PandoraPartyProject

シナリオ詳細

秋の毒草茶会へようこそ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●遺跡観光業の悩み
『深緑』国内の迷宮森林には様々な遺跡が存在する。
 その中には安全が既に確認された遺跡も多く、観光資源になっている所もある。
「ティパティ遺跡」はその内の一つであり、観光スポットとしてそれなりの名所だ。

 さて、この「ティパティ遺跡」。
 小さな遺跡ではあるものの、その名の如く、ティーパーティーみたいな姿の遺跡である。
 遺跡内でティーパーティーでもするかのようなカップの岩場があり、天井が空いている。
 秋になれば、周辺は美しい紅葉でドーム状に覆われる。
 遺跡内外にシートを敷いてお茶会をしながら紅葉狩りなんてここではもはや風物詩だ。

 そんな風光明媚な名所だが、毎年、とある問題があった。
 これはある日の観光管理局長と局員の会話である。
「局長、今年の秋もいよいよ紅葉狩りのシーズンですね。ティパティ遺跡もお茶会の会場として盛り上がるでしょうが、あの厄介な問題もありましたね……」
「うむ。毒草の問題だな。魔物がいない分、管理が楽だが、何分この季節になると毒草が厄介でな。観光客の足が遠ざかるという事もあるが、それ以前にあの毒草の数々がせっかくの遺跡をダメにしかねない……」
「ですよね。あの毒草が毎年、驚異なんですよね。今年も専門の業者に頼むのですか?」
「いや、その件だがな……。今年はローレットにでも依頼しようと思うのだ」
「え? ローレットって、あの?」
「うむ。今年は彼らにやって頂ければ、観光の宣伝にもなると思ってな」
「なるほど。それは名案ですね!」

●紅葉色の毒草茶会なんてどうかしら?
 あなた達は『深緑』のローレット・ギルドで掲示板を眺めていた。
 風光明媚な名所も多い『深緑』でできる仕事で、半ばレジャーが入った案件とか良いかもしれない。
 さてと、どれがいいだろう……!?
 なんて、考えていた所に『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が現れた。

「ねえ、あなた達? 紅葉色の依頼でも受けてみない?」
 ん? いきなり、なんだそれは!? 紅葉色だと?
「そうよ。遺跡で毒草を駆除するだけのホワイトに簡単な依頼よ。しかも、駆除した毒草は専門の調理師がゴールドなスキルでカラフルなお菓子にしてくれるわ。もちろん、カラフルなお菓子はブラックな事がなく食べられるのよ!」
 え? 毒草を駆除して、しかも食べられるだと?
 専門の調理師までいるというのだから、大丈夫なんだろうけれど……。
「さらにブライト・カラーに面白い事に、そこのモノトーンな遺跡周辺は文字通りに紅葉色で囲まれているのよ。仕事の後は、紅葉狩りをしながらアリス・カラーのお茶会まで堪能できてしまうという薔薇色の依頼でもあるわ!」
 プルーは、そこの遺跡……ティパティ遺跡の観光パンフレットを取り出して見せてくれた。パンフレットに写る遺跡周辺の光景は実に紅葉色の秋を物語っていた。

 そうか、地元の観光業者がローレット向けにそんな仕事も出していたのか……。
 半ばレジャーの毒草駆除の依頼を受けて、遺跡で紅葉色のお茶会をやるのも面白いかもしれない。

GMコメント

●目標
 ティパティ遺跡周辺の毒草を摘んで駆除する。
 調理した毒草を茶菓子にしてお茶会(紅葉狩り)を楽しむ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
『深緑』国内の迷宮森林の一角にティパティ遺跡という秋の観光名所があります。
 ここの遺跡は既に安全が確認されていますが遺跡内や周辺に毒草が沢山あります。
 紅葉に囲まれた小さな遺跡では、建物内や近辺で自由に見学やお茶会ができます。

●スケジュール
「午前」と「午後」に分けてイベントが行われます。
「プレイング」は、「午前」と「午後」に分けて書いて送るとわかりやすくて良いでしょう。

・「午前」
 現地集合です。午前の時間帯では毒草を摘みます。
 摘む毒草の種類は下記「●毒草の種類」を参考にしながらお好きな物を摘みましょう。
 クリア条件として、どの種類をいくつ摘む等制限はありませんのでお気楽に。
 作業中は近隣の人とおしゃべりする事もできます。交流にも良いでしょう。
「午前」中に詰んだ毒草は「午後」では調理した後にお茶会で茶菓子にできます。

