PandoraPartyProject

シナリオ詳細

心霊写真を撮りましょう

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●写真 #とは
「……これは?」
「カメラ、と言うらしい」
 ローレットのテーブルに置かれた、小さめな箱型。それを眺めながら『Blue Rose』シャルル(p3n000032)と『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)が言葉を交わし合う。もっとも、どちらも原型を見たことはないのだが。
「撮るとお化けが一緒に写れるんだっけ」
「ああ。見えるもの、見えないもの、写らないもの──分け隔てなく写ると聞いた」
 すごいね、と手に取るシャルル。そこへ黄色いもふもふが忙しそうに横断し、ころりんと転んだ。
「ぴっ」
 ひよこ──ブラウ(p3n000090)はその程度慣れたと言わんばかりに転がって、勢いを落とさずに走り続ける。シャルルはその姿をおもむろに写真へおさめた。
 ウィーン、とすぐさま現像される写真。シャルルとフレイムタンが思わず同時に「おお……」と感性を上げる中、じわじわと撮ったものが見えてくる。その内容を興味深々に覗き込んだ2人だが、目にした瞬間に顔を引きつらせた。
「ぴよっ、どんなっ、ものがっ、撮れたんですかっ」
 2人の足元でぴょんこぴょんことブラウが跳ねるも、写真の高さまではたどり着かない。そして彼らの沈黙から、どんな写真ができたのかまでは窺い知れない。
 暫くしてようやく、シャルルが呟いた。──強く生きて欲しい、と。


●というわけで!
「というわけで? 皆さんには写真を撮ってきて欲しいんです」
 自らも首を傾げながらブラウが8台のインスタントカメラをイレギュラーズへ見せる。その箱型はカラフルで、いかにも若者や女性ウケしやすそうなデザインだ。
「皆さんおなじみ、練達で作られたものです。試作品のテスト依頼ですね。
 このボタンを押すと写った風景とか、物とか、人を残しておけるそうですよ」
 すごいですよね! とブラウがカメラの使い方を説明する。その背後にあるカウンターで、シャルルとフレイムタンがいくらか気落ちした姿を見せているが気にするべきか、否か。
 そんな視線に気づいたのはフレイムタンで、気にするなというように手をひらひらと振った。
「まだ見せてもらってないんですが、すごいものが撮れるみたいですよ! 皆さんは写真が撮れたら、ぜひぜひ見せてくださいね!」
 楽しだなぁと無邪気に瞳を輝かせるブラウ。そんな折に「ちょっと、」とシャルルがイレギュラーズを手招きした。
「こっちきて、見せたいものがあるから」
「ぴよっ!? 僕も? シャルルさん僕も!?」
「却下」
 バッサリと切られたブラウはぴよおおおおと悲痛な鳴き声をあげ。手招きしたシャルルはこそこそとイレギュラーズたちへ耳打ちする。
「いや、こういっちゃ悪いかもだけど。……カメラって聞いてなんでこんなに集まったの?」
 え、と顔を見合わせるイレジュラーズ。だってカメラと言えばあのカメラじゃないか。
「だってブラウなんかこれだよ? 依頼受けて大丈夫?」
 すっと見せられた──もちろんブラウには見えないような角度である──写真には、おどろおどろしい何かに憑かれた黄色いひよこがいた。

GMコメント

●すること
 心霊写真を撮りましょう!!!

●注意!
 この依頼では精神的ダメージを回避すべくパンドラを使用することができます。
 また、記録媒体に姿が写らないキャラクターももれなく写真へ写る仕様です。
 上記をご確認の上、ご参加下さい。

●内容
 場所はフリー。公園でもローレットでも自宅でも。
 ただし、必ず自分(或いは誰か)1人が入るように写真を撮りましょう。じゃないと心霊写真にならないそうです。
 まさに心霊写真、というものが撮れる他、過去中二病を患っていた人はそれに関する写真が撮れたりするようです。
(例:自分の背後に僕の考えた最強のどれそれ、みたいな人物や武器が写ったりする、等)

●ご挨拶
 愁と申します。オフ会でお会いした皆様はありがとうございました。
 ちょこっと季節外れな心霊写真ネタです。ノリに乗って「うっ右腕が疼く……!」みたいなポーズ撮ると喜ばれますよ。何にとは言いませんが。
 尚、私の所持するNPCと一緒に撮影することや、NPCに自分の姿を撮ってもらうことも可能です。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • 心霊写真を撮りましょう完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年10月15日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
ロク(p3p005176)
クソ犬
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
閠(p3p006838)
真白き咎鴉
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ

