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シナリオ詳細

<NF決戦>叩け! ブラシ・ラクーン・プラトゥーンの卑劣なる罠!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●怪人集団ブラシ・ラクーン・プラトゥーン!
「ラクーックックック!」
「ラクーックックック!」
 森の中に、奇妙な笑い声がこだまする! 此処はコンプライアンスも充実した悪の秘密結社、ネオフォボスの秘密基地……の、付近に存在する森林地帯である!
 その森林地帯に、無数のうごめく影があった。その総数はおよそ10。その影たちは、手に資材を持ち、おお、森中に軍隊も真っ青の、様々なトラップを仕掛けているではないか!
「仕掛けよ仕掛けよ同胞たちよ! この森にどんぐり一つ侵入させるな!」
「ラクーン!」
「ラクーン!」
 規律よく吠えたてるその影に日光が差せば、アライグマの獣種の姿があらわとなる――。
 細かく状況を説明しよう! コンプライアンスの良さから、ネオフォボス秘密基地の場所がついに発覚した!
 これにより、幻想の王、『放蕩王』フォルデルマン三世によるネオフォボス討伐依頼が、ローレットへ他多くの冒険者たちへと舞い込んできたのである。世界征服を狙う悪の秘密結社、ネオフォボスとの決戦の時が、ついにやってきたのだ!
 しかし、ネオフォボス達も、ただ黙ってイレギュラーズ達の到着を待っているわけではない! 例えばこの怪人集団、『ブラシ・ラクーン・プラトゥーン』達。彼らは近隣の森林に様々な罠を仕掛け、イレギュラーズ達の迎撃を目論んでいるのである!
「みよ、この森に突然現れたタンスを!」
 ラクーンの内一体が、手にしたデッキブラシの柄をかつり、と地に叩きつけ、叫んだ! その目の前には、立派な和ダンスが置かれていた!
「――困惑した敵は確実に足の小指を打ち、そしてその痛みに悶絶するに違いない!」
「間違いない!」
「恐ろしい!」
「さすが我々! 惚れちゃう!」
 喝采の声をあげるラクーンたち! おお、なんと恐ろしい光景か! 彼らはこのような血まみれのトラップを、森林中に仕掛けているのである!
「もしもトラップ地帯を突破したとしても、我々ブラシ拳法を極めたブラシ・ラクーン・プラトゥーンに勝てるものなし! ナンイドナイトメア様のため、此処で全ての敵を迎撃するのである!」
「迎撃だー!」
「かっこいい!」
「さすが我々! 惚れちゃう!」
 森に潜む邪悪なる妖精! ブラシ・ラクーン・プラトゥーン達の笑い声が、いつまでも響き渡るのであった!

●突破せよ! 卑劣なるトラップ!
「と、言うわけで、皆さんにはこの変なアライグマを一網打尽にしていただきたく」
 『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)は、集まったイレギュラーズ達へと告げた。
 前述したとおり、世界征服を目論む悪の秘密結社、ネオフォボスの本拠地の場所が発覚。大規模な討伐作戦が実施されることとなった。
 ネオフォボス側は、本拠地付近の様々な地点にて迎撃を開始。今回現れた奇妙な獣種も、ネオフォボス側の戦力――怪人である。
「たわけた連中ですが、その戦闘能力は充分――まぁ、一般の騎士では手に負えない位ですからね。変なトラップとノリにごまかされず、油断せずにお願いしますよ!」
 さて、今回の作戦であるが、おおむね二つの段階に分けられる。
 まず、件の森林に突入し、トラップ地帯を突破する。
 トラップは、突如置かれた和ダンスから竹やりの刺さった落とし穴と、意味不明なものから殺意を感じるものまで様々なものが設置されているようだ。
 とはいえ、その設置方法はお世辞にも巧妙とはいいがたく、注意深く観察すれば、トラップの確認、そして解除は容易だろう。
 そしてトラップ地帯を突破できれば、ブラシ・ラクーン・プラトゥーンの森林臨時テントに到着できる。ブラシ・ラクーン・プラトゥーンたちは、このテントで洗濯物を洗ったりしているので、奇襲を仕掛けて全滅させる――というプランだ。
「以上、こんな感じですね。ではでは、しっかりと働いて、がっぽりと儲けてきましょう! お気をつけて!」
 そう言って、ファーリナはイレギュラーズ達を送り出したのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 森を占拠する変なアライグマたちを駆除するお仕事です。

