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シナリオ詳細

<冥刻のエクリプス>勇気の証明
<冥刻のエクリプス>勇気の証明

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●差し伸べる手のぬくもりは
 『黄泉帰り』事件を皮切りに、ネメシスは混乱の渦中に叩き落とされた。
 『強欲』ベアトリーチェ・ラ・レーテ、魔種枢機卿アストリア、アストリアに内応した執政官エルベルト。
 内外に混乱を呼び起こす敵勢力は多く、イレギュラーズが全てに対応して回る状況は混乱と狂気に塗れた聖都に於いて大きな活力を生み出していた。
「現状の混乱について、恐らく私よりも皆さんの方がご存知かと思います。少なくとも内外の混乱は極まっており、市街地にまで散発的な戦闘が起きています。このまま戦闘が続けば、ほぼ間違いなく無辜の市民に大きな被害が見込まれるでしょう」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)は、細かい説明を省き状況の説明を始める。戦闘が始まっている最中、そう時間は割けぬという判断だろう。彼女の眼鏡から投射された先には、天義の幾つかの教区と避難ポイントが示されている。
「皆さんはそれぞれの場所を回ってもらい、負傷者のトリアージと可能であれば治療活動をメインに動いて頂くことになります。もっとも状況が逼迫しているのはここ、『首都北側第33教区』……以前、黄泉帰りの一件で教会を焼き討ちにした場所です。あのときの判断は間違いではないと考えますが、だからこそ助けねばならない、と考えます」
 痛い腹を探るような口ぶりだ。……実のところ、『皆殺し』を口にしたのは(名前こそ出さずにいたが)彼女なのだから、責任感があっても仕方ないだろう。
 トリアージを行い、助かるなら癒やし、或いは消火や救助を行う。
 戦闘の傷跡が残る場所を追いかけるように救出を進める……膿を切除し、その跡を縫い合わせるように。彼らの心と体に傷跡を極力残さぬように、立ち回ることがイレギュラーズには求められていた。
「該当教区のアニーチェ神父は信頼のおける人間です。彼の助けも借りて、全力で事にあたって下さい。出来ることを躊躇せず、選択肢を捨てないでください。貴方達が希望の旗印です」
 随分と感傷的なことを言うな、とイレギュラーズは思った。
 ……厳しい視線の奥に強い憂いが見え隠れするのを、一部の者達は見逃さなかった。

●救われるのに『資格』は要るか?
 その頃、話に挙がったアニーチェ神父は。
「こちらへ避難を、早く! 現状は長くは続きません、全員で団結し、助け合いましょう!」
 教区の人間を纏め、相互助力を促し、そして自ら率先して治療と救助にあたっていた。燃え上がる家を見捨てる決断をし、焼け出された人に慈悲の笑みを向け、ひたすらに神の僕たろうとする。
 彼の努力と決意は本物だ。黄泉帰りの絶望を経たことで、人間的な器も大きくなったとするなら……なるほど、怪我の功名ともいえよう。
 だがそれも……彼のことばではないが長続きはすまい。
 人間1人に出来ることに限界はある。だからこそ、この状況に『勇者』が必要なのだ。

GMコメント

 戦うことだけが役割ではないはずです。ふみのです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●達成条件
 天義内の救助、トリアージ、治療、及び防災活動全般
(リプレイでピックアップされるのは『首都北側第33教区』ですが、全体的にカバーしています)

●神父アニーチェ・ブラン
 拙作『砂上の楼閣』に登場。参照不要。『黄泉帰りを匿ったら教会ごとイレギュラーズによる焼き討ちに遭って死ねなかった人』です。
 その時の無念やら何やらで闇落ちしそうだったのが、見事に光の方に歩み続けた天義としてはめっちゃすげー人格者。
 該当地域での案内役になります。遭遇時すでにいろいろ限界なので助けてあげて下さい。

●聖都市街地の現状
 あっちこっちでドンドンバチバチやっているので火事は起きるわけが人多いわ要救助者たくさんだわ、です。
 トリアージを行い、要治療者を治療し、火災は……消火というか破壊消火を試みたほうが早いです。絶対。
 炎に取り残された人を体を張って救出したり、瓦礫をはねのけたりすることもあるので、完全に無傷で切り抜けられる依頼ではありません。パンドラ使用を推奨します。
 その他、『思いついた事はすべてやってください』。それだけやらないと、危機的状況は救えません。
 当然、心のケアのために目立つのも……有りじゃないかと思います。

 それでは皆さん、英雄になろうぜ!