●『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)の場合
「ふむ、カメラか……こちらでも出回っているのだな」
 ゼフィラは手の中でカメラを弄ぶ。どうやら彼女の世界にカメラは存在したようで、そして機能も概ねそのままのようだ。
(依頼が終わったら、同じカメラを売ってくれる所を探してみるか……)
 さて、とゼフィラは立ち上がる。探す前に仕事だ。どこでも撮って良い自由さはあるし、何より心霊写真も気になるもの。

ちょうど調査資料の作成に欲しいと思っていたんだ。
「おーい」
 誰ともなしに呼びかけると複数の鳴き声が答える。そう、鳴き声だ。
「ちょっと止まっててくれよ……そう、」
 言い聞かせながら、パシャリ。
 家で飼っているパカダクラの写真を撮ると、次の動物へ。ゼフィラの家ではまだまだ動物が沢山いる。
 観察目的で集めた彼らだが、これまでは本当に目視だけであった。記憶に焼き付けるのも悪くはないが、やはり何かしらの形に残る記録が望ましい。
「これで最後……じゃなかった、あとは心霊写真だな」
 誰か人を写さねばならぬというのなら、今この場に人の形を取るものは自分しかいない。カメラを反対向きで持ち、せっかくなので動物と一緒に写真へ映る。
「うーむ、自撮りというのは元の世界でもやったことがなかったが……」
 上目遣いで撮るとあら不思議──じゃなくて。
(年甲斐もなく何をやっているんだ、私は……)
 動物達だけがいる場でんん、と咳払いするゼフィラ。この写真は絶対にどこにも出さないと誓った。……出せない、とも言う。
「これで依頼完了だが……やっぱり憑いているのだなぁ、この手のは」
 動物達との自撮り。それは明るく笑うゼフィラの四肢や肩に、誰かの手が映っているもので。
(ま、気が向いたら詳しく調べてみても良いな)
 けれどもゼフィラは怯えた様子も特に見せず、小さく肩を竦めた。彼女の口ぶりからすると、これは今に始まったことではないのだろう。
(ふふっ、残念ながら幽霊程度じゃ驚かないよ、私は)
 ゼフィラは写真を見下ろし、口角を上げた。


●『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)の場合
「カメラです、か?」
 メイメイは手渡されたカメラに興味津々。このボタンを押すと、写真なるものが出てくるらしい。
「す、すごいです、ね……!」
 くるくると色んな角度から眺め、感嘆の声を上げていたメイメイ。しかし彼女はひよこの心霊写真を見るとぴしり、と固まった。
 これはどう見ても良くない。こんな写真が出てきてしまうのか。メイメイもこれからこれを撮るのか。
 けれどもメイメイに依頼を放り出すなどと言う行為ができるはずもなく──。
「……う、受けてしまった以上、善処しま、す」
 まあ、こう言う他あるまい。グッドラック。

 数時間後、その姿は秋色鮮やかな公園にあった。
「……空が綺麗だね」
「そうです、ね。澄み渡って、いて、とても、綺麗です」
 同伴してもらった『Blue Rose』シャルル(p3n000032)の言葉に頷き、メイメイはカメラを渡す。
「それでは、お願い、しま、す……!」
 メイメイはこう思っていた。こんなにも綺麗な場所なら、幽霊など出ようはずもない、と。
 ──まあ極論から言えば、ひよこのような写真にはならなかった。
 棒立ちのメイメイをカメラに収め、出てきた写真を見たシャルルはなんとも複雑そうな表情を浮かべる。
「シャルル、さん……?」
 怪訝そうなメイメイに、シャルルは無言でそれを渡して。

「め゛ぇえ゛ぇえ゛ぇぇ……!」

 澄んだ秋空に響き渡る悲鳴。すぱぁん! と勢いよく折りたたまれた写真の、一瞬見えた中身は──乙女チック妄想拗らせちゃった的な、いわゆる少女漫画に出てきそうな。いや、これ以上はやめておこう。
「し、心霊って言ったじゃない、です、か……ひどい……」
「ああ……えっと、うん。よしよし」
 がくり、と膝をついたメイメイは立ち上がる気力もなく。丸まって震えるこひつじに、シャルルが屈みこんで優しく頭を撫でる。何も言わず。というより何も言えず。
(……大丈夫かな、これ)
 彼女がそう心配するくらいに、メイメイの精神的ダメージは深かった。

