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シナリオ詳細

死の商人の負の遺産を叩き潰せ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●死の商人デッドマン
 世の中には、戦争をする為に武器や兵器等を求める者達にその手段を提供する商売がある。
 その手の専門業者の事を「死の商人」なんて呼んだりもする。
 死の商人デッドマンは、その道で何十年も商売に成功した男だ。
 当然、彼が歩んだ足跡には、沢山の死骸の山が築かれていた。
 そして、その死骸の数以上の人々から彼は恨まれてもいた。

 とある日、悪運の強かったあのデッドマンに終わりが訪れた。
『海洋』を主な足場として活動していた彼は、ついに『海洋』当局相手に抗争となる。
 しかし、彼はお縄にはつかなかった。
 あとちょっとで逮捕される所で、彼は銃撃で反抗したものの銃殺されてしまった。
 死ぬ間際、デッドマンは不気味な笑いを浮かべながら、こんな事を言い残した。

『世界から戦争が……なくなる事なんて……ありえない。俺は……拠点に……戦争をする為の武器、道具、兵器を……沢山遺しておいたぞ。おい、戦争したい奴ら? 俺の……遺産を……好きに取って行ってくれ……。世界を……戦火で満たし……破壊するのだ……!!』

 結局、色々な者達が躍起になって「負の遺産」を探した。
 遺産を発見して大喜びした者もいれば、逆に平和の為に破壊した者もいたようだ。
 だが、彼が残した「拠点」はかなりの数になるのだろう。
 現在でも、その拠点と遺産は全てが発見された訳ではない。
 謎は残るまま、時間が過ぎた……。

●デッドマンの負の遺産を叩き潰せ!
 デッドマンの死亡と遺言の情報が流れてからかなりの時間が経った。
『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、今さらだが、思う事があってこの事件を追っていた。
 いよいよ、具体的に動ける段階になり、ショウはあなた達を集める。

「かなり昔の話だけれど、『海洋』を主な拠点として暗躍していたデッドマンという死の商人の事は知っているかい? ……え? 『死の商人』って何かって? ……ああ、戦争したい人達に武器や兵器なんかを提供する業者の事だよ。で、そのデッドマンだけれど、その昔、『海洋』当局と派手にやりあった後、射殺された際に妙な遺言を残していてね……」

 ショウはデッドマンの遺言を手に入れていたので、そのメモを読み上げた。
 何という不気味な予言だろうか、とあなた達は眉をひそめる。

「さて、キミ達にお願いしたい事があってね……。実は先日、オレはデッドマンが奴の商売道具を貯蔵していた拠点を一つ見つけたのさ。『海洋』のとある海域にある無人島なんだけれどね。そこにけっこうな量の負の遺産があるんだよ。
 彼の死亡からかなりの時間が経っているので、現在でもその島にある武器や兵器なんかがまともに機能するとはとても思えない。だが、負の遺産という大きなゴミをそのままにしておくのも何かと気持ち悪くてね。
 そこで、キミ達を無人島に派遣したい。負の遺産を全て叩き潰して貰いたいんだけれど、やってくれるかな? なあに、討伐依頼とかよりは簡単だろう? やる事は、ちょっとしたゴミの処分だからね」

 物は大切にしなくてはならない、なんて昔の人は言ったかもしれない。
 だが、曰くつきの物まで含め、全ての物を大切にしなくてはならない、という訳でもない。
 悪しき遺産を全て壊して頂けないだろうか?

GMコメント

●目標
 とある無人島にある死の商人デッドマンの負の遺産を全て破壊する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
『海洋』のとある海域に位置する無人島です。
 この島はかつて死の商人デッドマンが武器、道具、兵器等の倉庫として利用していました。
 現在でもその名残で色々と怪しい物が沢山残っています。
 具体的には、無人島内にて、3つの地点に負の遺産があります。
 3か所に分かれて、負の遺産を全て破壊しに行きましょう。

●選択肢
「プレイング」では3つの選択肢の内、どれか1つを選択するようお願いします。
 それぞれ無人島内で場所が離れていますので、違う班の手伝いは基本的に行いません。
 各班、具体的に定員は設けていませんので、皆さんの方で自由に振り分けをします。
 そして、班ごとに最低1PCは担当者を送る事が必要です。

・1班 洞窟内倉庫

 難易度:★☆☆
(選択肢3つの内、ここが1番易しいです。ただ壊すだけです)

