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シナリオ詳細

暴風系令嬢は冒険がしたい!
暴風系令嬢は冒険がしたい!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 どすどすどす。
 淑女にはあるまじき歩き方で進むは海洋貴族フェンゼルスタン家の令嬢『リゼルベス・フェンゼルスタン』その人だ。
 結上げた新緑の髪は毛先に向かうにつれて色が薄れていく。
 これは異郷よりやってきた母の血が混じっているからだという。
 大きな金の瞳には強い意志が宿されていて。
 誰が見ても『美少女』なのだが――彼女にとってはその呼び名は不名誉だ。
 ここまでの説明でリゼルベスには一つ、訂正したいことがあった。

「お父様!?」
 ばん、と扉を開いてリゼルベスは吼えた。
 華奢な体はまだ成長途中であろうか、女王陛下の様な柔らかなふくらみはあまり感じられない。
 シックなドレスのレースとフリルで飾られた肌を赤く染め上げてリゼルベスはきっと父を睨み付けた。
「私のこと、また『幼い令嬢』とうそをつきましたね!?」
 そう訂正したいこととは『令嬢』というその呼び名だ。
 実の所、フェンゼルスタン家は女当主が守っている。とある事情がある社交界には中々出てこない彼女の代わりにその座を譲った父君が未だに外交を行っているのだという。
 その事情というのが――
「しょうがないだろう、リゼル。君はどう見ても少女だ」
「いいえ、お父様。私はどう見たって大人の! 立派な! レディ! です!」
「いいや、リゼル。どう見たって、幼女だ」
「キイッ、年齢下げましたね!?」
 ――そう、海洋貴族フェンゼルスタン家当主、リゼルベス・フェンゼルスタン。彼女の外見は実年齢よりもあまりにも幼かった。


「……ええと」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は余りに困っていた。
 海洋より訪れた珍客は一応でもお貴族様……何なら、ソルベ・ジェラート・コンテュール卿とも面識があるであろうフェンゼルスタン卿が町娘の様な格好でローレットの椅子に腰かけているのだ。
「そんなに困らないでよ。大丈夫、お仕事の依頼に来たんだもの」
 その外見は10代半ばか。
 ユリーカの得ていた情報ではフェンゼルスタン卿は今年で31歳。長い緑の髪に金の瞳、嫋やかな令嬢なら一発ノックダウン級の勢いのある淑女だ。どう見ても10代半ばの少女が自身をフェンゼルスタン卿であると名乗っている。
「あら、私がリゼルベス・フェンゼルスタンか疑ってるのね?
 大丈夫、本物よ。本物だから――困っちゃうんだけどね。悪い夢だわ、本当に」
 はあ、と小さく息を吐いた彼女。ユリーカはとりあえず、と椅子を進めた彼女に依頼を促した。
「端的に。私、家出がしたいの」
「え?」
「だって、何所に言っても少女少女。胸がぺったんこだから? 幼女? 酷くない? 合法ロリ? 莫迦にしてるのかしら」
 きい、とお怒りのフェンゼルスタン卿。その言葉にぱちりと瞬くユリーカは男子高校生(旅人)達が「練達の文化だ」と告げるまで首を傾げていた。
「私だって貴族なんてしたくないわ!
 そりゃ、若い頃はおてんばだったもの。家を抜け出して散策に出かけたりだとか、他の国に旅行に言ったりしたのよ。それをお父様ったら自分がそうしたいから当主の座を私に渡すんだもの」
 おかげでフェンゼルスタンという家を守らなくてはならないではないかと彼女は拗ねた。
 当たり前のことなのだが、彼女はどうやらそれがお気に召さない。
「家出を手伝って欲しいの」
「いやなのです」
「手伝って欲しいの!」
「いやなのです」
 首をぶんぶんと振ったユリーカ。

 ……一先ずの妥協策として。
「私の領地に出るモンスターの情報をずらっと揃えたわ。
 一緒に倒しに行きましょう? 戦闘能力? え? あると思う?」
 にっこりと笑ったリゼルベス・フェンゼルスタン卿。
 一発ぶん殴りたいレベルで楽し気彼女が差し出した情報は整えられていてユリーカは「情報屋レベルなのです」と小さく呟いた。
「情報屋……? そうだわ、私、情報屋になります。今決めたの!
 別に貴族がなって悪いって事ないものね。そうと決まれば仕事よ!お勉強の為に私もついていきますからね!」
 今回の仕事は、どうやら『暴風系令嬢』のお守のようだ。
「ワイバーン、野性のトビンガルー、オオヘビモドキ!
 この3種類の討伐なのよ。さあ、頑張りましょう! ――へくちっ、ふあ、寒い。風邪ひきそう」

