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シナリオ詳細

炎上戦士!! バァァァァァニング・スリィィィィィィイ!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これから毎日ィ!
「放火じゃあああああああああああい!」
「「ヒーハー!!」」
 赤いモヒカンは炎の印。両手に火炎瓶や火炎放射器や松明を持った集団が、立ち並ぶ家々を片っ端から燃やしていた。
 こんなことする人が居たらまず通報するのが筋ってーもんだが、ここは練達トンデモ国家。放火くらい万引きと一緒でしょってくらいの雑な感覚によってスルーされていた。
 おびえるは家主ばかりなり。
「俺ら邪火憂斗頭クラン。炎こそが世界の理。炎をたたえよ! 全て燃え尽きよ! この世を第二の故郷とするのだ!」
「「待てぃ!」」
 かなたより聞こえるヒロイックミュージック。
 ジェット噴射でやってくる。
 三機そろってやってくる。
 彼らの名は――!

「祈りの戦士――バーニングキョーカイ!」
「実りの戦士――バーニングノージョー!」
「集いの戦士――バーニングコジーン!」

 空飛ぶ三つの建物が変形! 変形! 更に変形! ――そして、合体!
 ふとつの人型ロボットとなった建物たちは炎を吹き払って着陸した。
「「夢と希望を力に変えて! 憎き炎を吹き払う! 炎上戦士――」」
 左手を腰に当て、人差し指、中指、親指を立てて突き出すその姿勢は練達アニメ毎週深夜28時にも放送される姿そのままであった。
 さあ、皆も叫ぼう!
「「バーニングスリー!!!!!」」

「ナニィ、バーニングスリーだと!?」
「こいつシティの防衛隊にいる奴だ!」
「ええい囲め囲めィ!」
 邪火憂斗頭クランのヒーハーたちが火炎瓶を手に取り囲むと、一斉に火炎瓶を投げ込んだ。
 腕を翳して防御するバーニングスリーがたちまちのうちに炎へ呑まれていく……が! 案ずるなかれ!
「バーニングッ・サイクロン!」
 胸のBの字エンブレムを回転させると、激しい突風を巻き起こした。
 炎はたちまち巻き上げられ、ヒーハーたちもまとめて巻き上げられていく。
「バーニングッ・ファイヤー!」
 更にエンブレムを激しく発光。Bの字がそのまま炎となって放射され、ヒーハーたちが焼き尽くされていく。
「ええい、覚えていやがれ! 者ども、ズラかるぞ!」
「「ヒーハー!」」
 ファイヤーペイントのなされたバイクに飛び乗り逃げていく邪火憂斗頭クランのヒーハーたち。
 バーニングスリーは両手の指から消化液を発射し燃える家々を消化しながら、叫んだ。
「おのれ邪火憂斗頭クラン! こうも多くては消火活動で手一杯だ……だが諦めない! 必ず彼らを捕まえ、町の平和を取り戻すぞ! なぜなら私は……!」
 空に向け、目をぎらりと光らせる。
「炎上戦士! バーニングスリー!!!!」

●ここまでの話をジェスチャーを交えて聞かされた人の気持ちを考えなさいな!
「ぜえ……ぜえ……これが、練達(探求都市国家アデプト)で活動する防衛マンなのです。別の世界からやってきた正義のウォーカー戦士なのです……!」
 肩で息する『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
「最近都市で頻発する放火魔集団『邪火憂斗頭クラン』を追っているのですが、数が多い上に逃げ足が速くバーニングスリーさんひとりでは手に負えなくなっているということなのです。
 そのための追加人員として、さらっとローレットに依頼が舞い込んでいるのです」
 かなり前触れを無視してさらっと依頼書を送ってくる辺り、練達らしいといえばらしい話である。
 とはいえやるべきことは悪党退治。
 別に専門家とまでは言わないが、比較的勝手も分かる得意分野といっていいだろう。
「まずは練達の都市『プリンシパリシティ』へ行ってほしいのです。
 話は、それからなのです!」

GMコメント

【オーダー】
 邪火憂斗頭クランの撃滅と逮捕
(ぶっちゃけ生死不問。消し炭になっていても逮捕したことになる)

【シチュエーション】
 依頼人である炎上戦士バーニングスリーと合流し、シティの合同パトロールに出たところ、早速『邪火憂斗頭クラン』の集団放火事件を察知、急行するところから状況スタートです。
 練達の孤児院(あるんだね)に放火しまくっている邪火憂斗頭クランの連中を北から南から挟み撃ちにして取り囲み、今日こそ年貢の納め時だぜって具合に戦って倒しましょう。逃がさないことが何より大事。

