シナリオ詳細
<冥刻のエクリプス>求めた力の行方
オープニング
●天義を襲う軍勢
黄泉返りの噂から始まった月光人形事件、そしてそれから派生した大規模騒乱『クレール・ドゥ・リュヌ。
天義を襲ったその一連の事件は、フォン・ルーベルグを中心に民心と政情、平穏を壊していく。
事態は静観されるものではない。多くの者が事態に対して行動を起こしていた。
「探偵さんと特異運命座標ちゃんの調査のお蔭で様々な事がわかったわ」
『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が取り纏めた情報を読み上げていく。
第一に判明したことは、一連の事件は魔種ベアトリーチェによる仕業であることだ。
「ベアトリーチェに人間的な支配欲があるのかは知れないけれど、無数の死者や雑霊を従えた彼女の勢力、軍団がフォン・ルーベルグを制圧せんと動き出したのは間違いないようよ」
これに対して、天義サイドは少なくとも一枚岩で事に当たれていないようだ。
悪いばかりの状況だが、ローレットの活躍もあり、敵性勢力の扇動効果は限定的に終わった。これによって月光事件に惑わされた民衆は僅かながらでありつつも希望を抱き、国是である魔種に立ち向かう気持ちを強めていると言う。
「けれど、全快、平静という訳にはいってないようね。というのも――」
事態の深刻さは、天義中枢にも及ぶ。
天義中枢に魔種に与する、或いは魔種を利用して我欲を叶えんとする強い勢力が存在してるからなのだ。
「大教会に籠城するアストリア枢機卿を始め、城壁外からは王宮執政官エルベルト側と思われる戦力が彼女を救援する構えを見せているようね」
獅子身中の虫とも呼べる話だが、悪い話ばかりではない。
「特異運命座標ちゃん達のとんでもない活躍で、アストリアの私兵『天義聖銃士(セイクリッド・マスケティア)』は半壊状態よ。
彼女が『サン・サヴァラン大聖堂』に籠城を余儀なくされているのはその辺りが原因ね」
リリィはそこまで説明すると、聞き及んでいるローレットの方針を伝える。
「天義という大国が魔種の手に落ちれば、『滅びのアーク』が激増すると言われているわ。
ローレットとしてはこれを見過ごす訳にはいかないって話ね」
つまり――
「天義聖騎士団と連携して、この事態を打破する必要があるわ」
そうしてリリィは広げた天義の地図の一箇所を指さす。
フォン・ルーベルグへと攻め入ろうというベアトリーチェ配下の軍勢がここに居るという。
「相手側の遊撃部隊でしょうね。本体とは別に行動して、天義側の防御を打ち崩そうという考えでしょうね。
数は五十。アンデッドと思われる兵隊が行軍しているようよ」
その指揮官は――当然ベアトリーチェ麾下の魔種である。
「情報によれば、アンデッド兵の多くが『虫』に寄生されているようだった、と。
この事件で『虫』と言えば……既知の人もいるかも知れないわね、そう魔種ギールグと見て間違いないでしょう」
力を求め、さらに集団の力として仲間を求める魔種。その為にならイレギュラーズでさえも蠱惑し引き入れようとした、因縁浅からぬ相手である。
「特異運命座標ちゃんたちで迎撃――と言いたいけれど、さすがに数の差があるものね。
でも心配しないで。
この地域に向かった天義聖騎士団が四十名。貴方達と共に戦ってくれるわ」
数は同数。あとは魔種との力比べになる。
「魔種と戦うことのできる特異運命座標ちゃん達に憧れている聖騎士達も少なくないわ。
きっと、力になってくれるはずだから連携して戦って頂戴」
敵はフォン・ルーベルグ内部に侵攻する直前である。
この水際で食いとめられなければ、市街地に被害が及ぶだけに限らず、敵本隊の侵攻を大きく手助けすることになるだろう。
詳細な情報を書き記した紙を受け取りながら、イレギュラーズは戦いの準備へと向かうのだった。
●
フォン・ルーベルクを目の前に、その魔種はその真っ赤な複眼をギョロリと動かした。
「キチキチキチ……ベアトリーチェ様、ヨリ、預カッタ、コノ、軍勢。
コノ、力ガ、アレバ――負ケル、コト、ナド……イヤ、負ケル、モノカ!!」
ギールグの身体が変貌していく。無数の虫を内包した身体が、人のそれからかけ離れていき、そして最後まで残ったハーモニアの象徴たる長耳も奇怪に変化して――
生まれ出でた大柄な”蟲”が羽音を響かせ不死なる軍勢と共に動き出した。
――強くなりたい。
弱く矮小だった男は、力を手に入れた。
人を超越する力。しかし、それだけの力を手に入れても、男はなお頂点には立てなかった。
同種の力があれば、それだけで優劣を付ける。
傅くように従って、自らの弱さを突きつけられて……それでも無様に、藻掻くように力を求続けた。
貪欲に、『強欲』に。
「ギチギチギチ……!
