PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<常夜の呪い>隠れ雨

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●雨
 しとしとと、しとしとと。

 さあさあと、さあさあと。


 雨音が幾つも響き、重なり、揺らめいて。
 嗚呼──ワタシ、見つかりたくないの。

●ローレット
「また、なのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は開口一番にそう言った。彼女がイレギュラーズへ差し出した依頼書にはこんな単語が見える──<常夜の呪い>と。
「最近、天義はこの事件で慌ただしいのです。今回も1つの村が闇色の霧に包まれてしまって」
 霧に包まれた内部の人間は覚めない眠りに堕ち、いずれ餓えて死ぬ。それが常夜の呪い事件だ。
 天義の教会も動いているが、次々と起こる事件に手が足りないというのが現状。ローレットにも依頼として回ってくるわけである。
「中にはスリーパーという敵がいるのです。その時々で姿や形、数は変わるのですが……少なくとも、この敵を倒せば常夜の呪いからは解放されることが分かっています。ただ、今回は中がちょっと特殊でどんな敵なのか分からないのです」
 特殊? とイレギュラーズの誰かが問うた。頷いたユリーカは周囲へ視線を彷徨わせて。
「ええと、一見雨なのですが……あ、あれみたいな感じなのです」
 ──と指差したのはカーテンだった。曰く、カーテンの様な何かが視界を阻み、スリーパーや他の敵の姿を隠してしまっているらしい。
「そのカーテンも、目で見る事はできないので直接突撃してみるしかないと思うのです。スリーパーの姿は今──あ、おかえりなさい!」
 ユリーカの視線がイレギュラーズからローレットの入口へ逸れる。入ってきたのは身体を雨に濡らした『Blue Rose』シャルル(p3n000032)だ。
「ただいま。……すごいね、初めて見たけどあんな感じなんだ」
 未だに湿り気の残る髪に布を当てながら呟いたシャルル、小さくくしゃみを1つした。ユリーカの心配そうな視線が飛ぶ。
「シャルルさん、風邪を引く前に着替えた方が良いのです」
「うん、そうする。でもこれだけ伝えておかないとと思って」
 シャルルは頷きながら視線をイレギュラーズへ向けた。怪訝そうな表情を浮かべる彼らを見ながら、薔薇の少女は口を開き、言葉を紡ぐ。
 ──不明だと思われていたスリーパーと、その手下らしき姿についての追加情報を。

GMコメント

●成功条件
 スリーパーの撃破

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 ただひたすらの野原。雨が降っています。内部で眠っているはずの人間は見当たらないことから、どこか別の空間に隔離されているものと見られています。
 この雨は夜色の霧の中、特殊な性質を宿しています。視覚的にはただの雨です。但し、雨の向こう側が見えません。雨はカーテンのように潜り抜ける事ができ、潜り抜けたならばその先にいる何かを見る事もできるでしょう。
 このフィールドではこのような『カーテンに近い性質を持つ雨』が幾つも存在しています。雨のカーテンは決して一方向に向いているとは限りません。また、ただの雨とも混じり合っているため区別をつけるのは難しいでしょう。
 雨のカーテンで視界を遮られたままの攻撃は命中力が低下します。

●スリーパー『唐傘少女』
 唐傘を差した少女です。人の形を取っていますが、会話をする様子は見られません。
 傘を盾として使いつつ、肉弾戦などの近接物理攻撃を主とします。ただし、姿を見られていない間は遠距離魔法を使用してきます。

雨に朧:付自単。輪郭が朧げに霞み、回避を上昇させます。

●唐傘の子ども×10人
 唐傘少女の手下と思われる子どもたち。スリーパーと同じ色の傘を差しており、良く見ていなければ見間違える可能性もあるでしょう。
 スリーパーと同じ、遠距離魔法攻撃を主とします。時折わざと外部者の前へ姿を晒し、その場所を仲間に伝えながら雨のカーテンへ隠れていきます。