※現場に急行し戦い始める所からスタートするため、捜索や移動にプレイングをさくと普通に空振りします。予めカットしておきましょう。

【エネミー】
・邪火憂斗頭クラン
 読み方は「じゃかうぃとず」。
 生まれ故郷は炎の世界であったらしく、リーダーの『ジャカジャカ』はもとの世界に帰れるまでは目に映るかぎりの風景を故郷と同じようにしてテンション高く過ごしたいという思想で活動しています。テラフォーミングかな?
 彼には支配した相手を自分と同じ思想に染め上げる能力があり、配下たちは感化され邪火憂斗頭クランとなっています。
 武装は火炎瓶や火炎放射器など放火に適したアイテムだらけ。
 合計人数はおよそ15。
 火力が結構なモンなので戦闘が苛烈になると思われます。

【味方NPC】
・炎上戦士バーニングスリー
 全長3メートルの正義の人型ロボ。
 三機の建物ロボが変形合体することで戦闘活動が可能になる。
 声が子○武人。真面目で実直だが不器用で空回りしやすく、いい考えが浮かぶときは大体ダメなとき(一応それは自覚している)。
 しかし仲間思いであらゆることに熱心なので普通にしているととても頼りになる。
 空が飛べることと範囲攻撃が得意なのが特徴。
 戦闘力は大体イレギュラーズたちと一緒。

【ノリと勢いのススメ】
 このシナリオはノリと勢いが全てみたいなところがあります。
 つまり登場シーンと必殺技のシーンが八割です。
 効率の良い戦闘方法は一旦脇においといて、周囲をかっこうよく取り囲みながら登場しバラバラに襲いかかる敵にとっておきの必殺技を叩き込みましょう。通常戦闘パートも忘れずにネ!
 相談掲示板での振る舞いから既にノリに入っておくと、エンジンがかかりやすくてとってもお勧めです。

【アドリブ度(バーニング)】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございますし、今回は特にバーニングします。OPのノリがそのままキャラクターに降りかかります。
 そういうの宗教的にダメなんだという方はプレイングに『アドリブNG』とお書きください。そっと描写をさけます。

  • 炎上戦士!! バァァァァァニング・スリィィィィィィイ!!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月22日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ガーグムド(p3p001606)
爆走爆炎爆砕流
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
時裏 結美(p3p006677)
妹『たち』の献身

リプレイ

●プリンシパリシティは今日も燃えている
 空を飛ぶ小さな教会。炎上戦士バーニングスリーの合体パーツの一つバーニングキョーカイだ。
 人気深夜アニメ『炎上戦士バーニングスリー』は前作バーニングコジーンの人気によってリニューアルしたアニメである。
 『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)と『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はそんなどうかしてるアニメのモデル……らしき物体の上で体育座りしていた。
「ふむ、意外と楽ちんだな。この調子ならパトロールもすぐに済みそうだ」
 同じく体育座りして語る『爆走爆炎爆砕流』ガーグムド(p3p001606)。
 先頭を飛ぶバーニングコジーンが窓らしき部分をちっかちっか点滅させながら言う。
「油断してはいけない。邪火憂斗頭クランがいつどの民家に火をつけるかわからない。充分に警戒しなくては!」
「勿論! オイラも放火魔は許さないよ! 心強い仲間もいっぱいだし、がんばろうね!」
 ぐっと拳を握ってみせる『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)。
 ジャパンでは放火は立派な犯罪だし多分練達でも結構な悪事だとは思うが、都市国家かつ管理者たちが総じてどこかぶっ飛んでいるせいで火事を些事扱いされることもしばしばである。
 勿論重大なことだと考えている者もいて、バーニングスリーがそのひとりだ。
「なるほど、今回はそういう……。わかりました。お付き合いしましょう」
 チャロロたちの様子から何かを察した『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)がこっくりと頷いた。なんだかんだで柔軟性の高い彼女である。
「目には目を、火には火を、放火魔には放火魔をぶつけんだよ、なのです」
 『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は松明を両手に持って今にも屋敷に火をつけそうな目をしていた。
 言葉の弾みで放火魔と言っているが、自覚があるのかないのかは微妙なところだった。
 ジッサイ他国の屋敷を数棟全焼させた過去があるので間違ってはいないが、あの時はフツーに許されたし。
「私も、今回は名乗りを後に回すとしましょう。おや、あれは……?」
 町を見下ろす『魔法少女インフィニティハートH』無限乃 愛(p3p004443)。
 とげとげしたバイクに跨がった一弾が道路を進むのが見えた。
「邪火憂斗頭クランでは」
「本当! このままじゃ未来のお兄ちゃんとお姉ちゃんたちが大変だね! 急がなきゃ!」
 『聖妹』時裏 結美(p3p006677)がばしばしとバーニングノージョーを叩いた。
 ぐおーんと音を立てて加速するバーニングスリー。
「彼らの放火をとめなくては。つかまっていなさい!」

