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シナリオ詳細

<DyadiC>激・憤・爆・怒:魔獣ディロタウラス討伐作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●窮鼠獅子を放つ
 幻想南部、オランジュベネ領――。
 かつてオランジュベネが統べしこの高原地域は、今再びの戦乱の中にあった。
 魔種イオニアスによる指揮の下、麾下の軍勢は一斉に蜂起した。
 オランジュベネ領内にて散発的に繰り広げられる、騎士たちの行軍。
 もちろん、幻想の騎士団も、これに手をこまねいていたわけではない。
 各地に対応の騎士たちを派兵。
 ここ、オランジュベネ領の最南端に位置するドレムリア砦においても、イオニアス軍、幻想騎士団の衝突は行われていた。
 その、ドレムリア砦内。
「止むを得ん……!」
 兵士長は、その眼を怒りに血走らせて、言った。
「ま、まさか、ディロタウラスを出すのですか!?」
 部下がうろたえたように叫ぶ。
 兵士長は部下を睨みつけながら、立ち上がった。
「出すしかあるまい……あれはもはや、我々の、起死回生の最後の手立てなのだ……!」
 つかつかと部屋から退出する兵士長を、部下はおった。
 砦内を進めば、あちこちに傷つき呻く兵士たちの姿がある。
 戦力差は、歴然であった。
 もとより、最南端に派兵された――行ってしまえば、貧乏くじを引かされた一群。
 練度も士気も、低かった。
 いや、イオニアスの影響力が高ければ士気は高かったかもしれないが、連日に敗北を重ねるイオニアスに、もはやそこまでの能力はない。
 結局のところ。
 此処は見捨てられたのだ。
 しかし、ここで白旗を振ったとて、自分たちの生存は保証されるかと言えば、まったく確証はない。
 むしろ逆。魔種と手を組んだ人間の末路は知れている。まとめて処刑されるのがオチだ。
 兵士長は部下を伴って、砦の中庭へと向かった。そこには巨大な檻が設置されている。
「ディロタウロスの様子は」
「充分に怒り狂っています」
 見張りの騎士が、うめいた。
「だ……出すのですか。しかし、こいつを出したとて、我々の制御下にあるかは……」
「何方かを選べ」
 兵士長は、言った。
「此奴に食われて騎士どもに一矢報いるか、降参して断頭台の露に消えるかだ」
 その眼は正気ではない。
 そして部下の騎士たちも、正気というタイトロープの上にいた。
 押せば落ちる。狂気へと。
 そして今、押された。
 見張りの部下はゆっくりと、檻の扉を開けた。

●魔獣ディロタウラス討伐作戦
「こんにちわ。情報屋じゃないけど、今回のミッションの説明に来たよ」
 ぷにぷにと身体を震わせながら、そう言うのは『ぷるぷるぼでぃ』レライム・ミライム・スライマル(p3n000069)である。
 ここは、ドレムリア砦近郊の村に設置された、幻想騎士たちの陣幕。
「まず周りを見てほしいけど、現状こんな感じなの。これが全部、イオニアス軍の放った、魔獣ディロタウラスのせい」
 レライムの言葉に従い辺りを見て見れば、負傷し、苦しげにうめく幻想騎士たちの姿がある。
 レライムの話によれば、追い詰められたイオニアス軍は、捕獲していた魔獣、ディロタウラスを解き放った。
 偵察に出ていた幻想騎士たちは、砦内のイオニアス軍を皆殺しにしたのちに、砦外へと解き放たれたディロタウロスの姿を見たという。
 ディロタウロスはそのまま、砦を包囲していた幻想騎士たちを虐殺。現在は、何かに呼ばれるように北上中であるという。
「目的地は、イオニアスの居る血の古城……だと思うんだけど。実は問題があって、その進路上に、この村があるんだよね」
 ぼんやり、淡々と述べるレライムであるが、その心中は穏やかなものではあるまい。このままディロタウラスを放置しておけば、現状すぐには動けぬけが人を大量に抱えた幻想騎士たちが、今度こそ全滅しかねない。それに、此処を突破したさらなる進路上にある村や町にも被害が及ぶ可能性は充分にある。
「この魔獣を放置して、血の古城に合流させちゃいけないのはもちろん、他の村や町に被害が出ちゃいけない。皆に急いできてもらったのはそのため」
 レライムはふより、とその身体を震わせて、続けた。
「ディロタウロスは、あと少しでこの村に到着する。皆には、その前に、ここから南の草原で迎撃してもらいたいの」
 うん、とレライムは頷いてから、言った。
「あたしも少し手伝うよ。皆には負けるけど、それなりに戦えるし。じゃあ、一緒に頑張ろうね」
 そう言って、レライムはぷよぷよと身体を震わせた。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 魔獣ディロタウラスが解き放たれました。
 これを討伐してください。

