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シナリオ詳細

三大巨獣との戦い
三大巨獣との戦い

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●三方の脅威
 深緑最南端の町ダナコスト。ファルカウ内部への南の入口とも言える要所の町であり、多くの人々が住んでいる。
 その日、町に住まう人々は突如響き渡った爆砕破裂の衝撃音にその長い耳を疑った。
 音は町の東西、そして南の迷宮森林に面した場所から響いていた。視線を向けると、東西及び南の入口の方から大きな土煙が立ち上っていたのだ。
 迷宮森林に住まう魔獣の仕業としても、これほどの衝撃そして三方同時に起こることなどこれまでにあったことはない。
 異常事態が発生したのだと、町に住まう人々は悲鳴を上げ、膨れあがる不安を抱え安全と思われたファルカウ側の入口――北の教会へと逃げ込んだ。
 一方、異常事態発生の報を受けて、町の自警団に所属する狩人達が現場へと急行した。
 そこで自警団の面々は、緊急事態だと言うことを悟る。
「グォォォォオオオオオン――!!!」
「シャァァァアアアア――!!!」
「ゴルルルルァァァァァ――!!!」
 三方から巨大な咆哮が響き渡る。三方に現れ破壊を繰り返すその山のように巨大な影は――それは迷宮森林深部に住まう三体の大巨獣に他ならなかった。
「グレイドアス、メリシュルバ、レイドフェルクだと……!? 馬鹿な、三大巨獣が深部からでてくるはずが……!」
 中央で指揮を執る自警団の隊長はその報告に、愕然とする。
 一体だけでも厄介に他ならないのに、三体、それも三方向からの進撃。戦力は分散され、対応しきることが難しいのは明白だった。
 隊長はすぐさま判断を下す。この状況下に即対応出来るのは彼等を置いて他にはないはずだ。
「ローレットへ連絡を取れ! 噂のイレギュラーズに応援を要請するんだ! 彼等ならば、なんとかしてくれるはずだ――!」
 隊長の願いを込めた声が指揮所に響き渡った。


「緊急の依頼よ。
 深緑最南端の町ダナコストに現れた三体の大巨獣討伐の応援よ」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)は事態の逼迫さを現すようにやや早口で説明を始めた。
「町を囲む東西及び南の入口に現れた三体の大巨獣は家屋や施設を破壊しながら町中央へ向けて進行中。
 巨獣同士は仲間ではないわ。それぞれ独立して行動している。中央でかち合えば――恐らく敵対行動を取り始めて、周囲の被害なんて無視して殺し合いを始めるでしょうね」
 そうなっては町は滅ぶのと同義だ。さらに最悪を想定すれば巨獣達が町の北へ侵攻しようものならファルカウ内部にも被害が及ぶことになる。
「オーダーは自警団と協力して、三方の巨獣を討伐すること。町の広さから考えて一体ずつ倒している時間はないでしょうね。
 戦力を分散することになるけれど、三方同時に撃破するのが望ましいでしょう」
 妙案があればそれを選択することも可能だ。だが同時にそれはリスクを抱えることになることも承知するべきだろう。
「各巨獣についてのデータは依頼書に記入して置いたわ。データとしては十分信頼できるものを集めたけれど、不測の事態も考慮しておいてね」
 各巨獣はそれぞれ特性があるようだ。イレギュラーズとの特性と合わせ見て、相手の弱点を突けるような戦力配分を考えたい。
「気になるのは巨獣達がまるで暴走してるかのように暴れている点ね。まるで自分の意思を感じさせない、ただ破壊衝動に任せるまま動いているよう。
 そう、まるで狂気に感染したような……ううん、気のせいだと思うんだけどね。
 とにかく、急ぎダナコストへ向かって頂戴。気をつけて」
 リリィの感じた不安を頭の片隅に留め置いて、イレギュラーズはダナコストへ向かって出発した。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 深緑を襲う大魔獣の脅威。
 三方から迫る敵に対応して町を救って下さい。

●依頼達成条件
 全ての大巨獣の撃破 及び、
 二体以上の大巨獣を町の中央に到達させない。
 
■オプション
 原因の調査

●情報確度
 このシナリオの情報精度はBです。
 情報に虚偽はありませんが、不測の事態が起こる可能性があります。

●三大巨獣について
 三方から迫る大巨獣は、全長十五メートルほどの魔物です。以下、三大巨獣の共通項。
 目に付く物を全て破壊しながら町の中央へ向けて侵攻しています。
 巨大さからブロックは不可能。意思を感じさせない暴走状態から『怒り』の効果も低いでしょう。
 目に付く物を壊して回る性質から、派手な動きや攻撃によって一時的に停滞させることは可能です。
 無策で攻撃を続けた場合、巨獣達が中央に到達するのは五分後と予想されている。
 

