PandoraPartyProject

シナリオ詳細

契約違反者にはそれ相応の制裁を。
契約違反者にはそれ相応の制裁を。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


『レッドウルフキングス』。幻想国内の辺境に位置するとある小さな町の中で幅を利かせる、メンバー数20人弱のチンピラの集団である。少なくとも本人たちはギャングを自称しているが。
 彼らはこの小さな町の片隅に放棄されたとある没落貴族の廃屋敷を占拠、拠点としており、毎晩の様に馬鹿騒ぎしている。
 普段は滅多に客が来ることも無いのだが、この日は珍しく遠方からの客が訪れていた。
「あぁ? 何だって? よく聞こえねぇなぁ……もう一回言ってみろ」
 レッドウルフキングスのリーダーである大男、ルドルフは、埃を被った椅子に優雅に腰かけている目の前の客に厳つい視線を投げる。
「貴方様は我が主カラック卿から多額の金を借りております。そしてその返済期日はとうの昔。こちらから返済を促す手紙をいくつか送らせて頂いたのですが、返事は無し。ですので、カラック卿の使者としてわたくしが出向いたという訳でございます。速やかに即金で。お支払い願いますか」
「断る。そもそも俺は金なんか借りてねぇよ。そもそもそのカラック卿とかいうジジイの事も知らねえ」
「はあ、カラック卿は知らねえけどジジイだという事は知ってらっしゃるんですか、なるほど。まあそれは置いておいて、契約書もバッチリありますので。もし現在の貴方様の支払い能力に難があるという事でしたら、こちらからいくつかの仕事を提示させて貰い、そちらを完遂して頂く事で借金をチャラにする事も出来ますが? 額が額ですので危険な仕事になりますが、バックレるよりはよろしいかと」
 淡々と言葉を続ける客、カラック卿からの使者の態度に嫌気が走ったのか、ルドルフは目の前の机を勢いよく蹴り上げた。
「しつけえ野郎だな!! 俺は借りた覚えのねえ借金を返す気も、ましてはてめえみたいにスカした野郎が持ってくる仕事をするつもりもねえ! さっさと失せやがれ!!」
「……では、返済する気はないと。『カラック卿からの借金を返す気はない』と。そういう事で間違いないですね?」
「くどい! これ以上続ける気ならてめぇの頭をかち割って、死体をあのジジイの所に送り付けてやる!」
 そう言って愛用のスレッジハンマーに手をかけるルドルフ。周囲に立ち様子を見守っていた他のチンピラ達も、それぞれ武器を構え使者を取り囲む。
「ふう……分かりました。今日の所はこれで消えましょう。ちょっとそこ、退いてもらえます?」
 やれやれと立ち上がった使者は、自身を取り囲んでいたチンピラ達をそっと押しのけ、優雅な動作でその場から立ち去っていく。
「あのジジイに伝えておけ!! 次またこんな使い走りを送りやがったら、今度は生きて返さねえってな!! 俺みたいな野郎に金を貸してマトモに返ってくると思ったてめえの馬鹿さ加減を呪いやがれ!!」
 使者の背にそう投げかけるルドルフ。使者からの返答は無く、そのまま屋敷から姿を消した。
「馬鹿は貴方でしょうが……折角別の手段まで提示してやったのに……どうなっても知りませんよ?」
 使者は1人吐き捨てながら馬に乗り、カラック卿の元に報告へ向かうのだった。


