PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Butterfly Cluster>THE VENGEANCE

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ちっぽけな復讐
 石柱が立ち並び、岩が大地の至る所から露出する荒地。
 行軍する
「このあたりで一度足を休めるとしよう、一旦ここで情報の再確認をした方がいいだろうからな」
 ラサ南部の巨大遺跡『アルダハ』の南端。その荒地の開けた所にて一人の男が『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン(p3n000040)へと声をかける。
 その男の後ろで頷くのは彼が率いる、老若男女の10名ほどの小規模な傭兵団。
「……わかった」
 その傭兵達にカルアは頷きイレギュラーズ達に休息を促すと、自らも岩に腰掛け情報の再確認をする。
「みんなが退治してくれた『砂蠍』の残党たちが……この遺跡のどこかにいるの」
 砂蠍。頭目であるキング・スコルピオを失った強盗団。その残党は散り散りになりながらもこのアルダハ遺跡へと逃げ込み、周辺の村々を襲っては飢えを凌ぐといった行為を繰り返している。だがもはや風前の灯に過ぎず、現地の腕利き傭兵達に処刑されるのを待つだけ……そのはずだった。
「でも、その極限の環境が魔種を呼び寄せちゃったみたいで……従ったり、反転する盗賊さん達が出てきてる……って報告があったの」
 ただの残党ならば兎も角、熟練の傭兵でも手こずる魔種がいるとならば話は別。そこでラサはローレットに依頼を頼み込んだのだ。
「もっともこれからお前達のする事は魔種討伐の邪魔者の排除であって、魔種と接触する事は無いから安心して欲しい」
 傭兵団長がカルアの肩を叩きながらイレギュラーズ達へ声をかける。
「それに、救世主様を間近で見るいい機会だからな……かっこいい所見せてくれよ?」
「……だってさ」
 カルアは呆れ混じり眠気混じりの目で傭兵団の男を見ると、イレギュラーズ達へと説明を再開するのであった。

●異名を捨てた男
 噂をすれば影が差す。
 情報共有をしながら警戒に当たる傭兵とイレギュラーズ達、その姿を岩の陰から遠くから眺めるのは黒い蠍達の姿。
 その幹部であるターバンを巻いた若い男は手に持った曲刀を静かに抜くと、察知されない様に静かに顔を出し、屯するイレギュラーズ達を目視で確認する。
「来たか、特異運命座標……そして傭兵どもよ、案の定この開けた場所を拠点としたか」
 見知った面々の顔を確認し、男が曲刀を静かに掲げればその背後より緑色の蒸気が噴き出し始める。
「魔が蔓延る瀕死の蠍にもはや執着心は無い、頭の無き今私の生きる意味も……だがお前たちが来るとなれば話は別だ」
 緑色の蒸気――毒の霧は次第に広がり、無意識の内にゆっくりと敵の呼吸器を侵し始める。その光景に男はほくそ笑む。
「このマルツィオ、いい死に場所が出来た物よ!」
 全ては自らが崇拝する亡きリーダーの魂を慰めるために、そして自らを一度は退けたイレギュラーズ達へ本気の戦いを挑むために。
「さあ焦ろ、私を探し出せ! 死んでしまう前にな! フハハハハ……」
 次第に濃さを増していく緑の中。その男、マルツィオは静かに高笑いをし続けるのであった。

GMコメント

 こんばんは、塩魔法使いです。
 砂蠍の残党との遭遇戦となります。

●概要
 ラサから派遣された傭兵と共に砂蠍の残党が屯する『アルダハ遺跡』へ向かう途中、イレギュラーズ達は何者かの襲撃を受ける。
 傭兵達に実力を見せつける為にも素早く敵を見つけ出し、撃破してしまおう。

●舞台
 時刻は昼前で曇り空。アルダハ遺跡へと続く岩場地帯、足場は良いとは言い難く立ち並ぶ岩や遺跡の石柱、そして散布された毒の霧が索敵の邪魔をする。

●エネミー
 この情報はPL情報ですが、PC視点でも『一幹部の情報として能力を把握、警戒していた』体で捉えて問題ありません。
 全てのメンバーは毒を無効化する特性を持ち、一矢報いるべく戦闘不能者を追撃する様に動きます。また、決して退く事はありません。

