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シナリオ詳細

恐怖! 海水浴場に突如、現れた怪人、エッグノッグを倒せ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それぞれの海
 茹だるような暑さに人々は海水浴場に向かう。海の家では、冷たいかき氷やたこ焼き、焼きそばを食べる親子連れ、ビール片手のナンパ野郎や水着の美女集団。カップルの豪華なバーベキュー。シーグラスを血眼で探す少年達。ひたすら、イカを焼く男達。彼らは何故か、イカを無償で配っている。
「……」
 まぁ、何て言うか、人々は各々、海を楽しんでいる。これぞ、とても平和なヴァカンス。そう、最の高だ。そして、そこには八人のイレギュラーズの姿もある。アーリア・スピリッツ (p3p004400)は海の家で、ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク (p3p003593)とともに、お酒と食事を楽しんでいる。
「アーリアさん、このカレー、甘口でとても美味しいですわ」
 ミディーセラは微笑む。テーブルにはエメラルド・ミスト。
「ふふ、そうなのねぇ。んっ、ミディーくん、一口?」
 焼きとうもろこしを食べていたアーリアが雛鳥のように口を開ける。テーブルにはビール。
「あらあら。とっても、可愛らしいですわ」
 ミディーセラはアーリアに夏野菜カレーを一口食べさせてあげる。
 一方、リゲル=アークライト (p3p000442)とポテト チップ (p3p000294)は海を楽しんでいる。浅瀬、手には色違いのウォーターガン。
「リゲル、覚悟だ!」
 飛沫を上げ、ポテトがウォーターガンを連射しながら飛び込んでくる。
「わっ、やったな! お返しだ!」
 リゲルが笑う。銀色の髪からぽたぽたと水滴を落としながら、ポテトに手を伸ばし、抱き締める。響く笑い声。
 砂浜では──
「ルーク、こっち?」
 目隠しをしたノースポール (p3p004381)が小首を傾げ、棒を手にゆっくりと進んでいく。
「ポー! あと、少し右かな! そうそう、ふふっ! いいね!」
 ルチアーノ・グレコ (p3p004260)が声をかけている。そう、スイカ割りだ。
「えへへ、褒められちゃった♪ えいっ!」
 棒を振り下ろすと、瞬く間にスイカが割れ、周りから歓喜の声が上がる。
 そして、ボートの上で、ジェイク・太刀川 (p3p001103)と夜乃 幻 (p3p000824)がアクアスコープをそれぞれ覗き込んでいる。
「幻、でっかい魚がそっちに行ったぜ!」
 夏の暑さを吹き飛ばすようにジェイクが笑う。紫色の魚が逞しく泳いでいる。
「ジェイク様、見えます! あっ! あっという間にいなくなってしまいました」
 幻は目を細め、ジェイクに身を寄せる。今度は銀の魚の群れがいっせいに泳いでいる。
 
 うふふ。なんとまぁ、素敵な海の出来事だろう。筆者は思う。このまま、夏を楽しんでおくれと。ただ、夕立のように事態は急速に変わり始めているのかもしれない。むむっ、誰がか──
 ふと、トイレから飛び出す者がいる。
「邪魔してやる、邪魔してやるのだ……」
 唸り声とともに、競歩で砂を踏む音。なんだ、なんだ、ちょっと不気味じゃないか。怖がりの筆者は怯えてしまうが、まぁ、そうだ。まだ、気にすることじゃない。此処までは普通のことだろう。リア充を憎む叫び。もしくは変質者。こんなことを気にする者は誰もいない。なんたって、ヴァカンス! この者の叫びを無視し、夏を満喫しなければもったいな……──
 いや、危険だ。通報は筆者がしておこう。
「邪魔してやる、邪魔してやるのだ……」
 む? なんだ、なんだ、独り言にしてはしつこいな。仕方ない。皆さん、顔を上げて男を見てみようじゃないかぁ! きっと、ハッとし、目を丸くすることだろう。なんたって、男は冬物のコートにサングラス、そして、革靴に鞄。見るからに海にいるような男じゃない。本当は見てほしくなかったが仕方ない。
「え、あれ……?」
 人々は顔を上げ、男をビックリした顔で見つめる。見ているだけで、汗が吹き出る。しまいには、倒れてしまいそうだ。その瞬間、男がサングラスを外し、円らな瞳を見せた。
「ようやく、見たな! 嬉しいぞ! 俺様は怪人、エッグノッグ様であーる! 今から貴様らを氷付けにし、かき氷にしてやるのだ! 怖いだろう、泣いてしまうだろう? 最悪な1日になっただろう? はっはっは! 海に来たことを後悔させてやるのだ!」
 怪人は笑い、手始めに自らのコートを脱ぎ捨て、目から、冷却ビームを。みるみるうちにコートは凍っていく。そして、コートのしたには、プリティな花柄のパジャマを着ている。え、何なの、この男は。
「ぐへへへへへっ!!! 俺様、凄いだろう?」
 人々は頷く。
(ええ、いろんな意味で)

