シナリオ詳細
出会いの一杯目
オープニング
●喫茶あじさいへようこそ
舞台は現代日本……のような世界。人々は古くから住む妖怪たちと共存していた。しかし、時代が進むごとに互いは互いを憎み合った。それはそうだ、考え方が違うのだから。
ギリギリの均衡を保ちながらも互いに生活をしていた。
だがその均衡を壊す者たちが現れ、事態は急変しその均衡は破られたのである。
「黒子狐」と名乗る彼らは世界を混沌に、破壊の限りを尽くさんとした。
その時、一人の若者が考えた。
「人間と妖怪で協定を結ぼう。お互いに傷つきたくはないだろうし、傷つけ合いたくない」
それは途方もないことだ。今までの考えを覆すのは決して簡単なことではない。問題は山積している。「黒子狐」のこともあるのだ。簡単には行くまい。
そこで両者の中立に位置する拠点を作った。
『喫茶あじさい』
人間側と妖怪側その境を移ろう喫茶店。そして「破壊者」への対策拠点である。
そこでは、中立側であるマスターとアルバイトの青年と少女が働いていた。表向きには喫茶店。裏では中立側のリーダーとして行動をしている。そんな場所。
アルバイトである草薙カナタが大きくため息を吐く。
「……にしてもこのままじゃマズくないですか、マスター?仲間は見つかんねえし、両者の仲は悪くなる一方だしさあ……」
マスターである桜葉リョウはそれに対して首を振る。
「期が来れば仲間は来るさ。それ次第だな」
「ったく……マスターはそう言うけどよお……」
草薙はぶすっと不機嫌そうに口を尖らせる。それに対して南条ツカサは慌てて桜葉に訊ねた。
「桜葉さんは当てがあるんですか? もしかして、新しい人が来るとか?」
「そうだな、そうだと言えばそうだし……違うと言えば違うな」
「いやそれわかんねえやつ!」
曖昧な答えに草薙が思わず突っ込む。桜葉はグラスを拭きながら呟いた。
「まあ、そいつらの介入次第で事態がどう転ぶかは分からないな」
「あーもう! 分かったっての! んで? いつ来るんだよ? そいつらは」
やれやれとでも言いたげな草薙となんだかんだで気になっているような南条。そんな二人に桜葉は淡々と告げる。
「今日だ」
「「…………は?」」
二人の驚きの声が喫茶あじさい内に響き渡った。
●中立に立つ者たち
「やあ、こんにちは。僕はカストル。ここの境界案内人をしているんだ」
カストルは貴方たち軽く挨拶する。
「さて……今回のお願いなんだけど、君たちにこの物語の結末を変えて欲しい。このままだと全面戦争が起きてバッドエンドになるんだ」
本の内容は人間と妖怪が対立しているそんな世界の話。板挟みになってる中立側を助けてやるということか。そう問うとカストルはううんと唸る。
「中立側のハッピーエンド……と言うならそうだね。まあ、その運命を変えられるのは君たちイレギュラーズだから」
カストルは軽く息を吐き説明を終えた。
「まあ、期待しているよ。よろしくね」
そして、にっこりと微笑んだ。
- 出会いの一杯目完了
- NM名紅榴あきら
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年10月17日 23時05分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
ここは境界図書館。問題を抱えているライブノベルが所蔵されている。
今回、集まった四人は各々考えを持ちながら集まっていた。
「ポーと異世界旅行ができるなんてワクワクするね」
「そうだねルーク、ワクワクするよ。でも……バッドエンドは何とかしなくっちゃ」
『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)が『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)に微笑む。ノースポールはそれに頷いた。
「それじゃあ、頼んだよ」
カストルのその言葉を最後に、四人の意識はライブノベルの世界へと飛ばされる。
一瞬の間、暗転し、そして。
再び目を開くとそこは街の大通り。そこには人々が行きかい、日常を過ごしていた。人々の中には人型ではあれど獣の姿をした者から、羽が生えている者まで。四人のことを気にせず歩いている。
その眼前には小さな店があった。玄関先には花々が飾られており、看板には「喫茶あじさい」と書かれている。
その時だった。
「おっ! あんたらマスターが言ってた奴らだな? 中に入ってきていいぜ、マスターがお待ちかねだ」
箒を持った金髪の青年が出て来たかと思えば、四人を店内へと招き入れる。
からんからんとドアベルが鳴り、喫茶あじさい内に入ると店内はアンティーク調にまとめられ、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました、こちらへどうぞ」
大人しそうな少女がカウンター席へと案内する。その後ろから先ほどの金髪の青年が訊ねた。
