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シナリオ詳細

<果ての迷宮>Hades-EX

完了

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Boss-Floor
 闇に沈んだ回廊に薄ぼんやりと光が点る。
 イレギュラーズが今日も足を踏み入れた――果ての迷宮と呼ばれる史上最大の迷宮を踏破する事は、幻想王国(レガド・イルシオン)最大にして最高の事業に他ならない。
 多くの挫折を、失敗を、悲劇を、栄光を呑み込んだ大きな洞は、この程、ローレットとイレギュラーズの活躍により次のフェーズを迎えようとしていた。
 彼等の力は素晴らしく、同時にそれ以上に彼等の運命は強力なものだった。
 果ての迷宮の踏破はこれまでよりもずっと加速していた。
 イレギュラーズの前には、やがて何やら奇妙な文字と人物が何かの遊びに興じる絵が描かれた分厚い扉が立ちはだかる事となっていた。
「……何て書いてあるんだ?」
「掠れてて細かくは読めないけど……何とか、エクストラ」
「エクストラ?」
「……さあ。でも、流石、と言わざるを得ない」
 肩を竦めたペリカは「でもきっとここは特別だわさ」と言葉を続けた。
 まるでそうなる事が正しいと天命に告げられているかのように、イレギュラーズの躍進は探索団の隊長であるペリカ・ロジィーアンの想定さえ裏切り続けてここまで来た。
 この先に何が待っているかは知れないが――勇者王の、幻想の悲願はきっと彼等によって果たされん。それを疑う者は無く、彼等ならば如何なる困難にも立ち向かえると――それは、あの気難しい幻想貴族連中さえ認めているのだから。
「……行くわさ!」
「おう!」
 ペリカの声に応え、パーティの手が扉にかかった。
 錆びを感じる鈍い音を立てて重い扉が押し込まれ、その先には。

●Hades-EX
『扉を開けたらドッカーン!
 かくて探索者一同は全滅してしまいました!
 いやー、悲しい! 悲しくて哀しくて俺様ちゃんロンリネス。
 理不尽でどうしようもなくてこりゃもう見事にきっと論理レス!
 勿論、ジョークだYO。全滅はこれから、黄泉比良坂を駆け上がれ!』
 ……響いた軽薄な声にパーティは呆然とする以外は無かった。
 古代遺跡の重厚な扉の先には無数の電子光と電子音に彩られた大空間が存在していた。
 軽快に耳をくすぐる音楽と、訪れた者を引きこもうとするような映像の数々は――一部のウォーカーが、或いは練達を知る人間が一度は目にした事がある『あるもの』に酷似していた。それは……
「……………ゲームセンター?」
『ザッツライ! ここは俺様ちゃんのゲイム・センター!
 果ての迷宮のボス・フロアーって訳だ、コングラッチレーション!』
 軽薄なその声の――そう呼んでいいかは知れないが――主の方に目をやれば、ホール――声曰くゲイム・センター――の最奥には有名画家の絵画を思わせる酷く抽象化された何者かの顔が浮かび上がっていた。良く動く口に合わせて紡ぎだされる言葉の数々は只管に不快にパーティの心情を煽る。確定的に明らかに悪意のみに包まれた彼(?)の声は、誰にもそれがこのフロアの敵である事を確信させるに十分過ぎる。
「……ここに入るなり、後ろは封鎖されたわさ」
『強制スクロールはゲイムの華だぜ、エルフちゃん。
 紹介が遅れたから一応ね。俺様ちゃんはHades-EX。つまりハデセック――
 ――おっと、良い子諸君の情操教育に良くないNE!
 俺様ちゃんはエクストラちゃんって呼んで貰おうか。
 いやー、何百年だっけ? 何千年だっけ。
 だーれも来ないからテンションアゲアゲ。ゲラゲラゲラ』
 珍しく冷や汗を浮かべたペリカの表情が硬い。
 彼女によれば退路は既に断たれていた。このゲイム・センターとやらがパーティに何をさせたいかは知れないが――クリアする他道がないのは明らかか。
「じゃあ、アンタがボスって訳か、エクストラちゃん。
 何をさせたい? どうすればゲイムはクリアになる?」
『いいNE。そうこなくっちゃ。
 じゃー、担当直入に。君達にはゲイムをして貰うZE。
 だって、ここは『そういう場所』。
 そーだね。クリアは三勝以上に設定しとくか。
 俺様ちゃん優しいから――何と二つも負けられる!』
 言葉と共に空間自体がげらげらげらげら笑い出す。
 言葉とは裏腹に至上の悪意に塗れた『エクストラ』は弄るように続ける。
『ゲームは五種類。一回しか言わないからちゃんと聞いてNE!
 第一のゲイム、パンチングマシーン! パワーが無かったらDeathでヨロデス!
 第二のゲイム、シューティング! 撃ち漏らすとキミが蜂の巣だZE!
 第三のゲイム、麻雀。可愛いあの子を脱がしてNE!
 第四のゲイム、ロシアンルーレット、運否天賦は得意かい?
 最後のゲイム、カラオケヨミー。俺様ちゃんがスコア出さなきゃキミの負けだZE!
 ……どう? めっちゃ楽しそうでしょ! 燃えるでしょ!』
『エクストラ』の説明は酷く不親切で当を得ないが、要するにパーティは五つのゲイムの内三つを勝たなくてはいけないらしい。挑戦出来るのは一人一つのゲイム。ペアを組み、協力する必要があるとのこと。
 果ての迷宮の意味の分からなさに苦笑を禁じ得ないパーティだが――
『じゃ、頑張ってね。言っとくけど、言わなくても分かってるとは思うけど――
 参加費はキミ達自身、勝った方の総取りね。三つ負けたら俺様ちゃんは道を開ける、キミ達だったらチップは断然没収だ。
 俺様ちゃん、取り立ては厳しい方だからそこんとこ宜しくNE!』

