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シナリオ詳細

クライト姉妹の冒険録~深緑編~
クライト姉妹の冒険録~深緑編~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●そうだ冒険にでよう
 ファルカウ南部の町シュネイクに、気立てが良いと評判の美人姉妹がいた。名をエヴァ・クライトと、シヴァ・クライトと言う。
 二人には幼き頃より夢があった。いつか二人で一緒に混沌中を巡ること。世界一周の夢だ。
 そしてその夢は成人を迎えた今、叶おうとしていた。
「いよいよねシヴァ。いよいよ私達の冒険が始まるのよ」
「ええ、そうねエヴァ。いよいよ私達の冒険が始まるわ」
 大きなリュックに荷物を詰めて、その身体には少し大きな剣と弓矢を手にとって、二人は旅立ちを迎える――のだが。
「シヴァ、私思ったのだけれど」
「奇遇ねエヴァ、私も思うところがあるわ」
「冒険には危険が付きもの、新参(ニュービー)な私達には荷が重いのじゃないかしら?」
「ええ、ええ。いきなり鉄帝とかに行って鉄騎種に襲われでもしたら、か弱い私達では対処ができないわ。
 まずはそう、身近なところから行くのはどうかしら?」
 そう言って二人は地図を広げて指さした。
 深緑外縁に広がる迷宮森林、その東部国境沿いの深い森シャウレイだ。
「シャウレイにはブルーのリンゴがあると聞くわ、まずはそれを取りに行きましょう」
「でも待って、シャウレイには恐ろしい魔物が住んでいると聞くわ、私達だけで倒せるかしら?」
 剣と弓の訓練は積んできたものの、やはり不安が付きまとう。
 思案する二人は、シンクロするように指を立てて、二人同時に思いついた。
「ええ、ええ。それなら冒険の先輩方に指南をもらいましょう」
「ええ、ええ。いっそのこと世界を巡る冒険のプロにお願い致しましょう」
 思いつきは行動へ。二人は早速、世界を巡る冒険のプロへと依頼をするのだった。


「というわけで、今回は初めての冒険に出かける姉妹の護衛兼、アドバイザーをお願いするわね」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)はそう言って依頼書を手渡した。
 深緑の町で有名な美人姉妹の護衛とはまた少し珍しいものだが、魔物も出る森に行くわけなので、それなりに気を引き締める必要はあるだろう。
「深緑に住むハーモニアはあまり外界へ出たがる子も少ないのだけれど、すこし不思議な感じのする姉妹ね。
 世界一周をしたいなんて、とっても夢があって良いことだと思うわ。
 二人の夢を叶えるまずは第一歩。深緑国内とは言え深い森だもの、魔物との戦いでもしっかりサポートしてあげて欲しいわ」
 シャウレイの森を根城にしている魔物はギガンテストードと言うらしい。その名の通り巨大な蛙だが、獰猛で雑食の危険な相手だ。
「二人も戦闘は出来るけど、トラウマになってしまうような危機的状況だけは避けるようにしてね。
 うまく活躍させてあげるとかは考えなくて良いけれど、冒険の楽しさが伝えられれば良いんじゃないかしら」
 それじゃあとはがんばってね、とリリィはイレギュラーズに任せて席を立った。
 さて、美人姉妹との初めての冒険。上手くいくかどうか、失敗のないようにしたいものだ。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 美人姉妹の冒険録はここから始まります。
 まずは地元深緑を冒険と行きましょう。

●依頼達成条件
 ギガンテストード十体以上を倒す。

■オプション
 ブルーのリンゴを見つける。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態はおこりません。

●ギガンテストードについて
 巨大な蛙型の魔物。数は十五体。
 獰猛で雑食。目に付く者は須くその長い舌で巻き取って食べてしまいます。
 巨体に見合う耐久性と、見た目に反した俊敏さで、襲いかかってきます。
 それなりに攻撃力が高いものの、防御技術は無い等しいので、新米冒険者でも手応えを感じられる相手でしょう。
 食べられても直ぐに救出すれば助かります。身体は粘液でべちゃべちゃになります。

