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シナリオ詳細

<クレール・ドゥ・リュヌ>硝子細工の僥倖

冒険中

参加者 : 8 人

冒険中です。結果をお待ちください。

オープニング


「パパ! ねぇ、このドレスはどう?」
 淡い栗色の髪の、妙齢の女性が楽しそうに純白のドレスに身を包み、くるりと回って見せる。
 お似合いですよ、と店の女性が褒めれば、そうかしら、と破顔した。
 少し離れた場所で、新郎である優しそうな男性と、背の高い美丈夫が並んで苦く微笑んでいる。
「女性、というのは、なんというか、微笑ましいですね」
「……すまないね。娘は、昔からおてんばで」
 どうやら美丈夫は、女性の父親らしい。
 困った様子で微笑む娘婿に、ゆったりと頭を垂れて謝罪すると、娘婿が慌てた。
「やめてください、お義父さん!」
「しかし……」
「いいんですよ! それに、彼女があんなに嬉しそうなのは、私もすごく嬉しいんです。前まで彼女は、時折寂しそうでしたから……。でも、貴方が帰って来てくれて、彼女は屈託なく笑えるようになったんです。貴方に花嫁姿を見せるのが、楽しみだって」
 傍から見れば、仲の良い家族連れにしか見えない3人だ。
 理想的な家族と言って良い。

