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シナリオ詳細

G-Ride

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは最早戦闘とは言えず
 幻想南部、ルアト平原。曇天の下、二つの集団が一触即発と言った態で睨み合っていた。
 片方は、金属や革の鎧を着込み、剣や槍や盾を構えた兵士達十名。もう片方は、狼の背に乗った小鬼――ゴブリン――が九体。中央に他の個体よりもひときわ大きな個体がいて、その左右に四体ずつが横に広がっている。
「ギィシェー! ギギィーエ!」
「ギャーオ!」
 体躯の大きなゴブリンが叫ぶと、号令に従うかのようにゴブリン達は手斧を兵士達に向けて投げつける。前方にいる兵士のうち、特に軽装の者二人を目がけてそれぞれ四、五本の手斧が同時に殺到する。標的にされた兵士は一、二本までは辛うじて防ぐものの、全てに対処しきれるはずは無く、頭を砕かれ、革鎧ごと腹を割かれ、骸に変わった。
 手斧の投擲に襲われなかった者も、死期がわずかに伸びたに過ぎなかった。倒れ伏す仲間に意識を奪われた隙に、投げた手斧を追うように狼を疾駆させたゴブリン達に接近される。首を狩られ、脇腹を薙がれ、手足を切り落とされ、あるいは狼の牙に首筋を、腕を、脚を噛み千切られ、三人が命を落とした。
「くっ、このっ!」
 残る兵士達からの散発的な反撃は、ことごとく空を切る。狼達はゴブリンを乗せたまま、右に左に俊敏に動いて兵士達の攻撃を寄せ付けない。そして、次のゴブリンと狼の攻撃でまた三人が倒れ、戦闘の趨勢は決定的となった。
「ひっ、ひいいっ!」
 まだ無事である二人は戦意を喪失して逃走を図る。投げつけられた手斧によって負傷したものの、辛うじてその場からは逃げ延びた。だが、手斧に塗られていた毒に侵され、先に逝った八人の後を追った。

●人馬一体ならぬ、鬼狼一体
「……と言うわけで、ルアトを収める領主からゴブリン退治の依頼が来たのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、目の前に集まったイレギュラーズ達に告げる。
 この領主の領地は大きいとは言えず、自由に動かせる兵士も多くない。そんな状況で、十人を失った上でさらに人員を損耗するリスクを冒すよりは、ローレットに退治を依頼しよう、と言うことらしい。
「そのルアト平原の近くに、ルアト村があるのです。このゴブリン達はまだそこにいるので、至急向かって欲しいのです」
 ただし、とユリーカは続ける。ルアト村でゴブリン達を攻撃しようとしても、ゴブリン達は一目散に平原の方に逃げていくだろう。先に領主から送られた兵士十人も、最初はルアト村でゴブリン達に遭遇したが、逃げるゴブリンを追ううちに平原に引きずり出されたと言うことだ。
「……有利な戦場に誘き出すとか、リーダーがいて統率してるとか、何より狼を自由自在に乗りこなすとか、ただのゴブリンとは大違いで油断禁物なのです。あと、手斧には毒を塗り込んでいるらしいので、そちらも要注意なのです」
 ユリーカの口調が、いつもと比べて重く感じられる。それだけ、ただのゴブリンや狼を退治するのとはわけが違う、と言うことだろう。
「でも、皆さんなら対等以上に渡り合えるはずなのです。――だから、よろしくお願いするのです」
 口調をいつもの調子に戻したユリーカが、ぺこり、と深く頭を下げた。

GMコメント

 はじめまして。緑城雄山(みどりのじょう・ゆうざん)と申します。
 今回は、狼騎兵となったゴブリン達の退治をお願いします。

●成功条件
 ゴブリン狼騎兵の撃退(生死不問)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ルアト平原
 今回の戦場です。ゴブリン狼騎兵達は近くのルアト村にいますが、イレギュラーズ達と遭遇するとここに誘因するように逃げてきます。イレギュラーズ達が追いかけない場合、ゴブリン狼騎兵達は遠くから手斧を投げて挑発する以上のことはしないため、成功条件を満たすには最終的にここに来るしかありません。
 障害物の無いだだっ広い平原です。ゴブリン狼騎兵達の機動力が最大限に活きる場所でもあります。