●ブルーのリンゴについて
 シャウレイの森のどこかに青色のリンゴがあるという。
 文献によれば、通常の赤いリンゴの群生地の更に奥深くにブルーのリンゴのなる木が一つだけ存在するとか。
 まことしやかに囁かれる噂のようなものなので、興味と余裕があれば探索してみるのも良いでしょう。

●クライト姉妹について
 エヴァ・クライトとシヴァ・クライトは双子の姉妹だ。
 青髪の長い方がエヴァで、緑髪の短いほうがシヴァ。
 不思議なシンクロシティを時折見せることがある、通じ合ってる二人という印象。
 戦闘ではエヴァが剣で戦い、シヴァが弓矢で戦う。
 仲の良い姉妹で喧嘩もしないが、食べ物の好みは別らしい。
 辛い物が好きなエヴァと甘い物が好きなシヴァである。

 依頼中では、イレギュラーズの指示にしっかりと従うでしょう。
 邪魔になるような行動もしませんが、張り切っているので多少の無茶はあるかもしれません。

●戦闘地域について
 シャウレイの森での戦闘になります。
 森の中の沼地がギガンテストードの住処です。ここを通らなければシャウレイの森を冒険したとは言えないでしょう。
 沼地に足場を取られますが、障害物はなくそう大きく戦闘に支障はきたさないでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • クライト姉妹の冒険録~深緑編~完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月21日 22時35分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)
メイドロボ騎士
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
希望の聖星
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
終焉語り
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
寝湯マイスター
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
絵本の外の大冒険
ソア(p3p007025)
ジルベルト・アダムス(p3p007124)
小柄に優しい