 毒草ですので、各種BSには気を付けましょう。
 シナリオ限定となりますが、BS対策に作業着が無料で借りられます。各種BSを軽減する軍手とエプロンです。(借りるか借りないかは各自の自由とします。独自のBS対策でもOKです)

・「午後」
「午前」中に皆さんが詰んだ毒草を「毒草調理師」というNPCが調理してくれます。
 その場で調理しますので、見学や調理体験もできます。
 調理した後の毒草は毒等が抜かれていますので食べられます。

「毒草」という茶菓子がありますのでお茶もでます。
『深緑』の紅茶(ホット・コールドどちらでも、味もストレート、レモン、ミルク等)やコーヒー(ホット・コールドどちらでも、ミルク、砂糖、シナモン等も入れられます)が主なドリンクとして飲む事ができます。
 他のソフトドリンクも各種取り揃えておりますが、今回は、お酒は、なしで。(「飲み会」ではなく飽くまで「お茶会」の趣旨ですので)

 遺跡周辺では綺麗な紅葉が見られます。
 美しい景色に美味しいお茶と茶菓子を楽しみながら皆で交流しましょう。
 交流後は現地解散です。

●毒草の種類
 以下、遺跡に生えている毒草です。
 お好きな種類をお好きな数だけお摘みできます。
 ロールプレイにもぜひ活かしてみましょう。
 あえてBSを受けてみるのも面白いかもしれません。

・毒チョコ草
 チョコレートのような外見をした花の毒草です。
 BSは毒。
 毒を抜くとチョコレートのような味がします。

・火炎綿飴草
 ぱちぱち燃える綿飴のような外見をした花の毒草です。
 BSは火炎。
 火炎を抜くと綿飴のような味がします。

・凍結グミ草
 凍っているグミのような外見をした花の毒草です。
 BSは凍結。
 凍結を抜くとグミのような味がします。

・感電ビスケ草
 電気でびりびりとするビスケットのような外見をした花の毒草です。
 BSは感電。
 感電を抜くとビスケットのような味がします。

・魅了クッキー草
 可愛らしいハートのクッキーのような外見をした花の毒草です。
 BSは魅了。
 魅了を抜くとクッキーのような味がします。

・ブラッドキャンディ草
 深紅色の血みたいに赤い飴のような外見をした花の毒草です。
 BSは出血。
 出血を抜くと飴のような味がします。

・石化煎餅草
 石の煎餅のような外見をした花の毒草です。
 BSは石化。
 石化を抜くと煎餅のような味がします。

・暗闇不思議草
 謎の外見をした黒い花の毒草です。
 BSは暗闇。
 暗闇を抜くと謎の味がランダムで楽しめます。
(あるいは上記に欲しいお菓子がない場合、好みを書いてこれを申請しましょう)

●GMより
 つい最近まで夏だと思っていたら、既に秋ですね。
 秋といえば、まずは紅葉、紅葉狩りあたりでしょうか……。
 ぜひ毒草ゲットしてお茶会を楽しんでみましょう!

  • 秋の毒草茶会へようこそ!完了
  • GM名ヤガ・ガラス
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年10月06日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイル・フォン・フェイティス(p3p002251)
特異運命座標
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者
リオーレ(p3p007577)
小さな王子様
シエル・フォン・ルニエ(p3p007603)
特異運命座標

リプレイ

●準備
 紅葉色の秋に囲まれたティパティ遺跡へやって来た。
『慈剣の騎士』カイル・フォン・フェイティス(p3p002251)はエプロンを着ながら、広がる毒草をざっと見て、皆にこんな事を言う。
「毒を抜いて食べられるようにするとは一石二鳥ですね。遺跡の保護や訪れる方々の安全にも繋がりますし、張り切って作業に臨みましょう」
 カイルから軍手とエプロンを受け取った『特異運命座標』シエル・フォン・ルニエ(p3p007603)は、幼馴染の言葉に頷く。
「うん、美味しいお茶やお菓子のためにも今日は頑張っちゃうよ! でも毒草がお茶菓子になるって不思議だね!」

 続いて現れたのは『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)だ。
「菓子の形をした毒草か……。これがホントの甘い罠なんてな」
 くくく、と世界は自分のジョークにウケていたが、『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)がおろおろしていた。ジョークは面白かったが、人と会話するのが苦手な彼女はどう返すべきか考えた所……。
「え、えっと……。食べられる毒草、です、よね……?」
 世界は反応してくれたメイメイににこりと答える。
「とりあえず、美味しく頂けるんなら張り切ってやらせてもらおうか?」
「はい……」
 毒草はちょっと怖いが、食いしん坊のメイメイは期待に胸を膨らませていた。