GMコメント

 よくあるライトノベル!夏です。

●成功条件
 モンスターと討伐してとりあえずリゼルベスを満足させる

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 リゼルベス・フェンゼルスタン卿の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
 何故ならこの情報はリゼルベス・フェンゼルスタン卿調べだからです。

●リゼルベス・フェンゼルスタン卿
 海洋貴族フェンゼルスタン卿。外見が10代半ば(ひょっとしたらもっと下)な事で気苦労が絶えないらしい淑女です。
 その外見のせいか、正直内面も天真爛漫な少女です。
 31歳。外見は美少女と呼べるものですが、内面が大騒ぎで暴風警報でも出そうなタイプなのでいろいろお察しです。
 このままでは情報屋を目指しかねません。オススメしてあげるか家で大人しくしてろと説得するかは皆様次第ですが、何を言われようと多分彼女は元気に返してきます。
 わりとローレットや世相にも詳しいようで、最近はなんか闇市でパンツで回ってるのが怖いといってました。

●リゼルベスの情報
 フェンゼルスタン卿の領地は海のほかにも自然が多く山などが存在します。
 山エリア、海エリアにそれぞれ存在するモンスターを規定数討伐してください。

・ワイバーン(3体)
 ワイバーンなのかわかりません。多分それっぽいやつですが、練達発行モンスター図鑑でリゼルベスが勝手に名付けました。
 飛んでる細いトカゲさんです。こちらは生息エリアをリゼルベスは調べました。
 戦闘スタイルは近接(押しつぶす、ひっかく、攫う)

・トビンガルー(10体)
 トビウオとカンガルーが混ざったお魚さん。ちょっぴり気が立ってるのか襲い掛かってきます。
 リゼルベス曰く、「うちの領地のトビンガルー本当に危険なの」だそうです。
 戦闘スタイルは近接(飛び付く、噛み付く)

・オオヘビモドキ(1体)
 大きなウミヘビさんです。巻き付く攻撃が得意らしく、よく遭難事故の元になります。
 戦闘スタイルは近接(巻き付く、毒を仕込む、噛み付く)。
 リゼルベス曰く、尤も強いのはオオヘビモドキだそうです。

 楽しく元気に令嬢の我儘をきいてあげてください。
 どうぞ、よろしくお願いします。

  • 暴風系令嬢は冒険がしたい!完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月24日 22時10分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)
海淵の呼び声
ヴィマラ(p3p005079)
ラスト・スカベンジャー
津久見・弥恵(p3p005208)
嫣然の舞姫
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
未知の語り部
エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活
ジルベルト・アダムス(p3p007124)
小柄に優しい

