シナリオ詳細
レッツ・猛毒クラゲ狩り!
オープニング
●とある漁師達の会話
時刻は早朝の6時。場所は『海洋』の沖で、漁船が浮かんでいる。
今日も漁師達は魚介類を網から元気に引き上げる。
新人漁師は網に絡まるぶよぶよと動く透明のゼリー状の物体を見つけた。
「ん? 何だこれ? あ、クラゲか! 先輩、クラゲが網に引っ掛かったみたいですので、取り除きますね?」
先輩漁師は、いや、待て、と制止する。
「うかつに触らねえ方がいいぜ。そいつは猛毒クラゲだ。刺されると大変な事になるぞ。特に夏場には、害獣になるから駆除したりするんだ」
あ、なるほど、と新人漁師は頷く。
「んじゃ、釣り網に引っ掛けて、海に捨てた方がいいですか?」
「おう、釣り網に入れてこっちへ持って来てくれ。だが、捨てるなよ? もったいないぞ?」
何がもったいないのか? 新人漁師は不思議だ。
「猛毒クラゲっていったら、この辺ではごちそうだぜ? クラゲから猛毒を取り除くと、うめえクラゲ料理になるんだぜ?」
国外出身の新人漁師はびっくり仰天だ。
「な、なんと? こいつ、食えるんですね?」
先輩漁師はまな板と包丁を持って来た。
「そろそろ休憩の時間だし、俺がさばいてやるよ。俺は、猛毒クラゲの毒抜きの免許も持っているぞ」
「え? マジっすか? ぜひ食ってみたいですね」
●クラゲ狩りでもするか!?
『海洋』首都リッツパークから離れたとある郊外には『クラゲ亭』というレストランがある。
その名の通り、クラゲ料理を中心とした海鮮料理の専門店である。
とある日の昼頃、『黒猫の』ショウ(p3n000005)が店前のテラスでクラゲ料理をウィスキーで楽しんでいた。
「ふふ……。パスタ状のクラゲのコリコリとした触感に濃厚な海鮮風味のドレッシングの味わいがたまらないよね……。ウィスキーみたいな強い酒に負けていないどころか、アルコールの味をさらに引き立ててくれる……。美味い酒には美味い料理、これはもはやセオリーだね」
本日、ショウは休日である。『海洋』で羽を伸ばしているのだ。
そこに偶然、あなた達が休日の彼を目撃してしまう。
そして、思う。なんかショウが面白い料理を食べているな?
「おや? キミ達は……? いつもお世話になっているね。で、オレが何を食べているかって? これはクラゲ料理。この辺では割と有名な料理だよ?」
あなた達は、ついついショウに味見を要求してしまう。
「ダ、ダメだよ!! あげないよ!? これはオレのクラゲだからね! 欲しかったら依頼を受けて、クラゲ狩りでもしたらどうかい?」
実は、ここだけの話だが、情報屋自らが依頼を受けて、猛毒クラゲを数桶も討伐したのだ。
クラゲ料理が欲しかったが為に。
休日の所悪いが、ショウから詳しい依頼の話を聞く。
「今、オレが食べている猛毒クラゲというのは、夏場には海辺で害獣となる魔物なんだよ。猛毒を持つから、海水浴、サーフィン、釣り等の客を困らせたりするんだよ。その為の予防策として、この地域のレストランや海の家なんかがクラゲ狩りの依頼を出しているんだね。狩ったクラゲは、依頼元で毒を抜いて調理してくれるから、食べる事ができるよ」
なるほど、そういう事だったのか。
では、レッツ・猛毒クラゲ狩り、と行こうか!?