■東 グレイドアス
 東から攻め入るグレイドアスは頭部全面に三十の瞳をもつ二足歩行の大巨獣だ。
 他の巨獣達に比べて視覚情報を優先し、細かなものも破壊して回る。
 長い腕を鞭のように撓らせて叩きつける攻撃スタイルで、また建物などを投げるのも得意だ。
 反応、防御技術、特殊抵抗に優れており、反面、機動力、回避力、物理攻撃力は低め。注意すべきは開いている瞳から放たれる神秘攻撃のビームだろう。
 情報によればグレイドアスは全ての瞳を潰されると絶命するらしい。但し前述したとおり防御技術に優れており、鋼鉄のように固い目蓋を破壊する事も一苦労するだろう。

■南 メリシュルバ
 南から攻め入るメリシュルバは身体中に多様な角を生やした四足歩行の大巨獣だ。
 硬質な角による体当たりを得意技とし、兎に角すべてにぶつかり破壊して回る。
 体当たり以外にも角を振り回し叩きつける他、角をブーメランのように飛ばしてくる。
 回避、機動力、物理攻撃力に優れており、防御技術も平均的。特殊抵抗は低いようだ。
 恐らく最初に中央に到達するのはメリシュルバだと予想される。動きが素早いので、注意を引くには攻撃を多く当てて見るしかないだろう。
 メリシュルバの頭部の二本角は弱点だが、他の部位に比べ硬質であり破壊するには何かしらの方策が必要になるだろう。

■西 レイドフェルク
 西から攻め入るレイドフェルクは水晶のように輝く身体を持つ鳥型の大巨獣だ。
 他の巨獣との違いは、当然空を飛んでいることである。
 まるで爆撃機のように空を飛び、その水晶じみた羽根を絨毯爆撃のように投射する。
 ただ、継続的に飛行を続けるのは難しいようだ。一定秒数飛行すると、必ず着地し羽根を休めるクールタイムがある。
 物理攻撃力、神秘攻撃力、耐久力が特に高く、回避防御技術も平均よりやや高い。旋回飛行を多くすることから機動力は見かけによらずそう高くはない。
 飛行中への攻撃手段を探す必要があるだろう。恐らく最後に倒されるのがこの巨獣だと思われる。
 弱点は胸に輝く大水晶。しかしその身体の内部まで攻撃を通すのは生半可にはいかないだろう。

●自警団について
 各方面に十人ずつ向かう予定ですが、イレギュラーズの指示に従い人数は変更可能です。
 平均的な戦闘力を持つ他、戦闘開始から二分後には特殊兵装シュナイクドラグーンの発射準備が整います。
 イレギュラーズの指示で発射可能で、大巨獣達を二十秒拘束します。拘束中は全ての巨獣の行動がキャンセルされ無行動となり、『巨獣に対する全ての攻撃判定』が無条件でクリティカルになります。
 拘束後二十一秒(拘束後三ターン目開始時点)で拘束が解け、シュナイクドラグーンは百秒間使用不能になります。百秒後、再度発射が可能になります。
 シュナイクドラグーンは高度を飛行しているレイドフェルクにも命中します。

●戦闘地域について
 ダナコスト町中での戦闘になります。
 健在な建物から崩壊した建物まで、多くの町の施設が残ったままです。
 場合によっては障害物もあるかもしれません。戦闘行動は、状況によりけり不自由になる場合もありますが、逆に活用することで優位になることもあるでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 三大巨獣との戦い完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月08日 21時30分
  • 参加人数 10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ナーガ(p3p000225)
矛盾一体
マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)
緋色の鉄槌
八田 悠(p3p000687)
祖なる現身
七鳥・天十里(p3p001668)
ガンスリンガー
フィーゼ・クロイツ(p3p004320)
黒曜魔弓の魔人
ノースポール(p3p004381)
白金のひとつ星
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
さいわいの魔法
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
リナリナ(p3p006258)
やせいばくだん
ワルド=ワルド(p3p006338)
最後の戦友