 島の中央に大きな洞窟があります。
 洞窟の中は倉庫としてかつて利用されていました。
 比較的単純な武器防具装身具がここには貯蔵されています。
 例 剣、刀、斧、槍、弓矢、銃、盾、鎧、兜、装身具等。
 これらは何かしら壊れていたり、変な細工があったり、等あります。
 怪しいですので全て破壊しましょう。

・2班 研究所内

 難易度:★★☆
(選択肢3つの内、まあまあ易しいです。怪しいBSに注意)

 無人島の北部に研究所らしき施設が建っています。
 ここには怪しい薬品類や魔道具類が沢山あります。
 例 薬剤、注射器、ビン類、火薬、模型、水晶玉、カード、魔法陣の紙や布等。
 BS毒系、麻痺系、火炎系、呪い系等に気を付けて全て処分しましょう。

・3班 森林内

 難易度:★★★
(選択肢3つの内、ここが易しい中でも難所です。予想外の事態にも注意)

 無人島の南部に森林があります。外に剥き出しで壊れた魔物兵器や罠が置かれています。
 例 壊れたゴーレム、壊れたガーゴイル像、壊れた鉄器兵かかし、壊れた罠等。
 具体的な戦闘力や戦闘方法を持った敵は登場しません。
 壊れた魔物兵器や罠には十分に気を付けた上、全て破壊しましょう。

●その他
・無人島まではローレットの手先の海の男達が船で送ってくれます。
・帰りも時間になるとその船で帰れます。
・皆さんが完全に無力化したゴミは『練達』の貨物船が同じ日に引き取ってくれます。
(ゴミは『練達』で別の用途へ平和的に再利用されるか破棄されます)
・基本的に「リプレイ」描写は、無人島での活動が始まる所から開始されます。

●GMより
 先日、TVで観たのですが、世の中には「物の破壊」を売る商売があるようです。
 密室でバットとか振らせて、粗大ゴミみたいないらない物を壊させる商売です。
 私は体験した事がありませんが、そういう物を破壊すると気分がすっきりするそうです。
 という訳で、今回は悪い奴が遺した悪い道具を全て破壊しましょう!

  • 死の商人の負の遺産を叩き潰せ!完了
  • GM名ヤガ・ガラス
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年08月29日 23時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
フィリア・クインラン(p3p007148)
肉食ハンター
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ

リプレイ

●洞窟
 ここは死の商人が倉庫として利用していた無人島の洞窟。
 先頭を歩くのは『木枯らし』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)だ。
 彼はカンテラを照らしながら仲間達に語り掛ける。
「今回の依頼だが……使われん不良品を放置するくらいならスクラップにして再利用した方がいくらか有用って話なワケか。ふむ……悪くない」
 フィリア・クインラン(p3p007148)も尻尾でランプを吊るしながら楽しそうだ。
「要は、負の遺産の破壊ね。物を壊すだけでいいなんて楽でいいじゃない! 初めての依頼だしちょうどいいわね。きっちり壊してみせるわ!」
 最後尾をおどおど歩くのは『静寂』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)である。
「るぉ……壊す……もの……沢山…ありそう……」
 倉庫の部屋の前に着き、数々の武器防具装身具だった物をざっと見て驚いた。
 だが、待てよ? ここはあの死の商人が使っていた場所だ。もしかしたら……?
「……ぅ……んっ!」
 やっぱりそうだ。地面に落とし穴がある。足元にがぶりと飛んで来る罠もあった。
「ふむ……早速の罠か。すまない、アルヴァ君」
 皆で足元の罠を破壊して、ぴょん、と落とし穴を飛び越えた。

 アルヴァとフィリアは壁に備え付けの魔法のライトを見つけるとオンにしてみた。
 細かい作業には、もう少し照明の強さが足りない。
「2人が作業している所の上で俺がカンテラを照らすとしよう」
 巨体のコルウィンが頭上から光を照らしてくれた。
 照明もこれで問題なく、3人は壊れた道具等を棚から下ろして中心部にまとめた。
 なお、高い所にある物はコルウィンが取ってくれた。

