シナリオ詳細
継承聖義ジャストライジング VSジャストレイサー!
オープニング
●聖なる正義、民の剣! ジャストライジング!
赤煉瓦の屋根と白い壁。どこか統一された家々が並ぶ町に、時計塔の鐘が鳴る。
バスケットにサンドイッチを詰めてうる女。午後の新聞を配達する男。子供の手を引く母親に、ショーウィンドウの反射で身なりを整える承認。
整った石畳を交差する、平和な人々。
そんな光景を、はじけるような魔術弾が引き裂いた。
「愚かにも生き続ける民衆よ! 世界の破滅に従え! 滅亡せよ!」
鬼のような鎧を纏ったスカイウェザーが降り立ち、魔術弾を乱射する。
悲鳴をあげ逃げ惑う人々。
凶弾が転んだ少女へ向かう――その瞬間。
「ジャストレイガン、聖剣モード!」
赤いエネルギーソードを展開した銃を握り、白銀の聖鎧を纏った騎士が割り込んだ。
魔術弾を切り裂き、顔を覆うメットをきらりと光らせる、
「デッドバタリオン教団の悪鬼兵よ! 町の人々に危害を加えることは許さない!」
「ジャストライジングか……いつもいつも邪魔をしおって。グッ」
魔術障壁をはる悪鬼兵。
聖銃モードに切り替えたジャストレイガンから赤いエネルギー弾が連射され、障壁によって阻まれる。
「さあ――悪鬼兵。その命、神へ回帰せよ!」
民の逃げる時間を稼ごうとしたのだろう。銃口を向けゆっくりと歩み寄る。
と、そこへ。
ジャストライジングが放ったものと全く同じ、赤いエネルギー弾が彼の手元へと着弾した。
はね飛ぶ銃。
咄嗟に振り向くジャストライジング。
そして、驚きに固まった。
「あなたは、まさか……!?」
聖銃ジャストレイガンの銃口をこちらにむけた、白銀の聖鎧騎士。
法衣の裾を風に靡かせ、顔を覆ったヘルメットをきらりと鈍く光らせた。
「降臨――ジャストレイサー。その命を回帰せよ」
「ジャストレイサー……先輩……? まさか、死んだはずでは!?」
素早く銃を聖剣モードに切り替えたジャストレイサーは、ジャストライジングに詰め寄り斬撃。返す刀で更に斬撃。
そこへ複数の悪鬼兵が飛びかかり、魔力爪による斬撃を一斉に加えた。
「ぐわあっ……!?」
聖膜反発による火花が散り、ジャストライジングは派手に吹き飛ばされた。
民家の壁を崩壊させ、転がるジャストライジング。
「間違いない。この剣筋、この威力、先輩……いったいなぜ……!?」
「…………」
うつ伏せに倒れたまま呼びかける。しかしジャストレイサーは応えること無く、どころか興味を喪ったかのように立ち去った。
まるで味方であるように、そのあとをついていく悪鬼兵たち。
その光景を最後に、ジャストライジングは気を失った。
●ファング教会、キド神父より
「ローレットの皆、よくこの依頼を受けてくれた。
信じがたいが、内容は依頼書にあったとおりだ。
そう……殉死したはずの我らが騎士ナンバー753『ジャストレイサー』が蘇り、我々の騎士へと攻撃をしかけてきた」
天義ファング教会。民を守る誠実な教会騎士たちを束ねている立派な教会である。
その教会を束ねるキド神父は、礼拝堂の絨毯をゆっくりと歩きながら語った。
「天義首都フォン・ルーベルグで黄泉帰り……つまり死者蘇生の噂が流れているのはしっているか。
親しい者がありし日の姿で現われるというものだ。
だが間違っても、死者が蘇るなどということはない。世界絶対のルールだ」
「しかしあれは間違いなく先輩……ジャストレイサーでした」
教会の扉をあけ、鎧を纏ったまま入ってくる騎士。見るからに重傷を負っていたが、それを押してここにいた。
彼に面識がある者はその鎧を一目見て分かるだろう。教会騎士ナンバー193『ジャストライジング』であると。
そして知っている者もいるだろう。
彼の先代、ジャストレイサーが民を守るために戦った正義の騎士であったことを。
「鎧も、太刀筋も、そして声も……僕はあの人の弟子でした。だから間違いありません。けれど……けれど……」
「ああ」
キド神父は辛そうに目を閉じた。
「彼は、ジャストレイサーは悪鬼兵と行動を共にしていたようだった。どころか、密偵からは彼らと結託して教会を襲撃する計画を立てているという報告も上がっている。信じがたいことだが……」
「止めます!」
ジャストレイガンを握りしめ、ジャストライジングは吠えるように叫んだ。
「確かにあれは先輩でした。けれどその姿や記録をなぞっているだけのようにも思える。
何より……もし今の先輩がどうであっても、民や教会を傷付けるようなことを、『ジャストレイサー』が望む筈はありません!