リプレイ

●進撃の巨獣
 深緑南方の要所、ダナコストを襲う三体の巨獣。
 北の時計台から街を見渡せば、その巨大な身体を持つ三体の魔獣達が土煙を纏いながらゆっくりと進撃する。
 この巨獣達に、街を守る防壁はあまりに無力。人の身である市民達もまた、その脅威を前に、忘我のままに空を仰いだ。
「何としても食いとめろ! この街を滅ぼすわけにはいかないんだ!!」
 声を上げ、心を奮い立たせる自警団達。圧倒的な巨大暴力に屈するわけにはいかないと、小さな、あまりにも小さな武器を手に、必至の面持ちで三方へと走った。
 そこに、救援を求められたローレットからイレギュラーズが現れた。
「怪獣三体の同時進行……いやぁ、逆境ですね。今すぐ帰りたくなるくらい魅力的状況です」
 飄々と微笑みを湛えて『最後の戦友』ワルド=ワルド(p3p006338)が呟く。呟きは建物の破砕音に掻き消され、土煙となって消えて行った。
「おー、かいじゅう! かいじゅう狩り!
 かいじゅう狩り倒す、これ大戦士の仕事!」
 三方の大影を確認しながら『原始力』リナリナ(p3p006258)が期待を膨らませながら弾んで言う。
 原始の野生少女たるリナリナにとっては、これは大物を倒し自らの力を確かめる絶好の機会となるのだろう。
 先行きの見えない事態に不安を覚える自警団達にグッとサムズアップしこう言うのだ。
「ここかいじゅう一人で倒せる大戦士誰も居ない!
 だけどダイジョーブ! 強いイレギュラーズいっぱい!
 みんなで頑張る! 迷惑かいじゅうアウト!」
「うん、そうだね。
 ……嫌な予感はあるけれど……まずは、あの三体を止めないと!」
 僅かな胸騒ぎを覚えながら、しかし不安を掻き消すように強く頷く『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)。
 故郷の深緑の有事である。そして同時に通常現れるはずのない巨獣の侵攻に誰よりも強く不安感を持っていた。
 言葉通り、これを調査するにはまず街を救う必要がある。アレクシアは周囲の地形を把握しながら、受け持った方角へと走り出した。
 アレクシアと同じように不安感、そして強くこの状況の転覆を考えるのは『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)だ。
 故郷を――同じように――大きな魔獣に滅ぼされたというノースポールは強い意思をもって巨獣を睨む。
「――もう誰にも、私のような思いをして欲しくない。
 絶対に、この町を守ります!!」
「三体の巨獣襲来……、さながら大怪獣決戦でも始まるのかしら。
 ……なんて冗談は言ってる場合じゃないわね」
 クスりと笑みを浮かべて走り出したのは『黒曜魔弓の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)。
 視線を上げて大影を仰げば空に煌めく水晶体が羽根を広げている。
「――けど、これだけ大きいと倒し甲斐はありそうよね。それじゃ、頑張って狩りに行かせて貰うわよ」
 言葉を残し、巨獣待つ西方へと直進する。
「このような生物が三匹もいるとは……魔種か何かの影響か?」
「さあ、どうだろうね。
 流石混沌と言うところか。なんでもありが極まってる」
 『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)の予感めいた言葉に、『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)が軽口交じりに答え肩を竦めた。
「それにしても結構離れたこの北側にいても大きな姿が見えるね。
 まさに怪獣退治。まあ僕も男の子だから正直ちょっとわくわくしてるけど、傍迷惑な怪獣たちは、街のためにもさっさと退治しないとね」
 愛用のリボルバーを抜き放ち、特注のロングコートを靡かせた『ガンスリンガー』七鳥・天十里(p3p001668)もまた、そう言葉を残して現場に向かい走り出す。
 後に続くように残った面々も一斉に担当場所へと走り出した。
「あんなでっけえ怪物が相手かよ。
 良いじゃねえか、燃えるじゃねえか!」
 南へ走る『緋色の鉄槌』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)が口角をつり上げて野性味ある笑みを浮かべる。
 待ち受けるは多様な角を持つ巨獣メリシュルバ。
 湧き上がる戦いへの熱情を隠しもせずに、力込めた拳を構えた。
「『キョジュウ』さんはマエにもたたかったことあるよー!
 あのときは【ニンゲン】だったけど……コンドはほんとうにオオきなケモノさんなんだね!
 ナーちゃん、アイがときめき!」
 誰よりも遅く、しかし誰よりも力強く弾んで走る『矛盾一体』ナーガ(p3p000225)。種別は違えど同じ巨大生物だ。以前の戦闘経験が必ず活きるはずだろう。

 イレギュラーズはこの戦い、三方同時展開を選択した。
 西にフィーゼ、アレクシア、ワルドの三名が。
 南にマグナ、天十里、ライハ、リナリナの四名が。
 そして東にナーガ、悠、ノースポールの三名の配置となる。
 ゆっくりと周囲を破壊しながら進む巨獣達。この進撃を止める為、イレギュラーズの戦いが幕を開ける――

