シナリオ詳細
尺ねーど3怒りのゾンビ大奮発ノーカット地上派生放送
オープニング
●これまでのあらすじ!
空前の大ヒットホラー最新作初上陸!
「OK!(轢き逃げ)」
ハリケーンゾンビシャークが人を食らう!
「みて拙者サメ! サメとったであります! 今夜はフカヒぐわああああああああ生きてるうううう!」
ハリケーンゾンビシャークが建物をも食らう!
「毎日鉄板の上で焼かれるたい焼きって、賞味期限大丈夫なの?」
こんどのサメは、ひと味違うぜ!
「オイラはアシカじゃねえ! オイラはなあ! アザ――」
監督、アンスミー・B・ボジュランテ!
配給、アルパトロス!
「にんげんって ころしても しなないんだね」
イレギュラーズからの豪華出演陣!
「ホームセンター一件あればゾンビの群れだって殺してみせるぜ」
地下からよみがえるゾンビ!
海から押し寄せるクリーチャー!
空を覆うサメ!
「オクラの上のぷくってなってるところは食べられないから捨てていいよ。何? 僕だけ台詞が――」
君は、この地獄から生き延びることができるか……!?
「お醤油を片手に迫ってくるのやめてください! わさびを添えてもダメですの!」
『ハリケーンゾンビシャーク3』
~激発! 古代ゾンビバイオクリーチャー!~
「っていう映画をね-、撮るから、今!」
アロハシャツにサングラス。両手に美女を侍らせたおっさんがゲハゲハ笑いながら言った。貰った名刺には練達の映画プロデューサーと書いてある。
そして配られた脚本には――
アルプス・ローダー (p3p000034)
夢見 ルル家 (p3p000016)
ベーク・シー・ドリーム (p3p000209)
ワモン・C・デルモンテ (p3p007195)
ポムグラニット (p3p007218)
シルヴィア・テスタメント (p3p000058)
ノリア・ソーリア (p3p000062)
八田 悠 (p3p000687)
という八名のキャスト名。
ページをめくるとクソでかフォントで『サメが出たぞ!』とだけ書かれていた。
もう一ページめくると『サメが死んだぞ!』である。
おわりである。
「「………………」」
一人一冊台本を持ち、『正気なの?』って顔でプロデューサーを見た。
片手をばんばんと動かしてジェスチャーするP。
「主演は全員イレギュラーズ!
カメラはとめずに1時間のワンカット撮影!
それを練達テレビで生放送!
画期的でしょー。売れるでしょー!」
ゲハハハハーと笑うP。
地球にはこういうPは生息してないって聞くけど、ここにいたんだね。
「じゃあね、俺は局のひととヨーカイでシースー食べてくるから、シクヨロー!」
ピッて二本指を立てて去って行くP。
「「…………」」
取り残された八人のイレギュラーズは、一斉に監督を見た。
サッと顔をそらす監督。
「あ、あの、ぼく、ついさっき急に監督やれって言われた、あの、あれなんで、無職の45歳なんで、ぼくのこと見ないでください、わすれてください」
「「…………」」
必死に存在を消そうとしている監督(にされた人)からイレギュラーズたちは気まずげに目をそらした。
「つまり……」
口を開く悠。
「これは、僕たちが完全なアドリブで1時間ノーカットで絵をつなげなくちゃいけないってことかな?」
「使えるのはこの廃墟だけみたいですの」
ふよふよと泳ぎ回るノリア。
どうやら無人島にあった廃墟らしく、いいぐあいに寂れた感じになっていた。
「ハッ! そういえばサメが出てくるって書いてありますの! けどサメなんてどこにも……!」
「見てみ」
シルヴィアがブルーシートをさっとめくると、そこにはサメの上半身だけのハリボテ(中に入れる)があった。
もうちょっとめくると下半身の先に長い棒がついたやつがあった。
ウワアって顔をするワモン。
「おいら知ってるぜ。これクソ映画が出来る前兆だろ」
「わたしも しってるよ。ぷろでゅーさーの むちゃぶり!」
んぱっと両手を広げてばんざいしてみせるポムグラニット。
「無邪気に振る舞ってますけど拙者たちその当事者でありますぞ?」
ネコの着ぐるみパジャマをきて受話器を耳に当て『どうして……』って呟くルル家。
「けどもう、依頼受けちゃいましたし……」