リプレイ


「見て! 海が青いわ!」
 金の瞳をきらりと輝かせたはリゼルベス・フェンゼルスタン卿。
 その背後でサングラス越しにフェンゼルスタン卿を見守る『小柄に優しい』ジルベルト・アダムス(p3p007124)はにこりと笑っていた。
(合法ロリキタコレ―! 可憐な幼き天使の容姿の大人であり、それでいて中身は天真爛漫な純粋な少女……まさしく俺の理想のお嫁さん像ぴったりの人じゃねーか!
 この素敵な出会いに感謝します! 我が神……エヴァたんとクルスたん!)
 その穏やかな笑みには似合わぬ心情を口にすることなく彼は美少女――実際はご令嬢などではないご当主様――を見守っている。
「お嬢様は、どう呼んだらいいですか?」
 その外見が幼いのは幻想種の血が混じったのか、それとも個性なのか。穏やかに長い時を生きる『星守』エストレーリャ=セルバ(p3p007114)にとっては幼いリゼルベスの外見はあまり気にはならない。対するリゼルベスもエストレーリャの様な『長寿の種族』を把握しているのかお嬢様と呼ばれたことに気を悪くする事無く「リゼル、若しくは、リゼでいいわ」と微笑んでいる。
「それで、リゼルお嬢さんは情報屋になりたいんだったかな?
 ……良いんじゃないかな? やりたい事はやれる内に挑戦するべきだと思うよ、私は」
 リゼルベスの作成した情報を眺める『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)に『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)も柔らかに頷く。
「情報屋か……いいんじゃないかな。
 ちょっと大雑把だけど下調べしてあるし、精度を高めていけばちゃんと情報屋になれそうだね」
「わ、本当に!?」
 きらりと瞳を輝かせたリゼルベス。ウィリアムはそっと彼女の肩に「はい、上着」とカーディガンを羽織らせた。
「家の事はきちんと引き継ぎしてあれば良いと思うよ。冷えないように温かくしてね」
「ふふ、有難う」
 齢30を超えたとは思えぬ天真爛漫な笑み。その様子に『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)はううんと小さく唸った。
「あ!」
 思い出した、と手をぽん、と打つ。海洋の社交界も広いと言えば広いが狭いと言えば狭い。特に天真爛漫であり、社交界には『ご令嬢』として顔を出すフェンゼルスタン卿はある意味で目立つ存在だ。
「リゼちゃん、おひさしー」
「カタラァナ嬢! ご機嫌よう。……いいえ、ここはローレットの仕事の場! カタラァナ、今日は頑張りましょうね!」
 家出している気満々なのだろうか。リゼルベスの楽し気な様子にモスカ家の子女カタラァナは面白そうに笑う。
「リゼちゃんは家出したいんだっけ? いいんじゃない?
 おすすめはざんげちゃんに召喚されちゃう感じだよ。
戦い? 大丈夫だよ。僕みたいなひよわな子だって何とかやっていけてるんだもの。歌でも覚えてみる?」
「お歌……」
「情報屋も良いですが、踊り子もお勧めしますよ?
 ぁ、でも、お嬢様、ほんと、有名になるとパンツハンターに狙われてしまいますよ……」
 ちら、と視線を送った『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)。パンツハンター? と首を傾げたリゼルベスの不安げな瞳を受けて『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は「そういう世界だ」と小さく頷いた。
(暴風系令嬢とは良く言ったものだが……あの行動力自体は、素直に称賛しても良さそうか。案外、磨けば良く光るかもな)
 貴族でありながら民と打ち解け楽し気な所は賞賛に値するとも汰磨羈はぼんやりと考えていた。
「私自身、この国の事を始めとして色々と調査している最中だからね、もし縁があれば手伝ってもらいたい事もある」
 ゼフィラに勿論と瞳を架輝かせたリゼルベス。けれど、弥恵の言葉が気になって気になって……。
「わ、私は、情報屋になりたいだけだから、パパパパパ、パンツはこう、差し上げられないんだけど……」
「ま、まあ、稀な例だと思います……」
 穏やかな調子の弥恵にリゼルベスの縋る声音を受け「大丈夫だとは思う」と汰磨羈は返した。
「まぁ~、人間生まれは選べねーもんね、関係ねぇつって色々やってみようってのもロックな生き方ってもんだよ。
 よっしゃ、そんじゃー私たちが最高にロックンロールな仕事って奴を見せてやるぜ!」
「パンツは!?」
「それもロックだぜ」
 ――なんて、『ラスト・スカベンジャー』ヴィマラ(p3p005079)は笑う。


