PandoraPartyProject

シナリオ詳細

面倒くさい解体工事

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●丸投げすぎる解体工事
 鉄帝、ゼシュテル鉄帝国。
 この地に住む鉄騎種達は武力で全てを解決する。
 その為か、実務的な仕事、作業も力押しなことが非常に多い。
 例えば、建物の解体工事。
 それも大体、重機などを使うこともなく、鉄騎の力自慢達が強引に破壊していく。
 下手に重機を使うよりも早く、手軽で、意外に安価で済むのだ。
「ただ、そんなこともあってか、泥棒なども強引に強盗に入ってくることがあるから厄介ですね」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は鉄帝に参加メンバーを集めて、直接現場へと出向く。
 力押しで物事を行う者が多いと、強盗ですらも力押し。
 強引に壁を破壊し、強引に金庫ごともぎ取るなどという行いも珍しくない。
 ――それで、解体工事と強盗の話にどんな関係が?
 その疑問はもっともで、アクアベルは実際に現場を見てもらう為、現地へと参加するイレギュラーズを連れてきたのだ。
 そこは、とある屋敷跡。
 ここの管理者は建て替えを希望しており、古い屋敷を一旦壊すことにしたのだが……、この屋敷に働く防衛システムが障害になっているのだという。
「強盗除けの為、屋敷自体が時に天井を破壊して侵入者を生き埋めにしたり、瓦礫をとばしたりするようなのです」
 また、そうした場合を想定して、多少の穴なら壁などを自己修復できるシステムになっているらしい。
 さらに、壊れたメイドロボットも徘徊しており、作業を邪魔してくるから面倒なことこの上ない。
「システムは屋敷正面から見て、上層下層の左右の4か所あります」
 どこかにシステムの操作盤があるはずだが、分かりづらい場所にあるらしい。
 また、それぞれ4か所に、壊れたメイドロボットがおり、徘徊しているとのこと。
「ちなみに、依頼主の男性は『システムの場所は忘れた、メイドロボットも新調するから破壊してくれ』とのことです」
 その言葉に、複雑な表情をするメンバーもいたが、依頼は依頼。
 ともあれ、更地になるまで破壊できれば、依頼は完了となる。
「残った瓦礫はそのままで大丈夫だそうです。あとは建築業者が片付けてくれるそうですよ」
 状況を理解したイレギュラーズ達は、しばし作戦を立てたのち、屋敷の解体へと当たり始めたのだった。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいです。
さりげに普通の鉄帝依頼が半年ぶりだったりします。

●目的
屋敷の解体

●敵……便宜上8体いる計算です。

◎屋敷×4体
建物は3階建て。
正面入り口から見て、
左上層、左下層、右上層、右下層と4体おります。
それぞれにメインシステムの操作盤がありますが、
場所は不明です。
依頼主曰く「ガハハ、忘れたわい」とのこと。
基本的に、屋敷の天井や壁を破壊して攻撃する形です。
完全に破壊する(HPを0にする)か、
システムを破壊すればその区画は破壊完了です。

・生き埋め……(P)神中範・窒息・足止・反動ダメージ
・瓦礫……(P)物遠単・連・出血・反動ダメージ
・床揺らし……(P)物中域・乱れ・反動ダメージ
・消灯……(P)神中範・暗闇(HP50%以上のみ)
・自己修復……(A)自単・HP回復
・建造物……(A)移動不可

○戦闘メイドロボ×4体
壊れて命令を受け付けなくなったロボットです。
屋敷のそれぞれの区画に1体ずつ配備されております。
依頼主曰く『また練達に新しいヤツ頼むから、壊していいよー』だそうです。

・モップ殴り……(P)物近単・連
・隠しナイフ……(P)物遠扇・出血
・メイドの眼光……(P)神遠単・不運
・お掃除……(P)神中範・HP回復・BS回復
・メイドの心得(A)自単・AP回復