●成功条件
 『ブラシ・ラクーン・プラトゥーン』達の撃破

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 ブラシ・ラクーン・プラトゥーン達が潜む森林地帯へと突入し、トラップ地帯を突破。その後、テントで待ち受けるラクーン達を撃退する、という作戦です。
 作戦決行時刻は昼。
 森林地帯は手入れもされておらず、まさに密林と言った様相を呈しています。
 森林入り口からラクーン達が待ち受けるテントまでには、様々なトラップが仕掛けられています。解りやすい変なものから、分かりづらい殺意に溢れた物まで。注意深く森林を行き、これを突破してください。
 無事にトラップ地帯を突破できれば、ラクーン達の潜むテントに到着できます。ここはテントが張れるように、大きく開けた、広場になっています。
 このラクーン達を全滅させることができれば、依頼は完了、となります。

●エネミーデータ
 ブラシ・ラクーン・プラトゥーン ×10
 特徴:
  デッキブラシを抱えたアライグマの獣種たち。1号のみオリジナルで、残りの2~10号はクローン体。
  反応やEXAに秀でている反面、一撃一撃の威力は控えめ。とはいえ、油断は禁物。
  ブラシ拳法なる、デッキブラシを駆使した格闘術が得意技。
  スキルとしては、出血を付与する『ブラシクロー』、不吉を付与する『ブラシトラップ』などを使用。

 以上となります。それでは皆様のご参加をお待ちしております。

  • <NF決戦>叩け! ブラシ・ラクーン・プラトゥーンの卑劣なる罠!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月22日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
アト・サイン(p3p001394)
観光客
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)
軍医
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール

リプレイ

●森林に響く笑い声!
「ラクーックックック!」
「ラクーックックック!」
 おお、森林に邪悪な笑い声がこだまする! その笑い声は、邪悪なる怪人部隊、ブラシ・ラクーン・プラトゥーンのものだ!
 常なれば穏やかな森林地帯は、彼の悪魔たちの手によりトラップ満載の悪の居城と化した! もはや立ち入れば命の保証などできぬこの邪悪の森の奥で、ラクーン達は洗濯物を干したりしているのだ!
 さぁ、勇気を胸に、今こそ悪の密林を突破し、怪人たちを一掃しなければならない! 行け、イレギュラーズ! 行け! 勇者たちよ!