●これから毎日ィ!
「放火じゃあああああああああああい!」
「「ヒーハー!!」」
 赤いモヒカンは炎の印。
 邪火憂斗頭クランのモヒカンたちは火炎瓶両手に掲げ蛮族もかくやという勢いでで民家への放火を試みていた。
 近所の人たちはまーたやってるよあいつらという顔でスルー。
 誰も彼もがどっかぶっ飛んでいるせいか善悪の境界もかなり曖昧であった。
 が、だからこそ求められている。
 自主的に戦う者が、求められているのだ!
「そこまでだ、じゃか……じゃかうぃとず」
 よく響く声に、モヒカンたちが振り返った。
「ヒーハー! 誰だ!?」
「あそこだ!」
 ビルの上で腕組みをする『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)。
 頭髪を拳の形にしてグッと見せつけると、モヒカンたちを威圧した。
大人しく捕まっておくのが、身のため、だぞ? 抵抗するのであれば、マリア達も、容赦はしない」
「ヒーハー! ひとりだけで何ができる!」
「ビルごと燃やしてやろうか!」
「おっと、一人じゃないよ!」
 空からスーパーヒーロー着地で降ってくるチャロロ。
「オイラは人呼んで炎の勇者! 罪のない人々の命や居場所を奪う悪の炎は許さないよ!」
「何ィ!?」
「罪が無かったのか!?」
「…………そ。それは知らないけど、ひとのうちへの放火は許さないよ!」
 松明を振りかざして襲いかかる邪火憂斗頭クランのモヒカンたちに、チャロロは炎を纏わせて対抗する。
 繰り出された打撃を掴み、もう一方の手で掌底を叩き込む。
「オーバーヒートバッシュ!」
「ヒーハー!?」
 そこへエクスマリアが頭髪のパンチを叩き込み、瞬間的にほどいてモヒカンを絡め取っていく。
 そこへ更に現われる妹。もとい結美。
「東に困るお兄ちゃんがいれば助け
 西に泣くお姉ちゃんがいれば慰め
 いつもニコニコ皆の這い寄る妹
 気付けばあなたの妹、時裏結美です
 妹を求める声に応じてここに参上
 助けに来たよ、お兄ちゃんたち!」
 わりかし長めの口上だったが、こういうときに待ってあげられるクランであった。
「妹だとォ!?」
「かまわん! 燃やせ!」
「ヒーハー!」
 火炎放射器を乱射するモヒカンたち。
 結美は同時到着した弥恵と共に炎の中を駆け抜け、跳躍。
「妹キック!」
「ヒーハー!?」
 アニメ等々で『妹なら兄を蹴っても良い』みたいな風習から生まれたやけに当たりやすいキックである。相手は死なない。

