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シナリオ詳細

明朗カンパニュラと奇妙なお茶会

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「やあ、特異運命座標(アリス)。御機嫌は如何かな?
 君たちの活躍は転寝をしていても寝物語で聞こえてくるようだ。いやはや、次はどこに行ったものだろうか。私もついつい寂しくなって君達を呼び出してしまったが――いや、良いことさ。君達が存分にフィールドワークを楽しんで情報を持ってきてくれれば私も楽しくお茶を飲めるというものだ。さて、今日は時間があるのだろう? 折角の誕生日会を存分に楽しもうじゃないか。え? 誰の、誕生日だって? 勿論君さ!」
 何時もと同じく。Dr.マッドハッターは饒舌に――そして、その言葉の大半は意味がない戯言だらけで――特異運命座標をアリスと呼びながら語らうた。
 処は練達。旅人たちの作った都市国家――その首都がセフィロトの三塔主の内の一人。『想像』を司る彼の私用の研究室はドームに覆われた植物園をしていた。無論、その植物園は彼の研究室のひとつであり、所謂、『おさぼり』の場所なのだろうが……。
「それで、君達にお願いしたいことが一つあるんだ。
 何、簡単さ。練達に自然を楽しむ事も大事だと言い張る草人の旅人が居てね、いや、彼が寂しがって故郷を模した森をセフィロトに作り違った事は一応伝えておこうか。
 その場所に今度は花を愛する妖精の旅人が、友達だと言って『明朗カンパニュラ』という名の花のモンスターを放った。いや、歌って踊って愛らしいモンスターさ。とてもかわいく無害だったが、気付いた頃には大量に数を増やして森の中で大騒ぎ。さてさて、そうすれば赤の女王もお怒りさ! 赤の女王が誰だって? …………さあ?」
 マッドハッターは「ミサオもお怒りだけれどね」と続けた。どうやら、佐伯・操――こちらも練達三塔の主の一人だ――の研究フィールドに害をなしたそうだ。マッドハッターが許可したならマッドハッターが責任を取れと怒られてしまったのだと彼は肩を竦める。
「私とてミサオを怒らせているのも困るからね。茶会に誘っても明朗カンパニュラをなんとかしろと叱られてしまった。いやはや、人に叱られるのはどうにも嬉しい事ではないね。私とて、普通に叱られず普通にしていたいものだ!
 ああ、明朗カンパニュラは歌い踊り、そしてすばしっこく――『悪戯が過ぎる』所があるから注意してくれたまえ。何、彼女たちは皆、少しいたずらっ子なだけだと思うのだが」
 マッドハッターが『お願い』したのだという冒険者たちが買えりうちにあってきたと彼はけらけらと笑った。
「さて、私の可愛い特異運命座標(アリス)たち。是非に仕事をしてくれるね。
 嗚呼、対価についてはご心配なくさ。流石の私も叱られっぱなしは悲しくてね、今日は茶会も早々に切り上げよう。――時間泥棒をしている場合ではないからね!」

GMコメント

 夏です。マッドハッターさんの突然のご依頼です。
 明朗カンパニュラという名前の走り回る草を捕まえてあげてください。

●成功条件
 明朗カンパニュラ5体の確保

●森の様な場所
 練達というドーム状の都市セフィロトの中に『自然を楽しむために』と設置された森でした、が、そこに旅人の誰かが放った明朗カンパニュラという植物上のモンスターが繁殖しています。
 とりあえずその生態調査の為にマッドハッターは確保して欲しいそうです。
 森というだけあって視野はあまりよろしくなく、獣道が多く見られます。明朗カンパニュラは走り回りますので、頑張ってい場所を特定してください。

●明朗カンパニュラ
 釣鐘を思わせる花ですが手足が生えています。そして、めちゃくちゃうるさいです。その名の通りポジティブシンキング。何があっても明るく元気です。
 すばしっこさが武器です。ものすごい走りますし、相手を麻痺させて更に逃走しようともします。
『不殺』で捕まえてください。色々非戦闘スキルなどを駆使するのもいいでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