その遺志と誇りにかけて、僕が必ず先輩を止めて見せます!」
「…………」
こっくりと頷くキド神父。
そして、イレギュラーズを……あなたを見た。
「私も同じ気持ちだ。次の襲撃計画は掴んでいる。先回りし、彼らを迎え撃つんだ。
教会騎士が人々を傷付けて回るなどという噂がたてば、きっと市民は不安と恐怖にかられるだろう。
そんなことがあってはならない。必ず。ここで止めるんだ」
- 継承聖義ジャストライジング VSジャストレイサー!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年04月20日 21時25分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●聖なる夜よいつ更けた
街灯明滅。夜のネメシス。
大通りに人はなく、吹き抜ける風にページをめくられるように『ハム男』主人=公(p3p000578)だけが立っていた。
「先代騎士が蘇って敵になる……か。お約束だなんて思ってたけど、いざ関わってみると、やりきれないよね」
馬の蹄音が、公の横で止まった。銀の馬鎧を纏った白馬ジャスタリオン。
その馬上から見下ろす者の名は、ファング教会騎士193番ジャストライジング。
ズボンのポケットに手を突っ込んだまま、煙草をくわえて歩く『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)。
「あちこちで起きていやがるな、黄泉がえり事件ってやつは。
鎧にしろ肉体にしろ残ってるわけがねえんだ。そうだな?」
胸ポケットから取り出した携帯灰皿に煙草をねじ込むとジャストライジングを振り返った。
「はい。ファング教会では死者は火葬する習わしです。骨は共同墓地に納められ、鎧は改修して僕に継承されました。だから、存在するはずがないんです」
そう語るジャストライジング自身も、己の体験が信じられないという様子だった。
眼鏡のブリッジを中指で押す『『知識』の魔剣』シグ・ローデッド(p3p000483)。
「さてはて、如何なるカラクリが潜んでいるのか……暴かせてもらうとしようか」
ややあって、合流を予定していた仲間たちが集まってくる。
「死者が蘇った、とは言い難いね」
『生命回帰はあり得ん事だ。悪事に手を貸しているならわかっているな?』
「もちろん、死者は死に返すよ」
十字架に封印された内なる存在と会話をしながら裏路地より現われる『穢翼の回復術師』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)。
同じく、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)が棺ほどに大きな十字架を背負って現われる。
「けれど、そのためには悪鬼兵たちが邪魔なんだよね……。私たちに任せて」
「そしてこの仕事が終わったらほのぼのタイムをすごそうねお兄ちゃん!」
「妹!?」
両手を腰に当てて堂々と登場する『聖妹』時裏 結美(p3p006677)。
「大事な人を騙るっていうのは、ちょっとひどいよ。精一杯サポートするから、決着をつけようねお兄ちゃん!」
「えへへ。決着。またアイをはぐくめたらいいな……」
巨大な斧をずるずると引きずりながら目的に目を光らせる『矛盾一体』ナーガ(p3p000225)。
「ジャストレイサー先輩と悪鬼兵たちはこの先にあるガル教会を夜襲するという情報が入っています。急ぎましょう。……どうしましたか」
「いや……」
立ち止まっていた『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)は、強く強く拳を握った。
(ふざけた話だぜ全く。あいつは……あの英雄は、私の目の前で死んだんだ。
それを無理やり起こして、あろうことか悪の道を手伝わせるなんてな……!)