「まさかシティの防衛隊が増援を呼んだんじゃあないか?」
「チイ、炎の都を阻もうというのか。ここは撤退を……」
「そうはさせんぞ!」
 大地に突き刺さるように飛来したガーグムド。
「薙ぎ払われるは爆炎の如く!解き放たれるは灼熱の如く! 聳え立つこの雄々しい肉体を見よ!! バーニング・キョジーン!!」
 名乗りがそのまま咆哮となり、バイクに乗って逃げだそうとしていたモヒカンたちはバイクもろとも吹き飛ばされた。
「ヒーハー!?」
「囲まれた!?」
 そう思うのも無理は無い。別のビルの上にはフロウが、そのまた別のビルにはガスバーナーを両手に持ったクーアが着地した。
「散り逝く者に名乗る筋合いもないのですが、氷結の魔導士フロウ・リバー……炎よりも熱い煉獄への水先案内人を請け負って来ました」
「目には目を、火には火を。我が焔を以て、悪しき焔を制すのです! こげねこメイドのクーア・ミューゼル、ここに推参なのです!」
 とうっ、と言って同時にモヒカンたちへと飛びかかるフロウとクーア。
 フロウは空中でハガルのルーンを発動させると、路上のモヒカンたちへと叩き込んだ。
「灼熱終焉の時、大海の氷河を描き記す事こそ我が秘術! 来たれ、ハガル!」
 破壊の魔術によろめくモヒカンたちに浴びせられるガソリン。
 そして吹き付けられるバーナー。
「あなた方のようなチャチな火遊びでない、ホンモノの紅蓮を魅せてやるのです!!!」
「「ヒーハーーーーー!?」」
 なんかもう五回に一回は外すしついでに道路やバイクや近くの民家がおもしろいくらいに燃えていくが、むしろそれがクーアの『っぽさ』を高めていた。
「こいつらタダモンじゃねえ!」
「炎の国の住人か!?」
「いいえ、愛の使者です」
 空中で変形合体したバーニングスリーと共に、愛が勢いよく降下してくる。
「悪よりも尚強く輝く愛の光炎! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参! 孤児院を焼却する悪は、正義により消却されるが定め。愛の力で、邪悪の火種の燻るそのハート(心臓)を撃ち抜いてあげましょう」
 降下途中にありながら砲撃をぶちかます愛。
 モヒカンたちが炎と光に包まれる中、満を持して着陸するバーニングスリー。
「「夢と希望を力に変えて! 憎き炎を吹き払う! 炎上戦士――バーニングスリー!!!!!」」
 着地と同時にバーニングサイクロンを発動させると、モヒカンたちを天高く巻き上げていく。
「「ヒーハー!?」」
「ひるむな! 邪火憂斗頭クランは炎のクラン!」
 リーダーのジャカジャカは炎を噴射する刀を振りかざし、バーニングスリーたちへと振り込んだ。
「この世を第二の故郷とするまで、全てを燃やし尽くすのだ!」
「「ヒーハー!」」
 ジャカジャカに感化されたモヒカンたちが戦意を取り戻し、それぞれに火炎放射器や火炎瓶を構え尚した。

 回転しながら飛ぶ無数の火炎瓶。
 エクスマリアはそれを広い頭髪ネットによってキャッチすると、風呂敷のようにくるんでしまった。
 どうんというくぐもった音と共に、鼓動をうつように一瞬だけふくらむヘアボール。
 エクスマリアは爆発によって砕けた瓶を丸めて核にすると、ガン○ムハンマーの要領でモヒカンたちへと叩き付けた。
「我が誘いに応えて集え、解けることなき永久の氷河、最果てなき魔導の深淵! アイスエイジ・ストライク!」
 吹き飛ばされるモヒカンたちの中へ飛び込み、至近距離から凍り属性のマナスマッシュを叩き込むフロウ。
 腹に食らって折れたところへ、跳躍して拳を振りかぶる結美。
「妹パンチ!」
「ヒハァ!?」
 妹の拳はとりあえず当たるというお約束によって叩き込まれたパンチが脳天を直撃した。これに関しては死ぬ。
 フロウと結美はそれぞれ位置を入れ替わり、新たな火炎瓶を投げようとするモヒカンの顔面に拳を叩き込んだ。
 吹き飛ばされ、ビルの外壁にぶつかるモヒカン。
「逆らう者は皆燃やしだ!」
「「ヒーハー!」」
 左右からザッと集合し、集中火炎放射を仕掛けてくるモヒカンたち。
「うわっ!」
 咄嗟に剣を構えて防御するチャロロ、ガーグムド、そしてクーア。
 三人を大量の炎が包んでいった。
「熱いだろう! 苦しいだろう! 炎こそが世界の理。炎をたたえよ! 全て燃え尽きよ!」
 燃える刀を振りかざして叫ぶジャカジャカ。
 しかしクーアたちは火だるまになっているにも関わらず、炎のダメージを受けていないようだった。
「たりないのです……」
「我は炎の巨人。この程度の火の粉で燃え尽きはせんぞ!」
「えっと……そういうこと!」
 チャロロとガーグムドは拳に炎を纏わせ、火炎放射器をもったモヒカンの顔面にパンチを叩き込んだ。
 拳を中心に炎が広がり、モヒカンたちを燃え上がらせていく。
 一方でクーアは何事か理解できない言葉を叫びながら火炎瓶を投擲してきた。
 背後のビルもろとも炎に包まれ、燃え上がっていく。
「「グアアアアアアアアア!?」」
「炎に包まれて死ぬ!? ああ、これこそ! これこそが我らが世界! 我らの魂は炎と共に……!」
 歓喜の声をあげ、焼け焦げていくモヒカンたち。
 バーニングスリーはそんな彼らの様子に小さく首を振った。
「ジャカジャカに感化されたとはいえ、哀れな末路というべきか……」
「自業自得。いや、自縄自縛の末路でしょう」
 愛はマジカルサイズをライフルモードに切り替えると、先端にピンクハートのエネルギーを凝縮し始めた。
「マジカルバスター、シュート」
 ギュンと空気を貫く音がして、ビル一棟を貫通して飛んだハートエネルギー体は逃げようとしたモヒカンに直撃。周囲の建造物や道路面の巻き込んでばらばらに崩壊した。
「さあ、これで最後はあなただけですよ」
「ヒーハー……」
 ニヤリと笑うジャカジャカ。
 彼は炎が吹き出る刀を自らの顔に押し当てると、舌を出して笑って見せた。
「この俺こそが邪火憂斗頭クラン。俺の身さえあればそこがどこであろうと炎の都を生み出せる。しかし。しかしだ……」
 この場を撤退し、どこか別の場所で邪火憂斗頭クランを復興させる手もあっただろう。
 だが、ジャカジャカはそうしなかった。
 なぜならば。
「これだけの炎。逃すに惜しい! 我が魂の帰るべき、炎をよこせ!」
 ジャカジャカは刀を振り上げ、愛たちへと襲いかかった。
「いいでしょう。望み通りに――バーニングスリー!」
「うむ! バーニングッ・ファイヤー!」
 バーニングスリーが放つ炎がジャカジャカへ命中。
 その右サイドからはエクスマリアが大量のバイクの残骸を巻き込んだヘアハンマーを、左サイドからは愛がマジカルウェーブを発射していた。
 ジャカジャカの刀と腕がひしゃげるように壊れ、ついでに地面と遠くのビルが崩壊した。
 それでも潰れないジャカジャカの背後に、結美とフロウが同時に現われる。
 既に腕を振り絞っていた二人のパンチが、ほぼ同時にジャカジャカへ命中。
「我が氷の魔力、存分にお使いください」
「あふれる妹力を今ここに! 邪魔者は消えちゃえ!」
 同時攻撃によって防御もままならず吹き飛んだジャカジャカ。
 派手にバウンドし、無事な片腕だけで地面をひっかくようにブレーキをかける。
 が、そこへ飛び込むチャロロのキック。
「くらえ、極大の炎!」
 斜めに蹴り上げられたジャカジャカは炎に包まれて大きく笑った。
 仲間のカタパルトシュートによって大ジャンプしたガーグムドが追いつき、両手を組んだハンマーアタックによってジャカジャカをたたき落とす。
「愛のフィニッシュバーニング!!」
 垂直落下したジャカジャカが、ゆらりと起き上がる。
 そんな彼へ、ゆっくりと歩み寄るクーア。
 クーアは邪火憂斗頭クランの持っていた粘液燃料を頭から被り、リンのマッチを取り出した。
「同志と呼ぶのも憚られる、中途半端な悪党共! 真なる炎の美しさを知り、また来世にでも出直して来やがれなのです!!」
 クーアは自らに火を放つとジャカジャカに抱きついて共に燃え上がった。
 燃料が派手に燃え上がり、抱えていた火炎瓶その他によって爆発を起こす。
 あとに残ったのは、崩壊しまくった町と全焼した数棟のビルであった。