  • 明朗カンパニュラと奇妙なお茶会完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月24日 23時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鶫 四音(p3p000375)
カーマインの抱擁
シエラ・バレスティ(p3p000604)
バレスティ流剣士
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ロク(p3p005176)
クソ犬
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
メルトリリス(p3p007295)
神殺しの聖女

リプレイ


 ここは練達、セフィロト。旅人たちの都市国家である。そして、特異運命座標を茶会に招いたフリをして佐伯操女史から叱られた事を仕事として依頼してきたDr.マッドハッターは優雅に紅茶を仰ぎながら「今回ばかりは時間泥棒じゃあいられない」とやけに殊勝な事を言っていた――結構怒られたんだろう。
「時間泥棒ではないのですか?」
「ああ。勿論さ、時間泥棒をしている場合ではないからね。いや、私とて特異運命座標(アリス)と仲良くしていたいことは確かさ。けれどね、そうしている内に明朗カンパニュラが明朗に歌い始めてしまう事もまた大きな問題だ。私がそれでは操に叱られて、こうして紅茶を楽しんでいる時間すら失われる! ああ、赤の女王よりも厳しいのだから、本当は彼女がそうなのではないかね?」
 マッドハッターの噂は訊いていたが、本当にこうも『意味もない事を取り留めなく』口にするのだなと『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)はぼんやりと彼を見ていた。
 一方で、マッドハッター直々のお願いとなればまたもない機会だとでもいうように『太陽の弟子』メルトリリス(p3p007295)はやる気を十分に見せていた。
「天義の聖少女、メルトリリス。頑張ります」と口にしたは良いが、天義の聖少女はヘンテコ生物と戦う生き物であっただろうか。TENGIという言葉が何所からが響いたがおてんばにもメルトリリスは知らんぷりだ。
 一先ずこれを見て欲しいと適当に渡された資料に書かれていたカンパニュラは何やら愛らしい生き物であった。釣鐘花に手足が生え、ぴょこぴょこぴょんぴょん跳ね回っているのだという。
「カンパニュラ、と聞けば愛らしい印象だけども、その実、やってることは……うん、かなり面倒くさいな」
 面倒というか煩いというか。ポジティブシンキングも見る人によっては大いなる迷惑という事か。『彼岸に根差す』赤羽・大地(p3p004151)が肩を竦めればネーヴェ(p3p007199)は耳を揺らしてこてりと首を傾いだ。
「まァ、やることは明快ダ、さくっと終らせてさくっとお茶にでもしようゼ」
「お茶……いいですね。兎が、追い立てる側、とは……新鮮、ですね。
 それにしても、……植物は…走る、もの…??」
「気にしちゃいけないナ」
「……??」
 ネーヴェは自身の知る植物とは掛け離れて居ると首を傾げた。植物は手足も生えて居ないし歌い出して大騒ぎはしない。大地が「そういうモンスター植物だっているゼ」と助言を送れば合点が言った様に「ああ」とネーヴェは頷いた。
「これはモンスター、でしたか。あちらに非はないと、思うのですが。生態調査のため、大人しくして、いただきます!」


 \パッパラパーーッ!/

 ――人の創りし森に響き渡りしは鼓舞の吹奏。
 輝かしき高貴なる存在を称えた福音は空へと消える事なく世界へ響き渡り
 その波紋は未来永劫語り継がれる伝説(レジェンド)となるだろう──

「――な感じでお送りしております、タント様!!」
 周囲にばらばらとばら撒いたのは地面に確りとける素材の花吹雪。セフィロト内のお掃除ロボットはそれに反応した様にとりあえず疲労が為に動いているが『青き流星』シエラ・バレスティ(p3p000604)は気にしない。
 鳴り響くは高らかなるトランペット。いついかなる時も額をきらりと輝かせていた『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)は「オーッホッホッホッ!」と高笑いを一つ。
「いつでもおおさわぎの明朗カンパニュラ、何するものぞ! ですわ! そちらが明朗ならば、わたくしは!」

