PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クリームパン運送救助作戦
クリームパン運送救助作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●みんなのクリームパンが……!!
 ぱっぱか、ぱっぱか、とクリームパンを積んだ大きな馬車が野道を走る。
 荷台にあるのは出荷したばかりの出来立てあつあつほわほわの甘~い菓子パン。
『幻想』の町外れにあるクーヘン・クリームパン工場はみんなの人気者だ。
 王都には、早く馬車が来ないか、今すぐ来ないか、とわくわくしている人達も多い。

 そんなある日の出荷中に事件は起きた。
「ん? なんだ!?」
 とある平原を通る最中、馬車は突然、光の玉に囲まれた。
 馬車は急に止まれない。馬がひひーんと鳴くと同時か、大木に衝突した!
 馬車は壊れてしまい、馬が外れ、荷台がひっくり返る。
「くぅ、いてて……。あ、大事なクリームパンが!!」
 運転手が気づいた時には、謎の光の玉が壊れた荷台を襲撃している最中だ。
「ガツガツガツ、ぐしゃり、ぐしゃり!!」
 光の玉、いや、魔物……ウィル・オーの一団が続々と現れてパンを漁っているのだ!
 みんなの愛しいクリームパンは物の数秒で残骸にされた。
「うおお、俺らの大事なクリームパンがあああ!」
 怒った運転手は勇敢にもウィル・オーに向かって行ったが……。
 無惨にもぼこぼこにされて馬と共に敗走したとのこと。
 さて、どうしよう?
 こんな魔物の集団が道端で待ち構えていてはクリームパンが出荷できないではないか!

●みんなのクリームパンを救ってなのです!
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)から大事なお話があるとのことで、イレギュラーズのメンバーはローレットの酒場に集められた。
 どうやら、話を聞いた所、クーヘン・クリームパンの馬車が出荷中にウィル・オーに襲撃されたとのこと。
「……と、言う訳なのです! クーヘン・クリームパンのパンは生地がもちもちふわふわしていて噛み応えがある上に、中にクリームがとろとろ~、あまあま~、な感じの極上テイストなのです。町外れにある小さな工場ですが、その味から人気はそこそこ高くて、特に王都では入荷している店やファンが多数なのです。つまり、ここのクリームパンが食べられなくなるということは、王都にとってちょっとした危機なのですよ!」
 ユリーカの力説に聞き入るイレギュラーズ達は皆、深刻な表情だ。
 そうか……。魔物のせいでそんな美味しい物が食べられなくなってしまうのか、と。
「それで、ですが……。もちろん、ウィル・オー達を討伐して欲しいのです! う、ぐぅぅぅ……」
 美味しい話をしているせいか、お昼時が近いせいか、ユリーカのお腹が鳴った。
 テーブルには皿に乗ったドーナッツが置いてある。
 だが、今、彼女が本当に食べたい物は……。
「皆さん、ボクからも頼むのです。クリームパンの明日を救って欲しいのですよ!」

GMコメント

●成功条件
 ウィル・オー達の討伐。

●失敗条件
 PCの全滅。
 あるいは、ウィル・オーの過半数以上に逃亡される。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 現場に到着する頃は昼の明るい時間帯です。
『幻想』の町外れにあるクリームパン工場から王都までの道のりでA地点という所があります。過去に出荷の馬車がA地点でウィル・オーに襲われています。A地点は周辺に木々がある程度ののどかな平原です。

●敵
 今回の敵勢はクリームパンを食い荒らすウィル・オーです。
 ウィル・オーの一団は、リーダーもいて、そこそこ統率が取れています。
 もともと弱気の性格なので逃亡する場合もあります。

『ウィル・オー・リーダー』×1体
 他のウィル・オーより一回り大きくて強い光を放つ個体です。
 全身がボール状で発光している浮遊する魔物です。知能は低いです。
 ザコ格の他のウィル・オーよりはやや強いです。やや素早いです。
 戦闘方法は以下。
・体当たり:物理至近単体ダメージ。
・光の射撃:物理中距離単体ダメージ。
・命令:他のウィル・オーに命令を出す。