 怪人は人々の反応を見ながら、満足そうに笑う。
「むふふ! そうだろう! 俺様は凄いのだ、偉いのであーる! だが、こんな俺様にも弱点があるのであーる! ふふふふ、聞きたいだろう、それはな……おっぷ!? き、貴様ら、俺様の前でいちゃつくんじゃないのであーる!!! む? つ、付き合ったばかりなのだな? 止めろ、止めろ、おめでたいが俺様、ば、爆発してしまうのだ!! しっしっ、そこそこ、貴様らであーる! ぐぬぬ、くっつくな! 手を繋いではいけない! 絶対、キスは駄目であるぞ? 分かったな!! こっそりも駄目であーる! くっ、初々しいぞ! せ、青年! 記念日を忘れてはいけないのであーる!! き、記念日は手帳にメモすることをオススメする! 忘れたことで、不機嫌になり、さらにプレゼントをしなければいけないのだ! ううっ! 甘い……し、刺激が強すぎるのであーる!」
 怪人は赤面し、喘ぎだす。なんだ、この怪人は。

 ということは、あれだ。あれなのだ。
 筆者は叫び、彼らを呼ばねばならない。怪人にイレギュラーズの凄さを見せつけねば!
 息を吸い、筆者は真っ赤な顔で鋭く叫んだ。
『さぁ、行け! イレギュラーズ! 思いっきり、いちゃついて敵を爆発させるのだ!』

GMコメント

 怪人をイチャイチャで爆発させてくださいまし!
 遠慮はいらないのであーる! 所謂、非戦闘シナリオとなりますぞい!

●目的
 怪人、エッグノッグを倒し(イチャイチャする)、海を最大限に満喫することです!!! イチャイチャ楽しいなぁ!!! やっほう!!

●シチュエーション
 海洋の海水浴場。海水浴場にあるものなら、すべてあります。怪人が現れたのはお昼頃ですが、倒した後に夜まで遊んでも構いません! 花火セットが海の家で販売しております。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。ただ、怪人が爆発するだけです。

●怪人、エッグノッグ
 突如、現れた怪人。目から冷却ビームを放ち、海水浴場を混乱と恐怖で支配しようと目論んでいますが、イチャイチャを見せつけられると、すぐさま、爆発します。爆発しても体力が多いせいか、なかなか、倒れません。なので、沢山、爆発させちゃいましょうね!!! やったね!

【注意】
 青砥解釈ですと、キス=唇となりますので、宜しくお願い致します! 

  • 恐怖! 海水浴場に突如、現れた怪人、エッグノッグを倒せ!完了
  • GM名青砥文佳
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年08月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

リプレイ


 人だかりに満足した怪人はディスコダンスを踊りながらいきなり、爆発した。
「んぼーーーーーーーー!!」
 円らな瞳がカッポ―をロックオン。その速さはスナイパー。
「本当に爆発したな」
 『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)がちらり。前にも爆発する怪人に遭遇したこともあるが、今度はいちゃいちゃ?
「だな」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)もまた、不思議そうな顔をしているが──
「ポテト。あいつを倒すためだ。協力してくれるかい……?」
「あ」
 胸のトキメキ。どの角度でも好きだ。大好きだ。写真集がもし、発売されるなら、リゲル=アークライト 1st写真集『aurora』だろうか。
「ポテト?」
 ハッとする。何を考えていた?
「あぁ! みんなの楽しい時間を取り戻すためにも頑張ろう!」
(ん? 頑張るのはリゲルとのいちゃいちゃ……!?)
 ポテトは熱くなる。

「見られていると思うと緊張するな。ご飯でも食べてリラックスしようか」
 リゲルは微笑む。怪人はがん見しているのである。目が乾かないのかな。まぁ、いいか。
「うん。とりあえずご飯にしよう」
 スマートに手を引かれ、ポテトは海の家に。響く、爆音。

