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シナリオ詳細

<DyadiC>討伐の町中へ
<DyadiC>討伐の町中へ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●暗躍の魔種
 かつて、オランジュベネなる貴族が幻想南部に領を持ち、栄えていた。
 その地は既に没落した地であり、そして今は暗躍の地となっている。
 暗躍の主はイオニアス・フォン・オランジュベネなる魔種。
 イレギュラーズと関わり、逃れたその魔種は、力を蓄えて過ごしていた。
 一度反乱を起こしたものの、再度イレギュラーズによって一時的な沈黙を余儀なくされたイオニアス。
 再び反乱を起こすべく、彼は各地に兵を送っていた。

●その報せ、火急につき
 イオニアスが北伐に向けて動いているようだ。
 その情報が入った事で、イレギュラーズは至急招集された。
 彼らを前にして、情報屋の一人である男が今回の依頼を読み上げる。
「場所は北伐へ向かうルートの途中にあるそこそこに大きな町だ。そこに良からぬ兵が集ってきているとの話だね人数はざっと二十程度、らしい」
 良からぬ兵とは傭兵だろうか。
 イレギュラーズの一人が質問をした所、返ってきた答えは「傭兵と貴族の兵が混ざっている」というものだった。
「どうも扇動しているとしか思えないほどに、正気が見えない顔をしていたと報告があったようだよ。荒い息をして、皆目が血走っていたらしい。そりゃ正気を疑うよね」
 つまり、まともな思考をしておらず、説得の類は不可能らしい。
 眼前の情報屋は指を二本立て、話を続ける。
「可能なら住民を避難させて迎え撃つのが望ましいかな。今回、君達にしてほしいのは敵勢力の討伐。住民の避難は先に別働隊が行なうよう手配するので、君達は討伐に専念してほしい」
「捕縛はせず討伐のみという方向で?」
「そうだね。住民の不安を拭う為にも仕方ないと思うよ。実際、そんなのが捕縛されただけじゃ、いつまた集まるのか気が気じゃないしね。それに、扇動しているやつが居るはずだから、そいつも討伐しちゃっていいよ」
 男は肩をすくめて、次に兵士達に関する情報を読み上げる。
「傭兵達は主に剣が主体。弓を用いたりするのもいるみたいだね。貴族兵達の方は、剣と銃の部隊に別れてる。あぁ、傭兵達が油を行商人から買ったという報告があるな。火矢の可能性に気をつけて」
「奴らの狙いは街の破壊か?」
「どうだろうね。北伐に向けて道を作ろうとしているのかもしれないけど。その辺りは聞く必要はないと思うよ。なにせ、クチナシの花となる奴らだし」
 クチナシ――死人に口なし。
 討伐のみに集中しろという依頼に、イレギュラーズの誰かが溜息を小さく零した。
「町は、珍しく整備されてる場所のようだね。建物は並んではいるけど間に余裕のある道もある。道も馬車がすれ違って通れるほどの広さがあるというから、かなり広いようだよ。これは君達も動きやすくなるんじゃないかな。条件はあっちも同じだけどね」
 それと、と男は小さく加える。「槍衾を作る程度の槍兵が友軍についてくれるから、うまく指揮がとれれば後手に回ることはないと思うよ」と。
 ――それを早く言ってくれよ! と思った一同をよそに。
 依頼書を入れていたバインダーを閉じ、男はにこやかに告げる。
「それじゃあ、よろしくね」

GMコメント

 お久しぶりです。
 今回の目的は「敵勢力の討伐」となります。
 依頼情報については以下の点をお読みください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●傭兵
 人数十人程度。
 剣と弓の混成。比率は剣>弓。
 油を購入したことから、火矢を放つ危険性がある。火炎系BSへの警戒をしたほうがいいでしょう。
 理性がない様子なので、まともな思考回路は期待しないほうがいいです。

●貴族兵
 人数十人程度。
 剣と銃の混成。比率は同数。
 基本から大きく離れた戦闘スタイルは取らないが、稀に型を無視したスタイルを取る人間も混じっている。

●兵士長
 傭兵、貴族兵を扇動した男。姿形は人間である。
 傭兵・貴族兵達を監視しやすいよう、後方に控えている。
 呼び声のキャリアーであり、純種は反転の危険性をはらみ、そうでなくとも狂気に飲まれ正常な判断を阻害される恐れがあります。

●友軍兵
 総数十名。全員が槍歩兵(レンジ1)。基本は槍衾での集団戦法を取るため、瓦解した時の混乱で一気に倒される可能性あり。
 扱いを誤らなければ非常に心強いだろう。

●リプレイ開始時
 イレギュラーズは町の入口に到着した所となります。
 探索スキルを使えば敵勢力がどこに集結しているかはわかりますが、到着時点では不明となります。

 それでは、皆様のプレイングを、お待ちしております!