 部屋の中央には、今、壊れた剣、刀、斧、槍、弓矢、銃、盾、鎧、兜、装身具等がばらばらに並べられて置かれている。最初に手を付けたのはフィリアだった。
「しゃきぃん! ギフト発動~! 華麗に壊していくわ!」
 フィリアの右膝から下が鋭い刃物のようになり、気持ち良い斬撃音を立てて兜を割った。
 その後もじゃんじゃん蹴って行き、盾も真っ二つに割れ、刃の欠けた剣もへし折る。
 ボーガンも蹴り壊そうとした時……。
 ばち! びゅん! 仕掛けが動いたのだ!
 電撃をまといながら、矢が勝手に飛び出した!
「きゃあ!」
 フィリアの顔に紙一重で命中する所だったが、何とか回避。
 ボーガンは、ばきっとへし折っておいた。

「るぅ……この……鎧……強……い……」
 壊れているが何という頑丈な鎧なのだろうか。
 非力なアルヴァはこの鎧の破壊で苦戦しているのだ。
「……そ……れっ!」
 最終手段、アルヴァは捨て身のタックル攻撃に出た!
 がんがらがっしゃあん!
 鎧は何とか破壊したが、その先にあった兜やら盾やらに突進してしまったのだ。
 反動ダメージもあって、アルヴァの頭や手に血が滲んでいる。
「おい、無事か!?」
 カンテラを照らしていたコルウィンが驚いた。
「大丈夫? 今、手当するわね? すぐに救急箱を出すわ!」
 隣で作業していたフィリアが手当をしてくれて……何とかなる。
 アルヴァは頭と手に軽く包帯を巻いて貰った。
「ふむ……俺の出番かな?」
 コルウィンはデカい物や硬い物は自分が引き受ける事にした。中央に硬い鎧を並べて……。
「おりゃあ!」
 迫力のヤクザ蹴りで硬い材料で作られた鎧をぶっ壊す。
「そりゃあ!」
 大振りのボディブローを炸裂させて頑丈な甲冑をぶち抜く。
 硬い鎧の類は一瞬で次々と破壊されてしまった。
「まあ、こんなもんかな? はぁ、腹がへったな。飯にでもするか?」

***

 せっかくの天気なので……。
 洞窟を出たすぐ傍の道にシートを敷く。ちょうど日陰になっている所だ。
「さあ、若い人達よ。どんどん食べてくれよ? 沢山あるからな?」
 多彩なお弁当の数々が並ぶ。
 本日の『竜の胃袋亭』のお弁当は、から揚げ弁当だ。
『海鳥の勝手亭』のお弁当の方は、イカ焼きやイカリングが入っていた。
 バンブーショットの幻想煮というタケノコの魔物の煮物もある。
 喉が渇いたらドリーの特製ドリンクもあるぞ。
「るぉぉ……!! う、美味い……ですっ!」
 アルヴァは感激してから揚げ弁当を頬張る。若鳥が醤油味でカラッと揚げられている。
「もぐもぐ……!! ホント、いい味ね!」
 フィリアは幻想煮をフォークで口へ運ぶ。味の染みたタケノコに風情がある。
「おし! 俺も頂くとするかな……」
 コルウィンは香ばしく焼けたイカ焼きとイカリングに齧りつき頬張る。
 己に喝を入れ、ドリーの独特な栄養ドリンクをごくり。
 食後には一服と深呼吸も忘れなかった。

***

 後半になると、危なそうな物や変な細工がある物が多く残った。
 そういう刃物や銃器は、コルウィンの指示で部屋の隅に集められる。
「ふむ……。中距離レンジというのは、これぐらいかな? 皆、離れたな? こっちには近づかないでくれよ?」
 コルウィンは両手にビットを構えてスイッチを入れる。
「お、うおお!?」
 びゅぅん!
 レーザーが飛び出た。
「おっと、悪かった。このキラード・バグっていう得物は操作が難しくてな……」
 とは言ったものの、2回目以降は何とか操作に習熟し、危険物の破壊にも成功した。

 危険度の低い武器の残りを破壊する担当はアルヴァとフィリアだ。
「るぉ……これ……なら……壊せ……そう……」
 ばき、壊れた三叉槍を真っ二つに折る。
 べき、弓部分がない矢の残りを1本ずつへし折っていく。
 地味な作業だが、アルヴァは自分が壊せそうな物を見つけては率先して破壊した。
 フィリアもそれに習う。