●ご挨拶
 愁と申します。
 雨と言う名のカーテンで隠れ鬼です。見つけて倒し、常夜の呪いを解いてあげましょう。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • <常夜の呪い>隠れ雨完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年04月18日 21時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
ミュール(p3p006872)
黒のハイブリ
リラ(p3p006905)

リプレイ

●雨に隠れ
「天義は最近イロイロな事件で大忙しだよね。やっぱり魔種が動いてるのかな?」
 『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の言葉に『黒のハイブリ』ミュール(p3p006872)は「常夜の呪い、だっけ?」と首を傾げた。
「寝たまま飢えて死ぬとか、絶対やだよね」
 自分だったらそんな死に方、絶対に御免である。早い所スリーパーを倒さねば。
 けれど、と『本当に守りたいものを説く少女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は考える。<常夜の呪い>事件はここだけでなく、増加の一途を辿るばかり。しかして元凶なる魔種は一向に見つからないのだ。
(一体どこにいるんだろう……)
 元を叩かなければ、解決には至らないというのに──。
「そろそろだよ」
 ミュールの声にスティアの思考が引き戻される。顔を上げれば、夜色の霧はもう目の前に来ようとしていた。
「どこまでもー続くー野原と雨ー……ってね」
 ここからはスリーパーの領域。
 ミュールの口ずさんだ歌とともに、ドーム状の霧へ足を踏み出す。一同を迎え入れるのは冷たい雨。ミュールはふるりと震えて自らの体を抱きしめた。
「うう、雨つめた! 早く帰って温かいココアでも飲みたいとこだよ」
 絶え間なく降る雨に傘もささず、ただ濡れるのを好む者は決して多くはない。リラ(p3p006905)もその1人だ。
(雨の中だと髪とかがすごいことになるから好きではないんだよなあ……)
 服も髪も濡れればぺたりと貼りつき、気持ち悪いことこの上ない。それに──隠している瞳が見えてしまいそうな気がして。
 ともあれ、依頼を受けた以上は頑張るしかないのだ。
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は霧の中の世界に目を瞬かせる。予め聞いてはいたが──やはり聞くのと見るのとでは異なるもので。
「これは……また。随分と不思議な世界だね。この夢を見ている人はいったいどんな気持ちなんだろう」
「雨の降り続く中でかくれんぼをする夢……に、なるのか……」
 『暴食の守護竜』ヨルムンガンド(p3p002370)はウィリアムの言葉に返しながら、小さく目を細めた。この世界は外から鬼が、誰かが来なければ見つけてもらえない隠れ鬼のよう。それはどこか寂しくて、孤独で──けれどこれを誰かが望んだ夢だと言うのなら、その人物は見つかりたくないのかもしれない。
 ウィリアムもまた、雨だけ見ていると泣いているように見えるとも思う。だが雨と言う名のカーテンは、全くもってか弱くない。むしろ厄介この上ないものだ。
「なかなかに七面倒な事になっておるのぅ」
 やれやれ、と『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868) が溜息をつく。思い切り良くいって上手くいけば良いのに、とは思うがそうもいかないのだろう。
 しかし一同は依頼を受けた身。どのような手順を踏めど、為すべきオーダーは変わらない。
「サシアタッテ、オレたちはこっちのカラカサをぶっ飛ばさなきゃね!」
 ぱしり、と手のひらに拳を打ち付けるイグナートの傍ら、『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)は精霊の気配を感じないことにいくらかの安堵を覚えていた。
(精霊たちにとって、本当に”お願い”って受け取ってもらえるかわからなかったし……)
 この世界における法則が1つ、混沌工肯定『RPG』。自らの持つ力をステータスやスキルといった形で自覚できるというものだが、夕は自分の持つ『精霊操作』というものにわだかまりを感じていた。
 命令や操作といった、強制的なことはしたくない。それは人に優しくと育ったが故の思いだろう。だからこそ、夕は”お願いする”というスタンスを取るつもりでいたのだ。
 しかし幸か不幸か、この中に精霊の気配は感じられない。スリーパーの性質やカーテンのような雨について情報が得られないのは残念だが、それは自分たちでどうにかしていこう。夕は感覚を研ぎ澄ませ、特定の感情を探し始める。
(隠れてる……見られるのを嫌がってる? それなら拒絶か、羞恥あたりか──)
 ──侵入者に対しての”敵意”。
 瞬間、刺さるようなそれが夕の元へ集まる。スリーパーとやらが真っ先にこちらの気配を感知したのかもしれない。やや遠いが、間もなく接敵といったところか。
 それとほぼ同時にウィリアムがファミリアーを空へ放った。雨を物ともしない鳥は上空で旋回し、その視覚を術者と共有する。
「……うん、上はがら空きだ」
 野原にちらほらとみえる唐傘。一瞬見えなくなるのはカーテンをくぐっているからか。手早くウィリアムは仲間へ位置の情報共有を行って──不意に、目の前へ唐傘が飛び出した。
「しんにゅうしゃ。シンニュウシャ!」
 留まることなく走り去っていく唐傘は唐突に姿を消す。あそこに『カーテン』があるのだろう。ニアが凝視すると唐傘の姿が見通せたが──。
「……来る」
 敵の攻撃を警戒していたリラがはっと顔を上げる。同時、飛来した遠距離魔法に一同は散開した。
「……成程、見通す暇はなさそうじゃな」
「雨の音も特に違いはなさそうだから、カーテンがあるかは飛び込んでみないとわからないな……」
 ルアの言葉に続き、鋭い聴覚で雨音の違いを聞き取っていたヨルムンガンドも首を振る。空からの視界を見ていたウィリアムが敵の移動を伝えた。
 ちらり、ちらりと唐傘が見え隠れる。カーテンからカーテンへ。当たるか否かは一か八か。
 イグナートはエネミースキャンで雨のカーテンや見え隠れした唐傘の情報を探るが──良くも悪くも、こちらが元々持っている情報ばかりと言ったところ。感知できる大雑把な部分は間違っていないという確信。さらに言えば、唐傘を持つ子どもたちはそこまで強い相手ではなさそうだというくらいだろうか。
 ミュールは姿を隠したばかりの唐傘へ向けて魔弾を放った。途中でぱっとその姿は消えるが──カーテンがその勢いに捲れるような様子はない。
「私もやってみます!」
 夕が叫び、手をかざす。無から有を、空想から現実へ。
(カーテンと言えば──)
 ──なぁーご!!
 巨大な猫が空中に出現し、カーテンへじゃれるようにその手を伸ばす。次いで大気干渉した高次波動による照射。重力的にかかるそれに、巻き込まれたのか子どもの小さな悲鳴が聞こえた。
 だがしかしカーテンが捲れるということも、そして破れるなどということもないようで──つまり。
「カーテンに似てはいるけれど、同じではない……ってところかな。本当に厄介な事この上ないね」
 ウィリアムの言葉に頷く一同。ただ視界を遮り、すり抜ける事の出来る障害物といったところか。
 まあそれならば──そうでなくとも──前衛は突っ込んで行って殴るのみである。
「まずは敵の数を減らしていこう。アイズをしたらよろしくね!」
 子どもの声が聞こえたならば、後衛へかける声も聞こえるはずだ。イグナートが地を蹴り、スティアが、ヨルムンガンドはその機動力で以って追い抜いていき、リラもまた駆けだす。
 索敵の術を持たないリラ。けれど自らに出来ることをして、皆に少しでも貢献しようという思いを抱いて──。