●これもひとつの平和の形
 まる焦げになった町の一角を、バーニングスリーは手から放つ消化液によって消化していた。
「こんなになるまで、なんで通報しなかったんだろう……」
 どこかげっそりしたチャロロに、バーニングスリーは消化液を放水しながら振り返った。
「なに、明日には元通りになる。この町に限って言えば、『壊れること』よりも『壊す人物』の方が重要なんだ。壊れたものは、また作ればいい」
「ええと……」
 価値観がぶっ飛んでいて若干ついていけないチャロロではあるが、町の破壊で傷ついたひとがいないというなら、それはそれで良いことかもしれない。
 弥恵やフロウが振り返ると、サラッと地下シェルターに避難していた住民がちらほら戻ってきては早速壊れたビルや歪んだ道路を解体しはじめ、再建の準備にかかっている。
 規模こそ大きいが、彼らにとっては『おかたづけ』の範囲なのかもしれない。
 中には邪火憂斗頭クランが喜んで死にに来るほどの炎を扱うクーアたちを珍しがって研究材料にしたがる者すらいた。
 第一声が『解剖してもいい?』だったので研究には乗らなかったが。
 孤児院(そういえばあった)から出てきた子供たちも『ありがとう、バーニングスリー! ありがとう、イレギュラーズ!』とか普通に言っていた。
「皆が無事なら、何よりだ」
「ああ……」
 ガーグムドやエクスマリアも背を向け、愛もまたクールに立ち去っていく。
 お姉ちゃんまってーといって追いかけていく結美。
 最後に残ったクーアは未だくすぶる炎を一瞥し、そして背を向けた。
 練達の町、プリンシパリシティ。
 この町は今日も、破壊と再生の中にある。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete! 

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