- レッツ・猛毒クラゲ狩り!完了
- GM名ヤガ・ガラス
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年06月26日 21時25分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●狩り
広々とした鮮やかな海から心地良い波の音が聞こえてくる。
多数のクラゲがぷかぷか浮かぶ海辺にイレギュラーズが現れた。
「ん~! いいわね! よく晴れた日に海水浴! おまけに美味しいクラゲも食べられるなんて最高ね。いい男が転がってないのが残念だけど」
素敵な赤いパレオ水着に包まれた『魅惑の魔剣』チェルシー・ミストルフィン(p3p007243)は、両腕を伸ばしながら青い海を見渡す。
「いやいや、君? いい男ならここにおにーさんがいるよ? しかし、ローレットから借りた『スクール海パン』ってなかなか恥ずかしい響きだよね。おにーさんの年齢的に。全裸の方が恥ずかしくない気さえする」
『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)は軽いノリでそう言い放つ。だがご安心。ヴォルペはちゃんと海パンを履いているのだ。
実は彼ら、今日は海水浴に来た訳ではなく……。
「クラゲ料理かー。イカやアジほどじゃねーけど結構いけるんだよなーアレ。とーちゃんに何回か食べに連れてってもらった事があるんだぜー! んで、クラゲを倒せば作ってくれるのか? よっしゃー! それじゃうめえクラゲ料理の為にがんばるぜー!」
涎を垂らしている水着着用海豹の『とっかり』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)はそう語る。しかし、クラゲ料理を食べる為だけに来た、という訳でもなく……。
「見渡す限り、海にクラゲが大量発生……? 話を聞く所、そんなに強くはないみたいですが、猛毒も持っているみたいですし、怖いですね……。これでは、海で人が泳ぐ事もできませんから、早めに駆除してしまいましょう」
本日も普段着で臨む涙目の『コールドティア』アナスタシア(p3p006427)の発言はとても正しい。そう、本日、彼らは害獣となる猛毒クラゲを狩りに来たのである。クラゲ料理のお楽しみはまだ先だ。
「クラゲ狩り、か……。害獣っていうからには、駆除するのもやむなしかね。普通のクラゲでも問題なのに猛毒持ちとはね……。まぁ、やれるだけやってみようか」
セーラー服に身を包み、その下にスクール水着を着ている『天京の志士』鞍馬 征斗(p3p006903)もクールにそう言う。世話好きなので本日の害獣退治に参加した次第だ。
「よくクラゲっぽいねって言われます……そんなふわふわしてますかね私……。しっかり芯の通った海の男のつもりなんですが……。この依頼で頼もしい所をお見せすれば少しは印象も変わりますかね?」
浮いているクラゲの群れを見ながらそう呟くのは水陸両用着衣の『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)だ。本日のクラゲ狩りは彼女にとって「海の男」を極める為の試練の一環となる事だろう。
「毒っていいよね……。適量なら人生に深みを与えてくれるし、実は結構おいしいらしいし。でも必要以上に猛毒をまき散らされるのは迷惑だし! ここは華麗に狩って、おいしくいただいちゃおうぜ、ロックンロール!」
愛用のエレキヘブンから電子音を鳴らす『ラスト・スカベンジャー』ヴィマラ(p3p005079)はロックにそうキメる。マリナと同じく、普段着で海へゴーだ。
本日、夏の開幕と共に猛毒クラゲ討伐が始まった。
●海上戦
早速海辺へ突入しようとした時、砂浜に猛毒クラゲがいた。
ざっと5桶は漣に揺られて浜辺でゆっくりしている。
ワモンはニヤリと笑う。
「へっへー、クラゲがいっぱいいやがるぜー! こりゃ大漁が狙えそうだな! まずは数を減らすとこからだな! オイラのガトリングがイワシを噴くぜー!」
ワモンが背負っているガトリング砲から大量のイワシ爆弾がピチピチと弾けて爆発を起こす。ほんのり生臭いが、威力は抜群でクラゲ達が爆発していく。
続いてマリナが攻撃を仕掛ける。
「とりあえず、滅茶苦茶数が多いので……手前から数を減らしていきましょー」