  • <DyadiC>討伐の町中へ完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月04日 21時55分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ
リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
分の悪い賭けは嫌いじゃない
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
願いの風を継いだ者
久住・舞花(p3p005056)
月下美人
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
Erstine・Winstein(p3p007325)
氷結

リプレイ


 町の入口に到着した時、そこは異様な静けさがあった。
 兵士達の異常さを察知してるのか、別働隊からの避難誘導に素直に応じてくれたらしく、住民らしき影はどこにも見当たらない。
 干されたままの洗濯物や、ベランダに出したままの鉢植えなど、生活感があるのに人が居ないという違和感の残る大きな町。
 この町のどこかに、兵士達ならびに彼らを扇動する輩が居るのか。
 イレギュラーズの背後に控える友軍達については、司令塔としての役割を買って出た『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)が統率すると宣言した。
 電動アシスト車椅子に乗り、A・メイドやA・バトラーを従える彼女は、具体的な策を語る前にと、友軍について改めて確認の為の言葉を紡ぐ。
「諸君らは槍衾による戦いであり、面制圧力に優れ近接武器相手には滅法強い。特に左右が壁となる路地での白兵戦では無敵だろう」
 有利な面を聞いて槍兵達の顔が、心做しか嬉しそうなものになる。
「対して遠距離攻撃に弱く、側面からの攻撃で遠近問わず致命的な打撃を受ける。開けた場所で遠距離から攻撃されるのが最悪と言える」
 続けられた言葉に彼らの顔が曇る。
 その様子を見て、『チアフルファイター』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は、軍馬として連れてきた騎獣ヘラオスを手入れする手を止めて友軍に向き直る。
 拳を作って力強い声で彼らに檄を飛ばした。
「アンタ達は本当はすっごく強いンだから、アタシとシャルロッテで力を引き出してあげる。いい? 勝つのは当然! 街が焼けないように絶対守るよ!」
「ハイ!!」
 ミルヴィの激励にやる気を湧き上がらせる槍兵達。
 その様子を見て、リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は心からの言葉を思わず発した。
「いやぁ、友軍がいるって心強いな」
 その言葉を聞いた槍兵達が更にやる気を上げていく。
 『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は、「すごいやる気っスね」と感心する。
 横で聞いていたシャルロッテは、僅かに肩をすくめてみせる。
「本題に入る前から盛り上がってくれるのはいい事だ。作戦をスムーズに受け入れやすい空気にしてくれる」
 町の上に広がる空を見つつ、『月下美人』久住・舞花(p3p005056)は一つだけ溜息をこっそりとついた。
「居場所の情報が全く無いというのは……まあ、危急の話という事だから仕方ないか」
 到着した時より、索敵する為の行動を始めている『幻灯グレイ』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)へ話しかける。
「居場所は掴めそうですか?」
「もうじきわかるかもッスね……」
 彼女が召喚し、使役しているのはカラスと猫。地上と上空、二つから得られる情報をもとに対象を探す。
 舞花に返答して一分も経たぬ内に、カラスの方が発見した。
「……居ました。……どうやら今から何か動き始めるようッスね?」
 詳細を確認するべく、カラスを近づけさせる。
 建物の頂上に止まり、観察すれば、何かの入ったツボのような物に鏃に布を巻いたような矢を入れていく姿が見えた。
「火矢の準備がされているみたい」
 クローネからの情報を聞いて、「急ごう」とシャルロッテが言う。
 友軍に向けて作戦を伝え始める彼女をよそに、イレギュラーズもすぐに乗り込む準備をする。
「……上の者がマトモじゃないと、マトモな部下も出来ないわね……悲しいけれど」
 そう呟くのは『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)。
 近くで佇む『溶融する普遍的な愛』Melting・Emma・Love(p3p006309)は、胸の辺りで手を組む。祈りとは違う、ただの胸中の思いを確かめる仕草。
「傷付く人を増やさないよう頑張るの」
 クローネから場所を教えられ、友軍もシャルロッテからの作戦を飲み込み、準備は万端だ。
 町中へと、イレギュラーズ達と友軍は地面を蹴って走り出した。