『ウィル・オー』×14体
 全身がボール状で発光している浮遊する魔物です。知能は低いです
 ザコ格のウィル・オーですので、あまり強くありません。やや素早いです。
 戦闘方法は以下。
・体当たり:物理至近単体ダメージ。
・光の射撃:物理中距離単体ダメージ。

●挨拶
 今回、初めてPPPでGMを務めさせて頂くヤガ・ガラスと申します。よろしくお願い致します。
 害獣駆除もののシナリオって、けっこう好きなんですが、皆様はいかがでしょうか?
 ぜひ害獣を駆除してクリームパンの明日を守って下されば幸いです。

  • クリームパン運送救助作戦完了
  • GM名ヤガ・ガラス
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月16日 22時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
皆の翼
透垣 政宗(p3p000156)
有色透明
焔宮 鳴(p3p000246)
救世の炎
オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)
果ての絶壁
シエラ・バレスティ(p3p000604)
白い稲妻
ミミ・エンクィスト(p3p000656)
もふもふバイト長
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
暗躍する義賊さん
ヴィクター・ランバート(p3p002402)
殲機

リプレイ

●餌作戦
 イレギュラーズの何人かは今、『もふもふバイト長』ミミ・エンクィスト(p3p000656)のパン屋ギルドである『くるみ亭』にて、がんばってクリームパンを作る所だ。
「さっそくですが、パン生地から作りましょうか? では、お仕事完遂目指してがんばりましょー、なのです!」
 笑顔のミミだが内心はぐつぐつと煮えていた。
(魔物がパンをつまみ食いとは許せないですね。パン屋的にお代をキリキリ支払って貰うのです。払えない悪いお客さんには折檻と相場が決まっているのですよ。ふふふのふ、なのです)
『輝きのシリウス・グリーン』シエラ バレスティ(p3p000604)が、作業テーブルの上に、どん、と劇薬の壺を置く。
「いいかな、みんな? この劇薬をカスタードクリームによーく練り込んでね?」
 シエラも顔は笑っているが、心の底は穏やかではない。
(ほんと、とんでもことだよね? クリームパンの平和を守るよー!!)
 劇薬をたっぷりとパンに練り込んでニカッと口元が笑うのは『Storyteller』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)だ。
「食材適性や呪いの類が在れば容易いのだが、現在の己は肉壁。ふむ、美味そうな毒餌を作るとしよう。パン屋に習えば簡素な物は出来るだろう……」
 オラボナの隣では、『殲機』ヴィクター・ランバート(p3p002402)が寡黙にもせっせとパンを作っていた。
(貧すれば鈍する。ユリーカ嬢は言っていた。これは一つの危機なのだと。つまりこれは食料危機。ならば回避されるべきである。死人が出る前に、問題の解決を図る)
 その後、パン屋本職ミミ指導の下、4人で作ったクリームパンは、良い具合にこんがりと焼け上がった。中のクリームもふわふわとろとろだ。本家のクーヘン・クリームパンにも何となく似ている。ただ一つ、劇薬入り、が最大に違うのである。