リプレイ

●冒険指南
 シュネイクの町の入口でイレギュラーズを待っていたのは話に聞いたとおりの美人姉妹だ。
「初めまして先輩方。私はエヴァ・クライト。青髪のエヴァと覚えて下さいな。今日は一日よろしくお願い致しますね」
「初めまして先輩方。私はシヴァ・クライト。緑髪のシヴァと覚えて下さいな。初めての冒険、先輩方に付き添ってもらえて心強いわ」
 顔の作りは瓜二つ、声の調子はハモニカで髪の色と長さの差がなければ見分けが付かない姉妹だ。丁寧にお辞儀しイレギュラーズに挨拶すると、早速始めての冒険の地、深緑はシャウレイの森へと向けて出発した。
 近場の森から迷宮森林へ。日常的に暮らしていては入り込まない森の深いところへと進んでいく。
 姉妹は揃って、初めて見る森の姿に瞳を輝かせ――きっと見慣れた森の姿も輝いて見えるのだろう、表情からはドキドキとワクワクが感じられた。
 そんな姿に、『天翔る彗星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が声を掛ける。
「初めての冒険か。心躍るよなあ。
 俺の初冒険、花を探しに行く依頼だったんだ」
「まあ、花を? それはそれは可愛らしい初冒険ですね」
「エヴァ、可愛らしいだなんて失礼よ。それに私達もリンゴを探しに行くのだから大差はないわ」
「それもそうね」とエヴァが笑う。
 最初なんて皆そんなもんだと、アステリズムも口角を上げた。
「外の世界に興味を持つだなんて変わり者だね。
 まあ、同じように気儘に旅に出ていた僕が言うのもおかしな話だけれど。
 いつの頃から外に興味を持ったんだい?」
 もう一人のウィリアム、『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)が興味深げに尋ねると、姉妹は同じように首を傾げ考えると順番に話始めた。
「最初はそう、五歳の時にもらった絵本に書かれた冒険譚が好きでした」
「次はそう、七歳で知った混沌に存在する国の特徴を知った時なのです」
 年を重ねるごとに二人はこの混沌に存在する様々な伝記伝承物語を知り、それは姉妹の中で膨らんで。
「ふふふ、夜ごとに冒険にでたら何がしたいか語ったこともあったわねシヴァ」
「ええ、ええ、幻想の果ての迷宮への挑戦、鉄帝で闘技場に参加、練達で不思議な文化に触れて、海洋でバカンス、エヴァは確か天義で入信したいとか言っていたわね」
 子供の頃に語った夢はそのまま変わることなく。成人を迎えた今、それを叶えるときが来たのだと語った。
「世界を巡る旅なんて素敵だな。
 ボクは召喚されるまでずっと生まれた森にいたし、外に憧れもしたけれど、混沌中を見て回るとまでは思いつきもしなかった」
 精霊種たるソア(p3p007025)は自らの事を振り返りながらそう言葉にする。広い世界、そこに飛び込むのはよほどの思いがなければ難しいものだと思う。姉妹のその強い思いをソアは応援したいと感じ、今日の冒険を成功させたいと張り切って気合いを入れた。
「冒険したいって気持ち、わかるわ……。
 私も本からいろんな知識を吸収した口ですもの、召喚で無理矢理冒険に出ることになった違いはあるけれど、きっと貴方達と似たもの同士よ」
 姉妹に似たものを感じる『絵本の外の大冒険』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)はそう姉妹に話しかける。
「まあ、同じハーモニアで同じようなことを考えていたなんて」
「冒険の心構えも聞いてみたいわ。同じハーモニアの先輩ですもの」
「先輩といっても半年程度だから、ほとんど同期みたいなものよ!
 けど、そうね。初めての冒険なのだから正々堂々、胸を張って初めてに相応しく大行進でいきましょ。……なんて。ふふん」
 アルメリアに倣って姉妹も堂々と歩く。そんな”初めて”を感じるものはイレギュラーズにも居た。今日が初依頼の『エヴァ・クルス教教祖』ジルベルト・アダムス(p3p007124)だ。
「……初めてですか……。
 私も実はこの依頼がローレットでの初めてでして……フフ、お互い初めて同士よろしくお願いしますね」
 なんて和やかに挨拶をしているが、この男、『ロリショタ愛』を説く場合によっては重度の危険人物である。
(おお! 我が神と同じ名を持つ美女の「初めて」をお手伝いをさせて頂けるとは……!
 私歓喜に打ち震えております。
 これも我が神……エヴァたんとクルスたんの思し召しに違いない!)
 両の手を組みながら現人神に祈りを捧げる様は、信仰が厚い聖職者の姿だが、信奉するのはロリとショタである。姉妹が成人ではなく子供であったのならば、ジルベルトがどうにかなっていたかもしれない。
 そんな内面事情を見せることなく、ジルベルトから飴をもらって一行はシャウレイの森へと近づいていく(なお飴を渡すとき姉妹のみならず小柄な体型のイレギュラーズにも妙に優しかったあたり”本物”である)。
「森も深くなってきたね。
 魔物との遭遇はまだ大丈夫だろうけど、毒を持つ蛇や、草花もあるだろう。道具も使いながら注意して進んでいこうか」
 『メイドロボ騎士』メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)が姉妹に注意を促しながら森を進む。
