PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Shark Party Project

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●SPP
「アアアア―――――!!」
 その日、『一兵卒』コラバポス 夏子 (p3p000808)の叫び声が上がった。
 人類は思い知った。
 鮫はやばいのだと。そう、特にとんでもない召喚術で現れる鮫がやばいのだと。
「スティアちゃん。『また!』」
 その場に出来る赤い血だまりを泳ぐ軟骨魚綱板鰓亜綱に属する魚類のうち、鰓裂が体の側面に開くものの総称! つまりは鮫! 
『聖剣解放者』サクラ (p3p005004)は痛む頭を押さえて脊索動物門脊椎動物亜門軟骨魚綱板鰓亜綱ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属ホホジロザメっぽい生き物を眺めていた。
「ち、違うよ。サクラちゃん。
 ええっと、何だか魔力を放出したい気分になったから頑張ってみたらローレットの壁にサメが突き刺さってたなんてことはないよ!? そこに偶然にも通りかかった夏子さんが食べられちゃったとかそんな事も無いよ!?」
「そんなことある様に見えるけど」
 慌てて状況を説明してくれた『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)。サクラの言葉に「なーんのことだろー?」と不撓不屈の精神で彼女は微笑んだ。
「ふむ……サメ……ですか」
 お決まりの落ち着き払った『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)はサクラとスティアの向こうに見える赤い血だまりを眺める。
「……これでは、いえ……余り口にするべきではないでしょう」
「何か思う事があるなら今言っておいた方が今後の精神の為かもしれないのでございます。さあ、どうぞ」
 淡々と言葉を促した『強襲型メイド』ヘルモルト・ミーヌス (p3p000167)にリースリットは緩やかに頷いて壁(さめ)を見た。
「壁から鮫が生えてきているのも異質でしたが……その……徐々に鮫がでてきているような。
 それに、この段階で犠牲者が一人、OPの時点で重傷付与されているかのような雰囲気ですが……いえ、そのようなことは……しかし、有り得るかもしれない……?」
 穏やかなリースリットにヘルモルトは「鮫が確かに飛び出してきているように感じます」と淡々と告げた。
「それはいけない事では?」
『ファンドマネージャ』新田 寛治 (p3p005073)も困った事だと言う様に肩を竦める。
 ローレットでの素敵な美少女たちの様子をファンドするよりもこのままでは鮫の餌食だ。さて、どうしたものか。
「ク、クラリーチェさん。また、あれが……あれが……」
「サ、サメ……? 何も見てない。何も見て――きゃっ」
『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール (p3p000051)のふわふわな嫉妬心が『ごわごわ』になってしまいそうなほどに突然頭の上からぶっかかった大量の水。それがスティアの暴走した魔力であるだなんて『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ (p3p000236)は知る由もなく、声を震わせた。

「さ、鮫――――!」

 どうしたのかと視線を向けた寛治が痛む頭を押さえる様にイケメンのポーズで溜息をつく。どうしてイケメンというのは首や頭や腰を痛めるのはは永遠の疑問だが、それ以上に状況は逼迫していた。
 クラリーチェとエンヴィは声を合わせてびしょ濡れの儘叫んだ。
「「鮫が突撃して来る!!」」

 ――世は、大鮫時代なのである!
 そして特異運命座標達は水深10mのプールに追い詰められて鮫と同居することとなったのだ!
 上から月原という旅人が「助けを呼んでくるからなー」と叫んでるのを聞きながらスティアは「鮫が私の事好きみたいだね、サクラちゃん?」と笑うのであった……。

GMコメント

 オーダーは鮫を倒せ!
 リクエストありがとうございます。サメ召喚士のみなさん!

●場所という名の確定ロール
 ローレットの壁から生えた鮫に追い詰められた特異運命座標の皆さんは飛行することもできない水深10mのプール(※水を抜かれた)に閉じ込められて鮫と同居することになたのだった……。 
 救助隊が来るまで兎に角鮫を押さえておかねばみんながお腹の中で同居することになってしまう……。

●SAME
 鮫です。ホオジロザメっぽい鮫です。サメ映画によく出る鮫です。
 スティアさん(クラス:ホーリーメイガスと書いてますが多分『鮫召喚士』の間違いです)がなんか召喚した鮫です。いきなりそう言う事が起こるのは混沌世界にもよくあることです。きっと精霊さんが悪戯したんです。きっとね。
 でかいです。サメ映画並に突拍子もないです。B級映画です。