  • <冥刻のエクリプス>勇気の証明完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年07月08日 22時51分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
天義の街並みが、火の海になるなんて…。
私自身は、回復による治療が主ですが
少しでも多くの命を救うために頑張ります!

私は、ヴァレーリヤさんと教会で治療拠点を作り
運ばれてきた患者さんを治療にあたります
私が持ってきた馬車を、グレンさんに託します
怪我人がいたら、この馬車を使って連れてきてくださいね!

怪我人が来るまでは、治療施設兼避難施設としての準備にあたります。
まずは水の確保と、ベッドや毛布の確保が必要ですね。
後は伝言板等があると、避難ができていない人がいるかどうかも確認できますね。

大き目の木の板と紙とペン、毛布(なければきれいな布…カーテンなど)は教会で用意。
飲み水があればいいですが…、なければ私のポーションで。
救急箱は元から持っているのでそれを使います!

怪我人が来たら…、状況によって私がポーションを使うか
ヴァレーリヤさんが回復するか判断します。
中程度なら私がSPLで治療
重傷そうならヴァレーリヤさんにお願いします
軽めであれば、持ってきた救急箱で処置し
治療等で困ったことがあったら、直感やミニアイテムポーチでなんとか切り抜けます

喉がやられた方がいたら、
「しゃべらなくていいので、他に助けを求めてる方や伝えたいことがあれば教えてください」
等問いかけながらリーディングを使用します
得た情報をもとに他の人に周知します
それを元に伝言板を使用して、まだ安否の確認が取れてない人がいたら知らせます。

アドリブ歓迎
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈る暴走特急
パンドラ使用
アドリブ歓迎
拠点治療を担当
非戦スキル:人助けセンサー、手術


■事前準備
神父様にお願いして、教会を治療拠点として開放すると共に、重傷者を寝かせるベッドや包帯等の医療品を準備しますわね
また、軽傷or無傷で動ける方が居たら、避難してきた方が分かるように誘導と治療薬等を用いての応急処置、簡単なトリアージ(治療せずとも死に至らないであろう方は、別室で待機)をお願いしておこうかしら
可能であれば、手術室や手術道具もお願いしたいところね
本当は全員すぐに治療してあげたいけれど、今は少しでも救える命を多くしないと……ね


■治療
命が危うい方は、優先的にブレイクフィアーやライフアクセラレーション(以下、回復スキル)で治療しますわね
但し、回復スキルを使用せずとも切り抜けられそうな方は、AP切れ防止のため、状況が許す範囲で手術で対応致しますわ

治療の優先順位は、重傷度の高い順
意識を失いそうな方には声掛けを
諦めないで!少しだけ待っていて頂戴!絶対に助けてあげるから!


■その他
適宜、人助けセンサーを使って、また、避難してきた方の話を聞いて、重傷者が居るであろう場所を把握
その場所への救助を、戻ってきた仲間や教会関係者に依頼したいものですわね

もう持たない方が居たら、家族が近くにいないか探してもらうべきかしら
最後の言葉くらいは、かわさせてあげたいものね


■完了後
終わったら、軽傷者の治療と、亡くなってしまった方の葬儀を
クーア・ミューゼル(p3p003529)
慈愛の英雄
焔色の景色。確かに私は大好きなのですが。
それでこの国全部が焼け落ちるのはノーサンキューなのです!

