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シナリオ詳細

カリバン霊樹と地底湖の怪物
カリバン霊樹と地底湖の怪物

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カリバン霊樹と地底湖
 大地に突き刺さる大きな剣。
 土部分から計ってもゆうに三メートルはあろうかという両手剣はしかし、誰にも抜くことが出来ない。
 その理由は……。
「これは剣ではなく、樹だからなのです」
 地底に続く螺旋階段を下りながら、案内役のハーモニア女性はおかしそうに言った。
「変でしょう? 地表に出ているのは僅かな光合成をするための幹と葉で、樹木の大部分は地下に広がっているんです」
 階段を抜けると広大な空間へ出た。
 昼間に思えるほど強く発光するヒカリゴケに照らし出された集落。そばに広がる地底湖から水をくみ、洗濯をし、水浴びをする。そんな風景が広がっていた。
 巨大な根っこが張り巡らされたドーム状の空間には、あちこちに住居が作られ、淡い光を窓から漏らしている。
 水浴びをするハーモニアたちはこちらを珍しそうに眺めながらも、水をよくすう大きな葉で身体を隠した。
 苦笑する案内役のハーモニア女性。
「カリバン霊樹は地底湖にわく水と大地にめぐる魔力を吸って生きています。
 私たちはそんな霊樹の神聖な力と地底湖の水によって守られ、生きているのです。
 その返礼としてカリバン霊樹の声なき声を聞き、隅々まで健康でいられるように手入れをし、地底湖を乱すものがあればそれを排除してきました」
 カリバン霊樹とカリバンの一族。彼らは共存共生の関係にあるようだ。
「ですが今回、少々手に負えない乱れが起きてしまったようで……ローレットの皆さんに依頼をした次第なのです」
 ハーモニア女性はそう言い、地底湖のそばで深い水底を指さした。

●地底湖の怪物
「ここからは私が説明するわね」
 『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が、窓から見える風景を背に語り始めた。
 カリバン一族の娘が出してくれたお茶がウッドテーブルに並び、美しい木目のコップが人数分、リラックスするよい香りをたてている。
「この地底湖は北の海と細くつながっていて、ときおりあちら側から魚が流れ込んでくることがあるそうよ。なんだかマリンブルーな話だと思わない?
 普段は地底湖の中だけで一定の生態系が保たれているのだけど……生態系を著しく乱す生物が混入すると大変みたい。
 村人総出で駆除にあたるんだけれど……今回はそれが途切れず頻繁に起こっているみたいなの。
 情報を探ってみたのだけれど、どうやら地底湖の先に怪物めいた巨大魚が巣くっていて、それが頻繁に卵を産んではこちらに強い魚を放っているようなの。
 これを止めるにはこの巨大魚を倒す必要があるわ。
 そして私たちが依頼された『地底湖の環境保全』も、これによって達成されるというわけ」

 巨大魚の見た目は魚でいうラブカに近く、ぎょろっとした目とやすりのような口。細長いシルエット……となかなかグロテスクな外見をしている。
 全長はゆうに5メートルを超え、海中を素早く泳ぎ回っては電撃を固めた球状の魔力塊を放出、発射するという性質をもつ。
 海底の岩場などに生み付けた卵はすぐに稚魚となり、ピラニアめいた魚となって周囲の生物に噛みついてしまう。
 現在問題になっているのはこのピラニアめいた稚魚たちで、生活に使う水は柵やフィルターを通しているからよいものの、食料としてとれる魚がほぼ食われてしまい、また水に含まれる神聖な力が損なわれることから霊樹にもここに暮らすハーモニアたちにもよくない存在なのだ。

「巨大魚の場所までは泳いで行って貰うわ。そのための装備も借りてあるけど……そうね、水中でも十全に活動できる能力があればより楽になると思うわ。
 けれど巨大魚退治は危険な仕事でもあるから、どうしても危なくなったら撤退してくること。いいわね?」
 プルーはそこまで説明すると、お茶に口をつけた。
「……あら、おいしい」