●成功条件
 魔獣ディロタウラスの討伐

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 ドレムリア砦より、魔獣ディロタウラスが解き放たれ、北上中です。
 その進路上には多くの村や町があり、このままでは大きな被害がでる事が予測されています。
 皆さんには、ドレムリア砦と、幻想騎士たちが陣幕を張った村の間、草原地帯に布陣し、この魔獣を迎撃してもらいます。
 作戦決行時刻は昼。周囲に戦闘の妨げとなるようなものはありません。
 魔獣との戦闘に注力してください。

●エネミーデータ
 魔獣ディロタウラス
  特徴
   さながら巨大な牛のような外見をした魔獣。怒れる猛牛とも。
   所持スキルは以下のようなものです。
    クラッシュホーン
     物・近・単+【乱れ】
    怒りの雄たけび
     神・遠・扇+【足止】
    地ならし
     物・中・貫+【必殺】
    脳筋++
     筋肉の化身。物攻に大幅なプラス修正、神攻に大幅なマイナス修正。
    食材適性+++
     すごく おいしい。
    常在憤怒
     パッシブ。毎ターン、最初に与えられた【怒り】を無効化する。

●NPCデータ
 レライム・ミライム・スライマル
  特徴
   物理耐久よりのバランスファイター。一応イレギュラーズです。
   攻撃、回復一通り行えますが、すべて皆さんよりは一回り弱くなっています。
   特にご指示等なければ、頑張って戦い、特に描写などもされません。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • <DyadiC>激・憤・爆・怒:魔獣ディロタウラス討伐作戦完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月03日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
サンディ・カルタ(p3p000438)
ラド・バウC級闘士
オフェリア(p3p000641)
主無き侍従
ヨハン=レーム(p3p001117)
ステンレス缶
ニル=エルサリス(p3p002400)
赤羽・大地(p3p004151)
双色クリムゾン
リナリナ(p3p006258)
オジョ・ウ・サン(p3p007227)
RafflesianaJack