●ルアト村
 ゴブリン狼騎兵達の襲撃を受けた結果、具体的な描写はしませんが悲惨な状況になっています。なお、襲撃から日が経っているため生存者については絶望的です。
 今回のリプレイは基本的にルアト平原でゴブリン達と対峙しているところからはじめる予定なので、特にここでの何かは描写しません。
 しかし、戦闘の前後にここでやりたいことがあるようでしたら、プレイングに記入しておいて頂ければ確約こそ致しませんが何らかの描写を行う可能性はあります。

●ゴブリン狼騎兵リーダー ✕1
 他のゴブリン狼騎兵よりゴブリン自身も狼も2割体格の大きいゴブリン狼騎兵です。
 能力も概ね他のゴブリン狼騎兵達の2割増となっています。
 このリーダーが健在である限り、ゴブリン狼騎兵達は戦術性の高い行動をしてきます。
 攻撃手段は、以下の4つです。
・手斧(白兵) 物至単 猛毒
・手斧(投擲) 物中単 猛毒(2回まで)
・狼の牙 物至単 流血
・狼の爪 物至単 乱れ

●ゴブリン狼騎兵 ✕8
 リーダー格以外のゴブリン狼騎兵です。
 ゴブリンにしては手練であり、狼に騎乗しているため、命中と回避に優れています。
 しかし、狼に騎乗している関係上軽装であり、防御力は無いも同然です。
 攻撃手段は、以下の4つです。
・手斧(白兵) 物至単 猛毒
・手斧(投擲) 物中単 猛毒(2回まで)
・狼の牙 物至単 流血
・狼の爪 物至単 乱れ

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • G-Ride完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月06日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
キドー(p3p000244)
盗賊ゴブリン
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
咲く笑顔
美咲・マクスウェル(p3p005192)
紫緋の一撃
天狼 カナタ(p3p007224)
彼方の銀狼
ジョージ・キングマン(p3p007332)
亡き者も共に
クリスティアン・メルヴィル(p3p007388)
Star Lancer

リプレイ

●迫る小鬼
「居たか……アオォーン!」
 ルアト平原。超聴力によって複数の狼の足音を捉えた『彼方の銀狼』天狼 カナタ(p3p007224) は、一帯に響き渡る遠吠えを発した。もし狼と意思疎通出来る者がいれば、「デカい人狼が来たぞ!」と言う威嚇とわかったことだろう。
 遠吠えを聞いたイレギュラーズ達は、ゴブリン達との遭遇に備えて円陣を組んでいく。円陣の中心には、『魔眼の前に敵はなし』美咲・マクスウェル(p3p005192) と、『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)。残る六人が、二人を守るかのように囲んだ。
 程なくして、狼に乗ったゴブリン達がイレギュラーズ達の視界に姿を見せる。ゴブリン達は各々の狼を疾駆させ、イレギュラーズ達との距離を詰めにかかった。

「ボク、知ってるよ。ゴブリンは手ごわい敵だって。油断しないでいこ!」
 真正面に立ちながら明るい調子で呼びかけるのは、『楽しく殴り合い』ヒィロ=エヒト(p3p002503) 。
(仇は、必ず取るから……!)
 朗らかに笑顔を浮かべながらも、内心で村人や兵士らの犠牲者達に仇討ちを固く誓うヒィロだった。

「……狼を手懐けたゴブリンか。中々、頭の回る子鬼のようだな」
「ああ、たまーにいるんだよなぁ……頭が回るゴブリンってのが」
 円陣の左側方を固める『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332) と、ヒィロとジョージの間にいる『Star Lancer』クリスティアン・メルヴィル(p3p007388) が言葉を交わす。
「だからと言って、ビビる理由は無ぇ。お見舞いしてやろうぜ、俺達の力ってヤツをよ!」
「そうだな。奴らにとっては狩りなのだろうが……狩られる側はどちらか、教えてやるとしようか」
 クリスティアンが豪放な笑みを浮かべながら意気を高めると、ジョージは眼鏡の奥で眼を細めながら応じた。

