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シナリオ詳細

ザ・ラサビジョン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ドクモ・イレギュラーズ
 レモンを手に持ったErstine・Winstein (p3p007325)を、ご想像頂きたい。
 青い空に白い雲、ハワイアンなビーチ……の背景画像を前に白いワンピースと麦わら帽子を装着したErstineがレモンを頬に寄せ姿勢を停止させていた。
「イイヨー! イイヨイイヨー!」
 カメラマン、というか首から上がそのままデジタル一眼レフカメラになった男がErstineの姿をパッシャパッシャ撮影しまくり、そのたびに『イイヨイイヨ』していた。
「…………」
「…………」
 そんな光景を前に、プルー・ビビットカラー(p3n000004)がイレギュラーズたちに雑誌を翳して見せた
「皆も読んだことがあるんじゃないかしら。ラサのメディア王(自称)ことドクモト・RE・マクリャーレ氏の発刊する雑誌のひとつ『ザ・ラサヴィジョン』。
 大衆メディア誌を出身としたこの雑誌は幾度の路線変更の末、今では読者モデルを起用してのファッション雑誌として有名になった……のは言うまでも無いわね」
 かくいう私も撮られたことがあるわ、と言って軽くポーズをとって見せるプルー。
「大衆はいつもトレンドに敏感だからネー。今をときめくラサのニューヒーロー『ローレット』を撮らない分けには? ソウ、いかないよネー!」
 頭ごとグワッと振り返る一眼レフカメラ男。もとい、先程紹介されたドクモト氏である。アクションがいちいち大きいのと首から上がカメラなことを覗けば普通の紳士だが……。
「聞いたことがあります」
 それまでレフ板を手にしれっと撮影助手をしていた夜乃 幻 (p3p000824)がレフ板を消去して立ち上がった。
「カメラ一台から成り上がったメディア王(自称)ことドクモト氏は初心を忘れないために自らのコーナーを持ち続け、毎号一人のカメラマンとして撮影を続けていると。
 そして今回は最新ラサファッションのコーナーを担当される、とか」
「ワカッテルネー!」
 両手の指をビッと向けてくるドクモト氏。
「だからって、まさかメディア王(自称)本人から撮影の依頼を受けるなんてね」
 ヒィロ=エヒト (p3p002503)は金色の髪をさっと払ってから、部屋の端にハンガーがけされた服の数々へと振り返った。
「要するに、ここにある沢山の服を着てみせればいいってことかな」
「ソウイウコトダネー!」
 試しにハンガーにかけられた服をひとつひとつ手にとって見ると、セクシー系、キュート系、ゴージャス系、ストリート系といった具合に四種に分かれてそろっているのが分かる。
「一人で全部着てまわるわけにゃあ、いかんにゃろ?」
 そのうちセクシー系の服を手にとって、狗尾草 み猫 (p3p001077)が『これはどうなんにゃろ?』という顔をした。
 その光景をスマホで連写かますウィズィ ニャ ラァム (p3p007371)。
「うへへえいやいやいいんですよー着て頂いても一向にねえうえへへーい!」
 テンションの上がり方がヤバかった。
 どうやらこれから起こるあれこれを想像していろんなブレーキがぶっ壊れたらしい。
 そんなウィズィニャラァムをひょいっと持ち上げ、横に置くハンナ・シャロン (p3p007137)。
「確かに全部着ていくのは現実的ではあありませんね。
 たとえば……その四種のファッションをそれぞれ二人がかりで別々に担当していくというのはどうでしょう?」
 繰り返しになるが
 セクシー系
 キュート系
 ゴージャス系
 ストリート系
 この四種のファッションをここにいる八人で平等に分けていこうというハナシである。
「これは……自分の好みや趣味で選んでもいいのかな?」
 じっと話を聞くだけだった美咲・マクスウェル (p3p005192)が腕組み姿勢で振り返る。
 美咲を例にあげるまでもなく、なかなかスタイルのいい面々がそろっている今回。
 誰がどの系統のファッションを担当したとしてもいい絵がとれることだろう。
「なら適当にくじ引――ハッ!」
 美咲が珍しく慌てた様子で振り返った。

       \そこには!/
        \なんと/
 \\\御天道・タント (p3p006204)様!///

 誰に何を言われたわけでも無いのにナンバーワンファッションモデルポーズをキメにキメたタントが、こちらをドヤドヤのドヤ顔で見つめていた。
「オーッホッホッホ! 気づいてしまわれましたわね!
 このわたくしをメンバーに加えた時点で配分は決まっているのか……それともあえて外すのか!?
 皆様がいかなる『最新わたくし』を見たいのかが、試されていますわね!」
 ねえ! Erstine様!
 と、身体をひねって呼びかける。
 レモンをほっぺに当てて完全に停止していたErstine(まだやってた)が、パチンとウィンクをした。
「自己申告じゃあつまらないわ。ここは一つ……『他薦チョイス』で行きましょう!」