  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///

「――ですわーー! …ってシエラ様!? やりすぎですわーー!?」
 ノイジーファンシーレガシーファンタジーポーズをばっちり決めたタントにタント様コールをした『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は慌てる彼女と花吹雪を回すシエラ、そして、足元のロボットを見ながら「それにしてもああいう植物がいるんだね」と草むらをかき分ける様に一歩踏み入れた。
「うんうん! 練達だからね!」
 もはや練達に慣れている。『クソ犬』ロク(p3p005176)はきっと、この場では「うんうん、練達だからね!」の一言で全て片付く事を知ってしまっていた。
「やっぱり不思議な世界だよね、練達が特に変わってるだけかもしれないけど」
「うんうん! 練達だからね!」
 ――やはり、解決してしまっている。
 森の中をふんすふんすと歩んでゆくは4本脚。練達に来ることを楽しむロクの尾がぶんぶんと揺れている。
「流石練達! 不思議生物がよく持ち込まれてるよね! 今度は走って歌って踊れるポジティブな草? アイドル顔負けだね! 1匹? 1株? くらいなら、わたしも友人としてお家に招くのになァ。そしたら毎夜パーティー開くんだ! 夜な夜な歌い踊りまわるって楽しそうだね!」
「それはとっても大変そうですわー!」
 もしも、そのパーティーにタントとロク、そして明朗カンパニュラがいたならば明るく楽しく、そして騒がしいことお墨付きだろう。
 迷子にならないようにと明るく楽しい感情を探すロクだが、鼻先鳴らしてくるりと向くのはどうしても綺麗な額のタント様だ。
「ハッ!」
「むむっ!? ロク様! すぐ近くに反応ですの!?」
 周囲を振り返り、どこですの、とホイッスル片手のタントが周囲を見回す。
「ってアレェェッッ!? タント様の存在感が!!
 まあ、いいよね! 迷ったらタント様の気配追えるからね!」
「――ってわたくしですのー!?」
 大騒ぎである。その様子を見詰めながらエネミーサーチで周辺警戒に当たっていたメルトリリスは「はわ」と呟き首を傾ぐ。
「明朗カンパニュラ探し……。つまりかくれんぼと、鬼ごっこって言う事だよね。
 カンパニュラはマンドラゴラみたいなものかなって思っていたけど……遊びたい盛りなのかな?」
 つい、笑みが漏れたのはカンパニュラが子供染みた動きをするからだ。それがどうにも愛らしく思えて仕方がない。鬼ごっこの鬼だと認識してくれたら彼方から顔を出してくれるだろうかと少しの期待を込めて森の中を進んでいく。
 聞き耳を立てる四音は耳を澄ますまでもなくカンパニュラの声は聞こえるだろうとも考えていた。うるさいと評判なのだ。きっと、此方の声もかき消すほどの大音量で歌って踊ってパーティータイムだろう。
「歩く速度に差があると包囲網に穴が出来やすいから大体の歩く速度をデモンストレーションして共有しておこう、おいっちに! おいっちに!」
 こんな感じ、とシエラが振り向けば大地がOKと返した。おいっちに、おいっちに、と歩き出す大地はふと、横を見て、頭を覆った。
「……」
「……キャーーーーーーーーー」
 ピーーーと焔が手にしていた笛が響く。気づいた頃にはタントの明るさに隠れてカンパニュラが傍に居た。メルトリリスのエネミーサーチでも確りとそれがそういう対象である事を認識しているではないか。勢いよく走りだす明朗カンパニュラ。鬼ごっこが開始したのだとメルトリリスは認識した。
「しかし彼……彼女?達は一体何を考えてるんだ?
 やたらめったら元気だって事だけハ、見てりゃあわかるけどモ……」
 大地はリーディングし、そして、無言の儘、首を振った。もう頭の中が極彩色でハッピー過ぎたのだ。
「待って待って!」
 焔がびしりと指さした。走るカンパニュラは「おいかけて! はやく!」と謎に強請ってきている。メルトリリスはその様子も遊びたがりの子供のようだとぱちりと瞬いた。
「悪戯が過ぎる子達にはお仕置きだよっ!」
 何があっても明るく元気なのは見習いたいと焔も思う。だが、ここまでにはなりたくはないかと大騒ぎの明朗カンパニュラの小さな背中を見詰めればネーヴェの耳がぴょこりと揺れている。
(……少し、いえ、だいぶ…うるさい、ですね)
 耳をぺしょり、とさせる。兎の耳も『良すぎる』のが仇だったと耳を押さえて刹那気に眉を寄せるネーヴェは楽し気に謳うカンパニュラの声を聴かないふりをした。
「走り回るのが、お好きなようですが……わたくしは、逃がしません、よ!」
 うさぎは狩られるだけではないのだとでもいうようにネーヴェの耳がぴょこりと揺れ動く。
 ふと、ロクはメルトリリスの視線が明後日に向いていることに気づき前足でつん、としてみた。
「どうしたの?」
「いえ……その、明朗カンパニュラは1体ではない……のでしょう?」
 その、確かめるような言葉にロクは感情が多数こちらに濁流のように向いていることに気づいた。感情のバーゲンセールである。
「わたしはただの無害なコヨ……犬だよ! 急いでるけど気にしないでね!」という気持ちでそっと、とりあえず離れてから奇襲作戦を仕掛けようと考えた。明朗カンパニュラたちはそれを何事もなかったように見送ってくれている。
(ひょっとして、イイヤツ……なのカ?)
 大地はそう思ったが、捕らえる動作をして居ない以上、特異運命座標も明朗カンパニュラの友達として認識されているだけ――なのかもしれない。
「あれが明朗カンパニュラの群生地」
 そう神妙な顔で呟いた焔に大地は曖昧な表情を返した。一先ずは、だ。5匹をゲットすればいいのだとシエラはゆっくり立ち上がった。一匹位釣れて呉れたら御の字という気持ちで「たのもーーう!」と堂々たる名乗りを上げる。
 ちなみに、この時の思考回路を説明しよう。――1匹ずつくらい捕獲すればいい。多すぎるのは多分要らない。あ、けど、沢山連れていけば皆驚くんじゃない? あ、きっと面白い。
「最大限明朗カンパニュラちゃんをお連れしようーー!!!!」
 暴走機関車は止まらない。ドドドドと音でも立ちそうなほどに勢いよくモンスターを引き連れて笛を吹くシエラが仲間達に向けて走り寄ってくる。
「うおおおぉぉ明るい!! 明るいいぃぃぃ!! ひゃっはーー☆ミ」
 その様子を遠巻きに眺めてメルトリリスはやはり「はわ……」と小さく呟いた。