○マルツィオ
 かつて『強襲』の異名を持ち、速攻と拠点襲撃を得意としていた砂蠍の指揮官。
 高い機動力、HP、神秘攻撃力、抵抗を持つ強敵。
 所持スキル
・毒霧(潜伏中) 毒無効を持たない敵全員に毎ターン100ダメージ
・毒霧(突撃後)(【無】、【毒】、【猛毒】、高命中 特レ・R2以内全て)
・隕石 (【不吉】【火炎】 神中域)
・連斬(【乱れ】、【痺れ】、【出血】+高威力 神至単)
・エネミースキャン
・スピーカーボム(発見されれば突撃指示を出します)

○『新生・砂蠍』兵
 マルツィオに金で雇われた傭兵達です。イレギュラーズが相手をするのは約10。
 粗悪な短剣(R0)、銃(R2)、魔法水晶(R4)を所持しランク3までの汎用スキルを使用します。レベルはイレギュラーズ達よりも若干高め。

●NPC
〇カルア・キルシュテン(p3n000040)
 自衛もできる旅人の情報屋。クラスはリジェネレーター。
 プレイングでの指示が可能ですが、そうでない場合も無難に仲間の援護に当たります。

〇ラサの傭兵たち
 イレギュラーズ達の実力を確認する為に残党処理の依頼を出した傭兵の一隊。
 彼等は砂蠍遊撃隊の雑魚を引き受け撃破してくれるだろう。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 では、よろしくお願いいたします。

  • <Butterfly Cluster>THE VENGEANCE完了
  • GM名塩魔法使い
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年02月27日 21時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)
烈破の紫閃
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
シラス(p3p004421)
竜剣
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
岩倉・鈴音(p3p006119)
タコ助の母
クリストファー・J・バートランド(p3p006801)
荒野の珍味体験者

リプレイ

●緑の海を泳ぐ
 イレギュラーズが事態の急変に気が付いたのは作戦会議中、傭兵達の一人がよろめき、泡を吹きながら倒れた時であった。周囲を見渡せば視界に映るのは緑色に歪んだ景色、同様に疲れ果てたかのように倒れ込む傭兵達の軍馬。そして四方八方から押し寄せる荒々しい殺気。
「何事だ!?」「何もなんも、敵襲だ!」「馬鹿な!?」
 動揺しながらも突然の攻撃に咄嗟に迎撃の準備をする傭兵達と同様、8人のイレギュラーズ達は即座に敵が何者であるか勘づくと散開の隊形を取る。

「んー……これ毒か。先輩方に聞いた話の通りだな」
 広がる緑の霧と苦しがる傭兵。『俺の冒険はこれからだ』クリストファー・J・バートランド(p3p006801)はこれらの状況から敵が潜んでいる事を察して。
「つまりこの緑の霧のどこかに目標がいるって事だな!」
 闘争心から笑みを浮かべるクリストファーに対し、『鳶指』シラス(p3p004421)は先手を打たれたことを悔しそうに歯ぎしりをするもあくまで状況を冷静に把握しようと心がける。
「手口からしてマルツィオという幹部か……くそっ、緑色でよく見えない」
 シラスの言う通り、霧は非常に濃く中へ入らなければまともに物を見渡す事すら満足にできそうにないありさまであった。とはいえ無策に入って検討をつけるには危険すぎる。それならばと『寄り添う風』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は古びたギターを取り出すと、短い曲を一つかき鳴らした。
「クソ親父! ありがたく聞きなよ!」
 ミルヴィの旋律は傭兵達やイレギュラーズ達を活気付けると同時に一種のソナーとなり、その音波は広がりながら周囲の石柱や岩々、そしてその背後に潜む不審な影にぶつかると反響し、彼女の父親――『カオスシーカー』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)の耳元へと帰っていく。
「想定以上に広がっているな……だが将の位置は幾つかに絞れた」
 物陰と言う物陰に潜む『存在』を察知しラルフは呟く。敵は大勢、しかし大勢であれば多少の『偏り』は生まれるのは必然……ましてや大将を護るべく潜む護衛の塊であればなおさらである。
 ラルフはその推測よりイレギュラーズ達に手早く方角の指示をしながら幾つか抗毒剤のカプセルを手渡して、「無いよりマシ、だろう?」と囁けば岩場用に備え付けたスパイクシューズで一歩踏み出し、ミルヴィの方を見遣り言葉を言い残すと毒の霧の中へと突入して。
「行くぞ……お前が俺の前で大怪我でもしたら俺は自分を抑えられんからな?」
「可愛い娘とコンビだよ! 心配するより喜べクソ親父!」
 ミルヴィもラルフを追うように霧の中へと入っていく。彼らを見送ると、他のイレギュラーズ達もまた毒の霧へもぐる覚悟を決め、自分達の受け持った方角へと走るのであった。