「…………なんか変な笑い声がするな」
 ぽつり、と呟くのは『軍医』ウィリアム・ウォーラム(p3p007502)である。この森で聞こえる笑い声となれば、ネオフォボス怪人であるアライグマの物だろう。
 となると、この笑い声の先に、怪人たちのアジトがあるのかもしれない……あるいは、これすら罠か。一瞬の逡巡が、ウィリアムから注意力を殺いだ。そして訪れる――激痛!
「おっ……うぉ……」
 呻くウィリアムが、たまらずうずくまった。ウィリアムの近くには、なぜか和ダンスが置いてあって、ウィリアムは注意を殺がれたために、そのタンスの角に足の小指をぶつけたのである。
「うっわ、マジ痛そうじゃん」
 伊達 千尋(p3p007569)が、痛みを想像して顔をしかめた。召喚されてから日の浅い千尋にとっては、こういった身近な痛みの方がリアルかもしれない。
 さておき、千尋はタンスへと視線をやった。ごく自然に設置されているが、その存在自体はあまりにも不自然である。というか、普通は森林に和ダンスなど――不法投棄でもなければ――存在しない。よってこれは、アライグマ怪人たちの仕掛けたトラップであるのだ。
「やっぱ、意外と気抜くとやべーッスね。専門家の意見を聞きたい」
「うん、僕が先導しているとはいっても、やっぱり気は抜かないでほしいかな」
 『観光客』アト・サイン(p3p001394)が言う。その手には、伸縮可能な3mの棒があって、その棒であたりを警戒しているのだ。
「僕に致命的失敗は存在しない、と断言しよう。とはいえ、やはりやっていることは、針の穴を通すような作業だ」
「アライグマ共めやるじゃねェか……肝に銘じておくよ……」
 ようやく立ち直ったウィリアムが、声をあげた。
「しかし……タンス……タンスか。気が抜けるんだか、そうじゃないんだか……」
 『雨夜の惨劇』カイト(p3p007128)が告げるのへ、
「わけわかんないよね……これはギルティ……」
 手にしたバールを振りながら、『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)が言う。
「だいたい、悪の組織とか……メンドーだよね……黒いし……1個潰したら30個は出てきそう……」
 それは不快害虫の類ではないか、と思ったものもいるかもしれない。とはいえ、悪の組織が面倒な集団なのは、さほど間違いではないかもしれないが。
 『羊飼い』メイ=ルゥ(p3p007582)が続いた。
「都会のアライグマさんは、タンスを運ぶのですね。凄いのです!」
 興味深げに、タンスへと近づく。
「ところで、都会では、おうちに遊びに行ったら、かくしてある大人の本を探すのがルールと聞いているのです。タンスを開けて、探した方がいいでのですか?」
 小首をかしげるメイへ、千尋は噴き出した。
「アライグマのエロ本とか、気になるわ」
「いや、流石にそんなものを隠しちゃあ……いや、連中も相当間抜けみてぇだし、有り得るか……?」
 カイトが思わず首をかしげる。
「あ、開けちゃあだめだよ。何が仕掛けられてるかはわからなし、お宝もなさそうだしね」
 アトが人差し指を立てつつ、仲間達へと告げた。
「いいかい? 罠というのは、トリガーと、結果に分解される」
 アトが、そう告げる。
「ここにタンスがある……これは、結果だ。タンスという結果が現れるトリガーが、罠には絶対に存在する。変な笑い声で気を反らす、とかね。例えば、ここ。僕たちは気づかなければ、此処をまっすぐ進む予定だったけれど……お願いできるかな?」
「はーい」
 と、リリーが手にしたバールを、アトの指さす場所へと放り投げる……すると、上にかけられていた草と、土が零れ落ちた。気づけばそこには結果――地面に竹やりの刺さった、深い落とし穴が姿を現す。
「うお……これは、落っこちたら痛いじゃすまねぇな」
 カイトが声をあげる。アトは頷いた。
「隠された土を踏む、というトリガーを経て、落とし穴という結果が現れる。罠を切り抜ける、というのは、このトリガーを踏まない事が重要、って事……さて、少し道を変えるとしよう」
「了解。もし迷いそうなら、上から指示するよ」
 ばさり、と翼の羽ばたく音が聞こえた。上空に視線をやれば、『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)が、イレギュラーズ達の頭上、空を舞っている。
「下は大変そうですね」
 一行がまた歩みだすのをみて、『自称・旅人』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)が言う。ヘイゼルは、『軍用踏空魔紋【Ventus】』にその足を乗せ、宙を歩くように、上空から目的地へ向けて進んで行く。
 ミニュイは、そうだね、と頷きながら、
「私たちが全員運べれば、楽だったんだけれど」
「そうもいきませんからねぇ」
 ヘイゼルは苦笑した。上空から見てみれば、ぽっかりと開いた平地が見えて、そこにはいくつかの小さなテントが設置されているのが見える。情報通りならば、そこがラクーン怪人たちの拠点なのだろう――確かに、何かシャツとかシーツとか……洗濯物が干されている。
「太陽が見えないと、洗濯物渇かないものねぇ」
 ミニュイが嘆息しつつ、下を見やる。森林地帯は、トラップが満載だ。まっすぐ進めればいいが、そううまく直進できるというわけではない。
 二人は上空から、森を逝く仲間たちのサポートを行っているのだ。眺めてみれば、また一つ、トラップが解除された。べちゃ、という音がして、大きな白い塊が、木の上から地面に落下する。
「……なんだろ、あの白くて柔らかそうなの……毒?」
 ミニュイが首をかしげるのへ、ヘイゼルは、あー、と嘆息しつつ、
「豆腐だと思いますよ」
「トーフ?」
「食べ物です……私の故郷には、こんな言い回しがあるんですよ。豆腐の角に頭をぶつけて死ね、って」
「へぇ……死ぬの?」
「うーん、普通は死にませんけど、高速で打ち出せば、理論上は」
 まぁ、その速度で発射すれば、豆腐の方が先に自壊しそうだが。
「変な連中だね……」
 怪人たちに対する正直な感想を、ミニュイは口にした。それはさておき、一行は少しずつ森を進み、やがて怪人たちの潜む広場へと、到着したのである。

