PandoraPartyProject

シナリオ詳細

神聖なる地の穢れた樹木

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔物と化した樹木達
 天義のとある街では、少し離れた場所にある一区画の森を神聖な地としている。
 この地は古くから神の降り立つ地とされており、祭事以外では住民ですら立ち入ることは禁忌とされている。
 森の木々の手入れですら、神の許可を得てから行うという天義のお国柄らしいしきたりがあるようだ。
 そんな場所で、何やら不穏な動きがあるらしい。
 森の木々が動き出し、神聖なる地を荒らしている……という話だ。
 この地の樹木は無辜なる混沌固有種ではあるが、他世界で言うところの柊に近い種類らしく、葉がギザギザと尖っているのが特徴的だ。
 邪気の侵入を防ぐなどとされている木なだけに、魔物となり果ててしまったのは皮肉なこととも言える。
 この状況は近隣住民の知るところとなってしまい、どうしたものかと彼らは頭を悩ましている。
 どうにかして、魔物となり果てた木々を全て区画の外に出すことができれば問題ないのだが……。
 古くからのしきたりは絶対で、区画内に踏み込むべきでないと考える住民が大多数。
 神に祈りを捧げ、そこから対処するといった方法をという案が強い。
 しかしながら、こうしている間にも、神聖なる地は魔物となった樹木に荒らされてしまっている。
 悠長に対処していれば、神聖なる地は神が降りられぬほどに魔物に穢されてしまう。
「どうしたものか……」
 集まる住民達は議論するが答えは出ず、ローレットへとほぼ丸投げする形で依頼を出すことにしたのだった。

●説き伏せるか? 人知れず刈るか?
 天義へとやってきたイレギュラーズ達。
 今回はそのまま現場での説明をと、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が現地集合で依頼してきた形だ。
「遠路はるばる、申し訳ありません」
 彼女は丁寧に頭を下げ、説明を始める。
 簡単に状況を説明した後、敵の情報ととるべき対応について、とのことだ。
 敵は5体いる。外から住人達がその数を確認したようだ。
 基本的に神聖な地を出ることはないが、まれに個別で住民を襲う樹木があるらしい。ただ、5体全てが出てくることはないそうだ。
「魔物となった樹木は枝を操って叩きつけてきたり、根を広げてこちらを捕らえたりしてくるようですね」
 また、ギザギザの葉を散らして攻撃してくることもある。こちらは広範囲に及び、やや面倒だ。
 ここまで話し、アクアベルはイレギュラーズ達へと対応について考えるよう促す。
「まず、この集落の人々を説得してから、区画内で戦う案ですね」
 ただ、住民達は古きしきたりに縛られており、何より天義の民は考え方に融通の利かないことで知られる。
 それ相応の案を出さねば、時間と労力の無駄になってしまう可能性が高く、その間に問題の区画が荒らされてしまうだろう。
「次に、住民に気づかれぬよう討伐に当たる方法ですね」
 無許可でやるからには、最後まで住民に気づかれぬ方法で討伐したい。
 気づかれぬよう中に潜入して討伐するにも、大きな音を立てないよう戦う手段が必要となるだろう。
「もう一つ、敢えて、住民と一緒に討伐に当たる手段があります」
 数人の住民達を引き連れ、彼らの目の前で中に入ることなく、堂々と相手をおびき出せばいい。
 この場合、飛行などの手段が使えぬことがネックとなる。
 神が降り立つ地とされるのだから、頭上もアウトという考えは想像に難くない。
「大きく対処法は3つですね」
 もし、アクアベルが思いつかない目から鱗な対処法があるなら、それを実践してもいい。
 状況はあまりよろしくない。こうしている間にも、魔物となった木々は、住民達にとっての神聖な地を穢しているのだ。
「かなり厄介な状況ではありますが、どうか助力を願います」
 そうして、アクアベルは改めて、イレギュラーズ達へと頭を下げるのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。
 GMのなちゅいと申します。
 天義での依頼ですが、いつも通りというべきか、
 面倒な状況となっているようです。
 助力を願います。

●目的
 魔物化した大樹の全滅

●敵
◎樹木……5体
 樹高は6~8mほど。
 元は無辜なる混沌固有種のようですが、
 柊に近い種のようです。花期は過ぎており、
 現状は尖った葉が枝についているのみの状況です。

・枝殴打(物至単)
・根捕縛(物中範・足止)
・木の葉乱舞(神遠範)

