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シナリオ詳細

芽生えよ、いのち
芽生えよ、いのち

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●終わってしまった世界

 そこには何もない。風化した建造物などのがれきがごろごろと砂に埋まっているだけ。
 ただただ、不毛な地が広がっている。荒々しい風が砂嵐を巻き起こし、照り付ける日差しは痩せた大地をかんかんと焼き付けている。

 此処は終わりの世界。この世界の本当の名を呼ぶものも、覚えているものも既に存在しない。
 かつてはヒトが居た。動物や美しい自然も、確かに存在していた。
 だけれど、起こったのは人間同士の争い。血で血を洗う不毛な戦い。そして、ついぞ持ち出したのは『星を食う巨大な魔剣』──。
 魔剣は敵のみならず、味方も斬った。生きとし生けるものすべてを斬った。空気の層すら、そして世界の命すらも斬った。そしてこの世界の生命は滅び、残ったのは塵と砂。
 誰かが介入しなければ、きっと星の終わりを無情に、無感情に待つだけの世界だ。

●芽生えよ、いのち

「やあ、初めましての人もいるね。僕はカストル、境界案内人さ。よろしく」
 カストルと名乗った銀髪の青年は、イレギュラーズに対して挨拶を済ませると、さてと本題を切り出した。
「君たちにしてもらいたいことは、とある世界の『修復』──と言っても、そんな大それたことは一度ではムリなんだけどね」
 カストルは肩ひじ張らずに気楽に聞いてよ、と笑った。
「その世界に住んでいた人々は、かつて大きな大きな戦争を起こした。膠着状態にしびれを切らせたとある国が、巨大な剣を呼び覚ました。その剣は人を、動物を、自然を、何もかも滅ぼした。戦争どころか、世界が終わってしまったんだ」
 言葉は続く。
「でもね、まだその世界(ほし)には命がある。かろうじて世界は生きていたんだ。今、君たちが介入すれば間に合うかもしれない。荒れ果てて痩せた不毛な大地、強すぎる日差し、雨は降らず、薄すぎる空気……生命が生きていくには厳しすぎる環境だね。それでもこれから、命を育むことはできるはず。
 まずは植物の芽吹きを目標に始めてみるのがいいんじゃないかな。君たちが『その世界の為に』と為すことは、きっとすべて『いい方向』へ進むと思う。でも、ただ種を撒いて水をやるだけではダメ。工夫をしてみて」
 とんとん、と指でこめかみを叩く。『頭を使ってね』というジェスチャーだ。
「そして──そうだね。これが最大の本題」
 古びた本を開くと、ふわりと白い光が舞った。
「その世界に、名前を付けてあげてほしい」
 世界再誕。まるで創造主(かみさま)のようだ、と思うかもしれない。
 間に合わずに、努力が実らないかもしれない。仮に成功しても、誰にも感謝すらされないかもしれない。それでも──。
「君たちの手でハッピーエンド、作り上げて見せてよ」

NMコメント

 りばくると申します。
 精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします。

●目標
 皆さまが今回の依頼でやる事は二つ。
 『滅んでしまった世界の修復』、『そしてこの世界に名前をつけてあげる』事です。世界の修復といってもやる事は多いので、ひとつひとつ着実にステップを踏んでいきましょう。
 まずはカストルの言うように、植物の芽吹きを目標に始めてみましょう。しかし、ただタネを撒くだけでは育ちません。
 整地してみたり、砂嵐を防ぐモノを作ってみたり、空気の層を埋めて日差しを弱めてみたり、雨雲を作って雨を降らせようとしてみたりなど、やれることはたくさんあると思います。現実的に不可能な事柄だろうと、イレギュラーズの力や奇跡はそれら不可能を可能にし、世界をきっとより良い方向に進められるはずです。
 クラス、エスプリ、スキル、ステータス、装備、ギフト、心情……キャラクターの強みを思い切りぶつけてみてください。それはきっとプレイングへの説得力につながるでしょう。

●滅んだ世界
 かつては美しい自然の溢れる世界でしたが、人々が呼び覚ました『星を喰らう魔剣』という存在によってあらゆる生命を斬り払われました。
 以来この世界に一切の生命は育たず、世界の命はもはや尽きかけています。
 なお、この異世界は時間の流れがかなり早いです。うまくいけば数時間程度で植物が芽を出すこともあります。

●名前
 皆さんで忘れ去られた世界に名前を付けてあげてください。
 それにより、傷ついた星の生命力が回復し、世界の修復はより早まります。
 次回のシナリオ以降、この世界は『その名前(異世界・●●)』で呼称されます。

 では、皆様のご参加をお待ちしております。

  • 芽生えよ、いのち完了
  • NM名りばくる
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月26日 22時25分
  • 参加人数 4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
羽瀬川 瑠璃(p3p000833)
勿忘草に想いを託して
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
天穹を翔ける銀狼
回言 世界(p3p007315)
付与の魔術師