GMコメント

■■■オーダー■■■
 地底湖の環境保全。そのための『巨大魚』の退治。

 退治するまでには二つの段階をとることになります。
 地底湖の奥を『稚魚』と戦い撃退しながら進む段階。
 次に『巨大魚』の居場所にたどり着き直接戦う段階です。

 地底湖を進むにあたって海中活動用装備(海洋王国での大渦事件で支給されたものと同種の装備)が配られるため水中での呼吸や戦闘は通常通り行なえますが、『水中行動』を持っていると色々な判定が有利に働きます。
 (詳細は戦闘パートと一緒に説明します)

■■■戦闘Aパート■■■
 水中装備をつけ、地底湖の奥へと進みます。
 ここでは水中戦闘ルールが適用されます。(これは今回限りの特殊ルールです)
 このとき不安定な動きになるため『命中力、回避力-20。防御技術-30』のペナルティがつきます。
 また自身の最大HPの30%を超えるダメージを一度に受けた場合、呼吸が整えられず1ターン毎に呼吸困難ダメージが追加されます。
 ただし『水中呼吸』のスキル(水中親和含む)をもっている場合これらの効果が軽減されます。軽減の度合いは時と場合とその場の工夫に寄ります。
 尚、『酸素ボンベ』はこれに含まれません。

●稚魚
 大きなピラニアめいた怪魚が密集しており、これを撃退しながら突き進みます。
 稚魚は全員『人間を見たらとりあえず噛みつく(物至単【出血】)』という攻撃を行ないます。
 噛みつきに成功した場合簡単には離れなくなるため、範囲攻撃の巻き込みには注意して下さい。(いっそ味方『ごと』攻撃するプランも、ステータスや連携の仕方によってはアリなはずです)

 水路はそれなりに広く、八人が剣を振り回しながら進んでもまあ問題ないくらいのスペースがあるでしょう。
 ですが一応先頭と最後尾を誰がつとめるかくらいは決めておいたほうがいいかもしれません。(まっさきに襲われるのが先頭。群れを無理矢理抜けた際一番危険な最後尾になります)

■■■戦闘Bパート■■■
※Aパートに引き続き水中戦闘ルールが適用されます。

●巨大魚
 ここでは稚魚は戦闘に加わりません。
 巨大魚を取り囲み、力を合わせ連携して戦ってください。
 巨大魚はHP・特殊抵抗・CT・EXAが高く純粋に強い敵です。
 海中を泳ぎ回り、魔力による雷球を作って発射する能力をもちます。
 『単発雷球(神超単【麻痺】)』『拡散雷球(神中扇【ショック】)』『身体に雷を纏って暴れる(自分を中心にレンジ1範囲【ブレイク】)』の三種類の攻撃に利用します。

■■■オマケパート■■■
 巨大魚退治に成功した後は、集落を観光することができます。
 (余談ですが巨大魚は稚魚も含めて食べられません。持ち帰るのもつらいので、海底に捨てておさかなのごはんにしましょう)
 興味があることや知りたいこと、のんびりしたかったり釣りを楽しみたかったり……と色々あると思いますので、のびのび楽しんでください。

  • カリバン霊樹と地底湖の怪物完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月05日 21時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
死神二振
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
矢都花 リリー(p3p006541)
壺焼きにすると美味そう
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー

リプレイ

●カリバン霊樹の民
 二胡に似た弦楽器が、補足繊細な音色で牧歌的な音楽を奏でていた。
 地底湖に根ざすカリバン霊樹は巨大な地下空間を生み、ハーモニアたちは安全な土地と生活資源を、霊樹は彼らによってもたらされる植物的健康を得ることで共生関係を築いている。大樹ファルカウほど大規模でないにしろ、多かれ少なかれ深緑の民が持っている土着文化である。
 この楽器『ココビナ』も、そんな文化の中で作られた木の皮のみでできた弦楽器である。
 それがドーム状の地底湖エリアに美しく反響し、水の流れる音と混じり合っていく。
「この感じ……好き……」
 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は木で出来たベンチに腰掛けてのんびりと目を瞑っていた。
 里は海洋島育ち。漁師一族『光鱗のアトラクトス』の出身であるイリスにとって、全く異なる文化圏であるはずの深緑カリバン霊樹集落に故郷のような安心感を得ていた。
 というのは、彼女だけの話ではない。
「この場にいるだけで生命力が漲るでござる。心なしか肌がうるおって……」
 『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)も頬に手を当ててほっこりとしていた。
 それこそ故郷の大きな蓮湖を思い出しているのかもしれない。
 弦楽器の音色も初めて聞くものでありながら、なぜだか望郷を思わせた。
「うんうんわかるー。幽霊って基本水場好きじゃん? 水中とか多分天国だよなその理屈だと!」
 両手を腰に当ててはっはっはと笑う『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)。
「おお、ハッピー殿も好きでござるか」
「いや私自身はあんまり?」
 ほとんどブリッジの姿勢でのけぞって真顔に戻るハッピー。
「なぜ言ったのでござるか……」
「冷静に考えたら魚も幽霊になるのかな。陸も空も全部海に集まったら海中の霊圧やばくない? すし詰めじゃない?」
「拙者にいれても……!」
 幽霊ではござらんし!
 とか語っていると、地底湖の説明を一通り読んだ『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が本をぱたんと閉じた。
 こちらは正真正銘深緑出身。それも首都(?)ファルカウの出である。
 水に親しむイリスたちとはまた別のベクトルで、実家に帰った安心感と親戚の集まる法事みたいな緊張感に包まれていた。
「少しは成長したトコロが見せられるよう、張り切っていきましょう!
 今回の駆除対象は……大きなお魚さんでしたか?」
「魚が人を襲うとか、やどかり的に許せないんだよねぇ……」
 いつもなんかにキレている『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)。実際『きれそう』とか呟きながらバールでハサミハンドを研いでいた。
 眠そうに虚空をぼんやり見つめながらバールを『しょーり……しょーり……』てし続けるさまは控えめに言って狂気だったが、眠そうなのもきれそうなのもいつものリリーなので周りは普通に接していた。
 むしろ、それ以上の問題に何人かは直面していたのである。何人かっていうか。
 『貪狼斬り』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)と『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)の二人である。
「どうしよう……水は苦手なんだが……いや、装備があればなんとか、いけるかな……いや、いかなければ……」
 バンジージャンプ手前で躊躇するひとみたく、木製の飛び込み台前で荒っぽい深呼吸を続けるクロバ。
「俺も泳げねえ……水中装備があればいけるのか? そうか……」
 でもなあ、といいながらそれこそバンジージャンプ前にロープの強度をしきりに確認し直すひとみたいになっているサイズ。
 二人はあとがつかえてますのでという言葉に押されるようにして、三台ある飛び込み板の先端までやってきた。
 三台のうち、右にクロバ左にサイズ。中央にきますのは『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
「オーッホッホッホ! とうっ!」
 両手をグーにして高く掲げ、ぴょんと足から湖に飛び込むタント。
飛び込む寸前に指を鳴らすと。
「「きらめけ!」」
「「ごぼぼぼぼぼ――!」」
「「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!」」
 反射的にのっかったサイズとクロバが両手を振り上げた姿勢のまま沈んでいった。
「お二方ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 既視感。