負ケル、モノカ……! 他ノ、魔種モ! ”ベアトリーチェ”モ! イズレ、俺、ガ、倒シテ、ヤル!
俺、ガ、最強、ニ、ナル、ンダ……!!!」
見果てぬ力を求める、その行方は――
- <冥刻のエクリプス>求めた力の行方Lv:13以上完了
- GM名澤見夜行
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2019年07月10日 23時15分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●激突
「今回の敵は強力な魔種じゃ。
……先に言っておくと妾達も一度はやられておる」
信仰を蒐集するかのように高いカリスマ性を発揮する『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)の言葉に、イレギュラーズを英雄と見做した天義聖騎士団の面々が息を呑む。
彼の英雄達すらも屈する相手。それほどまでの強敵が迫ろうということが緊張とともに僅かに残る恐怖心を増大させた。
それを掬い上げるように、デイジーは言葉を続ける。
「故に妾はお主達に名誉のために死ねとは言わぬ。
恐ろしければ逃げて貰っても構わぬ」
それは天義聖騎士団としては受け入れられないことかもしれない。けれど個人としては、救いのある言葉でもある。
イレギュラーズの力を持ってしても、全員を守り切ることはできないかもしれない。故に命の選択は各々に託されたと言って良い。
だからこそ、天義聖騎士団の面々は心に強く火を灯し、必ずこの聖都を守るのだと誓いを立てた。
デイジーはその決意を汲み取って、高らかに宣言する。
「――それでも、ともに剣を取り戦う意志を示すのであれば妾はお主達に必ず勝利を約束しよう。
お主らの命この手足が動く限り必ず守り抜いて見せよう。
なぜなら妾達はイレギュラーズ。
さいきょーにつよくて美しい女神の妾がついておる故に」
「つよくて未来を見通す女神のヨハナもついております故に」
とデイジーの後ろから『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)が姿を見せる。禿鬘髭眼鏡を装着したあまりにも場違いな彼女の姿に、聖騎士団も困惑からの噴き出す笑いが零れた。
「そうです。笑いましょう。笑って不死なる兵士なんてものを片っ端から倒しましょう。
笑うこともできない死者の来るべき場所ではないのだと、教えてやりましょう!」
どこまでも陽気にそう語るヨハナ。
此度不死の兵士を指揮する魔種は、因縁浅からぬ相手だ。一度は危機的状況へ追い詰められた相手である以上、これに対して笑い飛ばすことなどそうできる物ではない。
しかしヨハナは笑うのだ。
決して未来を悲観したわけではなく、諦観から零れる笑みではなく、未来を掴むため強く、強く笑い飛ばすのだ。
禿鬘髭眼鏡を外して、力強い瞳を輝かせ、聖騎士団へと激励をかける。
「この一戦が未来に生まれる全ての子供たちの誇りと希望となる。
後の悪人全てが私達の名前に畏怖と経緯を与える……!
集の力を得たと気取った一人ぼっちが五十人に適うもんですか、笑い飛ばしてやれわーはーはー!」
底抜けな明るさは、緊張の直中にある聖騎士団を解きほぐし、活力を与え未来を掴む力を与える。
これこそがヨハナの特性と言っても良いだろう。どんなに絶望的な状況にあっても、彼女の笑みがより良い未来を導き掴む機会を与えるのだ。
「ふっ、さすがだね。二人の演説で十分に士気は上がったようだ」
「コレなら十分にタイコウできそうだね。
それじゃ、コッチも準備しようか!」
『イルミナティ』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)の言葉に『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が頷く。
「これまでの戦いでもこのトラップは十分に効果はあった。事前の対策も難しいものである以上今回も効果は十分に見込めるだろう。
それに加え――」
ラルフは万能金属を駆使して地上、上空にワイヤーを張り巡らせていく。これまでの戦いで効果的だった罠に加え、さらに新たな虫を酔わせる効果を満載した薬品を用意し、新たな罠として設置していった。
「二人が誘導するルートも作っておく必要があるな」
「なら俺のデバンだね」
ヨハナ、そして『拳闘者』郷田 貴道(p3p000401)の二人は特に魔種ギールグと因縁ある二人である。
二人は此度の戦いで、魔種ギールグを誘導し時間を稼ぐ囮役を買って出た。