「許さねえ。たとえ神が許そうと、私(死神)が許さねえ……!」
ミーナはそして、走り出した。
夜が遠くで泣いている。それが虫の声だと知ってなお、夜の泣き声に聞こえた。
●過去と後悔は強さなんかじゃない
ガル教会前。
夜の空を飛ぶ悪鬼兵の集団。
ひとりの足につかまるようにしてぶら下がっていた白銀の騎士が、教会の前へと飛び降りた。
「…………」
膝を折るようにして着地。フェイスシールドの奥で赤い光が燃え、騎士――ジャストレイサーは立ち上がった。
「そこまで、だよ」
歩き出そうとしたジャストレイサーを、後方から呼び止めるものがあった。
歩み寄る足音たち。
そのなかの一人、公はナックルタイプのベルトバックルを握り込むと、ベルトに力強く装着した。
「――変身!」
バトルジャケットを召喚し、装着。
公は走り出しながら手のひらを翳した。
次々と着地し、魔爪を展開する悪鬼兵たち。
「今更のこのこと現われたか、教会の犬どもよ」
「どけ! ハイドロプレッシャー!」
放出された高圧縮放水魔法を、先頭の悪鬼兵が両腕を交差して防御する。
「この程度の攻撃で倒れると思ったか」
「そんなわけがないだろう」
物陰から現われたシグが『幻想理論「過冷却集電弾」』を作成。スパークする球体を悪鬼兵たちへと発射。
最初の一人を中心にした半径五メートル範囲へ強力な静電気が広がった。
「これは……しまった!」
爪で切り払おうとした悪鬼兵が直撃を受け、思わず膝を突く。
「チャンス、だね」
ティアは想いの力を身に纏うと、偽りの聖杯を天高く掲げた。
『ロベリアの花』が頭上高くに形成され、弾丸のような速度で悪鬼兵へと発射される。
着弾して広がる悪意の霧。
その間にアイリスは背負っていた巨大な十字架をパージ。
つり革めいたリングを引くと、外装が展開して自律戦闘人形が現われた。
「『聖業人形・マグダラの罪十字(Holy doll Magdalena Cross of sin)』――歌って、絶望の海」
戦闘人形が腕を交差させることで発した絶望の歌が、悪鬼兵を中心としたエリアを激しく振動させていく。
「ぐ……うっ……」
膝を突いたまま頭を押さえる悪鬼兵。離れていた悪鬼兵たちは飛び上がり、シグめがけて飛びかかっていった。
「奴は危険だ。先に潰してしまえ!」
「「応ッ!!」」
「おっと、俺を無視するんじゃねぇよ」
スウェー移動で足下へ滑り込んだ義弘が、頭上を通り過ぎようとしていた悪鬼兵の足を掴んで強引に振り回した。
「ぐおっ!?」
上下感覚を奪われ、後頭部を地面に打ち付けられる悪鬼兵。
翼を動かして復帰しようとした悪鬼兵の真上に、ナーガの斧が振り上げられた。
「またあったね! またアイをはぐくもうね。えへ。えへへ!」
ナーガは壮絶に笑うと、悪鬼兵の顔面めがけて斧を振り下ろした。
はじけた血が頬に飛び、義弘は顔をしかめつつも親指でそれをぬぐった。
「ジャストライジング、暫く頼むぜ」
「了解しました。お気をつけて」
「そっちもね!」
義弘とナーガに道を開かれるようにして、ジャストライジングは大型拳銃めいた武器ジャストレイガンを両手でしっかりと握った状態で連射。
早足でジャストレイサーへと詰め寄っていく。
「先輩! なぜこんなことをするんです! 悪鬼兵に……デッドバタリオンに協力する理由はなんですか!」
「…………」
ジャストレイサーは彼と全く同じ武器を聖剣モードに変形させると、飛来する聖なる弾丸を次々に切り落としていく。
同じく聖剣モードに切り替えたジャストライジングと剣をぶつけ合い、至近距離でにらみ合う。
「どうかな」
その様子を見ていたティアはシグへと振り返った。
シグは小さく首を振る。
「ジャストライジングよ。貴様も甘き死を享受せよ!」
「我らが直々に送ってやる!」
両サイドから飛びかかる悪鬼兵。
が、結美の魔砲が悪鬼兵たちの間を激しく抜けていった。
慌てたように空中でブレーキをかける悪鬼兵。
「我、妹。故に我はあり! お兄ちゃんに群がる悪い虫は死ね!」
マテリアガンを両手で握り、乱射しながら走る結美。
「お兄ちゃん、こっちは任せて」
「はい、いも――えっ? はい!」
若干の困惑をおぼえつつも頷くジャストライジング。
一方で、ダガーを両手に握り込んだミーナも悪鬼兵とジャストライジングの間に立ち塞がった。
「クソヤロウ共が……最初から全力でやらせてもらうぜ!」
跳躍、豪快な回転と共に繰り出される斬撃を、悪鬼兵は爪を翳すことで防御した。
その防御すらも切り抜けて、相手の肉体を切り裂いて走り抜けるミーナ。
「許さねえ。アンタらは許さねえ!」
「ククク……困惑しているな」
振り向き、再びダガーを繰り出すミーナ。その刃を今度こそ受け止め、悪鬼兵はギラリと笑った。
「素晴らしいだろう『我らの』ジャストレイサーは。
奴のそばに居るだけで、欲望が解き放たれるのを感じるだろう?