●必殺章切り替えの術
 みんな無事だよ。
 イレギュラーズたちは二車線トンネルほどの広さがある細長い地底水路を、水中装備のライトで照らしながらすいすいと進んでいた。
「ご覧になって皆様! 例の怪魚ですわ!」
 長細く目がうつろでエイリアンめいた口をした、地球の魚でいうラブカに近いシーモンスターが大量に接近していた。
 ラブカを知らない人は脳内でなんかこわーい魚を想像してほしい。知ってる人はそれを想像してほしい。半端に知ってる人はネットで画像検索とかしちゃダメだぞ?(本当に恐いから)
 けど恐いものをうっかり見ちゃった人のために和む映像でカウンターしておこう。
「作戦通りいきますわよー!」
 タントは両手をグーにして突き出したまっすぐな姿勢でぐおんぐおん潜水移動していた。
 両腕も両足もぴーんとしたまま髪のドリルがなんかすごい勢いで回転していた。
 タント様のドリル泳法である。
 が、もちろんただ愉快な泳ぎ方をしているだけではない。
 タントの放つなんか楽しい空気が下呂左衛門やハッピーたちの回避および命中値に実際的な強化補正値を与え、作戦の成功率を直接的に引き上げているのだ。
「おーけーおーけ私に任せなエブリワンッ!」
 ハッピーは足、というかあの幽霊っぽいうにょうにょしたやつをドリルめいて回転させると、魚たちめがけてまっすぐ突っ込んでいった。
「わたしをみろー!」
 一旦数字と効率の話をしよう。
 密集と言えるくらい大量にいる魚モンスターに対して『Look at me !!(名乗り口上互換)』は非常にマッチしたスキルだが、そこで一旦命中値に注目したい。
 『名乗り口上』は広範囲に【怒り】効果をまき散らす強力なスキルだがその反面ダメージのない【無】属性攻撃である。よって当たらない場合は空振り行動とほぼ同義であり、特殊抵抗判定を突破できなければそれもまた同義という非常にリスキーなスキルでもあるのだ。(タント様が重要な仕事をしてる部分でもある)
 それでもマッチしたスキルだと言えるのは、個体レベルの低い敵が密集するほどいれば、低い命中値でも抵抗突破まで成功する個体が少なからず現われ、その複数個体が集中攻撃を仕掛けた場合無視してよそへ行くのは一見無意味に思えるからだ。
 (逆に、無意味だと理解した時点からスルーされるので、思考力がそれなりにある相手には短時間しか有効でない作戦である)
 稚魚たちはそこまでの知能がなく生態系を軽く破壊しちゃうくらいには愚かなので、結果としてハッピーが巨大な団子に見えるくらいには密集した。
「密集しすぎ……」
「けど、チャンスだ。集中攻撃をしかけよう!」
 サイズが鎌(もとい本体)を、リリーがバールをとって構えた。
「せー、の」
 リリーは円錐形の貝殻に身を押し込め、水圧推進によってリリー団子へおもむろに突っ込んだ。
「常識がわかんない魚は……バールですり身の刑しかないよねぇ……」
 衝突。そして衝撃。
 無数の魚が衝撃によって吹き飛ばされ、他ならぬハッピーも一緒に『ぴゃー』といって吹き飛ばされた。
 同士討ち、ではない。
「幽霊は不死身! 何度でもよみがえるさ!」
 ダブルピースで無事をアピールするハッピー。幽霊だからっていうかEXF値が90オーバーあるせいで、稚魚程度では決定的なトドメがさせないのだ。
「けど不吉は入れちゃだめなんだよな!?」
「勘弁な!」
 あいわかった、という調子でサイズは鎖を握ったまま鎌を投擲。
 ハッピーが飛ばされて餡子が抜けた団子に突き刺し、妖精の血をぶわりと噴出させた。
 周囲に散らばった血が稚魚たちを巻き込み、炎を上げて身を切り裂いていく。
「ハッピーさん、痛みは一瞬ですよ!」
 なんか恐いことをいいながら、ドラマがポケットからラミネートカードを取り出した。
 転写した魔術書のページを加工したものらしく、それを勢いよく投擲。魔術によってエネルギーを爆発させ、膨大な炎となって魚たちを飲み込んでいった。
 海中でも火山は噴火するもので、熱の逃げやすい水であっても熱いものはあついのである。とかいう理屈をさておいても、魚団子にクシを通すようにして焼き魚に変えていった。
 目尻をぬぐうドラマ。
「あなたの犠牲は無駄にはしません……ハッピーさん」
「死んでない死んでない」
 お腹に穴空いたし軽く死にはしたけど、といいながら腕をぶんぶん振るハッピー。
 一方で本能的に散らばった魚たちは一部がハッピー側へ、それ以外が別のメンバーへとバラバラに散っていった。
「来たか……迎え撃とう!」
 クロバは黒剣を抜刀すると、その勢いのまま死神の権能を限定発動。
 迫り来る魚の魂をもろとも切り裂き、返す刀で肉体を切り捨てた。
「距離を取りたいんだ。前を任せられるか?」
「お任せあれ、でござる! イリス殿、共に!」
「そういうのは得意!」
 下呂左衛門は刀を両手でしっかりと握り込むと、迫る魚たちめがけてプレッシャーを飛ばした。
 内、三割ほどの魚が下呂左衛門へ集中。
 待ってましたとばかりに豪快な十字回転斬りを繰り出し前後左右上下すべての魚を切り払いにかかった。
 一方でイリスは二匹の魚を同時にマークしつつ勢いよく体当たりを敢行。
 衝撃が爆発的に突き抜け、その更にむこうの魚数匹をまとめて圧殺した。
「この調子でどんどんいこう!」