 友軍である槍兵達はシャルロッテの指示で塊にならないように気をつけている。狙われないようにという配慮のもと、だ。
 彼女が先述したように、開けた場所で遠距離から攻撃される危険性がある。それを避ける為に、かたまらないように隙間を空けている。いざとなれば槍衾を作れるようにはしている辺り、イレギュラーズへの協力が伺える。
 イレギュラーズ達の内、先頭に立つのは、舞花やミルヴィ、クローネ。その次に友軍、シャルロッテとErstine。後方にて回復役として務めるMeltingと、ボールによる遠距離攻撃を持つ葵、彼よりも長い遠距離攻撃の手段を持つメーヴィン。
 隊列を崩さずに、一行はクローネが指示する道に沿って走る。大通りを走り、目的の場所まで進んでいく。
 クローネによると、向こうも歩きだしている為、このまま行けば大通りの途中で遭遇するだろうとの事だ。
 その言葉通り、視力に優れた者達は前方に集団の影を発見した。
 このまま走っていけば衝突は避けられないだろうが、相手には火矢がある。それを放たれる前に何か手を打つべく、イレギュラーズは一度足を止める。
 葵がシルバーのサッカーボールを地面に置く。黄色い流星マークが特徴的なボールを蹴る前に少しだけ未来を見る。
 それは、仮にバットバーストを放った場合の未来。大爆発に油が加わる事で被害が増す町中の姿。
 サッカーボールが見せてくれた少し先の未来を見て、葵はこれはやめようと考え直した。
「油がある以上、下手に引火するような真似は出来ないッスね」
「そうじゃな……」
 メーヴィンもまた、緋矢以外で何を使うかを考える。
 油の入った壺を落とすことも考えたが、それでは油を撒き散らす恐れもあるので、どうしたものか。
 ミルヴィは、アンティークギターが背中に担いであることを確認すると、ヘラオスから降りた。
「戦闘が終わるまで、ここで待ってね」
 理解したように低く唸るヘラオス。
 中衛に居るシャルロッテが、車椅子に座ったまま、友軍へ指示を飛ばす。
「いいかね、さっきも言ったように、弓や銃と遭遇した場合は撤退し、建物を利用して射線を切る動きをする事だよ」
「はい!」
「できるだけ敵後衛との距離が近い状態で戦闘を開始し剣兵を打倒する事。彼らが素早く後衛を仕留められるように道を切り開く事が望ましい。わかったかな?」
「はい!」
「では、作戦を決行する。二手に分かれ、移動を開始するように」
 静かな声、しかし力強い声に、槍兵達は了承の意を示すと、半数が脇道から逸れた。
 事前に道の構造についてはクローネに聞いている。単純な造りゆえに、後衛を襲撃するのに苦はないそうだ。
 斬魔刀を鞘から引き抜いた舞花がシャルロッテに問いかける。
「前衛を崩しに行こうと思うけど、先手は打つ?」
「そうだね。まずは葵君のシュートで先手を打ち、そこを崩すのがいいかもしれない。ミルヴィ君と共に行けば、ことさらに蹴散らしやすくなるかもね。クローネ君は二人から少し離れた位置の方がいいのかな」
 話を振られ、クローネは無言で頷く。
 舞花は話がまとまったのを確認すると、了承の言葉を紡いだ。
「わかりました。ミルヴィさんも、それでいいでしょうか?」
「問題ないよ」
「オレも異論なし。ってなわけで、皆少し離れてて」
 数歩歩き、サッカーボールを地面に置く。イレギュラーズに少し下がるよう伝え、彼らが下がったのを確認すると、自分もまたサッカーボールから後方へ少し離れる。
 助走をつけてボールを蹴り出す。放たれたシュートに、敵兵達の足が止まる。
 兵士の一人にボールが当たったのを視認する前に、舞花とミルヴィは駆け出していた。一拍遅れて、クローネも。
 舞花の右手には斬魔刀、左手の鞘も武器としてその手に収めている。
 前列の敵兵達が、火矢の用意をしようと構えるのが見えた。
 クローネが目を細める。
「……させません」
 彼女は手を前へと差し出す。そこから放たれたのは、目には見えぬもの。敵兵達の居る範囲内で展開されるのは、疫病を振りまく呪いの様なものである。
 敵兵達の一部の動きが止まる。胸を押さえる者、動きが緩慢になる者など、明らかに何かの不調を訴えるような動作をする敵兵達。
 そんな彼らへ、クローネは更に追い打ちをかける。彼女が放つ毒は、生者の身体を劣化させ、腐らせていった。
 鎧の中の皮膚が、内臓が、腐り劣化していく様は、感じている彼ら自身の苦悶の声から察するしか出来ない。腐臭ぐらいしか、周りにはわからない。