●状況
昼間、鉄帝某所。
古くなった屋敷を解体することになります。
ただ、屋敷には侵入者除けにそれぞれの区域ごとに防衛システムが作動し、
侵入者や屋敷を破壊するものを襲うようプログラミングされているようです。
システムを破壊すれば、HPを0にする前に無力化しますが(解体は必要です)、その場所は不明です。
また、メイドロボを破壊する必要はありませんが、
建築の妨げになるので、
破壊したくない場合は何らかの対処が必要でしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 面倒くさい解体工事完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月22日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

銀城 黒羽(p3p000505)
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ミーシャ・キュイ(p3p002182)
ただの手品師だよ?
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
アニー・ルアン(p3p006196)
鳳凰
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女

リプレイ

●解体作業にメイドロボ
 鉄帝某所。
 イレギュラーズ達の姿は、とある貴族屋敷の敷地内にあった。
「さーて、解体ショーの始まりだね」
 一見、黒いスーツを着用した『ただの手品師だよ?』ミーシャ・キュイ(p3p002182)は、どこか瞳に剣呑な瞳を称えつつ嗤う。
「粉砕、破砕、大喝采、というやつじゃな。あれ、なんか違うのう?」
 黒衣のウィッチの少女を思わせる『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)は可愛らしく首を傾げる。
「屋敷の解体作業ねえ……」
 落ち着いた雰囲気をした小柄で中性的な青年、『機工技師』アオイ=アークライト(p3p005658)が何気なく呟く。
「……ホント、特異運命座標は色んなことをさせられるな。発破した方が早くないか?」
 ちゃらんぽらんとした態度の『暇人』銀城 黒羽(p3p000505)が大儀そうに仲間達へと告げるが、アオイが首を横に振った。
 力自慢が多い印象の鉄帝がどんなセキュリティをとっているのかと思ったら、意外にも練達の技術を使っており、万全であるとアオイは考える。
「まぁ、そのせいで、今回みたいなことにもなってるわけだが」
「非常停止の手段が無いのは考え物ですね……」
 自動化されたセキュリティに、『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)は便利さを感じる一方、問題点も実感していた。
「ともあれ、形あるものはいつか崩れるものじゃて」
 それが今日であるだけ。クラウジアは割り切って、依頼にやる気を見せる。
「まぁ、それはいいんだが、メイドロボの方がな」
 黒羽は建物のことはさておき、中で稼働し続けるメイドロボについて気に掛ける。
「なんと言うか気の毒……可哀想だよな」
 あっさり壊していいと言い切った依頼主に、黒羽には引っかかっていた様子。
 ただ、一行の方針としては破壊だ。
「……本当に、メイドとしても壊れているわね」
 淡々とした態度の『鳳凰』アニー・ルアン(p3p006196)がドライな考えを口にする。
(俺としては破壊せずに済ませたかったんだが……)
 無理そうだとあきらめ、黒羽は諸々終わった後で考えることにする。
 そんな中、無言で依頼に臨む鉄騎の少年が1人。
(アクアベル……結局、俺は無様に戦う事しかできないようだ)
 黒衣を纏う『寂滅の剣』ヨハン=レーム(p3p001117)は、依頼を仲介した海種の少女に母の1件を感謝しつつ、この依頼に参加していた。
(この数か月、何もせずに無力感に苛まれ、腐っていたわけではない事を見せてやる)
 一度、折れた心と剣。
 ヨハンは今一度剣となり、人々の為に一役買おうと動き出す。