「ゴブリン種にも生態は様々で、人語を解するような子も……今回一緒にお仕事するキドーさんもそうですね……いるのですが……」
 ヒィロの右隣では『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が、円陣の右側方を固める『緑色の隙間風』キドー(p3p000244) にちらと視線を向け、ぼそりとつぶやく。
(今回の子達は騎乗、略奪に特化してしまっているようですね。村の方々を助けられなかったのは残念ですが、これ以上被害を広げないため、討ち滅ぼしましょう)
 迫り来るゴブリン達を、キッとした視線でドラマは見据える。
「自分と同じ姿形なのに、言葉は通じねーし理性も知性も足りてねー。そんなの……ムカつくよなあ! 無駄に亜種が多いのも腹立つよな。俺は一人だぞ一人。もう二年目ですよPPP。なのにイラスト付きのゴブリンは俺ひとr」
 そのキドーは、苛立ちを隠す様子も無くぶつぶつと不満を口にする。外の世界から来た「外来種」であるキドーにとって、「在来種」である土着の同族がただ暴れ回る様は腹立たしいものらしい。それ故にか、キドーのゴブリン達への態度は苛烈なものになっていた。
(……兎に角、最後の一匹まで容赦はしねえ!)

「狼とゴブリンの組み合わせなんて初めて聞くっスね……」
「だが、中々いいアイディアだ。狼に悪評がつくのはいただけないがな」
 葵のつぶやきに、円陣の後方に陣取るカナタが応じる。その声は、何処か誇らしげに聞こえなくもない。
「……つっても厄介な事には変わりねぇワケだし、気合入れて行くっスよ。これ以上犠牲者を出すワケにはいかねぇっス」
「そうだな。ここらで懲らしめておこうか」
 静かだが気合いの籠もった葵の言葉に、カナタは悠然と、かつ大きく頷く。

(この多様性……やっぱヒトと比べても遜色ないっつーか、私の世界だと、この手の種は軒並み絶滅してんのよね。何が違うんだろ)
 葵とカナタのやりとりを聞きながら、美咲はある疑問を抱く。だが、その疑問について長く思考する余裕は無かった。ゴブリン達との戦闘がすぐに迫っていたからだ。
「『任せる』って言える相手が増えるのは、結構アガるね……頼んだよ」
 思考を抱いた疑問からこれからの戦闘に切り替える。特に敵の初撃に対する防御を他のメンバーに任せて攻撃に集中出来るとあってか、その言葉どおり、美咲のテンションは高揚していた。

●届かない、手斧
 狼を疾駆させ、イレギュラーズ達に迫るゴブリン達。予想される手斧の投擲に備えて、ヒィロ、ジョージ、ドラマ、キドー、カナタが美咲と葵を身を挺して護るべく備える。
「……ギギェッ? ギギャオ、ギィーエ、ギャーオッ!」
「ギィーエッ!」
 先頭にいる、リーダー格と思しき体躯の大きなゴブリンが、イレギュラーズ達の円陣に迷いを見せながらも他のゴブリンに指示を出しつつ、美咲目がけて手斧を投げつける。
「そんなの、通さないよ!」
 強烈な一撃はしかし、ヒィロの鎧で受け止められた。
 その間に他のゴブリン達はイレギュラーズ達の円陣を包囲し、円陣の中の美咲と葵を目がけて一斉に手斧を投擲する。
 投擲された八本の手斧は二本が明後日の方向に飛び、三本が美咲に、三本が葵に飛ぶ。ジョージとカナタが美咲の、ドラマとキドーが葵の盾となり、その身で手斧を受け止めた。
 四人は被弾こそしたものの、負った傷は掠り傷よりもやや深い程度のもので済んだ。手斧自体の威力が元より大きなものではなく、歴戦と言えるレベルの、しかも防御力や耐久力に優れ庇い役を買って出るほどのイレギュラーズ達を深く傷つけるには不十分だったのだ。
「……ギッ、ギィエ?」
 手斧を受けた五人の様子に、リーダー格のゴブリンは訝しむ。傷が深くないのは仕方ないにしても、誰も毒に苦しまないではないか。
「毒を塗っていたのだろうが、対策は万全だ。ディープ・グリーン。解毒の魔法が込められた石だ」
「こーゆー手を使うんだったら、獲物は最後の一匹まで確実に仕留めろよなァ。だから対策されるんだぜ」
 その疑念に答えるかのように、ジョージは大粒のエメラルドをリーダー格のゴブリンに見せつけ、キドーが呆れたと言わんばかりの口調で続ける。言葉が通じたかどうか定かでは無いが、毒が通じない理由があるとリーダー格のゴブリンは理解したようだった。
「大した傷は受けてないみたいだが、守りは固めておくぜ!」
 クリスティアンが英雄叙事詩を詩い、多少の傷などものともしないほどに、イレギュラーズ達の心を奮い立たせていく。
「一際デカい、キミ……ハウスよ」
「ギイッ!? ギギギギギィーェ!」
 続けて、美咲がリーダー格のゴブリンに向けてスケフィントンの娘を発動。黒いキューブに包まれたリーダー格のゴブリンは、断末魔のような苦悶の叫びを上げる。
「ちょっと近いっスが、贅沢は言ってらんないっスね。合わせるっスよ!」
「ギィェッ!?」
 さらに葵が銀色のサッカーボール――グローリーミーティア――を、キューブの中に蹴り込み、リーダー格のゴブリンに命中させる。葵にとっては敵との距離がもう少し遠い方が本領を発揮出来るのだが、今円陣を出れば庇い役もいない状況で集中攻撃を受けるのは明白であり、そんな愚を犯す気は葵には無かった。