 ――続けられた余計な台詞は先刻承知という他無い。

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 いざ、果ての迷宮ボスフロア。
 うん、一番ひどいね。良くある事だ。

●依頼達成条件
・『エクストラ』のゲイムに三勝する

※ゲイムには一人一つしか参加出来ません。また二人一組、一つのゲイムには二人必要です。

●『エクストラ』
 自称Hades-EX。
 ボスフロア『ゲイム・センター』の主。AI?
 ゲイム・マスターを兼ね、パーティに下記ゲイムで挑戦してきます。

●ゲイム
 第一から第五のゲイムまでが存在し、パーティは三勝する必要があります。
 三勝すれば道は開くとの事ですが、三敗した時何が起きるかは不明です。
 またこの『ゲイム・センター』は現時点で退路が断たれています。

1、パンチングマシーン
 命中と物理攻撃力がモノを言うでしょう。
 チャンスは一人につき三回。二人の合計値で勝敗が決まります。
 電子画面の中の大男が倒れたら勝利……らしいです。必要スコアは不明。

2、シューティング
 反応と回避、操作精密性を要します。
 2P同時協力プレイでボス戦艦を沈めれば勝利……らしいですが、はてさて。
 弾幕系だとかなんだとか。

3、麻雀
 ギャンブルのスキルと運否天賦が重要です。
 高いメンタルとテクニックは有利に作用するかも知れません。
 四人卓、脱衣麻雀でブラコン女を脱がすんだ!(ぜんねんれい)

4、ロシアンルーレット
 勝負はより運勝負に。五分の確率で負ける難関。
 勝率を少しでも稼ぐには神引き(クリティカル)が必要です。
 後、倒れなければセーフなのでHPで耐えるのも手かもNE。

5、カラオケヨミー
『エクストラ』が採点者。二人の総合スコアで勝負が決まる。
 カラオケなので当然、そういう事なのです。頑張れ、頑張れ。
 採点者が信用出来ない時点で最難関。
 
●<果ての迷宮>独自ルール
※セーブについて
 幻想王家(現在はフォルデルマン)は『探索者の鍵』という果ての迷宮の攻略情報を『セーブ』し、現在階層までの転移を可能にするアイテムを持っています。これは初代の勇者王が『スターテクノクラート』と呼ばれる天才アーティファクトクリエイターに依頼して作成して貰った王家の秘宝であり、その技術は遺失級です。(但し前述の魔術師は今も存命なのですが)
 セーブという要素は果ての迷宮に挑戦出来る人間が王侯貴族が認めたきちんとした人間でなければならない一つの理由にもなっています。

※名代について
 フォルデルマン、レイガルテ、リーゼロッテ、ガブリエル、他果ての迷宮探索が可能な有力貴族等、そういったスポンサーの誰に助力するかをプレイング内一行目に【名前】という形式で記載して下さい。
 誰の名代として参加したイレギュラーズが多かったかを果ての迷宮特設ページでカウントし続け、迷宮攻略に対しての各勢力の貢献度という形で反映予定です。展開等が変わる可能性があります。

●ペリカ・ロジィーアン
 タフな物理系トータルファイターです。
 何れかのゲイムに参加させる事が出来ます。
 本ゲイムにおいては何をやらせても優秀であり、80点位に隙間を埋める事が出来ます。(勝敗は二人での協力になるのでペリカ任せでは勝てません)
  
●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

 以上、宜しくご参加下さいませませ。

  • <果ての迷宮>Hades-EXLv:18以上、名声:幻想100以上完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年10月06日 21時10分
  • 参加人数9/9人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 9 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(9人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
騎兵隊一番翼
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
主人=公(p3p000578)
ハム子
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先

