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シナリオ詳細

ねじまきゴーレムプラント

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カンパネルのネジ
「よう、今回も頼むぜローレットのあんちゃんたち!」
 鉄帝軍にもつながりを持つ兵器技師『華樫(カカシ)』。彼は金のキセルを加えたまま、巨大なガレージにイレギュラーズたちと情報屋を呼び込んだ。
「次の仕事に特別なネジが必要なんだが、在庫がちょいと足りなくてなあ……ちょっくら『ゴーレムプラント』まで行って集めてくれ。詳しいことはそこのフードのあんちゃんに教えてあるぜ」
 話をふられて、『黒猫の』ショウ(p3n000005)は分厚いファイルを開いた。
「正しくは『カンパネル・ゴーレム・プラント遺跡』。
 古代兵器発掘の最中に見つかったダンジョンだね。
 ここには特殊な『カンパネルゴーレム』というモンスターが出現するんだけど……」

 カンパネルゴーレム。
 白くて丸っこく、手足の生えた雪だるまのようなファンシーな外見をしているが、魔道ミサイルやエネルギーカッターを標準装備し、恐ろしく腕力が高い。
 通常、2~3人で協力して戦うべき相手だ。
 それが、『カンパネル・ゴーレム・プラント遺跡』の最深部で今も製造され続けているという。
「奥まで行く必要は無いよ。浅い所を探索して、必要数だけ集めたらすぐに撤退していい。
 第一、遭遇頻度が上がればそれだけ危険も増えるからね。一度に2~3体を相手にする自体は避けたいだろう?」
 プラントも、第一階層から順に地下へ伸びている作りのようで、特に理由が無ければ第一階層を探索するのがベストだろう。

「で。このゴーレム1体につき1個手に入る……『ネジ』が特別なんだ」
 実物が、かたわらに置いてある。
 こぶし大の大きなネジ。光沢はなく白く、ねじ山はプラス型。しかし手に持ってみるとまるで重さを感じないかのごとく軽く、その割にとても頑丈なのだ。
「俺の技術なら似たようなモンは作れるが、ここまでの精度はそうそうでねえ。古いモンが最新技術よりずっと上ってんだから、この世界も面白えよな」
 華樫はげらげらと笑い、キセルの煙を吸い込んだ。肩をすくめるショウ。
「ゴーレム自体はそれなりの強さだけど、プラント内をうまく探索すれば戦闘をせずに落ちてるネジを拾って集めることも出来るはずだよ。
 労力や効率としては……そうだね、戦闘して集めるのと同じくらい、かな。もしモノ探しが得意なら、視野に入れてみるのもいいかもね」
「最低でも15個。できるだけ早く持ってきてくれ。早けりゃ早いほどいい。頼んだぜ!」

GMコメント

【フィールドデータ】
 『カンパネル・ゴーレム・プラント遺跡』
 銀色の硬い壁で覆われたプラント。
 遺跡周辺は保護され、ゴーレムが外へ出て行く心配はないが、立ち入りには厳重な許可がいるので出たり入ったりを頻繁にはできない。一度で済ませる必要がある。

 第一階層は地下一階部分すべてを含む。
 かなり広大で、東西南北に通路が延び、通路の先でも幾多に分岐している。
 これまで探索した人々がいろんな印をつけようとして結局迷っているので、マッピングをするかしっかり記憶するかのどっちかで対応しよう。尚、マッピングする場合は探索速度が若干落ちるものとします。

 探索チームは自由に編成して構いませんが、チーム数が多ければ多いほど探索は早く済むでしょう。
 最多チーム編成は2人×4組になる筈です。
 メンバーのレベルと戦闘スタイル、相性などで判断していきましょう。
 連絡手段はないに等しいので、『○個手に入れたら初期合流地点へ戻る』という作戦にするとうまくいきやすいはずです。
(かなり離れるため、別チームへのファミリアー使役動物や式神、動物系アイテムの貸し出しは本件ではできないものとします)

【戦闘データ】
 探索中、ランダムで『カンパネルゴーレム』と遭遇します。
 魔道ミサイル(中)とエネルギーカッター(至)の武装を持っており、臨機応変に戦闘します。
 長所も短所もないので、逆にこちらの得意分野で戦いましょう。