 姉妹に比べて旅慣れている自負を持つメートヒェンは、手にした冒険道具の使い方を教えたり、注意すべき茂みなどの見分け方を教えながら、姉妹との距離を縮める。姉妹は真剣に話を聞きながら、知識と経験を吸収しているようだった。
 そんな様子に感心しつつ、世間話ついでに深緑の中のオススメの場所を尋ねれば、
「この近くでしたらクリャの丘なんて良いんじゃないかしら。最近まで魔物が占拠していたそうですけど、退治されたと噂に聞いたわ。夕日がとても綺麗なんですよ」
「真逆の西部には虹の森もあるわ。マーキュライト公園と合わせて深緑の不思議で綺麗な花々が多く咲いているしオススメね」
 地元である深緑にはやはり詳しい姉妹だ。色々な見所を紹介しながら、話に華が咲く。姉妹の語り口からこの国が好きなのだと感じられた。
 『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は話を聞きながら思う。
(そんな深緑(アルティオ・エルム)を出て世界を旅したい、か。
 珍しいのだろうけれど、やはり居るには居るのね。
 ……聞いた事は無かったけれど。母も、そうやって森を出ていった内の一人だったのだろうか……)
 故人であるリースリットの母が、どのような経緯の果てに幻想貴族の子となるリースリットを身ごもることとなったのか、母に聞くことはもう出来ないけれど、父ならばなにか知っているかもしれない。
 いつか尋ね聞くことがあるかもしれない、とリースリットは思った。
 イレギュラーズと姉妹一行は、深い迷宮森林を進み、ようやくシャウレイの森へと辿り着いた。
「さて、お喋りは終わりだな。ここからは魔物もでる。今まで以上に注意をして進む必要があるぞ」
「いよいよ危険地帯ね、シヴァ。準備はいいかしら?」
「いよいよ冒険の舞台ね、エヴァ。準備はバッチリよ」
 『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)にやや緊張を帯びながら姉妹が言葉を繰り交わす。
 汰磨羈は注意を促すようにレクチャーを始めた。分かりやすく簡潔に、要点を述べるならこうだ。
「パーティを組む上で、初心者が注意すべき点は主に三つだ。
 ”孤立しない”、”無茶をしない”、”黙らない”。
 三つ目は思っている以上に大事だぞ。何かあったら直ぐに言う事。いいな?」
「「はい!」」
 汰磨羈の頷き返す姉妹。真剣な様子に汰磨羈も「良し」と頷いた。
 前衛と後衛で陣形を組みながら、慎重にシャウレイを進んでいく。木々の隙間からは温厚な性格ながら、見た目に危険だとわかる魔獣や魔物の姿が見えて、姉妹は揃ってゴクリと鍔を飲み込んだ。
「こうして隊列を組めば全方位の索敵が可能だ。
 十人分の目を駆使しない手は無い。死角は意識的に無くしていけ」
 周囲へと意識を向けながら汰磨羈が言う。姉妹は真似するように気配を辿る。
 シャウレイ中心部へと近づくと、徐々に足場が泥濘んでくる。沼地が近いのだ。
「さてと。
 向かうべき指針がなければ先へはいけないからな」
 赤毛のウィリアム――アステリズムがファミリアーたる鴉を飛ばす。大目的であるブルーのリンゴを探すため、まずは林檎の群生地を空から探すのだ。
 自分の足と目で探すのも悪くないだろうけれど――今回は十分に活用させてもらおう、と言うことになった。
「それじゃ僕も索敵をさせておこうか」
 金髪のウィリアムもまたファミリアーを飛ばして、林檎探索ついでに周囲の索敵を行わせた。
 林檎の群生地、その方角は程なくして知ることができた。行動の指針が出来たことで一行は迷うことなく進むことができる。
 茂みをかき分けながらその方角へと進むと、視界がパッと開け、そして目の前に沼地が現れた。
「大蛙(ギガンテストード)は沼地を好むらしいぞ。きっとここにいっぱい潜んでいそうだね」
「二人とも心配は無用です。二人、特にエヴァちゃんを食べようなどという不届きな蛙はこのジルベルトが、自慢の筋肉で追い払って見せましょう」
「ジルベルト殿はともかく、誰かが食べられそうになったらすぐに救出にはいるから心配する必要はないよ。
 とにかく大怪我を負わないように、無理せず、無茶せず頑張ろう」
 メートヒェンがニコリと笑って姉妹の緊張を解す。頷き合った姉妹は武器を手にとった。
 そうして一行は遂に沼地へと足を踏み入れる。
 慎重に気配を辿りながら沼地の半ばへと進んだところで、それは突然現れた。
「――! 見てシヴァ。現れたわ」「――! 見てるわ、エヴァ。何て大きさ!」
「二人とも良く聞け。
 先程、無茶をするなと言ったが。経験が不足していると、その見極めは至って困難だ。
 そういう時は、行動を起こす前にフォローを求めろ。事前に分かっていれば、助け易いからな」
 汰磨羈がそうレクチャーすると意気高揚に武器を抜く。仲間達も合わせて武器を構えた。
「いよいよね、シヴァ。初の実戦よ。教えを守って、学ばせてもらいましょう」
「いよいよね、エヴァ。練習通りに行きましょう。大丈夫私達ならやれるわ」
 ドキドキとワクワクは最大限に高まって、姉妹の初めての戦いが始まった。

