シナリオ詳細
RAIZING STORM!
オープニング
●霊廟の罠
鉄帝の東部にて発見された『黒風の霊廟』は未発見の発掘品があると期待される遺跡だ。
これに目をつけた鉄帝貴族のモルジャオはラドバウで名を上げ始めたチームRAIZINGの八人を霊廟探索の先方として抜擢した。
しかし、当然ながらモルジャオ以外にもこの霊廟の探索を考えている貴族もいるわけで、力によるマウントを取り合う鉄帝貴族達は、これに対抗するチームを探し依頼したようだ。
そう依頼先はローレット。
名うてのチームには、名うての何でも屋に依頼したと言うわけだ。
奇しくも一度手合わせをした両者は、共闘という名のお宝探索を行う事になるのだった。
「ふん、遺跡の探索など先に手を付けた俺達だけで十分だというのに」
「そういうな、リューオウ。
貴族達も自分の利益、そして”楽しみ”の為に色々考えるものさ。
そう、お宝も欲しいが、それに至る結果も楽しみたい。そういうわがままさ」
剣と盾を持つガラドの言葉に、槍を持つリューオウは「ふん」と鼻を鳴らした。
RAIZINGのメンバー八人、そしてイレギュラーズの八人は霊廟の中を進む。
大きな遺跡だ。広い空間、薄暗い通路に、魔力の炎が灯り、先へと誘う。
整えられた遺跡内部には、侵入者を拒むかのように魔物やトラップが現れる。それらは霊廟探索に挑む彼等に取ってみれば取るに足らないものであり、探索は順調に進んでいた。
「見ろよ、一段と広い空間にでるぞ。”大広間(グランドホール)”だ」
斧もつゴーザスが言うように一同は、大広間へとでる。
大広間の端には大きな棺がならび、対面には室内だというのにその棺を見守るような見張り台が立っていた。
「へぇ、これはお宝が収まってそうな”いかにも”な棺だねぇ。
一個ずつ開けていくかい?」
弓持つカルラの言葉に、しかし、双剣もつザインが言葉短く警戒を促した。
「――暗夜の礫か」
「あら、大層なお出迎えね」
「十、二十……どんどん増えてわくわくしちゃうわね」
魔導書を開くレーラ、宝珠を掲げるクゥーエルが身構える。
一同を取り囲むように地面より生まれ出でるはスケルトンナイト。霊廟を守る守護騎士達である。
剣持つスケルトンナイトは五十を超え、見張り台の上には弓持つスケルトンアーチャー五体が一同を狙い澄ます。
「奥を見てください、あれは……エルダースケルトン!」
杖持つエルマが声をあげた。それら大量のスケルトンナイト達を指揮するは三体のエルダースケルトン。魔力操る危険な存在だ。
「全員構えろ。数に押し潰される前に突破口を作るぞ」
リーダーのガラドが先頭に立つ。すぐに戦う準備は整った。
「へっ良い狙いができたじゃねぇか。
おい、特異運命座標! どうだ、一つ勝負といかねぇか?」
ゴーザスが悪巧みをするように顔を歪めた。
「エルダースケルトン、あれを多く倒した方がお宝を多く貰えるってのはどうだ?
山分けなんてつまんねーと思ってたんだ、自分達の力で勝ち取ってこその報酬だろ!」
ゼシュテル人らしい力ですべてを解決する考えを披露するゴーザスに、イレギュラーズは呆れる。
だが、それは悪くない提案と言えるだろう。自分達の力を見せるにももってこいだ。
頷くイレギュラーズにゴーザスが豪快に笑った。
「おし、良いじゃねぇか!
そんじゃ、遠慮無く全員ぶち壊してやんぜ!!」
気合いを入れた雄叫びと同時、戦いの火蓋が切られる。
イレギュラーズとチームRAIZINGの大立ち回りが始まった。
- RAIZING STORM!完了
- GM名澤見夜行
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年02月23日 23時30分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●Rush and Run
黒風の霊廟。
いつ誰が、誰を祀ったのか。詳細不明の場所である。
そんな彷徨える魂の安息の地を騒がせる、それが今回の依頼であり遺跡発掘と言う物だ。
当然それは予期された事態である。
古の民による呪術的仕掛け罠は、ここにきて見事にその効果を現した。
十六名の戦士達を取り囲むように現れる骨、骨、骨――!