「なあ、マスター! この人ら、例の助っ人だろ?」
「もうっ! カナタさん! 言葉使いには気を付けてください!」
「いつものことだろう。ツカサも落ち着け。よく来てくれた、俺がマスターの桜葉リョウだ」
そんな二人の様子に動じることなく店の奥からマスターの桜葉があらわれ、自己紹介をする。『静謐なる射手』ラダ・ジグリ(p3p000271)も彼らに対して自己紹介をする。
「突然すまない。私はラダという。現状を憂える人から頼まれて来たんだ」
続けるようにルチアーノが手にしていた花束を桜葉に渡し、帽子を取り丁寧にお辞儀をした。
「お招き預かり光栄です。僕はルチアーノ。話はある程度聞いています。共存への道を、一緒に探していきましょう」
その花はお店に飾ってください、と付け加え。
「僕はジルっす。よろしくお願いするっす!」
『他造宝石』ジル・チタニイット(p3p000943)も続けて自己紹介をする。
「こんにちは!私はノースポールと申します。気軽にポーとお呼びくださいね!」
にっこりと笑顔でノースポールも挨拶をした。慌ててアルバイトの少女も挨拶をする。
「みなさん、丁寧にありがとうございます。私はここでアルバイトをしている南条ツカサです」
「俺もツカサと同じバイトの草薙カナタだ、よろしく!」
南条と草薙が挨拶をしたところで。
「まあ、立ち話もなんだ。カウンター席の方が話しやすいだろうから、座ってくれ」
そう桜葉に着席を促され四人はカウンター席に座る。
ノースポールが声を弾ませ訊ねた。
「皆さんのこと、何でも教えてください!でも、その前に……お茶と和菓子をいただいてもいいでしょうか?」
「僕も、お薦めの飲み物と食べ物お願いするっす!」
ジルもその言葉に賛同する。頷いた桜葉はラダとルチアーノに視線を向ける。
「……お二方は何がいい?」
「僕は名物料理とかあればそれと……エスプレッソをお願いしたいな」
「私はコーヒーと甘いものを頼むよ」
その答えに桜葉は軽くメモを取り、準備をはじめる。南条も調理の為だろう、店の奥へと駆けていった。
漂うコーヒーの良い香り。小気味いいBGMが流れる中、穏やかに時間が進む。
「お待たせしました! こちら当店自慢のオムライスに秋限定のモンブラン、和菓子は栗きんとんをご用意しました!」
「んで、こっちがエスプレッソ、緑茶、コーヒーになります、お客さま?」
手際よく南条と草薙が料理と飲み物を出していく。美味しそうな香りが鼻孔をくすぐった。
「……さて、まずはこちらの手の内を明かそうか。食べながらでいいから聞いてくれ」
桜葉は表情を変えずに淡々と告げる。
「正直なところ、両者の敵対勢力の活動が活発になってきた。このままだと全面戦争も時間の問題だろう。……そこで、あんたたちに頼みたい事がある。俺たち中立勢力は両者に協定を結ばせたい、その協力。そしてあちこちで問題を起こしている黒子狐の調査、そして撃破だ」
その目に宿る静かな、されど強い光は紛れも無いものであった。ここまで追い詰められようとも、諦めない。そんな強い意志だ。
「……まず、ここの簡単な歴史と現状を知りたいんだが」
「ああ……それも話さなければな」
ラダの問いに桜葉が話し出す。
「昔、妖怪ってのは人間たちの中では想像上の生き物だった。そう思われていたんだ。だが、ある時その常識が覆った。妖怪たちのいる世界と人が住む世界が交じり合ったんだ。天変地異……この現象により、今までいないと思われていた妖怪が実在すると発覚し、妖怪側は妖怪側で人間の存在に驚いていた。最初の頃はお互いに混乱を極めた。……それが二十年くらい前のことだな。その後、十年くらい後か、なんとかお互いに共存していく意思をまとめたから今の現状があるんだが。最近になってそれを壊す者が現れた。それが黒子狐と呼ばれる者たちだ」
「もともと、人間と妖怪は対立していたの?」
続けてルチアーノが訊ねた。それに頷き、横で見ていた南条が答える。
「はい……、元々人間と妖怪は相性が悪いんです。人間は妖怪を畏怖していて、彼らを支配しようとしてて……妖怪たちは支配を嫌うのでその前に人間を倒したりしようしてて。人間にも妖怪にも中立側というか、友好的な方はいるのですが……。敵対している方が多いのが現状で」
そう言うと目を伏せる。
「ツカサは所謂、妖怪たちを使役できる血筋なんだよ。そーゆー能力?を持ってて、それだけで妖怪たちから嫌われてっからな」
「……カナタ、言い方を考えろ」
「あ、わりい」
少し怒った口調の桜葉に咎められ、草薙はしまったとでも言うように口を抑える。南条は首を横に振り、話を続ける。
「中立派にも意志を共にする仲間がいます。妖怪側にも人間側にも。ですが、最近は活発に動ける方がいないのが現状で……」
「皆さんはなんで、中立派として動こうと思ったのですか?」
疑問に思ったノースポールが訊ねると、桜葉が口を開いた。