●地底湖の怪魚
 稚魚たちを抜けるのはなかなかに手こずった。ハッピーや下呂左衛門二段階式の囮にする作戦自体は有効に働いたが、ハッピーごと爆撃するには有効な範囲攻撃(ハッピーを中心とした【範】ないし【域】、もしくは【扇】の攻撃範囲)がとても少なかったためちょっとずつ進んでは一体ずつぷちぷち倒していくスローな作戦進行になっていた。ハッピーにもAP回復手段がなかったことや、なにげに復活率が100%じゃないこともあって後半でかなり味方の消耗を避けられない展開になっていた。
 が、そうはいっても!
「稚魚の群れくらいで私たちを仕留められるわけはないんだよねー!」
 イリスは最後の稚魚をドルフィンキックからのスー○ーマン式パンチで粉砕すると、広い海底へと飛び出した。
 身体は傷だらけだったが依然健在。タントもドリル泳法でフィールドインすると、海底の岩陰に向けて指をさした。
「今日が年貢の納め時ですわよ! スタミナ(AP)も半分ほど温存できていますし……一気にいきますわよー!」
 おでこをぺかーっと光らせたタントに扇動されるように、イリスとリリーが身構えた。
 一方。岩を爆発でもするかのように押しのけ、巨大な怪魚が姿を現わす。
 人間を軽くひとのみに出来そうな巨体。うろのような目。細長いボディがうねるたび、周囲の水が嵐のごとく乱れた。
「こういうのウザいよねえ……キレる……」
 リリーはバールを思い切り投擲。怪魚の肉体にバールの先端が食い込み、そこへ向けてイリスの豪快なタックルが炸裂した。
 無理矢理押し込まれたバールが怪魚の肉体をめりめりと破壊していく。
 対する怪魚は自らに雷を纏い、強引に大暴れした。
「うわっと!」
 直撃を受け、海中を吹き飛ばされるように回転するイリス。
「イリス様!?」
「だいじょーぶだいじょーぶ、痛いけどビリビリは平気だから」
 手をぱたぱたと振り、身体に残るスパークを散らすイリス。
 そんなイリスをキャッチするクロバと下呂左衛門。
「次の攻撃がくるでござる!」
「皆様わたくしの後ろへ!」
 怪魚は口を大きく開くと雷の弾を生み出し、ドラゴンブレスさながらの放射をしかけてきた。
 対抗しておでこに両手の平を翳すタント。
 爆発した電撃が放射状に広がった。
 直撃……したのは、タントではない。身体を十字に広げて割り込んだハッピーである。
 タントはハッピーの身体に、そしてハッピーと周りの仲間たちはタントの光に守られる形で電気ショックを免れた。
「そ、そろそろきついかも……」
 しっぽ(?)がへろへろにってきて、がっくりと猫背になるハッピー。
 怪魚はそんな彼女たちをまとめて薙ぎ払わんと、自らに電流を纏ったまま突撃を仕掛けてきた。
「皆さん離れて!」
 ブレイクフィアーの有効範囲ギリギリまで離れた仲間たちの円中心を突き抜ける形で、ハッピーとタントがまとめてかっさらわれた。
「二人を助けるでござる!」
「絶対に……逃すものか……ッ!!!」
 クロバと下呂左衛門は同時に刀を鞘に収めると、蓄積したエネルギーを抜刀によって解き放った。
 雷をまとった斬撃が怪魚へぶつかり、動きをわずかに乱した。
 ぎろりとこちらをにらむ怪魚。
 大きくターンし次なる突撃をしかけようとした怪魚に対して、ドラマはビニール製のカードホルダーから魔術書を転記したラミネートカードを三枚同時に引き抜いた。
「来ますよ――!」
「迎え撃つしかないか!」
 鎌を水平に構えて歯を食いしばるサイズ。
 投擲したサイズの鎌が怪魚の顔面に刺さり、その箇所めがけてドラマは三枚のカードで豪快に切りつけた。
 青い光の線が走り、怪魚のボディを切断していく。
 怪魚はおそろしい悲鳴をあげながら、膨大な血を散らして海底へと沈んでいった。