海の男の魔銃を構えたマリナからとっておきの氷魔弾が弾け飛び、クラゲが弾けた。
ヴォルペも楽しそうに追撃だ。
「おにーさんも加勢するな。そーれ!」
両手に貯めた聖なる光をクラゲにぶん投げる。でもちょっと距離が足りなかったので、少し前に出てからぶん投げた。
前衛3人分の奇襲攻撃を受け、浜辺のクラゲ達はあっけなく滅びた。
「よっしゃー! 道が開けたから海に入って突撃だぜー!」
ワモンを先頭にして、海上班のメンバーがぞろぞろと海へ突入して行く。
浅瀬に入るとクラゲ達が迎撃に来た。
クラゲ達が先頭のワモンに集って来るが、勇敢な海豹は恐れる事がない。
「海豹流水中せんとーじゅつってのを見せてやるぜ!」
アウオー! という掛け声と共にワモンの水中格闘技が冴える。
手前のクラゲを尾で蹴散らした後、空中高くへ舞い上がり、一回転して、急降下と同時に鋭利な蹴りを敵に叩き込んだ。まるでダイナマイトが爆発するかのようなキックが鮮やかに決まった。
マリナは海に入ると、錨の様な重しがついた縄を取り出してぶんぶん回す。
近くにいる大きなクラゲにヒットさせると、そいつを巻き付けて、陸へぶっ飛ばす。
(海に入りづらい人達もいるのでクラゲを浜の方へ飛ばしますか)
それを見ていたヴォルペが楽しそうにやって来る。
「浜に向かってクラゲを吹き飛ばすんだな? そっか、掴んでぽーいってやれたらいいな」
同じスキルは持っていないがヴォルペも試しにやってみる。
「そーらよっと!」
近くにいた小さいクラゲを衝撃で吹き飛ばし陸へ揚げた。
「いい感じですね、ヴォルペさん? そこらにいるクラゲ達もついでに陸へ飛ばしておきましょうか?」
「そうだな。もう一発やってみるかな」
マリナは大きなクラゲを狙い、ヴォルペは小さいクラゲを狙った。
合計で大きなクラゲ2桶と小さなクラゲ2桶が続々と陸地へ送られたのであった。
その後、クラゲ達からの軽い攻撃を受けるものの、未だ誰も特に負傷はしていない。
ヴォルペは今、手前のクラゲと戦闘している。
「とうっ!」
大きな水音を立てて攻撃をするが、相手は水中戦の専門だ。
水場に多少慣れているヴォルペだが、攻撃は当たりづらいのかもしれない。
ぴょこん!
クラゲが海中からジャンプして触手攻撃だ!
「へへん! そう来ると思ったよ!」
飛んでくるクラゲの跳躍力とヴォルペの腕力の反動で、クラゲにきついカウンター攻撃が決まった。やられたクラゲはざぷん、と海へ落ちて行った。
戦闘が順調で上機嫌になっているヴォルペは気が付いたら浅瀬ぎりぎりの所にいた。
「まだ浅瀬なら多分、大丈夫……。おにーさん、泳げないから足の着かない場所までは深追いしません、と」
そのつもりだった。
次の瞬間、足元にいたクラゲ達がぬめぬめと触手で奇襲だ!
「う、うわあああ!」
これにはヴォルペも足を滑らせて、海中へざぷんと突き落とされた。
そしてクラゲ達が5桶もうじゃうじゃ集り、ヴォルペを沖まで連れ去ってしまった。
沖へ連れ去られたのは彼だけではなかった。
近辺で戦っていた『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)も足場を奪われ、海中へ叩き込まれ、5桶のクラゲ達によって誘拐されてしまった。
海上戦がヒートアップしている中、他の仲間達は沖へ連れ去られた2名に気を配る余裕すらもなかった。
ワモンは既に3桶ものクラゲを対戦で屠った。
だが、ワモンが、水中戦が得意であると同時にクラゲ達もエキスパートだ。
今まではなかなかクラゲの至近攻撃がワモンに入りづらかったのかもしれない。
クラゲ達は戦術を変え、2桶同時に猛毒をぶんぶんと振り撒いて来た!
「ぐっ、ぐはぁ……!! しまったぜ、毒か……!!」
ワモンは毒に対する抵抗に弱いらしく、すぐに感染してしまった。
全身に強い毒が駆け巡り、もうふらふらだ。
(ちっ、無理せず陸地に一時撤退だぜ!)
ワモンは全力で泳いで逃げ、陸地を目指す。
随分な数のクラゲ達が既に落とされている。
逃亡を考える者もいた事だろう。
マリナは人魚モードに変身して、逃亡するクラゲ達を猛速度で追い駆ける。
(そこ、甘いですよ?)
海の男の銃が鋭い氷を吐き出し、とびっきりの魔弾がクラゲを追撃して行く。
既にマリナは2桶落している。
3桶目も落した、と思ったその瞬間……。
視界に嫌な黒が遮った。
隠れていたクラゲが猛毒を振り撒いたのだ!
