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シナリオ詳細

地下水路を逃げ回る暴走鉄壁メカ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●地下水路で暴れ回るロボット
 練達……探求都市国家アデプトの街中。
 この地では、様々な科学者達が日夜様々な研究へと打ち込んでいる。
 その内容も幅広い。
 混沌の謎を突き止めることや、旅人が元の世界に戻れる方法の模索といった学術的なもの。
 混沌だからこそ可能な技術の研究。元の世界における物理法則、魔法の可否などもあり、混沌でこそ利用可能な技術の探求。
 逆に、混沌で利用できない技術。元の世界で使えたはずのものを、どうにかして使えるような物理法則を解明しようとする者もいる。
 そんな彼らが夜中に研究を続けていると、足元から何やら音がしてくるのに気づいて。
 ガション……ガション……。
 練達で地下室を持つ者もいるにはいるが、その音はさらに地下から聞こえてくる。
 どうやら、ロボットが歩き回る音。
 しばらくの間、それを気にすることなく、人々は過ごしていたものの、日を追うごとにその頻度と音量が上がって。
 ガションガション……ガションガション……!
 しまいには、絶え間なく音が鳴り響くように。
 ガションガションガションガションガション!!
「「「だあああ、じゃかあしいわああああ!!」」」
 さすがに昼夜問わず聞こえてくる騒音に我慢できなくなり、研究者達はその原因を除去すべく、幻想ローレットへと出しに向かうのだった。

●暴走ロボット鎮圧依頼
 練達の街中。
 ローレットから派遣する形でやってきたイレギュラーズ達を、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が出迎える。
「お疲れ様です」
 彼女が待ち合わせ場所として指定していたのは、とあるコーヒーショップ。
 練達の研究者、学者達は日々、寝る暇を惜しんで研究に打ち込む。
 そんな中で、コーヒーというものはちょっとしたブレイクタイムであり、散漫になりかけた集中力を取り戻させる。
 もちろん、こうして依頼に当たるイレギュラーズ達も同様。
 コーヒーが苦手な人には、果実ジュースも振舞ってくれるので安心だ。
「それで、依頼なのですが」
 注文した飲み物を口にするメンバー達へとアクアベルが依頼の説明を始める。
 なんでも、練達内のとある区画で騒音騒ぎが起こっているのだという。
「調べているうちに、とある機械技師が壊れたロボットを、地下水路へと放棄していることがわかりました」
 数は3体。当事者は数日に分けて1体ずつ、始末に困ったロボットを地下水路へと捨ててしまったらしい。
 そのロボットの特徴から犯人はすぐに割れ、中年の男性機械技師が特定された。
 反省した機械技師は自らの手で捕まえようとしたのだが、ポンコツながらも微妙な性能の良さが災いし、捕まえるのが難しくなってしまったようだ。
「一定の区画のみ暴れ回っているようなので、範囲の特定はたやすいのですが、いかんせん抑えるべきロボットのスペックがですね……」
 まず、状態異常が効かない為、動かなくして捕えることが難しい。
 さらに、危機を感じるとダッシュして逃げるという機能が付いている。
 ――なんで、機械技師はこんな仕様にしたんだ。
 イレギュラーズ達も皆、呆れ気味ではあるが、放置していると人々が騒音で不眠症になるなど被害は大きくなる一方だ。
 アクアベルはロボットの仕様、スペックと、街の水路についての簡単な情報を参加メンバーへと手渡して。
「どうか、このロボットの鎮圧を願います」
 できるなら、このロボットを破壊せずに捕えてほしいというのは、依頼人、騒音に悩まされる研究者達。
 今までの分、思いっきり憂さ晴らしでもするのかと思いきや、その動力など中途半端に高性能な技術を分析するとかいうから、研究者達は分からない。
 ともかく、イレギュラーズ達は騒音騒ぎの解決の為、ロボットの撃破、あるいは確保へと当たるべく、地下水路へと向かうのである。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいと申します。

●目的
全てのロボットの撃破、または確保

●敵……ロボット×3体
 どこかポンコツ感漂う1m強程度の大きさをした赤い塗装の人型ロボット。一応、電力の類で動いているようです。
 状態異常が効かず、ブーストダッシュして水路を逃げることがありますので、うまく対処する必要があるでしょう。

 以下のスキルを使って攻撃してきます。
・突撃(A)物近短・防無
・暴れ回る(A)物近範・足止・飛
・ビリビリ!(A)神遠貫・ショック
・ブーストダッシュ!(A)自単・2回行動・移動のみ可能
・鉄壁ボディ……(P)BS無効