 どこからどうみても、これから幸せになる、そう思える光景だった。

 ――それが、本当は、硝子細工で出来た、儚い僥倖だったとしても。


「集まったな。感謝するのだよ」
 『蛍火』ソルト・ラブクラフト(p3n000022)は、己の長い髪をかき上げながら、やや気だるげに言った。
 ソルトは人ならざるものゆえに元より顔色は悪いが、普段よりも更に青白い肌に見えるのは、現状が少しばかり切迫しているからだろう。
「……ああ、すまないのだよ。我は、最近少し本調子ではなくてな。何、体調が悪いのではない。少しばかり、親近感のようなものが、な」
 珍しく言葉尻を濁しながらも、ソルトが依頼内容を伝える。
 その言葉に、此処に居る面子は、そういえばソルトはアンデッドの類だと言う話を思い出していた。
 それは、すなわち最近起きている事件が関係しているのだろう、と。
 とはいえ、他の世界の住人であるソルトは、同じ存在ではないのだが。
 ソルトは、ため息とともに口を開く。
「汝たちの中で、既に知っている者、そう言った依頼に出ている者もいるかもしれないが、最近、天義首都フォン・ルーベルグを中心に、狂気に侵された者による事件が多発し始めているのだよ。フォン・ルーベルグ市民は、非常に規律正しい人間が多いので、今のこの状態はおかしいと言って良い」
 ソルトは、この状態を、かつての<嘘吐きサーカス>が居た頃のメフ・メフィートでの事件を思わせるものだ、と続ける。
「レオンの旦那が、ざんげに確認したところ、<滅びのアーク>の急激な高まりもあの時を思い出させると言っていたそうだ。だから、『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』が強く生じて、フォン・ルーベルグがおかしくなっているのは間違いないのだよ」
 そこでソルトは言葉を止め、少しばかり困った様子で目じりを下げた。
「……ただ、サーカスの時のように、人々を大々的に先導しているわけではないし、明確にこう、とは言い難いのも事実だ」
 確信がないのかと貴方が尋ねると、ソルトは、嫌と首を左右に振った。
「レオンの旦那の予想では、だ。立て続けに起きた二つの事件が無関係とは考えにくく、フォン・ルーベルグの異常性の連続性から考えて、戻ってきた誰かが『アンテナ』なのではないか、と言う話だ。レオンの旦那も魔種の能力を知っているわけではないから、憶測だとは言っていたがな。だが、旦那の感は良く当たるからな」
 実質、今までの事件もレオンが明確に読みを外したことはないだろう、とソルトは言う。
「悪趣味な話なのだよ。自分と一切関係のないその他大勢と、自分にとっての大切な存在。どちらが心を動かされるかなど、幼き子供ですら分かる話だ。……そして、調査で判明している現実も、彼らにとっては何より酷な内容だろうな。『黄泉返り』は、大抵は敵対的、悪意的ではないのだよ。生前の記憶や記録、或いは時に人間性や知性を残しているように見える。そのうえで、彼らが操り人形になっているというのであれば……愛する人を狂わせると言う業を、彼らは死してなお、やらされるのだよ」
 彼らが生前、どんな存在だったのかなど、第三者である者たちは想像するしかないが、彼らがもし、家族として、友人として、もしくは恋人として、かつての居場所に戻っているのであれば、その魂に対する冒涜である。
「ただ、ローレットが対応していたのは僥倖だった。もし、ローレットがこの件に関わるのが遅れて居たら、おそらくは水面下に潜んでいた爆弾は、今とは比べようもなかっただろう」
 そう言いながら、ソルトは、いつもは不敵に微笑んでいる顔をすっと冷たく引き締め、周囲を見渡し、メンバーへと紙を配った。
「今、此処にいるメンバーには、とある『人形』を壊してもらいたい」
 ソルトは、あえて人形という言葉を使う。
「男の名前は、アリオスと言う。外見は、30歳程度。銀の髪の、端整な顔立ちの男だ。7年前、アリオスは外部からの依頼でモンスターを退治しに遠征し、そこで命を落としている」
 死体は帰ってこなかった、と続ける。
「当時、彼には11歳の娘が居た。名前はステラ。それが、今回の、庇護者だ。母親は病で亡くなっていて、父親に良く懐いていた。だから、遠征前は泣いて離れなかったらしい。現在、18歳になった彼女は、結婚し家庭を持つことになり、本日より三日後に、その結婚式がある。かつて、死体が見つからなかった事もあって、ステラは父親が生きていたと思っているのだろう。周囲に、父が式に出てくれると嬉しそうに話していたそうだ」
 生き別れた父が帰ってきた、それは彼女にとって何よりも嬉しい事だったろう。
「ステラは、今はまだ正気だが、このまま彼から離れなければ、時期にどうなってもおかしくはない。……彼女には酷だが、今ここで離れさせるべきなのだよ」
 父親であるアリオスは、死んでいる、それは変わらない現実なのだから。
「アリオスは穏やかな性格の様だが、汝たちが仕掛ければ、おそらくは向かってくるはずだ。中々、腕の立つ冒険者だったアリオスは、双剣と弓を使う。本来の力であれば、汝たちが負けることは無いだろうが、ステラも場合によっては援護する可能性がある。さすが冒険者の娘だな。接近戦は苦手らしいが、遠くから術を放ったり、回復を行えるようだ。それに、父親を庇いかねないからな、そのあたりは注意してほしい」
 出来れば、無傷でステラは保護したい、と付け加え、ソルトは大きく息を吐いた。
「辛いことを、汝たちに頼む我を許してほしい。だが、汝たちでなければ、奴らの陰謀を阻止するのは困難なのだ。死は誰にも訪れ、そして誰も死を覆すことなど出来はしない。すでに、彼はアリオスではないんだ。……頼んだぞ」

GMコメント

ましゅまろさんです。
久々ですが、よろしくお願いします。

今回は、父親である『人形』の破壊が目的となります。

アリオスは、冒険者だったため実力はある方です。
双剣と弓を器用に使い分けながら、戦います。

アリオスは穏やかな性格ではありますが、皆さんが戦意を見せれば、全力で歯向かってくると予想されます。

●現場
はずれにある教会付近が舞台になります。
式の最中に乱入する事もできますし、客が集まる前に会う事も出来ますが、どんなに急いでも早朝にしか、現地にはつけません。
また、娘はどんな状態でも、かつて父親を失った不安と、父親への執着心から、絶対に近くに居る為、撒くことは不可能です。
狂ってこそいませんが、父親を守る行動はとりますので、ご注意ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
 柔軟な対応を取らないと、悲しい結末になる可能性はゼロではありません。

  • <クレール・ドゥ・リュヌ>硝子細工の僥倖 冒険中
  • GM名ましゅまろさん
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 出発日時2019年05月18日 23時59分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険中です。結果をお待ちください。

参加者一覧(8人)

ミミ・エンクィスト(p3p000656)
もふもふバイト長
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
調香師
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
無影拳
マリス・テラ(p3p002737)
Schwert-elf
アクセル・オーストレーム(p3p004765)
闇医者
カンナ(p3p006830)
彷徨人
白嶺 絆楔(p3p007126)
白樺のかすがひ

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