ベークも猫耳をつけて『どうしてですかね……』って呟き返した。
「みなさん!」
アルプスローダーがぶるーんとエンジン音を鳴らした。
「受けてしまったものは仕方ありません。ローレットとして最大限の努力をしましょう! カメラは止めませんしサメも出ますし、なによりこの映画――」
カッ、とヘッドライトをつけて振り向いた。
「私たちが一時間もたせてやりましょう!」
- 尺ねーど3怒りのゾンビ大奮発ノーカット地上派生放送完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年08月19日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ハイヨーイスータート
「デューン、ズバババ! サメがくるぞー!」
「タスケテー」
サメフィギュアとゾンビ人形を手に、砂場の上でイマジネーションを広げる『オイラは〇〇〇』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)と『見た目は鯛焼き中身は魚類』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)。
フィギュアのサメは砂で作ったお城の上をぐるぐると飛び、『デュクシ!』とかいいながら砂の城を破壊していった。
「ちょっとまってよ、なんでサメが飛ぶわけ。サメは泳ぐ生き物でしょ!」
ブロンドヘアの着せ替え人形で遊びに参加していた『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が抗議の声をあげた。
サメフィギュアを掲げてにらみ付けるワモン。
「うるせえな、サメは空も飛ぶんだよ」
「嘘よ! そんな尾びれしたやつが地上に出られるわけないわ。きっと一歩も動けずにひからびるのよ。
大体どういう理屈で飛んでるっていうの? そのしっぽが風を起こしたからって1センチだって浮きやしないわ」
「わあああ、すごいやノリアちゃん。今日もがんがん自分の頭にブーメランさしていく」
ゾンビ人形を砂の城へ逆さに突き立てて、ベークはすっくと立ち上がった。
平和きわまりない公園。
ぱっとみ廃墟の庭っぽいけど誰も気にしてない。
タイヤとロープだけでできたパンダ専用みたいなブランコにつかまって、『薔薇乙女』ポムグラニット(p3p007218)がぶーらぶーら遊んでいた。
「にちようびって、すてきね! とってもいい、おてんきね!」
すんげー棒読みだったが表情は満面笑顔である。
一方すぐそばでは、『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)がベンチに腰掛けてイチャコライチャコラしていた。
具体的に言うと穴あきサンダルにホットパンツで足をむき出しにして丈の長いニットの上着でいかにも下に何もはいてないかのように見せつけるエロい着こなしをしたピンク髪の少女とバイク(オフロードバイク!!)がベンチに腰掛け(腰掛け!)て身体を密着し、お互いの耳元にこしょこしょなんか話していた。
「ねえ僕のことすき?」
『ドゥルン、ドゥルルン(エンジン音)』
「やーだー、もっとちゃんといって」
『ドッドッドッドッドッドッドッ(エンジン待機音)』
「えへへ、はずかしい……」
『ファファーン!(エアホーン音)』
「すてきな、かっぷるね!」
180度くらいギャッて振り返って満面の笑みでいうポムグラニット。
公園の端で子供たちの様子ながらトカゲの散歩をしていた『ロリ宇宙警察忍者巡査下忍』夢見 ルル家(p3p000016)が、頬に手を当てて困り顔をした。
「まあノリアったら、また他の子にかみついて。誰かと遊ぶたびに喧嘩するんだから。でも確かに、サメが空を飛ぶわけないわね」
「奥さん」
ルル家の後ろで、ココア味シガレットを吸っていた『Jaeger Maid』シルヴィア・テスタメント(p3p000058)がニヒルに笑った。
フウと煙を噴き、三秒ほどかけて『苦い顔、笑顔、渋い顔』と表情筋を動かしていくと、シルヴィアは振り返ったルル家へとシガレットを掲げてみせる。
「いいかい。サメは飛ぶ」