●状況
 練達の地下水路で、暴走ロボットが騒音を立てながら移動し続けております。
 破壊しても構いませんが、破壊せずに確保すると依頼主は喜びます。
 中央で南北に走る大きな水路(幅は5,60mほど)があります。
 南北300m程度でそれぞれ柵があってそれより先は移動できない為、その範囲内をロボットが移動しております。
 なお、その水路の東西へと幅1人分の細い水路が伸び、町の地下へと張り巡らされています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 地下水路を逃げ回る暴走鉄壁メカ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月18日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)
緋色の鉄槌
セララ(p3p000273)
魔法騎士
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
アベル(p3p003719)
失楽園
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)
 

リプレイ

●非常にうるさいロボット達
 練達、とある区画の地下。
 そこには地下水路が走っており、区画ごとに柵で仕切られ、時折業者や依頼を受けた冒険者などが掃除を行っている。
 この国は……都市国家というべきかどうかはさておき、研究者が多いこともあり、基本静かな場所……のはずなのだが。
 ガションガションガションガションガション!!
 今、この地下水路を走り回る暴走メカ達が異常な騒音を響かせている。
「愛と正義の使者、魔法騎士セララ参上!」
 そんな場所へと金髪ボクっ娘美少女『魔法騎士』セララ(p3p000273)が真っ先に突入して叫ぶのだが、その声すらもロボット達の騒音でかき消されてしまう。
「ロボ! 夢があっていいよねー、ロボ」
 今回の相手にテンションを高めるセララは、先ほどまで仲間と一緒にロボットの制作主である中年の機械技師と会ってきていた。
「マップとロボットのデータは入手できましたな」
 その体のほとんどを機械と改造された『正気度0の冒涜的なサイボーグ』ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)が地下水路のマップを改めて確認する。
「電源ぐらい切ってから捨てろや!!」
 ロブスターの海種、『緋色の鉄槌』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)は苛立ちを隠さず、その機械技師に本音をぶつけていた。
「……そもそも何のために、んなロボット作ったんだよ」
 マグナが機械技師に詰め寄ると、エネルギー効率の良いロボットの研究に勤しんでいたとのこと。
 ともあれ、七面倒臭い性能になり果てたロボットを止める為、腰部にあるバッテリーの場所と、その近くにある電源スイッチの場所を聞き出す。
 なお、電源スイッチは壊れている可能性もあるとのことだが……。
「合体機能とか無いの? あと自爆スイッチ!」
 セララが目を輝かせて尋ねていたが、さすがにそういう類のものはつけていないらしい。
 なお、弱点は特にないとのこと。力づくで止めるしかなさそうだ。

 ガションガションガションガションガション!!
 改めて、やかましい音を立てるロボットが走り回る地下水路に視点を戻して。
「鉄のカラクリか……」
 激しい足音を立てて赤い塊があちらこちらを駆け回る状況を、黒衣の青年、『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)は切れ長の目で眺める。
「鋼の身体と言いますト、少々親近感がわきますわネ」
 鉄腕メイドの鉄騎種、『堅牢なる楯-Servitor of steel-』アルム・シュタール(p3p004375)は機械化したのはほぼ腕だけだが、それでも対処すべきロボットにちょっとした情が湧いていたようだ。
 ただ、アランの表情は険しい。
「こんなもんよく作れるもんだよな。感心するぜ。うるさく無けりゃな!」
 これだけやかましい音を立てるロボットだ。アランでなくとも、悪態をつきたくなるというもの。
「とりあえず、敵を全部ブッ飛ばせば良いってことですな!」
 ベンジャミンがそう仲間達へと確認すると、ガスマスク装着の『未来偏差』アベル(p3p003719)が相槌を打つ。
「まあ、破壊は最低目標として。できれば、1体以上鹵獲したいですね」
 それは、騒音被害を受けている研究者達の希望だ。
「まあ、研究成果だからねー。可能な限り壊したくないという気持ちもそりゃわからないでもないね」
 ピンクの髪、自身を輪廻転生の化身と称する少女、『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)が依頼者の心情を慮る。
 もっとも、それで苦労するのは、今から何とかしようとするローレット勢なわけだと、リンネも自認してはいる。
 ともあれ、彼らに罪は無いようだとアルムは認識して。
「用意したお茶が冷めぬうちに、皆様ニ振る舞いたい所ですワ」
 彼女はメイドらしく、この場のメンバーの為にと紅茶とクッキーを用意してきたそうだ。
「捕まえるのは、可能ならばって言われてるわけだし。可能にしようとがんばってみようね、うん」
 苦労はしそうとしながらも、リンネが仲間達へとできる限り確保しようと促す。
「みんなで、練達の子達の静かな夜を取り戻しちゃいましょう~」
 ゆるふわな印象を抱かせる幻想種、『その歌声は響かせない』レスト・リゾート(p3p003959)がこの場の全員を鼓舞し、騒音を立てるロボットの対処を開始するのである。