「……という話なんじゃよ、イレギュラーズ殿。ほんとありえんよなぁ、人に金借りといて返す気ありませんって。わしそういうのが一番嫌い!!」
 幻想国内の貴族の1人、カラック卿。青年時代から多くの合法的あるいは超非合法的なビジネスを多数手がけて財を増やし続け、その余りある財力でめっちゃ沢山の趣味を持つ御年99のおじいちゃんである。
 そんなおじいちゃんカラック卿の手掛けるビジネスの1つが、金貸し。その日暮らしをしている平民から没落寸前の貴族まで。幅広い相手を顧客とし、ちゃんとした銀行とかよりは高いけどそこらの闇金よりは低い程度の利子で、大幅な利益を上げているビジネスの1つである。
 そしてこの日、そんなカラック卿が多数の護衛を引き連れ、ギルドローレットまで足を運んでいた。
「ぶっちゃけ、あのデカブツのルドルフに貸した金自体は、大した問題では無いんじゃけどな。あんなもん、はした金よ。一番の問題は、わしがめっちゃ舐められてるって事なんじゃ! これはビジネス的な面でもわしのプライド的な面でも非常によろしくない! レッドウルフじゃかなんだか知らんけど、あんな寂れた町でいきがってる若造共に舐められるなんぞ、あってはならん!!」
 そういった訳で今回カラック卿が持ってきた仕事は、レッドウルフキングスのリーダーであるルドルフからの借金の取り立てである。
「まあ取り立てといっても多分デカブツは借金を返済できる程度の金は持っておらんじゃろうから、デカブツをわしの屋敷まで連れてきて欲しいぞい。恐怖を植え付けて素直に従わせるなり、縄かなんかで縛り上げるなりして。その後どうなるかは秘密じゃがの。カッカッカ!!」
 ルドルフに関しては殺さず生きて捕えて欲しいが、他のチンピラ達に関しては邪魔なら殺してしまって構わないとカラック卿は言う。
「債権者はルドルフ1人じゃからな。他はどうでもええわい……あ、現地まではわしの執事に馬車で送らせるからの。そんで帰りはルドルフを荷台に突っ込めば、誰かに見られる心配もないじゃろ」
 そう言って、カラック卿はイレギュラーズ達の顔を見回した。
「そんじゃ、頼んだぞい。細かいやり方は任せるわい。どう奴らに接触するかもの。身の程知らずの阿呆に、己の立場ってもんを分からせてやるのじゃ!」

GMコメント

 のらむです。借金まみれの大男をふんじばってきて下さい。

●成功条件
 ルドルフを生きたままカラック卿の元へ連れ帰る。

●レッドウルフキングス構成員
 20人弱のチンピラ集団。戦闘能力はかなり低く、警戒心も薄い。
 釘バットや鉄パイプ、ナイフ等の武器を使い戦う。
 拠点としている邸宅の各所で、酒盛りしつつ騒いでいる。

●ルドルフ
 レッドウルフキングスのリーダー。3メートル近い巨体と、真っ赤なコートがトレードマーク。
 スレッジハンマーを愛用し、タフな肉体を駆使した力任せな戦闘を得意とする。
 かなり怒りっぽく、調子に乗りやすい。屋敷内の何処にいるかは不明。

●廃屋敷
 レッドウルフキングスの拠点。3階建ての廃屋敷。
 正面扉、裏口、窓など、侵入経路は様々。鍵はかかっておらず、侵入を警戒した見張り等も配置されていない。
 建物の内外に多くの落書きがされており、酒瓶等のゴミも散乱している。

●馬車と執事
 依頼達成の為、カラック卿から十分な大きさを持つ馬車が1台と、運転役として執事を1人託されている。
 なので現地までの移動と、捕えたルドルフの身柄の移送に関しては特に気にする必要はない。
 ちなみに執事はOPにて借金の催促をしていたスカした男。名前はエドガー。

 以上です。皆様のご参加、お待ちしております。

  • 契約違反者にはそれ相応の制裁を。完了
  • GM名のらむ(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月24日 21時00分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
カイン・ルディム・スティレット(p3p000739)
アレフ(p3p000794)
堕ちた光
オロディエン・フォレレ(p3p000811)
盗賊のように抜け目ない
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
サメ召喚士
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
セレン・ハーツクライ(p3p001329)
虹彩の彼方
エルヴィール・ツィルニトラ(p3p002885)
銀翼は蒼天に舞う