●状況
 天義某所。
 神聖なる地とされた場所は100m四方の区画です。
 中央に祭壇があり、そこで近隣住人が祭事を行うようです。
 基本的に、アクアベルの提示した対処法で動くことになるかと思いますが、
 それ以外の手段で問題解決してもOKです。
 ただ、住民が納得しない方法で対処した場合、
 名声が下がってしまいますので、ご注意ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 神聖なる地の穢れた樹木完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年02月17日 21時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アレフ(p3p000794)
純なる気配
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
六車・焔珠(p3p002320)
祈祷鬼姫
アマリリス(p3p004731)
倖せ者の花束
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
リナリナ(p3p006258)
時裏 結美(p3p006677)
妹『たち』の献身

リプレイ

●しきたりを変えるということ
 早速、イレギュラーズ達は目的の街で、聖域の魔物退治の為に行動を開始する。
 今回は女性多めのメンバー達だ。
「古より守ってきたもの。とても大切なもの」
 会話の中で、頭から2本の角を生やす鬼種の少女『祈祷鬼姫』六車・焔珠(p3p002320)は今回の事件について主観を口にする。
「長く守っていく為に、定めたしきたりを変えるのが怖いのは分かるわ」
「古くからのしきたり……これを自分達で変えるとなると不安だよね」
 焔珠の意見に、天義出身の貴族『サイネリア』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が同意する。
「この不安を取り除けるような話をしてあげられると良いんだけど」
 なお、そのスティアの傍には、童顔に長い黒髪の少女、『聖妹』時裏 結美(p3p006677)がべったりとくっついている。
 妹という概念を具現化した結美は特定の対象に妹と思わせるギフトを持っており、この依頼の間だけスティアへとそれを働かせていた。
 今回のチームの意見は住民を説得するべきという意見が大勢を占めており、方針もそれに落ち着いている。
「相変わらず、何とも面倒な国だなぁ……」
 一見、脛にまで伸びる長いオパール色の髪を持つ『天薙ぐ虹芒』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は、これ見よがしに溜息をつく。
 しかしながら、その姿は人に擬態したもの。
 空棲知性体である彼女としては正直、聖域の上空を飛ぶことすら難儀を示す。空は誰のものでもないのだ。
「他者に強要したり他者に有害でない限り、思想信条信教理念持論趣味嗜好性癖は好きにすりゃいいと思うけど」
 押しかけてきたなら戦争待ったなしなのでと、ェクセレリァスも持論にツッコミを入れていたが、それはさておき。
「長く続いたことを曲げるのは、特に内部からは難しいものですからー。仕方がありませんわー」
 スタイル抜群な海種の女性、『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)はやんわりとした口調で天義の人々に理解を示す。
「前例主義もわからない事は無いよ」
 そこで、結美が語る。
 先人の知恵や経験が偉大なのは間違いない。しかし、行き過ぎるとそれはただの思考停止でしかない。
「そこの辺りを少しでも理解してもらえるといいんだけど……」
 焔珠が頷く。このまま放置すれば、彼らにとって神様の大切な地は穢されてしまい、2度とは戻らず無くなってしまう。
「神様は降り立てないし、皆の子孫は使命を失ってしまうわ」
 代々受け継がれたものを、ここで仕舞いにするわけにもいかぬだろう。
「おー、任せろ! リナリナ説得! 説得!」
 原始時代からやってきた旅人の少女、『原始力』リナリナ(p3p006258)も集落の人々が状況を分かっていないのなら、しっかり説明するとやる気を見せる。
 また、ユゥリアリアも、自縄自縛となっている彼らの気持ちを推察し、ここは人肌脱いでやるかと義侠心を沸き立たせていた。
「本当に大事なものを守る為に、勇気を出してくれると良いわね」
 なんとか住民達を説き伏せようとする仲間達を見て、焔珠も相手が心を動かしてくれることを願う。
 天義の守護騎士である『銀凛の騎士』アマリリス(p3p004731)は、一歩引いた立ち位置で仲間達のやりとりを見守る。
 ローレットに所属こそするが、天義の民である意識が強い故に、仲間達の意見には完全に同意できぬ部分もあるのだろう。
「天義の民は私の護るべき対象」
 アマリリスは自身の行いが正義であることを信じ、突き進もうと神に誓うのである。