【探索ボーナス】
 適切な探索能力があり、かつステキなプレイングがあった場合探索ボーナスがかかり、戦闘をせずとも目的の『ネジ』を獲得できることがあります。
 俺そういうの得意だぜと言うかたはトライしてみてください。勿論、バトルだけで解決する作戦でも充分に通用します。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ねじまきゴーレムプラント完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月25日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

リプレイ


 流れる血が指先へ。
 『要救護者』桜咲 珠緒(p3p004426)は『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)の背に五芒星を描くようにして血のラインを描いていく。
「うひっ! くすぐったいですこれ!」
「あんまり動かないでくださいね。呪印を描くのは簡単じゃないんです。体内の血液にだって限りがあるんですかゴフッ」
「いまごふって言いました!? 限りある血液を浪費した音がしましたよ!?」
 珠緒と夕が女子更衣室みたいなきゃいきゃいした空気を出している間、『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)は明後日の方向をむいて自分の腕をまくった。
 そこには珠緒がつけた血の印が固着している。どうやらこの印で接続した対象が強く単語を思い描くと珠緒に伝わる、らしい。
 とてつもなく距離が大きくなったり色々ごちゃごちゃした状況になったりするとどうかは分からないが、少なくとも今回向かう『ゴーレムプラント』の屋内で分かれるぶんには大丈夫だろう。
 ぎゅっと拳を握るオリーブ。どうやら鉄帝で受ける依頼で周りへの対抗心が強まっているようだ。故郷にたいする想いが強いのだろうか。
 そんな様子を静かに察したらしい『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は、あえて彼のことには触れずにダンジョンの入り口へと振り返った。
「遺跡探索、か。こういった仕事も、面白そうだ、な」
 『カンパネル・ゴーレム・プラント遺跡』
 この遺跡はそのように呼ばれている。
 名の通り、鉱物でできた自動人形(ゴーレム)が定期的に生産ないし修理され、屋内を巡回している様子が確認されているという場所だ。
 ゴーレムの動作原理は解明されておらず命令系統も不明であり、かつプラントの外に出てくることがまずないため、この場所はできる限り有用に活用されていた。
 人の出入りを管理する者に手続きをとり適切な料金を払えば入場が可能であり、鉄帝の技師はここのゴーレムを形作っている鉱物を兵器の素材にすることがよくあった。今回も、例に漏れずそういう依頼である。
「でも、不思議よね。最新技術よりもずっと古代の遺失技術のほうが高度だなんて。古代文明の繁栄と滅亡……歴史ロマンよね」
 『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)は教科書を抱きかかえ、中指の先で押すようにして、眼鏡の位置を直した。
 ぐっと背伸びをする『カンパネル・ゴーレム・プラント遺跡』。
「こういうのは、こっちの世界にもあるんだな。俺の故郷にもあったんだ。大抵未知のお宝が眠ってるものだが……」
 同時に未知の危険も待ち構えているものである。
 冒険心よりも、今は受けた依頼の遂行義務を果たさねば。
 ……と、義手をこんこんと叩いて調子を確かめる。
「未知、か。なるほどね」
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は途中まで連れてきていたカピブタをダンジョンの外に預けることにした。
 ファミリアーによる先行偵察に用いようかと思ったが、こういう場所では発見され次第即抹殺されるということもありうる。鉱山のカナリアでもあるまいに、わざわざ犠牲にすることもない。
「さて、と。準備はいいよ。行こうか」
「私もですわ! よーし、今日もめいっぱい暴れますわよー!」
 肉体労働は任せてくださいな! とばかりにメイスを高く振り上げて、『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はダンジョンの扉の前へ立った。
 門番に手続き書類を見せ、左右に開く強化チタン製の扉の奥へと、進んでいく。