『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)は楽しそうにスキップして来た。鼻歌も歌ってテンションも高めである。今日は楽勝依頼の日なのだ。いやいや、決して楽勝だから喜んでいる訳でもなく……。
(だって毒草だろ? ワクワクするじゃん。それに毒抜きの仕方とか覚えたら毒殺とかに使えるかなぁ?)
 楽しそうなペッカートとは対照的に『名乗りの』カンベエ(p3p007540)は男らしく堂々と歩んで来た。
「毒草でごぜえますと? ウハッハハ! 毒が怖くて男は務まらんでごぜえますな!」
 それを聞いたペッカートは親切にも係員にこう告げる。
「あいつは男気で毒草を摘むから軍手とエプロンはいらねぇってよ?」
 カンベエが慌てて訂正する。
「あばばば! 軍手と……前掛け、お借りしても……よろしいでごぜえますか……?」

『特異運命座標』リオーレ(p3p007577)坊ちゃまは爺(実はギフト)と共に優雅に現れた。
 今日の坊ちゃまはやる気と自信に満ちていた。
「草をつめばいいんでしょ? かんたんじゃん! ね、爺?」
「左様でございます」
 リオーレは係員から作業着を受け取った。
「作ぎょう着がかりれるの? それじゃあボクはエプロンを使うから、爺は軍手を使っていいよ」
「ありがたき幸せです」
 2人で分けて使おうとしたら係員がもう1人分を持って来てくれた。

 最後に森からやって来たのは『風の友』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)だ。
 どこか眠そうで欠伸をしつつも軍手とエプロンを着用する。
 その後、仲間達の様子をにこやかに窺っていた。
(ふふ、若い人達が張り切っていていいネ。今日は楽しくなりそうだナ)

●午前
 シエルはエプロンも軍手もしたがある事に気が付いた。
「あっ髪の毛忘れてた! カイ、髪の毛結んでー!」
 彼女はくるっと回りカイルに背を向けた。
「わかった。って、初めから結んでおけばよかったんじゃ……? ん?」
 カイルは文句を言いつつも、きちんと髪を結んであげるけれど。
(以前はこんな大きな傷跡なかったはずだよな……?)
 シエルの背中に大きな傷痕の一部が見えた。
(ん? カイ、なにして……? あっ!?)
 お互いに気付かれた事にはっとしたが、今はそれ以上何も言わなかった。
 ちょっと気まずくなったがシエルはすぐに話題を切り替える。
「毒草って、あれかな? あ、あっちも!」
「折角だし一緒に摘もうか?」
 カイルとシエルは魅了クッキー草の辺りに来た。
「草が沢山生えているけれど、魅了クッキー草は花の部分がハートのクッキーみたいな形だからな? 間違えるなよ?」
「うん! わかりやすいから間違わないよ! よーし、いっぱい摘むよ!」
 しばらく2人で黙々と草を抜いていたが、カイルはある事を思いつく。
(毒を抜かないままだとどんな味がするんだろうね? 気になるな……)
 カイルは毒抜きしていないこの草のクッキー部分をがぶり、と食べる。
「もぐもぐ……。ふうむ? ビター過ぎる大人の味……かな?」
「どれどれ? 私も食べてみよう? だって気になるもん! お菓子の味がするのかなー、それともにっがーい味がするのかな! 魅了? 気にしない気にしないっ」
 シエルも毒草のクッキー部分をむしゃむしゃっと食べ始める。
 カイルは焦った。自分は抵抗力が高いからこの程度の状態異常ならば弾けるだろう。
 だが、シエルは……?
「おい、大丈夫か!?」
「うっふっふ~♪」
 シエルの様子が明らかに変だ。変というより……何か、色っぽい?
「カイ~♪」
 シエルが抱き着いて来た! しかもキスしようとする!
 ストイックな騎士カイルが大慌てだ!
「ちょ、ちょい待て! 俺達はただの幼馴染だ! それに皆が見てる!」
「カイ~? 私のこと、嫌いなの?」
 カイルがどう答えるべきか考えていたら……。
 きらん! びゅん、どすん!
 戦斧がカイルを襲い、鋭敏な騎士は紙一重で回避した。
「そうか……。魅了のせいで? たしか、魅了は仲間を攻撃する状態異常でもあるな……」
 カイルは魔剣を抜き出した。シエルを叩き切る訳ではなく防御用に。
「うふふ♪ カイ、もう逃げないで? 私のために死んでよね!!」
 その後、魅了効果(なぜかヤンデレも?)が切れるまで2人の攻防戦は続いた。
 しかも同時刻、周囲も同じような感じで大騒ぎをやっていたらしい。