●晶体鳥獣レイドフェルク
 街の西方住宅街の多いその空を、光輝く巨大な鳥が飛空し制空権を主張する。
 水晶で出来た翼は、羽根一つとってみても街を破壊するに足る質量を秘めている。次々と生み出される水晶羽根が、遥か上空より殺意を伴って落下してくるのだ。防ぎようのない天からの落涙が地を這う人々をまさに制圧せしめんと降り注ぐ。
 西側へ向かったフィーゼ、アレクシア、ワルドが目にしたのは、そうした手の届かない距離からの脅威であり、上空を悠々と飛ぶ鳥型の巨獣レイドフェルクを睨み歯噛みする。
「固まらずできるだけ周りと距離を取って広がって!
 遠距離武器を持ってる人は翼に狙いを絞って攻撃を合わせるんだ!」
 支援を中心に立ち回るアレクシアには戦場を見渡す”目”がある。天より降り注ぐ水晶羽根の降下範囲を正しく見極めて、その安全地帯を示すように声をあげた。
「木造の建物の下は危険だよ! 退避しながら陣形を作っていくんだ!
 でも、無理はしないで! 生命は大事にね!」
 《セネシオ・シネラリア》が自警団の者達を癒やし鼓舞する。そうして有象無象の群衆を一つの部隊へと作り替えていく。
 次第に動きが変わっていく敵を上空を旋回するレイドフェルクは訝しげに睥睨する。だが、その攻撃行動、破壊衝動に変わりはない。続々と生み出されていく水晶羽根を放ち、地表を崩壊へと導いていく。
 そんなレイドフェルクを息を潜めて睨み付けている者がいた。フィーゼだ。
「効果的な反撃がないと思って油断しているわね。
 その考えが甘いことを、教えてあげるわ」
 月と翼が漆黒の輝きを震わせて、引いた嚆矢が真直線にレイドフェルクへと向けられる。
 レイドフェルクとの距離を確認しながら、フィーゼは正しくスナイパーの在りようを示すように狙撃ポイントへと潜んでいた。
 距離を測り、十分に引きつけて――そうして、その青い瞳に紫水に輝く水晶翼を捕らえた時、魔弓に番った矢を放った。
 空気を切り裂き、まさに槍の如く直線に飛んだ矢が、暴威を持って水晶体の翼を穿つ。それは狙い通り、翼――その風切羽根部分に直撃し、レイドフェルクの身体を揺るがして大きなバランスを崩させることとなった。
「それだけの巨体、それだけの質量を持っているのならば――飛行バランスを崩されてなお飛べるものかしらね」
 続けて放つ矢が再度翼を穿つ。ゆるゆると旋回を繰り返しながらレイドフェルクの高度が大きく下がっていく。
「良い援護射撃です。駄目押しと参りましょうか」
 レイドフェルク直下に位置し、建物を踏み台に空を舞うワルドが、高度の落ちたレイドフェルクに対して空圧弾を放つ。アクロバティックに身体を捻りながら放った弾丸は、高度の落ちたレイドフェルクその痛めた翼に幾つも叩きつけられる。
「シャァァァアアアア――!!!」
 咆哮が上がり、大きく体勢を崩したレイドフェルクが地上へと降下する。
 レイドフェルクを構成する大質量の水晶体は、それだけでレイドフェルクにとっても負担となるのだろう。
 一度地上へ降りてしまえば、もう一度飛び立つまでに時間を要するというのは明白だった。
 そして空を支配していたというレイドフェルクの自尊心は、地上へと引き摺り下ろされたことでズタズタとなり、怒りのままに咆哮を上げ、翼を広げ、羽根を羽ばたかせ――生み出される水晶体を武器として乱雑に放った。
「怒り狂うままに癇癪を起こすのはやめてほしいものですね。地上に降りた今がチャンスですが、さて、どう攻めますか――」
 水晶体に肌を裂かれながらワルドが微笑みを湛えたままに言葉を零す。これだけ暴れる巨獣だ。無策に飛び込み手痛いしっぺ返しをもらうわけにもいくまい。
「とはいえただ見てるだけとはいかないからね。
 丁度自警団の方でも準備ができたみたいだ。このチャンス逃すわけにはいかないよ!」
 アレクシアの指示の元、自警団の虎の子――シュナイクドラグーンが発射される。
 ランス状の先端に極太の鎖が繋がれたそれが、巨大な砲台より放たれてレイドフェルクを拘束するように巻き付いた。
「チャンスね――!」
 フィーゼが狙撃ポイントを放棄し走る。狙うはレイドフェルクの心臓部――胸の大水晶だ。
「今がチャンスです! ありったけの攻撃を胸の大水晶へ!」
 ワルドも自警団を鼓舞し、自らも貫通特性をもつハイロングピアサーを放つ。
 分厚い水晶が攻撃を阻むが、攻撃によって水晶が破砕し、確かな手応えを返してくる。
「何があったの! お願い、落ち着いて話を聞いて!」
 アレクシアの動物疎通による呼びかけは、しかし狂気狂乱するレイドフェルクには届かない。
「シャアアァァァアアア――!!」
 雄叫びを上げながら拘束を解こうと暴れるレイドフェルク。だが拘束は固く動くことを許さない。
「大人しくなってもらうわ……!
 硬い装甲ぶち抜くのに特化させた術式で形成された魔槍よ、遠慮なく味わいなさい……っ!」
  黒き雷光が槍へと姿を変えて、赤紫の大槍を作り出す。
 フィーゼの放つ渾身の咆穿魔槍が、その大槍を弾丸の如く射出して、レイドフェルクの胸――その内部の大水晶目がけて突き進む。
 弩轟と共に硬質な破砕音が響いた。
 悲鳴めいたレイドフェルクの雄叫びが天を裂く。
 やったのか……? 誰かの声が聞こえたその時――
「――!? まだ、まだだよ! 気をつけて!!」
 アレクシアの声と同時、レイドフェルクが暴れるように拘束を解き放ち羽ばたいた。
「シャアァァァ――!!!」
 旋風を巻き起こしながら空へと登っていくレイドフェルク。大槍の突き刺さった胸部からポロポロと水晶片が落ちていく。
「致命打、とはいかなかったようね……!」
「で、あれば今一度引き摺り下ろすまでです」
 不敵に笑ったワルドをレイドフェルクが鋭く睨み付けていた。