●司令塔、斃る
「ギーギャッ! ギャッ、ギャーオ!」
「ギィーエッ!」
 黒いキューブから脱出したリーダー格のゴブリンは、他のゴブリン達に指示を出すと、再び美咲目がけて手斧を投擲する。この攻撃は再びヒィロに止められてしまうのだが、リーダー格のゴブリンの攻撃はこれで終わりでは無かった。
 投擲した手斧をヒィロが止めている間に、疾風のようにドラマに肉薄し、脇腹を食い千切る。
「くっ……」
 傷口を手で押さえるドラマ。その下からは、ドクドクと赤い血が流れ出す。
「それ以上はやらせないっスよ!」
 葵がワイズシュートで攻勢を止めるべく牽制する。回避こそされてしまったが、リーダー格のゴブリンの攻勢はそこで途切れた。
「ソッチも対策は準備してあるんだぜ」
 キドーはドラマの足下に、小鬼の万能薬を叩き付ける。周囲に舞った粉をドラマが吸うと、傷口からの出血が止まる。
 リーダーに遅れて、ゴブリン達が一斉に手斧を円陣の中心に投げつける。投擲された手斧は一本が明後日の方向に、四本が美咲に、三本が葵に向かって飛ぶが、先程と同じようにドラマ、キドー、ジョージ、カナタが身を挺して受ける。
 さらに半数が、続けて円陣に接近して手斧を受け止めた四人を狼の顎で狙った。だが、狼の牙がキドーを掠めたものの、それ以外はことごとく回避される。
「浄化の鎧、美咲を守れ! ……これで最低限の守りってとこか。んじゃ、反撃といくかね!」
 ゴブリン達は明らかに美咲と葵を狙ってきている。そう判断したクリスティアンは、エンピリアルアーマーで美咲に浄化の鎧を纏わせた。
「……邪魔だ」
 カナタはリーダー格のゴブリンにリバッフヴォアを放つつもりであったが、既にドラマと白兵戦の距離に入っているため巻き添えを懸念して行動を変更。目前のゴブリンに外三光を放ち、傷を負わせると共に麻痺させる。
「キドーさん、ありがとうございます。行きますよ!」
 キドーの癒やしを受けたドラマは、その身に魔力を宿して身体能力をブーストし、蒼魔剣をリーダー格のゴブリンに放つ。
「ギイッ!」
 狼の俊敏な回避によって直撃こそ免れたものの、リーダー格のゴブリンの左肩から袈裟に、大きな傷口が開く。
「まだ、終わりませんよ!」
「ギィーエッ!!」
 ここが勝負所と判断したドラマは、重ねて蒼魔剣をリーダー格のゴブリンに放ち、追撃を試みる。致命傷は免れたが、逆袈裟に斬り上げられてリーダー格のゴブリンはさらなる深手を負った。
「ただ吹き飛ばすだけの技だが、俺から易易と逃げ切れると思うなよ」
 一方で、ジョージは目前のゴブリンの首をラリアットのように右腕で狩り、狼の上から弾き飛ばす。ゴブリンはルアト平原の大地を十メートルほど転がると、立ち上がって狼の方を向いた。狼もゴブリンの方を向いている。すぐさま、合流するつもりだろう。
「さあ、こっちで楽しく殺り合おうよ!」
 ヒィロは闘志が籠もった狐火を放つが、リーダー格のゴブリンは必死になって回避する。だが、それは同時に動く美咲の行動に対処する余力を失わせた。
「歩兵は騎兵に、騎兵は銃に……まあ、術だけど。弱いものよね」
「ギッ、ギエェーッ!」
 腐食結界『ラヴィアンローズ』による攻撃が、リーダー格のゴブリンと、ドラマ、キドーの前にいるゴブリンを捉える。リーダー格のゴブリンは多少体躯に優れているとは言え、基本はゴブリンである。イレギュラーズ達の度重なる攻撃を受けてなお生き存えるほどの生命力は無く、この一撃が致命傷となった。

