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シナリオ詳細

冬の終わりと春を告げる……鍋

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ブギョウ・ナベの神託
 しとしとと雨が降ったり、春風が香ったり。人によっては花粉症で苦しんでいたり。
 春の気配が濃厚になってきた、最後の締めは……
「締めは鍋だ」
 ブギョウ・ナベ(38歳・男)は居酒屋で声を張りあげる。
「寒い日もそろそろ終わる頃、矢張り此処は鍋だろう」
 力強く、繊細に。
「寒い日、暑い日、良い日も悪い日も、なんでもない日も。そこには鍋がある」
 吟遊詩人が物語を謳いあげる様に。
「最初に鍋があり、最後に鍋がある」
 あるいは、神の言葉を告げる預言者の様に――
「さあ、諸君――」
 ブギョウ・ナベの言葉に居酒屋の皆が目を見張って、息を飲んで、言葉を失って。ただ、聞くしか無かった。
「最高の鍋を食しようではないか」

●具材はやっぱりシンプルに
「皆さんが美味しい鍋を食べたいらしいのです。その人数は無視出来ない程なのですよ!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が告げる。
 鍋。
 確かに食欲を唆られるが、そんなに美味しいものなのだろうか。
「なんでも、ブギョウ・ナベさんはカリスマ的お鍋を作るそうなのですよ。その美味しさの前では皆がひれ伏す程らしいのです」
 それはなにか違法なものが混ざっていないのか。新興宗教めいた雰囲気を感じるが、ユリーカは気にせず読上げた。
「それで、冬の締め、春の訪れに相応しい鍋の具材に、カニをご所望なのです、カニと言っても普通の蟹じゃないのです。タバーラガニと言う、大きくて強くて身が引き締まった、凶暴な荒くれものを10匹捕まえて欲しいそうです」
 タバーラガニ。タラバガニの突然変異と言われる、巨大な陸地に存在するカニの一種だと言う。その凶暴さから、食用には適していないとされるが、ブギョウ・ナベ曰く、「この時期が今まさにタバーラガニの旬」だそうだ。
「美味しいお鍋の為に、頑張って下さいなのです!」
 ユリーカはお腹が空いたらしく「ボクも食べたいのです……」と漏らしていた。

GMコメント

●成功条件
 タバーラガニ×10の捕獲。
 生死は問わずですが、木っ端微塵にすると具材になりません。また、鮮度が良い方が美味しいです。

●敵
 タバーラガニ×10+α
 素早く硬い甲羅を持つ巨大カニです。ハサミで挟んできます。
 誘い出したりするやり方や場合によっては目標数の10匹以上を相手にする事になるかもしれません。

●状況
 普通の森林です。タバーラガニは雑食です。数体の群れで行動します。10匹以上の群れを見つけるか、2個以上の小さな群れを相手にするかは皆さんにお任せします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 冬の終わりと春を告げる……鍋完了
  • GM名江戸崎竜胆
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月26日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
華懿戸 竜祢(p3p006197)
応竜
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)
戦う料理人

リプレイ

●蟹鍋思う故に我あり
 ほーう、ほーう……
 何かの鳥がなく森林地帯。タバーラガニの住むと言う森の中、8人の勇者が集った。
「蟹鍋! 悪くない! 身がぎゅっと詰まったやつをお腹一杯食べたいね」
「寒い冬は嫌だったけどぉ、お鍋と熱燗の組み合わせは最高だったのよねぇ……」
『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)と 『宵越しのパンドラは持たない』アーリア・スピリッツ(p3p004400) がそう話していた。マルベート等はワインを数本持ち込み、既に蟹鍋で飲む気満々だった。
「鍋……鍋でござるか。良いものでござるよな。料理としては比較的簡単な部類でありながら、様々な具材が織りなす複雑な味わいは筆舌にしがたいものがある。また栄養面から見ても、一度に複数の食物を摂取でき、体を温める効果もあるので、身体作りにはとても良いとされている。そして蟹! ご馳走の王道でござるな。刺身でも良いが、シンプルな昆布出汁での蟹しゃぶ、あるいは醤油仕立ての蟹すき鍋、いやいや蟹の味噌も加えた味噌仕立ての鍋も捨てがたい……返せば、カニを食べたのなんて何年前でござろうか。貧乏ローニンには夢の食材でござる」
 そう遠い目をしているのは『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)。蟹鍋に思いを馳せて意識が違う世界に行ってしまっている。
「タラバガニ(ヤドカリ下目)が、突然変異してカニに、ねぇ……へぇ……へぇ……ふーん…………裏切者……これ完全にヤドカリへの裏切りだよねぇ……全部悪いのはカニだねぇ…カニ許すまじ……鍋死決定……」
『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)が裏切り者の成敗を心に誓う。
 他の面々も美味しい蟹鍋にそれぞれ楽しみだと活気良く話している。
「くくっ」
『応竜』華懿戸 竜祢(p3p006197)がそんんな一同を見て、喜悦の笑みを浮かべた。
「やはりいつの時代も食とは人々の心を惹きつけて止まぬ物だな。あぁ、現に同じ目的の元に集った皆が一様に輝いているよ。実に素晴らしいなぁ! だがまだだ、お前達なら今以上に強く輝く事が出来るはずだ! くくっ、そのためならば私も尽力しようじゃないか」
 蟹鍋、食べたい団。此処に馳せ参じた。