 ──その後、写真は丁重に燃やされました。そりゃあ勿論、一片も残すことなく。

●『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)の場合
「心霊写真とな!!」
 叫んで目をキラッキラさせるハッピー。そう、見ればわかる。足元が浮いて透けている。彼女が入る写真はどんなカメラで撮ろうとも心霊写真なのだ!!
 ──幽霊が自撮りして心霊写真になるのか? 細かいことは気にしてはいけない。

 町へ出たハッピーはカメラ片手に、片っ端から人々へ声をかける。
「ねえそこの子! 写真撮らせて!!」
「犬だ!!! 撮るぜ!!!!」
「私が浮いてる? 気にすんな!! 今は笑え!!!」
 猪突猛進、爆音幽霊ガールが町中を駆け巡り。最後の1枚になるまではあっという間だ。
 アルバムにしようと撮影した写真を整理するハッピーは、肩越しに視線を感じて振り返る。そこには彼女の手にする写真を見て強張った表情の『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)がいた。
「……それは、どうするつもりなんだ」
「アルバムだよ!! 笑顔をいっぱい集めれば、キラキラした素敵なアルバムができるって思うんだ!!!」
 まばゆい笑顔を見せるハッピー。……だが、その手に持つ写真の中はだいぶ、随分、おどろおどろしい。
「それらは間違いなく心霊写真、だと思うのだが」
「え? 怖い? 気にすんなお友達だ!!! 幽霊って基本寂しがり屋が多いから、お写真に写れる機会があったら映りに来ちゃうのさ!!!」
 怖いとまでは言っていない。が、フレイムタンは『お友達』という彼女の言葉に目を瞬かせる。不意に、ハッピーがふわりと柔らかく苦笑を浮かべて。
「寂しいだけだから、あんまり怯えないであげて欲しいな」
「……」
「……なんて知らんけど♪ 個人次第だけど!!!! 幽霊だって人それぞれなのさ!!!!」
 一瞬だけ罪悪感を抱いたことを後悔すべきか、真摯に受け止めるべきなのか。複雑そうな表情を浮かべたフレイムタンへ、ハッピーはカメラをぽんと手渡す。
「最後の1枚! 皆で集合写真だ!!!」
「……皆?」
「まあまあお気になさるな!!」
 こっちこっち、とハッピーは公園の大きな噴水前へ。フレイムタンは首を傾げながらも、彼女に言われた通り遠目のアングルから撮影に臨む。
「……なぜそんなポーズを?」
「撮ればわかる!! さあ撮れ!!!」
 彼女を撮るときには色々突っ込まない方が良い──そう判断したのか、フレイムタンはそれ以上言わずに黙ってシャッターを切る。
 ウィーン、と現像されたそれを見て、フレイムタンは成る程、と小さく呟いた。
「──皆で写れば、少しは寂しさも紛れるって思うのです」
 そんな言葉に顔を上げると、ふよふよ浮いたハッピーがにかっと笑って。

「集合写真、大成功だ!!! やったぜ!!!!!」
 そこには無数の幽霊がハッピーを混ぜて肩を組み、ピースサインをする姿があったとか。


●『クソ犬』ロク(p3p005176)の場合
 ロクは首からカメラの紐をかけられて、それはそれは興味津々に前足でカメラの質感を確かめた。これのここを押すと心霊写真ができるらしい。
「ハッピーさんなんて「ジドリ」するだけで心霊写真になるよね! すごいね!」
 ところで「ジドリ」ってなんだろう、と固まったロク。その脳内ではこう変換されていた。

 ジドリ→じどり→地鶏、と。

「……ツヨクイキテネ……」
 憐れみのこもった視線を向けると、当のひよこは悪寒が走ったらしくぶるりとその体を震わせた。

 さて、所は変わって幻想の某草原地帯。ここではあの有名なロリババアが飼育されたいるのである。そう、ロクの運営するロリババア牧場だ。
「ただいまロリババア! 夜になるとなぜか牧場に侵入して肝試ししていく若者がいるって牧夫さんに聞いたよ!
 これはアレだね!! いるね!! 絶対!!」
 何がなんて無粋なことを聞くんじゃない。幽霊に決まっているのだから。
「じゃなきゃ肝試しなんかやらないもんね普通! 牧場で肝試しなんか!」
 全くもってその通りである。普通の牧場で肝試しなんて誰もやらないぞ。
 でも不思議だなあ、とロクは首を傾げた。噂によると『夜な夜な不気味な声が牧場からする』ということなのだが──ロクにはロバの鳴き声しか聞こえない。当たり前だ、ロリババアの牧場なのだから。
「みんな! ここ来て!! 集合写真だよ!!!」
 はいはいはいとロリババアを纏めて並ばせ。1頭のメカ子ロリババアはその正面に連れてくる。
「ここ、ここ! なんとかしてここ押してね。ここさえ押せば写真が撮れるよ!
 はい、ロリババアたち! わたしの周りに集まって、はいポーズ!」
 写真はそれだけに留まらない。結果はあとで確認である。
 ロバたちの可憐ですてきな瞳、母子の仲睦まじいグルーミング姿、いつも依頼についてきてくれている頼れるロバとメカロバたち。そして──明日、出荷される予定の食用ロバ。
「……今までありがとう。君のこと小さい頃から見てきたけど、もうこの時が来てしまったね」
 ロクと食用ロバはじっと見つめ合う。彼らの脳裏には浮かんでいるのだろう。星空の下、共に身を寄せて眠った日々が。
「寂しいけど…………はい、ポーズ!」
 パシャ。その写真に何が写っていたのかは、ロクのみぞ知る。