 鮫は空中を泳いでミサイルの様に飛び付いてきます。怖ろしい!
 だって、皆の事大好きだから。かわいい。
 簡単には死にません。怖ろしい!
 だって、皆の事大好きだから。かわいい。
 全力で逃げて全力で対処してください。

 ちなみに鮫くんが会いたかったから来てくれたらしいです。かわいい。
 ホオジロザメって結構かわいい顔してませんか?かわいいですよね。

●でんじゃぁ
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らないサメによる強襲がありえます。
 サメが皆さんの事を大好きな事を予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
 リクシナなので逃げれませんでしたね。うっかり。

 よろしくお願いいたします!

  • Shark Party Project完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月22日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エンヴィ=グレノール(p3p000051)
サメちゃんの好物
ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)
強襲型メイド
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

リプレイ

●あらすじ
 巨大な鮫がローレットの壁に生えていたと思ったら『サメの犠牲者』コラバポス 夏子(p3p000808)がその腹の中にINしていた。
 相談期間が始まった時点で彼は明らかに他参加メンバー7名から死傷者として扱われていたということはある意味で奇異であり、『彼』は鮫の餌食となって第二の犠牲者を定める為に相談が始まったのだ――

「気が付いたら、びしょ濡れの状態でプールの中に……え……?
 私達、何時の間にプールに……? 確か、サメから逃げ回ってた気はするのだけれど……」
 そう、口にしたのは『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール(p3p000051)。上で纏め切れなかったあらすじを端的に表現してくれた。確かに、彼女はローレットの中で鮫から逃げ回っていた。その筈であるのにどうしてか水の抜けたプールの中で鮫と同棲しているのだ!
「夏子……貴方の犠牲は忘れません」
 しかし、すぐに忘れた。『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は悲しげに姿を見せない夏子を悼む様にそう言った。言ったがいいが頭からその情報は抜け落ちた。何故ならば彼がファンドマネージャーだからだ。B級鮫映画で突然犠牲になる外国人枠はファンド対象ではなかった! (但し、お胸の大きな頭の悪いすぐ犠牲になる美女はちょっぴりファンド枠だ)
「はあ……成る程……これが噂に聞くB級映画……。
 鮫の頭が増えたり、陸上を走ったりするとも聞きましたが……壁からサメが生えてくる光景というのは可能性レベルで想像したことも無かったのですけど……実際に見てみると……なかなかこう……シュールですね?」
 困惑を滲ませて『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は呆然と呟いた。練達の旅人たちがよく口にする『面白外国人』だとか『B級映画』ではあるが目の当たりにすると何とも表現しがたい感情が湧き上がるというものだ。
「何故こんな事になってしまったのでしょうか……。これも信仰の道を歩む私への試練なのでしょうか」
 信心深い『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236) はそう思いたかったのだろう。きっと、信ずる神による試練が鮫であったのだ。そうでなければこの状況はおかしい。きっとそうだ、そう。そうでしかない――無理くり納得しようとしたクラリーチェにエンヴィは困ったように首を振った。
「わ、私も巻き込まれてるから、多分、信仰の試練とかでは無いと思うわ……」
 その時、彼女は絶望した。じゃあ、なんだというのか! この有様は!
 思わず声を震わせたクラリーチェの傍らで「サクラちゃんと生きていく!」と仲良しっぷりを魔種(おかあさま)にアピールした『サメ召喚士』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034) はたじろいだ。
「さ、サクラちゃん……?
 お、落ち着いてサクラちゃん……可愛い顔が台無しだよ?」
「なんで? ねぇなんでスティアちゃん?
 私言ったよね? サメ呼んじゃ駄目って? なんで約束守れないのかなぁ……」
『聖剣解放者』サクラ(p3p005004)はベアトリーチェ・ラ・レーテに向けるよりも冷たい表情を親友に向けていた。手を振り「違うよ」と何度も繰り返すスティアを見ながら『強襲型メイド』ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)は「ふむ」と呟いた。
「ロレトレ名物、鮫召喚士スティア様によるサメ騒動、ですか」
「名物って言われるほどだよ? スティアちゃん? ねぇ、わかる?」
 ヘルモルトの言葉に頭を痛めながらサクラはスティアにじりじりと近づいた。
「私が遭遇した時より状況はひどいようです。
 いわゆる劇場版、みたいなものでしょうか。ともあれ耐えればいい、とのことですが……」
 倒せたら鮫料理なんかもいいですねと淡々と呟いたヘルモルト。劇場版『鮫召喚士すてぃあちゃん』は早々から主人公がひどい目にあいそうな気配を醸し出していた。
「ね! え、だめ?」
「だ、だめだと思うわ……」
 エンヴィが首を振る。
「ほ、ほんとに?」
「そういえば、夏子は何処に?」
 ふと思い出したような雰囲気で感じは寛治は彼の名前を呼んだ。そういえば、見当たらない。
 クラリーチェが期待をこめた周囲を見回して、何も見なかったように目を伏せた。それはヘルモルトもであった。「――知りたくないことはあります」とリースリットが穏やかな瞳を明後日に向けたことが合図だっただろうか。
「えへへ」と乾いた笑いを漏らしていたスティアが後退する。目の前にいるのは親友なんかじゃない、鬼だった。