特殊な飛行能力を持つ相手だ。室内へと誘い込んで地形効果的な不利をなくしたい考えだ。
イグナートはめぼしい建物を見つけて、自慢の力で扉を開き、余計な物を握りつぶしたりしながら二人が動きやすい陣地を作り出していった。
陣地構築が進む中、敵の情報、対策も周知されていく。
「特に指揮を取っていると思う魔種ギールグに注意だよ。
それこそ無尽蔵に思われる蟲を使役する厄介なヤツなんだ。
特に全天周を虫で覆って動きを封じてくる技が問題で――」
自分が以前の戦闘で体験した敵の技を丁寧に説明していく『魔法騎士』セララ(p3p000273)。
高い戦闘能力を持ち、その習熟に余念のない彼女だ。一度身を以て味わった技であれば、その対応対策を幾つも考え抜いてシミュレートを重ねたはずだ。その成果を、多くの者に伝え周知することで全体の底上げを行う。
知らなかったは致命となる。こうした情報共有こそが戦いの趨勢を決めると言ってもよかった。
そうして時間の許す限りの陣地構築、情報共有が行われ、遂にその時がやって来た。
固唾を飲んで聖騎士団が待ち構えるその前方。
まるで意思を感じさせない不死なる操り人形達が低い唸り声を上げながら近づいてくる。
その上空。
滅びの羽音を響かせ、巨蟲へと変貌したそれがアンデッド兵を率いるように飛び出してくる。
魔種ギールグ。
ただただ絶対的な力を求める強欲に連なる魔種である。
「ギチギチギチ……見ツケタ、ゾ……イレギュラーズ……!!」
膨れあがった真っ赤な複眼がイレギュラーズを捉える。空中に静止したギールグが腕を伸ばしてアンデッド兵に指示を出す。
「イケ……! 死シタ、兵タチ、ヨ! 全テ、ヲ、飲ミ、込メ!」
アンデッド兵の首元に寄生する虫達がアンデッド兵に針を突き刺して、体内で生み出した薬物を流し込む。スローペースだったアンデッド兵達がさらなる苦悶の呻きを漏らしながら、突如として激しい身動きへと変化し走り出す。
「死した魂を現世に戻すだけに留まらず、さらに無理矢理激動させるなど……なんて惨い。
無理矢理に従わせた力などに、価値なんてありはしません」
ただ一つ。アンデッド兵達への慈悲を込めて、一時の黙想を終えた『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)が銀髪を靡かせて剣を抜く。
「魔種ギールグ、今こそ、引導を渡す時です! その強欲、ここで裁きます!」
宣言とともに剣を振るい、雹雨の如き目にも留まらない連続突きを放つ。その一撃は稲妻の如き鮮烈な衝撃を生み出して、飛びかかるアンデッド兵達の出鼻を挫く形となった。
「たかが虫、されど虫。
虫といえど放置すれば家屋敷を倒壊させるものです」
お掃除駆除はメイドの務めであると、『強襲型メイド』ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)が構えを取る。そうしてシフォリィの一撃に感歎の息を漏らした聖騎士団に向けて檄を飛ばす。
「さて、皆様方。
天義と言う屋敷の屋台骨を喰い荒らす害虫駆除と参りましょうか。
ですが決して無理はなさらぬよう。
生きて大切な方の元へと帰りましょう」
「応――ッ!!!」
聖騎士団が武器を構え陣形を作る。攻め入るのではなく待ち構え迎撃する構えだ。
「頼もしい限りだな。
さて、頼れる皆も、騎士団の人達も俺が支える。
希望の星を見せてやる――」
後方へと位置する『天翔る彗星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が魔力を編む。その力の全てを発揮し、この場にいる全ての者を支えきって見せるのだとその瞳に力を宿した。
「アンデットの軍勢とは、趣味が悪ぃな。それに面倒な魔種も居るときた。
ったく、天義を俺が護る事になるとは思っても無かったぜ……」
ぼやきながら力を溜める『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)。溜め込まれた紫電はアンデッド兵達を薙ぎ払う一閃となって放たれる。同時返しの一閃は追い打ちたる紫電となってさらなる追撃を見舞う。
待ち構えるイレギュラーズ、そして迫り来るアンデッド兵とギールグの間に瞬間空間が生まれた。
歩み出る筋骨隆々の男、と飄々とした女。貴道とヨハナだ。
「相変わらずだな、虫ケラ野郎。致命的に間違えたままだ。教えてやるよ、てめえが弱者のまま燻ってる理由をな」
「ありゃ、なんかブクブクとデブってますね? 肥満の虫なんて見たことありませんよ、ダイエットが必要なんじゃないですかね?」
「ギギギ……!!! 貴様達……! ソレ、ニ、見覚エノ、アル、奴モ、イルナ……!