●恐怖! ブラシ拳法!
「ラクーックックック!」
「ラクーックックック!」
 広場には、例の笑い声が響いている。
 そよ風にたなびく洗濯物。見れば、10体のアライグマ怪人が、デッキブラシを片手にミーティングを行っていた。
 イレギュラーズ達は、視線を交わし合うと、頷いた。ここまでは予定通り。相手はまだ、此方に気づいてはいない。トラップに絶対の自信があるのか、それとも間抜けだからか。いずれにしても、状況としては、イレギュラーズ達に有利である。
「じゃあ、始めるぜ」
 カイトは不吉な囁きを放つ。放たれた呪詛がアライグマ怪人を襲った。
「ね、ねぇ、なんか聞こえない……?」
「気のせいでは」
「ホラー! 怖い!」
 口々に声をあげ、浮足立つアライグマ怪人たち。
 続いてアトは手にした銃、『黒坑人のピースメーカー』に銃弾を装填するや、一気にそれを乱射した。発射された銃弾があたりに掠め、弾丸に充填されていた魔術が爆発。命中した地面、テント、あるいは銃弾そのものを爆発的に複製させ、破裂させていく!
 巻き起こる爆風に、洗濯物が舞い上がった。
「ウワーーッ! 何事!?」
「敵襲! 敵襲だ!」
「危険! 泣いちゃう!」
 アライグマ怪人たちが悲鳴を上げつつわたわたと走り回る。
「悠長に洗濯とかしてさぁ……しかもタンスとかブラシとか持ってさぁ……。そんなに家事したいんなら、家で家事見習い(ニート)でもやってればいいんだよねぇ……」
 ぐわり、とリリーはバールを構えた。それを思いっきり振りかぶり、
「判決:ギルティだねぇ……バールの刑で、本物のニートにしてあげるよぉ……」
 放り投げた! 走り回るアライグマ、その内の一体に、バールが突き刺さる!
「ウワーーーッ! バールのようなものが!」
「9号! 9号ーーーッ!」
「痛そう! 泣いちゃう!」
「アライグマさんを見つけたら、処分するのが都会のルールなのですっ!」
 メイの手甲が輝き、音速の一撃がアライグマへと突き刺さった。
「ごふっ……」
 渋いうめき声をあげながら、アライグマ9号は派手に爆風をまき散らして爆発四散!
「敵襲! 敵襲だ!」
「迎撃しろー!」
「攻撃! 始めちゃう!」
 アライグマ怪人たちは、しゅっ、とデッキブラシを振るうと、一目散にイレギュラーズ達へと襲い掛かる。
「くらえ、デッキブラシパンチ! そしてキック!」
 放たれる鋭いパンチと蹴り。
「案の定……デッキブラシ、関係ないですね」
 ヘイゼルは嘆息しつつ、その攻撃を受けて見せた。敵のパンチとキックには、言うほどデッキブラシの要素は見受けられず、単にデッキブラシを抱えているだけである。
「取り敢えず、笑い方がラクーックックックは苦しいのでは?」
 賦活の力を周囲へと分け与えつつ、ヘイゼルが問う。アライグマ怪人たちはラクーックックック! と笑いながら、
「甘い! 苦しくならないように訓練したからな!」
「辛い日々! 泣いちゃう!」
 些か外れた回答を得意げに話すアライグマ怪人たち。
「楽しそうだねこの毛玉たち……クローンとオリジナルとか、クローン同士とか、仲悪そうなイメージがあるけれど」
 ミニュイが声をあげ、アライグマ怪人を迎撃する。繰り出される格闘攻撃――鋭い爪を紙一重でよけるミニュイ。
「ラクーックックック! 知りたいか! 確かに最初は我ら、あんまり仲は良くなかった! しかし度重なる訓練により、その結束を」
「ごめん、興味ない」
 ミニュイはアライグマ怪人の言葉を振り払うように、宙を舞った一気に高度を取り、そこから魔弾を撃ち放つ! 放たれた魔弾はアライグマ怪人3号の身体を貫き、爆発四散させた!
「3号ーーっ!」
「落ち着け、3号は我々の中でも大体同じくらいの強さ……」
「皆同じで皆いいからね!」
「まったく、気の抜ける連中だ!」
 ウィリアムが叫び、祝福の囁きを纏う。
「タンスにぶつけた足の小指の怨み、忘れてないぞ!」
「タンストラップに引っ掛かった奴がいるぞ!」
「ねえどんな気持ち!? どんな気持ち!?」
 タンストラップに引っ掛かった、その事実に沸き立つアライグマ怪人たち!
「ええい、本当に頭にくる連中だなオイ!?」
 さすがのウィリアムも、かなりムッとするのであった。
「シティボーイの俺には森の散歩はキッツかったけど? こっちの方なら本番だぜ!」
 千尋はごき、と指を鳴らしながら、一気にアライグマ怪人へと接近する。今の彼は上がり調子――運不運に激しい性質を持つとて、一度調子が登れば、千尋を阻めるものなどはいない!
 千尋がアライグマ怪人を殴りつける。8号が爆発四散し、千尋の調子の確かさを証明した。
「しかしコイツら、連携はとれてるし、手先は器用……子分にしたら、この世界でもチームの旗揚げ出来るんじゃねーか?」
 ふむ、と唸り、続いて千尋は声をあげた。
「おうお前らァ! 俺についてくんなら定期的にドングリ奢ってやんぞォ!」
 ざわ、とアライグマ怪人たちの間に衝撃が走る!
「ど、どんぐり……!」
「やだ、心惹かれちゃう……!」
 ざわめくアライグマ怪人たち。千尋はその様子を観察してみたが、
「で、でも、組織を裏切ると後が怖いし……!」
「やめときます……でも、再就職先が必要になった時はお願いします……!」
 やはりネオフォボスを裏切ることは恐ろしいらしい。まぁ、怪人であるのだからしょうがないのである。
 さておき、ついにイレギュラーズとブラシ・ラクーン・プラトゥーン達、その戦端が開かれた。激しく火花を散らす両陣営、勝利の女神の天秤は激しく揺れ、果たしてどちらに傾くべきかを慎重に見定めている。
 果たして勝つのは人か、獣か――!