リプレイ

●滅びた世界に、影四つ
 砂嵐吹き荒ぶ世界に降り立った、四人のイレギュラーズ。
 ──成程、そこは確かに終わった世界と形容するに相応しい有様であった。しかし、此処にいる全員の目に諦観も絶望もない。
「一度終わりを迎えた世界に新たなる始まりを……か。中々に大仕事だな」
 『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は辺りを見回しながら、僅かばかり肩を竦めた。言われていることは荒唐無稽。途方もないモノであるのだから。
「生命誕生の奇跡を自らの手で作り出せるなんて、奇術師としては実に愉快で御座います。奇術師がタネも仕掛けもない奇跡を起こすのですから」
 反面、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は笑みを崩さない。奇術とは種があるもの。しかして今から起こすのは本物の奇跡なのだ。
「滅んでしまった世界の修復……一人で成し得なくても、皆さんがいれば奇跡は起こせると私は思います」
 頼もしい仲間を見回し、『勿忘草に想いを託して』羽瀬川 瑠璃(p3p000833)は言った。彼女の目は、曇りなき未来を見据えている。
「いやいや、周りが優秀すぎるな。そんじゃ、俺はのんびりさぼら……」
 おいおい、とゲオルグに小突かれると、『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)は苦笑した。
「ないから、安心してくれ。怒られたくないし、ちゃんと働くさ」
 飄々とした態度だが、どうにも善人らしさは隠しきれていない。

「そういえば……今のまま、皆さんが散り散りになると迷ったり集まりにくくありませんか?」
「成程、確かに」
 四人が周囲を見渡すと、そこは砂、砂、砂。確かに瑠璃の言う通り、全員が集まるには聊か不便で、迷子になってしまう可能性もある。
「拠点、というよりは目印でしょうか。僕のステッキを此処に刺しておきましょうか?」
「いやあ、それはちょっと。幻さんの大事なモンでしょう? ……あ、そうだ。ゲオルグさん、貴方のギフト、活用できるかもしれませんよ?」
「何?」
 怪訝そうな顔をするゲオルグに、失礼、と彼の額に指を置く世界。
「よし、呼び出してみてくださいよ」
 ゲオルグのギフトによって呼び出された羊、ジーク。
 手乗りサイズだったジークは世界のギフトの力により、ぐんぐんと背丈を伸ばし、ついには3メートル超にまで大きくなった。
「まあ、すごい。羊さんがみるみる大きく……」
「ふはは、すごい! すごいぞ! モフモフふわふわじゃないか!」
 ジークに突進していくゲオルグを余所目に、幻はうんうんと頷いた。
「これなら迷う事も無さそうですね」
 羊の居る場所を目印にし、四人は別々に歩いていく。

●創造の時間
 ゲオルグはすいすい、と空を飛んでいる。
「ふむ……生命の絶えたこの世界を再び命溢れるものに変えるには、並大抵の尽力では叶わないだろう」
 彼の思っていたよりも、状況は遥かに悪い。
「元の世界よりも生命の溢れる豊かな世界にしたいものだな……」
 少しでも整地のしやすそうな土地を見つけるため、ゲオルグはさらに探索を続ける。
「ん。此処は、悪くないな」
 ふわりと降り立ち、ゆっくりとその地に手を付ける。
「祝福の花よ──」
 口ずさむ生命賛歌。『ル・ジャルダン・デ・フルール』は大地に巣食う不浄を取り除き、生命力を吹き込んでいく。
 どくん、と大地が脈動した、気がした。

「まずはこの強すぎる日差しを何とかしましょう」
「ええ、お肌が焼けてしまいそうな日差しですもの。植物にとっても、きっと良くないはずです」
 幻と瑠璃の二人はまず、この環境を変化させるために動いている。
 『自然融和』で、この世界の声を聞こうとする瑠璃。耳を澄ませ、じっと待つ。空気の震える音。抗おうとする、世界の声。ぱっ、と瑠璃の目が開かれた。
「……幻さん、あそこです!」
 瑠璃の指がある一点を指す。天高く指された場所は、傍から見れば何てことは無い空。だが、そここそが空気の層が薄い場所なのだろう。普通の人間ならば、絶対に見つけれないものであった。
「『白昼夢』」
 幻が何処からともなく一枚のカードを取り出すと、指で挟んだカードをそこに投げつけた。
 瞬間、膜が張ったように、日差しが弱まる。さらに独特の息苦しさも徐々に取り払われていく。
「成功のようですね」
「よかった」
 たった一枚のカードが、空気の層へと変化する奇跡を起こしたのだ。

「……いやあ、マジで空気の層作れちゃうんだ。凄いなぁ」
 一人離れて、世界は弱まった日差しを背に感じながら呟いた。
「さて、おそらく大体のことはみんながやってしまうだろうし、俺が独自で出来る事は──」
 ぱん、と手を大きく叩くと、もぞもぞと得体の知れない『何か』が世界の目の前に現れる。精霊の出来損ない、もしくは死に損ないだ。今のこの大地の生命力では、呼び出せるものはこれが精いっぱいであった。
「お前、今から水の精。お前はこれから風の精ね」
 都合よく雨を降らせられるとは限らない。風の強さだって調節することまではできない。
 ならば、そういった管理者を作り上げてしまえばいいだけの事だと考えたのだ。
 意志を持たぬ精霊もどきは、彼の姿かたちを真似ようと、じわじわと蠢いた。