***

 そろそろ夕刻になる前の時刻だ。
 貨物船が島に来たので、3人は壊した道具を業者に引き渡した。
 後は業者に任せて良いとの事だった。

「ふむ……。帰りの船が来る時間まで少し時間があるな。皆、何をしたい?」
 コルウィンの提案にフィリアが手を挙げる。
「はい、は~い! 浜辺で寝っ転がりたいわ!」
「るぉ……賛成……です……」
 3人は木陰でシートを広げて、寝っ転がり、晩夏の浜辺で涼む事にした。

●研究所
 島の北部には怪しい研究所跡がある。
『地元最強?』グレン・ロジャース(p3p005709)が研究所跡へ入って行く。
「武器ってのは需要あるもんだ。需要あるもんを作り、売るのは商売の常、儲けるのは勝手としてだ。そいつを阻止するのも、俺達の勝手、ってな」
 そう軽口で達観したコメントを吐くが、グレン自身、今日は何かとワクワクするらしい。
 本日の相棒である陰陽丸(p3p007356)もにゃごにゃごと鳴きながら後に続く。
「にゃ?」(今日は、物を壊すお仕事ですよね?)
「にゃーぅ!」(壊しても怒られないなんてよほど危ないものなのですね!)
「ニャッニャッ!」(そんな危ない物を放って置くわけにはいきません! ぜひ一緒に壊しましょう!)
 崩れないバベルは健在だが、彼は猫らしい語り口を好むようだ。
「おう? ……そうか? よろしく頼むぜ!」
 大丈夫、グレンはわかっている。

***

 実験室に入ると、恐ろしいぐらいに散らかっていた。
 怪しい薬剤や注射器の類から呪われていそうな魔道具の数々もある。
 一体、どこから手を付けよう?

「やれやれ、こんな所で何を研究してたのやら。さっぱりだぜ。説明書に薬剤の処分法なんか書いてないかね?」
 グレンはがさごそと説明書を探し始めた。
 あまりにもの散らかりぶりだ。
 見つけた説明書に手を伸ばそうとした時……。
「あらよ、いけねぇ!」
 形と色がおかしい錠剤と壊れた注射器の類に誤って手を触れ、落としてしまった。
 だが、グレンは……。
「今の薬剤や注射器は毒や麻痺かね? ま、んなもん、俺の抵抗力なら弾き飛ばすがね?」
 実はグレン、状態異常に対する抵抗力がとても高い為、毒や麻痺がほぼ効かないのである。
「で、何々? 説明書によると……」

 グレンを手伝うべく陰陽丸は周辺を片付けようとする。
 片すべき物が多いので子どもの式神と大人の式神を召喚して手伝わせるのだ。
「なーぅ」(子どもの式神は薬品が入ってると思われるビンを集めてください。大人の式神は怪しげなお札とか魔道具を集めてください)
 おっと、自分自身、動いて手伝う事も忘れてはいけない。
「にゃん」(ボクは散らかっている薬剤の袋をくわえて集めましょう)

 グレンは陰陽丸の姿を見て青ざめた。
「お、おい、陰陽丸! それ咥えてちゃいけねぇもんだ!」
 説明書によると……。
『薬剤の袋は口に咥えないでください。咥えると毒と麻痺にかかります』
 と書いてあったが、既に後の祭りだった。
「にゃ、にゃううん!?」(ぐ、ぐはっ……。毒が……麻痺が……!?)
「おい、落ち着け! まずは、その袋吐けな!?」
 ともかく、グレンに介抱されて一命は取りとめた。
 念の為、回復するまで陰陽丸は小休憩を取る事になった。

***

 午前中は危険な薬物の処理に時間を割いた。
 お昼ご飯の時間になると、2人は研究所から出て、木陰で食べた。
 作業も多い事から、ローレットから支給された携帯栄養食を食べた後、すぐに仕事に戻る。

 午後に入ってからは……。
 呪いの類に気を付けながら、2人で魔道具を回収袋に詰めて綺麗に片付けた。
 ここでは陰陽丸が活躍の場面を見せた。
「にーぁ!」(水晶玉、模型、魔法陣等はボクに任せてください!)