がしゃ鳴る骨の殺意を前に、しかし目の前に”お宝”をぶら下げられた戦士達に撤退の二文字はない。
「おっしゃぁー! いくぜぇー!!」
「楔型陣形だ。取り囲まれる前に穴を穿つぞ!」
筋骨隆々、剛胆鉄塊。ゴーザスとガラドが先手を打って骨の群れへと飛び込んでいく。その後ろをダメージディーラーたるリューオウ、ザイン、カルラ、レーラが追従する。ヒーラー陣であるミルマとクゥーエルは魔力を滾らせ仲間達のバックアップを行う。
「勢いがあるというのは、この場合プラスに働くか。
”競走”ではあるが”共闘”でもある。そちらの勢い上手く借り受けさせて貰おうか」
『静謐なる射手』ラダ・ジグリ(p3p000271)はRAIZINGメンバーの動きを把握しながら、イレギュラーズ(こちら)が向かうべき敵へと狙いを付ける。それはすぐに他の面々も察する事ができた。
狙うは大物、エルダースケルトンのみ。報酬が左右される”賞金首”だ。狙わない理由がない。
ラダが走らせた自律自走式の爆弾が、スケルトンの群れへと飛び込み爆散する。穴が空いて手薄となったその場所へとイレギュラーズが進軍を開始する。
「盗掘者に対する警戒網。尋常ではない数に納められてる物の価値が想像できる、というとこですか。
――墓荒らしのような真似は趣味ではないのですが止むを得ないですね」
『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)の魔術刻印が輝く。無限の魔力を充填させれば破壊のルーンを空に刻み込んだ。描き出された『H・ハガル』のルーンは大広間に不可避の雹を降り注がせる。
スケルトンナイト達を多く巻き込む中、『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)と『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)が一気に接近する。
「――まずは数を減らす。
手当たり次第になるが、容赦の必要はないな?」
答えを求めるわけではない。アカツキの自問的問いかけは流れるように空へと消えた。
迅速の接近から振り下ろされた震脚が周囲を埋め尽くすスケルトンナイト達を震えあがらせる。同時、脚から地面へと送り込まれた闘気が、爆発を伴って前方に居並ぶスケルトン達を巻き込んでいく。破砕された地面が噴き上がるのと同時に千切れた骨が大広間の天井へと飛び散った。
「クハッ! 彼方も此方も両者ともに気合いが入っておるものよ! 吾も負けぬぞぉ!」
黒髪ロングを靡かせて、清楚白百合が髑髏の群れへと飛び込んだ。
仲間の範囲攻撃を逃れたスケルトンナイトを優先して狙う。
乙女たる立ち居振る舞いから放たれる殺戮の両腕が、硬質なはずの骨の肉体を軽快な音と共に粉々に打ち砕いていく。
「うむ、この殴れば砕ける感じが気持ちよい。ぷちぷち潰しみたいな感じである」
そんなわけはないはRAIZINGのメンバーを見れば明らかだが、これも美少女力の成せる技なのである。
そんな美少女を援護するのは、少女と呼ぶには少々年齢が高くなったこの人だ。
「暗翳を撃ち貫く輝く愛の浄火! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」
お約束の名乗りを上げて、すぅと真顔に戻る『魔法少女インフィニティハートH』無限乃 愛(p3p004443)。
「宝物庫の番人が、宝を持たないスケルトンとは笑止ですね。
その胸にハート(心臓)無くば、愛の力の前には吹けば飛ぶ烏合の衆、もとい骨の衆でしかないのです」
迸る”無限乃愛の魔力”が右手へと集まる。燦然と輝く蛍光ピンク色の愛は放たれると同時にスケルトンナイトの海に道を作り上げる。それはまるでモーゼの海割りの如しだ。
「あら、派手にやるじゃない」
「感心してる場合か。お前もあれくらいやってみせろよ」
愛の魔砲のエフェクトに感心するレーラ。それにリューオウが言葉を零した。
「この程度愛の力があれば造作もないこと。
まだまだ教えてあげます。愛の力の本当の力を――!」