リプレイ

●STAGE 0
「ついに冒険者の夢!果ての迷宮参加だー!
 どんな展開だって思い切り楽しんじゃうよ!
 ……って思ったんだけど、確かに思ってたけど!」
『いやあ、そんなに喜んで貰えるとモテモテで俺様ちゃんも嬉しいよ!』
 冒険者としてこの世界最大と称される超古代のロマン、迷宮に臨んだ『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)の前に突然現れたのは現代・近未来的な電子機器空間。
『ゆっくり死て逝ってね!』
 大凡、ファンタジーの根幹を完膚なきまでに粉砕するそんな場所に異様なまでに軽薄な声が響き渡った。
 ローレットのイレギュラーズが『果ての迷宮』の探索を開始したのは暫く前の出来事である。
 この世界に赫々たる成果を残し続ける彼等は特異運命座標の名に恥じず、幻想(レガド・イルシオン)の大事業においても劇的な活躍を見せていた。
 遅々として進まなかった探索は彼等の活躍で歯車を動かし始め、パーティ――隊長のペリカと九人のイレギュラーズ達はこの程、一つの大きな成果にぶち当たる事となったのである。
 他のエリアとは明らかに『違う』空気を纏った本フロアは誰が呼んだかボスフロア。
『――じゃ、張り切っていってみよっか!』
 一同の視線の先に浮かぶ映像、ホログラムは有名画家の絵画を思わせる酷く抽象化された何者かの顔である。人間的とは到底言えないビジュアルであるに関わらず、やけに表情豊かなそれは心底から楽しそうに己がゲイムに臨む挑戦者達を煽っている。
「ゲイムセンターとやらの文化は、最初からここに存在していた、のか?
 全くもって、ここは徹底的に得体が知れないのだな」
 繰り返しとなるが、耳をくすぐる音楽と見渡す限りの電子光は『現代・近未来的な電子機器空間』を形作っている。
「いや、正直……混沌(ここ)に来てから一番懐かしいって思った日かも」
「確かに、アストラークゲッシュのアーケード版を思い出すわね」
『ハム子』主人=公(p3p000578)と『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)のやり取りの通り、これは所謂『現代地球』以上の文明程度を持つ世界出身の旅人にとっては見慣れた風景であり、練達辺りにまで赴けば或いは混沌でも確認出来るものなのかも知れないが――
「しかし、果ての迷宮は、ずいぶん古くからあったものの筈だが……」
 ――今回の問題は続けてこぼした『夢終わらせる者』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)のその一言に集約される。
 動力にせよ、技術にせよ、整合性にせよ余りにも無茶苦茶。
 頭で考えても理不尽が過ぎて意味が分からないとはこの事になろう。
「……迷宮の記念すべき階層でよりにもよって悪趣味なゲイムとはね。
 まさかここまで生き残ってきたのが――探索してきた結果が遊びだったとでも?」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は灰色の脳細胞で理屈を詰める事を今回ばかりは早々に諦め、怜悧な美貌を皮肉に歪めた。
「果ての迷宮の区切りが、まさかこんな風になっているとは――
 だが、命賭けになるのは確実か」
「そうね。きっとそれは間違いないんでしょう」
 傍らで呟いた『風来の名門貴族』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)に肩を竦めたイーリンが応じた。「自信はどう?」。
 水先案内人である所の彼――Hades-EX――自称・通称『エクストラ』の言葉を信じるならば、パーティはこのフロアで行われる五つのゲイムの内、三勝を果たさなければならない。三勝すれば道は開くとの事だが、三敗した時のペナルティは明言されてはいない。
「遊興には覚えがあるが、さて...…きっと分の悪い駆けではあるな?」
「ま、まるで我々を試すような……ふざけているがボスフロアと自身が明言している以上、何れにせよ、これまでとは比較になるようなものではないのだろうね」
 飄々と言ってのけたレイヴンに『イルミナティ』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)の言葉が続く。エクストラは『モチのロン、最高の地獄を提供するZE!』とこれまた大笑である。
「……Hades-EX。
 睦の人形はHades01で、これは偶然か?
 すげぇ気になるが、先ずはゲームに勝って突破だなァ。
 俺は彼の為に生きて帰らなきゃならねぇンだし――」
『むっちゃん!? 居るのあの子! てかむっちゃんって誰よゲラゲラゲラ!
 そうそう、まずは愛しい誰かの為に生きて帰ってNE!
 死体になってもバッチリ届けてあげるけど――人形劇は悲しいでしょ!』
「ああ、もうあんた確定的に最悪でしょ!」
『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)の呟きに反応したエクストラを遂に我慢の限界を迎えた『旋律を知る者』リア・クォーツ(p3p004937)が一喝した。
「あんたはゲームマスターする! あたし達はそれをクリアする!
 それでいいでしょう、とっとと始めなさいよ!」
『わお、女傑。ぞくぞくしちゃう。惚れちゃいそうだNE!』
「おことわり!」と今日一番の渋面をしたリアだが、その声で場が引き締まったのは事実だった。
 この先がどれ程に理不尽な、意味不明な展開であったとしても――