リプレイ


 レッドウルフキングスが根城とするとある没落貴族の廃屋敷。現場に訪れたイレギュラーズ達は、下品な落書きと下品な笑い声に溢れるこの屋敷の傍まで到着していた。
「呑気なもんだな……時に契約ってのは命よりも重くなるんだぜ。反故にするなら、それ相応の覚悟をする必要がある、ってな……命知らずのチンピラ共に教えてやるとしようぜ」
 多少手荒な教育方法になるかもしれないけどな、とカイン・ルディム・スティレット(p3p000739)は続けて言った。
「私も商売人として、踏み倒しっていっちばんムカつくんだよね! そういうやつって船に乗せたり地下王国に送ったりしたくなるよね!」
 ちょっと後半部分は何を言ってるのかよく聞こえなかったがとにかく、『盗賊のように抜け目ない』オロディエン・フォレレ(p3p000811)はそう言った。ローレットでカラック卿と対面した際も、商売人同士かなり気が合う様子で、ビジネス話に華を咲かせていた。
「約束、まもる、だいじなこと……。今回もお仕事、がんばります……」
 『虹彩の彼方』セレン・ハーツクライ(p3p001329)はカインとオロディエンの言葉にコクコクと頷き、そう呟いた。
「それでは予定通り、超頑張って飛行するであります! しっかり掴まるでありますよ、リゲル殿!」
 『銀翼は蒼天に舞う』エルヴィール・ツィルニトラ(p3p002885)は自身の愛剣を一旦手放し軽量化を行うと、同じく武装を解除した 『銀閃の騎士』リゲル=アークライト(p3p000442)をガッシリと抱え、大きな翼を羽ばたかせながら飛行を開始した。
 移動速度も最大高度も防御技術も超激減し、非常に不安定な状態ではあったが、チンピラ共が注意力散漫かつ警戒心ゼロな事が幸いして邪魔は入らず、徐々に徐々に高度を上げていく。
「それなりに時間がかかりそうだな……だがこのまま見つけてくれれば、私は芸術の神から見放されている事実を再認識せずに済む。彼等には頑張ってもらいたいものだ」
 仲間との連絡用に持参した笛をクルクルと手元で弄びながら、『特異運命座標』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)は呟いた。
「あ、そうなったら隠密じゃなくなるのか。でもどっちにしろ頑張るぞー! 私のカリスマ性をアピールするチャンスには変わりないし!」
 果たして『サイネリア』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)のカリスマ性は本当に発揮されるのか。こうご期待。
「ルドルフはどこだ? 3メートル近い大男が、事前準備も無しに身を隠せるとは……あ! 見つけました、エルヴィールさん! 重かったですよね、すいません。もう降ろして大丈夫です!」
「や、やったでありますな、リゲル殿……ゼエ、ゼエ……ようやく息が出来るであります……」
 エルヴィールに抱えられて浮遊し、透視能力を駆使してルドルフを探していた『銀閃の騎士』リゲル=アークライト(p3p000442)。屋敷内には多くのチンピラが居たが、大男ルドルフの巨体は一際目立ち、居場所を特定する事が出来た。
「よし、上手くいったな。これで探索の手間が省けた。ならば早々に、この屋敷の今の主にご対面するとしよう」
 地上に降下した2人に外していた装備を手渡し、『堕ちた光』アレフ(p3p000794)は仲間に呼びかける。
 出だしは上々。後はルドルフの元まで向かい、大人しくお縄についてもらうだけだ。