「また……からからかわないでくださいな……ねーシーちゃん」
リードをとおして首輪をつないでいたトカゲを抱き上げ、苦笑するルル家。
シルヴィアは渋い顔のままゆっくりと首を振ると、『ンンァー』と重く唸ってから話し始めた。
「アタシは、見たことがあるのさ。大空を、嵐にのって飛ぶサメを……な。奴はニューヨークのビルというビルをへし折って、自由の女神を腕なしにしちまった。空飛ぶサメは一人の勇敢な酔っ払いが真っ二つに斬り殺したが、アタシには分かる。奴は死んでなんかいねえ。必ずよみがえり、また空を地獄にかえるのさ……」
「すてきな、おはなしね!!」
首をまたンギャッて無理矢理ひねって振り返るポムグラニット。
そこへ――。
「サメが来る! サメが来るぞ!」
『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)がオモチャのラッパを手に、フラフラとしながら公園へとやってきた。
奇妙なものを見る目で振り返るアルプス&ローダー。
ベークもまた同じような顔をして振り返り、一緒に遊んでいたワモンとノリアの様子をうかがった。
悠はペンキで殴り書きしたようなサメの画を掲げ、周りの人々へとわめきはじめた。
「サメだ! サメ様の怒りにふれたのだ! おごり高ぶる人類を戒めるためにサメ神様が復活するのだ! サメに許しを請え! サメに許しを請え!」
なあにあの人、通報しよ。とかいってルル家がケータイを取り出した……その時。
――ボッ!
という音と共に公園が爆ぜ、突如として雨が降り始めた。
吹き荒れる風!
飛んでいく葉っぱと着せ替え人形。そしてサメフィギュア。
悲鳴を上げるノリア。彼氏(バイク)に抱きつくアルプス。耳を塞ぐルル家。
「おお、サメよ! 週末(金ロー)のサメよ……!」
悠は嵐の中で美しいトロンボーンを取り出した。
白から青にかけてのグラデーションがかかったそれを高く構え、強く長く吹きならす。
「サメは人々の堕落を嘆き、怒りを示される!
それによって天は轟き、地は割れ、海は揺れるであろう!
悪魔(サメ)は神(サメ)の怒りによって人々から祝福が薄れた機を逃さず、世に出て死と悪意を振り撒かん!
人々よ、悔い改めよ!
悪魔(サメ)の囁きに屈することなく、神へ祈りをささげるのだ!
さすれば神(サメ)は選ばれしものに聖なる刃を授けん、よって悪魔(サメ)は断たれ、神の祝福は再び地に満ちるであろう!
おお、見よ!
神(サメ)の怒りが顕れ始めたぞ!」
吹きすさぶ雨と風に晒されながらも悠は笑い、爆発のようにはねた土や泥の中に消えていく。
「うわっ!」
ベークたちの目の前を、巨大な影が通過した――ように見えた。
あまりの突然さと巨大さに視界を奪われたベークたちは手を取り合い、慌てて近くの建物へと逃げ込んでいく。
「もう! 一体何だっていうのよ!」
ヒステリックに叫ぶノリア。
ベークはわからないといって、今まで握っていた友達を見た。
いや、もっと正確にのべるべきだろうか。
友達……の残骸(ガトリング部分)を見た。
「う、うわああ!?」
慌ててガトリングを手放すと、無残にもガトリングは重い音をたてて落ちた。
べったりとついた血が、残りの部分がどうなったのかを静かに物語っている。
濡れたシガレットを加えたまま、ガトリングをぺたぺたと触るシルヴィア。
「間違いねえ、何か強い力で半身(アザラシ部分)をもがれてる」
「そんな!」
「キャアアアアアアアアア! イヤアアアアアアアアアアア!」
ノリアが首をぷるぷる振って後じさりした。
「イヤアアアアアアアアアアアア! キャアア! キャッ! キャアアアアアアアアアアアア!」
ぷるぷるしながら頭を両手ではさみ、ゆっくりとわしゃわしゃ髪をかきまぜていく。
「アア……ァァアアアア……アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ちょっと! 静かにしなさいノリア!」
ノリアの腕を掴み、ルル家が彼女の頬を平手で叩いた。
「警察に行きましょ。それがいいわよ。ね?」
腕を引いてつれていこうとするルル家の手を、ノリアは『ア゛ア゛!』といって振り払った。