1、パンチングマシーン
2、シューティングゲイム
3、脱衣麻雀
4、ロシアンルーレット
5、カラオケヨミー

 ――イレギュラーズはルールすら不明瞭な五つのゲイムと戦う必要がある。
 やる事が分かっているならば話は早い。
「頼りにしてるわさ。今回はチームプレイが不可欠になる」
 ペリカの言葉に一同は頷き、明滅するSTAGE(エクストラ)を強く睥睨した。

●STAGE1
 五つのゲームに挑むパーティの総数はペリカも含めて十名。
 一つのゲイムに参加出来る枠、必要な人数は共に二名である。
 つまり十人は手分けして参加するゲイムを選び、協力してクリアを目指す必要がある。
 まず第一のゲイム『パンチングマシーン』に挑むのは、
「我(わたし)達に停滞してる暇はない。そうでしょう?」
「ええ、トップバッターで――ふざけた展開は全て否定してみせるわ。
 だって何より――『神がそれを望まれる』」
 レジーナとイーリンの二人である。
 何れも外見は可憐なもの。
「レジーナ、お嬢様に手土産の武勇と洒落込みましょう」
「ふふ。ええ、お嬢様の名代として恥じない成果を持ち帰りましょう司書さん」
『ヒュー! 勇ましいおねえちゃん達だNE!』
 気安く軽口を叩く細腕が二本は、目の前に映る屈強なボクサーを殴り倒せるようには見えない。
 さりとて、ことこれに到るイレギュラーズの外見等、あてにならないのは誰もが知っている常識だろう。
 さて、腕をぶす二人の前に映像の中のボクサーが浮かび上がってくる。
 この程度では驚きも無く「成る程ね」と頷いたイーリンがエクストラに水を向けた。
「最初に確認。ゲイムを始めるタイミングは任意でいいのよね?」
「我(わたし)も。回数一回は『厳密』なもの? 
 それとも純粋に一撃を与えた回数によるものか――それとも一連の流れなら許可かしら。
 徒手空拳に限る? それともスキルは使ってもいいの?」
『君達の都合のいいやり方でいいけど早くしてよね。
 ボクサーを倒せばいいのに嘘は無いし。
 情報収集に余念がないのは分かるけど、きっとこれ以上は無駄だと思うよん』
「だ、そうよ」と肩を竦めたイーリンの感情は見通せない。レジーナが頷いた。
 後はゲイムのターゲットよりは随分と殴り易くなった目の前のボクサーを相手にあらん限りの火力を叩きつけるばかりである。
「クリアさせて貰うわよ!」
 アーリーデイズから連なり吠えるは剣魔の双撃。一声と共に繰り出されたイーリンの一撃は相当に鋭く、ガードの上からボクサーの上半身を激しく揺らした。
 そして、レジーナ。
『愛するお嬢様の名代』としてこの場にある彼女の全身からは鬼気にも似た覚悟が揺蕩う。
(負けられない。
 故に我(わたし)はこの身に呪いを受け入れ、寄生体(これ)にさえ身を委ねよう――)
 気を吐き出したレジーナの踏み込みは抉り込むような乙女心そのものだ。
 一直線にして一本気、物理的に一撃を極限まで高めるだなんてそんなもの。乙女的にはNOですわ。
「チェエエストォオオオオオッ!!!」
 普段の彼女からすれば俄かに信じ難い程に華奢な肉体を膨張させた彼女は目の前の的に全身全霊の一撃を叩き込む!
『わー、スッゲ!』
 二人の猛撃は何れも並の戦士には届かぬ単純な物理威力、まさに暴力の塊であり――これにはエクストラも思わず素直な感嘆の声を漏らしていた。
『――でも、ねぇ?』
「――!?」
 一撃目を加えた後、不意に高まった的(ボクサー)の殺気にイーリンは目を見開いた。
 咄嗟の勘で彼女は身を捩じったが、猛烈な突進から強烈なストレートを放ったそれの――余りにも予想外の反撃を。『威力のみに全てを傾けた』レジーナは避ける事が出来なかった。
 唯の一撃で彼女の膝を折ったボクサーの『パンチ力』はイレギュラーズにも劣らない。
「どこの世界に……っ……」
 反撃してくるパンチングマシーンがあるのよ――パンドラに縋った彼女は辛うじて、辛うじて機会を繋ぐ事には成功したが、唇を噛んだその顔には余裕がない。
『まー、一度は耐えるよね。
 でも司書ちゃんはともかく、レジーナちゃんはその防御じゃ彼のパンチは受けられないと思うなぁ。機会は三回、三ターン。いやあ困ったねぇ。次で落ちちゃうんじゃない?
 あ、一応言っておくけど『非参加者はプレイヤーに一切手出しはなし』だからNE!』
 エクストラの声色は意地悪く、パーティは実に早々とこのゲイムの本質を理解した。