GMコメント

 ご用命ありがとうございます黒筆墨汁でございます。

 こちら相談期間が短くなっておりますので、まず先に決めるべきことをお知らせいたします。

■他薦チョイス!
 相談掲示板に己の存在感を示した後は、自分なりの『他薦チョイス』を発表しましょう。
 ルールは簡単。

 セクシー系:誰々
 キュート系:誰々
 ゴージャス系:誰々
 ストリート系:誰々

 という風に自分以外の各担当を誰にしたいかという……己の欲望と趣味を書き付けてください。
 このとき『自薦』はナシです。四種のうちいずれも他の参加者になるようにしてください。
 八人の(内宣言が大きく遅れる方がいたらその分を省いた)結果を集計し、各担当を決定しましょう。

 四種のファッションを『1人以上』が担当していればOKですので、すっごい極端な話セクシー系に5人集まって残る三種を1人ずつってパターンでも大丈夫です。

■撮影開始!
 プレイングには自分の担当する部分を『どのように撮影して貰うか』を考えて書き付けていってください。
 着るファッションはもう決まっているので、使ってみる小道具やポーズ、好みの背景や特殊効果に気を遣ってみましょう。
 ついでに周りの人たちへのリアクションをつけると二度美味しい気がします。(相談時にプレイングの前半部分?を見せ合うとおいしさが増します)

 この辺りまで読んで『おや』と思ったやもしれませんが、短い相談期間の間にあえてやるべきことを中学生男子の弁当箱ばりに詰め込んでみました。
 お腹いっぱいお楽しみください。

  • ザ・ラサビジョン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月05日 23時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
狗尾草 み猫(p3p001077)
暖かな腕
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ

●カメラを向けて
 落ちる針と回るレコード盤。蓄音機から流れ出すアフロシンガーのディスコロック。
 広い撮影スタジオにはライトの光がおち、一通りのイメージ撮影を終えたカメラマン兼依頼人兼雑誌編集長のドクモト・RE・マクリャーレは頭のレンズをくりくりといじっていた。
 今は休憩中。もとい、次の撮影に向けてイメージを整える時間、である。
「ええねぇ……」
 黒いスパンコールドレスやオシャレなパーカーのかかったハンガーを見て、『舞猫』狗尾草 み猫(p3p001077)は頬に手を当てた。
 普段から和装が多いみみ猫にはどれも新鮮なファッションである。特にスコティッシュイヤーとしっぽの刺繍が成された帽子には目をきらきらさせていた。
「こんな服で踊れたら、ステージも楽しそうやわぁ」
「ほんと、色んな服があって迷っちゃうよね! 順番は選んでよかったんだよね? どれにしようかな! こっちかな!」
 ハンガーを二つ手にとって交互に自分に当て上がっていく『アトリエクィーン第一の刺客』ヒィロ=エヒト(p3p002503)。
 今まで本当に色んな服を着てきたヒィロだが、よく考えたらこういったストリートファッションはあんまり経験がないかもしれない。というかベースボールタイプの帽子を被ったことがほとんどない。
「新鮮~!」
「仮に今すぐ着ないとしても、ここにある服は覚えておくといいね」
 『魔眼の前に敵はなし』美咲・マクスウェル(p3p005192)はスッとスパンコールドレスを手にとってみた。薄い伸縮素材がつかわれているせいか腰から膝にかけてのボディラインがくっきりと現われ、背中や身体の各所がちらちらと露出するようにできていた。
 これ一枚でもたいした物だが、仮にレッドカーペットを歩くならこれに見合ったアクセサリーや靴といった小物が必要になるだろう。
 それを選び出し美しい姿勢で立つのもまた、モデルの役目である。
「手に入れようとしても手に入らないようなものも沢山あるけど、ね」
 その一方。
「オーッホッホッホ!」
 ワイヤーに吊るされてくるくる旋回飛行(?)する『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
 急に空から旋回してくる人が現われたら誰だって驚くが、付き合いがそれなりに長い彼女たちはフツーに接していた。
「割り当てられた衣装は、ゴージャス! ですわね! 結構結構!
 良いでしょう! このわたくし!」
 が、このタイミングだけは逃さねえ。
 フィンガースナップが鳴り響いた途端、全員(カメラマン含む)が両手を振り上げた。
   \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!///
「――に! まさにピッタリですわーー!」
 くるくる回転しながら下りてくるタント様。
 さらっと通常運転に戻った『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が頬に手を当ててオシャレでセクシーな衣装を手に取った。
「ファッション雑誌に載るなんて初めての経験です。
 色々な服を着てみれば、今度あの方とデートするときの参考になるかもしれません……張り切って参ります」
 キリッとして振り返る幻。
 その一方で、ハンナ・シャロン(p3p007137)が可愛いフリル衣装を手にわなわなしていた。
「……スタッフさんが選んだ服を着て撮影するだけというお仕事だったわけなのですが。
 そうですよね、ただ立っているだけじゃないですよね……どどどどうしましょう!」
 レモンを持つ手すら震える有様である。
 誰だって急にモデルをしろと言われたらこうなる。
 むしろこうならなかった仲間たちのがすごいという話である。
「私そういうの全然分かりません。一体どうしたら……ハッ!」
 その時。ハンナの肩に手を置く者があった。
 モバイルバッテリーを肩ベルトに装着しスマホを動画モードにしたウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)であった。
「ウィズィニャラァム様!」
「女の子同士が仲良くしてる光景は既に……それだけでキュート!」
「ウィズィニャラァム様……!」
「フフ」
 ウィズィニャラァムは片手でわしゃっと前髪をかき上げると、キメにキメたイケメンフェイスを作った。
 でもってハンナをエスコートするように腰に手を回してみる。
「二人で一緒に映ればいいのサ」
「流石ですウィズィニャラァム様! 一緒に映りましょう一緒に!」
「フフ……!」
 ぽん、と回転しながら宙を舞うレモン。
 落ちたそれを片手でキャッチすると、『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)はくるりと回ってスカートの裾をふわりと広げた。
「撮られるの、実は慣れていないけど……これも仕事よね」
 ね? と首を傾げてみせると、休憩を終えたカメラマンがズオオと音を立てて立ち上がる。モデルを魅力的に撮影しようというオーラが全身に漲っていた。
「よろしくおねがいしマス」
「こちらこそ」
 Erstineは一度レモンをパスすると、キュートにウィンクして見せた。