『蒼焔のVirtuose』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)は、『くるみ亭』の大きな紙袋に入った20個程のクリームパンをうんしょ、うんしょ、と抱えながら、問題のA地点を歩いていた。
(ユリーカが絶賛する……あのクリームパンを独り占めする魔物は許さない……。甘い物……俺だって食べたい……だが、それは後回しだ……!! 本日の演奏曲は……愛しき物を奪おうとする者から……奪い返すセレナーデだ……)
 この辺りで良いだろう。A地点の最も見晴らしの良い場所で、ヨタカは、わざとらしく紙袋をぶちまけた。
「おおっと……しまった……! 手が滑った……! 仕方ない、これは、魔物にでも……あげるか……」
 ヨタカはトボトボと木陰の方に行ってしまった。
 ギラリ、誰かが狙っている。
 ヨタカは木陰に向かって合図をする。
 木陰では、『緋焔纏う幼狐』焔宮 鳴(p3p000246)が尖兵の鴉を召喚し、派手にぶちまけられたクリームパンへ向かわせる。
「カアカア!」
 鳴と五感が繋がっている鴉はパンを突っつく。
 だが、食べるふりだ。鴉が劇薬を食べたら鳴にまで伝わってしまうからだ。
(クーヘンのくりーむぱん、……どんな味か想像したらちょっと涎が……なのっ。甘い物を奪うのは絶対に許せないのっ……!! たとえ魔物さんの本能で奪ってしまうとしてもくりーむぱんを奪うのは悪いことなの! 皆の甘味のため、罠で誘き出して退治しちゃうの!!)
 鳴が放った1羽の鴉にサクラが沸く。
『有色透明』透垣 政宗(p3p000156)は木陰で式符より光明の白鴉を生み出し、「カア」と、空へ放つ。
(ユリーカちゃんの説明って軽く飯テロだったねぇ。あれだけ褒めるってことは相当美味しいんでしょう? クリームパンのファンの為にも、悪い子達はお仕置きしないとね)
 別の木陰にいるのは『暗躍する義賊さん』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)だ。彼女も政宗とほぼ同じタイミングにて式符で出した白鴉を空へ向かって「カア」っと撃つ。
(くっ……。クリームパンを狙うなんて卑怯な……です! 甘味を狙うなんて許すことができるでしょうか? 否、許せないのです……。ルルのクリームp……こほんっ。皆の為に作られたパンの怨みはこのルルが晴らして見せましょう!!)
 サクラの2羽が空へ飛び出った後、今度は本物の鴉が1羽、2羽……と、やって来る。
 ギラギラと目を光らす魔物達もそろそろ限界に達したようだ。
「きゅー!!」
 光の玉の魔物、ウィル・オーが続々と現れる。
 そして、鴉達を追い払い、落ちているクリームパンをガツガツと食べ出す。
 しかも一回り大きなボスまでも現れるが……。
 劇薬が入っているはずなのに美味しく召し上がってしまったようだ。
 彼らには正常な味覚という物がないのか?

●前半戦
 劇薬は効果を発揮しなかったものの、餌は囮として機能した。
 馬車を襲ったであろうウィル・オーの一団が一体も残らず平原に出て来たのである。
 悲痛な表情のシエラは食事中の魔物達に向かってびしっと指をさす。
「みんなの心中お察しするよ………まさかこんな悲しい事件が起きるなんてね。だがしかし! 私達の気持ちは一心同体! もはや薄力粉を混ぜすぎた生クリームの如く繋がりの深い関係なのです……だから……」
 シエラの内部にあるもう一つの魂が覚醒する。
 淡い輝きと共に髪は白くなり、眼は深緑色に変化して行く。
 今、彼女の中の慈悲も感情もない存在が目を覚ます。
「……害獣であるあなた達を駆逐します。荒々しくパンをこねる様に潰しますよ?」
 本当ならばここで、劇薬パンで怒らせるはずだった。
 だが、どの道、食事を邪魔されたウィル・オーのボスはかっかしている。
 このまま、怒りを誘い、冷静さを奪えるだろうか?
「うきゅう!」
 ボスが全力で体当たりをしにかっ飛んで来る!
 ガキィィィン!!
 シエラが倒されることはなかった。
 なぜなら、即座にオラボナが絶壁を構えて間に入ったからだ。
「甘味を欲張り他者に与えず、挙句は強奪とは赦せぬ。我等『物語』の好物を何処の馬の骨とも知らぬ物質に『攫われる』とは不愉快の極み。此れは悉く屠らねば成らぬ」
 そして力をみなぎらせながら宣告する。
「貴様等の罪は死でも償えぬ。故に去れ」
 シエラからの挑発を受けかっとなり、オラボナからも攻撃を弾かれ罵られる。
 単純な性格のボスはうきゅうきゅ言いながら、ますます体当たりだ。
 付近の手下達も攻撃に加わる。
 がん、がん、がん!
 名乗り上げたシエラの方をおそらくメインに狙っているのだろう。
 鉄壁の要塞とも言えるオラボナから抜け出て行くことができずもどかしそうだ。
 シエラはオラボナという防壁を活かして、ザコを大戦斧で無惨に屠る。
(さて、もう数回挑発します。何としてでもボスは私達に引き付けます。このような弱気な魔物はすぐに逃亡しますから)