●STAGE2
「……ごめん、任せる!」
「この……っ、やってくれる……!」
 口惜しく吐き捨てたイーリンとレジーナのペアは圧倒的な破壊力でボクサーを追い詰めかかるも、これをクリアするにはあと一息が足りなかった。『気合を込めた二人の一撃をほぼそのままお返ししてくるボクサー』に対してパンチ力よりも耐久力が足りなかったのは、意地の悪いゲイムの真骨頂。
 先勝ならず、早くも一歩追い詰められる格好となったパーティだが……
「任された。こちらに期待して貰おう」
「先陣ありがとう。お陰で概ね『分かった』からね。問題ない」
 レイヴンとラルフ――今度は男二人のペアは状況にも然程揺らいでいない。
 第二のゲイム、シューティングに参加する彼等は意図的に威力に傾けた先の二人に比べてトータルバランスを強く意識した格好だ。特にラルフは信条である対応力重視に今回も余念がない。
「さあ、また手品をするのだろう? 時間も無い、早くしてくれたまえよ」
『いやー、KooooL!!! かっくいー、俺様が挽回しちゃうって?
 Hey You! 早々撃沈して嘆くなよな!』
 ラルフの言葉に応じてエクストラの瞳が瞬けば、ラルフとレイヴンの二人は今度は目の前の筐体の中に吸い込まれてしまう。
「……ッ!?」
 仲間達は一瞬目を丸くするも、空中に投射されたゲイム画面を見て一先ずそれを理解する。

『イルミナティ』ラルフ・ザン・ネセサリー
『風来の名門貴族』レイヴン・ミスト・ポルードイ

 2Dイラストでデフォルメされたイラストは二人の搭乗者を示す情報だろう。画面の中で動き回る二機の戦闘機の操縦者とされているらしい二人はそれぞれのパラメータとステータスをゲイム画面に反映されている。
「成る程、やはり大した手品だけどね」
「……ふ、電脳でも生身でも、画面の向こうだろうと、空の飛び方は知っている!」
 スピーカー越しに響いた声はそれぞれラルフとレイヴンのものである。
 早速最初のステージの猛攻に晒される彼等だが、見事なテクニックでこれを捌いていた。
「少なくとも想定していた通りの動きだ。大きな差異は無い」
『……いやー、お宅様冷静過ぎね? それ落ちたら死ぬからね、ガチのマジで』
「先刻承知だ、エクストラ君。
 では、種が割れたな。『今回に関しては』派手さの代わりに嘘や秘匿もないようだね」
「よろしい...…では、魅せるとしよう!」
 ラルフとレイヴンのペアは実に連携良くステージを攻略していく。
 研ぎ澄まされたレイヴンのハイセンスは覿面の効果を発揮し華麗さを演出する。ラルフの持ち前の戦術眼は協力プレイに必要不可欠な楔となった。
『んぐぐぐ……それ、落ちろ。落ちてYO!』
 窮地にエクストラが熱くなっても「こんな事もあろうかと」。
 ラルフのボムがレイヴンに迫った弾幕も敵機も消し去った。