「そこに関しては、まずは黒子狐の話をしないとな。奴らは実質宗教団体だ。唯一神を崇めていて、活動を活発化させている。洗脳されてる奴らがほとんどでな。老若男女問わず妖怪側にもメンバーがいて、その数は増え続けてる」
「奴らは基本的に隠密活動をしてて、ほぼ表立った事件は起こしてねえんだけど……俺と、ツカサの親族が取り込まれちまってな。俺らはここに匿ってもらって無事だったんだが。連れ去られた家族を助けたくて、俺らは中立側として活動してるんだよ。まあ、マスターは違えけどな」
苦虫を噛み潰したような顔で草薙は言い捨てる。
「……もしかして、命に関わる事があったんですか?」
一瞬の沈黙。そして。
「……ああ。俺の前にいたここのマスターである女性……が両者の争いに巻き込まれてな。殺されたんだ。両者の架け橋のような人だったから、犯人捜しに躍起になったよ。蓋を開けて見たら黒子狐の仕業だったんだ」
桜葉が呟く。その言葉には黒子狐に対しての憎悪が見え隠れした。暗い空気になったのをジルが見かねて声を上げる。
「あじさいの皆さん、どうか諦めないで欲しいっす!僕達も黒子狐を……」
そして気の抜けるようなお腹の鳴る音。
「……あのー、お勧めの軽食欲しいっす」
一気に軽くなった空気に小さく苦笑し、桜葉がサンドイッチを差し出す。
「ありがとうっすー!」
「ふふっ、美味しそうに食べてくれて嬉しいです」
にこりと南条が微笑む。ラダが三人に向けて訊ねた。
「桜葉……たちはもし、平和になったら何をしたいんだ?」
「……私は、私のように縛られるような子が人間側にも妖怪側にも増やしたくないです」
「俺は、あれだ!難しいことは分からねえけど!人間も妖怪も協力できる関係性を作りてえな。これから先もさ!なんかあっても協力できる感じ!」
お互いに話し合う南条と草薙。桜葉はそんな二人を優しい視線で見ていた。彼も思いは一緒なのだろう。
「答えは全部、理想でいい。目標は高い方が良い未来が築けると私は思う」
ラダのその言葉に二人は強く頷いた。
「いやー、ご馳走様っす。……あ、会計って……」
「会計はしなくていいぞ。これから世話になるんだ、今後の活躍に期待してるぞ」
ジルの疑問に桜葉は答える。
「貴重な時間を割いて、話に付き合ってくれてありがとうね!」
「お茶とお菓子、美味しかったです!ご馳走様でした!人間と妖怪が笑顔になれるよう、全力を尽くします!」
ルチアーノとノースポールが挨拶する。
「珈琲美味しかった、ごちそうさま」
ラダも礼を言うと、ドアを開けた。からんからんとドアベルが鳴り、目の前には美しい夕焼けが広がっている。
「「またのお越しをお待ちしています!」」
南条と草薙の声が背後から聞こえパタンとドアが閉じた。
「一緒に来てくれてありがとね、ルーク!」
ノースポールの言葉にルチアーノは頷く。
「皆良い人達ばかりだったね。何よりポーがこの世界の事を気に入ったのならそれが全てだよ。ポーにはいつも笑っていて欲しいから、全面戦争を阻止しなきゃいけないね」
「うんっ。全面戦争を止めるために頑張らないと!」
来た時とはまったく違う風景に見える事だろう。四人はこうしてこの世界の断片を知った。
各々が考えを新たにする。この世界を救うために。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
*挨拶*
はじめまして、NMの唐草稲荷と申します。
このシナリオが良いものとなりますよう精一杯頑張らせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
*目標*
今回のシナリオ目標は「事情を聞くこと」と「喫茶店の外に出ること」の二点です。
雑談ないし、聞きたいことを聞いて外に出ればシナリオクリアとなります。
*世界観*
現代日本ファンタジーです。妖怪と人間が対立しておりいて、その中立側となり依頼を解決してもらいます。対立させている「黒子狐」と名乗るものたちとの戦闘依頼が多めです。たまに非戦闘の依頼になります。
*敵*
今回はいません。
*NPCについて*
NPCは現在3人。桜葉リョウ、草薙カナタ、南条ツカサです。
以下NPC簡易説明
・桜葉リョウ
見た目20代後半くらいの男性。黒髪青目。長い髪を低めの位置でくくってる。
性格は無口、クール。
喫茶あじさいのマスター。
・草薙カナタ
20歳の青年。金髪茶目。ツンツンした髪型をしている。
性格はぶっきらぼうだが優しい。
喫茶あじさいのアルバイト。
・南条ツカサ
18歳の少女。黒髪黒目。セミロング。前髪をピンでとめている。
性格は落ち着いていて大人びてる。
喫茶あじさいのアルバイト。
*特殊ルール*
ありません。貴方たちは普段通りの力を発揮できることでしょう。
今回は情報開示用のシナリオなので聞いた分だけの情報量が次のシナリオ時に解放されます。楽しくRPしていただけたら幸いです。
皆さんのご参加お待ちしております。
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