待ッテ、イタゾ! 貴様達ニ、コノ力、ヲ、見セル、時、ヲ!」
真っ赤な複眼が更に真紅に燃え上がり敵意を増大させる。
その感覚を感じ取った二人が、挑発を繰り返しながらギールグの誘導を開始する。
貴道の放った言葉。
『弱者であるその理由』。それに興味と神経を逆撫でされたギールグは、羽音を響かせ二人の後を追っていく。
司令官を失ったアンデッド兵が、当てもなく突撃を開始するのはそのすぐ後のことだった。
●白薔薇が生み出す勝利への道
「HAHAHA、思った通りに食いついてくれたな」
背後に迫る鬼気的な気配を感じながら、貴道は鼻を鳴らした。
「ラルフさん達が設置してくれたトラップも十分に機能してるようですねっ! 奴さん飛びにくそうにしていますよ」
ヨハナの言葉通り、仕掛けられた罠によってギールグの超機動は幾分か抑制されていた。その優位を利用して、二人は予定通りのルートを走りギールグを屋内へと誘う。
「ギチギチギチ……誘ッテ、イル、ノカ! ドコ、ヘ、行コウ、ト、逃シ、ハ、シナイ!!」
自らの力を知らしめようとするギールグは、冷静さを欠いていたと言って良い。冷静であれば、もしかしたら誘いに乗らず聖都攻略を優先したかもしれない。
市街路を走る二人は、そして予定された廃屋へと飛び込む。そこは仲間達が用意した時間稼ぎの場であり、ギールグを抑え込むに最適な場所でアル。
二人を追ってギールグがその家屋に飛び込むと、目の前には不敵に笑う二人が待ち構えていた。
「かかっておいでなさいな。
あなたの欲しがる集の力を目一杯ぶち込んであげます。
抉られたおっぱいの怨みもねっ!」
「いい加減、決着と行こうか。てめえは俺が……ここで殺すっ!」
二人の挑発的な態度に、ギールグは怒りを迸らせる。
この人間達は、どこまで自分を馬鹿にするのか。ただの人間が魔種たる自分に勝てるわけがないというのに! なぜ、どうして、そうも自信に満ちあふれられるのか!
――なぜ、どうして、自分はこんなにも焦っているのか!!
「ギギギ……!!
何モ、カモ! 貴様達ヲ、潰シ、外ノ、奴等モ、潰セバ、終ワリ、ダ!
俺ガ、最強、ダト、ソノ、身体、ニ、刻ミ、込ンデ、ヤル!!」
咆哮するギールグ。
ビリビリと肌が粟立つ気配を感じながら、二人は一瞬のようで長い長い時間を稼ぐ戦いを始めるのだった――
一方、不死の兵を相手取る外では激戦が始まっていた。
陣地構築、バリケードによって、漏斗の断面図のような地形を構築したイレギュラーズ達。この陣形に想定通り不死の兵を誘い込むことに成功していた。
漏斗の出口には聖騎士団の槍兵が防御陣形で構え、狭く細いその道に飛び込んでくるアンデッド兵を迎え撃つ。
「いいよ、そのチョウシだ! 倒すことはコッチに任せて良い。とにかく護り切ることを考えるんだ!」
聖騎士団に檄を飛ばしながら高い反応を見せるイグナートが押し寄せるアンデット兵の中へと飛び込んでいく。
「チャンスは確実に取る! まとめて吹き飛べ!!」
鬼気迫る気迫の暴風が、多くの不死兵を巻き込んで吹き飛ばす。手応えはある。だが、その名の通り不死たる兵士は、受けた状態異常を者ともせずに起き上がり変わらない突撃を繰り返す。
「厄介な敵だけど、倒せないわけじゃないんだ! 対処の仕方はいくらでもある!」
聖騎士団が押し返した不死兵のウェーブに向けて、セララが逆手に構えた聖剣を振り抜く。力、技、そして心を極めた者が放つことのできる必殺の斬撃が、不死たる兵士たちの息の根を止めていく。
例えどんなに蘇る相手であろうとも、その動力の根源たる生命に繋がる糸を断ち切れば、動ける者などありはしないのだ。それが何物かに操られた仮初めの命ならば尚更だ。
「私達の技は通用するようですけれど、やはり敵の数が多いですね」
セララの斬撃に合わせて鋭い突きを繰り返すシフォリィが、敵の様子を観察しながらそう零した。
確かに必殺の攻撃で数を数体減らすことは出来たが、敵の勢いは落ちることはない。死を恐れることのない不死なる兵隊の進軍は、ある種の不気味さでこちらの心に怯えや恐怖といった感情をもたらしてくる。
「なによりただの不死兵ではないところがミソか。ならば、その不純物を取り除かせてもらおうか――!」
ラルフは義手より放つ破壊エネルギーを不死兵へと向ける。そして多くの不死兵を薙ぎ払った最後に、ワイヤートラップに仕込んでいた自身が調合した薬品の入った小瓶へと向け、それを割ることで散布する。
仕込まれた薬品は虫を酔わせる効果があるものだ。
不死兵に取り付いた虫達がその薬品を受けて挙動が不審となる。
「アンデッド兵の動きが緩慢になったか……!