基本的に単独行動
主に火災の対応に従事

メイド魔術でファミリアーを作成(可能な限り軽量な小動物を現地調達)
ティスルに預けて連絡手段とする
こちらからの連絡にはファミリアーの視界を用いたテレパスを使用

速さと飛行能力を活かして可能な限り広域の状況把握に努め、後の作業の効率化に協力
メイド魔術の媒体飛行による低空飛行で先行、上空から状況を把握して消火の優先順位を決定、これをティスル達と共有
同様に要救護者を捜索し、これを救護班に逐次連絡できるようにする

消火器や試製・漁火などによる破壊消火を用いて鎮火にとりかかる
主に重要拠点・すぐに鎮火可能だが延焼の危険が大きい箇所を最優先
あまりに規模が大きい火災は一先ず重要地点まで火災が到達しないよう燃焼物を破壊して取り除くことで対処

放火の能力と意思を持つなど、早急な対処を要する暴徒がいるなら同様に鎮圧
体力に余裕があるなら試製・漁火、ないなら威嚇術
戦闘時・消火時、市民に危険がない場合は体力温存と周囲の状況把握を兼ねて常に副行動で移動し続ける

並行し無事な市民の避難誘導
複数人を纏めて対処する必要がないなら、余計な混乱を防ぐ為指示はテレパスで行う
相応の実力・一定の回復手段を持つ市民がいるなら、必要に応じ救護の協力を仰ぐ

※戦闘不能時、パンドラ使用
※アドリブ歓迎
レスト・リゾート(p3p003959)
おばロリババア
困った時はお互い様、そういうものよね~
たくさんたくさん救助して、花マルな感じで解決しちゃいましょう~

コーデリアちゃんと行動し救助と防災を担当ね~
馬車は教会の子に御者を頼んで連れて行くわ
治療拠点から他の班と別の方向に向かい、皆で街を幅広くカバーね

ギフトで鳥を呼び五感を共有、街を飛び回らせるわ
空からの視界を利用して火災、戦場、要救助者を見つけて救助するの
他の班の近い場所に要救助者を見つけたら、鳥+ハイテレパスで他の班に話しかけて救助をして貰うわ
コーデリアちゃんの超感覚も頼りにしちゃうわよ

防災は衝撃の青の【飛】で瓦礫や建物を吹き飛ばしてみましょう
鳥からの視界も利用し、燃え広がらない様に効率良く破壊消火ね
防技や火炎無効で要救助者を崩落する瓦礫から庇ったり、炎の中に飛び込み救助もしちゃうわ

救助した子が怪我をしている様ならミリアドを
BSで苦しんでいる様なら超分析で治療して馬車に乗せるわ
重傷の子は現地での速やかなお手当てが必要不可欠だもの
「は~い、もう大丈夫よ~。ぜ~んぶ、おばさんに任せて~」
声も掛けながら治療して安心させてあげたいなぁって

馬車が一杯になったらコーデリアちゃんに治療拠点へ護衛して貰うわ
戻って来る間もおばさんは現地に残り救助と防災を継続ね

馬車にはリスぬいぐるみを乗せておこうかしら?
不安で一杯の子供の気持ちを和らげてあげられたらと思って…
欲しがる様ならプレゼントね

※復活有アドリブ歓迎
グレン・ロジャース(p3p005709)
紅蓮の盾
パンドラ使用

神サマが何を望まれてるかなんざ知らねえが
誰一人ここで死ぬことを望んじゃいねえはずだ
なんせ、俺達が来たんだからな!

◆ペア
ユーリエから借りた馬車で移動
沙雪と二人で組んで破壊消火と救助に当たる
人助けセンサーに反応したら駆け付けるぜ

・ブレッシングウィスパー
祝福を自分と沙雪に付与してAPを切らさないよう

◆破壊
・ブロッキングバッシュ
崩れ易い部分を盾を叩き付けて破壊、退けて延焼を防ぐぜ

◆ギフト守護の誓い
要救助者発見したら必ず守ると誓う
ポーカーフェイスで余裕の笑みを浮かべ、一分一秒を争う焦りも、俺なんざにできるかって不安も見せねえ
所詮俺はスラム上がりのゴロツキ崩れさ
だけどよ、今この場で、救いを求める者にとって俺が、俺達が勇者として見られるなら
相応の振る舞いと、余裕浮かべた面で、最高の結果を持ってこねえとな!