●聖地へと立ち入り許可を……!
 イレギュラーズ達は住民の説得の為、街の顔役となる者と接触を図る。この場合、町長だろう。
 まず、天義の守護騎士であるアマリリスが前に出て、丁寧に挨拶する。
「私はアマリリスと申します。貴方方の判断は英断ですね」
 下手に手を出して神の教えに背いたり、魔物と化した樹木に手を出して傷ついたりするくらいなら、自分達が出るに限りとアマリリスは主張する。
「どうか、我々が土地へと侵入するのに目を瞑って頂きたい」
 確かに、天義の守護騎士ならば、熟考の予知は十分と住民達も考えるが、他メンバーはそうもいかない。
 そこで前に出てきたのは、チーム唯一の男性、『堕ちた光』アレフ(p3p000794)だ。
 カリスマを働かせた彼は光の翼を顕現させ、この場の人々へと語り掛ける。
「此度の依頼、私がこの場に現れたのは偶然ではありません。私の夢に現れた尊き方からの啓示を授かったのです」
 アレフの姿に人々は目を輝かせ、祈りを捧げ始める。
 サリファー……祈りを天に届ける者。
 滅多に起きることはないが、逆も然りだとアレフは告げる。
「あなた方の祈りが届いたのでしょう。私は主より隠匿を見抜く目を与えられた者、そして──主に変わり、敬虔なる使途を助ける為に馳せ参じたのです」
 自分達にこそ正しさがあると証明する為の品として、アレフは天義の免罪符を差し出し、ネメシス福音書に書かれている神の言葉の一つを詠む。
 それもあって、彼らはイレギュラーズ達の話を聞く態勢へと入ってくれたようだ。

 イレギュラーズ一行は神聖なる地……聖域に入り、手早く魔物を討伐する案を示す。
 当然、天義の住民達はそれに猛反発してくる。それができれば苦労はしない、と。
「神聖の地、人入る、穢れる。1人1点の穢れ」
 まず、リナリナが手を上げ、片言で語りだす。
 聖地を穢されなくないという信仰心は当然であり、不可侵の地としていたことは正しいと彼女は認めて、状態を『穢れを0でキープ』していたと話す。
「でも、今、状況が変化したっ! 致命的に!」
 聖域に入り込んだ魔物の木は、1体で人の10倍は穢れるとリナリナは告げる。
 5体いるから、すでに聖域は50点穢れている状態だ。
「このままだと、穢れ100点突破で神聖の地終了だゾッ!!」
 ざっくりとした例えだが、彼女の主張は分かりやすい。
「今必要なのは、『被害を最小限に抑える方法』! どうする? どうする?」
 答えは簡単。イレギュラーズ達を聖地に送り込むこと。
 8人分の穢れを加え、58点。
 これが現地点での最小限であり、4割神聖さが残れば強い信仰心で聖地の完全回復は可能と彼女は主張する。
「神聖な地を、出来るだけ荒らさないよう配慮するわ」
 焔珠は自らの言葉遣いが荒いこともあり、やや控えめに合いの手だけ入れる。
 とはいえ、住民達は難色を示し続ける為、人間擬態状態のェクセレリァスが疑問を投げかける。
「聖なる地を魔物に侵されるままにするほうが立ち入るより遥かに悪いことな気がするんだけど、そのへんどうなのさ?」
「アレを放っておく方が、神の御心に叶わないのではないでしょうかー?」
 ユゥリアリアも続ける。今回の場合は、木々を剪定するのと同じだろうと。
 しかし、住民はそれならしかるべき手続きをと引かない。
 聖地に入る為には立ち入り許可の為の書類、身を清めてから……。
「今まで誰も入れなかったから入る事はいけない。それはわかるんだけどさ」
 結美もそれに一つ溜息をついて。
「だったら、今回みたいなケースはどうしてたのかな?」
 とはいえ、魔物が出現するなど、今までにない事件。
 だからこそ、住民達もローレットへと依頼したわけだが……。
「もし前例がない事なら、少し考えて欲しいな」
 魔物は聖地から外にも出てきているという。
 このままでは聖地だけでなく、住民への被害も避けられぬだろうと結美は話す。
 ――前例がないことだから、仕方なかった。
「家族とか大切な人を亡くした人にそう説明できるのかな?」
 それで、関係者は納得できるのかと、結美は熟考を促す。
 しかし、これだけ話しても、人々は譲らない。
 ェクセレリァスは最悪、強硬手段に出ることも考えていた。
(発案は私だと申し出るよ)
 それでも、人命の方が信仰よりも大事だと認識しているからこそ。
 彼女も、住民を想っての行動なのは間違いない。
 ただ、そこでスティアがもう少し待ってくれと彼女を制する。
 住民達の目を見た彼女もまたカリスマを働かせ、一言一言の喋り方にも気を使い、丁寧に、しっかりと思いを伝える。
「皆様が本当に守りたいものはどちらなのでしょうか?」
 神聖な土地が荒らされないように手を打ちたいのか。
 それとも、しきたりを守って荒らされても出てくるのを待つのか。
「私としては前者かなと考え、このような物を頂いてきました」
 それは、先ほどアレフも見せていた天義の免罪符。
「どうか、立ち入りを許可して頂けないでしょうか?」
 ただ、心情的に納得いかぬ部分が住民達にはまだある。
「それに神が降り立つ神聖な土地が穢されてしまうことこそ、神への冒涜ではないでしょうか?」
「ここの神様は、自分を信じる人達の危険を見逃してまで言いつけを護れなんていう狭量な神様なのかな?」
 スティアに合いの手を入れた結美の言葉に住民の1人が苛立ちを見せるが、状況を見守っていたアマリリスがそこで口を開く。
「魔物を倒すには中に入らねばならない事は、皆様も薄々気づいているものかと思います」
 この情報しか編み出せなかったことを不甲斐ないと彼女は詫び、神聖な土地がこれ以上荒らされるのを見てはいられないと本心を告げる。
 アマリリスとて、天義の者。だからこそ、神様の地が魔物に壊される状況は、我が身を炎にくべるよりも辛いことなのだ。
 それはもちろん、住民達も同じように感じているのだろう。
「神聖な土地に踏み込み、罰を受けるとしたら我々のみです」
 もし、罰が降るなら魔物を倒し、住民を守った後で甘んじて受けるとアマリリスは覚悟を示す。
「主はご存知だったのでしょう」
 ――敬虔なる信者たるあなた方が聖域へ足を踏み入れる事を良しとしないだろうと。
 アレフは、神の言葉を代弁して見せる。
「だからこそ、我々に聖域へ足を踏み入れる許可を頂きたい、如何か」
「できることがあるのに黙って見過ごす……これもまた罪なのではと私は考えます」
 皆様の英断に期待致しますと、スティアは一礼した。
「さぁ、リナリナ達に許可出す! そして、一緒に神聖の地を取り戻そう!!」
 納得できぬ部分を抱えながらも、住民達はしぶしぶといった形で一行に諭されたのである。