ポーズを極めて放つ愛の魔法は”愛”と言う名の属性を伴って、ピンク色の魔力波動が叩きつけられると、スケルトンナイト達を天井高く吹き飛ばした。
堅実にスケルトン達を叩き潰していくRAIZINGに対して、実にど派手にスケルトン達を薙ぎ払っていくイレギュラーズ。
「若い子達もがんばってるさね。
アタシも本職(シスター)としての力を見せようかねぇ」
ヒーラーとして参加する『不良聖女』ヨランダ・ゴールドバーグ(p3p004918)だが、ことアンデットが相手となればその力は攻撃力へと転換される。
仲間への回復を担当しながら、隙あらば聖なる光を拳に宿し、その不浄なる骨を拳骨によって叩き割る。
『不良聖女』ならではの戦い方にRAIZINGの聖女ミルマは「まぁ!」と驚きのままに口を押さえた。
「突出しすぎないように気をつけなァ。
孤立したらあっという間に骸骨どもに囲まれちまうだろうからねぇ」
そうなれば、回復で支えるというのも難しくなるだろう。仲間達に注意を促しながら、ヨランダが今一度近づく骨に拳を見舞った。
イレギュラーズはRAIZINGメンバーの動きを良く見ていた。愛の魔砲によって奥に潜むエルダースケルトンへの道筋が生まれたが、率先して飛び込むわけではない。
RAIZINGにとの歩調を合わせる――というよりは、RAIZINGに先行させつつ、敵の注意を引きつけて貰い、その後背よりエルダーへの距離を縮めようという考えだ。
当然RAIZINGのメンバーもすぐにその動きに感づいた。「ふん」と鼻を鳴らしイレギュラーズを見やる。
「おいおい、いいのかそんなゆっくりしていて! 俺等が全部戴いちまうぜ!!」
ゴーザスの安い挑発を『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は涼しい顔で受け流す。
「勝手に逸ってイキっているがいいであります。
こちらは利用するだけ利用させてもらうでありますよ」
自身の防御技術、技法を高め骸骨の群れへと飛び込んだエッダは名乗りをあげてその注意を引きつける。
仲間の範囲攻撃に巻き込むように誘導していく動きだが、狙いはそれだけではない。
ガラドとゴーザスが敵視を取ろうと動いた瞬間を狙い、自身が引きつけている敵を巻き込んでいく。
「あっ、こいつ! きたねぇぞ!!」
「ご支援ご苦労であります。あっはっは」
真顔で乾いた笑いをあげるエッダ。大体にして闘技場で少しばかりの活躍をしただけのRAIZINGが強者面しているのが気に入らないという。
(ペッ。シロートどもが。
戦争はもっとマジメなものでありますよ。
戦争をせんのなら、遊んでやるであります)
ペペペッと唾を吐き出しRAIZINGを見下すエッダだが、そう悪意があるわけではない。はず。
「ふっふー。ボクは魅力的だから敵の心も自由自在だよっ」
今回の作戦の要である『魔法騎士』セララ(p3p000273)がエルダースケルトンを射程へと収めて、アクセルカレイドたるウィンドセララソードを突き込んだ。
鋭き突きは疾風の棘となって、奥に控えるエルダーを突き刺した。痺れを伴う痛みに体勢を崩すエルダー。その虚ろな頭蓋が怒りに染まるのが見えた。
「さーこっちだよ! まずは一体ご招待だ!」
敵視を稼げばそのまま自軍の間合いへと誘い込む。そうして仲間達が攻撃を重ねられる距離へと誘導すれば、セララもまた攻撃に加わった。
「カード『フェニックス』追加インストール! 燃え尽きろっ!」
魔法少女としての特性を生かし、超高熱の一閃が不死者たるエルダーを業炎に包み込む。
怨嗟の呪言を呟きながらエルダーが魔力を迸らせる。魔力の奔流がイレギュラーズ、そしてRAIZINGメンバーを襲い、その肌に傷を付けていく。
エルダーの攻撃に合わせスケルトンナイトが肉薄し、そして見張り台の上に陣取るスケルトンアーチャー達が矢を射かける。
全天周より飛来する殺意に晒されながら、戦いは大乱戦の様相へと移行していく――
●Crash Bone
スケルトンナイト達に囲まれながら、その中心戦力であるエルダースケルトンを倒すというのは中々に骨の折れる作業だ。