●世界へのショータイム
 ウィンクしたErstineのアップからカメラを引いてみよう。
 ブルーを基調としたチャイナドレスと赤い毛細血管のようなラインが刻まれた羽根突き扇子。ドレスには赤黒い花びらのような模様が流れるように描かれており、Erstineの整ったボディラインを美しく際立たせていた。
「セクシー系ってこう言うタイプの服装だったのね……。
 これならいつも通りの雰囲気で大丈夫そうかしら?」
 扇子で顔半分を隠すようにしながら背を向け、腰をひねる振り向き姿勢をとってみせるErstine。
 幾度も連続するカメラのシャッター音に、Erstineはうっすらと、そして妖艶な笑みを浮かべていた。
 彼女の余裕な振る舞いにほわーと思わず声が漏れるハンナ。
「私が着るにはちょっと勇気が要りそうですが、スタイルが良いErstineによく似合っていますね……」
「それだけではございません。内に秘められた恥じらいもまた愛らしいものでございます。ほら、ご覧ください」
 幻がスッと指を指し示すと、Erstineは丁度スリットから自らの脚を露出させ、畳んだ扇子で後ろ髪をかき上げるという激しくセクシーなモデルポーズをとっていた。
 もうなんか全裸よりエロい。
「案外、難しいものね……」
「僕も、負けてはいられませんね」
 幻は纏っていたガウンを豪快に脱ぎ捨てると、殆どビキニと変わらないような露出度のパーティードレスを露わにした。
 が、ただのドレスではない。
 首、手首、足首、といった各部位を中心として金色のアクセサリーを施し、セクシーとゴージャスの中間からセクシー寄りといった装いになっていた。
「これであの方をノックアウト!
 ……なんて、照れてしまいますね」
 はにかむように笑うと、交代してセットの前へと立った。
 カメラマンも流石プロといった具合で、煌めく金装飾の反射も上手にとりこんで幻の魅力を撮影しきっていた。
 最近は案外アピールされるようになってきた幻の女性的魅力を前面に押し出し、投げキスのようなポーズをとってみる。
「イイヨイイヨー。エフェクトかけてみようか!」
「で、あれば……」
 広げた木綿生地のタオルで身体の半分ほどを隠し、背景に青い花びらを散らし始める。
「目ぇでよう、自分の綺麗な所、よう語ってはるね。
 これは目ぇ反らせへん姿やなあ」
 感心するように頷くみ猫。
 ウィズィニャラァムがシャオラーイと言いながらスマホでカメラを連写していた。
「I・RO・KE! I・RO・KE! 真の色気は? 目で殺す! ハイ!」
 幻はフッと笑い、指先に蝶ととまらせて流し目を仕掛けていく。
「目力で負けるわけには、いかないよね」
 美咲は片手で顔半分を隠すようにすると、指の間から赤い眼光をきらりと光らせた。
 本当の意味で目からビームが撃てる美咲であるが、同じ原理で目から魅了や催眠術を仕掛けることもまた可能である。
「さあ、私の撮影を始めようか」
「はじめよう!」
 ヒィロをお姫様抱っこしてカメラ目線をキメる美咲。いまこのフォームで宣伝売ってるらしいよ?
 セットに立った美咲はまず手数での勝負を始めた。
 ワンショットごとに細かく姿勢を変えていく。レイヤーモデルであれば相当サービスが良いとされる動きである。勿論姿勢の固定はその姿勢をとることに比べ何倍もの体力を要するといい、何度も固定姿勢を変えることは全力疾走並の体力消耗を引き起こす。
「プロはもっと多いのを軽くこなすんだって? 大変よねー」
「これが女性としての魅力……わたくしも学ばねば!」
 そんな彼女の振るまいを、ポーズをまねつつ見入るタント。
 美咲のポーズがどれも彼女のめりはりある体型から繰り出されるものなのでだいぶ印象が異なるが……。
 同じ素質をもつヒィロはあえてじっと座って様子を眺めていた。
「クールな大人の色気……あの胸に抱き締められたら気持ちよさそう……」
「胸ですの?」
「ハッ! つい!」
 口を押さえてハッとするヒィロ。
 美咲は一転してポーズを日常の何気ない動作姿勢に切り替え、非日常的なスパンコールドレスから垣間見える日常性のギャップをカメラにありありと見せつけていた。
「さて、そろそろかな……」
 膝を折ってかがみ、ものを拾い上げる姿勢からちらりとカメラのほうを見て微笑む美咲。
「次は君の番よ、ヒィロさん」
「わっと! そうだった!」
 ヒィロはぴょんとパイプ椅子から飛び上がるように立つと、かたわらに置いていた獣耳穴つきのニット帽を手に取った。