●『男なんだからな!?』湖宝 卵丸(p3p006737)の場合
 それを見た卵丸の瞳は、それはもうキラキラと輝いていた。
「これがカメラ……って、べっ、別に珍しくなんか無いんだからなっ!」
 頬を赤らめて否定する卵丸。だが皆知っている、とても珍しくて興味津々なのだと。言わないけれど。
 ちなみに彼は、このカメラでどのような写真が撮れるのかよく知らない。カメラをもらって早々、ブラウの写ったそれを確認することなく町へ繰り出してしまったが故に。
 さっとカメラを向けると、ノリの良い若者などはキリッとポージングをしてくれる。撮っては写真をしまい、撮ってはしまい。写真の確認は後だ。
 ──だって、こんな珍しいものテンションが上がらない訳がないのだから!
「さぁ、そこでもっと決めのポーズを」
「おっこうかい?」
「兄ちゃんも折角だから撮ろうぜ、ずっと撮ってばっかだろ?」
 などと気前のいい青年もいるもので。卵丸は公園の噴水に手を突っ込むと、かっこ良くポーズを決めてみせた。
「さぁ、卵丸の手の中に生まれ出でよ」
 一瞬、水の色が変わる。そこから卵丸が出したのはそれはそれは色鮮やかな食材で──けれど使わぬ食材は戻ってしまうという特性上、すぐに水へと溶け落ちた。そんな中、カメラを預かった青年はシャッターを切ると、現像した写真を卵丸へと手渡す。
「どんな風に」
 なったのか、という言葉は続かない。そこに写っていたのは卵丸と溶け落ちていく食材。そして──そこで卵丸の意識は暗転した。

「兄ちゃーん?」
「おーい」
 はっと意識が覚醒して、勢いよく起き上がる。周りを囲っていた青年たちが仰け反ったところに真っ赤な卵丸の台詞が落とされた。
「べっ、別に卵丸、怖くなんか、怖くなんか無かったんだからなっ!」
 そうか、怖かったのか。……なんて青年たちは言わない。言わないでおこうという空気に卵丸は気づかない。
「そうだよな、兄ちゃん男だもんな」
「そうだ、卵丸は海の男だ」
 深く同意した卵丸は、しかし写真を裏側で手渡されてびしりと固まった。
「見ないのかい?」
「い、いい。見ない。卵丸はもう見ないぞ」
 写真を見ずに、カメラで暫く遊んで──やはり写真は見ず。青年たちと別れた卵丸は、歩きながらぶるりと体を震わせた。
「やっぱり、カメラって人の魂を抜き取ってレンズの中に閉まっちゃうんだ……じゃなきゃあんな写真写るわけ無いもん、言い伝えはほんとだった」
 さて、彼がどのようなモノを見てしまったのかは──もう1度撮ってみれば、わかるかもしれない。


●『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)の場合
(心霊写真……幽霊っていつも見てるから、あんまり変な感じはしないかな)
 むしろアイリスにとっては"見えない"方が違和感を感じるものかもしれない。
 とりあえず撮ってみよう、と鏡へカメラを向けたアイリスははっとカメラを下ろす。撮る前に、"最初の友達"に話を聞いてみたいと思ったのだ。
「心霊写真を撮って遊ぶなんて姿を見たら、なんて言うかな」
 そんなことを呟きながら、アイリスは本を開く。最初の友達──預言者は、まるでアイリスに語りかけるように、対話するかのように文字が綴られているのだ。