 前衛からの合図に併せて後衛が攻め入り、ニアは3人の子どもに対して側面へと回り込む。スティアはすかさず前衛へ回復をかけ、夕は風と闇の精霊と共に攻撃をしかけた。
「隠れ鬼……知ってますよ。確かカーテンにくるまって、見つかってもいないよーって押し通すゲームですよね! けれど──」
 今回押し通すのは逃げる側ではなく追う側──イレギュラーズだ。
 夕の一撃が唐傘という名の盾をも貫き通す。間髪入れずミュールの魔弾が子どもの足元へ撃ちこまれるが、子どもはそれらに対して驚きも怯みも見せはしない。
(怯ませたり転ばせたりはできないかな)
 素早く攻撃方法を切り替えるミュール。その脇をウィリアムが放った一条の雷撃が走って行く。リラがグローブで撃ちこむ中、イグナートの声が響き渡った。
「ミンナ、離れて!」
 イグナートは右手をグッと握りしめ、そこ1点へ集中する。集中すれば集まるのは力──純粋にして純然たる闘気。爆裂を伴う一撃がイグナートの周囲へ巻き起こった。1人倒れ、更にもう1人をヨルムンガンドの強烈な連撃が地へ静める。あと1人。
「子どもばかりだな……あとどれくらいだ……?」
 スティアの回復支援を受けながら、リラが子どもへ格闘術式で叩きこむ。その体から力が抜けていくのを見て、リラはヨルムンガンドの問いにそっと口を開いた。
「半分、くらいかな……」
「──シンニュウシャ! ここ!」
 子どもが倒れても休む暇なく。新たな子どもが侵入者(イレギュラーズ)の存在を告げに駆ける。遠距離魔法がまるで雨のように注ぎながらも、前衛陣は次のカーテンへ飛び込んだ。
「敵は1体、カーテンから5m程度で──」
 真っ先に後衛へ情報連携していたスティアの声が途切れる。イグナートが「ようやくアタリだね」と呟くと同時、唐傘少女が動き出した。
「……っ!?」
 肉薄されたリラは露わになった片目を見開き、応戦しようとグローブを構えたが──それより数瞬早く、少女の蹴りが放たれる。崩れ落ちたリラへスティアが駆け寄ると同時、ヨルムンガンドの瞳が好戦的に煌めいた。
「やっと見つけたぞぉ……! 私が相手だ!」
 鋭く吐いた息は黒き炎に。星屑のような火の粉がヨルムンガンドの肌を滑り、不吉なる黒炎は向けられた唐傘によって防がれる。少女は唐傘を閉じて片手で持つと『侵入者』と小さく呟き、ヨルムンガンドへ肉薄した。
 唐傘による突きに対して身をよじったヨルムンガンド、その脇からイグナートが唐傘少女へ迫る。素早い掌底に頭を揺らされる少女は、しかし少しでもダメージを受け流さんとイグナートに対して後退した。
 一方、後衛陣では。
「シンニュウシャ」
「みつかった」
「ミツカッタ」
 子どもたちは隠れても無意味と思ったのか、雨のカーテンから姿を現していた。ミュールはそこへすかさず悪意の霧を放つ。
「まずは雑魚掃除かのぅ」
 ニアの呟きと同時、地を帯状の高次精神領域が伸びる。子どもたちの下をも通過したそれを辿るように、紅色の雷が迸った。
「スティア、こっちの回復は任せて!」
 君はそっちをとウィリアムが叫べば、見えぬ場所から応えの声。
「さあ、見つけた端からボコりますよ!」
 夕は再び大きな猫を召喚し、空想から現れし猫の爪が子どもたちへ襲い掛かる。ニアは側面へ回り込もうとして、突如皆の姿が消えたことに瞠目した。
(……カーテンか)
 見えぬカーテンは避けようもない。しかも。
「迂回するだけで良いのなら楽なのじゃが……」
 どうやらその大きさは個々によって違うらしい。どこまで行っても端がない──なんて、戦闘どころではなくなってしまうのだ。
 ニアは耳が拾う仲間の戦闘音で大体の位置を把握し、カーテンを潜り抜けて戦線へと戻る。広がった視界に映ったのは空を舞う敵の魔法と、それに狙われるミュールの姿だ。
「いた、いたたたた! ボクばかり狙わないでよね!」
 人を惹きつけんとする金の瞳が苛烈な色を宿した。お返しとばかりにナッシングネスを飛ばす姿に、ニアもまた敵への攻撃を再開する。
「夕!」
「ありがとうございます!」
 ウィリアムのアウェイニングが夕の気力を回復させる。夕は再び召喚のために想像を描き始めた。
 一方、唐傘少女と対峙する面々は──。