●紅蓮の厄災を見つけ出せ
 毒の霧の中――ミルヴィの音と誘導を頼りにラルフの義手から放たれる炎は盗賊達を巧に焦がし、敵達を薙ぎ払っていく。
 力尽きた敵達が倒れ、きゅうと声が上がる中ラルフは静かに呟いた。
「……この敵でもないようだな」
「もー、どこに隠れてるのカナ!」
 肝心の隊長が何時まで経っても出てこないことにミルヴィは苛立ちつつも、楽器をかき鳴らし、父親に次の敵の場所を探らせていく。

 四方に分かれ、将であるマルツィオを炙り出す大捜索。それは傭兵や自分たちが活動できる僅かな猶予の間に敵を炙り出すべくイレギュラーズ達がとった逆襲の一手。
 マルツィオはその場に留まり、術式を練る事で強力な毒の霧を発生させる――つまり、怪しい奴を片っ端から引きずり出して奴を見つけ出し、その術を妨害しなければならないのだ。

「……ふむ。こうやってお前さんに使われるのも、久しぶりであるな?」
 キャンプ地周囲の上り坂、展開した全身鎧を身にまとい、毒除けのエメラルドの力を頼りに戦車の様に突き進む『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)の首の後ろから声が響く。それはゴリョウ本人ではなく、ギフトで魔剣へと姿を変えた『天理の魔剣』シグ・ローデッド(p3p000483)の言葉によるものであった。
 ゴリョウは肯定の意味を込めてぶはははっ!と笑う事でシグに答え、ある場所で足を止めた。
 そこは岩盤から突き出た岩が立ち並ぶ、如何にも手入れされていない遺跡と言ったような場所である。ゴリョウはそこから巨大な熱を感じ取ると「何か怪しいな!」とわざとらしく呟くと遺跡の方を眺める事でシグに透視を促せる。
「……3人、武装した男達が確認できるな」
「3人だな! 頼んだぜ、シグッ!」
 その言葉を聞くとゴリョウは笑い、シグを手に敵をおびき寄せるべくけたたましく動き出した。

「おー、はっきりとは見えないけど上からなら見えるね!」
『放課後のヴェルフェゴール』岩倉・鈴音(p3p006119)はクリストファーの索敵の情報を元に召喚した鳥を飛ばし、クリストファーの探知の範囲外の敵の姿を確認していく。
「でもあそこのあたりは飛んだら魔法で叩き落されそうになったから気を付けた方がいいかも!」
 そう鈴音が遠く離れた岩陰を指させばクリストファーは頷き、岩場へと駆け寄ると名乗りを上げる。
「先輩方に比べりゃ足らない事だらけの未熟者だが、精一杯お相手してやるよ! かかってきな!」
 その言葉に釣られたのか、岩場から一斉に現れクリストファーへ攻撃を仕掛ける盗賊達。だがその背後には既に鈴音が控えていた。鈴音がマジックロープを放とうとしていたその時――彼女のファミリアは遠く、ルーミニス達の異変を知らせていた――。