●準備は念入りに
 地下水路は頭上に開いた穴から、光が差し込む作りになっている。
 これは、雨水を水路へと流し込む際にも使われるようだ。
 その為、昼間であれば照明はあまり必要なさそうだが、陰になっている場所は明かりが欲しいといったところ。
 念の為にと、マグナはカンテラを、アルムが南瓜ランタン、セララが灯りの魔法を、そしてベンジャミンがギフトで光源を用意しており、準備は万全だ。
 ガションガションガションガションガション!!
 とりあえずは、ロボットの捕獲or破壊の為、一行は効率の良い方法を模索することになる。
「ロープを張った足掛け罠、捕獲罠などをロボットの進路上に設置したいね」
 そこで、リンネがメインとなり、地図と実際の地形を合わせ、戦略眼でロボット達の行動ルートを予測。少しでもかかりやすい位置を割り出し、仲間達へと罠を張る場所の指示を行う。
 ただ、ベンジャミンは先にリンネの戦略眼による状況分析を元にして陣地構築のスキルを使い、左右の細い水路へと丸太を使ったバリケードでの封鎖へと当たっていく。
「この空間にロボットどもを閉じ込めますぞ」
「詳しいことはよくわからんが、ここに丸太を置けばいいのだな?」
「俺も専門技術は皆無ですからね。実務作業でお手伝いします」
 アラン、アベルもリンネの指示に従いつつ、力仕事を担当する。
「出来る限り、お手伝いをしましょウ。これでも力仕事は得意ですのヨ?」
 男性に交じり、小柄なアルムも丸太を運ぶ。さすがは鉄腕メイドである。
 拘束の為のトラップは、主に女性メンバーが作ることとなる。
「おばさんもがんばるわね~」
 レストはリンネの指示に従い、ベンジャミンが仕掛ける丸太の近くへとロープで罠を仕掛けていく。
 仕掛けは単純ではあるが、ロープの輪に足がかかると、輪っかが締まって宙吊りになるというものだ。
 それができれば、レストは仲間にもその場所を伝達していく。
「こんなこともあろうかと!」
 罠の設置に足りないものがあれば、セララがポケットに入る程度の物なら出してくれる。
 ワイヤーを取り出した彼女は、それを使ってトラップを造っていたようだ。
 バリケード造りを一区切りさせたベンジャミンもまたワイヤーを借り、あちらこちらへと張り巡らせる。
「気づかずに高速で直進すれば、全身がんじがらめですぞ」
 あとは、彼は破壊されて逃げられてはかなわないからと、南北の柵も補強へと当たる。
 ガションガションガションガションガション!!
 こうして、小一時間ほど、騒音の中で作業を進める猟兵達。
 それが完了してからが捕り物撃の開始。
「さぁて、お仕事だ。せいぜい頑張るぜ」
 アランが気合を入れる中、他メンバー達も改めて、機械音を鳴り響かせるロボット達を捕捉していくのである。