●多角暴獣メリシュルバ
 一方、大通りを貫く南側では多数の角を持つメリシュルバが駆け回り、多くの建物を道連れに暴虐の限りを尽くしていた。
 巨大な体躯はそれだけで脅威であるが、それ以上にその身体の大きさからは想像もできぬ素早さで、跳ね回っては体当たりを繰り返す巨獣にイレギュラーズと自警団は手を焼く始末だ。
「おー、メリメリ!! 思ったより足早いなっ!」
 飛びかかるメリシュルバを覚えやすい名前で呼びながら、リナリナが空中回転からのダイナマイトキックで牽制する。
 鼻先で爆発する一撃に、巨躯のメリシュルバと言えど怯まざるを得ない。そして、その一瞬こそが攻撃の起点となる。
「るら~!! トツゲキ! トツゲキ!」
 喉を鳴らして戦いの舞で自らを鼓舞すればリナリナが攻撃を開始する。狙うは一点、機動力を維持するためのその四つ足だ。
 巨大な獣だ。的として狙うには十分な面積がある。当然足への攻撃も相手が暴れ回ることを除けば狙いは付けやすい。
 リナリナの攻撃を合図に、イレギュラーズの一転攻勢が開始された。
「弾を当てるのは自信があるんだよね。避けるのもだけど」
 街の南側、その地形を把握する天十里が、縦横無尽、空をも舞ってメリシュルバの視線を取る。
 心の光を銃弾に宿して放てば、メリシュルバの足に大きな傷痕を付ける。
「グォォオオオン――!!!」
 痛みを拒絶するように咆哮をあげたメリシュルバが、飛びはね建物を押し潰すように着地する。
「痛いのは嫌いかな? でもだからってやめてあげないけどね」
 追いかけるように走り、変わらぬ狙いで銃弾を放つ天十里。回避力に優れるメリシュルバであろうとも、特段の命中力を持つ天十里から逃れる術は無い。
 度重なる攻撃を一点集中されたメリシュルバの左前足が揺らぐように折れる。
「もらったぜ、メリシュルバァ!!」
 雷鳴と閃光が走りメリシュルバの視界を奪う。その閃光の最中、マグナの放った業炎齎す真紅の弾丸がメリシュルバを襲い、狙い通りに炎で焼いた。
 不覚をとったメリシュルバが怒りのままに咆哮をあげ、更なる加速を見せる。まだ、そう簡単には倒れるつもりはない心算だろう。
「これ以上行かせるかよ、止まりな!」
 追いすがるマグナがその赤き外骨格に覆われた腕を振るう。魔力を帯びたその一撃をメリシュルバが懸命に避けていく。だがマグナは諦めない。逃がすものかと、追いすがり、時にメリシュルバの放つ角ブーメランを受けながら、全身全霊で技を叩き込む。果たして、その執念は結実し、再三狙ったメリシュルバの左前足を捕らえ折る。
「好機だ――仕掛ける……!」
 自警団の指揮を取りながら戦っていたライハがその隙を見逃さず攻勢指揮を伝える。機動力の高い相手だ、ここまでかなりの侵攻を許していたが、このチャンスを逃すことはできなかった。
 用意されたシュナイクドラグーンが火を噴いてメリシュルバを拘束する。自警団もこの時ばかりは活気に沸いて、気合いのままに攻撃へと転化する。
「弱点は――そこか!」
 アーリーデイズによる能力の向上が、ライハの動きを高めていく。そしてメリシュルバの頭部に生えた二本の角を狙って、高めた魔力に精神力を乗せて、弾丸を生み出す。
 放たれるソウルストライクが硬質さを誇る角に叩きつけられる。弱点を狙われ、大きくメリシュルバが傾いた。特大のダメージは更なるチャンスを生み出して、イレギュラーズの攻勢を手助けする。
「固い? ならばぶち抜こう。遠慮するなくたばれ」
 高められたライハの精神力はこれ以上無い武器だ。如何に金剛不壊を体現するメリシュルバの角と言えど、これに耐えきる物ではない。
 またこのチャンスをイレギュラーズは逃さない。
「かかっておいでよメリちゃん。骨とか欲しい? ワンちゃんみたいにさ」
 拘束され動けないメリシュルバをサディスティックに挑発する天十里。不敵に微笑みながら放つ暗く輝く銃弾を、メリシュルバしかりと瞳に焼き付けた。敵対する人を認識し、怒りの感情をわき上がらせた。
「ようやくこっちを敵と認識したようだな!」
 メリシュルバの背に乗り駆けるマグナが声を上げる。人を敵と認識したメリシュルバだが、その認識は遅かった。そう相手取る人(イレギュラーズ)は小さくとも、自らの命を奪いかねない脅威なのだ。
 赤い外骨格を力の限り振るい角へと叩きつける。衝撃に角の一部にヒビが入る。
「るら~!! カクゴ! カクゴ! カクゴする!」
 背負ったジェットパックで空を舞うリナリナが、空中で一回転。勢いままに渾身のダイナマイトキックを角目がけて放つ。
 鋭角のキックは直撃と同時爆発を伴う衝撃を叩きつける。金属めいた破砕音が響き、メリシュルバの特徴たる頭部の大角、その一本が弾け飛ぶように割れて落ちた。
 自警団から歓声があがる。だが、まだ――メリシュルバは倒れたわけではない。
「グォォオオン――!!」
 痛みを振り払うように頭部を大きく振るい、イレギュラーズをはねのけて、メリシュルバが拘束を解き放つ。
「あらら、結構怒っちゃってるね」
 怒りを与えたのは少なからず自分ではあるが、と天十里が苦笑する。
「だが、見てみろ――あれならば最初のようにはいくまい」
 ライハが指さした先。
 メリシュルバの左前足は確かな傷を持っていて、引き摺り庇うように動かしていた。そう、メリシュルバ最大の武器である機動力は確かに削られていたのだ。
 だが、メリシュルバはもう一つの武器を持っている。
 それは身体中に無数に生える角だ。多角暴獣とも呼べるその角は、変わらずに脅威である。
 メリシュルバが咆哮を上げる。身体を振るえば角が身体から離れブーメランのように放たれた。
 建物を破砕しながら回転する角。それを伏せて交わしたマグナが「上等だ」と口角をつり上げた。
 戦いはまだ終わらない。
 街への侵攻の優先度を下げたメリシュルバと、正面からのぶつかり合いとなるのだ。
 勝負は、ここからだ。