 さて、再びカメラを構えたアイリス。その前には銀色の鳥籠が置かれている。ただ写せば普段対話し、手伝ってくれる霊たちが写るだろうと予想していた。だが、迷える魂の止まり木である鳥籠を写したのなら、知らない魂が写真に写るのではないだろうか?
 パシャ、と写真を撮って。霊たちとじっくり会話して。様々な姿に変わって写真を撮り、遊んでみる。幸いにも不和を呼ぶようなモノはおらず──気づけば夜明け前。あっという間に時間が過ぎてしまったのだ。
「カメラって面白いアイテムだね、こんなもので姿を残しておけるなんて」
 アイリスの呟きに魂たちが同意するような仕草をする。現像された沢山の写真を見下ろして、アイリスは「錬達の人たちって、すごいなぁ……」としみじみ呟いたのだった。


●『真白き咎鴉』閠(p3p006838)の場合
 閠は目元の布越しに、箱型のそれをしげしげと眺めた。
 カメラと幽霊を結びつけた噂や言い伝えは多く聞く。写ると魂が流れるだとか、幽霊が写って祟ってくる"呪いのカメラ"だとか。よく聞き、本にも載るくらいだから少しばかり心配だ。
(そういう類のもの、でしょうか。これに呼ばれて、集まっていたりは、しませんよね……)
 お祓いが必要だろうか。ふとそんなことを考えた閠は周りをキョロキョロと見渡した。そうすれば、閠の視界にはふよふよ漂う人魂が見える。
「幽霊さん、幽霊さん。これは、お祓いが必要なもの、ですか?」
 機械には疎いものだから、と問うた閠は否と返されて少なからず胸をなでおろす。最も、これが危険なものであれば真っ先に被害があるだろう──そこを歩くひよことか。
 そして問いの結果がどうあれど、閠はこのカメラで撮らねばならないのだ。
「シロ、クロ」
 呼びかけると、黒白の魂が1つずつ閠の周りをくるりと回る。それらは共に──ブラウ(p3n000090)の元へ。
「っっぴーーーーーーっ!?!?」
「はいちーず、……でしたよね?」
 悲鳴と共にパシャリ。現像された心霊写真に閠はおお、と声を上げる。
「結構、くっきり写るんですね」
 ブラウに幽霊たちが飛びかかるような写真だ。これは? と指差すと自らを主張するかのように人魂が跳ねるから、写っているのは本物の幽霊なのだろう。
「勝手に写されたら、ショーゾー権の、侵害だとか、ありますか?」
 写った幽霊に問うて、その意思をまとめる。どうやら彼らは写ることに対して一切気にしないらしい。幽霊それぞれではあるだろうが。
(それにしても、このカメラが、すごいのか、もしくは、元々ローレットには、多いのか……気になりますね)
 これが試作品だと言うのなら、完成品もぜひテストしてみたい。きっと嬉々とした幽霊たちが写ることだろう──と、閠は微笑みを浮かべた。


●『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)の場合
 メリーは壁を背にして立つ。カメラをたまたま通りがかった『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)へ手渡して、シャッターを切ってもらった。三脚もタイマー機能もないのだから、他人の手を借りる他ないというやつである。
 ボクは見ないのです、と裏返しにされた写真を受け取り。ユリーカと別れた後、それを大した躊躇いもなくひらりと表返す。
「……!」
 ぞわり、と悪寒が走る。それは一瞬で、けれど感じたのはどこか既視感があったからだろうか。
 写っているのは親子だ。どちらも五体満足の体ではなく、恨めしそうに写真の中のメリーを見つめている──睨みつけていると言っても良い。
(……思い出した!)
 記憶を手繰っていたメリーはハッとした。これは元の世界で縁ある親子にそっくりなのだ。メリーがその命を刈り取った母親と、子どもに。
(案外本人だったりして……あいつらならちっとも怖くないけどね)
 魔法に耐性の低い者ばかり。ここに写っているのはメリーが魔法で吹き飛ばした部位だ。
「でも鬱陶しいから、そんな顔で見ないでくれる?」
 眉根を寄せ、迷惑そうにメリーは写真を睨みつける。家族を殺されたから殺した、ただそれだけのこと。おあいこというやつだ。
(……まあ、たぶん他人の空似よね。違う世界での話だし)
 そこから先に興味はなく。メリーはローレットへ報告に行くため、来た道を戻り出した。

成否

成功

MVP

メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力

状態異常

メイメイ・ルー(p3p004460)[重傷]
約束の力

あとがき

 お疲れ様でした。良い写真は撮れましたか?

 こひつじの貴女へ。とても可愛いです。最も精神的ダメージのあった貴女がMVPです。

 またのご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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