●STAGE3
『ひりつく勝負じゃん? でもこのままは押し切れないZE!
 俺様ちゃんボスだから、苦労させずにはいられません!』
 ここまでの二ステージでは一勝一敗。
 第三のゲイムは脱衣麻雀。
 参加するのはレイチェルとエクスマリアの二人だった。
(第三戦、まーじゃん。極めて重要、だ。
 先の二戦が一勝一敗だった以上、ここで勝てばリーチ。
 負けてもリーチが掛かる事になる。四戦目以降の重圧を考えれば……心して、掛からねば)
「あー、もう。これは仕事。これは迷宮探索。冒険。オーダー通りに、お気に召すまま。
 ……仕事だから、恥ずかしいとかそういう話じゃねぇから。羞恥は捨てろ、俺!」
 幼くも見えるその姿に強い決意を湛えたエクスマリアと、彼女よりは(見た目)色々と妙齢なレイチェルの二人はゲイム・センターの中央に突然現れた麻雀台にて、長い黒髪の女、ショートカットの女と共に卓を囲う事になる。
(……さて、今度はどんなおかしな仕掛けがあるものか)
 レイヴンは油断なく周囲を見張る。
 これまでのゲイムにおいては大抵碌でもない仕掛けが用意されていた。
 となれば今回もそれを疑うのは必然である。ホログラムが現れて麻雀を打つ程度の事、第一戦と同じでは『余りに普通ではないか』。
『あー、警戒してんねー。そりゃそーか。
 でも安心して頂戴よ、その子『スッゲーフツー』だからNE!
 お兄様はアイデンティティを壊したりはしませんの、ゲラゲラゲラ』
「……?」
 おかしな台詞にレイチェルは首を傾げる。
「ええと、訳が分からん! で、取り敢えず確認するが――
『ブラコン女の何を何枚脱がせれば勝利になるんだ?』。
 ……と言うかどっちがブラコン女なんだよ」
『隠す事でもないNE。マッパでOK。
 髪の長いほーが妹ちゃん。もう片方はオヒキちゃんね。
 で、君達の負けは箱割れで。1000点の代わりに一枚脱ぐのもオーケーよ。
 あ、彼氏ちゃん以外に見せたくないなら途中のギブアップもご自由に!』
「装備を剥がれるのは、厄介ではあるが、致し方ない。
 裸体を晒す羽目になったら、ギフトで隠しておこう。
 ……最悪、パンドラ復活で、服も取り戻せないだろう、か?」
「本当に最悪だなコイツ……」
 何処かずれた感想を述べるエクスマリアの一方で苦笑するレイチェル。
 そんな彼女の袖を不意にエクスマリアが引いた。
「マリアの見間違いでなければ、これは」
「……んなっ!?」

 東家『夢終わらせる者』エクスマリア=カリブルヌス 1000点
 南家『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン 1000点
 西家『よっちゃん』 25000点
 北家『あーちゃん』 25000点

『だって、第三戦、脱衣麻雀だしNE?』
 得意満面がその声色から滲み出るエクストラにしかし二人は怯まない。
「それならそれで――全部箱にして脱がしてやるぜ!」
「奇遇だな、マリアもそう思った所だ」
 ギャンブルは苦手ではない。心理戦もお手の物だ。
(兄から攻めるか、兄って何だか知らねぇけど――)
 レイチェルは冷静に場を見極めんとする。探れば出てくる話もあろう。
(顔色や視線、呼吸、発汗、心音、あらゆる要素から予測し、推測し、制する。
 点棒(ぶつりょう)差を鑑みれば、まっとうな勝負だけでは届くまい)
 ならば、とエクスマリアは目を細める。
 ギャンブルとイカサマは表裏一体、勝つ為の手管手練は持ち合わせている!
 ならば、後は脱がすのみ!
 銅鑼が鳴り、決戦の時は訪れる。
『――さあ、闘牌の開始Death!』