エルダースケルトンの数は三。イレギュラーズが釣り出した一体、そして負けじとRAIZINGが誘い出した一体。
残る一体は未だ奥で魔力を練り上げている。
互いにキャッチしているエルダーの追い詰め具合は同程度。両チームの実力は均衡しているが、ややスケルトンナイトを多く抱えたRAIZINGが不利というところか。
「……奴らも善戦しているようだな」
飛び抜けた反応を見せるアカツキが、RAIZINGの様子を確認しながら呟く。
スケルトンナイトを得意の格闘戦で叩き潰し、降り注ぐアーチャーの矢を駆け抜け躱す。そうして背中合わせにセララの側へと立つと、一つ提案する。
「奴らが狙っているエルダーをこちらに引き寄せるか?」
「うーん、それをしても良いけれど、あっちのほうが敵視稼ぐのは得意そうだよね。
先んじてもう一体をキャッチした方が勝ち目はありそうだよ」
セララの言葉にアカツキは変わらぬ表情で一つ頷く。
状況を鑑みた提案ではあったが、なるほどセララの認識も間違っていないように見える。で、あればその判断に従うべきであろう。
「なら、一点集中といこうか。
そのために、まずは邪魔な弓兵には退場頂こう」
ラダが見張り台の上のアーチャーを狙い射撃する。放たれる魔弾は居並ぶアーチャーを貫いて、凍結させる。バランスを崩した何体かが見張り台の上から落ちた。
「――蛮ッ!!」
淑やかな力強いかけ声から繰り出される百合子の諸手突きが、エルダーの野太い肋骨を砕く。
暗黒の淵にいるエルダーは、強力な一撃を避けるすべなくモロに喰らって体勢を大きく崩した。
続けざまに百合子がシトシトと間合いを詰め、練り上げた気品と共にコンビネーションを叩き込む。
エルダーを追い詰めている手応えを感じている。だがそれは同時にRAIZING側も止めが近い事を意味しているだろう。
百合子の視界の端にRAIZINGが追い詰めているエルダーの姿が映った。瞬間、一瞬にして練り上げた美少女力を収束させて打ち出した。一条の軌跡がRAIZING側のエルダーへと吸い込まれていく。
美少女ビーム! を受けたエルダーがまるで砂煙のように消滅していくのが見えた。同時に、イレギュラーズの押さえていたエルダースケルトンも同じように消滅していく。その胸には”魔力を帯びた矢”が突き刺さっていた。
「クハッ!もたもたしているのでつい横から手が出てしまったのである――が、どうやら同じ事を考えていたようであるな」
「やれやれ、手癖が悪いんじゃないかい? 横槍だなんて図々しいよ」
どの口がそれを言うのか。まるで悪びれない弓使いのカルラの言葉に、百合子が「カカッ」と笑った。
互いに止めを交換した形だ。と、なれば残り一体を取り合う形となるのは明白であり、両チームは同時に動き出した。
「アーチャーは押さえて置きましょう。皆さん行ってください」
マジカルバスターで見張り台の上に残っていたアーチャーを吹き飛ばし、声を上げる愛。この愛のマジカルバスターは実に良い活躍をしていて、ここまで並み居るスケルトンナイト達を吹き飛ばし寄せ付けなかった上に、フリーのエルダーの牽制としても機能していた。臨機応変に放たれる便利スキルが戦いを優位にしていたのは間違いない。
しかし、スケルトン達もただ吹き飛ばされ続けているだけではなかった。
攻撃の合間を縫って前進し、その数に物を言わせて肉薄する。感情無く振るわれる凶刃が一同を傷つけていく。
「ったく数が多いったりゃありゃしないねぇ。そら、まだ傷は浅いよ!」
ヒーラーたるヨランダが仲間の傷を癒やしていく。サポートで愛も回復を手伝うが、スケルトン達の攻撃は多い、徐々に癒やしきれない傷が増えていった。
「勝負事ならば出し惜しみはなし、ですね」
エルダースケルトンを狙い、フロウが聖なる閃光を放つ。焼き切られるような激痛にエルダーが怨嗟の雄叫びを上げる。それは、同時に復讐の指令となってスケルトン達を動かした。
「――!」
「それは、ちとまずいねぇ……!」