(くぅっ……。まずいです……きつい毒が体に回っていますね……撤退です……)
●陸上戦
時間は、砂浜のクラゲ達が海上班の最初の奇襲により滅びた所まで遡る。
ワモン達が海へ突入した後、他のメンバーは陸に残り、砂浜で戦う事にしたようだ。
まずアナスタシアが動いた。感情を封印して、戦闘モードに入る。
なお涙が出ていたがこれは悲しい訳ではなく普段の仕草だ。
残っている皆に話し掛ける。
「ぼくらは可能な限り海には入らず、砂浜からの距離攻撃でクラゲを落していきましょうか? まずは敵の数を減らす事を優先しませんか?」
ヴィマラがこくりと頷く。
「ワタシも基本的に遠距離からの攻撃で行くよ。海上戦には気を付けつつ、陸地からロックに攻撃開始だぜ!」
征斗とチェルシーも同意見だったので賛成する。
4人で海辺ぎりぎりまで進み、射程の長い攻撃で目視できる範囲のクラゲ達を狙い撃った。
アナスタシアは細氷の幻影をまといつつ、強力な魔弾を海へ撃ち込む。
(神秘攻撃をすると寒くはなりますが、最近は少し暑いので涼しいくらいでしょうか。ぼくの体感温度しか変わりはありませんけれど)
ヴィマラは己の中から純心な何かを切なそうに取り出して、それを海へ放つ。
クラゲ達がいる海上には息が詰まりそうな程の緊迫した霧が襲う。
「いっけぇー! ワタシのロック魂!」
征斗は華麗に舞い、神秘を生成した。
そして、手元から氷の華を投擲し、氷華はやがて雷撃となり破砕する。
「まぁ、ランダム攻撃になるけど……攻撃が入りづらいからこそ……かな」
チェルシーは澄んだ声で青空と絶海に向かって歌い始める。
「ああ♪ 呪わしき♪ 絶望の海よ~♪」
呪われた音符達が海辺に浮くクラゲ達へ贈られる。
しかし……。
海にいるクラゲを遠くから狙った攻撃は当たりづらかったのだろうか。
これだけやってもわずか3桶しか仕留められなかった。
と、思っていたら……。
「う、うわあん!?」
ヴィマラが悲鳴を上げた。
それもそのはず、大きなクラゲが空から降って来て、彼女の顔面に触手攻撃したからだ。
「ん?」
アナスタシアにもクラゲが降って来て、肩にぺたりと乗った。
だが感情を封印しているので、何ともない顔で、ぱしり、と叩き落とした。
大2桶と小2桶のクラゲが海上班により陸に飛ばされたとの事だ。
「ふむ……。これは、チャンス……かな」
征斗は間髪入れずに魔力を手元に蓄えて、大きなクラゲに全力で叩き込んだ。
「そうね、仕事はしっかりしないとね!」
チェルシーも氷の鎖を生成すると、鎖を投げて、先端をクラゲに突き刺して攻撃する。
「追撃します」
アナスタシアは、氷晶が美しく輝く踵落としをクラゲに喰らわせた。
猛毒クラゲは水中では機敏だが陸に揚がるとすごく弱いという話は本当のようだ。
エレキヘブンで大きな電子音を立てているヴィマラが叫ぶ。
「やっぱ海水浴場には、暑い日差しに負けねーくらいの、ロックでアゲアゲな音楽っしょ! ロックンロール!」
ヴィマラの熱くハードな演奏によって皆のテンションが上がり、アゲアゲな気分でクラゲ達を屠った。
倒してしばらくすると、最初の状況に戻った。
この班は海中に入らない方針なので、砂浜から海にいるクラゲを狙うしかない。
「上手く当たってくれれば良いんだけど……弾幕行くよ……!」
仕方がないので、征斗が無数の魔弾を生成しては海へ爆撃していく。
彼に続く形で、ヴィマラが直線状の呪詛攻撃を撃ち込んでみた。アナスタシアとチェルシーが氷の鎖を海へ放り込んで釣り(?)をしてみたりもした。だが、なかなかクラゲは落ちなかった。3桶退治でやっとだった。
チェルシーがある事を閃く。
「ねえ、だったら、クラゲを陸へ呼ぶのはどうかしら? 私が歌って誘ってみるわ!」
クラゲを歌で誘えるのだろうか?
皆、半信半疑だったが、何もしないよりはずっと良いので試してみる事にした。
歌姫チェルシーは、甘い声で性感を刺激する魅惑的な歌を歌い始める。
「暑い♪ 夏の♪ 海に誘われて~♪ 私を愛して♪ 溺れさせて♪ 抱きしめて~♪」
ヴィマラのエレキな演奏が派手に加わる。
「ヒャッハー! ラヴソングだぜ! 暑い♪ 夏の♪ 海に誘われて~♪」
征斗も楽しそうにスカートや燐気をひらひらと舞わせて踊りつつ、歌を口ずさむ。
「えいえい♪……暑い♪ 夏の♪ 海に誘われて~♪……かな」
ただ、アナスタシアだけは感情を殺した状態なので、息を潜めて海辺を観察していた。
ざぱあああん!