 世界は植物の知識に詳しいのでメイメイやペッカートにも教える。
「基本的に花の部分に毒があるから花には触るなよ。例えば、凍結グミ草の場合、花の部分のグミが凍ってるから触ると手が凍結するからな。だから、根っこからそおっと、掘り起こして、茎の部分を持って抜けよ。
 まあ、草摘みなんて作業は単調で退屈になりがちだ。だが、このあとに美味い物が待ってると思うとやる気はいくらでも出てくるな。さて、頑張るか?」
 世界の指示を受け、他の2人も上手く草を引き抜く。
 世界も効率良く草を抜いていく。
 この妖精使いさんは毒も火炎も電撃も凍気も効かない。その上、用意周到に軍手とエプロンも身に着けている。状態異常を受け付ける隙がなかなかない。
 メイメイはうんしょ、うんしょ、と手前にある毒草を全て抜く。
 軍手もエプロンも世界の指示もばっちりだ。
 毒草を触った軍手でそのまま汗を拭わないようにも気を付ける。
「こ、これは……なんて、美味しそう……あ、まだ我慢、しないと……ですね」
 メイメイは抜いた毒草にうっとりとしながらもわくわくと引き抜いていく。
 これはクッキー、こっちはグミ、あれはチョコ、あっちは飴……と、いう具合にお菓子となる草を集めるのだ。
「毒草、残すと大変、ですので……」
 真面目なメイメイは全種類を制覇してしまった。
 いや、決して食欲の赴くままでは、ない、はず?
 メイメイが草むしりをしている頃、ペッカートは耐性がある火炎綿飴草と石化煎餅草を中心に駆除していた。軍手とエプロンもしているので、特にこの2種類に関しては万全の態勢で臨めた。その後、世界の助言も参考にしつつ、ブラッドキャンディ草と魅了クッキー草の採取も気を付けて行った。
 黙々と作業する仲間達の様子を窺いながら、ペッカートは火炎綿飴草を取り出した。
(毒って言われたら一回食べてみたい……っていうのは俺だけか? 毒抜き前はどんな味か気になるし……)
 ぱちぱち、ごごご!
(おお! 綿飴が火炎のように弾けた……野生の火炎綿飴草ってこんな熱い味か!?)
 続いて、毒チョコ草も抜いて、花の部分にぱくり、と噛り付き……。
「ぐっ、ぐはぁ……!」
 突然、毒が回って苦しみだすペッカートの様子に近くの2人が驚く。
 自然知識がある世界はすぐに現状を把握した。
「おい、毒チョコ草を生で食ったのか!? 落ち着け、今すぐ、俺が回復してやるからな? メイメイはこいつを吐かせるのを手伝ってな?」
 世界のブレイクフィアーの呪文とメイメイの介抱のお陰でペッカートは何とか助かった。
「はぁ、はぁ……。マジですまねぇ……。あ、ありがとな?」
 世界はふう、とため息をつく。
「あ、いや、助けた方が『合理的』だからな。ま、もう毒草を生のまま食うなよ?」

 カンベエは近くにいたジュルナットに景気よく話し掛ける。
「感電ビスケ草や火炎綿飴草などの派手な色の物を摘んでいくとしましょうか!」
 ジュルナットも、うむ、と頷く。
「元気があっていいネ。なら、オジイチャンは石化煎餅草と暗闇不思議草かナ?」
 カンベエはバチバチ弾けるビスケやゴウゴウ燃える綿飴の草を根っこから掘り始めた。
 とにかくむしってむしってむしりまくる!
「根元をつまんで押したり回したり、生えている場所の土を柔らかくしてから根っこごと引き抜くように致すでごぜえます。根が残っちゃあまた生えてくるでごぜえましょうからね」
 ジュルナットもカンベエの様子に習って同じようにやってみた。
 手前のカチカチの煎餅草を片っ端から抜きながらも、自前のポシェットに入れていく。
「よかったら、オジイチャンのポシェット使うかイ? 全て手持ちは厳しいよネ?」
「おお、かたじけないでごぜえます!」
 2人は沢山刈った毒草をポシェットにどんどん入れていく。
 時に軍手とエプロンも万能ではないので……。
「あ、しまったヨ。こいつは見えねェ?」
 暗闇不思議草の暗闇効果に嵌り、ジュルナットは目元が辛そうだ。
「大丈夫でごぜえますか? 少し休まれた方がようごぜえましょうね?」
 状態異常は少し休めば元通りになる。
「悪いネ。そうさせて貰うヨ。でも量的にはもうこれぐらいで十分かナ?」