●作戦開始!
 リンネの指示で水路に罠を張り巡らせたら、イレギュラーズ達は本格的に、暴走ロボット達をその罠に追い詰めながら戦うことになる。
「そっちだ」
 ガションガションガションガションガション!!
 差し込む光源を頼りに追うアランが呼びかけると、セララがすかさず、ロボット1体の進行を妨げる。
 2本の聖剣を持つ彼女は自らの正義の心を刃へと移し、相手の体を十字に切り裂く。
 硬い装甲を持つ相手だが、セララの決め技たるその連撃は難なく相手の基盤にまでダメージを与えていく。
「止まりやがれ、このポンコツがぁ!」
 丁度、2体が近づいてきたこともあり、マグナが一旦狙う対象でない方へと呼び出した石礫をぶつけて、その場から離れさせる。
 仲間達が散開する前に、リンネが高鳴る鼓動と共に赤き彩りによって仲間達を鼓舞していく。
 その上で、リンネはエネミースキャンで敵を見続ける。
「何か変化があれば、教えるよー」
 特に逃走の気配があれば、リンネはルートを塞いで相手の進路を絞ろうと考えていた。
「情報だと、ロボは危なくなったら逃げちゃうみたいね~」
 レストはロボットを抑える為に衝撃波を飛ばしつつ、そう自身の認識を語る。
 隙を見せればすぐ移動そのものはするが、ロボットには危機を察するとブーストダッシュして逃げるという機能があるらしい。
 常に相手は暴れ続けている為、抑えるメンバーが傷だらけになってしまう。
 レストは仲間の負傷度合いを見て、調和の力を賦活の力と転化して分け与えていく。
 ベンジャミンも相手の動向を見つつ、ブロック役の補佐として身構える。
「何かあったら、すぐサポートに入りますぞ」
 彼は……性別不詳だが、見た目男性の為……召喚物を呼び出し、攻撃を仕掛けながらも、時に回復に当たるなど、こちらも臨機応変の立ち回り。
 また、ベンジャミンは逃げ回る他2体にも、エコロケーションを働かせて居場所を常に把握していたようだ。
 できるだけ、不殺スキルで1体ずつ無力化を試みるイレギュラーズ一行。
 アルムもまた動き回る敵を罠へと誘導しつつ、ブロックの補佐として動く。
 相手が電撃を発してくれば、アルムは自らのエスプリの効果もあってそれに耐えつつも慈悲の一撃で無力化を試みる。
「皆様、大丈夫ですカ?」
 アルムが問いかけるが、皆なんとかこの場を持たせている。
 音を含め、エネルギーの出力が高すぎるロボットだが、害意があって暴れているわけではないこともあり、油断せず立ち回ればなんとかなりそうだ。
「さて、コイツを使うときが来ましたか」
 バリケード、罠設置の後、アベルはトランクケースからデカブツを組み立てていた。
 いつもは使い慣れた銃を使い、高命中からの異常状態付与で戦うアベル。
 ただ、敵の装甲は厚く、思った以上に高いスペックもあって、彼は今回、新兵器『Master Key』を投入することにしていた。
「こいつの扱いには慣れていませんので、致命的なミスが出るかもしれませんが……今回はそれに賭けてみますか」
 濡れない場所で伏せ、タイミングをはかるアベルは、決して分の悪い賭けではないと考えている。
 敵がワイヤーに引っかかったのをガスマスクの中から見て、アベルは威力に特化した狙撃でロボットの体を撃ち抜く。
 ガション……ガショ……ン……ガ……ション!
 破壊力ある一撃によって、そのロボットの動きが明らかに鈍る。
 暴れ続けてはいるが、イレギュラーズは破壊してしまわぬよう周囲しつつさらに弱らせていく。
 ここで、マグナが前衛陣の回復に回りつつ、しばらく応戦。
 手足のバタつきが収まりかけた相手へ、アランが模造の戦神の大剣を握りしめて。
「鉄壁だろうがなんだろうが、こいつの前じゃあ……紙切れも同然よ」
 突き出された刀身にロボットは穿たれ、完全に沈黙してしまったのだった。