迷いも恐れもない。晴れ渡る空の如く爽快だ。そうだろう!?」
「何を言ってやがる……!」
にらみ合う悪鬼兵とミーナ。
一方で、ティアは呪いの力を連射しながらジャストレイサーたちの様子を観察していた。
『シグの睨んだ通り、恐らく奴はただの人形だ。ネクロマンシーでもなければ、ましてやリザレクションでもないだろう。だから……』
「分かってる。分かっていても悲しいなら……壊すだけだよ」
ティアは偽りの聖杯を強く握り込んだ。
状況を一度整理しよう。
アイリスたちのように全体的に命中補正値の低いメンバーで構成された今回のチーム。
対して悪鬼兵たちは距離に関係なくダメージを与えやすく、最低でも二人以上を攻撃し続けることが可能な上やや大きめの自己再生能力を持っている。
必然的にイレギュラーズの作戦は集中放火によって一人ずつ確実に倒していくスタイルに固定され、彼らもそれを理解していたのかはじめから集中攻撃を仕掛けていった。
(各個撃破作戦と異なるのは敵を各個抑えて遅滞戦闘につとめる役割がジャストライジング以外にないことにある)
このため、どちらがより多くの総合ダメージを稼ぎ出すかが勝負の分かれ目になった。
逆に言えば、勝利するためにはある程度味方の損害を覚悟しなければならない(悪鬼兵はその優先順位を選びやすい側にある)とも言えた。
「離れていろ」
シグは自らを剣の状態に変化させると、地面に自らの刀身を突き刺した。
エネルギーが20メートル先へと伝達し、巨大な土の拳となって悪鬼兵に命中する。
同時に放たれた悪鬼砲がシグへと命中。その上を飛び越えるようにして接近を仕掛ける公。
公はナックルガードを拳に装着すると、魔力装甲を拳の上に展開させた。
黒いエネルギーを纏ったパンチが悪鬼兵の胸にある魔力結晶を破壊。
相手を吹き飛ばしていく。
「この調子だ。皆、あともう少しで――」
「伏せて」
ティアの声に気づいて急いでかがむ公。その頭上をティアの放った呪いの魔法が猛烈な闇を纏って通り抜け、爪を振りかざして飛びかからんとしていた悪鬼兵へ直撃した。
弾かれ、仰向けに倒れる悪鬼兵。
息をつくティア――の背後に現われた悪鬼兵が、悪鬼砲を発射した。
咄嗟に振り返り、防御姿勢をとるティア。
そこへアイリスと戦闘人形の放った魔術の糸が発射され、悪鬼兵をがんじがらめに巻き取っていく。
「私は、私にできることを……」
激しく腕を引き、悪鬼兵を切り裂いていくアイリス。
その隙をつき、ナーガが猛烈に突撃をしかけた。
ぎらぎらとした笑顔で彼女が何を言ったのか、聞き取れる者はなかった。
突撃の勢いそのままに繰り出された斧が悪鬼兵の強化外骨格を相手のボディごと上下に分割していく音が全てをかき消してしまったからである。
「クク……我々を倒したとて、何も変わらんぞ……!
破滅はすぐそばまで迫っている! 世界は死と破滅にまみれるのだ!