 ストリートファッションにも色々あるが、ヒィロが切ることになったのはヒップホップ系のファッションであった。
 ニット帽から狐耳を出し、襟首のを延長してあえて肩を半分出したシャツに片足がハーフ丈になったダメージジーンズというアシンメトリースタイルだった。
 町中で見かけそうな素材でありながらかなり上級者向けの着こなし。しかしヒィロの得意ななつっこいスマイルと快活なポーズで日常感を爆発させていった。
 町中で見かけるフレンドリーさに垣間見える、ただ者ではない雰囲気。
 パイプ柵によりかかって棒付きキャンディを咥えてみたり、ガラス越しに見えるファーストフード店のカウンターでスマホをいじってみたり。
 流石に『撮られ慣れ』の激しいヒィロならではのバリエーションであった。
「流石……それぞれの拘りで主張してる感じね」
 腕組みして眺める美咲。
 ポーズのとりかたもひとつひとつ自然で、ついついヒィロに親近感をもってしまうような写真がいくつも撮影された。
「わわわ……やはり動き方が違いますわね。異性だけでなく同性も引き込まれる立ち振る舞い……勉強になります!」
 グッと両手のガッツポーズをとって身を乗り出すハンナ。
 そんな彼女たちの視線を一身に受けながら、ヒィロは『それじゃあ交代!』とみ猫とハイタッチをして入れ替わった。
「み猫様、これを」
 ガウンを着て休憩していた幻が、フックにかけられていたベースボールキャップをフリスビーのように投げると、み猫はそれをぱしりとキャッチ。
 獣耳が出るタイプの赤いキャップを頭にかぶり、黒いフードパーカーに袖を通す。
 これまでのみ猫とは大胆に異なるストリートファッション。
 ストリートアートの疾走感あるフォントで描かれたデザインTシャツを銀のチェーンネックレス。
 パーカーについたフードには獣耳を納めるための耳袋とでもいうべきパーツ(よくショウが被っているやつ)がついていて、み猫の耳の動きをぴこぴこと表わしていた。
 下はつるっとしたジャージタイプ。そしてスニーカー。
 ジャケットの脇ポケットに手を入れたまま、ペイントされたブロック塀の前に立つと……み猫は左右非対称に、そして不敵に笑って見せた。
 み猫の特技。それは舞いによって視線を引きつけるというものである。
 そして彼女の装いから和風の舞踏ばかりが注目されてはいたが、彼女のポテンシャルはそれに収まるものでは、もちろんない。
「体つきを主張する舞いといえば……これやにゃあ」
 ギュン、と風をかき混ぜるような大胆な動きから繰り出されるブレイクダンスのポーズである。
 片手倒立から両足を開いて停止する、ジョーダンというフリーズ技である。
 力強さとしなやかな肉体美を強調できる非常に印象的なポーズだ。勿論肉体への負担も大きいが、舞いによる視線誘導を得意とするみ猫ならではの停止時間であった。
「静と動の使い分け。ダイナミックさ。……目が釘付けで御座います」
 『でしょう?』と振り返ると、プラスチックカバーの紙コップで紅茶を飲んでいたErstineが小さく笑った。
「自分を魅力的に見せる手段を体得しているのね。流石、だわ」
 けれど流石というなら……。
 と、天井を見上げた。
「オーッホッホッホ!(本日二回目)」
 天井からワイヤーで吊るされてきたタントが、クジャクを二十羽くらいシメて作ったんじゃないかってくらいど派手な衣装を纏って現われた。