 シエラからやや離れた所でミミはバスケットを振り回し前衛で戦う。
「こら! 後衛へ抜けてはいけませんのです」
 ミミは手前にいるウィル・オーを引き受けつつも、体当たりを受ける。
「逃亡はさせませんのです」
 戦闘を本心では好まないミミは不殺の術で魔物に抗い苦戦する。
 それでも、ここを通す訳にはいかないのだ。

 ミミが守るべき後衛に位置するのは鳴だ。彼女は遠距離から術を構える。
 味方を巻き込まず敵をより巻き込む場を狙う為にちょこまかと動き回る。
「そこなのー!」
 鳴の頭上には魔槍がぼんやりと浮かび、実体化し、高速度でウィル・オーへ飛んで行く!
 ぐさり、と1体を貫通し、成敗。
 付近にいたもう1体は光の弾丸で鳴を撃つが……。
 射程距離の差が開けているせいもあり、届かないようだ。
 ミミの前衛に感謝しつつ、鳴は再び動き回り魔の槍で対するもう1体も串刺しにした。

 ところでルルリアはどこにいるのだろう?
 彼女は前衛が戦う反対側に位置し、木陰に隠れながらほぼ完全に気配を殺していた。
 当然、彼女の付近にはウィル・オーはいない。
 魔銃を装填し、発射準備は完了。
「クリームパンの味はどうでしたか……? ルルは……ルルはまだ食べたことないんです! それなのに貴方たちはー!!」
『暴風』の二つ名を持つ魔銃から幾重の魔法陣が展開され、鋭い氷の弾丸が炸裂する。
 遠距離30m近くから放たれた氷の魔弾は前衛にいる複数の魔物を一度に弾き消す。
 前衛のミミがいる位置のちょうど死角だったので、仲間への被弾は避けられた。

 前衛の味方達から少し離れた場所で政宗とウィル・オーは中距離で撃ち合いをしていた。
 何発か被弾した政宗だったが、次の一撃に賭ける……。
「ふふ、彼女達ったら君らの輝きが羨ましいんだってさ。ちょっと触らせてあげなよ。……触るだけで済むかわからないけど」
 政宗が鉄扇で血液をひらりと舞わせ、無数の美しい女性の手が地面から生え、魔物を襲う。
 これは無惨に踏まれて枯れた花達の怨念だ。
 怨念は光の魔物を蝕み、消滅させた。
「おや、触るだけで済まなかったみたいだね、ごめんね?」
 政宗が中衛でどんぱちやっていた頃、その後衛にはヨタカが就いていた。
 一つの詠唱が完成し、みなぎった魔力が彼の全身を駆ける。
 集中力も高まり、ヨタカはストラディバリウスを不協和音で奏で始める。
「この歌は……好きな物を独り占めしようとするお前らへの恨みの歌だ……!」
 ヨタカから贈られた葬送歌の魔の音符が30m程度先にいる魔物達に響き渡る。
「うぎゅ?」
 呪いの歌声と共に光の魔物は続々と消滅して行った……。

 戦況はなかなかの盛り上がりを見せていた。
 魔物達の中には既に逃亡を考え、逃げ出す者達もいた。
 そこに遠距離からガトリング砲が猛烈な勢いで直線状に撃ち込まれる!
 ラタタタタ、と響き渡る銃声に魔物達は悲鳴を上げる。
 その銃撃は魔物を殺す為の物ではなく、方向を正す為の物だった。
「都合が良い方へ誘導をしながら退路を塞ぎつつ攻撃。1体たりとも逃がしはしない」
 ヴィクターは位置的には中衛か後衛だが、戦場を動き回っている。
 逃亡を試みるウィル・オーを見つけては、ガトリング砲で誘導し、戦場に連れ戻していた。
 既に3体もの手下達を誘導に成功している。
 だが、戦場にいるのは味方も多い。
 次の狙撃で危うく味方を撃ちそうになってしまったので砲撃の軌道を変えたその時……。
 ずきゅん、ずきゅん!
 ウィル・オーからの光の射撃がヴィクターの肩を撃ち抜いた。
「くっ、被弾した。一時撤退」