「焼きそばもカレーも来たな」とリゲル。ソースが香ばしい。
「魚介たっぷりが嬉しいな!」
 ポテトはカレーを見つめ笑う。殻つきのアサリとエビ、ホタテがごろり。驚くほど、美味しい。
「ポテト」
「──ッ!?」
 驚くポテト。
「あーんだ」
 食べやすいように割り箸に焼きそばを適度に巻き付ける。
「う、うん。食べる……」
 髪を耳にかけ、パクリ。さり気ない仕草にリゲルの頬が染まり、怪人が爆発する。
「……どうだろう?」
 小首を傾げるリゲル。
「うん! 美味しい。 カレーも美味しいけど、リゲルと一緒だからもっと美味しいな! さっきのお返しだ」
 にこりとポテトがスプーンをリゲルに。リゲルは見惚れていたようで、僅かに反応が遅れる。美味しそうに食べるポテトの笑顔を見ているだけで心が満たされる。
「いただくよ」
 笑顔でパクリ。
「海の家での食事は格別だな。幸せだな」
 眩しげにリゲルは目を細める。
「うん。普段とは違った美味しさだ」
 愛おしそうにポテトは笑う。ちょっとずつ、怪人がいる事を忘れていく。
 一方、怪人は破裂し、気を失っている。

 それから──
 怪人は目を覚まし、砂浜を歩く。
「酷い目に……ぎゃああああっ!?」
 怪人は気持ちよさそうに、浮き輪で海に浮かぶ、アークライト夫妻に腰を浮かし、同時に爆発を起こした。何が起きたかって? こうだ! 
「わ」
 波にさらわれるポテト。
「おっと」
 掴まれる腕。
「流されないようにな?」
 リゲルが強い力でポテトを引き寄せる。
「有難う。リゲルが一緒だと安心……!」
 此処で怪人は一度爆発する。そして、最大の爆発シチュは。げほ。
 リゲルが濡れたポテトの髪に触れながら、目を細め──
「……水も滴る美少女か。綺麗だよ」
 微笑み、驚くポテトの頬に。いや、僅かに考え、リゲルは唇を重ねる。
「はは、照れてしまうな……ビックリさせてしまったかい?」
「ふ、不意打ちはずるいぞ……!」
 言葉とキスにポテトは真っ赤になりながら、胸板をぺちぺち叩く。可愛い、とても可愛い。
「はは、ポテト……今日も指輪を付けてくれているんだね」
 リゲルはポテトの手を取る。見つめ合う。
「いつも傍に居てくれて有難う。愛しているよ」
「リゲルも、有難う。私も愛してる」
 ポテトはそっとキスをする。
「ぐえええええーーーー!」
 瞬時に怪人の声が響き渡った。


「酷い目にあったのだ!」
 まぁ、爆発はまだ続くが、怪人は知らないのだ。さぁ、次の出番は、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824) と『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)だ!  おっと? 幻は水着だからだろうか、とても緊張している。ジェイクは青いトランクスの水着に赤いアロハ。怪人はじっと彼らを見つめる。ふと、ジェイクが幻を見た。
「綺麗だよ、幻。それにその髪型も似合っている」
「あ」
 幻はぱっと嬉しそうな顔をし、すぐに目を伏せた。頬が朱に染まる。
「僕は素敵な水着と思って着てみましたけれど……」
 ああ、不安だったのだ。怪人はきゅんとする。愛おしい。幻は震えている。
「大丈夫、幻にぴったりの水着だ」
 ジェイクは幻の手に触れ、にっと笑う。幸せが滲み出ている。そして、幻が、はにかむように笑う。
「んぼーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
 恋人にだけ見せる笑み。もう、最の高だ。
「ぐおおおーーー!!! 良くも、良くも!」
 怪人は叫びながらにやけている。いいぞ、もっとやれ。遠慮は要らない!