そしてガトリングを指さす。
「おかあさんも見たでしょう!? ワモンくんがこんな無残な姿になってるのよ!」
「そんなこと言ったってあなたは無事じゃない。おかあさんはあなたのことが心配で――」
「おかあさんはいつもそうなんだから! 先週だって私の下着を洗濯するとき魚着洗い洗剤を使わないで洗って――」
「そうは言うけどねノリア。お父さんがねえ、稼ぎも少ないのに付き合いだって言って出費ばっかりして、アンタのところの先生も文句ばっかりつけてくるし何よ給食代なんてなんで払わないといけないの全く――」
「お父さんのことは関係ないでしょ私だって貝殻拾いのアルバイトして――」
向かい合って同時にわめき散らす親子。
「おいおいおい……」
二人の間に割って入り、両手で押しのけるようにしてはなすシルヴィア。
ノリアに、そしてルル家に、じっくり一秒ずつニヒルで渋い表情を見せつけたあと、
「今は、奴をここに入れないのが先決じゃあないのか?」
シルヴィアが窓の外を指さした。
そう言われて、アルプス&ローダーがゆっくりと窓に近づいていった。
と、その時!
「オイラはサメ!!!!!」
窓に巨大なサメがぶつかり、ガラスが飛び散った。
巨大さゆえに窓を通り抜けられないのか、暫くもごもごした後に引き下がったが、突然のことにアルプスは飛び退き、ローダー(バイク)も横転してしまった。
「今の何!? こ、こわいよおローダーくん!」
『ヴォン……ヴォオオン!(エンジン音)』
「ほ、ほんと? 守って……くれる……の?」
『ヴォン! ドッドドドドドドド……(エンジン音)』
「約束だよ! え、なに……?」
『ファファーン!(エアホーン)』
「うん! 結婚しようね! 子バイクは三人欲しいな!」
『ファファーーーン!(エアホーン)』
「おいなに馬鹿やってんだ、バリケードを作れ! 早くしろ!」
シルヴィアはその辺の木材だか鉄パイプだかを担いではドアにくくりつけ、バリケードらしきものをこしらえていく。
「あ、あわわ……あわわ……」
なんか棒読みであわあわしているベーク(たい焼き形態)を、ポムグラニットがよいしょと持ち上げて胸に抱いた。
「え、あの……」
「おろおろ! おろおろ!」
ポムグラニットは最初と一切変わらない満面の笑みのまま、口だけでおろおろしていた。
「あ、こんなところに!」
棒読みでそんなことを言うと、ポムグラニットは足下からごっとんと何かを拾い上げた。
「みんな、みてみて! ぶきを、ひろったわ!」
「なぁにぃ……?」
シルヴィアが左右非対称に顔を歪め、チェーンソーをじっくりと舐めるように三秒かけて観察する。
「チェーンソーじゃねえか。こんなもんでサメが殺せるか。そんなことよりバリケードになる材料を――」
「いやあああああああああああ!!」
突如、ルル家が叫び声をあげた。
「拙者のシーちゃんが外に! 今入れてあげますからね!」
ルル家はバリケードに飛びつくと、いつのまにか巻かれていた縄を解いたり板を外したりしはじめた。
「おいなにすんだ!」
「ちょっとおかあさんやめて!」
「たいへんな、じたいね!」
「やめてこれ以上ぎゅってしないで内蔵でるやめて」
「ローダーくんこわい!」
「ヴォンヴォーン――チッカチッカ(ウィンカー点滅)」
とかやってる間にバリケードは解かれ、そして板やパイプが飛んでいった。
「キャアアアアアアアアア!」
悲鳴をあげるルル家。
次の瞬間にはドアを突き破って巨大なサメの上半身が現われていた。
「オイラはサメェ!」
「いやあああああ助けてノリア助けてええええええ!」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
口のところにゆっくり吸い込まれていくルル家。
絶叫するノリア。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
とにかく絶叫するノリア。
「キャアアアアアアアアアアアアア! イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
頭をかきむしりひたすら絶叫するノリア。
「サメぇ!」