フロウへと集中するスケルトン達の攻撃。強固なマジックガードを持とうとすべてを防ぎきれるわけではない。
ヨランダが庇うも、一人では抑えきる事が難しい。結果大きく傷を受けたヨランダは膝を付きパンドラの輝きすがった。スケルトンの群れに飲み込まれたフロウは為す術無く意識を手放した。
「少々不味い展開ではありますが、撤退の二文字はないでありますよ――!」
エッダがスケルトンの群れを蹴散らしながら倒れたフロウを救出する。そして命の無事を確認するや否や、転じてエルダースケルトンへと飛びかかる。
「中核たるお前を倒せばあとは雑魚の群れであります。覚悟するでありますよ」
螺旋を生み出すエッダの格闘術。エルダースケルトンの野太い骨の防御を弾き飛ばし、大きく空いた懐へと飛び込めば、今度は螺旋に巻き込むように骨を歪ませて砕いた。
「このまま自分が押さえるであります」
「ごめん! よろしく!」
セララの体力の減少を悟れば、エッダがスイッチしてエルダースケルトンを受け持つ。
RAIZING達もイレギュラーズ側の不測の事態を確認したのか、場を荒らす事より、依頼の完遂を目指して動きを変えた。
イレギュラーズとRAIZINGメンバーのエルダースケルトンへの攻撃は熾烈な物となり、一挙にその体力を奪っていく。
「おっしゃー、止めだぜーッ!!」
「――散華しろ」
ゴーザスとザインが同時に飛び込む。止めを狙った一撃はまさにエルダースケルトンの不死なる命を奪おうとした。
「……やらせないのであります」
と、それをエルダースケルトンを押さえていたエッダが、得意の格闘術でエルダースケルトンの体勢を崩し、入れ替え、RAIZINGメンバーの攻撃をカス当たりへと変える。
「もらった――!」
この日一番の反応を示すアカツキがその隙を狙って拳を叩き込む。全身で練り上げた拳闘の一撃が、エルダースケルトンの生命力を奪い去り、肉体を維持できなくなった骨組みがバラバラと音立てて撒き散らされた。落ちていく骨が一つ残らず砂煙へと変わった。
「あー! くそまたお前か!」
「――不覚なり」
止めを奪われたゴーザスとザインが不満げに声を上げる。「ふん」と鼻を鳴らすエッダは涼しい顔だ。
「勝負はあったな。
なあに、こちらから言い出した事だ。どんな手段で得られた結果だろうと受け入れるさ。
そちらの状況もある。まずは、残ってるこいつらを片付けてしまうとしようか」
大人な対応のガラドがそう言って今一度剣と盾を構えた。
エルダースケルトンは倒されたが、いまだスケルトンナイト達は健在である。
そう強くない敵だが、数は多い。
「ここは、協力って奴だね」
「クハッ! それも一興よな!」
セララと百合子が笑って武器(剣と拳)を構え直す。
「仕方がないでありますね」
エッダもそう呟いて頷くと、歩み寄るスケルトン達へと目を向けるのだった。
残ったスケルトンの掃討はそう時間がかかるものではなかった。
すべてのスケルトンが動くのを止めたのを確認すると、ミルマとクゥーエルが隔てなく一同の傷を癒やしていく。
「すまないねぇ手当までしてもらって」
ヨランダの言葉に「いいえ」と和やかに微笑むミルマ。
「見ろ、棺の中にでかい宝石とアクセサリーがあったぞ。こいつはなかなかのもんだぜ」
探索を続けていたゴーザス達が声を上げた。どうやら戦利品が見つかったようだ。
「ならでかい宝石はそちらに。細々としたアクセサリーはこちらでもらおうか」
「ああ、それで構わない。互いに探索結果として報告できるだろうしな」
ガラドの提案にラダが頷く。戦利品の分配が終われば、あとは引き上げるだけだ。
「じゃーん。ボクのギフトで作った、さっきの戦闘シーンの漫画だよ」
そう言ってセララが漫画を見せる。実に先ほどまでの大立ち回りを良く描き出したアクション漫画だ。
「友情の証にRAIZINGにもあげるね」
「ふん、そんなもの……」「ふふふ、こいつは照れてるだけだからね。有り難く戴いておくわ」
顔を背けたリューオウを笑って、レーラがセララから漫画を受け取った。
「さ、それじゃ撤収しましょ」
「こんなほこり臭いところさっさとおさらばでありますよ」