●下見からの作業開始
 さて、解体作業を始めるイレギュラーズ達。
「……と言っても、壊すのは他の奴等に任せっきりになるがな」
 黒羽は襲い来る攻撃を、仲間の代わりとなって一身に受け止める役割を担う。
 また、ヨハンも先頭に立ち、体力低めのメンバーの防衛に当たる考えだ。
「ストレス発散にテキトーに暴れよっかなー」
 ただ、考えようによっては、破壊すればいい依頼ではあるので、ミーシャのように破壊に専念する者もいる。
 ここに至るまでに一行はある程度のプランは立てていた。
 屋敷は大きく、左右の上下層で4ブロック。右手側の上下から取り掛かる作戦だ。
 解体なら計画というべきかもしれないが、それはさておき。
 異世界のプリンスといった振る舞いの『聖クリスティアン』クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)は一通り状況を確認して。
「特に時間制限もないようだね」
 必要に応じ、一行は屋敷から離れて休息を取る方針だ。

 まず、メンバー達は正面大広間へと入り、そこの階段を登って右手上層へ。
 鶫がエネミーサーチで敵意を感じる間に、とりあえずとクラウジアが遠距離術式で壁を一撃。
 壁が破壊されると同時に警報が鳴り響き、屋敷の防衛システムが作動する。
「あちらこちらに点々と反応があるようですね」
 屋敷のブロック全体で襲い来る状況を、鶫はエネミーサーチで知覚する。
 攻撃のタイミングならばつかめそうだが、素早く飛んでくる瓦礫や頭上からの落盤など、システムが使う攻撃手段はいくつかある為、幾度が体感する必要がありそうだ。
「おっと、反応してきたようじゃの」
 中層階から駆け上がってきたメイド。すでに壊れ、半ば暴走している彼女は無機質な肌をさらしている。
「用済みだから全部ぶっ壊すってのも、少し勿体無いような、寂しいような気もするが仕方ない」
 アオイも些か、目の前のメイドロボに憐れみを思えていたようだが、これが今回の『仕事』と割り切っていたようだ。
 瞳をぎらつかせ、モップを手に近づいてくるメイドロボ。
 本来、使えるべき雇い主の命令も受け入れず、屋敷だけを護ろうとするそのロボの態度。
 アニーはそれに対し、両腕を燃え上がらせて。
「いいわ。あんたたちの守ろうとするモノ、諸共に全て灰にしてあげようじゃない」
 仲間と共に、アニーは館とメイドロボの破壊に乗り出す。