 そんなタントが巨大な衣装っていうかもう殆ど特撮セットみたいなものにがしょーんとパイルダーオンした。
 ここまでくると衣装(?)のほうが目立ってしまうものだが……。
「そう、ポーズの機微は手先に宿るのですわ……!」
 優雅な、そして川の流れを思わせる繊細な動きでポーズをとるタント。
「しなやかに頬に添える手は流麗な水の如く!
 ぴんと空に伸びゆく指先は飛び立つ白鳥の如く!
 複雑に絡み合わせた指は情熱の炎の如く……!」
「「おお……!」」
 身を乗り出す仲間たちの中で、美咲は壁際に立って腕組みをした。
 かけていたサングラスを装着した。
「こんな衣装(?)でもカメラマンはあくまでモデルを写す。モデルが栄えれば、衣装の華やかさを表現できるのね……」
 並んだErstineたちが同じくサングラスを装着していく。
「なんと言うか…噂通り、と言うべきかしら?
 でも自分らしさで溢れている……眩しいくらいに……」
「っていうかまぶしっ! 目が! カメラが!」
「オーッホッホッホ!」
「よっしゃあ負けてられませんね! 次、ウィズィニャラァム行きます!」
 ステージへと飛び込んでいったウィズィニャラァムの衣装はアリスタイプのワンピースであった。
 元々のウィズィニャラァムのスタイルに近くはあるが、そこにホイップクリームを山盛りにしたようなフリル具合に仕上げられている。
「ハンナさん行きましょう! まずはコンビプレイです!」
「は、はい! ウィズィニャラァム様!」
 同じ衣装でステージにあがったハンナと一緒にレモンを持ち、二人の頬で挟むようにポーズをとる。
 それぞれの外側の腕を翼のようについっと広げてみせればキュートなコンビポーズのできあがりである。
「正直モデルとか初めてで心細かったので……一緒に写れてとても嬉しいです!」
「そうでしょうそうでしょう。ではこの調子で仲良し感を出していきましょう! 出していきましょうとも!」
 スマホを自撮り棒で撮影……するかのように手を伸ばし、ハンナを抱き寄せて見上げるウィズィニャラァム。
 ぬいぐるみだらけのセットで背中をあわせて座るハンナとウィズィニャラァム。
「一人じゃ出せないかわいらしさだよね! ……あれ、待って!」
 なるほどなるほどと頷くヒィロが、用意された小道具に目を見張った。
「これは……タピオカミルクティ」
 ハンナは透明なカップにストローがささったやつを手に取り、ウィズィニャラァムを見た。
 ウィズィニャラァムはといえば、胸元のボタンをいくつか外してそこにカップをドン。口でストローをくわえ両手を頭の後ろで組んでみせることでミルクティを保持してみせた。
「こ、これはキュートなのでしょうか……」
「ベリベリキュート! はいご一緒に!」
「べ、べりべりきゅー……ああっ、むりです!」
 落としそうになって慌てて手でつかむハンナ。
 そんなでこぼこ感に、カメラマンは慈しむような視線とシャッターを注いでいた。

 こうしてできあがった何十枚という写真。
 そこから厳選された二十数枚が、次号のラサビジョンに掲載されるという。
 さあ、雑誌が販売されているショップへ急げ!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 挿絵申請、ギルドショップ化、お待ちしております……!

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