◆護衛
近場の要救助者を助けたら護衛兼ねて馬車で拠点まで無事送り届ける
当座の危機は脱しても、まだ救いを必要としてるはずだ
俺達が希望として、安心感と与えて心まで助けたい

●フィジカル
怪我人には腕力任せで肩を貸す、抱える、背負う等で助け出す
庇いながら逃がすぜ
●防御技術
落ちたり倒れる瓦礫を盾で受け止めor受け流しだ
●火炎無効
エスプリで耐性付けて挑む
●決死の盾
単純な話だ。腕は二本ある。二人同時に守れねえ道理はねえ!
●妙技(崩れ無効
足場の悪さや不意の落下物等、姿勢を崩しそうな物を剣と足捌きで防ぐぜ
ティスル ティル(p3p006151)
ビーチセーバー
……ああ、もう、分かっちゃいたけど! あっちもこっちも大騒ぎ!
ホントに助け……ううん、気持ちで負けてちゃダメだよね!

■方針と事前準備
私は救助と消火作業中心で行動。チームは組まず単独行動だね。
あと、クーアさんのファミリアーを預かって通信手段にするよ。
武器は【変身バンク】送りで。必要な時に出せばいいよね?

■行動(消火とか)
空中から偵察、火事がヤバい区域を見つけたら先行して消火と救助。てのが私の基本の動き。
情報はどんどん共有していくよ。他班に近づいて直接情報伝えるのもありかも。

情報渡したら破壊消火! 壊していくよー!
基本は【アクセルビート】で壊していく感じかな。
単に蹴ったら火傷するし、サスマタ代わりに武器でぶっ叩こうかな?
「対竜」って言うくらいだし、たぶん頑丈でしょ。
あ、ダメージを受けたら自分に【再生付与】かけて治療するよ。

■行動(救助とか)
消火と同時に【人助けセンサー】使って要救助者いないか探すよ。
いても自力で動けそうなら治療班拠点の場所を教えればOKだろうけど。
ダメそうなら私が安全圏まで運ぶよ! 重傷なら【再生付与】も使う!
場合によっては【ハイロングピアサー】で近道を作るよ!

あと、他班の救急馬車に護衛がいないなら私がやるよ。
道中のアクシデント対処は任せて! 無事に送り届けてみせるよ!

■その他
アドリブ歓迎。諦めの悪い子です。
戦闘不能時はパンドラ使用で復活
作戦齟齬や抜けは味方に合わせます
コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)
信仰者
戦いが起きて犠牲になるのは、いつでも力なき人々です
本来であれば未然に防ぐのが貴族の務めでしょうが……起きてしまった以上は嘆いてもはじまりません
少しでも、民の痛みを減らせるように尽力いたしましょう

私はレストさんと組んでの救助・防災活動がメインです
馬車は教会の人に御者として協力してもらって運用します

主に超聴力で目に見えないような場所に閉じ込められてしまった人がいないかどうかを探っていきます
また、人だけでなく不審な物音(特に建物が軋むような音など)にも注意し、崩落の危険性がある建物をいち早く特定できるようにします
レストさんの得た情報と合わせて、近くにいる要救助者から助けていきましょう
救助する際、建物の中に入り込んだりする必要がある場合は先に保護結界を展開
不意の崩落で救助者が負傷しないようにします
火災現場に踏み込む際はレストさん優先で
ただし、要救助者が複数いるなどで手が足りないことがわかっている場合は私も踏み込みます
身を挺して民を護るのも務めですから

また、延焼しそうな建物や崩落しそうで危険な建物はハイロングピアサーで破壊します
その際は先に保護結界を張っておき、必要のない建物が壊れたり余波を受けたりしないようにします

馬車に人がいっぱいになって教会に一旦戻る際は護衛につきます
護衛中も超聴力で物音に気を付け、危なそうな建物があれば保護結界を展開してから近くを通り抜けるようにします

パンドラ使用
霜凍 沙雪(p3p007209)
慈愛の英雄
●心情
まってて。
いきてて。
ぜったい、そこにたどりついて、みせるから……!
霜凍沙雪、出場……!