 鈴音が何かに気が付き、進路を変えるその少し前――。
「さぁ、蹴散らすわよ。派手にぶっ放すから援護ヨロシク頼むわね!」
『不屈の紫銀』ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)は霧の中を走りながら索敵し、敵の位置を探りながらぴったりと傍についていたシラスへと伝えている最中であった。その情報を受け、シラスは温度探知でその深い霧の中の敵の体温を確認すると反対側へと回り込み、ルーミニスへ合図を送る。
「奥の石柱の陰に他より頭の所だけ温度が高い奴がいるぜ……必死に何かを考えてるみたいだ」
「そいつはいかにもって感じね!」
 ルーミニスは巨大な戦斧を両手で握りしめる。それが雑魚だろうと大将首だろうと関係ない。シラスが毒への耐性が薄い以上、難しい判断をしている暇はない。
「シラス、ちょっとの間だけ離れてなさい!」
 ルーミニスは戦斧を振り上げると、全身を利かせ大きく横へと薙ぎ払う。肉体の限界を超えた怪力により音速を超えた斧は巨大な衝撃波を生み、衝撃波は見えない刃となって石柱の背後の盗賊達へと襲い掛かる!
「隠れても無駄よ……全部まとめてぶっ飛べッ!!」
 石柱が次々と粉砕され、血しぶきをあげて盗賊が吹き飛ばされていく。あらゆるものを粉砕する衝撃波は射程限界の石柱に命中すると、砕け散り、同時に何かの影が横へ回避するように飛び退いた。
「チィッ!」
 それはターバンをたなびかせる、曲刀を持った若い男――マルツィオであった。


 マルツィオが潜み、毒の霧を召喚する呪文を中断されたためであろう。辺り一帯を満たしていた毒の霧は薄れ、次第に視界が開けていく。
「アンタがマルツィオだな!」
 マルツィオはシラスの方を見つめると曲刀を構え、演技と賞賛の混ざったような笑みを浮かべた。
「我が王への土産とする為に、お前たちの命をもらい受けに来たぞ」
「お生憎様、弔い合戦にくれてやる命なんて無いわ」
 ルーミニスは戦斧を構え直すとマルツィオを睨みつける。男は首を振ると、曲刀を宙へとかざし。
「それは君たちが決める事ではない! 『出ろ、奴らを決して合流させるな!』」 
 そして、大声と共に勢いよく振り下ろした。

 直後厚い雲で覆われた空が唸りだし、巨大な魔方陣が空に浮かべば、天より燃え盛る隕石が飛来する。
「毒の次は隕石? 何でもありかよ!」
 隕石はシラス達の居た場所へと突き刺さり、直後大爆発――緑の霧は赤く燃え上がり、激しい熱と衝撃波が錯乱し、辺り一帯を焼き払っていく。
 シラスは吹き飛ぶも素早く受け身を取り、体勢を立て直す……だがその時既に、マルツィオは曲刀を振り上げ彼の前へ立っていた。
「さらばだ!」
 そしてマルツィオが曲刀を振り下ろし、一巻の終わりかと思われたその時――「見つけた!」という声が敵の手を鈍らせ、同時に割り込んだカルアがその身を呈して刃を食い止めた!
 驚愕するマルツィオの前に現れたのはクリストファーと鈴音。その背後には、ミルヴィとシグを抱えながら走るゴリョウの姿も見える。
「流石だ、救世主よ……だが、この数は流石に相手はしきれまい?」
 マルツィオは揃いつつあるイレギュラーズを冷たい笑みで見つめ、高笑いをする。背後に寒気が走ったイレギュラーズ達が振り返れば、そこにいたのは30を超える敵の傭兵達。
「相手してあげるよ。戦う者として一矢報いたい気持ちはわかるからね……でも道連れになってあげる気はないけどね!」
 眼帯をつけてない方の目を細め勝利を宣言する鈴音に対し、マルツィオは笑うと曲刀を向け、怒号を発した。
「「かかれ!」……ぬっ!?」
 号令をかけた声が重なり、マルツィオが首を傾げた次の瞬間――

 突然、どこからともなく軍馬の群れが押し寄せ、イレギュラーズへ襲い掛かる盗賊達を弾き飛ばした!