 ――ちょっと……頭冷やそうか……?


 その日、夏子はありえないものを見た。
「えっうそ何度目コレいやまさそんな――!」
 馬鹿な、と思ったのも無理はない。雪山砂漠ローレットのプール。うん、それは経験があった。
 でも、ローレットトレーニングとか言う大規模なトレーニング訓練でのことではないか。そう、そういう面白おかしい場所ならばそうなったって仕方がなかったのだ。その日の夏子はただ、廊下を歩いていただけだった。廊下を歩く事は誰だってする。けれど、誰が壁に鮫がいると思うのだろうか?
 どうしてこんな事になってしまったのか。
 これは言わばローレット本部への鮫による反逆だ。大いなる鮫の侵略でもある。
 鮫。それは非道な存在だ。
 鮫。それは凶悪な存在だ。
 夏子は目を閉じた。今までのことを振り返るように――ああ、今? サメの腹内で瞑想をしている。

「ね、ねえ、それにしても夏子さんがいないわ……? おかしいわ……?
 ど、どこから、このプールから逃れられたのかしら? それから、どうすれば助かるのかしら?」
「あ、そう言えば、さっき月原さんが『一応』って現在地が分かる魔法道具を渡してくれました」
 エンヴィはぱぁ、と目を輝かした。この段階でエンヴィ以外は何かを悟っていた。しかし、気体は捨てられなかった。これで逃げられるのではとクラリーチェの手元を覗き込んで……そっと目を伏せた。
「どうでしたか?」
 ヘルモルトの問い掛けにエンヴィは「ふふ」と乾いた笑いを漏らして、唯、後退するだけであった。
「ああ、やはり――」
 リースリットはそっと、その端末に表示される現在地とリアルに視認できる範囲を照らし合わせて納得した。夏子の位置を示すそれは明らかに何かと被っていた。

 鮫。

 疑う事無く、鮫。

「ははあ……」
 リースリットはそれ以上何も言わずに、そっと、サクラの肩を叩いた。親友型お仕置きロボットは「主よ。どうか新たな迷い子を受け入れ給え」と祈った。
「しかし、これはチャンスです。私がビジネス的なことを申し上げましょう」
 寛治のメガネがきらりと輝いた。ビジネスマンはいつ如何なる時もチャンスを逃さないのだ。
「夏子と私は絵にはならない」

 ――四方八方。暗闇だった。どうすればこの状況を逸脱出来るか分からない。
 ぐにぐにとしてやわらかいものがある。そうか、これが鮫の中か。
 けど僕だってローレットのメンバー。がんばるぜ。

 夏子の決意をさておいて、寛治は重ねるように「絵にはならない」と首を振るだけであった。


 其々の状況を俯瞰で見てよう。
 僕はソロでトレーニング活動にいそしんでいたのだ。美女美少女の良い身体や可愛い仕草を眺めながら。だってよく考えて欲しい、ファンドマネージャと自分以外美少女だらけだ。しかもジャンルは多種多様だ。そこにちょっぴり鮫召喚士が混ざっていただけなのだ。ちょっぴり!? 何がちょっぴりだ!! 大事件だよ!! 眺めていた次の瞬間サメだった。
 何が解るっての!? 俯瞰もクソもないわ!!
「あ~あ! 美女や美少女とイチャコラせっせと 日がなくたびれてみたいもんですわなあー!!」
 夏子はぐにぐにとした鮫の体を押した。なんだか脳内美少女と触れ合ってる気分にもなった。柔らかい。そうか、これが女の子に体を包まれる感覚か。鮫がメスだったか確認すればよかった、なあ……。