 ふたたび、四人はジークの元に集結していた。
「さあ、次は──」
 コツコツ、と幻のステッキが地を叩く。
「海の創造、か。本当に出来るのか、俺達で」
 合理的じゃねえよなあ、と世界は呟く。
「大丈夫です。全員で力を合わせれば──」
 瑠璃の目に迷いはない。
「ああ、やれるはずだ。皆、幻に力を!」
 ゲオルグの声に、全員が頷いた。
「……さぁ、命よ。生まれ出て奇跡を起こせ!」
 三人から力を受け取った幻がステッキを一振りすると、魔力で作られた蝶が生まれる。蝶が躍る。踊る。
 大きな地響きとともに、地面が割れ、間欠泉のように水が噴き出し、雨のように降り注ぐ。
「こりゃ、海ってよりは湖だな……でも、すげえよ。本当に……出来ちまった」
 今はまだ、大きな水たまりだ。しかし、長い時間をかけて水が大地を穿ち、川を作る。それはやがて、海と呼ばれるものになるのだろう。

●<Matthiola>
 事前にゲオルグが見つけていた場所に、四人は居た。
 最後に行うのは、植物を育てる事だ。
「まずは、この世界の記憶を見てみます」
 瑠璃のギフトは誰かの記憶を見て、寄り添えるもの。
「さぁ、教えてください。あなたの一番求めることを……」
 瑠璃は屈みこんで大地に手を付け、この世界の歩んできた記憶を覗こうとする──が。
「きゃっ」
「どうしました、瑠璃様!」
 驚いて尻餅をついてしまった瑠璃に、幻が駆け寄る。
「この世界の記憶は、恐怖で塗り潰されています。大きな赤黒い剣が、人も、動物も、植物も、この大地も引き裂いて……」
「……生命が生まれる喜びより、滅ぼされる恐怖の瞬間を強く記憶してしまっているという事か」
 嘆かわしい、とゲオルグは拳を握りしめる。
「……大丈夫だ。きっとこれから良くなる。まあ、俺たちの働き方次第だけど──それでも」
 この四人の働きは、確実にこの世界にとって、いい方向へと向かっているのだから。

 ゲオルグの効率的な整地が作業時間を大幅に短縮させた。
 世界が持ち込んだ肥料を撒き、幻が持ち込んだ幻想の種を植えて水をやる。
 そして瑠璃の植物への豊富な知識は、育成に大きく役立った。

 ──いのちが、芽吹く。

 根を張り、必死に生きようと出した小さくも力強い芽を前に、四人は自然と笑顔がこぼれた。
 
「……そういえば、この世界の名前についてだが」
「あー、どうすっかねえ」
「候補はいくらかあれど、実際に付けようと思うと悩ましいですね」
 悩む三人。今まで思案していたように俯いていた瑠璃が顔を上げる。
「──Matthiola」
 おもむろに呟いた。
「……この世界の名前か?」
「はい。花言葉は、『永遠の美』、『豊かな愛』。そして、『見つめる未来』──」
「……いい名前だな。いいんじゃないか? なあ」
 世界がそう、幻とゲオルグに振り向いた。
「ああ」
 白い歯を見せて、ゲオルグが笑う。
「僕も、賛成です」
 幻も、柔らかく微笑んだ。 

 これですべての課題は終わった。
 Matthiolaとの別れの時は近づいていく。

「ん、これは……」
 元の大きさに戻ったジークを肩に乗せていたゲオルグが、ふと立ち止まる。
 芽吹いた芽の横に、もう一つ。見慣れぬ芽が顔を出していた。
「俺たち、こんな種植えたっけ? ……うわっ」
 世界がゲオルグの背中から覗き込んでいると、見慣れぬ芽が、大きく背丈を伸ばす。太陽に向かって。みるみる花をつけ、鮮やかな色を残す。
「これは……Matthiolaの花ですよ」
「僕たちの介入によるものではない、という事は──」 
 瑠璃がその花に目を奪われている横で、幻は合点がいったように頷いた。
 これはきっと、この世界がもう一度生きるために踏み出した、第一歩なのだ。

「どんな世界になるんでしょうね」
「ここ、時間の流れが俺たちの生きている時間より早いし。次に来た時が楽しみだな」
 幻と世界はともに連れだって、この世界の未来について思いを馳せる。
「今はまだ、私達が手を加えていられる。だが、いつかはこの世界自身で命を巡らせなければならない。この世界が蘇った時、どんな世界になっているのだろうか……」
 ふわもこアニマルが沢山いる世界になるといいなぁ。ゲオルグの願いが叶うのは、そう遠くないのかもしれない。
「助けてばかりでは、しっかりとした根を張り、強く育つことは出来ません。でも……そんなことは、言わなくてもわかっていたようですね。誰もが幸せに過ごせる世界に。『Matthiola』の未来がより良いものでありますように」
 瑠璃の祈りは、この世界に届いただろうか。
 そうして、去っていく四人の背中を、Matthiolaの花が見ていた。

成否

成功

状態異常

なし

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