●不要とされたモノ達
 解体を開始したイレギュラーズ達を、警備システムが襲い掛かる。
「かかってこいやぁ!」
 ともあれ、黒羽はシステムによる攻撃を食い止めようと、その場で幻惑のステップを踏み始める。
 そして、彼は続けざまに向かい来るメイドロボを合わせ、己の体から溢れる闘気を操ることで、屋敷とメイドロボの鎖のように絡めとっていく。
 その見た目は、屋敷の通路に張り巡らされた闘気の鎖の中に、メイドロボが絡まれたような形だ。
 一旦様子見を行い、仲間の守りも考えたヨハンはそれを受け、攻勢に出ることにする。
(攻撃の手が足りずに、ジリ貧となる事は避けねばな)
 ヨハンはアタッカーとして『霊樹の大剣』を手にし、館の壁目掛けて十字状の光の斬撃を浴びせかけていく。
 破壊自体はたやすい。防衛システムがあるとはいえ、建物自体は単なる建造物なのだ。
 しかしながら、防衛システムには自己修復能力が備わっている。
 その為、屋敷は瓦礫を取り込みつつ、壊れた個所の修復を行おうとしている。さながらそれは生物を思わせた。
「中々に危険な作業ですから。より確実な退避ルートを確保できるようにしましょう」
 鶫は建物が倒壊する方向を考慮し、端から柱を外側に叩くよう仲間達へと呼びかける。
 そうして、鶫は単発装填式電磁噴射砲『天梔弓』を構え、死の凶弾でメイドと屋敷を纏めて穿っていく。
「ふむ……」
 クラウジアは仲間の忠告に耳を傾けつつ、メイドロボを優先して狙う。
 左手に埋め込まれた聖痕の呪い……『塔のスティグマ』を輝かせ、クラウジアは自らの精神力を弾丸に集め、メイドロボ目掛けて発射する。
 メイドも抵抗しながら、目の前の黒羽目掛けてモップで殴り掛かってきた。
 じたばたしているその姿を前線で目にするアニーは、聖痕を刻んだグローブを両手で構え、神秘の力を高めていく。
「機械に感情があるかはわからないけど、恨みたければ恨むがいい」
 そして、アニーは焔を舞わせ、その機械の体を焦がしていった。
「今更、たかが4つ増えたところで、私にとっては些細なものよ」
 例え、相手の体が焼け焦げようとも、アニーは気にすることなく、さらにその体を燃え上がらせていく。
 その間、黒羽に押さえつけられる屋敷のシステムはスキルを使えぬ間、壁や天井の一部を叩きつけて攻撃を仕掛けてくる。
 広範囲に及ぶ攻撃もあると、事前情報ではされていただけに、システムはできるだけ抑えておきたい相手だ。
 改めてメイドロボに視点を移すと、こちらは抑えから逃れ、眼光を煌めかせながらナイフを投げ飛ばす。
 見た目はやや古臭さも感じるが、その能力は現役。
 油断していると、こちらの方があっさりとその身を破壊されてしまいそうだ。
 なかなかに手強いメイドロボを相手にしつつ、ヨハンは思う。
(メイドロボ……以前の俺なら、こいつらも何とか違う道を歩ませようとしただろうか?)
 そこまで考えた彼は小さく笑い、自らの甘さを自覚する。
 ただ、チームの総意が破壊とはいえ、ヨハンは必要以上に壊すこともないと結論付けて。
「今まで役に立ってきたモノたちだ。敬意をもって葬るぞ」
 光の十字の斬撃をメインに、ヨハンは時折振るった大剣から氷の破片を飛ばし、メイドロボの体を切り裂いていく。
「…………」
 危機を察し、メイドロボはできるだけイレギュラーズの数を減らそうと、後衛のメンバーを狙うのだが……。
「ふふふ! 僕がいる限り後衛に攻撃はさせないよ!」
 そこに立ち塞がるクリスティアンが胸を張り、呪術を行使してメイドロボへと浴びせかけると、衝撃の為か大きくのけ反る。
「そーれ粉砕じゃぁ!」
 そこに、クラウジアが精神の弾丸で追撃すると、メイドロボは大きくぐらついて床へと倒れ込んだのだった。

 徐々に屋敷が破壊されていく中、アオイは仲間達の傷が深まってきたことを察し、治癒魔術を多重展開していく。
(銀城さんだけは放って置いても倒れなさそうかな)
 アオイは黒羽だけは付与を行う気力が尽きぬようにと、声援を贈って支援に当たっていた。
 後は、建物破壊をと、ミーシャは魔砲で周囲を撃ち抜いていく。
 仲間達の解体を目にしながら、鶫は考える。
「何のエネルギーも無しに、瓦礫を飛ばしたり床を揺らしたりは出来ない筈ですが……果てさて」
 確かに、攻撃のタイミング、エネルギーの高まりがその攻撃の起動部に感じられるのだが……、現状はそれを特定することができない。
「屋敷の方は反動ダメージで勝手に倒れてくれねぇかなぁ」
 そう考えながら、システムの攻撃を受けていた黒羽。
 相手が彼より気を逸らしたタイミング。
 頭上の瓦礫を落下させてきたのがが最後の抵抗となり、右手側上層は崩れ落ちてしまったのだった。

●手強いメイドロボ
 1ブロックの解体及びメイドロボ討伐を終えたタイミング、メンバー達は被害が及ばぬところへと退避してから休憩をとる。
 それほど、被害も大きくなかったこともあり、次に右手下層の解体を開始するのだが……。