 ヨルムンガンドの連撃を傘で受け止めた少女。スティアはその後方より本型の魔導器を構え、その瞳に唐傘少女を映す。その視界の端にふわりと見えたのは天使の羽──いいや、本の放つ魔力の残滓だ。
 不意に少女の姿が霞んだ。輪郭が雨に滲むように、ぼんやりと定かでなくなる。
 ヨルムンガンドの黒炎をひらりと躱し、その姿はイグナートの元へ。向かってくる少女に対し彼はニヤリと笑みを浮かべた。
 真正面から、しかもこの空間の番人とも呼べるような存在との殴り合い。高揚する気分のままにイグナートは全身の力を雷撃へと変換させる。唐傘の突きを受け流したイグナートは右拳を確りと握りしめ、本命の一撃を少女へ叩き込んだ。
 すかさずスティアがイグナートへ回復を飛ばし、ヨルムンガンドが自らへと注意を引きつける。
 恐らく肉弾戦のほうが得意なのだろう。少女の体から出ている力とは思えぬほどに物理攻撃のほうが重い。姿を見せるまでの遠距離魔法は姿晦ましのつもりか。
 少女の攻撃をヨルムンガンドが一手に引き受け、スティアが回復する傍らイグナートがダメージを重ねる。徐々になくなっていく余裕を感じるも、他の手など──。
「お待たせしました!」
 不意の攻撃に少女の唐傘が破かれる。カーテンをくぐってきたのは夕だ。すぐさま朧に身を隠した少女は、しかし度重なるイレギュラーズの攻撃に追いつめられる。
「そう上手くはいかんよ。残念ながらな!」
 ニアの蹴り放った光の槍が少女を貫き、片足を吹き飛ばす。少女はふらりとよろけながらも1本足で器用に立ち、ヨルムンガンドへ尚攻撃を繰り出した。
「悪いな……もうすぐ夜明けと雨上がりだ……!」
 鱗を纏った腕で少女の唐傘をを受け止めるヨルムンガンド。揺らぐ足で地を踏みしめて、気力体力を奪いながらにっと笑ってみせる。彼女の継戦力を補うようにスティアのハイ・ヒールが飛んだ。