「初めまして、麗しきレディー。お近づきの印に甘い飴などいかがですか? 皆様もどうぞ」
 微笑みながら情報を許にモンスターの許へ向かうジルベルト一行。エネミーサーチでの警戒を行いながらジルベルトはリゼルベスの護衛としてゆっくりと歩を進めていた。
「私はおこちゃまじゃなくってよ?」
 む、とした調子のリゼルベス。ジルベルトが飴を配ったのが幼く見えるヴィマラやカタラァナ達であったことで自身も幼く見られたと判断したのだろう。
「……フム、お嬢様はご自身の容姿があまり好きでない様子。ですので、一つだけ我が神からの言葉を。『体型など所詮は「個性」の一つ。大事なのは自分らしくある事』。リゼルベス・フェンゼルスタン卿……貴女が貴女らしく在れるならそれが一番なのです。その在り方を私は尊重しましょう」
 朗々と語ったジルベルトにリゼルベスは「まあ」と小さくぼやいた。
「お話の途中で申し訳ないけどさ、どうやら敵さんが遣ってきたみたいだぜ?」
 ぱち、とウィンクを飛ばしたヴィマラ。声を響かせるように踏み出し、エレキレターを引き鳴らしたヴィマラはふとリゼルベスを振り返る。
「……ところでこのワイバーン、火とか吹かないよね?」
 リゼルベスはこくこくと頷いた。ワイバーンとは呼んだものの実情は海の生物に近いのだろう。水鉄砲をぴゅ、と噴き出すそれを受け弥恵は『こんなこともあろうかと』魅惑のレースパンツであった事を安堵する。
「さあ――夜空に咲き乱れる月の華。参りましょう」
 ひらりと揺れ躍る弥恵。彼女の許へと飛び込むワイバーンたちをいなす様に魔力の弾丸が飛び込んでいく。
「予想外の事態が起こる可能性もあるからね、油断は大敵だ」
 リゼルベスを振り仰いで、笑うゼフィラ。自立型アーティファクトと共に前線に躍り出た汰磨羈の周囲に焔の花が咲き乱れる。
「綺麗」
 呟いたリゼルベスをちらりと振り返り汰磨羈は焔扇で一気にワイバーンを薙いだ。
「リゼちゃん前に行きすぎるのは禁物だよー」
 フィル・ハー・マジックを引き鳴らしカタラァナは音の反響を確かめながら周囲の安全を確認し続ける。深淵に眠り待つ神を言祝ぐ歌を口遊みワイバーンのその脳へと響かせる。
「魔物のご飯にならないようにしなくちゃいけないからね」
 くすくすと笑うウィリアム。ファミリアーを用いた索敵で周囲の情報をキャッチし、共有しながらも『粗削りに調べられた情報』と合わせてワイバーンと戦い続ける。
 軽量弓で撃ち抜きながら、振り仰ぐウィリアムの傍らでディープ・グリーンを首から下げたジルベルトがリゼルベスを護る様に立ち塞がる。
「あまり無理はしてはいけないわ。私も『ごはんにならないように』するから」
 これでも物分かりは良いのよ、と笑うリゼルベスに内心『リゼたんハスハス』とか考えている訳だがジルベルトは柔らかに笑みを浮かべる。
 動物たちとの意思疎通によって出来る限りの状況把握を身に着けていたエストレーリャは標的となりやすい弥恵へと癒しを送る。
 位置取りには気を付け、癒しと攻撃を続けていく。飛行から攻撃する敵は工夫しなければ距離によって攻撃が届きにくいとゼフィラは告げた。
「さて、次は……」
「オオヘビモドキとトビンガルーですね。
 トビンガルーならば脚?を狙い、おおうみへびはー……ええ、口とか縛って口が開かないようにするとか狙って見るつもりですが、いかがですか?」
 リゼルベスに情報と照らし合わせてくれますかと微笑む弥恵。嫋やかな彼女にううん、と悩まし気なリゼルベスにエストレーリャは自然達が言っていたという弱点と精霊たちの噂を口にする。
「オオヘビモドキは長い胴体の真ん中あたりが弱点、だそうです」
「成程! ふふ、エストレーリャはすごいわね」
 精霊たち、動物たち、そして植物と。様々な手段を使っての情報収集に優れる彼女にリゼルベスは瞳をきらりと輝かせる。
 領内は自然豊かであり、山も海も実りがある場所なのだろうとゼフィラは周囲を見回した。
「いいねえ、こうした自然の中で遊ぶってのも楽しそうだぜー」
 ヴィマラの言葉にリゼルベスは嬉しいと笑みを浮かべた。何もない田舎と言われればそうだが領地を褒められるのは領主としては悪い気はしないのだろう。
 令嬢と呼ばれてはいるが、実際の地位は領主であり、家督を継いだ娘だ。父が席を譲るのが早かったこともあるのだろうが――30を過ぎればそれなりに領内への責任感が出てくるのだろう。その横顔を眺めながらヴィマラはにいと笑う。
「それにしてもリゼルべスちゃんには親近感沸くね!
 ワタシもこう見えて20越してるってのにさー、若く見られちゃうんだよね、かわいいから!」
「えっ!? あ、失礼。そうなの……? 凄いかわいいから、つい……」
「へへへ、ありがとねー。
 それにさー、考えてみなよ? 子供の見た目で仕事は大人顔負けだよ?  無敵じゃん! 自信もって我が道進もうぜ! それがロックンロールって奴さ!」
 胸を張るヴィマラ。ロックンロール、と小さく呟いたリゼルベスが瞳をきらりと輝かせた。