●STAGE4
 総ゆる手を尽くしに尽くしてレイチェルとエクスマリアは良く戦った。
 膨大な点差に食い下がり、何回も箱転を回避して――時に脱がされ戦った。
 しかしながら、余りにもアンフェアな脱衣麻雀の世界は二人の必死の抵抗を紙一重で押し切っていた。かくて風邪を引きそうな格好にされた二人は次へバトンを渡す事を余儀なくされた――
『第四のゲイム、ロシアン・ルーレットいってみよー!
 さあ、逆リーチだぜ、探索者諸君。俺様の強烈な罰ゲームも気になる? なっちゃう?』
「……気のせいか、これから情報収集をするのは無駄な気がしてきたのだが」
「同感だ。正直、キツイぜ」
 一つくしゃみをしたレイチェルにエクスマリアが頷いた。
『うーん、我ながらいい仕事死たNE!』
「……って、あんまり見るなよな!」←もにょもにょ(かわいいレイチェルさん)
「処置なしだ」
 数百年から数千年にもなろうという時を、孤独に過ごしたというのなら、さぞ退屈していた筈――
 エクスマリアの見立ては恐らく正解だったがこのAIはとうの昔に、恐らくは生まれた瞬間から狂っている。
「勝利条件を明確に……
 既定回数トリガーを引いて最後に立っていればいいのか、どちらかが倒れるまで引き続けるのか。
 実は弾倉の中に一発だけ空きがあってそこを引いたら勝ち、何て逆verだったりしないよね?」
 ロシアンルーレットに参加するのはこのシャルレィスとペリカの二人。
『無いNE。ロシアンルーレットってのはこめかみにコレを押し付けて順番に引いてくアレね。
 ズドン! と弾が出ちゃったら御臨終――まぁ、どうせ君達頑丈だから倒れないっしょ。
 まー、でも頑丈なのはこっちも一緒でね。サドンデスってやつ? どっちかが根を上げるまで交互に撃ち合う。君達も撃ちたいだろうから俺様ちゃんに撃ってもいい事にしておこう。
 でもギブしたら即辞めてね! 死んじゃうから!!!』
「トリガーを引く順番は? 三人で順番なら被弾の確率が上がる此方が不利で不公平だよ!」
『うんにゃ違うNE。そっちは二人居るんだから耐久力も二倍じゃん。
 順番はそっち、俺様ちゃん、そっち』
「反則扱いになる行動はある? あるなら明言をして欲しいな。
 後出しでそれは反則だから、ってのはなしで。
 明言されなかった事については反則じゃないって事でいい?」
 エクストラの戯言には付き合わず、シャルレィスは冷静だった。
 彼女の確認をエクストラは鼻で笑う。
『分厚い辞典作る気はないですのYO。ま、ジョーシキの範囲でね。
 俺様ちゃんの常識適用だけど、ゲラゲラゲラ!』
「……あー、あたし結構役得かもだわさ」
「不本意だけど何となく同意かも」
 ルール上、エクストラを撃てる事になったペリカにシャルレィスが頷いた。
 元よりロシアンルーレットは運否天賦。
『これまでのゲイムよりも圧倒的に本人が出来る事は少ない』。
 しかし――
(何もない、唯の完全な運勝負を『ゲイム』にする?)
 シャルレィスは考える。
 この愉快犯は探索者を少しでも困らせる事に全身全霊全力を傾けてきたではないか。
 つまる所、このゲイムもどれだけ運否天賦を装っていたとしても――
(弱気や不安は勝機を遠ざける……)
 ――例えば、命のやり取りの弱気を食い物にするような仕掛けがあったとしたら?
 シャルレィスは自身のこめかみに銃口を当てる。
 一筋の汗は流れ落ち、それでも口の端を持ち上げた彼女は不敵な笑みを見せたまま。
「私には幸運を呼ぶブレスレットもあるしね!
 このきらめきで――タント様パワー100万倍のご加護だもん。負けるはずなんてないよ!」

 ――カチン、と撃鉄が空を打つ。

●STAGE5
『さあ、泣いても笑ってもオーラスだ!
 測ったような二勝二敗。こうならなくちゃ嘘ってもんだNE!』
 わざとらしくボロボロのビジュアルに変わったエクストラが声を張る。
 ロシアンルーレットの戦いは辛うじて、シャルレィスとペリカの勇気がエクストラのギブアップを引き出していた。そのいい加減な口ぶりから察するに、ある意味で二勝二敗は彼の想定内であり、同時に次の第五ゲイムは余程の自信があるであろう難関である事も想像に難くない。
(……そりゃ、そうよね)
 唇をきつく結んだリアは考える。
 第五ゲイム・カラオケヨミー。
『カラオケ』なる遊戯――歌を歌えばいいらしい――で高得点を取る事がクリアの条件らしいが、他ならぬ採点者はエクストラ自身だという。つまり、彼がアンフェアならばパーティの勝ちは無い。
「出来れば、ここに来る前に決着したかった所だけど」
 主人公が小さく漏らす。
 かつては良く遊んだ事もあったから――彼女も自信が無い訳ではない。
 審査員(エクストラ)の好みも他の人間よりは簡単に推測が立つ。『そんな』ラップやヒップホップを混沌の住民がポン、と演る事は難しくとも自分になら出来るという事も。
 音楽知識も歌唱力もステージ技術さえ十分だ。しかし、何よりこの主人公の最大の貢献は、

 ――空のオーケストラが語源と言われているボクの世界の娯楽だね。
   要するに予め演奏して保存してある楽曲に合わせて歌を歌うんだ。

 相方であるリアに『カラオケとは何ぞやか』を教えた部分も小さくない。
「……やるしかない!」
「そうだね。頑張ろう」
 人事を尽くして天命を待つ――信用出来るかどうかは別にして『採点遊びはそういうものだ』。
「Hades(ハーデス)の支配する地を通り抜けるために歌を歌うのかー。
 何だかオルフェウスにでもなった気分だ。はちみつケーキ捧げたら通してくれたらいいのに」
『残念! はちみつケーキも魅力だけど、今日はお歌の気分なのSA!
 じゃ、運命を決める一曲目――歌うは主人公ちゃん、全身全霊で逝ってみよう!』
 カラオケヨミーの提示したハードルは『二人で195点』。
 つまり、平均で97・5というカラオケ番組もかくやな高得点を要求している格好になる。

 ―――――♪

 トップバッターの主人公の仕事は後続のリアの緊張を和らげる為にも重要になるのは明白。
 しかし主人公はこれを如才なく乗り切る事に成功した。
『注目の得点は――何と!』