●シャウレイの森の大蛙
 沼地の中より三メートルはあるかと思われる大蛙(ギガンテストード)の群れが現れる。幸いにして集団行動を行う性質は持ち合わせていないようだ。イレギュラーズと姉妹を取り囲む様子も見せず、ただ目の前に現れた獲物を狙おうという、獣的本能を見せるだけだった。
「いたいた、何て大きな蛙。それに大きな口だぞ。
 これは確かに丸呑みにされてしまうな」
 ソアの言葉に姉妹は「ひえっ」と想像して青ざめる。
「そうならないように、注意して戦おう。臆することはないよ、この程度ならば君達でも十分に対処可能だ」
 金髪のウィリアムがニコリと笑う。横に立つジルベルトもサングラスを光らせ頷いた。
「では行くぞ! 皆さん、私が注意を引きつけているうちにどんどん片付けてください!」
 バッと駆け出すジルベルト。初依頼ながら大蛙を恐れることなく飛び込む勇敢な姿は姉妹に心強い光となる……!
「よく聞け!蛙共!
 ……貴様等如きに下等生物に神聖なロリショタ達の丸呑み粘液プレイなど百万年早い!
 寧ろ俺がヤりたい!」
 ……台無しだった。台無しだが、このカミングアウトはまさに(スキルの)説明通りなので例え信仰を持たないような魔物であってもこの告解にショックと怒りを覚え、ジルベルトへと敵意を剥き出しにする!
「貴様等など俺如きで充分だ! さあ、食べてみろ! ……この筋肉を食えるものならな!」
 ポージングを見せるジルベルトに大蛙の舌が飛び交い肉体を締め上げる引力が発生する。
「す、すごいわ! 鞭のようにしなる舌を受けながら筋肉を誇示していらっしゃる!」
「す、すごいわ! しかも叩いている大蛙の方が痛がっているわ! なんて強靱な肉体なの!」
 いろいろと姉妹に間違った印象を与えているが、それはそれとして。
「さぁ今のうちに片付けてしまおう。一気に行くよ!」
 金髪のウィリアムが魔力を練り上げて絶対不可視の刃を乱舞させる。防御的な要素を持たない大蛙が見事に八つ裂きにされる。
「二人とも、タイミングを合わせて。さあ、いくよ――!」
 メートヒェンが声を上げて大蛙に肉薄する。後を追うように剣を構えるエヴァが走り、後ろからシヴァが弓による援護射撃を行う。
 なるほど、確かに訓練は真面目にしていたようだ。姉妹の動きはそう悪いものではなく、初めての実戦ながらイレギュラーズについてきている。
「能力は十分。あとは経験というところだね」
 大蛙の噛み付きを受け流しブロッキングバッシュを叩き込むメートヒェン。そこにエヴァが上段からの一閃を入れて大蛙を倒した。
「やったわ! 見たかしらシヴァ? 一匹倒したわ!」
「やったわね、エヴァ! 訓練の成果があったわね!」
「二人とも、油断しない――!」
 喜ぶのも束の間、大蛙の舌が姉妹の足を巻き込んで掴む。だが、その動きをイレギュラーズはしっかりと見ていた。
「餌にはさせないよ!」
「こっちもちゃんと見ているんでな――!」
 メートヒェンがエヴァを掴む舌を叩き、シヴァの足を掴む舌をアステリズムが多重展開した中規模魔術で焼き払う。
 姉妹の足を見れば、掴まれた部分が酸によって焼けていた。
「痛いか?
 ――でも恐れるな。俺達が居る」
 冒険には危険が付きもの。痛みもあるし苦しいこともある。それでも世界を、この目で見たいと姉妹は願ったのだ。
 苦痛に顔を歪めながら、しかし二人は立ち上がる。
「上等ね。良い根性だわ。
 大丈夫、傷はすぐ癒やすわ。それが私の役割ですもの」
 アルメリアが治癒魔術を操り、姉妹、そして仲間の傷を癒やしていく。魔力で編んだ棒術を駆使するアルメリアは攻防対応型のヒーラーだ。
「言ったことは覚えているな? 声を出せ、互いにフォローを意識しろ!」
 声を上げ技を振るう汰磨羈を、姉妹は信頼を帯びた瞳で見る。頷き合って、恥ずかしがらずに声を上げ、そして持てる力をぶつけていく。
 その様子に汰磨羈も満足し、口角を上げ更なる技を魅せていく。実戦における一番の修練は技を盗むことだと見せ付けるように。
「良い調子です。大分数は減らせてきましたね」
 大蛙を焼き払い、魔術と細剣による連撃を魅せるリースリットが、倒れている大蛙の数を確認しながら合図を出す。
 このまま沼地で戦い続けることも出来るだろうが、それは今回の主目的ではない。次々に湧き出る大蛙を相手にし続けることはそう難しいことではないが、長期戦はそれだけで集中力磨り減り、ふとした瞬間に大けがを負うことも考えられた。
(頃合いですね……)
 立ち位置を変えながら沼地の先へと移動して、追いかけてくる大蛙を返り討ちにする。
「無駄だぞ! お前達じゃボクらには勝てない!」
 虎の爪を持つソアが大蛙を引き裂き、大声で唸り散らす。肉体言語と動物疎通は魔物相手であっても、大まかなニュアンスを伝えることができた。
 大蛙達も無駄死には望んでいない。強すぎる獲物を追うのを諦めて、沼地へと逃亡した。
「行け、行ってしまえ!」
「追わなくて良いのですか?」「倒さなくても良いのですか?」
 初めての戦闘でハイになってる部分もあるのだろう。血気盛んな姉妹に首を横に振って、ソアは言う。
「蛙が可哀相とは思わない、それでも無駄な命を奪うのは嫌だ。
 何よりブルーの林檎を探すための時間が惜しい。
 これも冒険者の知恵というやつだぞ、えへん」
「「なるほど」」
 胸を張るソアに、同時に納得する姉妹。そんな様子にクスリと笑いながら、イレギュラーズは武器を納めるのだった。