 リオーレは開始早々張り切って全種類摘もうとしていた。
「名家の男たるもの、全しゅるいつまないとね! よーし、やるよ! 爺!」
「もちろんでございます」
 だが毒草駆除は、慣れていない小さな子にはなかなか難しいのだろうか。
 火炎綿飴草を摘もうとして……。
「あつっ! あついぞ、なんだこの草ー!」
 凍結グミ草の所では……。
「うわぁっ、こっちは冷たい!?」
 感電ビスケ草の前にて……。
「ひぇっ、バチバチしてる!?」
 毒チョコ草を見ては……。
「あ、これはおいしそう……。チョコみたいだ! ひと口食べてもいいかなあ……。にがっ!? く、苦しいぞ、爺、みんな、これ食べちゃだめだー!?」
 ジタバタともがくリオーレに爺が助言する。
「坊ちゃま! 回復です!」
「はっ! そ、そうだ! ボクはキュアイービルが使えたんだ! コレがあればじょうたいいじょうにかかっても大じょう夫だぞ!」
 と、まあ、こんな感じでリオーレは状態異常を受けては自分で回復を繰り返して、ぼろぼろになりながらも毒草駆除をやり遂げるのであった。

●午後
 午前の部が終わり、午後に入ると調理体験から始まった。
「はいはーい。俺、毒抜き体験してみたいなー。料理苦手でも出来るのか?」
 ペッカートが挙手してそう質問するが、毒草調理師は「大丈夫ですよ」と回答。
 他にも希望者を募るとメイメイ、カイル、シエルも挙手した。
 早速毒抜きが始まる。
 調理師はペッカートが持って来た石化煎餅草を特殊なハンマーで割って見せた。
「へぇ? その魔法のハンマーで叩き割ると中から煎餅が出て来るのか? やってみよ~」
 火炎綿飴草に関しては揚げ物を揚げる要領でカラッと揚げる。
 家事が好きなメイメイも一緒にやってみてしっかりと出来た。
(はっ……この技術をマスターすれば、お菓子が食べ放題なの、では……?)
 毒チョコ草に関しては、調理師の華麗な包丁捌きで毒を取り除く。
 カイルも調理師に習いながら毒を捌く。ばっちりできたようだ。
「こういった技術も学んでおくと後で何らかの形で役立ちそうですね」
 魅了クッキー草は魔法の粉をかけて魅了部分を取り除く。
 シエルもぱらぱらと粉をかけてみた。
「どんな風に変わるんだろ? 魔法みたいに変わっちゃうのかな!?」
 粉と草がぴかぴかと光り、中から調理された可愛いクッキーが出て来た。
 いよいよ調理も佳境に入った頃……。
「はぁ、はぁ……ひどい目にあったぞ……。みんなは……え、大じょう夫だったの!? って、もうすでにちょうり中!?」
 大量の毒草を持って遅れてやって来たリオーレと爺も調理組に混ぜて貰った。

 世界達は紅葉がよく見える遺跡の真ん中にシートを敷いて飲み物を用意していた。
「働いた後の一杯ってのは美味いもんだ……。あっ、酒の話じゃないぞ? 俺飲まないし」
 世界が慌てて訂正すると、カンベエがウハッハハ! と豪快に笑った。
「汗を流した後の冷えた飲み物は格別でごぜえます! とはいえ冷やしすぎるのもいかん。温かい物も用意しておくと致しましょう!」
 愛用の白手袋に着替えたジュルナットも係員から飲み物のセットを貰って来た。
『深緑』の紅茶や珈琲のセット等が豪華にも並ぶ。
「さてと、用意できたネ。若い人達、がんがん飲めヨ? 今日は無礼講だネ。酒はねェガ」