●多眼魔獣グレイドアス
 西と南と同様に。
 東に向かったイレギュラーズもまた激戦の様相を呈していた。
 多眼の魔獣グレイドアス。
 頭部全周に三十の瞳を持つ大巨獣が、存在する数多の施設を破壊しながら悠然と歩み行く。
 恐るべきはこの大巨獣、他の二体に比べて自意識が強く残っているかのようで、その行動に規則性が見られた。
 それは即ち――完膚なきまでの破壊。
 目に付く建物を、一つ残らず破壊して周り、止めようとする自警団に対しその鞭のような腕を振るう。
 純然たる破壊活動は、街の東端から手の届く範囲で行われ、まさに草一本残さない廃墟を作り上げていった。
「二人一組(エレメント)を崩さないように。互いにフォローし合って動くんだ。
 倒すことは考えなくていい。兎に角時間を稼ぐんだ」
 東で指揮を執るのは悠だ。イレギュラーズのみならず自警団もその付与(バフ)範囲に入れて回復をメインに立ち回る。
 他の巨獣に比べて動きの遅いグレイドアスだ。徹底的な破壊行動はやっかい極まるが、その分街への侵攻は遅い。それを逆手に取って、更なる遅滞行動を繰り返し進行速度を低下させていく。
「さあて、我慢比べだね。
 多くを削り破壊する力なんだろうけど――こっちは多くを奪い賦活させてもらうよ」
 高い再生能力と、相手の生命力を簒奪し我が物とする力を持つ悠だ。グレイドアスの破壊行動を受けながらも、即座に傷を癒やしそしてグレイドアスから奪っていく。
 すでにシュナイクドラグーンの発射指示は出している。準備が整うまで耐え切れれば活路も見えてくるのだ。
 悠がそうして部隊の中心となれば、ノースポールとナーガは攻撃部隊として前衛に立つ。
「ほら、こっちこっち! 渡しに当てられるかな!?」
 白雪の翼を羽ばたかせて、低空飛行で巨獣の足の周りを飛ぶ。装備したマントが靡いてその色味にグレイドアスの目玉がぎょろりと動く。
 ノースポールが特に意識するのはナーガとの距離だ。悠の指揮にもあるように二人は一組となってグレイドアスに立ち向かう。
 弱点たる目玉を優先的に狙うナーガは必然グレイドアスの標的になりやすい。最大火力をもつナーガが潰されてしまえば打つ手がなくなるとも言えるのだ。それを防ぐために、ノースポールは小柄細身の身体を懸命に動かして、ナーガを守る盾となる。
「やらせないよ、絶対に! 滅びを迎えることは――あんな思いはこの場にいる誰にもさせない!」
 グレイドアスの鞭のように撓る極太の腕を受け吹き飛ばされながら、しかし歯噛みし必死に耐えきるノースポール。すぐに悠の回復が飛んできて、再度グレイドアスへと取り付いた。
「ナーちゃんのアイ、そのメでしっかりダキとめて!!」
 グレイドアスの身体を駆け上り、ナーガが走る。
 大巨獣を前にすれば巨躯持つナーガとて赤子同然。だが、その身体に秘められし力は大巨獣すらも震撼させるものである。
 グレイドアスの肩に飛び乗ったナーガ。そのナーガをグレイドアスの左側頭部に開いた七の瞳が睨み付ける。
「ゴルルルァァァ――!!!」
「さあアイしあおうよ!」
 咆哮と愛を求める雄叫びが響き渡る。同時目玉へ向けて駆け出したナーガが渾身の力を籠めて破壊の力を瞳に叩きつける。
 一撃ではない。その異常発達した筋力を以て行われるそれは、乱打乱撃大乱舞。グレイドアスに負けず劣らずの破壊衝動を見せ付ける。
 ナーガの妄執のアイに対し、グレイドアスは目蓋を閉じて防御行動を行う。通常の相手であれば防御行動とったところでその上から潰せるナーガの一撃だが、鋼鉄のように固い皮膚を持つグレイドアスである。その乱撃を以て潰せた瞳はわずかに二つと半。
「アイがたらなかったのかな……?」
 そんな疑問をナーガが持ったところで、グレイドアスの瞳が熱量を帯びていく。
「ナーガさん――危ない!」
 ナーガを追って肩口まで飛行してきたノースポールが、庇い防御姿勢を取る。同時、放たれる熱閃が二人を包み込む。
「二人とも……!」
 焼かれたノースポールを抱き留めて、ナーガが地上へと退避する。悠がすぐに治療魔術を行使した。
「ゴルァォォ――!!!」
 怒りを感じたようにグレイドアスが更に苛烈に破壊活動を開始する。これに対し、至近まで接近した悠が強制接続を試みて、その行動を攻勢的に防御する。
 そのタイミングで、シュナイクドラグーンが轟音響かせ発射された。
 三本のランスがグレイドアスの腕、首、そして足を絡め取る。
 ナーガが即座に反応して、グレイドアスの足を狙って雷撃伴う強大な一撃を叩き込む。ぐらりとバランスが崩れる。
「そのチャンスは逃さない――!」
 傷を癒やされたノースポールもまた愛銃『メアレート』を手にし、白く眩い一撃を撃ち込んだ。白く輝く流星の軌跡は吸い込まれるようにグレイドアスの膝裏を叩き、そしてその巨体をついに倒し込むことに成功する。
「今だよ、瞳を狙うんだ……!」
 悠の指揮の下、一斉に自警団が走り出す。生まれ育ったこの街を守る為、これ以上の被害を生み出さないために。
「もっと、もっとナーちゃんのアイをうけとって!!」
 戦鬼の如く暴風を吹き荒らし多くの目玉を傷つけたナーガが、今一度渾身の乱撃を繰り返す。一撃、二撃、三撃……! 止まることなく叩きつけられる乱打が次々に鋼鉄の目蓋を破砕して目玉を潰していく。
 拘束され身動きの取れないグレイドアスが悲鳴のように雄叫びを上げ暴れる。
「苦しいだろうけど、容赦するわけにはいかない……!
 ――刺されぇぇぇえええ!!」
 ノースポールもまた攻撃を集中し瞳へと攻撃を放つ。蠱惑の短刃は分厚い目蓋を刺し貫くことは敵わないが、その防御を薄くすることはできる。
 繰り返される瞳への攻撃によって、グレイドアスの瞳はそのほとんどを潰すことに成功した。
 シュナイクドラグーンの鎖が悲鳴をあげて壊れる。僅かに残った二つの瞳を守るようにしながらグレイドアスが立ち上がる。
「ゴルゥゥ……ゴルゥァァァ――……!」
 多くの瞳を潰されて、本能的に生命の危機を感じ取ったグレイドアスが逃げ腰となった。それを悠はしっかりと見極めて、攻勢指揮を執る。
「弱っているよ。一気に攻め落とすんだ……!」
「オオォ――!!」
 自警団の鬨の声が上がる。
 この瞬間東側戦線の勝敗は決したと言えただろう。