 ――のゆき うみゆき そらをゆき はてまで とどけ このうたよ
 きっと みわたす すべてから そっぽを むかれて おしまいさ♪――

 歌い続けるカタラァナの歌声が響き渡る。トビンガルーに引き続き騒ぎを聞きつけた様に飛び込んできたオオヘビモドキを相手取り、汰磨羈が狙うはその牙だ。
「口を開いているからだ」
 牙を取れば、恐怖心は薄れてしまう。オオヘビモドキのその道へと飛び込むウィリアムの一撃が怯みを与える。
「わ、わあ」
 瞳がきらりと輝いている。カタラァナはリゼルベスのその様子を見ながら目を伏せた。
(帰れなんて言えるわけないよ。
 僕は海の子だから、陸にも空にもこんなにいろいろなものがあるなんて知らなかったんだ。
 だから、少しくらい夢見たっていいじゃない――泡沫に救われる人だっているのさ)
 家出はまだまだ続行すればいい。楽しいなら、楽しいだけ。
 リゼちゃんと声かけてあんなにも楽しそうに笑ったのだから。
「うふふ、見惚れると怪我をなさってしまいますよ?」
 大胆に魅せるように舞い踊って見惚れさせて、お嬢様がファンになってくれたら嬉しいのですけどね♪ ――なんて、ウィンク一つに思わずドキリとしてしまったリゼルベスが視線を逸らす。
 ああ、だって彼女はドジッ娘だ。ハプニングの痕跡も魅力のひとつだが、社交界に身を置くリゼルベスには何処か慣れないものにも見える。
「パ、パンツハンターにも狙われるがだけのことはあるわ……!」
 三日月の髪飾りが揺れ動く。ウィリアムとエストレーリャのサポートを受けて、戦線を維持する特異運命座標の中で、はっとした様にゼフィラが顔を上げた。
「お嬢様……リゼたんにぺろぺろしようと群がるな畜生共!
 寧ろ俺がぺろぺろしたいわ! 来いよ! この筋肉で相手してやるわ!」
 リゼルベスへと飛び掛からんとしたトビンガルー達を受け止めたジルベルト。
 曖昧な表情を浮かべ――そして、弥恵と汰磨羈にヘルプを求めるような目を剥けたリゼルベス。ヴィマラはその様子にくすくすと笑い「いいねえ、そういう生き様もロックだぜ!」とギターをかき鳴らした。
「こ、こういうのもロックなの!?」
「リゼル様も、面白い『出来事』がたくさんで、楽しいでしょう?」
 くすくすと笑ったエストレーリャにリゼルベスはそうだけどおと情けない声を漏らしたのだった。


「ふふっ、やはりこの世界の生き物は興味深いね。今日だけでこれだけのモンスターを目にする事になるとは……。この依頼を受けた甲斐があったよ」
 ゼフィラの言葉にリゼルベスの瞳がきらりと輝いた。
「リゼルベス嬢……」
 ゆっくりと近寄るジルベルトにリゼルベスがこてりと首を傾いだ。
「貴女の容姿に……何より貴女の在り方に惚れました。
 リゼルべス様、大好きです。私に貴女への愛を捧げさせてほしい」
「ひえ!?」
 リゼルベス・フェンゼルスタン卿。あまりに慣れない展開に慌てた様に走り出し――ジルベルトの前からカタラァナの後ろへと移動する。
「……リゼちゃん?」
「私、そういうの苦手なのよぉ! お友達ね! ね!?」
 ひょこひょこと顔を見せ乍ら言うリゼルベスに「そういうのもロックだねえ」とヴィマラはうんうんと頷く。
「お友達……なら、私もなりたいです。リゼル様はとても楽しいですし。
 あと、ワンポイントアドバイスです。僕は、情報屋になるならこの領地専門の情報屋を、オススメです」
 にこりと笑うエストレーリャにリゼルベスははっとしたように顔を上げて胸を張った。
「勿論、皆さん私の友達ですとも! ええ、そうね。空中神殿(あそこ)は運だけれど――しっかり楽しいお友達として、そして情報屋さんとして頑張って見せるわ!」
 リゼたん、と呼ぶジルベルトに「リゼたんを応援なさい!」と暴風系令嬢は楽し気にふんぞり返った。

成否

成功

MVP

エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ!
 皆さんがリゼルベスに好意的だったこともあってか、フェンゼルスタン卿的にもローレットの好感度はマッハです。
 とても楽しかった、とリゼルベス本人もるんるん気分のようですね。

 それでは、また別のお話で!

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