 幻はちらちらと怪人を見つめる。見られているかと思うと気恥ずかしい。
「緊張をしているのかい? 大丈夫、俺が側にいるから。怪人も周りの目も関係ない。こういう時はおどおどしないで、堂々としていればいいのさ」
 そっと、幻の肩を抱き、引き寄せる。
「んぼーーーーーーーーー!」

 幻はジェイクの言葉や行動に勇気づけられ、心が落ち着いていく。
「頭を撫でていいかな?」
 ジェイクが紳士的に尋ね、嬉しそうな顔をしながらも、無言で頷く事しか出来ない幻。つまらない女なんて思われたでしょうか、そんな顔でジェイクを見つめる幻の繊細さ。

 触れる。怪人は胸を押さえながら、爆発する。
(柔らかいな)
 あ、ごめんなさい。これは断じて怪人の胸の話ではなくて。ジェイクの気持ちです。
ジェイクは幻の頭を優しく撫でている。安堵する幻。そして、互いに思う。指の間を髪がすっと通っていく感触が気持ちいい。だから、少しだけ大胆になれた。幻はぎこちなく、ジェイクに抱き着く。鼻孔に触れるジェイクと火薬の香り。
 見上げたジェイクは驚き、照れている。幻は息を吐く。ジェイク様の一挙手一投足が心を掻き乱し、僕は怯えてしまうのです。一つ間違うだけで、崩れる甘い砂糖菓子のよう。
「んぼーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
 怪人は爆ぜ、砂を撒き散らす。

 爆風に揺れる二人。ふと、ジェイクが口を開く。
「幻、いつも側に居てくれてありがとう。俺達が知り合ってもう二年経つんだよな。恋人同士になってからは一年半か」
 調子を取り戻しながらジェイクが幻の顎を持ち上げる。とてもスマートな動き。幻がびくりと震え、目を見開く。身体が不意に強張ってしまう。
「怖いかい? 幻とより深い絆を作る為の儀式をしたい」
「ジェイク様となら、僕は喜んで……」
 でも、解らない。どうしたら? 
「ありがとう」
 誰よりも優しい声がした。
 気が付けば、唇がそっと重なり、ゆっくりと離れていく。さざ波のようなキス。初めてだった(媚薬時の幻と某財産家とのキスはノーカン)伝わった熱が幻の身体を燃やす。
「キスは恋人達の絆を強める大事な儀式なんだ」
 ジェイクが目を細めた。この瞬間だけは怪人の事なんざ、頭の中から消えていた。ただ、怪人は爆発を繰り返している。そう、振り返れば解る。いや、音がするけども! 
「ジェイク様、もう一度……」
 幻は涙目で見上げる。はしたないと思われただろうか。いや──
 触れる唇。ジェイクは幻を抱き締め、果報者だと笑った。


 額にうっすらと汗。
「思っていたよりにぎやかなのですね」
『キールで乾杯』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)は海の家で微笑む。
「そうねぇ、騒がしい気がするわぁ。何かイベントでもやっているのかしらぁ……とはいえ、折角遊びに来たんだもの、のんびりしましょ」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は金色の毛先を揺らす。
「ええ、ええ。わたし達も負けないぐらい楽しまねばなりませんわね」

「アーリアさん」
 ふと呼ばれる。
「なあに、みでぃーくん?」
「んぼーーーーーーーー!!」
 盗み見していた怪人は胸を掻き毟り、爆発した。ああああ。互いを呼ぶ声がsweet. 
「さきほどの一口、とねだる姿がかわいらしくて。ああやって甘えてくれる姿も、お酒に酔って満喫している姿も、とてもすてきなのです。照れたり恥ずかしがっている姿も、また魅力的ですこと」
 アーリアの手に触れ、ミディーセラはテーブルに突っ伏す。
「やはり暑さは苦手ですわ」
 ぐったりするミディーセラにアーリアは──
 
「さぁ、ミディーくん、休憩よぉ」
 サマーシャワーのビーチパラソルの下には、スノーホワイトのレジャーシート。レジャーシートにはレモンイエローのサマーベッド(リクライニングタイプ)が二脚。
「ええ、アーリアさん」
 苦しそうに目を細め、ミディーセラは横たわる。遠くで笑い声が聞こえた。心地よい、夏のはしゃぎ声。

「みでぃーくん、ちょっと待っててねぇ」
 麦わら帽子を被り、アーリアは海の家に向かう。目的はドリンク。
(ふふ、海の家で見かけたリゲルくんとポテトちゃん、仲良しで素敵だったわねぇ……あらぁ?)
 パジャマを着た男を見つけ、首を傾げつつ、向かう。

「これにするわぁ」
 アーリアは、氷水に冷やされた瓶入りのレモネードを二つ。
「そうだわぁ。これをみでぃーくんに!」
 にやりと笑う。思いついた悪戯。見知ったカップル達に当てられたのかもしれない。

「みでぃーくん」
 後ろから呼ばれる。
「まあ、あーりあさん。どうかしたのかしら……?」
 少しだけ眠っていた。愛しい声に導かれ、目を擦り、振り向こうと。ふと、頬に触れる冷たい何か。水滴が頬を流れる。
「ふふ、驚いたでしょお?」
 アーリアはいたずらっぽく笑う。ミディーセラの頬に当てられたのは、冷えたレモネード。
「むりりいいい! すきーーー!」
 怪人は赤面し、すぐに爆ぜた。あ、憧れのシチュエーションじゃないの!