●後半戦
 シエラとオラボナのコンビはボスを引き付けることに成功していた。
 既に我を忘れてかっとなっているボスは愚直にもオラボナに体当たりを繰り返していた。
 手下に命令を出すことなんてとっくの昔に忘れているようだ。
 戦況も刻々と変化している。
 既に過半数以上の手下達は駆逐されてしまった。
(頃合いです。そろそろ猛攻を仕掛けて終わりにします)
 シエラが獣の本能を引き出して仕掛けようとしたその時……。
「うきゅー!」
 光の射撃が後方から撃ち込まれた。
 不意打ちを軽く避けたシエラは涼しい顔をして攻撃先を切り替える。
 仕方がないです、残っているザコを先に倒しますか、と、思った瞬間。
 ずきゅん、ずきゅん!!
 別の2方向からシエラに光の弾丸が撃ち込まれた。どちらも悪い所に入ったようだ。
 シエラの対処が追いつていない中、ウィル・オーは狂ったように攻撃を繰り返す。
 もちろん、オラボナは何もしていない訳ではない。
 彼等『物語』はボスの猛攻を防ぐことに集中していた。
(な、なぜだ? 解せんな……)
 実はウィル・オー達は作戦でそうしていた訳ではなかった。
 怒り狂ったボスがシエラを狙っていたのでそれが『命令』だと勘違いしたのだ。
 この時点で近くにいたミミはバスケットを振り回し援護に入り、シエラへの暴行を何とか妨害しようとがんばるが……。
(ひえーん! せめてシエラさんにお薬を渡せれば……!)
 すると、先ほどと同じく、強烈な氷の魔弾が遠方から銃声を轟かせた。
「皆さん、ごめんなさい! オラボナさん、お願いします!」
 いつの間にか味方陣地の後衛遠くに回り込んでいたルルリアが狙撃してくれた。
「任された。我ら『物語』は鉄壁の至り」
 味方を巻き込む射程だったので、オルボナがシエラとミミの決死の盾となる。
 ここでルルリアが撃たなければ被害はさらに大きかったので判断は間違ってはいないだろう。
 シエラを囲っていた魔物3体は一瞬にして倒されたのであった。
 ミミは倒れているシエラの下に急いだ。
 シエラは覚醒の効果が切れて、いつもの彼女に戻っていた。
「はあ、はあ……。ごめん、心配かけたよね?」
 一度は倒されたシエラだったが、なんとか起死回生のカムバックをしたようだ。
「はい、お薬なのです!」
 ミミが差し出したハイ・ポーションを受け取り、シエラはごくり、と飲み干す。

 この騒ぎがある最中、鳴は全力でボスの背後付近まで回り込んでいた。
 即座に右手の掌を妖刀で軽く切り、出血し、血液の鞭を創造した。
「これはクリームパンを食べられなかった皆のぶん! そして食べたかった鳴のぶんなのっ……!!」
 怒りから抜けて、既に逃亡する気満々だったボスは鳴に食い止められる。
 鳴は思いの長けを鞭打ちにしてボスをびしばしと裁くが、逃亡は終わらない。
 そこにどこからか、必殺の手榴弾が飛んで来て……。
 激しい爆撃音を鳴らしながら、逃亡中のボスに直撃ではなかったが、衝撃を与えた。
 木陰には機械部分がむき出しの肩を揺らしているヴィクターがいた。
(どうだ? 君はもうこれで戦闘不能になっても起き上がれまい?)