チャンスだ! 一気に数を減らすぞ!!」
幾重にも紫電を走らせるシュバルツがチャンスと見て攻勢に出る。高い瞬間火力を持つシュバルツの連撃が不死兵の動力たる魔力の糸を削っていく。
しかしながら、虫によるバフが解除され勢いを減少させることは出来たものの、元よりベアトリーチェによって作られた兵隊達だ。その戦闘能力は強化効果(バフ)がなくとも十分なものといえた。
多くの聖騎士団団員達が傷付き、倒れて行く。イレギュラーズもまた看過できないダメージを負う者が出てき始めた。
そんなときだ、それが現れたのは。
「なんだ……!? 白い薔薇……?」
「浄化を思わせる清浄な気配を感じます。それに見て下さい――」
ヘルモルトが指さす先、ウィリアムが言ったように白い薔薇の幻影が大きく咲き誇る。そしてその白薔薇が放つ魔力が周囲数十メートルに渡り広がっていく。
「おお……アンデッド達が苦しみだしておるのじゃ。
それに、みるのじゃ。弱ったアンデッドが塩に変わって消えて行くのじゃ」
デイジーの言葉通り、白薔薇の効果範囲に入った多くの不死兵が苦しみだし、その能力を減算させていた。弱っていたアンデッドはその魔力に抗うことが出来ず塩へと姿を変え昇天した。
これは、共に戦う仲間(イレギュラーズ)からの支援攻撃である。
サン・サヴァラン大聖堂を攻略していた仲間達が『エンピレオの薔薇』という伝説級アーティファクトを奪取、起動することに成功した結果なのだ。
これによって、聖都周辺で戦うイレギュラーズ達の元に白薔薇が咲き誇り、アンデッド兵や月光人形を苦しめる結果となった。
「なんにしてもチャンスでございますね。一気に片付けてしまいましょう」
ヘルモルトが飛び後ろ回し蹴りを決め苦しむ不死兵を薙ぎ払い永眠させていく。その勢いに乗るようにウィリアムとデイジーが声を上げた。
「怪我人は今のうちに下がれ! 全員すぐに戦えるようにしてやるさ!」
「戦える者は攻勢にでるのじゃ!
陣形は変わらず、盾役を前に置きつつ遠距離攻撃で削っていくのじゃ!」
二人の活力ある声に、聖騎士団も心を奮い立たせ、アンデッド兵へと立ち向かっていく。
「もう少し数を減らせれば、二人の援護に迎えそうだね」
セララがアンデッド兵の頭数を確認しながら言うと、隣に立つシフォリィが一つ頷く。
「ええ。早く援護に向かいたいところですね。
因縁ある相手とはいえ、二人で魔種の相手は厳しいと思いますので」
「ならとっとと片付けるとしようか。
イグナート、いけるか?」
シュバルツの確認に、拳を上げて答えるイグナート。
「もちろん。マダマダ問題ないよ」
「頼もしいね。
でもここは前哨戦、可能な限り温存していこう」
そう言葉を残してセララが走り出す。続けてシフォリィが後を追い、イグナートとシュバルツもアンデッド兵へと向けて走り出した。
イレギュラーズの高い連携、作戦に加え、『エンピレオの薔薇』の援護があったことで不死兵の撃退は成功したと言ってよいだろう。
そして戦いは孤立する魔種ギールグへと向かっていく――
●求めた力の行方
場面は『エンピレオの薔薇』が咲き誇る少し前に戻る。
屋内での戦闘を繰り広げる貴道、ヨハナ、そして魔種ギールグ。
肥大化した身体に有りながら常識離れした速度で室内を動き回るギールグに対し、どっしりと構えてジワジワと距離を詰めていく貴道。
「相変わらずおかしな速さですけどさすがの貴方でも室内は動きにくそうですね! ここまで何の策も無しに付いて来た貴方の負けですよ! ギールグ!」
状況的には誘い込んだ二人の方がピンチではあるのだが、ヨハナは突き抜けの明るさで勝利宣言をしギールグの集中力を乱す。
防御に専念するヨハナとは、出入り口の前に陣取ってギールグをこの”リング”から逃さないように位置取った。
「ギチギチギチ。何ヲ、企ンデ、イヨウ、ト、無駄、ダ!
俺ハ、知ッテ、イルゾ! 貴様、デハ、俺ヲ、捕マ、エル、コト、ハ、デキナイ!」
これまでの戦闘経験から自身のスピードに付いてこれるわけがないと高をくくったギールグ。それに対して貴道は、この日最高の集中力を見せていた。
肥大化したギールグの身体から多数の虫が放たれる。そのどれをとっても常人ならば耐えられない痛みを齎す虫であり恐怖心によって怯むはずだが、貴道は眉一つ動かさず自身の射程に入った虫を高速のジャブによって的確に叩き落としていく。
「ギギギ……!」
使役する虫がやられたと見れば、ギールグ自体が貴道に飛びかかる。尋常成らざる速度から放たれる節足の突きが貴道を襲い、その肌に赤黒い痕を刻みつける。
だが、貴道は不敵に笑う。
「HAHAHA、命を取ったと思ったか? ああ、今までのミーならそうなっていたかもな。
だが、これで三度目だ。
ボクサーを舐めるなよ。目は十分にてめぇの動きを拾えてるぜ」
「ギギィィ……!!!」
相手が尋常成らざる速度で動くのならば、それを上回る動体視力と反射神経を持てばよい。
防御を意識したスウェーからのフックが確かな手応えと共に軽快な音を鳴らしギールグをはね飛ばした。
「わお! いい音っ! 良いですよ! その調子です!