そんな、まさか!
クラゲ達がやって来た。
大1桶、小3桶、アガリ!
だが実はこれ、歌の作戦が上手くいったからではなかった。
大の方はマリナに追い回されて疲れて陸へ逃げて来たのであった。
小の方は陸地が騒がしいので様子を見に来たという事だった。
クラゲ達は陸に揚がるとさすがに元気がない。
チェルシーは好奇心から、ぷにぷにしたクラゲをつんつんと触ってしまった。
「クラゲって触手とかどんな感触なのかしらね?」
びよおおおん、クラゲがジャンプしてチェルシーに吸い付いた。
他のクラゲ達も続き、チェルシーを触手でぬるぬるにしていく……。
「ああん! 気持ちイ……ハッ、私が誘惑されそうだわ!」
アナスタシアから氷の鎖が細氷と共に飛んで来て、クラゲの1桶が引き離される。
「こら! チェルシー様から離れなさい」
ヴィマラと征斗も慌ててすっ飛んで来てクラゲを引き離した。
征斗がチェルシーの猛毒を解除した後、各自クラゲの撃破に掛かる。
「結局、最後は倒しちゃうんだけどね……」
チェルシーはちょっと可哀そうな気もしたが、クラゲ達は容赦なく討伐されたのであった。
海上班も決着が着いたようだ。
まずワモンが帰還し、次にマリナが帰還した。
どちらも猛毒を盛られたようで陸地へ救助を求めに来たのであった。
これには征斗が祈りの力で猛毒へ対処する。
「……うん、これで……ひとまずは、良し、と……」
だが、人が足りない。
海上班にはあともう2人いたはずだ!
猛毒が解除されるとワモンとマリナはぴしぴしと自分の顔を叩き引き締めた。
「わりい、もう一度、海の方へ行ってくるな。仲間が遭難したら大変だぜ!」
「ですね。クラゲ狩りよりも仲間の行方が大事です」
ワモンとマリナはそう言うと元気良く海へ帰って行った。
ワモンには救助のセンサーがあるので、おそらく、大丈夫だろう……。
●事後
ワモン達の努力の甲斐があってマカライトとヴォルペは無事に救助された。
救助された彼らは骨折したり捻挫したりでもうぼろぼろだったのですぐに治療を受けた。
その後、無事な者達で手分けして倒したクラゲを回収袋に詰める作業が行われた。
海上班は海のクラゲを、陸上班は陸のクラゲを、それぞれ手際よく回収できた。
合計で32桶の討伐と捕獲に成功。
上等な結果だ。
「へぇ~。クラゲって、そうやって捌くのね」
チェルシーは調理場でプロのクラゲ捌きを見学した後、クラゲ料理を受け取って席へ帰って来た。
「は~い! クラゲ料理ができたわよ!」
テーブルに大きな皿が置かれると、皆、それぞれの皿にクラゲを取り分けた。
「いやー、夏と海にぴったりの大人の炭酸でクラゲが何とも美味いよね!」
骨折や捻挫等で所々包帯を巻いているヴォルペは黄金の炭酸を飲み干し、ぷはーと吐く。
チェルシーも大人の炭酸をごくりと飲み、ぷはーだ。
「え、未成年のお酒はダメ? 失礼ね! これでも私は101歳よ!」
ヴィマラもお酒を勧められたが……。
「あ、アルコールはいいよ? 呑んじゃうとハメ外し過ぎちゃうもんでさー。つかクラゲ料理って食感がまた独特でおいしくない? プロが作った料理はレベルが違うねぇ」
マリナもクラゲの食感を楽しむ。
「さっき散々猛毒に苦しめられた分、本当に食べられるのか、ちょっと不安でしたが……。食感はなんというか……海鮮風味が広がるぷるぷるですね……美味しいかもです。あ、皆さん、これ共食いではないですからね?」
そして、海洋炭酸水をぷはーと飲み干す。
「これで観光客さんも安心して海水浴ができますね……。海の男としての仕事を全うしました……まぁ私は女なんですが……」
クラゲを黙々と食べながら熱くて黒い珈琲を楽しむ征斗にアナスタシアが疑問を挟む。
「ん……? これ……かな? 甘い物が苦手でね……」
「そうですか? では、わたしも珈琲にしますか……」
ちなみにアナスタシアは涙が出ているが、料理に対する感動の涙という訳ではない。
珈琲を優雅に嗜む2人の横でワモンは猛烈にクラゲを食べ始めていた。
「っしゃー! クラゲ食べ放題だぜー! いっぱい戦ったから腹いっぱい食べまくるぞー! うまうまうま!!」
シメは果汁100%のオレンジジュースでごくりだ。
それぞれがクラゲ料理を楽しみつつ、討伐は無事に完了したのであった。
了
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。
クラゲ狩りのシナリオを書いていたら、思わずクラゲ料理が食べたくなってしまいました。
最近、食べてないなあ……。
とある駅前に中華料理の店があるんですけれど、クラゲ料理も美味ですが、チャーシュー肉まんや麺類も美味しいです。
ん? あとがきが、なぜかグルメの話に!?