リプレイ


 地響きが唸る。地がめくり上がる。
 巨大なる怒れる魔牛、ディロタウラスが地を走る。
 魔牛が走り抜けた、その後にあるものは、粉砕された大地。
 そこに何があろうとも、その怒りの後に形をとどめているものはおらず。
 魔牛が行く、その先にあるものに待つのは、ただただ破壊のみ。
「ボクってばモンスターで狩人なゲーム好きなんだ」
 いや、この時に限り、それは違った。
 立ちはだかるもの――『魔法騎士』セララ(p3p000273)は笑った。
「これはあのゲームの真似をする大チャンスだよね?」
 掲げるは刃――『聖剣ラグナロク』。ディロタウラスはこの時、解き放たれてから止めなかった歩みを、初めて止めた。
 自身の歩みを止められたものは、ただ一人としていなかった。立ちはだかろうとしたものも。
 今目の前には、9人の立ちはだかる者たちがいる。
「こーゆータイプの奴をこう、やっぱ華麗にこう、赤いマントでかわしつつレイピアで仕留められたりしたら俺ももう少しこう、モテたんだろうな……!」
 『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)が苦笑してみせた。しかしながら、敵へとぶつける戦意は、決して小さなものではない。
 ディロタウラスが嘶く。それは、解き放たれてから――いや、それよりもずっと前から考えて、初めてぶつけらえた意志であった。
 ディロタウラスと相対したものは、少なからず怯え、身をすくませる。ディロタウラスはこの時、初めて「自分と対等にたち、狩ろうとするもの」に出会ったのだ。
 それを理解したディロタウラスの心に浮かんだものは――やはり怒りであった。自らを止めようとするもの、自らに害をなそうとするもの、自らの怒りの炎を消そうとする物への怒りだ。
「窮鼠猫を噛むと申しますが、これは鼠とは到底言えませんね……」
 『主無き侍従』オフェリア(p3p000641)が言った。追い詰められた末に放たれた魔獣。それは決して、ネズミの一噛みなどでは済まない事が、すぐにでも分かる。
「油断はしません。が、怒って力任せに攻撃してくるだけでは僕は落とせませんよ」
 『落陽を望まぬ者』ヨハン=レーム(p3p001117)が不敵に笑ってみせる。ディロタウラスは、それを自身への挑戦と受け取った。
「レライムさん、打ち合わせ通りに――援護、お願いしますよ。くれぐれもお気をつけて」
 ヨハンの言葉に、レライムが頷く。
「任せて。皆も、気を付けてね」
 レライムの言葉に、ヨハンもまた、頷いて見せた。
 ディロタウラスが、そのヒヅメを高らかに大地へと打ち付けた! 爆発的に巻き起こる、殺意――いや、怒気とでもいうべきものが、イレギュラーズ達を貫く。
 さながらそれは、怒気で膨らませた風船のようなものだ。ただただ怒りだけが内部に渦巻いている、まさに怪物。
「さぁ、始めるんだぬ」
 ニル=エルサリス(p3p002400)が声をあげた、イレギュラーズ達は各々に武器を構え、ディロタウラスは咆哮をあげ、
「幻想秋の謝肉祭だお!」
 ようとしてつんのめった。謝肉祭という言葉。そしてその言葉と共に、自身に向けられる視線が、何か変わったように感じたのである!
「なーにが激憤爆怒だぬ、よくわからない漢字並べて。焼肉定食が似合ってるんだお」
「まじゅーのデロ太郎、残さず美味しく食べるゾ!」
 『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)がおー、と片手をあげる。
「捌いたりは任せろ! 革もなめしたりできるゾ!」
「おや、では服や小物などを作れれば、色々と利用できそうですね」
 リナリナの言葉に、オフェリアが微笑んだ。
「ちょうど、あちらに綺麗な小川がありましたよ」
 ヨハンがそう声をあげるのへ、
「フ、フフ、そこで捌いたリ、出来ちゃいマスネ?」
 『RafflesianaJack』オジョ・ウ・サン(p3p007227)の疑似餌が首をかしげた。
「歯ごたえはありそうだナ。全身筋肉って話だガ」
 『彼岸に根差す』赤羽・大地(p3p004151)が言う。
「お肉は、叩けば柔らかくなりマス……フフフ、オジョウサン、知ってるんデス」
「なるほど。じゃあ、よーく叩かないとなぁ」
 大地がそう言って、ぽきぽきと手を鳴らして見せる。
「っていうか、川と言ったらBBQ! 料理セット持ち込んできてよかった!」
 セララがわーい、と飛び跳ねた。
「準備万端か……ま、この場合はありがたいな」
 サンディは肩をすくめてみせる。
 ――この時、ディロタウラスは、なんかねっとりとした視線を感じていた! それはディロタウラスにとって、初めて感じる視線であった!
 そう、イレギュラーズ達は! 魔獣を! ごはんとしてみている!
 さすがのディロタウラスも、これにはビビった! なにせ初めて感じる「健康で肉付きの良いお牛ね、市場で買ったらグラムいくらくらいかしら、高そうよ?」という視線である!
 実際ディロタウラスは美味しい! それはもう本当においしい高級牛である! だが、ディロタウラスと相対し「今日の夕飯は焼肉で決まり!」と思う者――つまり、圧倒的な強者と遭遇した事は、ディロタウラスにはなかったのである。
 この時、ディロタウラスの心に、怒りとは何か違う何かが浮かび上がった。だが、その正体がなんであるかを理解する前に、湧き出る怒りがそれを塗りつぶしていく。
 ディロタウラスは、改めて怒りの咆哮をあげた。
「怒っちゃってる、デスネ?」
 オジョ・ウ・サンの疑似餌がこくこくと頷く。
「ま、食事の前には運動だナ」
 赤羽は笑う。
「デロ太郎、食うぞー!」
 リナリナが叫び、己の武器、『掘り出し物』を振るった。
 そしてそれを合図にしたように、ディロタウラスは、イレギュラーズ達へと向けて、突進してきたのである。