●膠着、そして決着へ
 リーダー格のゴブリンが倒れても、戦闘は続いていた。リーダーが撃破されたとは言え、すぐさま逃亡するまで士気が下がってはいなかった。ただ、指揮官であるリーダーを失ったためか、ゴブリン達は統率の取れた動きは取れずに目前の敵を攻撃するだけの存在となっていた。
 だが、ゴブリンにしては優れた技量と狼による俊敏な回避によって、一気に押し切るには至らず、当てては回避され回避しては当てられと言う、一進一退の戦況となる。
「殺したってことは、殺される覚悟があるんだよね? お望み通り、殺してあげるよ!」
 そんな中、ゴブリン達の所業への怒りを交えた、裂帛の闘志をヒィロは放つ。その闘志に触発されたゴブリン達の半数が、敵意露わにヒィロへと群がる。
 葵はその様子を見て、後方は安全と判断。円陣の外周に出て、カナタと交戦しているゴブリンをソニックエッジで攻撃。音速の一撃は、ゴブリンを瀕死に追い込んだ。
 一方、ゴブリンの一体が鎧の隙間を狙った手斧の強烈な一撃をヒィロに浴びせ、また別の一体が狼の牙を直撃させる。
「罠を使うのはそっちだけじゃないんだよ! それに、この程度でボクは倒れないよ!」
 だが、タフネスに優れるヒィロは、罠の城によってゴブリン達にダメージを与えつつ、それだけの攻撃を受けても何ともないかのように、ゴブリン達の相手を続けた。
 それでも、ヒィロが敵を引き寄せて集中攻撃されて、少なからず傷を負っているのは事実である。クリスティアンは、ヒィロにエンピリアルアーマーを使い、浄化の鎧を纏わせた。

「これで……止めっス!」
「グギイェッ!」
 円陣から離れ、本来得意とする距離を確保した葵のワイドシュートが、瀕死のゴブリンの頭に命中して止めを刺した。さらに、ヒィロの狐火・貫を受けて無防備になったゴブリンが、美咲のソウルストライクの直撃を受けて倒れる。
 仲間の仇とばかりにゴブリン達がヒィロとドラマに手斧の強烈な一撃を浴びせたものの、この時点で戦いの天秤はイレギュラーズ達に傾いた。
 ドラマがライフアクセラレーションで、キドーが小鬼の万能薬で、ヒィロのダメージと流血を癒やす。堅牢なる盾役は、仲間の援護を受けてますます難攻不落となる。
「我が手に座す牙持つ侵獣、荒みて餓えれば御霊を喰らう。竦然せよ、汝は天狼の好餌也!」
 クリスティアンが、井宿星槍《天狼噛牙》を目前のゴブリンに浴びせ、深手を負わせる。反撃とばかりに振るわれた手斧に掠り傷を受けるが、ゴブリンの抵抗もそこまでだった。
「もう一回、行くぜ!」
 再度放たれた井宿星槍《天狼噛牙》によって、ゴブリンはドサリと狼の上から崩れ落ちた。