●行動
グレンと共に破壊消火・救助

人助けセンサーや透視を用いて人命検索しつつ、火勢の強い位置の周囲を、フロストチェインで破壊しながら延焼を防ぐ
その際、透視で崩落に巻き込まれる人がいないかは必ず確認してから

要救助者は、仲間の用意した馬車へ案内
自力で移動が可能な者には、自らの足で向かってもらう
歩行困難の者は、グレンに引率してもらう
「グレンさん、私、消火しなきゃいけないから……。おねがい」
ギフトを用い、瓦礫片を拾って凍らせ、これを氷嚢代わりに要救助者に持たせる

また、必要に応じて負傷者をライトヒールで治療
暑さや火は苦手なものの、要救助者が危険な位置にいた際には、身の危険も顧みずに救助のため踏み込んでいく
この火災の状況なら、ギフトによる冷たい痛みも、もしかしたら救いになるのかもしれない

「何人、とりのこされてるか、わからない……。でも、ひとつの、命は、無限大の、明日、だから」
そうは言いながらも、一つの命だけにこだわらず、いまだどこかで救助を待つ命があるかもしれない
時間が許す限り、己の身が持つ限り、一人でも多くの人命を検索するため、全身の感覚を研ぎ澄ませて駆け回る
自分のけがより、誰かのけが