出口はヨハナがしっかり守りますからね! 存分にやっちゃってください!」
茶々を入れるヨハナを、ギールグが睨み付ける。
魔種である自分が逃げるつもりなどないのだと、威嚇するようだった。
殴り飛ばしたギールグに、貴道は変わらぬ集中力を維持しながら言葉をぶつける。
「強くなりたい……痛いほど分かるさ。
自分よりも強い奴がこの世に居るなんて、どうしたって許さねえよな……」
「ギギギ……アア、ソウダ、トモ! ダカラ、俺、ハ、コノ力、ヲ、手ニ、入レタ!!」
飛びかかるギールグの鋭い一撃を、貴道はスウェーによって致命傷を避ける。そしてもう一度、クリティカルな音を響かせるストレートを叩き込んで言い放つ。
「だから、てめえはそこまでだ。そこから先には何もねえ。てめえは手段を間違えたんだよ!!」
「ギギギギギ!!!
ワカラ、ナイ!! ワカラ、ナイ!!
貴様ダッテ、力ガ、欲シイ、ダロウ!! ナラバ――!!」
狂気がギールグから放射される。欲望を刺激し、底なしの沼に引き釣りこむようなどす黒い狂気が。
「もう引っ張られたりはしませんよっ! これ以上おっぱいを抉られてなるものですかっ!!」
狂気の波動を受け一度は呼び声に飲まれ掛けたヨハナは、今一度自身に降りかかる狂気に抗い、抵抗し、持ち前の明るさで撥ね除けてみせる。
「ギギギィィ!
俺ノ、力ト、ナラナイ、ノ、ナラ! 貴様等ハ、ココデ、殺ス!」
「HAHAHA! やれるものならな!
身に余る力に飛びついて研鑽を怠ったような奴に、負ける気はしねぇよ!!」
巨体の二人が狭いリングの上で互いの力をぶつけ合う。
「ヨハナだって見ているだけじゃありませんからね! 忘れては困りますよ!!」
ヨハナも攻撃に加わり、魔種ギールグへと立ち向かう。
しかし、どれだけの精神的優位に立とうとも、やはり人と魔種の絶対的な力の差は、如実に表れる。
防御を優先したこともあり、即座にやられてしまう、ということはなかったが、不利であることに変わりはないのだ。
状況的不利を覆すには、やはり仲間の終結が必要不可欠。外の仲間は上手くアンデッド兵を倒せただろうか――そう考え始めたとき、室内にも感じ取れるほどの魔力の奔流が広がった。
「ギギギ!? コレハ――!?」
何かに気づいたギールグが全身を弾丸にして出入り口を封鎖する二人を撥ね除けて外へと飛び出す。
上空から様子を確認すれば、白薔薇の幻影とともにアンデッド兵達が次々に倒され塩へと変わっていく様子が見えた。
程なくして、ギールグの元にイレギュラーズ、そして一部の聖騎士団員が集結する。
「皆さん! 無事に片付けられたようですねっ!」
「そっちはだいぶやられたようだな、待ってろ今治療をしてやる」
ウィリアムが魔力を編んで貴道とヨハナを治療する。
それを見下ろしながらギールグが――怒り、焦燥、苛立ち――様々な赤黒い感情を巡らせて歯ぎしりする。
「オノレ……オノレ……人間ガ、タカガ、人間ガ……! ナゼ! 抗ウ! 抗エル!
絶対的ナ、力ヲ! 圧倒的ナ、力ヲ、前ニ、ナゼ!!」
ぞわぞわとギールグの身体から蟲が這い現れ、ギールグを中心に広がっていく。
滅びの羽音。
イレギュラーズを持ってして防ぎようのない悪魔の如き蟲の大行軍が動き出す。
「みんな来るよ!」
セララのかけ声とともにイレギュラーズが互いをかばい合うように防御態勢を取る。
「やれることはやらせてもらうぞ――」
ラルフが薬瓶を上空へと投げ自らの攻撃によってそれを割る。虫を酔わせる薬品がイレギュラーズの周囲へと振りまかれて、世界を埋め尽くさんとする虫に対するヴェールを張り巡らせる。
視界が、世界が蠢く蟲によって埋め尽くされる。身体を蝕み、動きを阻害する力は前回に比べると弱く感じられた。ラルフの薬品が十分な効果をだしていたからだ。
それでも、そこから繰り出されるギールグの全力突撃攻撃に慈悲はなく、撥ね除ける奇跡も起きはしない。
絶大な威力を叩き出す、魔種だからこその反則技がイレギュラーズの体力を根こそぎ奪い取っていく――はずだった。
「ギギィ! バカナ! 耐エタ、ノカ!」
それはラルフの薬品のお蔭でもあっただろう。作戦もよかっただろう。一度ならず二度、三度と味わった技だったということもあるかもしれない。
しっかりと全員がまとまった考えで対策を講じたことで、その魔種の最強技をイレギュラーズは――状態の差はあれど――耐えきることに成功したのだ。
「ギギギィ!!