愛とエッダの先導の下、一同は出口へ向かう。互いの戦いを振り返りながらの会話が弾んだ。
「……次は、ラド・バウで会おう」
出口に付き別れ際に零したアカツキの言葉。その言葉にリーダーガラドが応える。
「いつでもいいぞ。俺達は逃げも隠れもしない。
熱くなる戦いを――お前達となら魅せれるかもしれないな」
その言葉に互いに口角をつり上げて、イレギュラーズはRAIZINGと分かれ帰路へと付くのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
澤見夜行です。
RAIZINGとは実力が拮抗していることもあり接戦となりました。
勝負には勝ちましたが怪我人をだしたイレギュラーズは少々悔しい結果になったかもしれませんね。
MVPは総合的にがんばっていたラダさんに贈ります。
依頼お疲れ様でした! 次の依頼も頑張ってください!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
鉄帝の戦闘中毒チームとの共同戦線です。
イレギュラーズの力と連携力でより多くの敵を倒しましょう。
●依頼達成条件
敵の全滅
■オプション
エルダースケルトンを二体以上倒す
●情報確度
情報確度はAです。
想定外の事態は起こりません。
●敵について
剣と盾を持つスケルトンナイトが六十体。
見張り台の上に陣取るスケルトンアーチャーが五体。
そして魔力攻撃を得意とするエルダースケルトンが三体います。
スケルトンナイトは接近戦主体の敵で、ブロックやマークも使ってきます。
戦闘能力は高くなく、苦も無く倒せる敵ではありますが、数が多いです。
スケルトンアーチャーは遠距離攻撃主体の敵です。見張り台の上に陣取り上方から攻撃してくるのでかなり邪魔な存在でしょう。
エルダースケルトンはスケルトン達を操る強敵です。魔力攻撃は近~遠距離まで対応しており、どの距離にいても攻撃が行われるでしょう。
神秘攻撃力、耐久力が高く、かなり強いでしょう。範囲攻撃も当然使ってきます。
スケルトンを操っていますが、エルダースケルトンを倒してもスケルトンナイトとアーチャーは倒れません。
先んじて倒すか、取り巻きを倒してから倒すか、考える必要があるでしょう。
●RAIZINGについて
ライジングです。スペルミスじゃないです。
チームは男女混成の八人チーム。
盾、斧、槍、双剣(短剣)、弓、魔導書、杖、宝珠を武器に戦います。
盾と斧がタンク、槍、双剣、弓、魔導書がアタッカー、杖と宝珠がヒーラーとして立ち回ります。
イレギュラーズと同等くらいの力を持っています。スケルトンナイト三十体くらいなら余裕で倒します。
ガラド/剣盾
チームのリーダー。連携の要であり指揮官。
レジストクラッシュ、ブロッキングバッシュ、名乗り口上、ブロック、マークが得意技。
ゴーザス/斧
チーム一の戦闘狂。
戦鬼暴風陣、クラッシュホーン、名乗り口上、ブロック、マーク、が得意技。
リューオウ/槍
巧みに槍を操る騎士。
五月雨、多段牽制、ダイナマイトキックが得意技。キックと見せかけ槍で突いてきます。
ザイン/双剣
闇纏う暗殺者。
ソニックエッジ、アクセルビート、カプリースダンスが得意技。
カルラ/弓
弩弓操る女弓術士。
クリティカルスナイプ、ラピッドショット、バウンティフィアーが得意技。
レーラ/魔導書
チームの頭脳。知識操る者。
ファントムチェイサー、ピューピルシール、エーテルガトリングが得意技。
ミルマ/杖
チームの要、メインヒーラー。
スーパーアンコール、メガ・ヒール、シェルピアが得意技。
クゥーエル/宝珠
支援を担当するサブヒーラー。
ショウ・ザ・インパクト、超分析、ヴェノムクラウドが得意技。
●戦闘地域
鉄帝東部の黒風の霊廟内部になります。
棺が並ぶ大広間ですが、大きな障害物、遮蔽物のない戦場となります。
そのほか、有用そうなスキルには色々なボーナスがつきます。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
Tweet