●抵抗激しい暴走ロボ
 ガションガション……ガションガション……!
 1体のロボットの動きを止めたイレギュラーズ一行だが、それでも走り回る2体はなお騒々しい。
 ともあれ、一旦メンバー達は休息をとり、セララが自分や仲間に祝福の囁きで癒しに当たる。
 そして、2体目の対処を再開。
 こちらは見事にリンネが予測した場所へと駆けてきて、面白いようにロープでの捕獲罠にはまってくれた。
 そいつに対してアベルが狙撃を試みるが、もう1体が邪魔をしてくる。
 この為、マグナがそいつの抑えへと当たっていく。
「今のうちにやっちまえ」
 マグナに抑えられ、ロープに足をつられてぶらぶらとしている敵へとレストが近づいて。
「こらこら~、暴れちゃダメよ~」
 じたばたすることで、あちらこちらへと揺れるロープ。
 レストはそれを仲間と抑えつつ、股下の電源をOFFにしてその動きを止めた。
 ガションガションガションガションガション!!
 ただ、もう1体はそうもいかない。
 身の危険を感じた残る1体は一層素早く走り回り、思いっきり手足をバタバタ動かして暴れて罠すらも破壊して回っていたからだ。
 それを、イレギュラーズ達は布陣を強固にして対処する。
 素早く地下水路を駆け回る敵を、まずは抑え込みたいところ。
 だが、セララとレストが抑えようとするのを、敵は素早く躱して逃げてしまう。
「くそっ、逃げてんじゃねえ。ぶっ壊すぞ!」
 チーム1機動力の高いマグナがそこで、対処に回る。
 マグナは相手の進行方向に回り込ようにして、敵の動きを制しようとしていた。
 罠を破壊しながら進むロボットの動きを見て、リンネは自分の予測が間違ってなかったと実感しつつ、ルートを塞いで進路を絞るよう動く。
「出来れば……いえ、必ず壊さないくらいの気持ちで捕獲したいね」
 ガションガションガションガションガション!!
 だが、ロボットは簡単には捕まってくれない。
 機動力に優れるマグナと、アベルの牽制射撃の援護を受けつつ、セララ、レストがロボットを前後から挟み込む。
「逃がさないよー。覚悟してね!」
 レストも旅行鞄を押し付け、動きを封じようとする。
 すると、相手は思いっきり暴れまくり、抑えるセララ、レストを弾き飛ばす。
 思わぬ大ダメージを受けてレストは水路に崩れ落ちるが、なんとかパンドラの力で堪えてみせた。
 穴を埋めるように、ベンジャミン、アラン、アルムがロボットを囲う。
 さすがに立て続けには高威力で暴れることはできないようだが、ベンジャミンは倒れかけたレストへと治癒魔術を使い、手が離せない。
 レスト本人もまた、調和の力で自身の体力回復へと当たっていた。
 その分、アラン、アルムが攻撃を強めて。
「オラオラァ! ぶち空いた所に蹴り入れられるのは痛ぇよなぁ!?」
 アランは集中しながらも、敵の硬い体を強く蹴りつける。多少、手加減込みだが、威力は十分。
 逆サイドからはアルムが二つ名ともなっている鉄腕で一撃を打ち込む。これまた慈悲の一撃でオーバーキルに……完全に破壊しないようにとの配慮だ。
 先ほどは、今から狙う相手に狙撃を邪魔されたアベル。
 そのお返しにと、彼は再度遠距離から鋼の驟雨を広範囲に浴びせかける。
 仲間達が密集しているが、アベルのスキル『プラチナムインベルタ』は味方に害を及ぼすことがない。
 鋼を打ち付けられた敵へ、態勢を整え直したセララが迫る。
「これで終わりだよー!」
 両手の聖剣で相手の胴と頭を強く叩きつけるセララ。
 ただ、威力を抑えた一撃は破壊にまで至らず、彼女は素早く股下の電源を切ってしまう。
 全てのロボットをようやく取り押さえ、イレギュラーズ達は耳鳴りを覚えながらも、深く息をつくのだった。

●静かになった地下水路にて
 ロボットの対処は終了すると、地下水路はぽたりぽたりと落ちる水滴くらいしか物音が聞こえなくなった。
 無事、事件は解決したものの、このままトラップまみれの地下水路を放置するわけにもいかず、イレギュラーズ達は後片付けに追われることになる。
「ま、雑用を美女たちにやらせるわけには行きませんし」
 そんなアベルの主張もあり、マグナ、ベンジャミンら男性陣メインで行うことに。
「バリケード類の片付けがクソめんどくせぇし……」
 水路の湿気の高さもあって、アランは暑さに不快感を示す。
「おい、そこのロボット再起動して、こいつらにやらせることってできねぇのか?」
 アランは回収したロボットに視線を向ける。
 電源をOFFした2体は動くだろうが、流石にまた暴れる危険を考えれば、稼働するわけにはいかないだろう。
「後で、依頼主へと絶賛しておかないとね」
 ――見た目以上のパワフルさ。
 ――思考回路とエネルギー回路が混線していただけなのでは。
 ――暴走はしたけれど、可能性を秘めたロボではある。
 このロボットを引き渡す際、迷惑を被っていた依頼者達へと性能について高評価を示そうとセララは考える。
 戦闘用ロボではないらしいので、その辺りを依頼主に推していこうと彼女は考えていた。
「皆様、お疲れ様でス」
 事前に言っていた通り、アルムは労いも兼ねて、とっておきの紅茶と手作りクッキーで仲間達をもてなす。
 作業に疲れたメンバー達の体に、ほんのりとした甘さはすごく染みわたる。
 ロボットを全て止めたことで、地上の騒音も止まったはず。
 この上に住む研究者達もようやく研究に集中、あるいは、ゆっくりと眠ることができるだろう。
「練達の子達が、心地良く夢を見れます様に……」
 クッキーを口にしながら、レストは小さく祈りを捧げるのだった。

成否

成功

MVP

巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPはトラップを設置する場所の指示を行ったあなたへ。
今回は参加していただき、ありがとうございました!

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