●聖地を表す魔樹達
 魔物となった樹木退治の為、イレギュラーズ達は町の外れにある神聖なる地へと赴く。
 アマリリスは町の住民達に街での待機を要望したのだが、他メンバーや住民達自体が随伴を要望したことで、共に討伐へと向かうことになる。
 そこは、柊に似た樹木がたくさん立ち並ぶ森の一部、100m四方が赤白の紐で区切られた区画だった。
「おー、神聖の地! 何がどうシンセーなんだ?」
 一見するだけでは何が特別かは分からず、リナリナはシューキョーはよく分からないと首を傾げた。
 そこで、アマリリスが精霊疎通を始めて。
「お願い! この辺りに住む神聖たる精霊よ。魔物の居場所を教えて下さい!」
 すると、怯える精霊が聖域内に5つ、魔物の反応があることを示す。
 この為、イレギュラーズ達はまず、区画内からの敵の釣り出しをはかる。
 これでダメなら、町長他数名の住民も諦め、立ち入りの許可を出さざるを得ないとのことだった。

 まず、ユゥリアリアは聖地に踏み入らぬよう、外周を回っていく。
 彼女は超射程内で敵が収まる場所を探していたのだ。
「あらあらー、バラけていますわねー」
 木々の間で、黒いオーラを放つ樹木が蠢いているのがわかる。
 しばし、一行は相手が動くのを待つが、待つだけでは反応がない。
 そこで、ユゥリアリアは自らの盾と短刃を打ち合わせて大きな音を立てる。
「おー、戦いの舞!」
 それに合わせ、リナリナもテンテケテンテケと舞い踊り始めた。
 アマリリスも不惑の心を目覚めさせ、こちらへと向かってくる悪意と対する。
 ガサガサ……ガサガサ……。
 木々をかき分けて現れる樹木。
 実にシュールな状況だが、負のオーラを放つそれはすぐさま周囲へとギザギザの木の葉を舞わせてくる。
 下手に接近させると、同伴する住民達まで巻き添えにしてしまう。
 それもあって、ユゥリアリアは氷の鎖を相手の幹へと縛り付け、少しずつ聖域から離れるようにして移動する。
 怒りにかられた敵を1体ずつ誘き出せたのであれば、集中して叩くのみ。
 アレフもマギシュートを放ちつつ下がり、ある程度近づいたタイミングで威力の高い魔力放出に切り替え、相手の枝や根を破壊していく。
 結美もまた釣り出しの際は、魔砲を使って攻撃。貫通力があると他の木々を傷める危険があるので、調整が難しい。
 住民達の厳しい視線を感じながらも自身のギフトを働かせる結美はスティアをカバーし、近づいてきた魔物へとオーラソードで斬りかかっていく。
 敵も怒り狂ってユゥリアリアへと枝で殴りかかってくるが、彼女はそれを受けながらも氷の盾を手前へと顕現させる。
 鏡のようなその盾へと大樹を映し出し、ユゥリアリアは自らの傷を呪いのように移し替える。
 大樹はそれによって自らが与えた多数の傷を逆に浴びてしまい、意識をなくして横倒しになっていった。