 その後、イレギュラーズ達は屋敷の正面口まで訪れ、屋敷の中に侵入した。目指すは屋敷の二階――遊戯室だ。
 透視によってタイミングを見計らった事で、入り口付近は難なく突破。そのまま正面の大階段を昇り、2階に到着した。
「んぁ? なんなんらお前ラブゲッ!!」
 すると酔っぱらった1人のチンピラが酒瓶片手にフラフラと近づいてきたが、数の暴力で文字通り一瞬で蹴散らした。その物音に気が付いたチンピラも居た様だが、その時には既にイレギュラーズ達は遊戯室の前に到着していた。
 そして迷いなく扉を開け放つと、そこにはビリヤード台に腰かけ酒を飲むルドルフと、数人の取り巻きの姿が。
「……あぁ? 誰だお前ら。 今日は客を呼んだ覚えはね――」
 ルドルフの言葉を遮るように、何処からか放たれた巨大な魔力の奔流がその顔面に直撃する。ルドルフの身体は大きく吹っ飛ぶと、床の上に強く叩きつけられた。
「お前にとっては招かざる客だろうな、ルドルフ。ツケを払う時が来た。もう逃げられはしないぞ」
 問答無用で攻撃を仕掛けたアレフが坦々と言う。突然の出来事に取り巻き達は一瞬唖然としていたが、すぐに武器を取りイレギュラーズ達と相対する。
「な、いきなり現れてルドルフさんに何しやがる!」
「それ相応の行為だ」
 チンピラが釘バットをアレフに向け振りかぶるが、アレフは大鎌を軽く振るい、釘バットを弾き返した。
「カラック卿の使い、って言えば分かる? 君には私たちについて来てもらうけど……そのまえに少しお仕置きしちゃうよ!」
「カラック……あのジジイか! ふざけた真似しやがって! 遠慮はいらねえ、全員殺しちまえ!!」
 オロディエンの言葉にルドルフは激昂し、取り巻き達に命令する。そして1人のチンピラがナイフ片手にイレギュラーズ達に接近するが、
「おっと! そう簡単にやらせないよ! 私の魔弾は一味違うから、覚悟してね!」
 すかさずオロディエンはスリングショットを構え、魔力を込めた弾丸を放つ。その精確な一撃はチンピラの額に直撃した。
「始まったわね……それでは私も、僭越ながらお相手させてもらうわ」
 スティアはスカートの裾をつまみ、優雅に一礼する。汚れた戦場には似つかわしくない動作だが、逆にそれがいついかなる時でも己を崩さない的なカリスマ性が滲み出ていた。
「おらぁ! 死ねや!!」
「それは難しいわね」
 直後、チンピラが突き出したナイフをスティアは舞うような動作で綺麗に回避。そのままチンピラの背に手を当てると電撃を流し込み、チンピラは気絶して倒れた。
「な、なんだこいつら……かなり強いぞ……」
「怯むんじゃねえアホ共! 直にこの騒ぎに気付いた他の連中が来る! そうすりゃこいつら袋の鼠だ!!」
 ルドルフはスレッジハンマーを大きく構えると、大きく振りかぶり突撃する。
 直後、固い金属音が響いてルドルフの動きが制止した。ルドルフが振り下ろしたスレッジハンマーを、リゲルの大楯が受け止めたからだ。
「大口を叩いた割にはこの程度か、ルドルフ。我が隊を打ち倒し。我を通すのだろう? それが出来ないならば、口先だけの腰抜けルドルフと未来永劫語りつくそうか?」
「て、てめえ……!!」
 リゲルの挑発に、ルドルフは目を剥き歯を食いしばる。だがそのままリゲルに盾で押し返され、ルドルフはよろりと僅かに後ずさる。
「そもそも数で上回りさえすれば勝てると思っているのかね? どうやら君には学ぶべき事が多い様だ……」
 その一瞬の隙を突き、イシュトカはルドルフの側方から接近する。1人のチンピラがルドルフをかばう様に立ちはだかったが、イシュトカはすぐに目標を切り替え、手にした杖に魔力を込めていく。
「敵に回してはいけない人物も世の中に存在するし、威張ってみたところで自分の身の丈は一寸も変わらない。そろそろ君達は、その事を理解すべきだ」
 そしてイシュトカはチンピラの足元に杖を叩きつける。するとそこから突如として激しい旋風が巻き起こり、チンピラは錐もみ回転しながら頭を天井に叩きつけられた。
 その直後、遊戯室の外からドタドタと足音が聞こえてきた。異常を察知した数人のチンピラ達が姿を現し始めたのだ。
「遅ぇぞてめぇら! こいつらを囲んで、殴り殺せ!!」
「おーおー、雑魚共がわんさか湧いて出てくるな。だけど邪魔すんなら、1人残らず捻りつぶしてやるぜ!」
 カインはルドルフを庇う邪魔なチンピラに狙いを付け、一気にその懐まで接近する。
「な、てめ……!!」
「そんな温い攻撃がオレに当たるとでも思ったかァ!?」
 咄嗟にチンピラが突き出したナイフを軽く蹴落とすと、カインはそのまま跳躍の勢いを乗せた膝蹴りを顎に叩き込む。よろめいた所にシメの回し蹴りを顔面に放ち、チンピラは白目を剥いてドサリと倒れた。
「クソ! クソ! なんなんだてめぇらは!?」
 増援が来たにも関わらず、イレギュラーズ達は構わず戦闘を続け、着実にチンピラの数を減らしていく。
「新しく新調した、この銃の試し撃ち、してみよう……」
 まるで辻斬りの様な発言だが、相手が相手故に容赦は必要ないだろう。セレンは傷一つない魔力銃に己の魔力を込めていく。
「ガキが銃なんざ持ちやがって! そもそもここはお前みたいなお子ちゃまが来る場所じゃ無」
「こう、かな……ちゃんと当たるといいんだけど……」
 チンピラの発言を聞き流している、あるいは聞いていながら特に何も感じていない様な表情で、セレンは引き金を引いた。
 銃口から放たれた赤い弾丸がチンピラに着弾すると、弾丸が鮮やかな火花を散らして弾け、チンピラの全身を焼き焦がした。
「グ……!! このクソガキがぁ!!」
「させないであります!」
 全身が焦げ付いたチンピラがセレンを睨みつけ鉄パイプを構える。しかしチンピラが攻撃に出るよりも早く、エルヴィールがその背後に回り込んだ。
「殺す気は無いでありますが……しばらく大人しくしてもらうであります!!」
「グ、グエ……!!」
 背後を取られたチンピラは成す術も無く、エルヴィールに組み付かれる。全身の自由が奪われた所にギリギリと首を締め上げられ、チンピラは泡を吹きながら失神した。
「ま、こんなもんでありますな。正義の鉄槌は、誰にも止められないのであります!!」
 パンパンと手を払い、再び身構えるエルヴィール。
「チッ……!! この役立たず共が!」
 次々と倒れる部下達に毒を吐き、ルドルフはイレギュラーズ達に殺気の籠った視線を投げるのだった。