 オフェリアはディロタウラスへと相対しつつ、静かに息を吸い込んだ。
「その耳に届くかはわかりませんが――いいえ、届かずとも、この歌声からは逃れられません」
 口ずさむ旋律が、絶望の呪いを乗せてディロタウラスを包み込む。その旋律はディロタウラスの脳へと直接叩き込まれた。その歌に込められた、魅了と呪いと共に。
「技術も信念もない力任せな一撃などに鉄騎種が負けてなるものか! 来い!!」
 ヨハンは叫び、ディロタウラスの前へと立ちはだかる。彼我の体格差は大きい。巨大な牡牛へと立ちはだかる幼子のような構図であったが、しかしディロタウラスの頭突きを、ヨハンは大剣『フルムーン』で受け止めた。ディロタウラスの角、そしてフルムーンの刃が火花を散らすが、ヨハンは倒れず、地に踏みとどまる。
「どんなに巨大で凶暴なモンスターであってもボクらは退かないよ!」
 セララが取り出したのは、『フェニックス』のクラスカードだ。それを自身へとインストール――フェニックスの力を借り、引き出す!
「行くよ! 必殺、セララフェニックス!」
 セララが叫び、その聖剣と共に跳んだ。フェニックスの力は、再生の炎。自らの傷を癒し、そして立ちはだかる敵を焼く無数の斬撃が、ディロタウラスへと襲い掛かる――狙うは、その脚部。
「知ってるよ! 部位攻撃……こうすれば、有利っ!」
 もちろん、敵の懐に潜り込んでの攻撃になる。やろうと思って簡単にやれるものではない。だが、勇者はこの時、ディロタウラスの脚部を深く斬り付け、焔で焼いて見せたのである。
「――――!」
 ディロタウラスが悲鳴を上げた。――ついでに仄かに香る、焼き肉の良い香り。
「集中攻撃だお! 打つべし、討つべしだぬ!」
 放たれるニルの謎の攻撃――『でーえすしー(わんこの型)』と名付けられたそれは、遠距離から寸分たがわず、ディロタウラスの右前脚へと着弾した。
「油断はできない……悪いが、弱点を狙わせてもらう」
 大地の放つ紫、黄、白、三色の魔弾が、ディロタウラスの右前脚に着弾、弾けた。さながら三色の菫の如き美しき火花が散り、しかしその威力はその可憐さの通りのものではない。そしてイレギュラーズ達の連撃を受けて、ディロタウラスはついにもんどりうって倒れた。
「ヘ、ヘ、ヘ、お料理、開始デス!」
 オジョ・ウ・サンの放つ消化液(シタアジ)が、のたうち回るディロタウラスの目に直撃した。さらなる激痛がディロタウラスを襲い、さらに激しく体を震わせる。
「ずっと怒ってるんデス、あとから怒らせても、大丈夫デスヨネ?」
 その言葉通り、数秒に一度くらいの怒りの付与など、常にディロタウラスに巻き起こる怒りにかき消されてしまう事だろう。
「巻き起これ――まずは下ごしらえからだ!」
 サンディにより巻き起こされた暴風が、ディロタウラスに叩きつけられた。起き上がることもままならず、ディロタウラスは地を舐め続ける。
「るら~! 肉! 肉! 牛肉!!」
 リナリナの謎の一撃が、ディロタウラスへと突き刺さる。ついでに一噛み、つまみ食い――生食はいけません。
「齧ったらうまい! きっと焼いたらもっと美味い!」
 リナリナにとって、心底から、ディロタウラスは食材でしかないのである。
 とはいえ、流石にやられっぱなしのディロタウラスではない。ようやく起き上がると、周囲へと向けて怒りの咆哮をあげた。身体を震わせるような方向が、イレギュラーズ達の身体をすくませる。
「なるほど、ゲームで吠えられて動けなくなったりするけど、こんな感じかぁ!」