●カリバンの木の下で
「「かんぱーい!」」
 体中包帯だらけにしたミイラハッピー(気分的な演出)が果実ジュースの入った木製カップを振りかざし、それに伴ってタントが指を鳴らした。
   \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!///
「――でしたわーー!!」
 やっとできた、という顔で乾杯するタント。よく頑張ってくださいましたわーといってハッピーにお酌しまくっていた。
 その横ではサイズがホットチョコレートをいれ、エプロンをつけて魚を焼くクロバへと突きだした。
「おつかれさん。お互い頑張ったよな」
「ああ、うん……得意な人に泳ぎを教わっておくべき、かな」
 苦笑し、クロバは焼けた魚を味見した。
「神聖な水で育ってるからかな。やっぱり美味しい」

 一方で、ドラマは挨拶もそこそこに帰り支度を進めていた。
 よっこいしょとトランクケースを持ち上げるドラマへ、串焼きを片手にしたイリスが声をかけてきた。
「もう帰っちゃうの? シャワーくらい浴びていけばいいのに」
「あるんですか? シャワー」
「あっちで皆浴びてるよ」
 言われて行ってみると、木の中を吸い上げられた膨大な水が滝のように振りそそぐエリアがった。
 カリバンの民にとって身体や衣類を洗い流すための場所であり、中でも勢いの強い場所は別のことに使われていた。
「拙者水浴びをしにきただけでござる決して邪な考えではござらん拙者水浴びをしにきただけでござる決して邪な考えではござらん拙者――破ァッ!」
 滝(?)の中で目をかっぴらいて両手を合わせる下呂左衛門がいた。
 推進の深いプールめいた場所ではリリーが底の方にしずんでくつろぎタイムを送っている。
「…………」
 黙ってその様子を見つめるドラマとイリス。
「魚が美味しくなるくらいだし、美容にいいのかな、あれ」
「私に聞かれましても……!」

 彼らは暫くの間、怪魚退治おめでとうの宴を楽しみ、翌日里を去ったのだった。

成否

成功

MVP

ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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