 プラントは地下層へと続いていた。
 長い斜面に併設された金属階段を下っていくと、十字に伸びる道があった。
 割と今更な話だが、このダンジョンを攻略するには毎度マッピングをする必要があると言われていた。
 ダンジョン内部は数日たってみるといつの間にか修復や拡張がなされていることがあり、つけた地図がすぐに役立たずになってしまうのだそうだ。
 戦闘の危険が頻発するこの場所において、ちょっとした道案内の失敗はそのまま死につながりかねない。手分けして探索するなら、通信手段のない状態では各自の判断と不安への対抗が必要になる……のだが。
「もし危なくなったら、強く撤退のワードを思い描いてくださね。特に血を吐いて今にも死にそうという場合は救援に向かいますので、場所やそこまでの通路を示す単語を思いゴッフ!?」
「今にも死にそうになりながら言われても……」
 珠緒が『いつものことなのでお構いなく』とハンカチで吐血をぬぐいながら手を翳した。
「そうでなくても、状態はある程度伝わってきますので……よほど危険がなければ予定通りに探索を行なってくださいね」
 珠緒のギフト能力がよい保険になった。
 といっても、これは『本当に危ないときに働く保険』である。火災保険のようなもので、もし空振りするならそれはきっと『良い空振り』だろう。
「それでは皆さん、お気をつけて」

●エクスマリア&夕ペア
 ポリシャーという機械を知っているだろうか。
 端的にいうと業者が広いオフィスの床掃除なんかにつかうごうんごうんするやつである。
 巨大なスポンジをすごいパワーで回転させ床を掃除しまくる道具で、パワーがないと大型犬の散歩みたいに振り回される。
 という知識を前提にして想像していただきたい。
 エクスマリアがポリシャーと化していた。
「…………」
「うん……うん……この辺りは、床が少し、へこんでいる、な……」
 長い頭髪を床につけ、すごい勢いでごうんごうん動きながらそんなことを言い出す人がいたら一旦頭か身体のどっちかを心配するが、どうやら本人は床材と自身を物質的につなげて細かな違いを検知していたらしい。
「へこむってことは……」
「そうだ、な」
 夕はゴーレム(ゴーレムの現物を見ていないのでオモチャのロボットで代用)が通路をがしょんがしょん移動するさまを想像した。
 このゴーレムは一定のルートを巡回してるということなので、定期巡回ルートの床は少なからずへこみがでる筈だ。
 通路だけでなく床もメンテナンスされている筈なので、今あるへこみは今設定されているルートだとみて間違いないだろう。
「すごいですね! ネジの場所もわかりますか!?」
「……それは、ちょっと、分からない、な」
 ごうんごうんしながら言うエクスマリア。
 ネジといってもこぶし大のものだ。その辺に転がっていれば分かるはずだが、ぱっと見た限りそれらしいものは落ちていない。
 だがゴーレムの巡回ルートは分かったので、これをたどっていくことでゴーレムと戦闘をこなすことができ、あわよくば壊れたゴーレムを見つけネジだけ回収するなんてこともできるかもしれない。
「なら、次は私の出番ですね!」
 夕は大きな段ボールをスッと取り出すと、頭から被ってすっぽりと収まった。
「…………」
「段ボールを被ると敵の目を欺ける、という伝説があるのです。ゴーレムに落とし物と認識させることで廃品置き場へ運ばせ、ネジをゲットするという作戦なのです!」
「…………」
 そううまくいくかなあ、という目をエクスマリアはしていたが、別に成り行きを見守るくらいはしてもよかろう。
 一度隠れてゴーレムの巡回を待ってみることにした。

 数分後。
 ゴーレムがやってきて、段ボール箱を見つけた。
 しばらくじっと眺め、近づいて軽く叩いた後、よっこいしょと持ち上げて運んでいった。
「…………まさか、いまくいくとは、な」
 この後、エクスマリアと夕は廃品置き場を発見。
 壊れたゴーレムをごうんごうんとあさってネジを手に入れることに成功したのだった。