 うさぎのみみはながいみみ。その耳が思わずへちょりとしてしまう程の大音量で騒ぐ明朗カンパニュラたち。草と言うなら脅しに聞くかと焔が投げる炎が周囲をぐるりと覆い尽くす。
 近寄ってくる大量のカンパニュラ(とシエラ)を眺めるメルトリリスに柔らかに微笑んで四音は「ところで」と彼女を覗き込む。
「あれを見てどう思われます?」
「……大量です」
「複数はちょっと無理なので助けてもらいたいのですが」
「はわ……」
 はわわと云いたい気持ちも分かる。異様な風景だ。騒ぎ楽し気な明朗カンパニュラを引き連れて笛を吹き鳴らすシエラが其処に入る。ロクが思わず踊りだしそうなほどの軽快さで勢いよく飛び込んできた其れと応戦しなくてはならないとアンラックノートを手にした四音がサポート役に回れば狂気劇場(偽)を飾った指先に魔力を込めてメルトリリスがリズムを踏んだ。
 操り人形が如く、踊るその足先は止まることはない。明朗カンパニュラたちの動きを留めれば「キャアーー!」と酷い叫び声が響き渡ることに気づいて思わず眉を寄せた。
「兎も、素早さは負けていられません、ね」
 包囲網は完成していた。ネーヴェはロクが尾をたしたしと揺らしているその場所に飛び込む様にして軽やかに幻惑のステップを踏み続ける。
 明朗カンパニュラたちは厭だ嫌だと我儘を言う様に地団駄踏んだ。それこそカンパニュラたちの『悪戯』か。支援の四音の支えの中でも光る額を輝かせてタントは堂々と高笑いを響かせた。
「おーっほっほっほ! 悪戯ですのねー! わたくしの特殊抵抗を舐めてはいけませんわよー!!」
 気配消失で『目印』になっていたロクは「えいえい!」と明朗カンパニュラをぽこりと殴る。獰猛なコヨーテアタックを受けて明朗カンパニュラも負けじとぽこぽこ殴り続ける。
(子供のケンカ見たいだナ……)
 頬を掻いた大地は威嚇術を駆使しながら明朗カンパニュラを捕らえるために苦心した。黒羽のペンを手に恨み言を言いたい気分だが、どうにも明朗カンパニュラたちを生け捕りにするためにはそこまでの恨み言は危険であろうか。
 カグツチ天火を手にして焔はステップ踏んだ。武器を使うと明朗カンパニュラを傷つける可能性があるかとなるべく格闘術を駆使した攻撃は成程、役に立って居るのだろう。ここが練達のセフィロト内部という事もあり、少々静かな戦闘が――それでも賑やかな笑い声と歌声が響いている――行われていたのであった。