「くそ、訳が分からねえ……なんでこいつらは倒れないんだ?」
 最初のアレフの一撃以降、ルドルフは部下たちに護られ続けたおかげで全くダメージを負っておらず、威勢を保ち続けていた。
 しかし一方のチンピラ達は、全く倒れず猛攻を続けるイレギュラーズ達にかなりの危機感を覚えていた。
「……頃合いか」
 アレフはそんなチンピラ達の動揺を察知し、語りかける。
「聞け。私達としてはこれ以上、事を荒立てたくはない。我々の目的は飽く迄も君達の首領だからね。君達を相手にする理由は、その目的を邪魔するからに過ぎない」
 戦いの最中、頭に血に上った者達が敵の言葉に耳を傾ける事はとても珍しい。だが何故かチンピラ達は、不思議とアレフの言葉を真剣に聞いていた。
「君たちにとって幸いな事に、今回集まったメンバーは優しい者ばかりだ……だが、」
 アレフの目的を察したのか、ルドルフがスレッジハンマーを振り上げ声を張り上げる。
「おい、てめぇ何の真似だ!! それ以上続けるなら……」
「邪魔をしないでくれるかしら。私たちは貴方ではなく、『彼等』と話しているのよ」
 そんなルドルフの言葉を遮るように、スティアは魔弾を放ち牽制。アレフはそのまま言葉を続けた。
「だが、そうで無い者もいる。私もその中の1人だ。このまま戦いを続けるのならば、我々は君達を殺さざるを得ない状況に陥るだろう…………」
 ここでアレフは一呼吸入れ、チンピラ達を見据えた。思わずチンピラ達が息を呑む。
「選べ。死か、生か」
 チンピラ達の動きが止まった。明確に、迷いが生じている。この語りかけの説得力もさる事ながら、彼らは間近でイレギュラーズ達の強さを目の当たりにしているのだ。
 ここで最後のダメ押しを、と。スティアが一歩チンピラ達の前に進み出た。
「死にたくなければ立ち去りなさい。逃げるなら命までは取らないわ。既に気絶している彼らの命もね。ルドルフ以外に用はないから」
 これもチンピラ達からすれば敵の言葉だ。信用出来る根拠など無いに等しい。だがこのスティアの言葉にもまた、信じさせられるような何かがあった。
 これで決まった。最初は迷っていたチンピラ達だが、次々と武器を手放した。
「す、すまねえルドルフさん。俺たちもまだ死にたくねえんだ!!」
「ハ、ハァ!? 待ちやがれてめぇら、逃げやがったら後で酷い目に……」
「酷い目に合わされんのはテメェの方だ!! その他大勢はさっさと失せろ……それとももう1人位殴っとくか?」
 カインに追い立てられ、チンピラ達はまさに脱兎の如くその場から走り去っていった。残ったのはイレギュラーズ達と、唖然とするルドルフのみ。
「さて、と……まぁこういった状況になった訳だが。それでもテメェは黙ってついて来る気は無いだろ? つーわけで、ようやくテメェをぶん殴って蹴り飛ばせるッ!」
 言うや否や、凄まじい速度でルドルフに接近したカイン。最早ルドルフはカインにとってデカイ的に過ぎず、凄まじい拳の連打を腹に叩き込んだ。
「ク、ソが……!! マジの役立たずじゃねぇかあのボケ共がぁ!!」
「こんな状況になって尚、全てを他人のせいと豪語するとは。全てはルドルフ。お前自身の行動の結果だ。我らがこの場に訪れたのも、最後まで共に戦う仲間に恵まれなかったのもな」
 リゲルは大盾を構え、更に挑発を投げかける。
「ウルセェ!! 元からあんな連中信用なんかしてねぇ。てめぇらを殺したら次はあいつらを殺してやる!!」
ルドルフはリゲルに向けスレッジハンマーを振り下ろす。しかし再三に渡りルドルフの攻撃を受けてきたリゲルには、その動きが完全に予測出来た。
「受けるまでもないな」
 最小限の動きでハンマーを避けたリゲル。そのままルドルフの図太い足目掛け、渾身の力で大盾を叩きつけた。
「グァ……!!」
「一気に、人が居なくなりましたね……うっかりやりすぎないように、気をつけないと……」