 彼らの様相や漂う腐臭に動じないのは、依頼にあった傭兵達なのかもしれない。味方の兵士達の様子を見て同様の色を見せているのが貴族兵達のようだ。
 しかし、火矢を放つ様子を見せる傭兵達の数は少しばかり減らせた事は僥倖だ。舞花とミルヴィを狙う火矢の数が減った事で避ける道が出来た。
 火矢の間を縫うように駆ける二人。
 移動する最中に、舞花はミルヴィへ告げる。
「後方に少し離れていた方がいいかと。暴風に巻き込まれる恐れがあります」
「わかった」
 ダンスならではの動きでステップを用いて下がり、舞花から距離を取るミルヴィ。
 後を追いかけてきたクローネを手で制する。
 ミルヴィの傍に来て理由を問う前に、敵前列から中央に向けて踏み込んだ舞花がその技を発現させた。
「くらいなさい」
 戦鬼暴風陣と名付けられたその技は、武器を旋回させて、自分の周りに暴風域を発生させる技。斬魔刀とその鞘でもって起こされた小さな暴風は、敵兵達の動きを止める。
 風は敵兵達の息を奪う。呼吸さえままならず、兵士達が喉を押さえ、武器を取り落とす。
 呼吸が出来ないという事は、息が全身を巡らないという事。すなわち、死へと直結する。
 暴風の範囲外に居る敵兵達の動きも緩慢なものになる。暴風に巻き込まれないようにと列が乱れる。
 理性が無い様子であった傭兵達も、流石に暴風の煽りを受けては動きも十分なものにならないようだ。
 そこを好機と見て、踏み込むクローネ。ミルヴィは二人を制止した場で背中のアンティークギターを手に取る。
 彼女の唇から歌が溢れていく。イレギュラーズを讃える歌を、伴奏と声で乗せ、それに合わせて足がリズムを刻む。
 これで少しは体力が彼らにつくだろう。
 踊る最中に、敵兵の一人がミルヴィと目があった。情欲が込められた、彼女の魔性の瞳。見つめる彼女と視線を交わした兵士は、突如彼女へと襲いかかる。
 その兵士の動きに動じることなく、ミルヴィは背中に再びアンティークギターを担ぐと、地面に手をついた。重力に逆らって持ち上がる体。手をつくと同時に体を捻り、足を広げて回転する。
 勢いのある回転蹴りは、兵士の顔を直撃した。
 手応えを感じて一度足を下ろす。そこを狙ったように、別の兵士が彼女へと突き進む。
 もう一度今の技をするには準備時間が無い。パンドラに頼るしかないと腹を括った時、後方より現れた槍兵が、敵兵の体に槍を突き立てた。
「ご無事ですか?」
「え、ええ……」
 少しばかり困惑するも、お礼は忘れない。
「よくやった!」
 槍兵を褒めたのは、最初の位置から少し前へと動いたシャルロッテだった。傍らにはMeltingも居る。
 Erstineはシャルロッテとミルヴィの間に立つような位置に立っていた。その手には血刀を持っている。血を流したはずの体はおそらくMeltingに回復させてもらったのだろう。
 メーヴィンは最初の地点から動かないまま弓を構えている。
「その調子だよ! 油断せずにね!」
「ハッ!」
 士気は十分にある様子の槍兵は元気に返答すると、後方の隊列へと向かっていった。
 Erstineの眼が、こちらに向かってくる兵士を見つめる。その動きが止まり、棒立ちになって虚ろな目をする。
「私達に敵が来ないように守りなさい」
 眠により、操られたその兵は、踵を返すと、同じように向かってきた兵士へと斬りかかる。
 血走った眼をした兵士は、Erstineが操った兵士をためらわずに斬り伏せた。
 そのまま突き進んでこようとする兵士の体を、一筋の軌跡を描いた魔弾が射抜く。
 メーヴィンの持つ半身装着型練達式殲滅機導弓による魔弾だ。
 当たった箇所から氷の結晶が生まれ、兵士がまとう鎧に重みが増した。
 Erstineはその隙を逃さず、血刀で斬り伏せた。首と胴体を切り離し、物言わぬ躯を横たえらせる。
「ごめんなさい? 弱い子はお呼びじゃないのよ」
 冷たい瞳と声が物言わぬ兵士へと手向けられる。生存していて、かつ変態であったならば、ご褒美だったかもしれない。
 舞花の暴風が止むのが見えた。何名かの兵士達が地面に倒れ伏している。
 しかし、まだ敵兵達は居る。友軍達や葵、クローネが減らす事に尽力しており、Erstineや舞花もそこへ加わった。メーヴィンも、遠方から一人ずつ仕留めていく。
 車椅子に座りながら満足げに笑うシャルロッテの横で、Meltingは呟く。
「何だか怒ってる人が多いの」
 何に怒っているのだろう。Meltingにはそれがわからない。
 だけど、それでも、彼女は、
「Loveは誰でも愛するの」