 ……因みに、悪戯めいた麻痺に不安げな顔をしたロクを「大丈夫ですわー! 気合でなんとかなりますのー!」と励ますタントへとシエラの紙吹雪がばっさばっさ舞い落ちて明朗カンパニュラもテンションをUPさせたのは余談である。


 ところ変わって、マッドハッターの温室である。
 成果物こと明朗カンパニュラを携えて、お茶会を早々に切り上げなければならないマッドハッターがどんよりとしたムードであるのをメルトリリスは心配した。何時もは飄々としている彼ではあるがお茶会を禁止され「さっさと明朗カンパニュラの対処をしてはどうかな」と操に厳しく言いつけられているのだそうだ。
「マッドハッターさま……?」
「ああ、お帰り。特異運命座標(アリス)。さて、皆は楽し気に笑う明朗カンパニュラをこの茶会へと連れてきてくれたかい? 何、除草剤でも撒かれたかのようなしょげた顔のカンパニュラを連れて来たものだから。力づくで黙らせるという事は有用である事を認識させるな。私は歌い踊って近寄っては見たが、カンパニュラも楽し気であったからね。よければ、特異運命座標(アリス)達も私とダンスは如何かな?」
 んん、と背後でファンの咳払いが聞こえてマッドハッターはしょんぼりとして見せた。メルトリリスは其れに首を傾げる。ああ、今日はちょっぴり『明朗カンパニュラに元気を吸い取られてしまった』のだろう。
「じゅる……カンパニュラって食べられる? マッドハッターさま、これ食べたいな」
 メルトリリスの言葉にカンパニュラの「キャーーーーーーーーーーーーー」という甲高い叫び声が鼓膜を突き破る感覚がしてネーヴェは更に耳をぺしょりとした。
「……うう……」
 うるさかった。サンプルとして捕まえて来たカンパニュラの煩さは「やだああ、食べないでええ」と云う――これは本気なのかもしれないが、致し方がない。誰だって食べられたくはないものだ――叫び声でネーヴェの中に確かに刻まれた。
「ああ、それは良い案だね。特異運命座標(アリス)。私だってカンパニュラを食べたことはないさ。食べられる食べられないは問題ではない。それを食べてみようという知的好奇心が一番重要なのさ。勿論、食べて毒が入っている可能性だってあるさ。そう言う事も経験してみるのがいいのかもしれないね。私は食べてはファンに叱られてしまうけれどね」
 淡々とテーブルに着いた儘告げるマッドハッターにメルトリリスはぱちりと瞬いた。
「戯言で人を煙に巻くにも相応の知識が必要です。
 中々面白い方みたいで嬉しいです。今後もいい物語を生んでくれそうですね。ふふふふ……」
 含み笑顔を向けた四音へマッドハッターは相変わらずの貼り付けたような笑みを返す。此度の茶会はそこそこに、次回を楽しみにしてくれ給えと何とも言えないカラーリングのパンケーキをテーブルに並べた彼に四音もくすりと笑って見せた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 マッドハッターも楽しく愉快にお茶会を皆さんとしたいようです。
 また、今度はお茶会しましょうね!

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