 苦悶の声を上げるルドルフに向け、銃口を向けるセレン。再びその銃身に魔力を込めていく。
「ふざけんな……誰がてめぇらみたいなクソにやられるか……!!」
「あなたがです……これで、動きを封じます……」
 そして再び引き金が引かれた。放たれた眩い魔力が縄の形状に変化すると、ルドルフの上半身に巻き付き一気に締め上げた。
「ウ……!!」
 抵抗し、再びスレッジハンマーを振るおうとしたルドルフだが、魔力の縄に動きを阻害されて動く事が出来ない。
「隙だらけでありますな……このまま一気に勝負を決めるであります!!」
 エルヴィールは自らの愛剣を構え、真正面からルドルフと相対する。
「アァ、本当にイラつく連中だ……!! 唯で済むと思うなよ!!」
「この状況でそんな事を言っても説得力皆無であります……さあ、覚悟するでありますっ!!」
 エルヴィールは鋭い踏み込みでルドルフの間近まで接近、そして一閃。一瞬にして、ルドルフの胸に深い傷が刻まれた。
「グ……!! クソ、これだけやって、何で誰も死なねえんだ!!」
「んー……もういい加減諦めて降伏したら? 充分わたし達の強さは示したと思うし、そろそろ利口になる頃合いじゃない? というか正直うっかり殺したくないだけなんだけどね!」
 オロディエンはスリングショットを構えつつルドルフに降伏を促した。が、どうやらルドルフは部下達ほど利口な性格ではないらしい。
「ふざけんな……俺が殺すっていったら絶対殺すんだよ。てめぇらこそ大人しく死にやがれ!!」
 そう叫び、ルドルフはスレッジハンマーを振るい続ける。オロディエンはやや呆れた様子で、暴れるルドルフに狙いを定める。
「ホントに死なないでよー? 折角カラックさんと良い関係を築けそうな所なんだから!!」
 一発、二発、三発と。連続で射出された魔力の塊がルドルフの身体を打つ。ルドルフはその強い衝撃に思わず膝を付く。
「ゲホ、ガホ……!! どいつもこいつも、うざってえ……!!」
「いい加減、虚勢を張るのをやめたらどうだ。それを続けてこの場で得られるのはせいぜい、『敵に屈せず意地を張り続けた』というほんの一瞬の達成感と、死だ。私たちの目的は君だが、君の死ではない」
 激昂し顔を紅潮させるルドルフとは対照的に、イシュトカはいつも通り、冷静にルドルフの様子を眺めていた。
「訳の分からねえナリしてやがる癖に偉そうに……!! 誰がてめえの言う事なんざ聞くか!! 俺は誰にも負けねえんだよ!!」
 ブン、と振り下ろされたスレッジハンマーがイシュトカの頭を打つ。傷口から血が流れだすが、イシュトカはルドルフの顔を見上げ、小さくため息を吐くのみだった。
「ハァ……仕方ない。もう少しだけ続けよう。君が思うよりずっと、殺さない様に戦うというのは気を遣うのだよ?」
 そう言って、イシュトカは軽く杖を振るう。すると魔術によってルドルフの巨体に匹敵する赤黒い巨腕が生み出された。
「な……」
「終わりだ」
 ズシン、と鈍い音を響かせ、巨腕はルドルフの巨体を押しつぶした。スレッジハンマーは柄からへし折れ、ルドルフの身体は床にめり込んだ。
「オ、ガ……」
 最早言葉を発することも出来ず、立ち上がる気力も無くしたルドルフ。その眼前に、イレギュラーズ達は一斉に武器を突き付けた。
「降伏したまえ」
 ルドルフはその言葉に応える事は出来なかったが。へし折れたスレッジハンマーの柄から手を離した。
 イレギュラーズ達は唯1人の死者を出すことも無く、ルドルフを捕らえる事に成功したのだ。
 
 依頼完了。ルドルフをカラック卿の元まで送り届け、報酬を受け取るとしよう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 これにて依頼完了です。お疲れさまでした。
 またのご参加、お待ちしております。

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