 そう言うセララの表情からは、余裕の色は消えない。聞くものがきけば逃げ出すか、あるいは足がすくんでそれすら不可能になるであろう咆哮を受けてなお、イレギュラーズ達の戦意が挫けることは無い!
 ディロタウラスが激しく地を駆けた。地ならし――というより、ただ踏みつけて回っているだけではあるが、充分驚異的な攻撃だろう。だが。
「そんなくらいで! 僕はつぶされませんッ!」
 ヨハンは真正面から、それを受け止めて見せた。吹っ飛びそうになる意識を、仲間たちを守るという決意と共に自らの身体に踏みとどまらせる!
「さぁ、仕上げと行きましょう!」
 オフェリアが魔力を撃ち放ち、ディロタウラスの顔面を打ち付ける。ディロタウラスは悲鳴を上げ、顔を振る――。
「セララ・スペシャルッ!」
 間髪入れずに放たれたセララの十字斬が、ディロタウラスの角を根元から斬り捨てた。土煙と巨大な音を立てて、ディロタウラスの角が地へと転がる。
「やったね、部位報酬だ!」
 セララがにっこりと笑いながら飛びずさるのへ、
「もう少しです、皆さん!」
 ディロタウラスを抑えながら、ヨハンは叫んだ。
「叩いて叩いて、肉を柔らかくするぬ!」
 一気に接近したニルの怒りの鉄拳制裁がドスドスとその肉に突き刺さった! 衝撃に、ディロタウラスが吹き飛ばされる!
「筋肉の鎧があるなら、内側から壊すだけサ!」
 赤羽が放つ死者の怨念が、呪殺の怨念となってディロタウラスを内側から蝕んでいく。激痛に、ディロタウラスがのたうち回った。
「ちょっとダケ、ツマミグイ……♪」
 オジョ・ウ・サンの捕虫袋から伸びたツタが、ディロタウラスに突き刺さる。血か、肉か。吸い取ったの確認した疑似餌ちゃんがにっこりと笑う。ディロタウラスは、その際に付与された麻酔の効果により、一時、無防備な姿をさらす。
「るら~! まじゅーアウト! でも牛肉セーフ!」
 リナリナの一撃が、ディロタウラスに突き刺さった! 無防備なところを一撃。クリティカルな一撃を食らったディロタウラスの身体が大きく跳ねる。
 ディロタウラスはよろよろと立ち上がる。そしてこの時、ディロタウラスは先ほど己の心に浮かび上がった、怒りとは違う何かの正体に、ようやく気付いた。
「これで、仕舞だ」
 サンディが繰り出す、錆びた刃物――『リップ・オフ』。その刃が何かを斬ることは無い。
 ただ触れた者の命を風化させる。
「――――!」
 ディロタウラスは断末魔の咆哮をあげた。そして、己の心に再び浮かび上がったモノの名を脳裏に浮かべながら、その意識を急速に消滅させていった。
 ディロタウラスの心に初めて浮かんだもの。それは、恐怖の感情であった。
 ディロタウラスがゆっくりと、その身体を地に横たえた。びくり、と幾度かけいれんを起こしてから、そのまま、動かなくなる。
 イレギュラーズ達は、戦いに勝利したのだ! 憤怒の魔獣と相対し、見事それを下してみせたのだ!
 魔獣がこれ以上、人を害することは無い。イレギュラーズ達の後ろに控える村も、仲間達も、すべてを守り切って、
「あ! だめ! 早く血抜きする!」
 と、リナリナが叫んだ。
「おっと、そうだったそうだった! 魔法少女料理人、セララちゃんチェーンジ! みんな、あそこの小川まで運ぶよ!」
「血抜き、大事! 一分一秒を争う!」
 と、勝利の余韻に浸る間もなく、イレギュラーズ達は手に入った食材を、えっちらおっちらと運び始めたのである。


