しさに感謝を述べるようにドラミングをしながら再び炎の中へと飛び込んでいくローラント。
ヴィンスはその背を見送り、自らも右手をパーにしてみた。軽く自らの胸を叩く。
「ゴリラか……悪くない、かもな」
「ゆくぞ『王子』! 一人でも多くの動物を救うのだ!」
空へと飛び上がった士郎はフクロウと共に森の上空を滑り、炎に取り残されている者たちを救うべく活動していた。
西に怪我をした子ゴリラがあれば行って抱えてやり、東に泣く子熊がいれば頭を撫でてやる。
その深き優しさはもはやゴリラそのもので、彼の行ないを見た動物たちは山の声に応じるように動き出した。
そう、士郎の横を飛ぶのはフクロウだけではない。
森の鳥たちが一斉に彼の周りを飛び、彼を助けようとした。
陸地を動物たちが走り、彼の声を伝えた。
士郎が協力を求めたわけではない。彼らが自分から、士郎の行ないに――否ゴリラ性に感銘を受けたのだ。
「火には砂をかけて沈めよ! 怪我をした者は運んでやれ。蛮族を見つけたらワシに知らせるのだ!」
彼の優しさはゴリラの器。
ゴリラは森の王者であり賢者だ。動物たちを率いる士郎の姿は、まさにゴリラであった。
●ウホホホ! ウホーホ!
ゴリラは強い。
人間など簡単に屠れるほどの腕力をその身に宿している。
しかし強さと優しさを兼ね備えたゴリラは、たとえ自らの大地を守るためであっても奪ってしまった命を悼み悲しみ、バナナすら喉を通らなくなることもあるという。
ウォリアにもその気持ちは伝わっていた。
例え山に火放つ蛮族が相手といえど、ゴリラたちは死と殺戮を深く悲しむだろう。
「ウッホホ!」
振り込まれた剣を握りつぶし、ゴリラキックを叩き込む。
「ウホホウッホ!」
ゴリラとはパワーを備えた賢者だ。オレも一員としてやってみせる。
ウォリアのそんな想いが、胸を叩くたびに響いた。
それはガドルも同じだ。
猟銃の弾を握りつぶし、ゴリラパンチを叩き込んでいく。
彼らの不殺の願いと優しさは味方のゴリラや山の精霊だけでなく、蛮族たちにまでも響いていた。
「お、俺は何をやってるんだ……金が欲しいからって、何をやろうとしてたんだ……」
「ゴリラを傷付けることが、山を燃やすことが、今になって痛いほどに悲しい……これが、後悔ってやつなのか……!?」
蛮族たちは武器を捨てた。
そして代わりに、自分たちが持ち込んだ水や近くの砂を辺りにかけ始めたのだ。
「敵が改心してるっていうの? こんなこと、普通じゃありえない……」
小さく首を振るエスラ。
だが彼女にも、心の中では理解できていた。
ゴリラ性は誰の中にも宿っている。
自分たちのあふれるゴリラ性に共感し、彼らのゴリラ性が目覚めようとしているのだ。
それは自然への敬意であり、優しさであり、愛だ。
「だ、ダメだ! 炎が強すぎる! なんで俺はガソリンなんてまいちまったんだ!」
「ゴリラが取り残されてるぞ! 早く出てこい! 怪我をしてるのか!?」
燃えさかる木々の前でうろたえる蛮族たち。
エスラは頷き、彼らの前へと出た。
「任せて、なんとかしてみるわ」
「GP(ゴリラパワー)の全てを注ぎ込むのよ。自分の野生を信じて」
横に並んだルーミニスが自らの胸を叩いて見せた。
それをまねて胸を叩くエスラ。
「さあ行くわよ!」
我に続け! ルーミニスの背中から、エスラや蛮族たち、そしてゴリラたちは想いを受け取った。
勇気を振り絞って燃えさかる森へと飛び込んでいく。
別の場所では、士郎やヴィンスたちが脅威と戦っていた。
「どいつもこいつも腰抜けだ。仕事を放り出しやがって。なにがゴリラだ、くだらねえ!」
ミニガンを抱えた蛮族の長が現われ、木々を薙ぎ払っていくのだ。
「おのれ……!」
「逃げられない奴を狙うのか。見下げた男だなっ」
士郎とヴィンスが魔術や銃撃によって対抗していく。
蛮族の長はすぐさま倒されたが……。
「クゥ……」
子ゴリラが胸から血を流し、倒れているではないか!