「なっ!?」
「どけどけぇ! 雑魚が救世主様の邪魔をするんじゃねえ!」
 荒れた大地をお構いなく走り回るその軍馬は盗賊達を散らし、その戦力の多くを引き受ける。そしてその背に跨るのは――先ほどまでイレギュラーズ達と行動を共にしていた傭兵団長であった。
「くっ……仕方あるまい、お前達、封じめろ!」
 焦ったマルツィオの言葉に盗賊達は応えるように軍馬へととびかかると、その背後より更に別の傭兵団のメンバーが不意を打つ様に現れ、次々と盗賊達を蹴散らし、イレギュラーズ達から遠い場所へと誘導していく。
「霧を薄めてくれてありがとよ! 雑魚どもは俺達に任せてくれ!」
 最後にその場に残っていた傭兵団長はイレギュラーズに言葉を伝えると馬を走らせ、そこに残っていたのはマルツィオとそれを護るほんの数人の盗賊だけであった。

 マルツィオはしばらく俯き、顔を見上げると……吠え、部下の盗賊と共に最後の悪あがきへと躍り出た。
「全員殺せ! あの豚が持っている剣もだ!」
 魔法弾と隕石の嵐が天空より舞い降り、これまでの遊撃で消耗していたイレギュラーズ達をへトドメを刺さんと襲い掛かる。正真正銘、最後の強襲。
「さ、もうひと踏ん張りだよ!」「ああ!」
 鈴音とシラスは背中合わせの形で共に回復術を唱えると、イレギュラーズ達へと戦いを生き抜く力を与えようとする。
「悪党共が何を覚悟してもよォ……濁ってんだよ、俺らに届くかそんなもん!」
 その覚悟の表れか、シラスの神秘媒体は強烈な光を放つと一気に幾筋もの癒しの光を射出し、同時に何人もの体力を補った。
 鈴音は治癒をしながらも敵の能力を探ると盗賊の一人を指さし、イレギュラーズ達に指示を出す。目には目を、歯には歯を。相手が防御の低い敵を集中的に攻撃する戦法を取るというのならば、こちらもやりかえしてやろうと次々と盗賊達の手の内を明かしていく。
「あの盗賊の攻撃は危険だよ! 抑え込んで!」
 その言葉にゴリョウが応と応えるとシグを手に再び盗賊達を引き付けるべく唸りをあげる。鎧の腹の部位を叩き盗賊達を煽り続ける。
「さぁ来な負け犬ども! 悔しけりゃこのブタに喰らい付いてみせろや!」
 盗賊達はその威圧感に気圧され、まず先にこの者の命を奪わねばとゴリョウ達に飛びつき、ナイフを鎧の隙間へと突き刺そうとヤケになる。
 マルツィオがその男に構うなと叫び指示を出すもその忠告は既に頭に血が上った盗賊の耳に届く事は無く。ゴリョウの手に握られたシグによって一気に焼き払われ、もがくその間に背後へと忍び寄ったラルフの指弾が首筋へと突き刺さり、盗賊はばたりとその場に卒倒した。
「せめて子分の命だけでも助けてやって欲しい……そう娘が言っていたものでな」
 ラルフの視線の先、ミルヴィは曲刀を抜きながらマルツィオの元へと向かうと、その刃で食い止めて。
「んな事言ってる暇あるなら合わせろ! クソ親父!」
 叫ぶミルヴィにラルフは不敵な笑みを浮かべると、盗賊達やマルツィオへ向けて義手の出力を高め、極大の破壊力をお見舞いしていく。
「くっ、この場において我を失うとは……覚悟の出来ていない者たちよ!」
 マルツィオは踏ん張り曲刀による乱舞と毒の霧を次々と放てば、情けない部下達へ貶すように嘆きの言葉を投げかける。だが無理もない。死の覚悟が出来ている自分と違って、あくまで部下達は金で命を預けているだけに過ぎない傭兵なのだから。
「最後の喧嘩じゃなかったのか? 何ぼーっとしてるんだ?」「!」
 クリストファーがその懐に迫り、会心の一撃を繰り出せばマルツィオは不安定な足場にバランスを崩し、曲刀を落としてしまう。
「く……ぬおおっ!?」
 乾いた金属音を挙げて転がる曲刀をマルツィオは必死に腕を伸ばし止めようとするが、それを止めたのはルーミニスの足であった。
「そんなに武器が欲しいなら――こいつをお見舞いしてやるわ!」
 全身全霊で振り下ろされるは桁違いの暴力。激しい暴風と衝撃波が吹き荒れ、毒の霧を吹き飛ばす――

 男の悲鳴が上がり、戦場は静まり返る。これで男の復讐劇は終わり、イレギュラーズ達の勝利が訪れる。そう誰もが確信したその時であった。
「まだ、終わらん!」
 最後の魔力を振り絞った男の隕石が、イレギュラーズ達の方角へと突き刺さる――