ヤハリ、集ノ力――蟲ノ、ヨウナ、小サナ、力、デハナイ、大キナ、集ノ、力ガ、必要、カ!」
「それは違う――集団の力が強いんじゃ無い。ボクらは仲間だから強いんだ!」
ゆらりと立ち上がるセララ。後に控える仲間達も満身創痍ながら立ち上がっていく。
「魔種ギールグよ。お主、何もかも見失っておるのじゃな。
お主の側にはこれほどまでに大きな力があったというのに――」
潰され動きを止めた蟲の死骸へと視線を向けながらデイジーが言う。蟲使いの力の本分。それは共に生きる蟲とともにあったのではないのかと。
だが、すでに強欲に目の眩んだギールグは、それに気づくことはない。「ワカラ、ナイ」とぼそぼそと繰り返しながら、更に追い打ちを掛けようと肥大化した節足を振り回す。
「虚ろよな貴様は」
残った薬品全てをギールグに叩きつけ、怯んだ所にラルフが飛びつき組み付く。
「自分の持つ力すら理解せず、ただ目に見える形としての力にこだわるなど――ただ、ただ虚ろよ。無意味に拘る姿は滑稽よ」
「ギギィ! ギギィ!」
癇癪を起こすように組み付いたラルフごと壁にぶつかり引きはがそうとする。しかし組み付いたラルフは渾身の力を籠めてギールグを締め上げる。こうなってしまえば意識を手放すまで離れないだろう。
「可能な限り体勢を整える。皆集まってくれ」
ウィリアムが救いの音色を奏で上げ体勢を整える。ウィリアムはこの戦いで多くの者の傷を癒やし、完璧な仕事をしたと言って良いだろう。
回復がおわったと同時ギールグの咆哮が響いた。遂にラルフを引きはがすことに成功したギールグが、意識を手放したラルフを投げ捨てたところだった。
ギールグの身体から魔凶、呪縛を振りまく蟲が放たれる。
「ヨハナが引きつけますっ! 皆さん後はお願いしますよっ! ヨハナ達の絆の力を見せてあげましょう!!」
抵抗力に富んだヨハナが蟲を引きつけるように駆け出して、ギールグまでの道を切り開く。
しかしギールグも狂気を拡散させ、イレギュラーズの進行を妨害するどころか、隣に並び立つ聖騎士団員達を汚染しようと企んだ。
「大切な人を心に思い浮かべて。ボクらは絶対、その人達を守り切るんだ!
呼び声なんかに負けないで! 勝利して帰るんだ!」
セララの鼓舞は確かに聖騎士団員達の心に響いただろう。元より正義の心を強く持つ者達だ。苦しみながらも邪念を振り払おうと強く心の剣を輝かせた。
「ナゼダ! ナゼ、アラガエル!! 絶望的ナ、力ヲ、前ニ、頭ヲ、垂レテ、平伏セ!」
それはきっと――いつかの誰かがしたようにと。
ギールグの鋭い節足がシュバルツに襲いかかる。為す術無い一撃に覚悟を決めたシュバルツだったが、それをイグナートがその身を盾に庇い防ぐ。
「シュバルツ、キミの力は楔になる! やってしまえ!」
「助かった――任せておけ!」
ステップを踏んでシュバルツの魔術と格闘を織り交ぜた怒濤の連撃がギールグに突き刺さる。高いスタミナを持つ魔種であろうとも、致命的なダメージを逃れることのできない、暴風のような連撃だ。
「ギギギ! ナゼ! ナゼ!?」
理解が及ばない。否、それはわかっていたことだ。
いつも心のどこかで理解していたこと。
力強き存在に抗うことのできる力。それは仲間の存在。共に戦う力強き存在。いつもそれを求め、探していた。
けれどギールグにとってそれは――いつか捨てた者(蟲)だった。
だから理解できない。してはいけない。してしまえば、それは魔種となって”友達”を捨てた自分を否定することに他ならないのだから。
イレギュラーズの猛攻に、ついにギールグの心が折れる。
負ける――殺される。
それはダメだと、捨てたはずの心が叫んだ。生き抜かねばならない。
一歩後ずさり、二歩身体が反転仕掛ける。
「――! 逃がしませんよ害虫」
ヘルモルトが察して退路を防ぐ。
「ギギギィ! 邪魔ダァ!!」
隠し持った力を発揮し無尽の節足を振り回す。防戦に徹するも防ぎ切ることはできない。だがヘルモルトは十分に時間を稼いだ。
「やぁぁ――!!」
シフォリィが渾身の力を籠めて、羽ばたこうとするギールグの羽根を切り裂いた。バランスを崩したギールグ。
「逃がしはしないのじゃ」
デイジーの魔力が小さな月を生み出して、ギールグの足を止める。
「これがキミには無い力! 絆の力だ!」
セララが二対の聖剣を十字に振るう。ギールグの肥大化した胸部を切り裂きドス黒く変色した血が噴き上がった。
「ギギ、イヤダ、負ケタ、クナイ! 死ネル、モノカ!!」
窮鼠猫を噛む。逃げられないと悟った瞬間死に物狂いの発狂攻撃へと転換するギールグが、イレギュラーズを叩きのめしていく。
「殺らせはしない――! 全員生きて帰らせる。希望の星を見せてやる!」
ウィリアムが最後の力を振り絞って仲間の致命傷を塞いでいく。
その回復を受けながら暴力の嵐の中に飛び込んだのは、三度、この魔種と命のやりとりをした貴道だった。
「諦めな、てめぇは負ける。ここで終わるんだよ。そこら中に転がる”友達”のようにな」