●カニ捜索開始
「まず、タバーラガニの生態だが……」
 リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)がモンスター知識により把握している情報を皆に教える。タバーラガニの好む環境、好む餌、等を皆が興味深く聞いている。矢張り元がタラバガニなので、水のあるところを好む。餌は雑食だが動いているものを追いかける事が多い。大きさが大きさなので高カロリーのものを好む。
「ファットマンズカロリーとか撒き餌にいいかも……]
 超高カロリーの栄養食をリリーが取り出す。
「所詮カニの考えとか、ヤドカリには筒抜けなんだよねぇ……」
 薄らと笑うリリーに、他の面々が声を上げる。
「マルベートやアーリアと手分けして、ファミリアーで探索しようと話している。水辺の探索は任せてくれ」
『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)がそう切り出す。
「ファミリアーで小鳥を召喚、カニ探しを手伝ってもらいましょ~」
 同じくファミリアーを持っているアーリアがふんわりと提案する。
「そうだな、私も鳥系かな。動くものを追いかける習性を上手く使えば誘導出来ると思う」
「私は〜超視力があるから上空から探してみるわ〜。見つけたら前を飛んで餌だ! って追いかけさせてみるわ」
「小鳥が可哀想だから、タバーラガニに捕まらないようにな」
「ウィリアムくん、勿論よぉ。小鳥ちゃんに後で蟹のお裾分けするから宜しくね〜って頼むもの」
 ファミリアー持ちのウィリアムとアーリアはその方向性で行く事にほぼ決定。
「では、私は地上から探すとしよう。動物疎通と信仰蒐集で周辺の動物達に協力を呼び掛ける」
『暴食の守護竜』ヨルムンガンド(p3p002370)の作戦はこうだった。
 動物達からカニの縄張り、巡回ルート、群れの規模の情報を集める。得た情報は他の情報収集してる皆の情報と合わせ、戦闘する群れや大量に相手をし過ぎない様な布陣を決める。
 大規模な群れを同時に相手しすぎないように戦闘時に群れ同士が離れる様に誘導する。
誘き寄せたい群れの縄張り近くに餌を置き、動物疎通で動物達に協力(囮)をして貰って誘導。
「リーリアの知識から、餌は超高カロリーのファットマンズカロリーが良いだろう。リリー、貸してくれるか?」
「……勿論だし……裏切り者を鍋の具にするには提供するっしょ……」
「決まりだな」
 どの程度の群れを狙うか、班分けはどうするか、少々揉めたが、皆の意見は「目指せ10匹以上!」なのは一致している。
「10体とは言われたが、本当に10体で満足か? お前達の輝きはその程度で終わりはしないはずだ!」
 とは、竜祢の談。
「最低目標は10匹だけど、余裕がある限りはどんどん狩って、ブギョウ・ナベさんの鍋を沢山食べられるようにしようよ! それと、個人的に後で刺身や焼きガニにして食べたいし、1匹くらいは余分に狩って持って帰っても良いよね?」
 と、リーリアも乗り気で賛同する。
 鮮度の問題等考えるに、生け捕りを出来る能力の者も限られて来る。結局、「戦闘しなさそうな5匹程度のなるべく大きな個体の群を2つ。小さな個体の多い2〜5匹の群を1つ。全員で固まって行動する」で纏まった。
 そして、捜索の結果、水辺に丁度良さそうな群を発見。作戦通り、それぞれの群を同時に相手にしないように離して、狩りを開始した。