●初めての冒険の味
「見て、シヴァ! 本当にあったわ!」
「嗚呼、本当ねエヴァ! 本当にあったわ!」
 大蛙討伐からしばらくの後。
 二人のウィリアムのファミリアーとソアの動物疎通を駆使して、深い深い森を進んだその先に、まるでエデンの園に生えた一つの果樹のように、それはあった。
「これは驚いた。本当に青い林檎だ」
 イレギュラーズもその珍しい林檎に目を丸くする。
 成ってる果実はそう多くなく、大きさも小さい。なるほど、これは手間暇を考えると収穫しても割に合わなそうだ。
 そしてなにより――
「「んんっ!? しょっぱい!!」」
 一つもぎ取り囓ってみれば、まるで海水のような塩辛さが口の中を襲う。
「不味いわけではないけれど、これは……流石に食用にはならないね」
 好む動物もいるのかもしれないが、人の価値観で言えば、無しより無しだ。誰も取りにこないわけである。
「ふふ、でも」「ええ、でも」
 姉妹は手にした青い林檎を空へと掲げ、ニコリと笑う。

 ――初めての冒険の味。それはきっといつまでも記憶に残る思い出の味となった――

 帰り道。
 アステリズムが二人に尋ねる。
「また冒険したいか?」
 二人は顔を見合わせて、そして揃って笑顔を向けて、
「必ずするわ! そう、近いうちにね!」
「必ずするわ! おまじないも教えて貰ったしね!」
 と、元気に答えた。
 その答えに満足し、イレギュラーズは二人の姉妹の未来に、祝福を捧げるのだった。

成否

成功

MVP

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
希望の聖星

状態異常

なし

あとがき

 澤見夜行です。

 クライト姉妹の初冒険は、皆様のおかげでとても素敵なものになりました。
 レクチャーやフォローがとても良かったです。一部運命に導かれるように参加した変態聖職者(褒め言葉)が居ましたが、それも良き思い出のスパイスとなったことでしょう。

 MVPは赤毛のウィリアムさんへ。探索、戦闘、姉妹への行動が総合的によかったと思います。
 指導役が完璧だった汰磨羈さんと、初依頼ながら濃いキャラクターを惜しげも無く発揮し活躍したジルベルトさんには称号が贈られます。
 ちなみにロリコンもショタコンも病気ですので早く直しましょう。手遅れかもしれませんが……。クライト姉妹にステータスシートが無くてよかったぜ(小柄でした)。

 依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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