パンドラ使用

リプレイ

●流転する歯車
 アニーチェ神父は人々を集めて回り、動けぬ者を動ける者に運ばせ、相互に協力することでなんとか教会跡地へと避難を急がせていた。
 その間にも燃え上がる家、響く悲鳴、崩れゆく建物に動きを阻まれ、ときに切り捨てる選択すらも余儀なくされる。苦渋の決断だ、仕方ない、大を取り小を切り捨てる……凡人である彼にはそれしかできなかった。
 だからか? そんな正義に背く決断を下した彼への戒めであったのか?
 彼を先頭に避難しようとした面々の前に降り注いだ瓦礫は、一同を直撃し生き埋めにする……そう、思われた。
「おお、神よ……我らに過ちがありましょうか……?」
 絶望に天を仰いだ神父と人々はしかし次の瞬間、信じがたいものを目の当たりにする。降り注ぐ瓦礫が吹き飛び、氷の鎖が一際大きい瓦礫を絡め取って燃え上がる建物へ叩きつけ、冷気を以て建物の炎を消す有様を。
「カミサマが何を考えてるかなんて知らねえ。でもアンタらは死なねえ!」
「霜凍沙雪、参上……!」
 『天義の希望』グレン・ロジャース(p3p005709)が海洋製の大盾で、『迷子の雪娘』霜凍 沙雪(p3p007209)がフロストチェインにより、瓦礫を弾き飛ばしたのだ。
 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が彼らに貸し与えた馬車によりいち早く現場に辿り着き、なんとか瓦礫を退けたというわけだ。
「俺達の仲間が教会の敷地を借りて救助に回る。だから安心して身を預けてくれ」
 グレンの笑みには、強い誓いの意思が垣間見えた。危機的状況、先が一切見通せぬ闇の最中にあって彼の笑顔はいかほどの効果があっただろうか?
「グレンさん、私、消火しなきゃいけないから……。おねがい」
「ああ、沙雪も無理すんなよ! 必ず戻ってくるからな!」
 沙雪は地面に転がす建物の破片に触れて回り、グレンにそれを預け、負傷者に渡すようにと伝えた。彼女のギフトは、ともすれば通常の生物に害を与えるほどのものだが、こういう時は極めて有効に作用する。……限度を設けられないため、使い所を間違えれば凍傷すら作るが、Ⅱ度熱傷程度までなら十分に有効だ。
「ありがとうございます、その……貴方達は」
「話は後だ、一気に運ぶぜ……掴まってな!」
 神父が何事か口にする前に、グレンは救助者を運び終え、馬達の手綱を掴んでいた。果敢な声と指示を受けて走り出した馬車は、一路教会跡地……外縁部の居住区へと駆けていく。
 瓦礫舞う混乱に残された沙雪は1人、正面からそれに対峙する。
「……てぇぇぇぇいっ!」
 と、そこに突如として上空から飛来する影ひとつ。『エアーコンバット』ティスル ティル(p3p006151)が、対竜ライフルの銃床……というか砲の手元を盾にして建物に突っ込み、火元を叩き壊したのだ。無謀、と呼ぶのも馬鹿馬鹿しいほどの蛮行は、しかし沙雪の負担を和らげる。
「後は任せるね! 私は他の皆を助けにいくから!」
「う……うん! おねがい……!」
 両者は短く言葉をかわすと、ティスルは空へ、沙雪は瓦礫に意識を向け、決意の表情を露わにする。今は長々と語る暇はない。互いに出来ることをやるだけだ。
『ティスルさん、東の方が少し危ないのです。お願いします』
 再び飛び上がったティスルの脳裏に響いたのは、『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)の思念会話。ティスルが預かった鼠を通して、彼女に意思を伝えんとしているのだ。一方通行の意思疎通だが、無いよりは何倍もマシだ。
 ティスルは、自身も空から状況を俯瞰しつつ、同様に空を飛ぶクーアから情報を受け取り、より危険な場所を探していた。あちらもこちらも、地獄の釜をそのまま地上にぶちまけたような有様だ。
 焦ったり、嘆いている暇はない。炎に根源的な興味を抱くクーアとて、見ていて快い状況ではない。全力で止めるべく、飛び回り、或いは仲間のもとへ駆けつけながら消火を急ぐ。今もどこかで助けを求める、誰かのために。
「困った時はお互い様、そういうものよね~」
「ええ、私にも貴族の務めがあります。……起きたことを嘆く前に、一人でも助けなければ」
 『レストおばさん』レスト・リゾート(p3p003959)がギフトにより得た情報を通じ、『信仰者』コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)は彼女と協力して救助へとあたっていた。無論、空を往くクーアとティスル達の情報も適宜共有しつつ、だ。
 俯瞰的視点で状況を把握出来る者、情報共有を行える者が居ることは、刻一刻と変化する戦場において非常に効率的である。
 ……そう、戦場だ。一同の目的が戦闘ではないとしても、誰かを助けるという『目的』と崩れゆく家や炎という取り除くべき『障害』があれば、それは戦いである、と定義できるだろう。
「レストさん、あの建物の中に人がいます……もう少しで崩れるかも……!」
 コーデリアは視界の端に映った建物を指差し、叫ぶ。人並み外れた視力と聴力は、建物の崩壊の兆候と残された者の声を正しく聞き分け、状況を理解したのだ。咄嗟に伸ばした手は保護結界を生み出し、周囲一体の破壊を阻止できる。射程圏ギリギリからの魔弾による狙撃よりは、ずっと有用だ。
「コーデリアちゃん、ありがとうね~。後はおばさんに任せてね~?」
 短く感謝の言葉を告げると、レストは真っ直ぐに瓦礫へと駆けていき、子供の頭上で撓る梁に傘を突き出す。生み出された衝撃波は梁を根本からへし折り、あらぬ方向へと飛んでいく。結界内であっても、指向された破壊は十分に作用するのだ。レストはそのまま炎をものともせず、子供を抱きかかえて通りへと身を躍らせる……華麗な足取りは、非日常を上塗りする奇跡のようでもある。
 コーデリアは、馬車を繰る修道女に手を振って指示し、子供の救助に向かわせる。馬車が救護所に到着するまで、護衛しなければならない。これから起きうる、全ての不幸から守るために。