 ――話は戻って、プールサイド。
「鮫には鮫召喚士をぶつけんだよ!(となれば、最も防御に優れた者をワントップで配置して、守りの要とすることです)」
 もはや本音と建前が逆転している寛治の言葉にヘルモルトは全面的に同意した。それは実に戦略的であるとメイドは穏やかに振り返る。
「我々の中でも一際高い防御性能と回復能力は囮として最適」
「そうかな?」
「はい。それに私達が大好きなサメと言えど召喚主たる彼女への好意は群を抜いて高いものだと推測いたします。そういう面からも一番の人選ではないでしょうか」
「そうでもないと思うな?」
 癒しを送る相手すら居らずもはや耐久力で前に立つことを強いられていたスティアは「か弱いヒーラーだと思うけどなあ……」とちらっと親友の姿を見やる。
「だってスティアちゃん硬いし、適材適所って大切だよね?
 でもスティアちゃんがなんか新たなサメとか召喚しそうだったらサメの口に放り込むよ」
「あ、けど……召喚ものって、術者の魔力切れで対象が消えるのが定石。
 ですが、スティアさんが魔力を使うと新たなサメを生み出してしまう可能性もありますよね」
 ヒーラーという言葉にクラリーチェがそっと挙手をした。確かに、本件はスティアが魔力鍛錬で生み出す鮫とイコールだ。サクラは「そしたら、スティアちゃんが鮫のご飯になっちゃうね」と頷いた。
「ひ、ひどい……」
「ううん。これもスティアちゃんの為なんだ。
 ローレットを壊滅させたらイレギュラーズとは言えお咎めなしにはすまないから。決して保身じゃなくてスティアちゃんの為だからね」
 サクラは無慈悲に言った。リースリットが仕方がないと首を振り、ヘルモルトがその体をいっきにぶん投げた。
「わかってくれるよね、じゃあ、いってらっしゃい」