 それでも逃亡は止まらない。
 爆撃すらも避けて、ボスは何としてでも逃げるつもりだ。
 この時、シエラの前衛位置から少し離れて戦っていたヨタカと政宗がいる位置にちょうどぶつかった。
 その位置では、射撃で傷ついた政宗がちょうどヨタカからの癒しの魔法による治療が終わった所だった。
「すまないね、ヨタカくん。本来なら僕が回復役に回ろうと思っていたのだけれど……」
「いや、いいさ……これぐらい……。それより、俺の方こそ……すまない……。前にいた政宗が……代わりに撃たれてしまって……」
 すくっと立ち上がった政宗は鉄扇を構え直し、ヨタカも楽器に手を伸ばす。
「おやおや? 逃亡する気かな?」
 二人掛かりで迫るが、ボスはどうしてもこの場を抜ける気だ。
 せめて、何か、隙でもあれば……。

 その時だ。
 でろでろでろ~ん!
 怪しい巨大なクリームパン登場!
 それは、紫と黒でぐちゃりとした肉の塊だった。
 どっしりとした塊からは、目玉が幾つも幾つもぽたぽたと、落ちて行く……。
 ほぼ一瞬だが、恐怖の一瞬だ。

 さすがのウィル・オーのボスであっても唖然としたようだ。
 まさにクリームパンらしからぬ肉塊による恐怖体験だった。
 オラボナは政宗達に向かって絶壁の両手を高く振る。
 そう、彼等『物語』が『何か』したのだ。

「ま、どの道、逃がしてあげるつもりはないよ! そぉ、れ!」
 政宗は地面から巨大な土塊の拳を出現させ、アッパーで華麗にノックアウト!
 ヨタカが魔弾で追撃した頃には、既に大きな光の玉は消滅してしまっていた。
 その後、魔物の全滅を確認したイレギュラーズは、手当や報告等後処理をした後、解散した。

●報酬
 翌日、工場からローレットの本作戦チーム宛にお礼のクリームパンが特急便で届いた。
 クリームパンの明日を救った勇者達は、それぞれの想いを胸に戦利品を手に取る。

 ヨタカは狐のお面を口元からずらし、ぱくり。
「贅沢は言わない、一口だけでも……食べたい……ずっと、そう思ってた……。ん、これは……思った通り……。カスタードクリームがぎっしりと入っていて……皮はしっとりとしていて……美味しい……!」
 ヨタカの隣にいた鳴も恐る恐るパンを手に取り、ぱくっと咥える。
「そうなの、これが食べたかったなのっ! 勝利の後のクリームパンは格別なのー!」
 政宗は、ずずっと、熱い緑茶を啜りながらクリームパンを味わう。
「ホイップクリームよりも、カスタードの方が僕は好きなんだぁ。はああ、もちふわとろとろの幸せ……。とっても食べたがっていたユリーカちゃんにもひとつ持って行ってあげたい」
 政宗がお茶ならオラボナは珈琲だ。それも砂糖と牛乳と蜂蜜で溢れた珈琲で。
「依頼成功の暁に例の甘味を珈琲と共に咀嚼……困った。歯も舌も無い」
 シエラとルルリアはクリームパンをわっしょいしていた。
「すごおい! これ全部、工場からのお礼なんだね! もふもふ……まさに美味だよね!」
「初めて食べましたが、ユリーカちゃんがあそこまで言うほどあるのです!」
 中でも強いこだわりを持って今、食しているのはミミだ。
「あそこのクリームパン、評判だし実際気になってたのですよ、パン屋的に! ああ、いつも啓示をくれる神様……殴られ役ばかりなんですけれど、ご褒美ありがとうなのです」
 ヴィクターは席の隅で寡黙に、美味しそうにパンを頬張りながら結論にたどり着く。
「ミッション終了。この食料危機に及ぶ戦争は我等が陣営の勝利である」

 了

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

この度は、シナリオへご参加くださりありがとうございました。
PPPでの初仕事でしたが、皆さんのご参加があり楽しく仕事をすることができました。

ところでクリームパンですが、私はその中でも特に揚げクリームパンというのが好きです。
もしかしたら、皆さんは既に食べたことがあるパンかもしれませんね。
あるいは、今度、どこかのパン屋さんで見かけたら、揚げクリームパンも食べてみてはいかがでしょうか?

PAGETOP