 明けぬ夜がないように。
 雨がいつか止むように。

 この夢も、また──。

●霧晴れども
 霧が晴れ──元の景色が、元の村が戻ってくる。
 道端に倒れていた女性も、畑で転がっていた男性も、それを手伝っていたと思わせる子供たちも目を覚ました。その表情は一様に眠たげで首を傾げており、すぐ何事もなかったかのように日常へ戻りだす。
 ミュールは小さくくしゃみを1つすると、持ってきていたお菓子を齧った。
「うーん、風邪ひきそー」
 鼻を鳴らしながらその足は村人のもとへ。「寝ながら餓死を免れて良かったよね!」と告げると不思議そうな表情をされたが、ミュールが差し出した菓子を見るとやはり首を傾げながら受け取った。
「なんだか腹減ってんだよなぁ。あんたらはここへ何しに来たんだい?」
 ここにあるのは神様への信仰心だけだよ、なんて言う村人に返したのはスティアだ。
「女の子を捜してるんだ。耳の尖った子なんだけれど……」
「見てないなぁ。小さな村だから、余所者なんてすぐわかる。残念だけどここには来なかったんじゃないか?」
 村人が首を横に振る。念のため他の村人にも問うてみたが、スティアが得られたのはどれも同様の──そんな少女は知らない、という事だった。
 一方、ヨルムンガンドは夢の主と思われる者──恐らくスリーパーであった、唐傘を差した少女だろう──を捜していたが、村の端まで来てふと足を止めた。
 その視線は背後の、村のほうへ。小さく眉根が寄せられる。
「……いない……?」

 夢は泡沫。まるで、泡がぱちりとはじけて消えてしまうように。

 ──それはもしかしたら誰の想いでもあり、誰の想いでもなかったのかもしれない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

リラ(p3p006905)[重傷]

あとがき

 お疲れさまでした。雨の夢はこれにて終わりです。
 謎が残ったままの締めとなりましたが、恐らくこの先でいずれ分かることでしょう。

 またのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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