 少しすると、今度は焔珠が虹色の軌跡を残す小さな星を飛ばし、樹木の気を引く。
 同様に、攻撃を行うイレギュラーズ達。
 スティアは前衛後ろに陣取り、仲間達の回復へと当たり続ける。
 敵は焔珠が抑え続けていたが、樹木が我に返ったタイミングで根を伸ばしてくる。
 近場のメンバーが根に足を絡まれるのを、擬態解除して多数の翼を持つ蛇のような姿となったェクセレリァスが見下ろす。
 あまり高く飛びすぎぬよう地上3m以内を浮遊するェクセレリァスは、やや距離を取って玉虫色に煌めく波動砲を発射する。
 見事に幹を粉砕したェクセレリァス。ただ、彼女はその武器の銘を隠す。
(不穏当だから、余計な騒動を生みそうだし)
 なお、その武器の名は『対神波動砲(試製壱號)』である。

●聖域内で手早く
 その後、魔物の吊り出しはうまくいかず、一行は仕方なく聖域内部へと入ることとなる。
 なお、住民は聖域に入るのにやはり抵抗があるのか、区画外から見守ることにしていた。
 それもあり、リナリナは余計なことをせず見つけた敵へと突撃する。
「るら~!」
 散開している状況であれば、敵も怖くはない。
 暴れて周囲の木々を破壊していたそいつへ、リナリナは大剣を手に斬りかかっていく。
 ェクセレリァスは敵が飛ばない以上、頭上を取る必要なしと見て、距離を取って波動砲を発射する。
 木々の間ではなかなか被害を出さずに戦うのは難しいが、元々相手が荒らしていることもあって多少は視界が開けている。
 神聖な土地を荒らすことにならぬよう、焔珠は発見した敵目掛けて2本の曲刀に魔力を込め、木の葉を散らす敵を切り倒してしまう。
 すると、騒ぎに気付いた敵2体が近づいてきたこともあり、ユゥリアリアが歌と踊りによって敵を誘う。
 敵が彼女へと意識を向けている間に、メンバー達は攻撃を畳みかける。
「神様の神聖なる地から――消えろ!」
 片方をマークしていたアマリリスが炎を飛ばし、そいつの全身を炎に包んで燃やし尽くしてしまう。
 厄介な相手だが、イレギュラーズ達にとっては直接相手できるだけ、天義の人々を説得するよりもはるかに楽だ。
 体当たりしようとしてくる敵を結美が抑え、オーラソードで斬りかかって反撃すれば、スティアが治癒魔術で癒しに当たる。
(神聖な土地を荒らさぬように……)
 戦いの最中でも、スティアは被害をできる限り軽減しようと立ち回る。
 仲間が敵を抑えていることもあり、アレフは下手に荒らさぬよう動かず攻撃集中し、遠距離術式を撃ちこんでいく。
 力を失って全身を枯らし、完全に動きを止める樹木。
 結局、メンバー達は中央の祭壇に近づくことなく、すぐ聖域の外と出ていったのだった。

●街と聖域に新たな風を
 魔物を討伐し、聖域から外へと出るイレギュラーズ一行。
「幻想の種持ってます! 差し上げます!!」
 住民達へと討伐報告後、予めアマリリスが用意していたその種を、人々へと手渡す。
 もっとも、天義の許可を取ってからと彼女も慎重になっていたが。
「魔から守る樹の代わりに新たな草木を植えて、神様がこの地に再臨できるように」
 そんな気遣いに、さすが天義の守護騎士と住民達は目の色を輝かせていたようだ。
「余計なことかもしれないけれど」
 焔珠は住民達にしきたりの改定を依頼する。
「皆の子孫の代にまた、予想外が起きるかもしれないもの。神様にお伺いを立てておくと良いと思うわ」
 また同じことが起こるとも限らない。苦い顔をする住民達は、話し合いの場を設けることにしたようだ。
 ともあれ、無事に事態が解決して。
「……神の使途、か。もう、随分昔の事の様に思えるな」
 元の世界を思い返し、アレフは一つ溜息をついたのだった。

成否

成功

MVP

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは悩みましたが、説得、戦闘と幅広く活躍を見せていたあなたへ。
 今回は参加していただき、ありがとうございました!

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