 先ほど崩した上層部分が下層へと崩れ落ちてきている。
 それらが障害物となる為、アニーが火力を調整した炎で焼き払いながら進む。
 だが、その陰からいきなりシステムが起動し、瓦礫が飛んできた。
「おうっ!? ぬ、意外にやべー建築物じゃのう……」
 驚くクラウジアを含めて一行は不意打ちに対処が遅れ、屋敷のシステムへの対処を開始することになる。
 だが、お掃除機能の付いたメイドロボがこんなところにある瓦礫を見過ごすはずがないとアニーは察して。
「まさか……、挟み撃ち?」
 建物の抑えに前線メンバーは当たるものの。
 後方から、魔砲で館破壊を行うミーシャへと、メイドロボが奇襲してくる。
 鶫が廉価版スタングレネードとでも言うべき擲弾『雷公』を発するが、メイドロボは軽やかに跳躍して避け、隠しナイフを投擲しつつミーシャへと接近する。
「っと、これは……」
 盾役メンバーの対処が遅れはしたが、ミーシャは予想外の出来事に胸を躍らせて魔砲で応戦する。
 しかし、メイドロボは軽やかな動きで、彼女をモップで殴り倒してしまった。
 黒羽は屋敷のカバーで動けない為、ヨハンがライトニングシールドを展開しつつサポートへと出る。
 クリスティアンも自らの影を操ってメイドロボに切りかかるが、メイドの戦闘能力は思った以上に高く、防がれることもしばしばあった。
 同じく、後方にいたクラウジアへと視線を向けた直後、やはりモップで頭部を殴り、昏倒させかけた。
「冗談じゃないのう……!」
 しかし、クラウジアはパンドラの力を使って堪え、精神力の弾丸を撃ち込み、何とか相手の動きを止めようとする。
 アオイも後衛陣の危機を察し、チェインリカバーでの回復を急ぐ。
 ヨハンがクラウジアのカバーに入ってしばらく戦線を持たせながら、一行は前後に挟まれ交戦を続けることになる。
 そうこうしているうちに、黒羽も気力が尽きてきたのか、屋敷を直接ブロックしていくことに。
「……自分で言っててあれだが、屋敷をブロックってどういうことだ」
 クリスティアンもメイドロボの方へと出て、仲間のカバーに当たりながら交戦する。
 このメイドロボ達はきっと今まで勤勉に働いてくれていたはず。
 それだけに苦しまないよう手早く破壊しようと、クリスティアンは考える。
「せめて、苦しまない様に……。すまない、今までありがとう……!」
 クリスティアンは呪術を発し、それに包み込んだメイドロボを眠りへとつかせていった。
 その間、鶫は『天梔弓』で気になる構造物を積極的に破壊していくが、そんな中、柱の中に走る熱源を感じて。
「壁の中を何かが動いている……?」
 ただ、仲間が持ち直したとあれば、ヨハンが光の斬撃を放って壁を破壊する。
 その正体を確認できなかった鶫だが、ひとまず仲間と共に屋敷から離れることにしたのだった。

●システムはどこに?
 前線に出続けている黒羽はさほど堪えた様子はないが、ミーシャの回復を待つ為、一行は眺めの休憩をとる。
「ま、一休み、じゃの。何、相手が逃げぬし追ってこぬのなら、状況は整え放題じゃしのう」
 クラウジアも瞑想と成敗の力を使い、仲間の回復に当たる。
 一息入れるクリスティアンへアオイは緻密に術式を制御し、回復に当たっていく。アオイはさらに、メンバーへと声援を送っていたようだ。
 アニーもまた瞑想し、消耗した気力を取り戻す。
 ミーシャが目覚めるまで小一時間。メンバー達はしばしの休息をとるのである。