●イレギュラーズ勝利! さらばブラシ・ラクーン・プラトゥーン!
「10号ーーーーッ!!」
 広場にアライグマの悲鳴がこだまする!
 イレギュラーズ達の猛攻により、ラクーン怪人たちはその数を徐々に減らしていった。そう、勝利の天秤は、今まさにイレギュラーズ達へと傾き始めていたのである!
「都会の~アライグマさんは~駆除! なのですっ!」
 鼻歌交じりで10号にとどめを刺すメイ。10号は爆発四散し、残るは1号、4号、7号の三体のみとなっていた。
「なんという……おお、お前たちには血も涙もないのか!」
「あなた達のトラップも、血も涙もないものがいくつかありましたけれど」
 苦笑しつつ、ヘイゼルが続ける。
「それからあなた達――自分達しか褒めてくれる方が居ない為、過剰に身内で褒め合って質が低いまま。これって駄サイクルですよね?」
「言わないで! 結構気にしちゃうから!」
 ヘイゼルの挑発に、アライグマ怪人が頭を振る。胸を抑えるその姿。つらい現実が心を抉った。
「ついでに、これでも食らって行って」
 高高度より放たれる、ミニュイの魔弾――放たれたそれが7号を捉えた! 魔弾に貫かれた7号はぬわー、と叫びながら転がる。だが、トドメの一撃とはならなかった。どうにかこうにか立ち上がり、反撃を目論む7号。
「死なばもろともーっ!」
 鬼気迫る表情でデッキブラシを振り回しながら、襲い掛かる7号――だが、その身体を、カイトのレーザーが貫いた。
「名作だと、さよなら、って言って森に帰すんだけどな?」
 カイトがため息をつきながら、言う。
「今回は森に『還す』わけだが……泣けるか? これ? 別の意味では泣けてくるけどさぁ」
 爆発四散する7号! なんだか脱力した様子で、カイトは肩をすくめた。
「つくづく――変な仕事だぜ、まったく」
「おのれ、7号の仇ーっ!」
 イレギュラーズへと迫る4号――だが、その身体をアトの銃弾が貫いた。
「トラップの結果は褒めてあげるよ。でも、トリガーに関しては今一つだね」
「バールはブラシより強し、これ名言だから……」
 続いて放たれたリリーのバールが、ごつん、とすさまじく痛さを感じる音をあげ、4号へと突き刺さった。その勢いのまま地に叩きつけられた4号が爆発四散!
「よーし、じゃあラスト行っちゃいますか? ウィリアム!」
 千尋の言葉に、ウィリアムは聖なる光を、千尋へと放つ。
「おう! 思いっきり行ってこい!」
 その言葉に、千尋はニヤリと笑った。一気に接近して、殴り掛かる――調子は外れない。ならば子の一撃は、敵の命を絶つ一撃だ。
「や、ら、れ、たーーーッ!」
 拳の突き刺さった1号が、断末魔の悲鳴を上げる。拳により吹き飛ばされた一号――千尋は静かに振り返った。その瞬間、千尋の背後で1号は爆発四散。ここにブラシ・ラクーン・プラトゥーンは壊滅したのであった――。

 広場には、ぱたぱたと、ほしかけの洗濯物が、風になびいていた。
 イレギュラーズ達は見事、ネオフォボスの怪人を撃退することに成功したのだ!
 だが、戦いはこれで終わったわけではない。
 これからも、イレギュラーズ達の戦いは続くのだ!
「はい! 都会だと、終わった時にこういうのですよね? 『これが最後のラクーンとは思えない……きっと第二第三のラクーンが現れる……』のです!」
「えー……やっぱり、ギルティだよぉ……」
 第二第三のラクーンが現れたとしても、行け! 戦え! イレギュラーズ!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。ラクーックックック。
 だが覚えておくがいい。お前たちの前には、いずれ第二第三の……え? もう出ない? そんなぁ。

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