なんかもごもごとゆっくり口を開閉したサメは、頭の角度だけをゴッて動かしてベークを見た。
「ひい! …………………………ぁの」
びくっとしてから、しっぽのとこでポムグラニットの肘を二度ほど小突いた。
「すてきな、おはなしね!」
「ちがうくて」
「きゃあ、さめよ!」
ポムグラニットはぽーんとベークを放り投げると、きゃーと棒読みで言いながら両手をあげて回れ右。そのまま建物の奥へと走って行く。
「ぁ痛った……!」
サメっていうか今まさに吸い込まれてるルル家の頭にぶつかってべふんと落ちるベーク。
ハッとしたルル家がなんか急にすごい速度でちゅるんってサメに飲み込まれると、今度はサメが大きく口をあけて叫んだ。
「オイラはサメぇぇぇぇええええ!!」
「僕海のお友達いいいいいいいい!!」
ベークはその場でびちびちすると、サメへと必死に呼びかけた。
「僕たちは! 海の仲間! 仲良し!! 食べられません!!!! …………さぁ、ここは僕がサメと遊んでいる間に!!」
「ベークちゃん! ……………………」
ポムグラニットは満面の笑みのまま身を乗り出し、だめだいくなと言って羽交い締めにしたシルヴィアへと首だけで180度ギャッと振り返った。
「せりふ」
「……」
ポムグラニットは再びギャッと前に向き直ると、今度は悲壮に満ちた顔で叫んだ。
「ベークちゃん! だめよ! あなたはうみのひとだけれど どうみたって たいやきだわ!」
「たい焼きじゃないです! 鯛です!」
「だめよベークちゃん! わたし まだあなたにつたえてないことが……!」「えっ急に!? 今ですか!?」
「…………だめよベークちゃん! わたし まだあなたにつたえてないことが!」
「聞こえてます! なんですか!」
ポムグラニットはは悲壮100%の顔のままぴたっと停止すると、一秒ほどなにか考えてから叫んだ。
「あなたはうみのひとだけれど どうみたって たいやきだわ!」
「それさっき聞きました!」
口をぱくぱくするサメ。
「おまえはたいやきなのか」
「たいやきじゃないです! 鯛です!」
「鯛とたいやきは同じじゃないのか」
「たいやきは小麦粉とあんこから出来てて、鯛は魚です!」
「魚なのか」
「魚です! 海の仲間です! だからサメは食べ……あっ」
ベークが急に真顔(?)になった。
「鯛って、サメの餌でしたね」
「べークちゃーーーーーーーーーーーーーん」
叫ぶポムグラニット。その間もシルヴィアは彼女を担ぎ建物の奥へと進み、そして反対側の扉を出て猛烈に走り始めた。
その横では彼氏(バイク)に跨がったアルプスが『ローダーくんこわーい!』と言いながらアクセルをひねり、シャープなフォームでバイクを走らせていく。
が、途中で突然バイクが転倒。
ズシャーと派手に滑っていったアルプス&ローダーは、自分たちがつまづいたものへと振り返った。
それは、地面に転がった血まみれのルル家であった。
ルル家はどう見たって死んでいたしなんか既に顔色ピータンだったが、そのままむっくりと起き上がってアルプスへと近寄っていく。
「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」
もっかい絶叫するノリア。
「ぞんびね!」
悲壮感100%の顔から戻ってないけどなぜか明るい声で叫ぶポムグラニット。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
ルル家はゆっくり動きながら、アルプス&ローダーへと組み付いていった。
「きゃああああああああ!!」
「ヴォオオオオン! ヴォオオオオン! スン――ガチャ(アイドリングストップ)」
「今のうちに!」
「キャアアアアアアアアアア」
絶叫するノリアと表情が変わらないポムグラニットの手を引いて走って行くシルヴィア。
見つけたホームセンターの扉をガッと蹴り開けると、そのへんにあるものをたおしたり棚を動かしたりして扉を塞いでいく。
「あっあのお客様そういうのは困りまあああお客様!? お客様!?」
困惑する店員に向き直り、手刀で首んとこをガッとやるシルヴィア。
ノリアはそれを見てひたっすらに絶叫し、ポムグラニットは口だけで『おろおろ!』と言った。
そこへ!