「この世界、何でもありなのですね……ところで、私たちの着替えって準備されてるのでしょうか……くしゅん」
 震えたクラリーチェ。飛んで逃げることも考案したがジャンピングシャークにいただきますされるとエンヴィをプールに留めたままだ。びしょびしょで濡れ透け(お色気ポイント)の二人は顔を見合わせる。
「着替えの心配よりも、無事に此処から出られるかの心配の方が大きいわ……」
 前線に飛び込んで鮫の寵愛を受け続けるスティアの背を、エンヴィは呆然と眺め続けた。
「……まあ、それはそうとして、ともかくこの場を切り抜けなければ。
 しかしこのさほど広くない空間、正直この人数では逃げ回るだけでどうにかなるとは思えませんね。
 ならば……生き残る為にも、逃げつつ数を減らす為に戦うしかないのです」
 割と詰めたい言葉をそっとリースリットは吐き出した。ある意味で狂気の孕んだ言葉であったがそれはもう誰も気にはしなかった。
「悪魔は召喚者を狙うものと聞きます。サメもきっとそうでしょう、信じています」
「鮫ってそういうものなのかしら……? ああ……今もローレットでのんびりしてる人達が妬ましいわ……」
 とりあえずスティアさんが戦うようだけれど、とちらと視線を送る。あの鮫は戦って倒せるものなのかと溜息を混じらせる。攻撃したら最後、そのまま食べられてしまうのではないかと心が痛い。
「……おうちかえりたい……」
 怯えたエンヴィの背中を撫でてクラリーチェが「そういえば夏子さんをお助けしなくては」と巨大な鮫を見つめた。
「必要は犠牲はあるでしょうが……」
「救出ですか。生きてればまあ、なんとかなるんじゃないでしょうか。
 手足の一本や二本、すぐ生えてきますよ。死ななきゃ安いとはよく言ったものです」
 死亡判定はありませんし、とメタファーを口にしたヘルモルトにクラリーチェは頷いた。敬虔なる修道士も正直シナリオ開始時から一人犠牲になっている展開なんて想像もつかなかったのだ。
「うう……囮とか壁とか酷い……。けど、防御に特化した私の魔法を披露する時!
 肉体言語とかで友情芽生えてくれないかな? 敵同士だけどわかりあえると思うんだ
 私のギフトと信仰蒐集でカリスマ力を発揮して! ね、サメさん!」
 分かり合えなかったら殺してサメ料理にしなくてはならないとスティアの魔力が宿った攻撃がサメへと放たれる! それを見てリースリットが「あ」と声を漏らした。
「え?」
 リースリットのその呟きにサクラがくるりと振り返った。寛治はめがねをきらりと輝かせ、「こういうときは動いてはいけません」と濡れ透け少女たちへと告げた。
「いいですか、鮫は動くものに反応します。余裕かまして遊んでるカップルとか、単独行動をする金持ちのおっさんとか、そういうのから順番に食われていくんです。
 よって、スティアさん以外が動かない事で、鮫の注意をスティアさんに集中させるんです。スティアさんなら大丈夫、彼女の防御性能なら、せいぜい服が破れて下着が露わになる程度で済むはずです」
「下着!? 令嬢は装備も『令嬢』だから!」
 つまりは淑やかなのだとスティアがびしりと寛治を指差した。「あ」と再度リースリットが声を漏らし、エンヴィとクラリーチェと共に寛治より離れる。
「どうかしましたか、リースリ――」
 それ以上の言葉はなかった。寛治は、リースリットの移動の意味を気づいてしまったのだ。サクラは絶望したように「スティアちゃん」と呟く。
 寛治を指差した姿勢のままのスティアの背後に、サメが、増えていた。
 そして、勢い良く寛治へと飛び掛ったのだ!
「私を狙っても絵になりませんよ! 挿絵になりませんよ!」
 鮫を必死に押し留めながら寛治は気づいてしまったのだ。
(……しまった。既に食べられている夏子を除いて、後は全員女性。他の女性陣に押し付けるわけにもいきません(※スティア除く))
 ※スティアを除く。
 ※部分は確かにスティアは理解していた。「ががーん」と悲しげな声が聞こえる。
「こうなったら已むを得ない。噛まれたら痛そうですから、一気に鮫の口に飛び込んで胃袋までぎゃああああああ痛ああああああ脚が腕がああああああああ死ぬううううう死ぬうううううううううう!!」
 ――悲痛な声が響き渡った。
 それを眺め、リースリットはふと、ヘルモルトを見やる。
「先程スティアさんが料理といっていましたが、アレを食べるのでしょうか」
「はい。アレを食べます」
「……こちらが食事ではなく、ですか」
「はい」
 淡々と言葉を交わしあい、リースリットは「そう、ですか」と悩ましげに小さく呟いた。
「スティアちゃん……どうして……」
 愕然としたサクラは唇を噛み締める。
「で、でも二匹! 壁の穴からどんどこ追加が出てきたらどうしようもないけどそんな事起こらないよね!」
 フラグだった。スティアの天使(サメ)の歌は癒しではなくサメをお届けしてくれる。
「倒すしかないでしょうか」
「……タスクくんの迎えが来るまで生き残らなきゃフカヒレ食べれないからね……」
 リースリットはふむ、と小さく呟く。サクラがゆっくりと剣を抜きサメ退治のためにその身を乗り出した様子にヘルモルトも目を伏せた。
「一人で突撃してももぐもぐされるだけのような気がしますからね。メイドらしくフォローに回りたいと思います」
 彼女のサポートもあればサメ位倒せるだろうと向き直る。サクラは天啓を受けたように仲間たちを振り返った。
「目標はサメ召喚士。二度と魔力を使わせちゃだめだよ!」
「さ、サクラちゃん! ひどい!」
 まさかの同士討ち。それも仕方がないことなのだと親友は刃を抜いて突撃する。
 穴からどんどこ出てくるサメを見ながらエンヴィは「おうち帰りたい」と再度呟いたのだった。

 ――その後、お迎えがきて、鮫はおいしくいただいたのでした。
 鮫もおいしくいただきましたが……。

●エピローグ
 ――私の意識が溶けて、サメに取り込まれていく、自分の感覚がサメやらない――

 俺はサメになるのか――夢サメぬまま
 僕がサメになるか――美女美少女とサメぬ仲
 ……私はサメなの、目サメない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

エンヴィ=グレノール(p3p000051)[重傷]
サメちゃんの好物
ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)[重傷]
強襲型メイド
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)[重傷]
安寧を願う者
コラバポス 夏子(p3p000808)[重傷]
八百屋の息子
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)[重傷]
天義の聖女
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)[重傷]
紅炎の勇者
サクラ(p3p005004)[重傷]
聖奠聖騎士
新田 寛治(p3p005073)[重傷]
ファンドマネージャ

あとがき

 サメ<またお会いしましょう!

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