●ヴァレーリヤ&ユーペア
 ユーは電子精霊に呼びかけ、自分の頭上へと実体化。
 ふぉんふぉんという独特の音を継続的に放ち、周囲の反響具合を確かめた。
「ダンジョンの構造がいい具合に分かってきたぞ。メートル単位でざっくりと述べていくから書きとめてくれ」
「お任せくださいな!」
 ヴァレーリヤが新人サラリーマンのごとくメモ帳とペンを手に身を乗り出した。
 わしわしとマップを作成していく二人。
 暫くやっていくと、伸びるいくつもの通路とは別に部屋らしきものがあることがなんとなく分かってきた。
 そもそも地下に作られているので、音が反響しやすかったというのもある。自分たちの担当するエリアに関してはかなり細かくマップを作成することができた。
 が、同時に反響させた音を感知したゴーレムがこちらを探すように動き始めたこともわかった。
「連中、音だけで位置を特定できてるわけじゃなさそうだ。対してこっちは接近までの距離が分かる。ということは……?」
「丁度いいところに待ち伏せして挟み撃ちにできますわね!」
 ヴァレーリヤはグッとガッツポーズをとった。

 ゴーレムが音のした場所を探して通路を歩いて行く。
 曲がり角を抜けると、ヴァレーリヤがその後ろからヌッと壁を抜けて現われた。
 即座に奇襲、というわけには勿論いかないが。
「お前が探してるのは俺か!?」
 通路に飛び出し、ナノマシンワイヤーを発射するユー。
 カンパネルゴーレムはそれをエネルギーカッターで切断。口らしき部分から魔道ミサイルを露出させた。
 反撃に出る……その寸前。
 真後ろからヴァレーリヤが飛びかかった。
「隙だらけですわっ!」
 短縮詠唱によって聖なる光を纏ったメイスが、ゴーレムのまるっこい頭に命中する。
 衝撃を逃がす形状と頑丈な装甲はしかし、とてつもなく強引な打撃によって粉砕された。
 爆発を起こし、うつ伏せに倒れるゴーレム。
「やりましたわ!」
 ヴァレーリヤはゴーレムの後ろにくっついていたネジをぐりぐりと外すと、頭上高く掲げた。
「この調子でおびき出していこう。フロアには部屋らしき場所もあったから、できればその辺も探索したいな」
「んっ? あっ、はい! ですわねっ!」
 このまま後五体粉砕すればクリア、と思っていたヴァレーリヤは顔を赤くして振り返った。

●オリーブ&ウィリアムペア
 ウィリアムはダンジョンへ至るまでに確保してきたネズミを放ち、通路の偵察を行なっていた。
 ゴーレムはフロア内を巡回しているという。恐らく警備目的だろう。
 であれば、わざわざ同じルートを往復せず、ぐるりと回るルートを構築しているはず。
 そのルートと進行速度を把握することで、うまい具合に風車の間をすり抜けるかのようにフロアを移動することも……まあ不可能では無いはずだ。
 とはいえネジはそこら辺に落ちてはいない。
「ゴーレムの巡回頻度を測って、少しずつ戦闘をしていくのが妥当……ってところかな。準備はいい?」
 振り向いて合図をするウィリアムに、オリーブはこっくりと頷いた。
 フルフェイスのかぶとを被っているためか、呼吸の音すらくぐもっている。
 しかしどうやらやる気はいつも以上のようで、クレイモアを強く握っていた。
「来るよ。備えて」
 ウィリアムは通路の中央で身構え、一方のオリーブはクレイモアを手に突撃をしかけた。
 これを敵対行動ととったカンパネルゴーレムは雪だるまのようなボディの腹部分から丸鋸めいたエネルギーカッターとそれを操作するためのアームを露出。オリーブへと斬りかかる。
 クレイモアとエネルギーカッターがぶつかりあい、激しい火花を散らした。
「任せたよ」
 ウィリアムはやや離れた位置からオリーブへと回復支援を送り込む。
 オリーブを盾にしつつ後衛から戦闘をする限りにおいて、ライトニングのような貫通攻撃は非常に使いづらい。全く無理ということでもないが、横幅そこそこの通路で戦闘をしているのでその辺の勝手がききづらいのだ。
 だが回復支援だけでもゴーレム一体を相手にするには充分な効果を発揮し、オリーブは見事にゴーレムを打ち倒すことができた。
「一度に二つ……それも挟み撃ちにされたらかなりマズかったけど、この調子でいけばなんとか目標数はこなせそうかな」
 オリーブがゴーレムからねじを取り出すのを見て、ウィリアムは汗をぬぐった。