「オイラはガトリングハリケーンゾンビシャーク!」
「僕はゾンビです!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「ボボッ、ボボッ……(マフラー排気)」
サメ。そしてゾンビたちがバリケードを破って突入してくる。
「ぐあああああああ!」
バリケードのそばにいたシルヴィアはゾンビに取り囲まれ、なんかぼこぼこと殴られている。
「キャアアア――アッ!」
ノリアは逃げだそうとして突如転倒。
「足首をくじきましたわ!」
多分最も元ネタにそった瞬間の台詞を言いながら、『にげられませんわー!』といって絶叫した。
迫るゾンビ! 迫るサメ!
「いきているのなら かみさめだって ころしてみせるわ!」
そこへ現われる、チェーンソーをもったポムグラニット!
ポムグラニットの繰り出すガチすぎるチェーンソー斬撃がゾンビたちをかなりガチに切り裂き、血を吹き上げ、さらにはサメも真っ二つに切り裂いた。
「ちょっ、あ、それ痛――ギャアアアアアアアアアアアア!?」
マジな悲鳴を上げるサメ。
ポムグラニットは満面の笑みのまま表情筋をぴくりともさせず、顔にびしゃびしゃかかる血を増やしていった。
チェーンソーを落とし、背を向け、ノリアを引っ張り上げ、ゆっくりと立ち去っていくポムグラニット。
そんな二人の去った後。
ふっとゾンビたちの方を見れば、バールを担いだシルヴィアがゾンビを蹴り飛ばして起き上がる。
「ふう、死んだかと思ったぜ」
ノリアたちのあとを追って走り出すシルヴィア。
誰も居なくなった血まみれのホームセンター。
『えっなにこれは』と呟いて起き上がる店員に手刀を入れて、悠がカメラに顔を近づけた。
「週末のサメは再びやってくる。来週の、この時間にね!」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
デッデッデッデッデー!(画面暗転。流れ出すEDテーマとスタッフロール)
GMコメント
やあみんな、黒筆墨汁だよ。
ぼかぁいつかこんなどうかしてるシナリオをやりたいって思ってたんだ。けどもし、もしだよ、急に突然尺を稼げなんて言われてもずっと謎のパントマイムするくらいしかできないよって人がうっかり入っちゃったらお互いにとって不幸じゃないか。だから今まで封印していたんだ。三回くらい書いては消してを繰り返してきたんだ。
それがなんだい、ショッピングモールにハリケーンゾンビシャーク? 古代のゾンビ? バイオモンスター?
まったく……
まったく……
まったく最&高じゃねえか!!!!!!!!!
こうなりゃオイラも腹をくくるぜ!
ここに居る全員は『覚悟』したソルジャーだと無条件で信じるぜ!
全員が『デキる』奴らだって頭っから信じまくるぜ!
本当ならこんな無茶降りしないが……今こそさせてもらう!
――いいか!
サメが出てから死ぬまでの一時間ノーカット生放送の映画をたった八人(+カメラマンのおっさん)だけで作り上げてくれ!
内容は今から七日以内に話し合って決めるんだ!
いいB級映画になるか放送事故になるかは君たち次第!
たのむぜ!
なにがとはいわないけど!
たのむぜ!!!!!!!!!!!!!!!?
■■■アドリブ度(鮫)■■■
全部アドリブだつってんだろ!!!!!!!!!!!!
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