GMコメント
●目標
参加者全員で猛毒クラゲを合計30桶以上、戦闘不能にした上で捕獲する。
捕獲した猛毒クラゲを依頼元のレストランに引き渡し、クラゲ料理を楽しむ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●ロケーション
『海洋』首都リッツバークから離れたとある郊外に位置する海辺付近が今回の舞台です。
海水浴、サーフィン、釣り等をする人が多い海岸で猛毒クラゲと戦って頂きます。
当日は、人払いがされていますので、存分にクラゲ狩りができます。
砂浜から海辺浅瀬が今回の行動範囲です。
海辺に入ると「水中親和」等のスキルがない場合、「命中・回避・反応・機動力」に若干のマイナス補正が掛かります。
当日は良く晴れた日で、天候が荒れる心配はありません。
●敵
海辺での戦いとなりますが、戦う魔物は猛毒クラゲのみです。
文字通り、BS猛毒を持ったクラゲです。
数が多く、BS攻撃持ちですが、あまり強くはありません。
『猛毒クラゲ』×30桶
通常サイズの猛毒クラゲです。
大きさは成人男性の両手にたっぷり乗る程度です。
水中戦を得意としますが、陸に上がると戦闘力や機動力等が落ちる為、水辺へ逃げます。
戦闘方法は以下。
・クラゲアタック(A):物至単ダメージ。タックルや触手で攻撃して来ます。たまにランダムでBS猛毒付きです。
・猛毒振りまき(A):物自範ダメージ。猛毒を振りまきます。
・水中親和(P):水中での活動を得意とします。
・毒無効(P):毒系の攻撃等が効きません。
『猛毒クラゲ(大)』×5桶
ビッグサイズの猛毒クラゲです。
大きさは通常の猛毒クラゲの3倍程で、強さも3倍程です。
このビッグサイズを倒して捕獲すると、『猛毒クラゲ』3桶分のカウントになります。
なおサイズが大きいですが、ボスという訳ではありません。
戦闘方法は以下。
・クラゲアタック(A):物至単ダメージ。タックルや触手で攻撃して来ます。たまにランダムでBS猛毒付きです。
・猛毒振りまき(A):物自範ダメージ。猛毒を振りまきます。
・水中親和(P):水中での活動を得意とします。
・毒無効(P):毒系の攻撃等が効きません。
●水着や回収袋
水辺で濡れる戦いとなりますので、水着や海パンがある人は着て来ると良いかもしれません。ローレットのギルトからスクール水着とスクール海パンを無料で借りる事もできます。
猛毒クラゲを戦闘不能にした後に使用する、回収用の大きなビニール袋も無料で借りる事ができます。
●食事
依頼元であるレストラン『クラゲ亭』の方でクラゲ料理を作ってくれます。
たくさん狩れば、その分、作って貰えます。
ドリンクは1杯無料です。(各種、ソフトドリンク、アルコールあり)
ただし、アルコールが出るのは成人PCのみです。
●GMより
初『海洋』での登場となります、ヤガ・ガラスです。
今回、登場しますクラゲ料理のモデルは中華のクラゲ料理です。
クラゲ料理って、実は実在するんですよね。
ですが、本作で登場するクラゲ料理はフィクションで若干アレンジされた物となります。
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