蛮族の流れ弾を受けたのだ。
「ウッホ!」
駆けつけた親ゴリラがそれを見て、怒りに震えた。
蛮族を掴み上げ、頭めがけて拳を振り上げる。
止められる者などいない……かに思われたが、それは違う。
「今の君達は間違っている」
ローラントだ。
彼はあえてドラミングをせず、言葉で語りかけた。
「ヒトの集まる街に、子ゴリラがやってきた。君達の集落の子だ。
子供一体で異種族の集落に向かう、どれほどの勇気が必要であったろうか。
すべては『護るため』。そのために、幼子は勇気を振り絞ったのだ。
その声に応え、我々は来た。
山に住まう命を、君達を救うために。
姿形は違えども、ここに集いしは紛れも無く皆ゴリラなり!」
ドンと初めて胸を打つ。
ゴリラもまた、同じように胸を打った。
流した涙が、拳に落ちる。
「山よ、聞こえているか……!」
空を見上げ、叫ぶ行人。
「精霊よ。偉大なるゴリラ山へと宿りしゴリラが友よ。その御力を我等へ垣間見せんとお考えであるならば――今一度、我等へ希望を! 未来を!」
世界は無情にあふれている。
届かぬ願い。
聞こえぬ悲鳴。
しかし自ら願いを叶え、悲鳴を聞きつけ、手を伸ばす者たちがいたとき。
奇跡は、もはや奇跡ではない。
自らの手で掴む、ゴリラ性の至る先。
ゴリラたちはこう呼ぶ。
――Gorilla Gold Goriject。
雨が降った。
大地を満たすような強い雨だ。
雨は炎を覆い尽くし、驚きに空を見上げる蛮族たちを覆い、傷ついた子ゴリラや動物たちを覆った。
なんという奇跡であろうか。
山の精霊の祝福をもって、傷ついた動物たちも、そして蛮族たちですらその傷を癒やし、立ち上がったのだ。
子ゴリラを抱え上げ、感謝のドラミングを捧げるゴリラたち。
行人も、ヴィンスも、ローラントも、ウォリアも、ガドルも、エスラも、ルーミニスも、士郎も、蛮族たちですら――みなドラミングを捧げた。
君たちは知っている。ゴリラの心を。
君たちは持っている。ゴリラの魂を。
今こそ言おう。
君もまた、ゴリラなのだ!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ウホホ、ウホホウッホ! ウッホウホホ!
ウホオオオオオオオオオウ!
ウホオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!
GMコメント
やあ、来てしまったんだね。
わかってるよ。
言いたいことは分かってる。
ゴリラは『毛深い女』って意味のギリシア語が由来だっていうんだろ?
けどわかっているはずさ。
このページを開いてしまったのはなぜか。
うっかり画面の前で右胸をグーで叩いてしまったのはなぜか。
きみに愛が、そして勇気が、なによりゴリラがあるからさ!
●注意
この依頼はゴリラ属性依頼です。
成功時の増加名声がプラスされますが、それはゴリラ性によるものです。
【依頼内容】
●メイン
・ゴリラたちと共に蛮族と戦うこと
●サブ
・ゴリラ山を火災から守ること
・ゴリラ性をもつこと
・人間性をいっそ捨てること
【蛮族たち】
剣や銃を持った悪いハンターたちです。
すごくいっぱいいます。ゴリラは数をかぞえられないので『バナナ一房よりいっぱい』の数は分かりません。
味方のゴリラたちはドラミングしながらゴリラパワーで戦っています。そこに飛び込み、戦いましょう。
ついでに燃えてる山をなんとかしたりおびえる動物たちをなんとかしたりしましょう。
『なんとか』じゃわからない? そんなはずはない。なぜならゴリラには無限の可能性があるのだから。
【ゴリラ性】
ゴリラ山での戦いにおいて、山の精霊の祝福をうけることができます。
そのためにはゴリラ性を少しでも高めておくとよいでしょう。
ゴリラ性はGP(ゴリラポイント)で判定されます。
・相談中ゴリラ性のある発現や行動をすると一度につきGP+1
・ステータスに『ゴリラが好き』『やさしい』『B型』などゴリラ性のあるワードが一つでもあるとGP+1
・ステータスの数値に5があるたびGP+1
・リプレイ中(つまりプレイング)でゴリラ性のある行動を行なうたびGP+1
【ゴリラ判定】
戦闘時には毎ターンGP判定を行ない、1D100の数値がGPより低い場合に大きなボーナス判定が付与されます。
また戦闘以外の行為には1B2のロールを行ないます。
1B2とはGM(ゴリラマスター)が一旦バナナを食いウマいかどうかで判定します。
バナナは一年中いつ食べても大体ウマいですが、バナナがまずくなるほどの行動や、バナナが飽きてしまうほど単調な行動はさけるとよいでしょう。
【Gorilla Gold Goriject】
参加PG(プレイヤーゴリラ)全員のGPが高まりに高まるとゴリラの奇跡(Gorilla Gold Goriject)が起こることがあります。
これは山の精霊たちによる爆発的な魔術です。何が起こるかゴリラたちですらわかりません。
【ゴリリブ度】
ゴリラプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのゴリラ性描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『ゴリラ歓迎』『ゴリラなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
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