 ――95点。

 ……素晴らしい得点である。仕事としては完璧で誰に責められよう筈も無い。
 しかして、95点。スコアの意味は生唾を呑んだリアの表情が物語る。
『100点以外じゃ死んじゃうNE!』
 敢えて言葉にした悪魔が嗤う。
 せめても最後のチャンスは残ったが、100点は極めて厳しい条件だ。
 リアは一歩前に進む。最後の戦いの幕が開く。ポップでキュートな伴奏が流れ始め。
「……………はーい☆ 今日限り、貴方だけのアイドルのリアちゃんだよー!」

 りあ・くおーつさんはふいに、おおよそだれもよそくしていない、

「……カハッ!
 おっと、これは吐血じゃない。吐血じゃないったら!
 そう、あたしの中に眠れるアイドルオーラが赤い液体になって口から溢れ出ただけ!
 ガブリエル様、ガブリエル様、たすけて、ガブリエル様!」

 ひじょうにとんちきなせりふをぬきはなっていた

「はい! 気を取り直して!
 迷宮のエクストラ君に贈る、あたしの渾身の一撃ゆっくり聞いてね! 聞いていってね!
 この『トキメキ!ケイオス☆ハイスクール!』、きっと歌って魅せましょう!」

 ――じゅーにじすぎーのまほーくつをわすれないしんでれらー♪



『wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』

 過去最大級の爆笑がゲイム・センター全体を覆っていた。
『もうwwwwwwwいいよwwwwwww100wwwwwてんでwwwwwwwwっうぇwww
 リアwwwwwwwクォーツwwwwwwwビデオレターwwwwwwwwwww』
「ポンコツ野郎!!! てめぇぶっ殺してやる!」
 ……歌は最後まで続く事すらなく、途中で100点は叩かれた。
 イレギュラーズは勝利したのだ。

●STAGE6
「……ふー、危なかったわさ」
 ペリカが深く溜息を吐く。
 エクストラが敗北を認めるなり前後の扉は解放された。
 同時に周囲を覆っていた禍々しい結界らしきものも解除され、マッドAIはその場から消え去った。
「危ないというと――やはり?」
「気付いてたか。どうも怪しいと思ってね、様子を伺ってたんだけど。
 もし三つ負けてたら部屋毎異界に引っ張り込まれてたかも知れないわさ。
 何か空間の繋がりが怪しかったから調べてみたら案の定」
 ラルフはペリカの説明に合点したように頷いた。
 最後の最後、エクストラが面白がりのトリックスターで助かったと言わざるを得ない。
「御手柄じゃないか」
 彼が生暖かい瞳で見つめたリアはエクストラが残した『ビデオレター』なる一言に戦々恐々とし、魂が抜けたような顔をしている。間違いなく大金星だが、心の戦死者と言っても過言では無い。
「しかし、酷い目にあったが――何とかか」
 レイヴンの言う通り、内容は兎も角ハードさは流石のボスフロアと言わざるを得ない。
「……勝利には違いない。これで、お嬢様の立場ももっと強くなる」
「元からチームで勝てればいいのよ。奴の手管を暴いたのにも意味はあった」
 レジーナやイーリンは怪我をしているし、ラルフやレイヴンも無傷ではない。
「激しい戦いだったよ。何だか普通にやるよりすっごい疲れた」
「……わさ」
 シャルレィスとペリカは特に傷んでおり、
「……くしゅっ……ああ、もう着ていいよな。この季節でもこんなの実際勘弁だぜ」
「くちゅん」
 レイチェルとエクスマリアは可愛いくしゃみを禁じ得ない。
 エクストラとこのボスフロアは『果ての迷宮』の異常さと踏破の困難さを改めて知らしめた――確かに悪意の塊だった。
「……この先に何があるやら」
 レイチェルは鼻を擦って暗闇が続く奥の回廊を見やる。
 これだけの大仕掛けがあったのだ。ならば、この先は……?
 一同は自然にごくりと息を呑む。
 好奇心に駆られるもの、僅かな不安を禁じ得ないもの。
 強い目的意識を抱くもの――運命は様々だが。
「見に行くわさ。勿論、皆で」
 ペリカの言葉に頷かない者はいない。さて、この先は――鬼が出るか、蛇が出るか……

成否

成功

MVP

アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先

状態異常

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)[重傷]
蒼銀一閃
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)[重傷]
レジーナ・カームバンクル
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)[重傷]
願いの先

あとがき

 YAMIEITEIっす。
 手強かったですね、ボスフロア。
 心のパンドラとかあったら物凄い削れて重傷じゃ済まないんでしょうけど
 取り敢えず重傷程度で済みました。

 さて、この後『何か』が起きるでしょう。

 シナリオ、お疲れ様でした。

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