 葵の無回転シュートが、ジョージと交戦しているゴブリンの顔面を直撃する。
「胸くその悪い話を聞いたからな。貴様で憂さ晴らしさせてもらう!」
 隙だらけとなったゴブリンの鳩尾めがけて、ジョージは渾身の力で拳を叩き付ける。殴り飛ばされたゴブリンは反吐を吐きながら地面に倒れると、そのまま動かなくなった。
 キドーは衝術でドラマと交戦中のゴブリンを狼から引き剥がして吹き飛ばす。それを見たカナタは吹き飛ばされたゴブリンに素早く駆け寄り、刺突や斬撃を絶え間なく浴びせ、瀕死に追い込む。刀身を魔力で伸ばしたドラマの蒼き一閃が、止めを刺した。
 その間に、ヒィロと美咲は再度狐火・貫とソウルストライクのコンビネーションで、また一体ゴブリンを仕留める。
 残る二体は逃亡する猶予も無く、一体は葵のハードランチャーを受けて無防備になったところをカナタの外三光を受けて、もう一体は美咲の腐食結界『ラヴィアンローズ』の一撃とヒィロのクラッシュホーンを受けて倒された。

●戦い終わりて……
「次は狼として誇りを持って、騎乗なんてされるなよ」
「ウォーン!」
 ゴブリン達が全て倒れた後、カナタは狼達を手当てして、見送る。カナタの言葉に、体格のやや大きいリーダーらしき狼が感謝を示すかのように吠えながら、仲間達と共に去って行った。

 その後、イレギュラーズ達は生存者がいないか念のため確認したいと言うドラマの主張によって、ルアト村に向かう。
(多分行った所でどうしようもねぇだろうけど……)
 葵はそうは思ったものの、敢えて口には出さずにいた。もし誰かが生きていてくれればと、微かな希望を抱く心情は十分に理解出来たからだ。
 そうしてルアト村に着いたイレギュラーズ達を迎えたのは、老若男女を問わず襲撃の犠牲となった村人達の遺体。生存者がいないか村中を懸命に捜索したものの、生存者を発見することは出来なかった。
 生存者の捜索を終えた後は、遺体をそのまま放置しておけないこともあり、イレギュラーズ達は簡単にではあるが遺体の埋葬を行っていく。
 誰もが黙々と作業をする中、ヒィロが美咲にポツリと呟く。
「美咲さん……死が身近にありすぎるのって、すごく疲れちゃうね。体も、心も……」
「……ヒィロは、優しいね。キミの力なら、きっと沢山の死を退けられるよ」
 自分は死に慣れてしまったが、ヒィロがそうなる必要は無い。そう美咲は思いながら、ヒィロを慰めるかのようにぎゅうと抱きしめた。

「…………」
「……俺達が依頼を受けた時には、終わっていたんだ。どうしようも無かったことを気にしてると、病んじまうぞ」
「そう、ですね……でも……」
 生存者を発見出来ず、気落ちしたように見えるドラマを気遣って、クリスティアンが声をかける。ドラマは出来ることなら助けたかったと言う言葉を飲み込み、力ない笑みを返す。
「俺達は、最善を尽くしたよ。な?」
 クリスティアンの手が、ドラマの頭をくしゃっと撫でた。

 埋葬が終わると、イレギュラーズ達は黙祷を捧げ、撤収する。その最後尾でジョージは気を紛らわせるべく、煙草をふかす。
(酷い、光景だったな……)
「……付き合うぜ。気分を晴らさなきゃ、やってられねえもんなァ」
 その隣で、キドーが煙草に火を付ける。二人がくゆらす紫煙は、犠牲者達を弔うかのように、ルアトの空へと昇っていった――。

成否

成功

MVP

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
咲く笑顔

状態異常

なし

あとがき

 初シナリオへのご参加、どうもありがとうございました。参加してよかったと思って頂けるリプレイになっていましたら幸いです。
 毒への対策、初手の手斧投擲への対策、お見事でした。リーダーも早々に撃破されて、完封、と言った感じでした。

 MVPは敵の半数の攻撃を引き受けつつ、恍惚で美咲さんの攻撃のダメージを引き上げたヒィロさんにお送りします。盾役としてのタフネス、流石でした。

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