●珠緒&蛍ペア
 仲間たちが続々とネジを獲得していくのを、送られてくるインスタントメッセージで把握した珠緒。
 同時に誰も戦闘不能になっていないことを把握して、ほっと息をついた。
「この分なら、全員無事に目標を達成できるかもしれませんね」
「そうだと助かるんだけど」
 蛍は緊張した様子で、眼鏡を親指と中指でおおうように位置直しした。
 珠緒と蛍は、戦術的な観点でとても似ている。
 集団戦闘において味方の損傷状態を把握しやすく、回復効率に優れている。
 であるが故に、本来はこうした屋内かつ少人数の作戦には若干弱く、かつこの二人だけでペアを組むのは不利……に思われがちだが。
「目標発見。行くわよ!」
 蛍は通路を曲がって現われたカンパネルゴーレムを視認した途端即座に走り出し、異形の教科書を放り投げた。
 ページがばらばらに分離し、再接続。分厚いライオットシールドの形状をとると、強固なフィールドを表面に展開した。
 ゴーレムが魔道ミサイルを発射。
 蛍はそれを斜めに受け流すことでやりすごすと、更に突撃。
 至近距離まで迫ったところで強く相手を見つめた。
 蛍の鋭い視線によって僅かに動きをぎこちなくしたゴーレムは、エネルギーカッターを大きく空振りする。
「桜咲さん、『そっち』は任せたわ!」
「はい……任されました」
 珠緒は喀血をぬぐった布を口に当てると、大きく息を吸い込んだ。
 途端。珠緒自身に予めつけて置いた大量の呪印が発動。凝固した血のような色をした武者鎧が、珠緒の周囲に展開した。
 通路の先からこちらを挟み込むようにして現われたゴーレムが魔道ミサイルを撃ち込んでくるが、珠緒はそれを両腕を交差させるガードによってやり過ごした。
 深く呼吸を整えながら、治癒の詠唱を続ける。
 ミサイルが連続して打ち込まれるが、うけるダメージ量よりも珠緒の回復効率のほうがずっと上だ。
 しびれをきらせて突撃してきたゴーレムに、珠緒は貫手の構えをとった。
 血の鎧が鋭く変形し、刃の形をとる。
 斬りかかるゴーレムに、真正面から刃を繰り出す――その瞬間、風邪を踏むような跳躍によって珠緒の真上を飛び越えてきた蛍が、ページの盾からシンガータのように剣を発生させてゴーレムへと突き刺した。
 ふたつの刃がゴーレムを貫き、小爆発をおこさせる。
「ふう……こんな所ね」
 蛍と珠緒。
 この二人は集団戦における効率的な回復手であると同時に、シフトチェンジによって単体で同等かそれ以上の敵を押さえ込める『抑え役』にもなれる器用さを兼ね備えていたのだ。
「すずきさん、こじまさん、探索よろしくおねがいします!」
「アンタもいくのよ、ゆりかさん!」
 彼女たちに命令され、三体の少女型ロボットはピッと敬礼してからそれぞれのゴーレムからネジを素早く回収していく。
 そうこうした後だろうか、味方から目標数の収集を終えたという報告が入ってきた。
 ネジを手に取る珠緒。
「これで最後、ですね。桜咲たちも戻りましょう」
「そうね。今回はかなりうまくいったわ」

 こうして、イレギュラーズたちは依頼された目標数の素材を獲得し、ダンジョンから撤収したのだった。

成否

成功

MVP

桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻

状態異常

なし

あとがき

 お帰りなさいませ、イレギュラーズの皆様。
 依頼された品はしっかりと納品されたようですね。ご苦労様でございました。
 お話によれば、珠緒さんが特に優れた活躍をなさったそうで。
 きっと、今回の依頼人もリピーターになってくださることでしょう。
 あまり触れてはこないことではございますが、鉄帝の人々がローレットを利用しようとすればするほど世界の崩壊は回避しやすくなりますので、とてもよいことでございますね。

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