 ぱちぱち。
 ぱちぱち。
 火が爆ぜる。
 じゅうじゅう。
 じゅうじゅう。
 肉が焼ける。
 イレギュラーズ達は手早くお肉の解体を済ませると、セララの用意したBBQセットを組み立て、さっそく調理を始めた。
 地面には、オフェリアの用意していたシートを敷いて、皆で肉が焼けるのを見守る。
「さすがに、すごい量ですね……」
 オフェリアが、すっかり『食材』と化したお肉の山を見ながら、苦笑する。
「ですが、これだけあれば、近隣の村に配ってもよさそうですね」
「うん! 狩りの成果! おすそ分けする!」
 オフェリアの言葉に、リナリナが頷いた。
「さて、焼けたよ皆! まずはシンプルに塩コショウだけ!」
 セララの言葉に、仲間たちは色めきだつ。
「さぁさぁ、皆さま、ご賞味ください!」
 ヨハンによって給仕される、皿に乗ったシンプルなステーキ。赤身を炭火で焼いただけのものだが、立ち昇る香りがこれまたいい香りで、食欲を激しくそそった。
 パクリ、と口に運ぶ。
「うっそ、やわらけぇ……なんでだ、あんな筋肉魔人みたいな見た目してたのに……!」
 サンディが思わず目を見開いた。肉は筋張っていたものかと思いきや、程よい噛み応えと共にぷつりとほぐれ、濃厚な肉汁が染み出してくる。
「これは……なるほど、情報屋が『すごくおいしい』というだけの事はある……!」
 大地も思わず、顔をほころばせる。思わず笑顔になってしまうほどに、美味い。それがこのステーキであった。
「うへ、うへへへ……まだまだあるんだお……ロース、カルビ、ハラミ、ホルモン……燃えて来たんだぬ……!」
 極上のスマイルを浮かべながら、ニルは言った。全部食べつくす気らしい。ニルを満足させるだけの分量は、確かにあるだろう。
「美味■※▼§〃♪……!!!!!」
 声にならない声をあげるのは、オジョ・ウ・サンである。捕虫袋に次々と肉を放り込む疑似餌ちゃん。捕虫袋に肉が入る込むたびに、袋は歓喜に打ち震えた。
「あー……いい依頼でしたねぇ……」
 自身もお肉を食べながら、ヨハンが告げる。
「さてさて、まだまだ作るよ! お腹いっぱい食べようね!」
 セララの言葉に、仲間たちは元気よく頷くのであった。

 かくして、秋の野原に、極上の肉が焼ける香りと、歓談の声は、しばし続くのであった。

成否

成功

MVP

ヨハン=レーム(p3p001117)
ステンレス缶

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 食材の牛もいい感じに食べてもらえて、満足して逝ったことでしょう。きっと。
 MVPは、魔獣の前に立ち、ついでに給仕もお願いしたメイドさんに差し上げたいと思います。

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