 そして、ついにお茶会が始まるが……。
 世界は考えていた。
(折角の茶会だ。食べるのに夢中になるのもいいが話も楽しみたいものだな……。さて、何を話そうか。……毒草や景色の話とかがいいか?)
 こほん、と世界が咳をする。冷たい紅茶缶を片手に握り締め、緊張気味で話し始める。
「平素は格別のご高配を賜り……いや、まず、お茶会の開催お疲れ様。さて、紅葉が深まる秋の本日、毒草の話から始めようか? そもそも毒チョコ草とは……」
 うふふ、とシエルが笑い出した。
「ま、まあ、お互いに緊張するけれどさ? もう少し気楽でもいいかも! さあ、お茶菓子食べよう! わ、ちゃんとチョコレートの味する! こっちのはどんな味かな?」
 シエルが元気に緊張の氷を溶かすと、皆で毒抜きお菓子をばくばくと食べ始めた。
 世界もあはは、と笑って開き直り、手持ちのお菓子も取り出す。
「ささ、皆、これも食ってな? 『練達』のチップスや麺菓子なんかもあるぞ」
 シエルの隣にいるカイルが丁寧な動作で紅茶を淹れてくれた。
「カイありがとう! お茶会には温かな紅茶だよね! おっとっと、お淑やかに飲むよ!」
「いや、礼には及ばないさ。お茶と茶菓子も美味いが、壊れた天井から覗く紅葉が何とも美しいな……」
 カイルは幼馴染にそう答えつつも、周囲を気配る姿勢も忘れない。
 リオーレがジュースを飲んだ後、何かを欲しがっているようだ……。
「よろしければ、何かお注ぎしましょうか?」
「紅茶がいいな。コールドでさとうたっぷりの。そうだ! たくさんつんだから、たくさん食べていいよね!?」
 カイルは優雅に深紅色の『深緑』紅茶を淹れた後、にこやかに答える。
「はい、どうぞ。ええ、もちろんですよ。頑張った分だけぜひお食べ下さい」
 リオーレは紅茶を飲み干すとチョコを、グミを、ビスケを……次々と漁る。
「へへ、さんざんボクを苦しめたこの草たちをいっぱい食べてやるんだ! ……もぐもぐ、ん? おいしー! 爺、これ、すごくおいしいよ!」
 カンベエもカイルに紅茶を淹れてくれるようにお願いする。
 ただ、甘味もあるので甘さは控えめで。
「『深緑』の紅茶! こいつァ興味深い。香りもいいじゃあごぜえませんか! 品種もいろいろあるんでごぜえましょうかね? 飲み比べてみるのも一興でごぜえましょうか!」
 カイルが他の種類の紅茶も淹れてくれて皆で飲み比べた。
 茶菓子片手に複数のお茶を飲み干してカンベエは満足だ。
「しかしまァ、紅葉の中でお茶会とは乙でごぜえます」
 メイメイは物静かだが、何気に全種類のお菓子を制覇してしまった。
 お菓子のお供は、カイルが淹れてくれた飲みやすいホット・ストレートティで。
 天井が空いた遺跡より空高くそびえる紅葉を眺めつつ、まったり。
(秋の色に包まれて、食欲の秋。……最高、です)
「オジイチャンにも分けておくレ?」
 ジュルナットはメイメイの手元にある豊富なお菓子を一つまみする。
 代わりに煎餅と謎の黒い花を渡した。
「これは……?」
 不思議に思うメイメイが花を食べてみると……。
「スルメ味だネ。美味いだろオ?」
 そう教えた後、ジュルナットもスルメ味の花を噛み締めながら、ホット・カフェオレ片手に紅の景色をぼうっと眺めていた。
 さて、そろそろお茶会も佳境だ。
 自ら調理したお菓子を食べて、カイルが淹れてくれた紅茶を飲み、ペッカートはふと思う。
(おもしれぇ茶会だったな。これを最初に食おうと思ったやつすげぇよ。あ、これ、『映え』ってやつじゃねぇ? 写真撮影してぇが……)
 ペッカートが係員に聞くと実は記念撮影も込みだったようだ。
「なぁ、皆? 記念撮影しねぇ?」
 カシャ、カシャ、許可を得たペッカートが写真を撮って回る。
 最後は皆で集合して秋の毒草茶会の記念写真も撮った。
 皆がお茶会を楽しむ様子を収めた写真は、後日、観光局のパンフレットにも掲載された。
 お陰様で今年の秋、ティパティ遺跡のツアーはずっと好評だった。

 了

成否

成功

MVP

回言 世界(p3p007315)
狂言回し

状態異常

なし

あとがき

この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。

秋の行楽日和らしいイベントができて良かったです。
美人情報屋みたいに言うと、皆さんのご活躍は紅葉色でアリス・カラー満載でした。

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