●救命戦線
「神父様、こちらに手術道具やそれに準じた道具や薬は残ってらっしゃいますか!?」
「あ、ああ、上等なものではないが……君は」
 『灼鉄の聖女』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)は神父が戻るなり、乞うような、切実な口調で問いかける。切迫した声に気圧された神父は、この日までに確保していたなけなしの救護物資の用意を修道女や助祭に指示。すでに、ありあわせとはいえ救護所の体制が整えられている事実には驚きを隠せない。
「お話は後で。今は連れてきて下さった方々の治療を優先します」
 深々と頭を下げたユーリエの姿に、神父は全てを悟ったように頷き返す。己と一回り以上違うであろう少女が、危機的状況を目の当たりにして心折れずに向き合っている。
 ここでたじろぐことは許されようか? 否だ。少しだけ長く生きた者として、彼女達の行動は全力で支えねばならない。
「悪いが、俺はもう行くぜ。神父様も無理すんなよ!」
 グレンは護衛に回った馬車から全員を下ろすと、再び手綱を握る。馬車を操り、時に護衛として窮地を切り開く。その姿に躊躇や動揺は欠片も見られない。
「血が止まっていたり傷が浅い方はあちらの方へ、無事な方は負傷の酷い方をこちらに運んで頂けますか? 瓦礫や木の破片が刺さっていたり埋まっている方は急いで!」
 ヴァレーリヤの声に、続々と馬車から降りてくる人々が動き出す。全体的に多いのは火傷か。程度の酷い者は多少なり奇跡やユーリエのポーションに頼らざるを得ないが、傷が浅い者、浅いながらも異物が刺さったり埋まったりしている者がいれば簡易な外科手術が必要となろう。
 そうでなくとも、周囲の人々が心から助けを求める様が彼女には届くのだ。視界に入らぬ遠くでも、助けを求める声がする。
 彼女の性格からすれば、それは計り知れぬ重圧であろう。だが、ここから動くわけにはいかない。
「大丈夫です、落ち着いて。今何が必要なのか、何が辛いのかを思い浮かべて下さい。それだけで十分です」
 傍らでは、ショックのあまり口を開けない夫人に対し、ユーリエが語りかけている。優しく、静かに。……助けを求める人々の前でたじろぐなど、ヴァレーリヤには出来ない。してはいけない。だからこそ。
『あらあら、大丈夫かしら~? おばさんに出来る事があったら教えて頂戴ね~?』
 ――今この時は、仲間に頼らねば。
 鳥を通して訴えかけるレストに、ヴァレーリヤは静かに口を開いた。

「何人、とりのこされてるか、わからない……。でも、ひとつの、命は、無限大の、明日、だから」
 沙雪は炎の中に飛び込み、衝術で瓦礫を吹き飛ばしながら一直線に救助者へと向かう。
 ぐいと引き上げた相手に肩を貸すと、力強く一歩前へ。朱に彩られた道へフロストチェインを伸ばし、ささやかながら消火を進めた。
 己自身が冷気の塊のようなもの、救助対象だって、下手をすれば凍傷で済むかもわからない。
 だからこそ、掴むのは衣類にとどめ。己は敢えて、炎の激しい場所を行く。一つの命にかかずらうことは愚かであろう。だが、大局のためと嘯いて目の前の命を見捨てることはより愚かだ。
 ギフトの範疇を超えて全身を炙る炎を前に、切れそうな意識の糸を繋いで、一歩。
 深呼吸をした彼女は空を見上げる……いつか母と再開した時に、笑って話せる日にするために、彼女は運命すらも味方につけた。