●蟹退治
 わさわさわさ……
 集まった巨大蟹に、そっと事前にリーリアが教えたタバーラガニの弱点を狙うようにと指示をする。
「甲羅はかなり硬いから、タバーラガニの弱点は関節部や腹! ハサミは脅威だけれど、逆にそれさえ注意すれば問題ないよ!」
「蟹という生物に関しては事前に調べた。奴らはハサミこそ驚異だが、足を失うと途端に機動力を失うと見た。タバーラガニもそうなのだな。ハサミも美味のようだな、不用意に破壊するべきではないな。ならば、狙うべきは足の関節部だ。そこを叩き斬るのが最も損害が少ないはずだ」
「海の蟹も、さばく時は関節を目印にするものでござるしな。脚を切り落とせば、敵の機動力な攻撃手段を削ぐ事もできるので狙う価値はあろう」
 竜祢も下呂左衛門も、タバーラガニの生態には詳しくないものの、蟹の生態にはそれなりの知識があるらしく、再度弱点を確認していた。狙うはまずは脚の関節部分。それと腹。
 リリーが、気配遮断して木に登り、タバーラガニの群の上から奇襲を掛ける。
「これがヤドカリバサミの力……」
 がちん、と群の1番大きいタバーラガニの脳天にバールを直撃させて、混乱した群に他の面子が突っ込む。
 マルベートが手頃な蟹に睨みを利かせつつ接近し、状態を崩したタバーラガニに喰らいつく。身の危険も顧みずに、自身の再生能力を武器にごりごりと腹から咀嚼して行く。
 マッドネスアンガーで身体能力を強化したリリーがバールで手当たり次第に腹を叩き割ってタバーラガニを弱らせて行く。
 流石にそれだけでは危ないと言う判断の元、唯一の回復支援能力を持つウィリアムが回復に回り、的確に支援して行く。
「数を狩るためにも出来るだけ万全の調子にしないとね」
 下呂左衛門とヨルムンガンドが前衛に出て、名乗り口上で注意を引き付ける。二人の方へマルベートが相手をしていないタバーラガニはそちらの方へ注意を向ける。下呂左衛門が一刀両断に脚を切り落とせば、タバーラガ二の機動力は格段に落ちる。
「味に影響するかもしれないので、多数を相手にする技は使わぬ。それから時間をかけるのもマズそうだ。攻めは一気呵成に参ろう」
「了解だよ!」
 ヨルムンガンドが夜竜の体術で機動力を無くしたカニを弱らせて行く。トドメはドラゴンプレッシャー。殺さず生け捕り狙いで美味しく食べるには鮮度が大事なのを気にして、完全に弱らせる。
 リーリアも剣戟で関節部位を狙い、ハサミを切り落として、接近戦になったら腹を思いっきり蹴りあげる。
 竜祢は美味なハサミに仕掛けるのを避けて、足の関節部分を叩き割る。素早く動くタバーラガニがよろめいて動きを止める。一撃で切断された脚に機動力を失ったカニは格好の餌食になる。
 弱ったカニはアーリアのフロストチェインで氷漬けにされて、鮮度を保ったまま、倒される。
 マルベートが持ってきた丈夫なロープと、ヨルムンガンドの持ってきたワイヤーで暴れないように縛り上げて行く。
 少し余った破片はリリーが集めておく。
「ダシぐらいにはなるっしょ……」
 一つの群はこう、簡単に倒せてしまった。
「お前達にまだ継続して狩り続ける意思がある限り、私はいつまでも付き合おうじゃないか!」
 竜祢が更なる闘争を煽り、次に向かう群に8人は走る。
 こうして、タバーラガニの群は一網打尽にされた。