 陰陽丸が背中から槍をさっと抜き出す。
 グレンが布を掛けてくれた水晶玉と模型をバシバシとぶっ叩いて割る。
「にゃー!」
 割れた魔道具から怪しい魔力が飛び出すが、ヒット&アウェーで陰陽丸が逃げる。
 さらに魔法陣の紙や布の方は、槍の斬撃でビリビリに破いて効力を完全に失効させた。
 この時も、「にゃー!」と掛け声を上げてヒット&アウェーが冴えた。

「さあて。問題は火薬だな。いっぺん火薬をこの袋に詰めるか? んで、外で処分するか?」
「にゃ」(そうですね)

 説明書がなかったが、火薬は水で湿らせた方が良いとグレンが提案した。
 海水をバケツに汲みに海まで行く。
 火薬をバケツの中に入れると、しゅうんと縮んで、無力化できた。
「お? 処分方法は今のでいいな?」
「うにゃ」(そのようです。ここにある火薬を全て処分しましょう)

 グレンは他の姿と違うとある火薬を見た時、陰陽丸の手を止めた。
「ちょい待ち! それなんか危ねぇ感じするね? 俺に頂戴?」
 バケツに入れる前に、グレンは少量の水を垂らしてみた……。
 ばちばち、どかあああん!
 爆発したのだ。
 だが、ご安心。この程度の爆撃でグレンは倒れない。
 しかも咄嗟に陰陽丸を庇ったので彼も無事だ。
「そらよっ!」
 念の為、グレンは筋肉を引き締めて体力を回復させる。
「にゃ……」(すみません。助かりました)
「いやあ、イザって時は庇うつもりだったからな。んじゃまっ、ぱっぱと片しちまおうぜ!」

***

 研究所のゴミ掃除が片付き、後は貨物船の業者に引き取って貰った。
「なぅ?」(無事にお掃除が終わりましたね。集合しますか?)
「おう? あ、ちょい待ち。おもしれぇこと考えたぞ」

 グレンと陰陽丸が袋の中に沢山の貝を詰めて集合場所に現れた。
「よお? おつかれ! 帰りの船が来るまでまだ時間あるな? これ食わね?」
 グレンは慣れた手つきで貝を焼いて調理してくれた。
 皆でアツアツの貝焼きをおやつにして食べた。

●森林
 島の南部には森林が広がっている。残された罠や兵器なんかも眠っている。
 森林班は3人いるが、さらに地上班と上空班に分かれた。
 地上班の先頭では『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)が、だるそうにキレて森へ入って行く。
「はぁ……。掃除とかメンドいなぁ……。……てか、ゴミ残すとかダメじゃんねぇ……」
 もう1人の地上班である雪村 沙月(p3p007273)はリリーを宥めるように語り掛ける。
「まあまあ、ゴミといえども、武器や兵器は扱いが難しい物ですよね。戦争では悲しむ人も出てしまいますから、平和的に再利用されるのは良い事だと思いますよ。力を合わせて掃除を頑張るとしましょう」
 2人の上空には『TACネーム:「ハンター」』ルクト・ナード(p3p007354)が戦闘機の翼を広げて飛行している。
(地上の2人を空から支援しよう。兵器や罠の残骸だっけ? が森の中にあるなら、空からの方が見つけやすいものもあるだろうからね)
 ルクトが見下ろしながら飛行していると罠の残骸を発見!
「2人とも伏せて! 撃つから!」
 上空から声が掛かると2人は立ち止まる。ルクトが狙い撃ち、無力化した。
 こんな具合に今日の森林の作業は進む。

***

 地上の2人は空からの銃撃に誘導される形で歩いていた。
 しばらくすると、森の広い場所でガーゴイルの壊れた石像があった。
 リリーはバールを持ち出して、さっそく像を破壊しに行く。
「……兵器とかすぐ新しいのが出るんだしさぁ……。しかもカッコつけて隠し場所わかんなくして野晒しでサビさせてさぁ……。それで掃除は他人任せで費用は自己負担とかさぁ……。そもそもガトリングやキャノンよりバールのが強いんだしさぁ……」
 色々と思う事はある。言いたい事も沢山ある。
 そんな強い気持ちをバールの打撃に込めて、リリーは石像をがんがんと打ち壊す。

 沙月は、ふと思う。
 場所は広いがここは木々で生い茂っている場所でもある。
 上空からは見えにくい部分もあるのでは?
 視覚の感覚を研ぎ澄まし、暗視も発揮して木陰をじっと見渡す。
 ほら、あった。木陰に石像が隠れている。
「とうっ!」
 沙月は拳から衝撃の貫通攻撃を繰り広げ石像を連続で破壊した。