 小一時間ほどしてから、3ブロック目左手上層。
 今回はメイドロボも端におり、今度こそはと黒羽が纏めて注意を引きつけようとする。
「味方の範囲攻撃ごと受け続ける。必殺以外なら全部受け切ってやらぁ!」
 攻撃しないスタンスの彼の背後から、中後衛メンバー達が攻撃行う。
 先ほど、崩れた経緯もあり、後ろ側のメンバーをヨハンやクリスティアンが気にかけながら、館とメイドロボの対処を続ける。
 アオイもまた戦う仲間達を全力で支える。
 気を抜くと自らも倒される危険もあってか、アオイは防御集中しつつメンバーの癒しの手を切らさぬようにしていた。
 一方、メイドロボは無機質に攻撃を続けるだけ。
 思考回路が残っていたなら、反応は違っただろうか。
 アニーにもう油断はなく、舞わせた焔でその全身を包み込み、瓦礫と共に床へと沈めていく。
 そのアニーが異能の炎を発していく相手は、屋敷のシステムだ。
「システムはどこかなぁ? ここかなぁ?」
 ミーシャも調子を取り戻しつつ、あちらこちらへと魔法を放つ。
 結局は見つからず、ミーシャは無理に探すことなく柱の破壊を続ける
「簡単に部外者が操作できる位置にはないというのが俺の読みだが」
 同じく、ヨハンも仲間の状態を気にかけつつ、見つかればラッキー程度に攻撃を続ける。
 メイドロボが倒れた状況もあり、精神力の弾丸を発するクラウジアもシステムのありかを推測する。
「心なしか、移動しておる気がするんじゃがのう……」
 鶫もまた、これまでの状況を鑑みながら仕掛けを探す。
「配線らしいものが見当たらないんですよね……」
 規則性はあまり見られない。むしろ、こちらを狙うように攻撃は飛んでくる。
 ただ、壊した方向からは飛んでこない。鶫は注意深く熱源目掛けて『天梔弓』から矢を放つと……。
 ガツッ……。
 明らかにこれまでとは違った音が聞こえる。
 同時に、屋敷の防衛システムが完全にシャットダウンし、抵抗が止まる。
 どうやら、壁や天井の内部に空洞があり、その内部を素早くシステムのマザーボードが移動しているといった状況らしかった。
 抵抗さえなくなれば、後は破壊していくのみだ。

 左手下層、4ブロック目ともなると、一行も慣れた手つきで撃破する。
 2ブロック目の反省を生かすメンバー達は屋敷のシステムに警戒をしつつ、一旦瓦礫撤去を待ち、お掃除にやってくるメイドロボを迎え撃つ。
「お望み通り、お先にぶっ壊してあげちゃうよ」
 用済みの屑鉄なぞ気にする必要はないと、ミーシャは先ほどのお返しとばかりにメイドロボを攻め立てる。
 仲間達の攻撃に合わせ、彼女は飛んでくるナイフを堪えつつ、手を差し向けて。
「役立たずはさっさと眠ってろ」
 そうして、ミーシャは相手の首元へと砲弾を撃ち込み、屋敷の壁もろとも吹き飛ばす。
 その間に、鶫が先ほどと同様にシステムの場所を確認。
 それを停止させてから、一行は障害なく屋敷の解体を進めていくのだった。

●崩れたモノ、救われた者
 解体を済ませ、メンバー達は身支度を済ませる。
 瓦礫の山はこの後、建築業者が片付けてくれるというから、放置して帰ればよいのだが……。
 黒羽、クリスティアンは何やら、思うことがあったようで。
「なんとか1体分の部品がありゃ、直せねぇかな」
「もしかすると、なにか新しい機械やロボットに再利用できるかもしれない」
 黒羽はギルドでの利用を、クリスティアンもまた新しい機械やロボットに再利用とメイドロボのパーツを集めていた。

 新たな主に恵まれたそのメイドロボ達。
 修理し、再起動した後、彼女達はいったいどんな人生を歩むことになるのだろうか。

成否

成功

MVP

弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは配線、熱源などに注目してシステムを発見したあなたへ。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!

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