貴様も早くこちら側へ来い。甘き死によって破滅より逃れるのだ!」
暴走した魔力結晶の爆発によって消し飛んでいく悪鬼兵。
一方で――。
「お兄ちゃん危ない!」
ジャストライジングの前に飛び出した結美の身体に、聖なる弾丸が無数にめり込んでいく。
「妹……!」
ぐらつく結美を後ろから抱きかかえるように支えるジャストライジング。
結美は片手で魔力銃を構え、ジャストライジングもまた同じようにジャストレイガンを連射した。
連射によって数歩後退するジャストレイサー。
「手を貸すぜ。嫌な因縁ってやつは強引にでも断ち切らなきゃあよ!」
ダッシュからのドロップキックを繰り出す義弘。
まるでミサイル弾頭に触れたかのような爆発的な衝撃が生まれ、ジャストレイサーは派手に吹き飛ばされた。
教会の壁に激突し、手にしていたジャストレイガンが転げ落ちる。
「ったく。こんなになっちまって……これが私からあんたに贈れる手向けだ。受け取りなぁっ!」
ミーナは暴風を纏い、ジャストレイサーの胸にダガーを突き立てた。
聖なる鎧を貫いたダガーの刀身全てがずぶりと埋まり、ミーナはそれを強引にえぐり込み、鎧を無理矢理切り裂いていく。
「…………」
手を伸ばすジャストレイサー。
しかし手は途中でぴたりと止まり、そして、どろどろと黒い泥に変わって崩れ落ちていった。
鎧も、武器も、肉体すらも溶け落ち、地に還るかの如く消えていく。
「まがいモンが……クソッ……!」
ミーナは疲労の余りよろめき、そのまま仰向けに倒れた。
●生命は朝を待つ
ファング教会の騎士たちが駆けつけ、倒した悪鬼兵たちの後処理をしていく。
その様子を、ナーガと結美はなんともいえない様子で眺めていた。
眼鏡をかけ直すシグ。
彼の言わんとしていることを察して、公は小さく頷いた。
「これからも、こんなことが続くのかな。戦わなきゃいけないって分かっているのに、つらい戦いが……」
そうしていると、アイリスの頭上を白い色のカラスが飛んでいった。
飛んだ先。教会の鐘が打ち鳴らされる。
夜明けがやってくる合図だ。
「……」
ミーナは自分の手のひらを見下ろし、それを血がにじむほどに握りしめた。
「次に生まれてきたら、誰よりも幸せになれますように」
ここにはいない、ずっと前に命を落としたジャストレイサーへと祈りを捧げるティア。
義弘はポケットに手を入れ、深く息をついた。
「帰ろうぜ。俺たちにも、次の仕事が待ってる」
「ああ……」
イレギュラーズたちは教会と立ち尽くすジャストライジングに背を向け、そして歩き出した。
夜が明ければ朝が来て、次の夜を待っている。
生きている限り、明日は何度もやってくる。
立ち止まることを許さないように、せかすように。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――ジャストレイサーの抹殺を確認。
――依頼完了。
GMコメント
【オーダー】
ジャストレイサーと悪鬼兵の撃破
【シチュエーション】
ジャストレイサーと悪鬼兵が協力し、ある教会を襲撃する計画を掴みました。
皆さんは先回りしてひとけのない路上で戦闘をしかけます。
事前に住民避難は完了しているため、戦闘における不利はないものと考えてください。
時間は夜。灯りはじゅうぶんにあります。
【エネミーデータ】
●ジャストレイサー
ファング教会に所属する天義教会騎士……だったはずの人物。
聖鎧ジャストレイサーを纏って戦う騎士であったが悪鬼兵との戦いで殉死。その鎧を継承し改造したのがジャストライジングなので、この存在は黄泉がえりがなくてもかなり矛盾が生じている。
武器を聖銃モードと聖剣モードに切り替えて戦うオールレンジファイター。
能力は平均的でレンジ0~4までまんべんなくダメージを稼げるのが強み。
●悪鬼兵×10
破滅主義をとなえるデッドバタリオン教団の兵士。悪鬼のような強化外骨格を共通して装備していることからこの名で呼ばれる。
神秘攻撃力、HPにすぐれ、回避と特殊抵抗がややある。
個体戦闘力はイレギュラーズたちと競えるレベル。
武装が統一され訓練もしている様子なので戦術レベルが高い。
・魔法爪(神近単【弱点】):魔法で生み出した悪魔めいた爪が相手の装甲を貫いて切り裂く。
・悪鬼砲(神超貫【万能】・威力大):悪鬼兵版の魔砲
・自己再生(補填100再生100・パッシブ)
純戦力はこちらよりやや上なので、初動でどれだけうまく動けるかが肝心。
PCたちの能力のいいところを活かして戦おう。
【味方NPC】
●ジャストライジング
ファング教会に所属する天義教会騎士。
先代騎士ジャストレイサーから受け継いだ聖鎧を改造した『ジャストライジング』を纏って戦う。本名は分からないためそのまま聖鎧の名前で呼ばれている。
武器を聖銃モードと聖剣モードに切り替えて戦うオールレンジファイター。
能力は平均的でレンジ0~4までまんべんなくダメージを稼げるのが強み。
戦闘力はジャストレイサーとほぼ互角。
【オマケの解説】
・ファング教会
天義に数ある教会のひとつ。
教会に所属する騎士たちを戦力としてデッドバタリオンと戦っている。
管理者はキド神父。
・デッドバタリオン
破滅主義を唱える邪悪な教団。
悪鬼兵を先兵とし、天義の人々を殺し尽くし最後に自分たちも自害することで破滅の未来から逃れられると考えている。
・過去のファング教会に関するシナリオ
聖義戦士ジャストレイサー
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1017
継承聖義ジャストライジング
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1156
継承聖義ジャストライジング 目には目を剥き牙を剥け
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1281
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
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