***

 石像や罠を全て破壊した後、そろそろお腹がすいた。
 ルクトも下に降りて来て、木陰でシートを敷いて、3人でお昼ご飯を食べた。

 昼食後には作業が再開される。
 ルクトは再び上空で偵察を行う。
 森のさらに奥に進むと、上空からとんでもない物を発見した!
「おや? あんな所に沢山の魔物兵器が……あれはゴーレムと鉄器兵だな? そうだ、目印を付けようか」
 機械少女は、ばびゅうん、と小さな飛行機雲を描く。

 地上を歩いていた2人は上空の警報を受け取った。
「あら? この先に何かがあるというのでしょうか?」
「……そう? ……メンドくさ……はぁ……」
 また広い場所に出たが、そこにあったのは大量の硬い魔物兵器だった。

 どの道、リリーはバールを持ってまた壊しに掛かる。
「……トラはなんか皮とか残すけど、死の商人は金残さずにゴミ残すとか……。もうこれニート以下っしょ……。今頃あの世でニートからやり直しの刑だねぇ……。社会のゴミになってゴミの気持ちを……」
 がんがん、とゴーレムを全力で叩き、魔物兵器のブロックがぼろぼろと壊れていく。
 完全にぶち壊れて無力化が完了するまでリリーは叩き続ける。
 そして、ある事に気が付く。
「……ん? あたいは違うよ……? ニートだけどゴミじゃないし……。違うってば……違うし……。……まぁいいや掃除しよっか……」
 己の存在について禅問答にもなったが、彼女らしく開き直った。

「ふうむ? 頑丈な上に数がいますね? スキルを使い分けて壊しましょうか?」
 手前にあるほぼ壊れていないゴーレムに対して、沙月は神速な踏み込みをした上、強烈な一撃を放つ。まるでゴーレムが最初から幻だったかのように、ぼろぼろと崩れ落ちた。
 先ほど石像を壊した時のように衝撃の貫通攻撃でゴーレム群も壊していく。

 ん? 何か、変な駆動音がする? しかも、変な油の匂いもして……!?
「嫌な予感がしますね? そこですかね?」
 その辺にあった小石を投げてみる。
 すると……。

 どっかああん!
 対空の罠があったのだ。罠の爆弾は空に向かって鈍い爆発音を立てた。
 沙月は、はっとする。上空には!?

 ルクトは上空にいたが全く別の方向で地上のゴーレムを狙撃していた。
 沙月は、ほっとするが謝る。
「ルクトさん、驚かせてごめんなさい!」
 ルクトは手を振って叫ぶ。
「いや、大丈夫! むしろ対空の罠を発見してくれて助かった!」
 その後、ルクトは上空から対空の罠を無力化していった。

 さて、ゴーレムや罠の数は段々と減っていくが。
 リリーは、床ドンしながら罠をまとめて破壊していたが、とある瞬間、自分の目を疑った。
「……瞬間記憶あるから、わかるけどぉ……? 今、何かが……隠れたりとかしたよねぇ? ……あ、こらぁ~……死んだふり……したっしょ?」
 ゴーレムが、あ、しまった、見つかった、とばかりにギギギと動いた。
 リリーは、にこりと笑った後、見逃さない。
 がし、がし、がし!!
 バールで解体しておいた。

 ギギギ、と沙月の背後からも鉄器兵が……!
「とうっ!」
 沙月は鉄器兵の態勢を風の如く崩した後、勢い良くぶん投げて倒した。
「援護する!」
 上空からはルクトの集中射撃が繰り広げられ鉄器兵はそのままスクラップになった。
「ふう、危ない所でした……」
 すう、はあ、と沙月は深呼吸して気持ちを整えた。

***

 森林班の作業が終わる頃には夕方を過ぎていた。
 貨物船の業者に仕事を引き継いで貰った後、集合場所まで向かうと……。
 既に迎えの船も来ていて、船員達も含めて、皆で魚を焼いて食べていた。
 最後は、皆で火を囲んで焼き魚の晩餐会となって、大掃除の一日は無事に終了した。

 了

成否

成功

MVP

コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ

状態異常

なし

あとがき

この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。

大掃除という仕事でもありましたが、皆さん、とても楽しそうで何よりでした。
『海洋』の無人島というロケーションがまた良かったのかもしれませんね。
僕も無人島欲しいです。

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