 一時的に視界が奪われ開けた時に見えた光景は、魔剣の姿のままのシグを握りしめ、膝を着いたミルヴィの前に立つ男の姿であった。
「貴様――!」
「兄貴への、土産だ……一矢報いずには……死ねないのだ」
 ラルフが怒りの形相で突撃し、目前のマルツィオを止めようと腕を突き出す――しかし、男はそれよりも早くシグを振り上げると、勝ち誇ったような声で叫んだ。
「無駄だ。この剣の男は既に体力を失っている。今誰が握っているかもわかるまい――ハハハハ!」
 狂気的な高笑いと共にマルツィオはシグを振り下ろす――だが、その剣はミルヴィに突き刺さることなく、マルツィオの眼前でぴたりと止まった。
「なっ、何故止まる!?」
 男の持つ剣はその手を離れ、目の前の悪党を滅ぼさんと刀身を炎で包み込む。動揺する男に対し、剣は振り絞るように声を発した。
「……一矢報いるのは、こちらもだ……!」
「何……まさかっ!? 貴様、まだ戦えたのか!?」
 シグの刀身から放たれた炎エネルギーはマルツィオの全身を包み込むと、その破壊エネルギーによってマルツィオの肉体を巨大な火だるまへと変えていく。
「何故、だ、確実に、動けなかったはず。確かに、彼の体力は……一度尽きた筈」
 攻撃をもろに受け、男は動揺しながらゆっくりと下がっていく。
「まさか、これがイレギュラーの、強さの、秘密?」
 マルツィオが再び曲刀を握りしめ戦意を取り戻すよりも早く、ラルフの放った死毒の弾丸がその腹部を貫いた。
「私は、俺は、ここで」
 残念ながらここまでだ、そうラルフは首を振った。
「生き様を貫いた蠍の王もスキラも私は尊敬している。殉ずる君にも相応の礼は払う、が」
 マルツィオの全身の傷と言う傷から血と熱気が噴き出し、断末魔が遺跡の空へと登る。
「我が前で娘を害するなら貴様の尊厳も誇りも踏みにじって殺す……貴様の全て、この世には遺さん」
「ちくしょぉォォ……」

 何かをつかむように天へと腕を伸ばすと……男は内側から炸裂するように血を噴き上げ、文字通り崩れ落ちた。それと同時に毒の霧は薄れ、幻であったかのように瞬く間に姿を消してしまった――

●子蠍の終焉
「今日の天気は毒霧のち晴れでしょう!」
 毒の霧が完全に消滅し、鈴音のそんな高らかな宣言に相応しいほどに爽やかな青が再び広がったアルダハ遺跡の空の下。そこには一切の陰鬱とした感情の無いすがすがしい風が吹いていた。
「……最後の最後まで、懲りないヤツ……」
 ミルヴィはそんな事を言いながら、複雑な心境で男の亡骸を眺める……ラルフがミルヴィに声をかけると、彼女は立ち上がり、仲間達への元へと戻っていった。
 予定が少し狂ったが依頼通り蠍の遊撃部隊は堕ちた。将は戦果を得られず犬死し、その部下である盗賊達もその大勢が捕縛され牢屋へと送られることになるだろう。
 後は一度傷ついた以上無理はせず撤退し、仲間達が魔種の討伐を達成してくれることを祈るだけ……今の自分達に憂いは無い。
「いやあ、お前達のお陰で助かった! ラサに来た時は君達を快く迎え入れる事を約束しよう!」
 キャンプでは傭兵団長がイレギュラーズ達に感謝の言葉を投げかけながら健闘を讃えあい、今度こそ休憩と行こうじゃないかとどこからか持ってきた酒を手に笑う。
「おいおい、それも毒入りじゃないよな?」
 ゴリョウのそんなツッコミが、魔の手が払われ始めていたアルダワ遺跡に笑いを呼ぶのであった。

成否

成功

MVP

シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り

状態異常

なし

あとがき

 リプレイは以上となります。大変お待たせして申し訳ございません。
 砂蠍の残党との決戦という事で結構大変だったと思いますが、皆さんしっかりと考えて備えていて感動しました。
 ありがとうございました! またの機会によろしくお願いします。

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