 それでも、動じないのがミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク。 
「ええ」
 ミディーセラは目を細め、微笑む。
「え?」
 近づくミディーセラの顔。不意に引っ張られる帽子。二人を隠すように口づけを。
「んぼーーーーーーー!!」
 爆音。ああああああああ、見えないキス。怪人は悶える。見えない事がとても良かった。
「ごちそうさまでした」
 にこりとするミディーセラ、真っ赤になるアーリア。
「もう……」
 アーリアは恥ずかしそうに飲み物を口に含み、ミディーセラの満足そうな唇を塞ぐ。
「……お返し」
 アーリアは頬を染めながら、ミディーセラを見た。
「んぼーーーーーー!!」
 思わぬ反撃。ミディーセラは驚き、目を見開く。
「ふふ、とっても珍しいみでぃーくんを見れたわぁ。可愛かったわねぇ!」
 わぁ、煽る。煽る。むしろ、してやったりのアーリア。
「え? みでぃーくん? え、ええと?」
 突然、触れられる腕。困惑するアーリア。ミディーセラは、妖しげな笑みを浮かべ、「こんなに積極的にしてくれるなんて……たぁくさんお礼をしませんとね?」
 そう、ささやく。


 『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260) はカエルのようにひっくり返った怪人を見つめる。
「こんな変わった怪人は初めてだよ。ポーを凍らされたら堪らないし、ちゃんと倒さないとね」
「うん! でも、こういうのを他人に見せるのって恥ずかしいかも……ね、ルークは恥ずかしく……」
 『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)は見上げる。近づくルチアーノ。緑の瞳がとても綺麗だと思った。
「覚悟はいい……?」
 ノースポールの顎をとり、軽く唇にキスをする。微笑むルチアーノ。
「んぼーーーーーーーー!!」
 怪人が吹き飛ぶ。
「ひゃっ!?」
 ノースポールは音と、キスされたことに驚きながら、「う、うんっ、オッケーだよ!」 真っ赤な顔で頷く。
「ポー、飛ぶよ」
 眩しそうにルチアーノはノースポールを見つめ、お姫様抱っこ。ノースポールは軽く、とても柔らかかった。
「わわ!?」
 目を丸くするノースポール。浮遊する。両足が、身体が地を僅かに離れていく。無意識に身体を密着させていた。互いに水着なのに。
「ほら見てごらん。二人だけの世界だよ」
「えへへへ! わぁっ……! 空から見るとこんな感じなんだ! 綺麗!」
 青い海に青い空、ルークの髪もキラキラしてとっても眩しい。優しい旋回。ルチアーノは感動しているノースポールに微笑み、頬、そして、額にキスを贈る。ハッとする、ノースポール。すぐに照れた顔で笑う。
「落ち着いたかな?」
「ありがとね、ルーク♪ うん、落ち着いたよ!」
 きき、きすで落ち着かせただとおお!? 
 怪人は鼻息を荒くする。

「ルーク、ほ、本当に塗るの?」
 オリエンタルブルーのレジャーシートに俯せになるノースポール。
「うん。ポー、オイルを塗りたいって言ってたよね。僕に任せて!」
 オイルの瓶を持つ、ルチアーノ・グレコ!
「確かに言ったけど……んっ!」
 る、ルークの手の感触が〜〜!! 優しいけど、なんか~~!! 真っ赤になってぷるぷると震えるノースポール。くすりと笑うルチアーノ。耳元で「綺麗だよ、ポー」と囁く。
「あう……ううう」
「はい、終わったよ」
 ハッとし、安堵するノースポール。だが──
「じゃあ、表側も塗ろうか」
「え、ルーク?」
 ぱっと顔を上げるノースポール。う、嘘だよね? 
「そんな恥ずかしがらなくてもいいんだよ。優しくするから……ね……?」
「だ、大丈夫だよ! 自分で……あっ!?」
 ころりと仰向けにされてしまう。ルチアーノは覆いかぶさるようにオイルを。ノースポールは震え、時折、声を漏らす。
(あ……いま、へんなこえがでて……)
 濡れた指先が腹部をそっと撫で、時々、擽るように素肌を刺激される。
「ね……この水着、脱がせてみてもいい? ……なんてね」
 表情が可愛くて、ルチアーノはつい悪戯してしまう。
「ぬ、脱が!?」
「勿論冗談だよ」
 真っ赤になるノースポールを見つめ、微笑む。
「な、なんだー! そうだよね!」
 夏の暑さのせいか、それともルークのせいか、顔も体も熱くて、クラクラする。
「うん、脱がさないよ……まだお日様が見ているからね。お月様なら、見逃してくれるかもしれない。今晩なら……許してくれる……?」
 耳元で囁き、にっこり。ノースポールは真っ赤になりながら、返事代わりに、そっとキスをひとつ。お月様編は薄い本で読めるのでしょうか。