「ここからなら、近道を作った方が楽かもね! ……待ってて!」
 ティスルは先立って救出した子どもたちを背に、崩落しつつある建物へと『フェニックス』を向け、魔弾を連続して叩き込む。崩れ、破片すらも凍らせながら周囲に散らされた家屋は一本の道を作り出し、以て教会跡地への近道を作り出す。
 年長者の少女が頭を下げ、駆けていくのを見送った彼女は、少し離れた場所で閃いた光を視界に収めた。……クーアの閃光弾、『試製・漁火』。火に投げ込むことを目的としたそれによる破壊消火は、その目立ち方で近寄らせまいと思わせる意味でも十分に機能していたといえるだろう。
「この景色に魅せられている間にこの国全部が焼け落ちるのは、ノーサンキューなのです!」
 瓦礫の中に飛び込み、駆け抜け、破壊する。より燃え上がる光景を夢想する彼女であったが、それは今見たいものではない。
 幸いにして、懸念しているような暴徒が居ないことは喜ぶべきか。それでも、戦いが終わるまでは混乱は続く。火の手も上がろう。――ああ、これが国の未来を左右するような事態でさえなければよかったものを!

「は~い、もう大丈夫よ~。ぜ~んぶ、おばさんに任せて~」
 他方、レストはヴァレーリヤや他の仲間から聞き出した情報を基に、フォローしきれない場所へと駆けつけ、負傷や火傷の酷い者へと癒やしを向け、時に優しく声をかけることで周囲の安心感を勝ち取っていく。常ならば戦場での大号令、人々の心を救う段に於いては、慈愛の言葉。彼女なりの立ち回りは、どうやら十二分に効果があったらしい。
「レストさん、大丈夫ですか?」
「おばさんは大丈夫よぉ~。コーデリアちゃんも、大丈夫かしらぁ?」
 馬車を従えて戻ってきたコーデリアに、レストは気遣わしげな視線を向ける。重傷には遠く至らぬものの、装束にところどころ焦げ跡を残し、煤を擦り付けた頬などはいかにもといった趣で、普段の彼女よりも凄絶さが際立っている。
「はい。……私を治療するなら、皆さんをお願いします。建物の崩落はこちらで止めますので」
 それでも、彼女はレストと、救助された人々に笑顔を見せることを忘れない。窮地において『そうである』と喧伝するのは下々の民の役目。貴族たる彼女は、危地でこそなんでもないことのように笑み、人々に安心を授けねばならぬのだ。

「……この方のご家族を呼んで下さい。埋葬の準備を」
 ヴァレーリヤは到着時点でほぼ助かる余地がなかった者の傷を縫い合わせ、瞼を下ろす。亡骸を可能な限り修繕してのけた手管は素晴らしいものだ。相手が救えなかった、その事実は忸怩とした感情を呼び起こす。
 だが、誰が彼女を責められようか。教会跡地へと至る前に、形すら残らなかった者に比べれば幸運なたぐいである。
 そして、彼女は気付いていないが。教会跡地に集められた人々の数、イレギュラーズが救った者達の総数は今や、その場に留め置くことが難しくなってすらいる。
「あとは私が受け持ちましょう。皆さんは、可能であれば他の地に慈悲を与えて下さりませんか」
 神父は、頼ることを心苦しい、とでも言いたげに彼女へと告げる。
 自分はここから動けない。ならば託さねば。そう言っているように。
「それでは、人探しなどはお任せします……くれぐれも、燃えている場所へ近付いてまで救助されたりしないようにお願いしますね」
 ユーリエは彼の言葉を受け入れ、即席の伝言板を指さし、事後対応を引き継いでいく。
 レストによる情報伝達を以て集まったイレギュラーズは、馬車と共に次の場所へ、また次の場所へと向かっていく。
 英雄は、勇者はここにあり。天義の人々へと、明日への希望を託して。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 情報伝達とか鉢合わせになったり、とか。その辺は確かに課題だったと思います。
 そういう意味では、今回の皆さんはかなりアドバンテージが大きかったように思います。
 っていうか熱い想いとか最の高でした。皆一番、ってな感じでもってけ大成功。

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