●斃される巨獣達
 最初に倒された巨獣は、東のグレイドアスだった。
 シュナイクドラグーンによって多くの瞳を潰されたグレイドアスは、残る二つの目を守るようにしながら防御的な立ち回りを見せることになる。
 これに悠、ノースポール、ナーガを中心とした討伐部隊が一転攻勢に出た。その固い防御を破るのは並大抵のことではなかったが、攻撃スタンスを止めたグレイドアスを相手にするのはそう難しい話ではなかった。
 悠の支援を受けてノースポールとナーガが突撃し、瞳を守る腕を弾き飛ばす。反撃の熱線を回避しながら残る瞳のある背面へと回り込んだ。
 最後はやはり最大火力を誇るナーガの滅多打ちだ。本来臓腑を破壊するその技を前に如何な強力な防御技術を持つ巨獣と言えど、太刀打ちできなかったのだ。
「ァァァァァ――!!!」
 全ての瞳を潰されたグレイドアスは、その情報通り響き渡る断末魔を残してゆっくりと横たわった。土煙が上がり、巨大な体躯が横倒しになる。
「終わった……?」
「もううごかないみたいだねー」
「よかった……なんとかなったみたいですね」
 動かなくなった巨体を前に、三人は一息吐くとすぐに踵を返した。
 敵はまだ残っているのだ――

 次に倒されたのは南のメリシュルバだ。
 足を徹底的に狙ったイレギュラーズの作戦は功を奏し、メリシュルバはその機動力を大きく削ぐこととなった。
 しかしその攻撃性は喪われたわけではなかった。多角のブーメランが建物を薙ぎ払い、イレギュラーズや自警団を巻き込んで多くを地に倒れ伏せさせた。
 人的被害が一番大きかったのはこの南だろう。
 決着の決め手となったのはシュナイクドラグーンの二撃目だった。
「お~! シュナシュナ! メリメリ! カクゴする!」
「二回目の拘束も上手くいったね! ならその大きな角もう一本もらうよ!」
 リナリナと天十里が走り上空より攻撃をもたらす。
「これ以上は通行止めだ……殺す!」
「覚悟しな! メリシュルバァ!!」
 それと同時、マグナとライハが地上より接近し大角目がけて攻撃を繰り出した。一本目と同じようにイレギュラーズの同時攻撃が動きを止めたメリシュルバに襲いかかったのだ。
「グォオン――!!!」
 一際大きな悲鳴を上げてメリシュルバの四つ足が膝を付く。破砕された角が落下し地面に突き刺さった。
 グレイドアスのように弱点の破壊が即絶命に繋がるというわけではなかったが、大角を奪われたメリシュルバは急速に弱まっていき、自警団の追撃によって遂に討伐されたのだった。
 歓声鳴り響く中、四人は残る西側へと駆けていった。