「あなたはこれで大丈夫そうです。次の方」
 Meltingによる傷の手当を受けながら、イレギュラーズは油などが町中に撒き散らかされていないかをチェックしていた。幸い、戦闘中に地面へと落ちた油は矢の分のみのようだ。
 放たれていた火矢も、燃え広がる事はなく、落ち着いて対処できていた。
 壺の方は、友軍の方で落ちないように確保してくれていたらしい。
 シャルロッテが「よくやってくれた」としきりに褒め、彼らは兜から顔を覗かせて嬉しそうに笑う。
 ミルヴィは置いてきた騎獣ヘラオスに駆け寄り、改めて戦闘していた場所まで連れてこようとしていた。
 横たわる敵兵達の躯を見ながら、葵が「うへぇ」という顔をする。
「しかし、火が広がらなくて良かったッスね」
「そうッスね」
 クローネが相槌を打つ。彼女は他に残党が居ないかの確認の為、カラスを再び飛ばして町中を偵察させていた。その結果が問題ないと出るまで、あと少しの時間がかかるだろう。
 兵士長の遺体を遠巻きに見ていたメーヴィンは、友軍に呼び声の影響が無い事に安堵した。
「仮に反転していたら面倒だったからのう」
 その場合でもシャルロッテが立て直しを図ってくれただろうが、ひとまずは影響を受けなかった事を喜ぼう。
 彼女と同じく兵士長を見ていたErstineは、溜息を一つ零した。
「私のいた世界にもマトモではない者がいたわ。純血を粗末にして、自分に過剰な程自信を抱いて灰になっていった。……我が愚王たる父の事、だけれども」
 自分の居た世界を憂う。あの愚王と兵士長が重なり、さらに溜息が零れる。
「どの世界にも『マトモではない者』がいる。かく言う私もきっと『マトモではない者』なのでしょうね?」
 己を卑下しているともとれる発言が聞こえたものの、舞花は何も言わずにおいた。
 戦場を見回し、目を閉じて黙祷する。兵士長にではなく、兵士達へ。
「呼び声に巻き込まれた傭兵とオランジュベネ兵は……不運なものね」
 兵士達への哀れみに満ちた声は、彼らを悼む事が出来ただろうか。
 答えはわからないまま、彼女もまた戦後処理へと動くのだった。

成否

成功

MVP

リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
分の悪い賭けは嫌いじゃない

状態異常

なし

あとがき

皆さんのプレイングのおかげで、町中への被害も少なかったようです。
お疲れさまでした。

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