「ギギギギィ――!」
無数の節足が貴道を襲う。その悉くをスウェーで交わし、業炎噴き出す右の拳で打ち落としていく。
そうしてその間合いへと踏み込み、ギールグの醜く歪んだ顔へと丹念に磨き上げた左のジャブを叩き込んでいく。
それは、それこそは人が――貴道が鍛え上げ育て上げた人の可能性の証であり、ギールグが手放したものに他ならない。
その重みは誰よりも手放したギールグが思い知ることとなった。
ぐちゃぐちゃに歪んだギールグの顔が、空を仰ぐ。
「ギ……ギギ……違ウ……俺ハ……間違ッテ……ナイ……」
「いいや、違うさ」ボロボロになった身体で、貴道は言う。
「魔種になんてならなけりゃ良かったのさ。なまじ反則技を知っちまったばかりにてめえはそこで這いつくばってる」
ギールグの真っ赤な複眼が地面で動きを止めた”友達”――使役していた虫達の無残な亡骸を映した。それは今の自分の姿であり、魔種ギールグが見た最後の光景だった。
「ア……アァ…………」
嘆くように、呻くように漏らしながら、ギールグは動くのをやめた。
「……だが、それでも強かったぜ。ああ、てめえは強かった」
貴道の相手に送る最大の賛辞は、亡骸となったギールグへと届いただろうか。
この時を以て、魔種ギールグは滅び、聖都へ侵攻していた一つの遊撃隊を潰すことが敵ったと言えた。
イレギュラーズは互いの無事を確かめ合いながら、聖都を取り巻く戦いの行方を案じるのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
依頼お疲れ様でした!
MVPは貴道さんへ贈ります。おめでとうございます。
ウィリアムさんには称号が贈られます。こちらもおめでとうございます。
またのご参加をお待ちしております!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
聖都での決戦が始まりました。
魔種ギールグとも決着の時です。
●依頼達成条件
魔種ギールグの撃破
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
出ている情報は信用足るものですが、それとは別に不測の事態が起きる可能性があります。
●注意事項
この依頼に参加する純種は『原罪の呼び声』の影響を受け、反転する危険性があります。
また、この依頼では”パンドラの残量に拠らない死亡判定”があり得ます。予めご了承の上、ご参加ください。
●状況について
フォン・ルーベルグを目の前に魔種ギールグ率いるアンデッドの軍勢が侵攻中です。
イレギュラーズ及び聖騎士団のチームで、これを抑える必要があります。
魔種側の目的はフォン・ルーベルグ内に侵攻し、クリミナル・オファーによる狂気拡散で混乱を齎すことにあります。
市街地への侵入を防ぎながら、魔種ギールグを討ち取りましょう。
●ギールグについて
蟲使いのハーモニア。
飽くなき力を求める魔種で、個人の力だけではなく集団の力も欲している。
片言の言葉遣いはムシを思わせるそれで、変貌した歪な蟲の姿はもはや人ではない、魔種と呼ぶに相応しい姿でしょう。
イレギュラーズに対し大きく敵対心を持っており、見つけ次第集中的に狙うようです。特に顔見知りは優先的に狙うでしょう。
無数の節足を伸ばし、戦場を蹂躙する。
回避、機動力が超越しており、ブロックするには三人以上の手が必要でしょう。
また羽根を広げ飛行する能力が確認されており、飛行ペナルティを受け付けていないようです。
垂れ流される狂気は近距離レンジを支配し、レンジ内のものに狂気を齎します。
また身体中より無数の蟲を発生させ遠距離レンジ内にランダムで魔凶、呪縛、停滞をバラ撒きます。
蟲使いとして本性を現すと、上記に加え、
白蟲の鎌(物近範・高威力、防無、必殺)
EX蟲軍行進(全体範囲・連、恍惚、防御不可、特大威力)
を使用します。
●アンデッド兵について
ベアトリーチェによって作り出された不死なる兵隊です。五十体います。
戦闘能力はそこそこで、特にEXFが極めて高く対処するのも苦労するでしょう。
ギールグが死ぬと行動を停止します。
●聖騎士団について
四十名からなる部隊です。
練度は高く、アンデッド兵とも十分に戦えるメンバーですが、必殺スキルを持ち合わせていません。
彼等をフォローしながら立ち回る必要はあるでしょう。
イレギュラーズを勇者や英雄と褒め称えており、指示には従います。
●想定戦闘地域
聖都フォン・ルーベルグ周辺での戦闘になります。
建物はいくつかありますが、視界は良好。戦闘は問題なく行えます。
そのほか、有用そうなスキルには色々なボーナスがつきます。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
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