 予想されていた通り、最後に倒されたのは西のレイドフェルクだ。
「苦しいでしょう!? もう暴れるのはやめて!」
 アレクシアは幾度となく呼びかけていた。その過程で感じたのはレイドフェルクの意思が喪われている感覚。誰かに操られているのか或いは汚染された精神によって意思が喪われているのか。その細緻は不明だが、明白に巨獣の意思が喪失していることを感じ取った。
「シュナイクドラグーンの二撃目も準備が整ったようですね。次で決めましょう」
「ええ。
 それに……救援も来てくれたようだしね」
 ワルドとフィーゼは背後を確認すれば、東と南の巨獣を片付けた仲間達が助けにやってきた。自分達と同様に、その様子は結構な満身創痍だが、きっと手を貸してくれるに違いなかった。
「次、降りてきたときが勝負だね……頑張ろう!」
 アレクシアを中心にイレギュラーズ、そして自警団が散開する。
 レイドフェルクの水晶羽根が絨毯爆撃の如く降り注ぐ。致命傷を避けながらその破壊の雨を受け流し、空舞う巨獣に攻撃を届かせる。
 幾度目かの翼破壊によって、ついにレイドフェルクが地上へと落ちた。そこを自警団のシュナイクドラグーンが待っていた。
 拘束されるレイドフェルク。大きく空いた胸部、そして大水晶が見える。
 アレクシアとワルドが一斉に攻撃を仕掛ける。胸部水晶が破砕し、大水晶が露出する。
「止めよ――!!」
 フィーゼ渾身の咆穿魔槍がその命を奪おうと真直線に飛んだ。全てを穿つ赤紫の大槍が今一度大水晶に直撃し、そして砕いた。
「シャァ――!!!!」
 掠れた悲鳴を上げてレイドフェルクが大きく引き攣った。そして破砕された水晶と同じように、その身体はボロボロとただの水晶片となって零れ落ちていくのだった。
 この瞬間、ダナコストを襲った三匹の大巨獣は全て打ち倒されたのだった。

●戦火の跡
 ダナコストの街は半壊といってもよい被害だった。けれどそれは三匹の巨獣に襲われたことを考えればかなり被害は抑えられたと言って良いだろう。
 多くの家を失い、多くの人を失った。けれど同時により多くの人と記憶の在処を護れたのだと、人々はイレギュラーズ、そして自警団に感謝の言葉を伝えた。
 戦いは終わった。けれど、調べなくてはならないことが残っている。
「巨獣達は、どうして急に暴れだしたのでしょう?」
 ノースポールは疑問を元に調査する。街での情報は期待したものを得られなかったが、自然会話を心得る幻想種の多くが迷宮森林の不穏な気配を感じ取っていた。
「狂気の気配、それにあの意志薄弱とした動き……まるで誰かが操っているようでもあったね」
 であれば……近くでそれを見ているものが居る可能性も考えられた。悠は目を細め周囲を警戒する。
「匂いは……そう感じられるものじゃないね。大井戸(ここ)がどうにも気になるけれど……」
 鼻をならす天十里は訝しげに中央に古くからある大井戸を覗き込む。僅かに甘い香りを感じるが、それが不審なものかは判断ができなかった。それを横から覗き込んだアレクシアが調べて気づいたことを述べた。
「――けれど植物たちはこうも感じてたようだよ。嫌な気配、人影、それが迷宮森林、その遺跡へと向かったってね」
「……ウイルスや寄生虫等による操作も考えられますね。巨獣達の死体はしっかりと調査したほうが良さそうです。それでなければ――」
 やはり何者かに操られた可能性が高い。
「サーチにはかからないか……」
 だが、もしそれに引っかかれば――それは或いは策動する魔種との遭遇も考えられる。
 傷付いた仲間達を見やりながらマグナは思う。その遭遇がなかったことを良しとするべきか……。
 いずれにせよ、近い将来その原因を突き止めることとなる――或いは遭遇する予感を感じていた。
 今はただ、その時のために身体を休め力を蓄える時なのだろう、と。
 ダナコストの街に、平和の呼び声を伴う一陣の風が吹いた。

成否

成功

MVP

ノースポール(p3p004381)
白金のひとつ星

状態異常

なし

あとがき

 澤見夜行です。

 皆さんのおかげでダナコストの街は滅びを免れました。
 被害が最小限に食いとめられたのも、皆さんのがんばりがあったおかげでしょう。

 MVPは小さな身体で巨獣打ち倒す矛をを守り抜いたノースポールさんへ贈ります。

 依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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