「怪人の様子を見てみよう。順調に爆発してるかな?」
 オイルは塗り終り、ルチアーノはノースポールを起こし、ウインク。
「そ、そうだね、怪人は……オーバーキルかな!?」
 カッポ―ははしゃぎ、怪人は白目を剥く。


 夜。打ち上げ筒を固定させるルチアーノとジェイク。
(まとめて火をつけるとやっぱり危ないのかしら)
 ミディーセラが筒口に発射火薬をそっと。
「落とし火は俺の役目だな」
 バケツを地面に置きながらリゲルが笑う。

「ねぇ、彼のどういう所が好きなの?」
 アーリアはノースポールに尋ねる。
「えーと……今日の事を話しちゃいますね! ルークの腕が逞しくて、キラキラしてて……や、優しくオイルを、塗ってくれて……ひゃ〜〜! 照れちゃいますっ!」
 ここできゃーってなりますよね。ええ、勿論、なりました。
「ふふ、とーっても刺激的ねぇ! あとで詳しく教えて欲しいわぁ」
「へへ。私もアーリアさんがミディーセラさんのどういったところがお好きか聞きたいです!」
「私? 何も話さなくても一緒にいて心地いいところと……あと、あの魅惑のしっぽ」
「至極、素敵で御座いますね」
 幻が微笑む。
「幻はどうだ? ジェイクの何処が好きなんだ?」とポテト。
「す、好きっ!? み、皆様の前で言えるわけないじゃないですか! ポテト様はリゲル様のどのような所がお好きなのでしょうか!」
「リゲルの好きな所? 色々あるし、全部ひっくるめてだけど……一緒に居て凄く幸せなんだ。大好きで最愛の旦那様だ」
 幸せそうに微笑むポテト。

 打ち上がる花火。夏の音。
「また来年も再来年以降も沢山思い出を紡いでいこうな!」
 リゲルが言う。花火が夜空にオレンジ色の尾を引く。一番、大きな花火が今日の皆のように輝く(怪人も)
「うん。来年も再来年もその先も、一緒に思い出紡いで行こう」
 笑うポテト。これから手持ち花火を皆で楽しむつもりだ。

「幻、綺麗だな」
 ジェイクは幻の手に触れる。花火を眺める幻の横顔は、花火よりも綺麗でふと花火を忘れてしまう。
「ジェイク様、花火が泡沫の夢のように美しくて僕は……」
(この恋が花火のようでないことを祈ってしまうのです)
 ジェイクは頷き、手を無言で強く握り締める。

「素敵な夏の思い出になったわねぇ、ほんと」
 無邪気な笑みを浮かべるアーリア。
「ええ、本当に。そういえば、コートでパジャマのあの方、暑くなかったのかしら。なんども爆発してくれて……楽しめました。また来てくれるといいですね」
 ミディーセラが微笑み、物珍しそうに花火を見上げる。

「あっ、ハートの花火だ! 綺麗!」
 ノースポールが笑う。視界に沢山のハートが映り、すぐに消えていく。
「うん、ハートマークの色鮮やかな虹色の花火を用意してきたんだ」
 ルチアーノが微笑む。しっかりと繋がれた手。
「怪人が見ていてくれたら、また爆発しちゃうかもね」
「ふふっ、そうだね」
 笑い合う。

 皆、素敵な想い出になっただろうか。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

「んぼーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 イレギュラーズよ! 挿絵は何処であーる!!! そして、次は負けないのだ!!!

 リクエストいただきまして、ありがとうございました!!! 続きは勿論、SSで!!!(どこかの筆者より)

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