●ブギョウ・ナベの鍋奉行
 グツグツ……
 蟹鍋の煮える良い匂いが居酒屋中に広がる。ブギョウ・ナベの本領発揮と言ったところか。それはもう、官能的とすら言える芳香を放ち、いくつもの巨大鍋を同時に手際良く作っていったのを、居酒屋に集った者は目を見張る様子で見ていた。
「魔物の巨大カニ、そういえば元居た世界でも何度か食べた事あったなぁ。あの時の巨大カニは見た目のインパクトに似合わず上品な味だったっけ。流石に同じ味ではないと思うけど、きっと美味しいに違いないね」
 リーリアが期待を持たせる発言をして、一同の腹の虫が鳴る。
「料理を嗜む者としては色々手出しをしたくもなるけど、ここは依頼人の腕を信じて調理を待とうか」
 マルベートも期待を込めてそう発言する。
 ブギョウ・ナベが一つの巨大鍋をおもむろに運ばせると、酒宴の準備をしている8人の元へとやって来た。
「食を求めし勇者達よ。お前達のお陰で冬の締め、春の訪れを招く最高の鍋が出来た。たんと味わうが良い」
 グツグツと煮える鍋の蓋を開けると、そこには赤く染まった巨大蟹が丸ごと入っていた。
「カニ味噌は……カニ味噌はどうか拙者に!」
「私の分などそれなりで良い。私は十分に(輝きを)堪能させてもらったさ。気にすることはないとも」
 下呂左衛門が思わず懇願すると竜祢が遠慮しようとするのに、ブギョウ・ナベは軽く頷く。
「安心せよ。タバーラガニのカニ味噌は数人でたらふく喰える量が詰まっている」
 至高! これぞまさに至高の蟹鍋!
 そんな言葉を思い浮かべて、下呂左衛門がくらりとめまいを起こしそうになる。
「美味しい料理には美味しいワインがなくてはね? 持ち込んだワインとも合わせて色々と楽しんでみよう!」
 マルベートが持ってきたワインを数本並べると、アーリアがニホンシュを並べる。
「待ってましたお鍋! そしてお酒!! マルベートちゃんがワインなら、私はニホンシュを持参よぉ」
「カリスマ的な美味い鍋かぁ……そんなに美味しい鍋なら……私も食べて、本当に平伏したくなるかどうか気になっちゃうな……! ふふ、暴れた分いつも以上にお腹が空いた感じするし……カリスマ的お鍋を堪能させてもらおうじゃないか……!」
 ヨルムンガンドが早速手を出そうとすると、他の面々も鍋に集ってワイワイと鍋を囲んであるいは酒を手に、あるいはカニ味噌を啜り、あるいは殻ごと(ヨルムンガンドだけだが)、蟹鍋を味わい、その美味さに衝撃を受けていた。
「これがカニバサミにはない、ヤドカリバサミの力なんだよねぇ……思い知った……? 思い知れ……鍋の蟹……このメンバーで、お酒飲めないのあたいだけだし……あ、でも美味しい……蟹、美味しい……」
 リリーが未だにヤドカリを裏切ったタバーラガニへの怨念を呟きつつも、その味には感嘆の声を洩らす。
 少量を取り皿に取り、満足そうに味わっている竜祢がそんなリリーにフォローを入れる。
「アルコール類は飲めるクチではあるのだが……如何せん『肉体が未成年』だ。二つ返事で飲むわけにもいかんよ。実年齢? くくっ、まぁそこらの人間よりは長い……かな」
「身体を動かした後には、染みるわねぇ……いい冬だったわぁ、今年も」
 アーリアがニホンシュを片手に機嫌良く鍋をしみじみと食べる。
「皆で頑張っただけあって素晴らしい鍋だね。幾らでも食べられそうだよ! 今回は蟹だったけど、機会があれば他の鍋も食べてみたいな。また皆でね」
 ウィリアムがそう締め括るように皆と話していると、ブギョウ・ナベは満足そうに頷いた。
「そなたは、今、鍋の真髄を見極めた……そう、鍋。その本当の美味さは、皆との絆にある。さあ、居酒屋の皆も、勇者達に感謝をしつつ、頂きます、だ!」
 明るい酒宴は夜が更けるまで続き、楽しい笑い声が絶えない鍋パーティーとなったと言う。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 春ももう来ているのに寒い日が続きますね。こんな日はお鍋はいかがでしょうか。

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